説明

消火剤の製造方法

【課題】近年、火災の多様化が進んでいる中で、消火剤の性能も上げなくてはならないが、初期消火を目的として製造・販売されているにも関わらず、消火器は訓練を充分に受けていない一般人が使用出来ない場合が多い。
【解決手段】消火範囲及び消火能力を向上させた、消火剤を製造する。
また、本発明により、従来の消火器やエアゾール消火用具、衝撃で割れる樹脂等の容器に充てんして、火元に投げ割り消火する消火用具への用途と多品目に使用する事ができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は消火剤の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
消火剤成分は、さまざまな組成物により構成されている。
例えば、特開2001−37901号では、尿素、塩化ナトリウム、無水炭酸ソーダ、硫酸アンモニウムなどが開示されている。
【0003】
しかし、その製造方法は、各社がノウハウとして公開されていない。
本発明は、消火剤の製造方法について開示することにした。
【先行技術文献】
【特許文献】
【特許文献】特開2001−37901号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、火災の多様化が進んでいる中で、消火剤の性能も上げなくてはならないが、初期消火を目的として製造・販売されているにも関わらず、消火器は訓練を充分に受けていない一般人が使用出来ない場合が多い。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、消火剤の消火性能を上げることにより、例えば衝撃で簡単に割れる容器に600ml程度の消火剤を充填して、火災時に火元に投げて容器を破壊して消火剤を散布させるという、訓練を必要としない消火用具に使用出来るので、より早く初期消火を完結出来る。
この場合の対象火災はA火災(紙・木等)とB火災(石油類火災)である為、従来の投てき型消火用具のようにA火災のみ消火できる物よりも、応用範囲が広くなるので、より完璧な初期消火を完了することができる。
【0006】
この場合、重量も700gから800gと比較的に軽量なので遠投が出来て、火元から安全な距離を取ることが可能である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の方法によれば、人畜に影響のない安全な消火剤を提供することが出来る。
また、溶液を85℃から90℃の温度で15分から25分保つ工程により、消火に不要な量の炭酸ガス・アンモニアを排出でき、消火器や樹脂容器に充填した場合に、周囲温度の影響で内圧が上昇して容器を破損するなどの事故を防げて安全である。
この場合、消火に有効な炭酸ガス・アンモニアは残存する
【実施例】
【0008】
リン酸二アンモニウムと炭酸水素ナトリウムの混合物は、消火の際、火災の熱に反応して炭酸ガスとアンモニアに分解される。炭酸ガスは燃焼物と空気中の酸素が結合するのを阻害し、アンモニアは冷却効果で燃焼物の温度を降下させると共に、アルカリ性の性状を持つので、燃焼物の酸化を中和して消火することが可能となる。
また、塩化ナトリウムは、リン酸二アンモニウムと炭酸水素ナトリウムの反応を促進する触媒作用と、消火剤の凝固点を降下させる作用がある。
尿素は燃焼物表面の表面張力を小さくし、消火剤を浸透させる効果を有する。
硫酸アンモニウムは、木材や紙などの発火点を上昇させる効果を有するので、消火後の再燃焼を防止することが出来る。
【0009】
本発明により製造した消火剤600mlを、衝撃で破壊する樹脂容器に充填して、消防法で定められたAの第二模型(別図1)を使用して消火実験を行ったところ、2本で完全に消火出来た。この模型を水バケツで消火する場合は、24Lの水を必要とする。
よって、本発明の消火剤を使用することで、水の約20倍の消火効果を得ることが確認された。
【0010】
本発明により製造した消火剤600mlを、衝撃で破壊する樹脂容器に充填して、消防法で定められたBの第一模型(別図2)を使用したガソリン消火実験を行ったところ、1本で完全に消火できた。
【0011】
本発明により製造した消火剤600mlを、衝撃で破壊する樹脂容器に充填した物を40℃の雰囲気中に入れて24時間放置したあとに、−20℃の雰囲気中に24時間放置し、常温の20℃に24時間放置した。
各温度で2時間毎に容器の状態を観察したところ、容器の膨張、消火剤の凍結による割れ、変形等は確認されなかった。
通常、消火用具の使用温度範囲は−20℃から40℃とすることが望ましいので、本発明により製造した消火剤は、この条件を満たしていることが確認出来た。
【産業上の利用可能性】
【0012】
本発明により製造された消火剤は、消火器やエアゾール式消火用具、衝撃で割れる樹脂等の容器に充填して、火元に投げ割り消火する消火用具に使用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消火器及び消火用具に入れる消火剤の製造方法であって、50℃から60℃のお湯に塩化ナトリウム15gから25gを入れて溶解する工程と、リン酸二アンモニウムを100gから150g入れて溶解する工程と、炭酸水素ナトリウムを50gから80gを入れて溶解する工程と、混合した薬液を85℃から90℃の温度で20分から30分の間保つ工程と、尿素を50gから70g入れて溶解する工程と、硫酸アンモニウムを90gから110g入れて溶解して、全体量を600mlとする工程を備えることを特徴とする消火剤の製造方法。
【請求項2】
更に凝固点降下剤として、エチレングリコール80mlから120mlを入れる工程を備えることを特徴とする請求項1の消火剤の製造方法。
【請求項3】
更に石油類火災に効果を示す水成膜消火剤を20mlから40mlを入れる工程を備える事を特徴とする請求項2の消火剤の製造方法。

【公開番号】特開2013−75129(P2013−75129A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−228334(P2011−228334)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(511251157)
【出願人】(511251168)
【出願人】(511251179)
【Fターム(参考)】