説明

消臭消煙装置

【解決手段】触媒により浄化を行うセラッミクを有する消臭消煙体7を備えたケース1には消臭消煙体7対する入口管2と出口管10とを設け、入口管2と出口管10とには開口面積を調節し得る開閉弁3,12を設けている。出口管10に接続した排気管11には排気ファン13を設け、排気ファン13に接続した空気供給管14には開口面積を調節し得る開閉弁15を設けている。
【効果】消臭消煙体7の温度管理を排気の導入量及び導出量の調節により行い得るようにして消臭消煙体7の処理能力を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒により浄化を行うセラッミクを主体とする消臭消煙体により焼却炉などからの排気を処理する消臭消煙装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1にかかる焼却炉では、有機物の熱分解処理に燃料や電気を使わず、ダイオキシン類の発生を抑えかつ排出ガス処理に燃料や水を使わないセラッミク消臭消煙装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−183932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1では、各セラッミク処理容器内の温度管理を行い得ないため、消臭消煙能力を維持及び向上させることが難しい。
この発明は、触媒により浄化を行うセラッミクを有する消臭消煙体の温度管理を排気の導入量及び導出量の調節により行い得るようにして消臭消煙体の処理能力を向上させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
後記実施形態の図面(図1に示す実施形態)の符号を援用して本発明を説明する。
請求項1の発明にかかる消臭消煙装置において、触媒により浄化を行うセラッミクを有する消臭消煙体7を備えたケース1にはこの消臭消煙体7に対する入口2と出口10とを設け、この入口2と出口10とには開口面積を調節し得る開閉体3,12を設けた。請求項1の発明では、入口2への排気の導入量を開閉体3により調節することができるとともに、出口10からの排気の導出量を開閉体12により調節することができ、ケース1の消臭消煙体7の触媒温度を例えば380〜690℃に調節し易い。従って、ケース1の消臭消煙体7の温度管理を排気の導入量及び導出量の調節により行うことができる。
【0006】
請求項1の発明を前提とする請求項2の発明において、前記出口10に接続した排気管11には出口10の開閉体12より下流側で排気ファン13を設け、この排気ファン13に接続した空気供給管14には開口面積を調節し得る開閉体15を設けた。請求項2の発明では、開閉体15を調節して空気供給管14から導入した空気により排気ファン13を熱上昇による損傷から防ぐことができる。
【0007】
請求項1または請求項2の発明を前提とする請求項3の発明において、前記入口2とケース1の消臭消煙体7との間には排気が通るヒータ4を設けた。請求項3の発明では、ヒータ4により、入口2から導入されてケース1の消臭消煙体7に至る排気の水分を除去することができる。
【0008】
請求項1または請求項2または請求項3の発明を前提とする請求項4の発明において、前記ケース1の消臭消煙体7は複数の分割体8を入口2と出口10との間で積層したものである。請求項4の発明では、ケース1の消臭消煙体7における各分割体8の処理能力を互いに変更して処理効率を良くすることができる。
【0009】
請求項1から請求項4のうちいずれか一つの請求項の発明を前提とする請求項5の発明において、前記入口2には入口2の開閉体3より下流側で空気導入管5を接続し、この空気導入管5には開口面積を調節し得る開閉体5aを設けている。請求項5の発明では、消臭消煙体7の温度調節をより一層行い易くなって、消臭消煙体7の処理能力を向上させることができる。
【0010】
次に、請求項以外の技術的思想について実施形態の図面の符号を援用して説明する。
請求項1から請求項5のうちいずれか一つの請求項の発明を前提とする第6の発明において、前記消臭消煙体7は、浄化触媒塊9を多数収容して各浄化触媒塊9間に多数の通路9aを生じさせたものであって、この浄化触媒塊9は、浄化触媒材を含んで、通路断面積が互いに異なる多数の気孔9bにより三次元網目構造をなす気孔群を有し、その気孔群における各気孔9bを表面に露出させて開放したものである。第6の発明では、消臭消煙体7の処理能力を向上させることができる。
【0011】
請求項1から請求項5のうちいずれか一つの請求項の発明、または第6の発明を前提とする第7の発明においては、浄化触媒材を含んで、通路断面積が互いに異なる多数の気孔9bにより三次元網目構造をなす気孔群を有し、その気孔群における各気孔9bを表面に露出させて開放した浄化触媒塊9を、多数収容して、各浄化触媒塊9間に多数の通路9aを生じさせた消臭消煙体17を、前記入口2の開閉体3より下流側で入口2に設置し、その入口2にはこの消臭消煙体17に対する入口側で磁気空気供給管18を接続している。第7の発明では、炭化水素を主成分とするコールタールや木タールや石油タールなどの油状物質を除去することができる。
【0012】
請求項1から請求項5のうちいずれか一つの請求項の発明、または第6の発明または第7の発明を前提とする第8の発明においては、浄化触媒材を含んで、通路断面積が互いに異なる多数の気孔9bにより三次元網目構造をなす気孔群を有し、その気孔群における各気孔9bを表面に露出させて開放した浄化触媒塊9を、多数収容して、各浄化触媒塊9間に多数の通路9aを生じさせた消臭消煙体17を、前記出口10の開閉体12と排気ファン13との間で排気管11に設置し、その排気管11にはこの消臭消煙体17に対する入口側で磁気空気供給管18を接続している。第8の発明では、炭化水素を主成分とするコールタールや木タールや石油タールなどの油状物質を除去することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、触媒により浄化を行うセラッミクを有する消臭消煙体7を備えたケース1においてその消臭消煙体7の温度管理を排気の導入量及び導出量の調節により行い得るようにして消臭消煙体7の処理能力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(a)は本実施形態にかかる消臭消煙装置を概略的に示す断面図であり、(b)は消臭消煙体における浄化触媒塊の集合体を示す模式図であり、(c)はその浄化触媒塊を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態にかかる消臭消煙装置について図面を参照して説明する。
ケース1は底壁1aと周壁1bと天壁1cとにより筒状をなしている。この底壁1aに接続された入口管2(入口)には、焼却炉の排気管(図示せず)が接続されて排気が導入されるとともに、開口面積を調節してその排気の導入量を調節し得る開閉弁3(開閉体)が取り付けられている。このケース1内で底壁1a上にはヒータ4が設けられている。このヒータ4内には蛇行通路4aが設けられて入口管2からの排気がこの蛇行通路4aを通る。このヒータ4と開閉弁3との間で入口管2には空気導入管5が接続されてこの空気導入管5から入口管2に空気を導入することができる。この空気導入管5には開口面積を調節してその排気の導入量を調節し得る開閉弁5a(開閉体)が取り付けられている。なお、ケース1の各壁1a,1b,1cは内外二重壁構造をなし、各壁1a,1b,1cの内側に室6が設けられている。
【0016】
このケース1内でヒータ4と天壁1cとの間には消臭消煙体7が設けられている。この消臭消煙体7は上下方向へ互いに積層された複数の分割体8を備えている。各分割体8において、箱8a内には5〜20mmの砂利状に形成されて大小種々の外形状をなす浄化触媒塊9(セラミック塊)が多数収容され、各浄化触媒塊9間に多数の通路9aを生じさせている。この浄化触媒塊9は、浄化触媒材を含んで、通路断面積が互いに異なる多数の気孔9bにより三次元網目構造をなす気孔群を有し、その気孔群における各気孔9bを表面に露出させて開放したものである。前記ヒータ4の蛇行通路4aは最下の分割体8に連通しているとともに、各分割体8間も互いに連通し、入口管2からの排気はヒータ4を経て最下の分割体8から順次上側の分割体8に至る。ちなみに、サイズの異なる多数の焼却可能片(紙などを撚ったもの)をセラミック原料に混ぜた後、そのセラミック原料を焼却して多数の焼却可能片を消滅させるとともにセラミックを残存させることにより、浄化触媒塊9を製造する。
【0017】
前記ケース1の天壁1cに接続された出口管10(出口)には、前記消臭消煙体7から排気が導出される排気管11が接続されているとともに、開口面積を調節してその排気の導出量を調節し得る開閉弁12(開閉体)が取り付けられている。この排気管11にはこの開閉弁12より下流側で排気ファン13が取り付けられている。この排気ファン13で排気管11に空気供給管14が接続されている。この空気供給管14には開口面積を調節して排気ファン13への空気の導入量を調節し得る開閉弁15(開閉体)が取り付けられている。この排気管11には排気ファン13より下流側に二次燃焼室16が設けられている。
【0018】
前記入口管2には触媒により浄化を行うセラッミクを有する消臭消煙体17が入口管2の開閉弁3より下流側で着脱可能に取り付けられている。前記空気導入管5はこの入口管2の消臭消煙体17とヒータ4との間で入口管2に接続されている。前記排気管11には触媒により浄化を行うセラッミクを有する消臭消煙体17が出口管10の開閉弁12と排気ファン13との間で着脱可能に取り付けられている。これらの消臭消煙体17には前記ケース1の消臭消煙体7と同様に浄化触媒塊9(セラミック塊)が多数収容されている。この入口管2及び排気管11にはこの消臭消煙体17に対する入口側で磁気空気供給管18が接続されている。この磁気空気供給管18においては、ファン19や開閉弁20を介して入口管2及び排気管11に供給される空気に永久磁石21により強力な磁気を発生させることができ、ファン19や開閉弁20などの調節により供給空気量を変更することができる。
【0019】
入口管2の開閉弁3を通った排気は、消臭消煙体17を通り、空気導入管5からの空気を導入してヒータ4に至る。ヒータ4の蛇行通路4aを通った排気は、ケース1の消臭消煙体7の各分割体8を通って出口管10に至る。ケース1の消臭消煙体7における最上の分割体8から出口管10に至った排気は、排気管11で開閉弁12と消臭消煙体17と排気ファン13と二次燃焼室16とを通って排出される。空気供給管14から空気は開閉弁15を通って排気ファン13に導入される。
【0020】
本実施形態は下記の効果を有する。
(1) 焼却炉の排気管(図示せず)から入口管2に導入される排気の量や温度は、廃棄物の種類や焼却条件に応じて種々異なるため、消臭消煙体7の浄化触媒塊9の処理能力に応じて、入口管2にある開閉弁3により、入口管2への排気の導入量を調節することができ、消臭消煙体7の触媒温度を例えば380〜690℃に調節し易い。その際、空気導入管5から入口管2に空気を導入すれば、より一層その温度調節を行い易い。従って、消臭消煙体7の処理能力を向上させることができる。
【0021】
(2) 消臭消煙体7の浄化触媒塊9の処理能力に応じて、出口管10にある開閉弁12により、出口管10からの排気の導出量を調節することができ、消臭消煙体7の触媒温度を例えば380〜690℃に調節し易い。従って、消臭消煙体7の処理能力を向上させることができる。
【0022】
(3) 入口管2にある開閉弁3と出口管10にある開閉弁12とが相俟って、消臭消煙体7内における排気の滞留時間を調節することができ、消臭消煙体7の触媒温度を例えば380〜690℃に調節し易い。従って、消臭消煙体7の処理能力を向上させることができる。
【0023】
(4) 開閉弁15を調節して空気供給管14から導入した空気により、排気管11にある排気ファン13を熱上昇による損傷から防ぐことができる。
(5) 排気管11に設けた二次燃焼室16により、排気の温度を800℃以上に上げて排出し、ダイオキシンなどの化学物質の発生を抑えることができる。
【0024】
(6) ヒータ4により、入口管2から導入されて消臭消煙体7に至る排気の水分を除去することができる。その際、排気を蛇行通路4aに通して排気とヒータ4との接触時間を長くすることにより、排気の水分をより一層除去することができる。なお、触媒温度が380℃以上になると、ヒータ4を停止してもよい。
【0025】
(7) 複数の分割体8で積層した消臭消煙体7としたため、各分割体8の処理能力を互いに変更することができる。例えば、最下の分割体8には触媒で処理できない硫黄も処理することができる処理剤を入れ、上側の分割体8ほどサイズの小さい浄化触媒塊9を入れて処理効率を良くする。
【0026】
(8) 消臭消煙体7の浄化触媒塊9は5〜20mmの砂利状に形成されているため、浄化触媒塊9の集合体間の複雑な通路9aを化学物質が流れるとともに、浄化触媒塊9内で通路断面積が互いに異なる気孔9bにも化学物質が入り、化学物質との接触面積が広がって処理能力を高めることができる。また、消臭消煙体7では、各浄化触媒塊9間の通路9aと浄化触媒塊9内の気孔9bとの通路断面積の差により、その通路9a、その気孔9bのうち通路断面積の大きいもの、同じく通路断面積の小さいものの順で、排気が通り、その通路9aと気孔9bとによる処理に時間的差が生じて、それらの相乗効果により目詰まりすることなく処理することができる。浄化触媒塊9を製造する場合、パラジウム、白金、ロジウム、アルミナ−セリア、ジルコニアなどをそれぞれ単一でまたは互いに組み合わせて付着して乾燥及び焼成させる。また、黒曜石を焼いたものや、Mo、Li、Zn、Cu、Ni、Co、Mn、MgO、Fe203、TiO、CaO、Na20、KO、Al203、SiOなど自然に含み、1000℃で燃焼した焼却パーライトのみの使用でも、臭いや煙などを除去することができる。この場合は380℃の熱を加えなくても処理できる。
【0027】
(9) しかも、入口管2及び排気管11にある消臭消煙体17に対する入口側で磁気空気供給管18から入口管2及び排気管11に供給される磁気空気や、ファン19や開閉弁20などの調節による供給空気量の変更により、炭化水素を主成分とするコールタールや木タールや石油タールなどの油状物質を除去することができる。
【0028】
(10) ケース1の周りに設けた室6に入れた水を浄化触媒塊9の熱やヒータ4の熱により暖めて各種用途に利用することができる。
前記実施形態以外にも例えば下記のように構成してもよい。
・ 前記実施形態においてヒータ4を省略してもよい。
・ 前記実施形態において消臭消煙体7を複数の分割体8に分けることなく一つ箱に浄化触媒塊9の集合体を収容してもよい。
・ 前記実施形態において二次燃焼室16を省略してもよい。
【符号の説明】
【0029】
1…ケース、2…入口管(入口)、3…開閉弁(開閉体)、4…ヒータ、5…空気導入管、5a…開閉弁(開閉体)、7…消臭消煙体、8…消臭消煙体の分割体、9…浄化触媒塊、9a…通路、9b…気孔、10…出口管(出口)、11…排気管、12…開閉弁(開閉体)、13…排気ファン、14…空気供給管、15…開閉弁(開閉体)、16…二次燃焼室、17…消臭消煙体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒により浄化を行うセラッミクを有する消臭消煙体を備えたケースにはこの消臭消煙体に対する入口と出口とを設け、この入口と出口とには開口面積を調節し得る開閉体を設けたことを特徴とする消臭消煙装置。
【請求項2】
前記出口に接続した排気管には出口の開閉体より下流側で排気ファンを設け、この排気ファンに接続した空気供給管には開口面積を調節し得る開閉体を設けたことを特徴とする請求項1に記載の消臭消煙装置。
【請求項3】
前記入口とケースの消臭消煙体との間には排気が通るヒータを設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の消臭消煙装置。
【請求項4】
前記ケースの消臭消煙体は複数の分割体を入口と出口との間で積層したものであることを特徴とする請求項1または請求項2または請求項3に記載の消臭消煙装置。
【請求項5】
前記入口には入口の開閉体より下流側で空気導入管を接続し、この空気導入管には開口面積を調節し得る開閉体を設けたことを特徴とする請求項1から請求項4のうちいずれか一つの請求項に記載の消臭消煙装置。

【図1】
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