説明

消臭装置

【課題】コンパクトで鞄等の中に入れても鞄の収納能力に影響しない大きさで、しかも消臭能力に優れ、鞄に入れておくだけで、いやな臭いを取り去ることのできる消臭装置を安価に提供する。
【解決手段】鞄等の狭い空間において、いやな臭いを取り、かつ邪魔にならない大きさの消臭装置を提供すべく検討を行なった結果、構成壁の少なくとも一部に通気開口部が設けられた消臭容器の内部に消臭材が配置された消臭装置において、該消臭容器の体積が25000mm以内で、内部に配置された消臭材の体積が450mm以上あることを特徴とする消臭装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞄、バッグ、袋等の狭い空間内における空気の消臭に用いられる消臭装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫や下駄箱内に配置されて消臭する消臭装置としては、直方体、立方体、半円球等の三次元立体的形状の通気性の容器内に活性炭等の消臭剤を収容してなるものが公知である。(特許文献1参照)
【0003】
また、特許文献2では、靴下を入れるバッグが示され、バッグの素材自身が殺菌・消臭・漂白等のための薬品等を内臓または添付加工した靴下除菌バッグを開示している。
【0004】
特許文献3では、多孔質体を付着させた多孔質シート材を、バッグ収納袋等として使用し、抗菌・消臭・吸湿・防虫性能を備えるバッグ収納袋を開示している。
【0005】
しかしながら、特許文献1に示されるものでは、女性のハンドバック等のバックに入れるには大きすぎて入れられるようなものではなかった。また、特許文献2や特許文献3のように袋状にして、鞄等の中に入れることも考えられるが手間のかかる方法で、好適な方法ではなかった。
【0006】
【特許文献1】特開2006−169931号公報
【特許文献2】特開2006−334377号公報
【特許文献3】特願2004−131912号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる技術的背景に鑑みてなされたもので、コンパクトで鞄等の中に入れても鞄の収納能力に影響しない大きさで、しかも消臭能力に優れ、鞄に入れておくだけで、いやな臭いを取り去ることのできる消臭装置を安価に提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、鞄、バッグ、袋等の狭い空間内における空気のいやな臭いに消臭効果のある消臭装置に関するもので、鞄等の内部に、単に入れておくだけで消臭効果のある消臭装置である。前記課題を解決するために本発明は以下の手段を提供する。
【0009】
[1]構成壁の少なくとも一部に通気開口部が設けられた消臭容器の内部に消臭材が配置された消臭装置において、該消臭容器の体積が25000mm以内で、内部に配置された消臭材の体積が450mm以上あることを特徴とする消臭装置。
【0010】
[2]前記消臭材として略波板状の消臭シートが用いられている前項1に記載の消臭装置。
【0011】
[3]前記消臭材が、金属フタロシアニン錯体とポリカルボン酸と、金属塩を含む消臭剤を付着させた活性炭混抄紙であることを特徴とする前項1又は2に記載の消臭装置。
【0012】
[4]前記消臭材が、消臭容器の内部に固定しない状態で配置されていることを特徴とする前項1〜3のいずれか1項に記載の消臭装置。
【0013】
[5]前記消臭材による消臭能力が、アンモニア、硫化水素、メチルメルカプタン、酢酸、アセトアルデヒドの各ガスに対し内容量2リットルの空間内に濃度10ppmに設定した時、60分後における各ガスの除去率が90%以上あることを特徴とする前項1〜4のいずれか1項に記載の消臭装置。
【発明の効果】
【0014】
第1の発明では、その体積が25000mm以内であるので、鞄の収納能力に影響しない大きさにすることができ、内部に配置された消臭材の体積が450mm以上あるので、鞄等の内部に入れておくだけで消臭効果のある消臭装置とすることができる。また、構成壁の少なくとも一部に通気開口部が設けられているので、消臭対象の空気が消臭容器内の消臭材と接触し、また消臭材の体積が450mm以上あるので十分な消臭性能を発揮することができる。
【0015】
第2の発明では、消臭材として略波板状の消臭シートが用いられているので、消臭材の表面積を増大させることができ、消臭効率をより一層向上させることができる。
【0016】
第3の発明では、消臭材が、金属フタロシアニン錯体とポリカルボン酸と金属塩を含む消臭剤を付着させた活性炭混抄紙であるので、アンモニア、硫化水素、メチルメルカプタン、酢酸、アセトアルデヒドの各種ガスを効率よく消臭することができる。
【0017】
第4の発明では、消臭材が、消臭容器の内部に固定しない状態で配置されているので、バックのように人が持ち運ぶようなものでは、消臭容器の内部で消臭材が自然に動き、鞄等の内部の空気と接する機会が増え、優れた消臭性能を発揮する消臭装置とすることができる。
【0018】
第5の発明では、消臭材による消臭能力が、アンモニア、硫化水素、メチルメルカプタン、酢酸、アセトアルデヒドの各ガスに対し内容量2リットルの空間内に濃度10ppmに設定した時、60分後における各ガスの除去率が90%以上あるので、鞄のような小空間で、光の当たらないような空間であっても、コンパクトで優れた消臭性能を発揮する消臭装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】この発明の一実施形態に係る消臭装置を示す説明図である。
【図2】図1におけるX−X線の断面図。(消臭装置の長さ方向に沿って切断した断面図)
【図3】この発明の別の実施形態に係る消臭装置を示す説明図である。
【符号の説明】
【0020】
1 消臭装置
2 第1消臭容器
3 第2消臭容器
4 消臭材(消臭シート)
5 通気開口部
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の消臭装置について、さらに詳しく説明する。例えば図1において本発明の消臭装置は、第1消臭容器と、第2消臭容器と、第1消臭容器の内部空間に配置された消臭材(消臭シート)とを備えている。第1消臭容器と、第2消臭容器とには、通気開口部が設けられ、両者を嵌合一体化して消臭材を内部空間に配置し、空気が消臭装置内に出入りできるようになっている。消臭装置の大きさは、鞄等の内容積を極力減らさないよう、邪魔にならないよう体積が25000mm以内であることが望ましい。
【0022】
第1消臭容器及び第2消臭容器は、図1のように構成壁の少なくとも一部に通気開口部が設けられた、扁平な形状であってもよいし、図3のような立方体や、球形であってもよい。消臭容器の素材は特に限定されないが、大量に生産でき安価な合成樹脂製が好ましい。消臭容器の内部空間に配置される消臭材の形状も消臭容器の形状に合せて形成すれば良い。また、消臭材として消臭シートが使用された場合は、一枚の消臭シートを消臭容器の形状に合せて形成してもよいし、図3のように複数枚で形成してもよい。この時、消臭シートの大きさを消臭容器の大きさよりも小さくして、消臭シートが容器内で動くような大きさにすると、人が持ち運ぶ鞄のようなものでは、その時の振動で、消臭容器の内部の消臭材が自然に動き、バック内の空気と接する機会が増え、優れた消臭性能を発揮する消臭装置とすることができる。
【0023】
さらに消臭材として略波板状の消臭シートを用いれば、消臭材の表面積を増大させることができ、消臭効率をより一層向上させることができる。図1では、略波板状と板状のシートを組み合わせた消臭シートとしており、形状が安定し、消臭効率の優れたものとなっている。
【0024】
消臭材として、消臭剤を付着させた活性炭混抄紙が好ましい。活性炭混抄紙は、通常の湿式抄紙法により製造できる。例えば活性炭と天然パルプを水に添加し、水スラリーを作成する。そのスラリーを攪拌しながら所定の固形分濃度に調整し、その後カチオン系ポリマー又はアニオン系ポリマーを添加し、得られた凝集体水分散液を抄紙機を使い湿式抄紙法によりシート化し、乾燥処理を行うことによって活性炭混抄紙を得る。
【0025】
本発明に使用する活性炭としては、椰子殻活性炭、石油ピッチ系球状活性炭、活性炭素繊維、木質系活性炭等の活性炭系炭素多孔質体が、吸着比表面積が非常に高いことから好ましく用いられる。中でも、椰子殻活性炭が好ましい。また、この活性炭混抄紙に使用する繊維は天然パルプ、ポリオレフィン及びアクリル繊維などのフィブリル化繊維を用いればよいが、金属フタロシアニン錯体の担持のし易さからも天然パルプが好ましい。
【0026】
活性炭の抄紙へ担持する量は、抄紙の40〜80重量%担持させることが好ましい。40重量%を下回る担持量では十分な吸着力を得ることができず、80重量%を上回る担持量では活性炭の脱落が発生し好ましくない。より好ましい活性炭の担持量は、60〜75重量%である。
【0027】
次に前記活性炭混抄紙に担持させる金属フタロシアニン錯体は、特に限定されるものではないが、例えば鉄フタロシアニン錯体、コバルトフタロシアニン錯体、マンガンフタロシアニン錯体等が挙げられる。これらの中でもコバルトフタロシアニン錯体を用いるのが好ましく、この場合には、特にメチルメルカプタンやNOx、SOx等の酸化ガスに対する除去性能をさらに向上させることができる利点がある。前記コバルトフタロシアニン錯体としては、特に限定されるものではないが、例えばコバルトフタロシアニンポリスルホン酸ナトリウム、コバルトフタロシアニンオクタカルボン酸、コバルトフタロシアニンテトラカルボン酸等が挙げられる。また、鉄フタロシアニン錯体としては、鉄フタロシアニンテトラカルボン酸、鉄フタロシアニンオクタカルボン酸等が挙げられる。さらに、コバルトフタロシアニン錯体と鉄フタロシアニン錯体を併用した構成は、ジメチルスルフィド、ジメチルジスルフィドの消臭除去率をさらに向上させることができる。
【0028】
金属フタロシアニン錯体を活性炭混抄紙に担持する前に、活性炭混抄紙をカチオン化処理することが望ましい。これは、金属フタロシアニン錯体の担持量を増大するための処理で、カチオン化処理は活性炭混抄紙の化学構造中にカチオン基を導入付与し得るものであればどのような処理であっても良いが、中でも4級アンモニウム塩によりカチオン化処理が行われるのが好ましい。この場合には、金属フタロシアニン錯体の担持量をより増大させることができる利点がある。前記4級アンモニウム塩としては、例えば3―クロロ―2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、グリシジルトリメチルアンモニウムクロライド、3―クロロ―2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドの縮合ポリマー等が挙げられる。
【0029】
前述のような方法によって、金属フタロシアニン錯体の活性炭混抄紙へ担持させる量は、活性炭混抄紙1g当たり200〜20000μg担持させるのが好ましい。活性炭混抄紙1g当たり200μgを下回る金属フタロシアニン錯体の活性炭混抄紙への担持量では、十分な除去性能を得ることができなく、活性炭混抄紙1g当たり20000μgを超える金属フタロシアニン錯体の活性炭混抄紙への担持量では、徒にコストがかさむだけで経済的な担持量とはいえない。より好ましい金属フタロシアニン錯体の活性炭混抄紙への担持量は、活性炭混抄紙1g当たり500〜5000μgである。
【0030】
前記カチオン化処理された活性炭混抄紙による消臭材を水洗し乾燥したあと、金属フタロシアニン錯体で処理し、乾燥したあとさらにポリカルボン酸と金属塩を含む水溶液に含浸させ、水洗し乾燥して消臭材を得るのが好ましい。次に、この発明の消臭材に用いるポリカルボン酸は、特に限定されるものではないが、例えばポリマレイン酸、アクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリアクリル酸等が挙げられアンモニアやアミン等の塩基性ガスを多量に吸着する働きがある。また前記ポリカルボン酸の分子量は1000〜20000のポリカルボン酸であるのが好ましい。この範囲を逸脱するとポリカルボン酸が活性炭の細孔を被覆し吸着能力を低下させることとなり好ましくない。さらに、前記ポリカルボン酸の担持量は、活性炭混抄紙1g当り500〜50000μgの範囲であるのが好ましい。500μgを下回ると十分な量の塩基性ガスを吸着できない。50000μgを上回っても金属フタロシアニン錯体の表面を覆うことになり、その酸化による分解能力を低下させることとなり好ましくない。より好ましくは、活性炭混抄紙1g当り2000〜10000μgの範囲である。
【0031】
また、この発明の消臭材に用いる金属塩は、ニ価の銅又は亜鉛および一価の銀水溶性の塩から選ばれる1もしくは複数の金属塩が好ましい。金属塩は、ポリカルボン酸の水溶液と混合させることによりカルボキシル基に配位し消臭材の表面から脱落することなく安定して存在し、中心金属であるニ価の銅又は亜鉛および一価の銀の持つ塩基性及び酸性ガスに対する吸着能力により、これらの悪臭ガスを同時に除去することができるものである。前記金属塩の担持量は、活性炭混抄紙1g当り500〜50000μgの範囲であるのが好ましい。500μgを下回ると十分な量の悪臭を除去することができなくなり、50000μgを上回っても水洗工程で脱落してしまうので好ましくない。より好ましくは、活性炭混抄紙1g当り2000〜10000μgの範囲である。
【0032】
本発明は、体積が25000mm以内という小さな消臭装置であって、小さいにも係わらず、大きな消臭能力を備えるもので、鞄等の中に入れるものから発するいやな臭い(例えば、汗や皮脂のついた繊維製品や食べ物等の臭い等)を取り除くことができるもので、代表的な臭いガスである、アンモニア、硫化水素、メチルメルカプタン、酢酸、アセトアルデヒドのガスに対して、内容量2リットルの空間内に濃度10ppmに設定した時、60分後における各ガスの除去率が90%以上の消臭能力を備えるものである。各ガスの消臭性能試験は以下のようにおこなった。
【0033】
(アンモニア消臭性能)
図1に示すように、消臭材を第1消臭容器にいれ、第2消臭容器と嵌合一体化して消臭装置をつくり、内容量2リットルのアクリルボックス内に入れた後、ボックス内において濃度が10ppmとなるようにアンモニアガスを注入し、該アクリルボックスを鞄の中に入れ、60分間歩行振動(100回/1分間 振幅10cm)を与えてからアクリルボックス内のアンモニアガスの残存濃度を測定し、この測定値よりアンモニアガスを除去した総量を算出し、これよりアンモニアガスの除去率(%)を算出した。
【0034】
(硫化水素消臭性能)
アンモニアガスに代えて硫化水素ガスを用いてアクリルボックス内において濃度が10ppmとなるように注入した以外は、上記アンモニア消臭性能測定と同様にして硫化水素の除去率(%)を算出した。
【0035】
(メチルメルカプタン消臭性能)
アンモニアガスに代えてメチルメルカプタンガスを用いてアクリルボックス内において濃度が10ppmとなるように注入した以外は、上記アンモニア消臭性能測定と同様にしてメチルメルカプタンガスの除去率(%)を算出した。
【0036】
(酢酸消臭性能)
アンモニアガスに代えて酢酸ガスを用いてアクリルボックス内において濃度が10ppmとなるように注入した以外は、上記アンモニア消臭性能測定と同様にして酢酸ガスの除去率(%)を算出した。
【0037】
(アセトアルデヒド消臭性能)
アンモニアガスに代えてアセトアルデヒドガスを用いてアクリルボックス内において濃度が10ppmとなるように注入した以外は、上記アンモニア消臭性能測定と同様にしてアセトアルデヒドの除去率(%)を算出した。
【0038】
そして、除去率が95%以上であるものを「◎」、除去率が90%以上95%未満であるものを「○」、除去率が85%以上90%未満であるものを「△」、除去率が85%未満であるものを「×」と評価した。
【実施例】
【0039】
<実施例1>
消臭装置として、図1に示すような、第1消臭容器と第2消臭容器と嵌合一体化して消臭装置(縦55mm横45mm厚さ8mm 体積19800mm肉厚1mm)を用意した。また、一方、消臭材としては、まず、椰子殻活性炭70重量部と天然パルプ30重量部を水200重量部に添加し、水スラリーを作成し、得られた凝集体水分散液を抄紙機を使い湿式抄紙法によりシート化し、乾燥処理を行ない活性炭混抄紙を得た。その後得られた活性炭混抄紙を3―クロロ―2−ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド水溶液にてカチオン化処理をし乾燥した。次に、この活性炭混抄紙をコルゲート加工機を用い波板状にし、板状のシートと貼りあわせて図1に示すような、シートの形状(厚さ4mm)にした。次に0.5重量%のコバルトフタロシアニンポリスルホン酸ナトリウムと、1.0質量%のポリアクリル酸(平均分子量5000)と、1.0質量%の硫酸銅の水溶液に含浸した後、水洗して乾燥して消臭シートを得た。この時コバルトフタロシアニンポリスルホン酸ナトリウムの活性炭混抄紙への担持量は400μg/gで、ポリアクリル酸と硫酸銅の活性炭混抄紙への担持量は、活性炭混抄紙1g当り5000μgと4000μgであった。また、活性炭混抄紙における椰子殻活性炭の含有率は70質量%であった。こうして得た消臭シートを縦53mm横43mmに裁断し(体積9116mm)、前記第1消臭容器に入れ、第2消臭容器と嵌合一体化して消臭装置とし、上記の各種ガスの消臭試験をおこない除去率を表に記載した。
【0040】
<実施例2>
次に、実施例1において、図1に示すような波板状と板状のシートと貼りあわせた消臭シートに替えて、板状のシート(縦50mm横40mm 厚さ0.5mm 体積1000mm)のみとした以外は実施例1と同様にして、消臭装置を得た。
【0041】
<実施例3>
次に、実施例2において、板状のシートに替えて、波板状のシート二枚を重ねた(縦50mm 横40mm 厚さ3mm 体積6000mm)以外は実施例1と同様にして、消臭装置を得た。
【0042】
<実施例4>
次に、実施例1において、波板状と板状のシートと貼りあわせた消臭シートの大きさを縦49mm横39mm(体積7644mm)に裁断した以外は実施例1と同様にして、消臭装置を得た。
【0043】
<実施例5>
消臭装置として、図3に示すように、第1消臭容器と第2消臭容器と嵌合一体化した立方体の消臭装置(縦29mm横29mm高さ29mm)を用意し、消臭シートの大きさを消臭装置の内径に合うように裁断し(体積2916mm)、一枚を配置した以外は実施例1と同様にして、消臭装置を得た。
【0044】
<比較例1>
実施例1において、コバルトフタロシアニンポリスルホン酸ナトリウムとの担持量を0とし、1.0質量%のポリアクリル酸(平均分子量5000)と、1.0質量%の硫酸銅の水溶液に含浸した後、水洗して乾燥して消臭シートを得た以外は実施例1と同様にして、消臭装置を得た。
【0045】
<比較例2>
実施例1において、0.5重量%のコバルトフタロシアニンポリスルホン酸ナトリウムと1.0質量%のポリアクリル酸(平均分子量5000)の水溶液に含浸した後、水洗して乾燥して消臭シートを得た以外は実施例1と同様にして、消臭装置を得た。
【0046】
<比較例3>
実施例1において、0.5重量%のコバルトフタロシアニンポリスルホン酸ナトリウムと、1.0質量%の硫酸銅の水溶液に含浸した後水洗して乾燥して消臭シートを得た以外は実施例1と同様にして、消臭装置を得た。
【0047】
<比較例4>
実施例1において、消臭材として、天然パルプのみでシート化しただけのもの(活性炭、コバルトフタロシアニンポリスルホン酸ナトリウム、ポリアクリル酸、硫酸銅を担持していない。)を使用した以外は実施例1と同様にして消臭装置を得た。
【0048】
【表1】

【0049】
表1から明らかなように、本発明の消臭装置は、コンパクトな形態にもかかわらず、優れた消臭能力をもち、鞄のような狭い空間内に入れるのに好適で、鞄に入れておくだけで、いやな臭いを取り去ることのできるものである。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の技術は、鞄、バッグ、袋等の狭い空間内における空気の消臭に用いられるものとして開発したが、机の引き出し、ロッカー、等の空間や、衣服等のポケットに入れても、コンパクトで邪魔にならずに、光の当たらないところでも十分にいろいろな臭いを押さえるものとしても有効で、広く利用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構成壁の少なくとも一部に通気開口部が設けられた消臭容器の内部に消臭材が配置された消臭装置において、該消臭容器の体積が25000mm以内で、内部に配置された消臭材の体積が450mm以上あることを特徴とする消臭装置。
【請求項2】
前記消臭材として略波板状の消臭シートが用いられている請求項1に記載の消臭装置。
【請求項3】
前記消臭材が、金属フタロシアニン錯体とポリカルボン酸と、金属塩を含む消臭剤を付着させた活性炭混抄紙であることを特徴とする請求項1又は2に記載の消臭装置。
【請求項4】
前記消臭材が、消臭容器の内部に固定しない状態で配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の消臭装置。
【請求項5】
前記消臭材による消臭能力が、アンモニア、硫化水素、メチルメルカプタン、酢酸、アセトアルデヒドの各ガスに対し内容量2リットルの空間内に濃度10ppmに設定した時、60分後における各ガスの除去率が90%以上あることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の消臭装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−160853(P2011−160853A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−23839(P2010−23839)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(390014487)住江織物株式会社 (294)
【Fターム(参考)】