説明

消防活動支援装置および緊急車輌

【課題】緊急走行時に点灯させる警告灯を用いることで、放水量の増減操作状態を遠隔にいる隊員に的確に示すことができ、円滑な消火活動を支援することができる消防活動支援装置を提供する。
【解決手段】緊急走行時に点灯させる警告灯30と、水ポンプ14を駆動させるPTOと、水ポンプ14を制御及び監視するとともに警告灯30に点滅パターン信号を出力するポンプ制御器40と、ポンプ制御器40の稼動情報を表示する情報表示器27とを備えている。そして、ポンプ制御器40は、水ポンプ14の異常を判断したとき、情報表示器27に異常を報知させるとともに、警告灯30に異常を示す点滅パターン信号を出力することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば消防車輌に搭載される消防活動支援装置およびその消防活動支援装置を備えた消防車輌に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、緊急自動車に備え付けられる警告灯において、点滅変化パターンを多くすることで、例えば、点滅変化パターンをサイレン音に同期させ、又は点滅変化パターンによって車輌が停車中か走行中かを表示することを提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−123813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1によれば、周囲の歩行者や車輌に対して各種の情報を伝達することができ、安全性を高めることができる。
ところで、火災現場では騒音の中で消火活動が行われる。水ポンプの操作は車輌に備え付けられた操作装置で行われるが、ホースを持っている隊員は車輌から離れた場所で消火活動を行う。
従って、水ポンプの動作状態は、ホースを持っている隊員には把握することができず、また騒音によって伝達が困難である。
【0005】
そこで本発明は、緊急走行時に点灯させる警告灯を用いることで、円滑な消火活動を支援することができる消防活動支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の本発明の消防活動支援装置は、緊急走行時に点灯させる警告灯と、水ポンプを駆動させるPTOと、前記水ポンプを制御及び監視するとともに前記警告灯に点滅パターン信号を出力するポンプ制御器と、前記ポンプ制御器の稼動情報を表示する情報表示器とを備えた消防活動支援装置であって、前記ポンプ制御器は、前記水ポンプの異常を判断したとき、前記情報表示器に異常を報知させるとともに、前記警告灯に異常を示す前記点滅パターン信号を出力することを特徴とする。
請求項2記載の本発明は、請求項1に記載の消防活動支援装置において、少なくとも第1の吐水コックと第2の吐水コックとを有し、前記水ポンプから吐出される消火液を前記第1の吐水コックに導く第1の吐水配管と、前記水ポンプから吐出される前記消火液を前記第2の吐水コックに導く第2の吐水配管とを有し、前記第1の吐水配管には第1の流量センサを、前記第2の吐水配管には第2の流量センサをそれぞれ設け、前記ポンプ制御器は、前記PTOの作動時に、前記第1の流量センサで検出される前記消火液の流量と前記第2の流量センサで検出される前記消火液の流量との総流量が所定量より多いか否かを判断し、前記総流量が前記所定量より多いと判断した場合には放水中パターン信号を出力し、前記総流量が前記所定量以下であると判断した場合には放水待機中パターン信号を出力することを特徴とする。
請求項3記載の本発明は、請求項2に記載の消防活動支援装置において、前記第1の吐水配管には第3の吐水コックを、前記第2の吐水配管には第4の吐水コックをそれぞれ設け、前記第1の流量センサを前記第3の吐水コックよりも上流側に、前記第2の流量センサを前記第4の吐水コックよりも上流側にそれぞれ配置したことを特徴とする。
請求項4記載の本発明は、請求項1に記載の消防活動支援装置において、前記PTOの駆動源であるエンジンの回転数変更を指示するエンジン回転数変更指示手段を備え、前記ポンプ制御器が、前記PTOの作動時に、前記エンジン回転数変更指示手段からの指示内容に対応した前記点滅パターン信号を出力することを特徴とする。
請求項5記載の本発明は、請求項4記載の消防活動支援装置において、前記指示内容が前記エンジンの回転数上昇指示であり、前記点滅パターン信号を前記エンジンの回転数上昇を示す点滅パターンとしたことを特徴とする。
請求項6記載の本発明は、請求項4記載の消防活動支援装置において、前記指示内容が前記エンジンの回転数下降指示であり、前記点滅パターン信号を前記エンジンの回転数下降を示す点滅パターンとしたことを特徴とする。
請求項7記載の本発明は、請求項1請求項6のいずれかに記載の消防活動支援装置において、前記水ポンプの異常を報知するブザーを備えたことを特徴とする。
請求項8記載の本発明は、請求項1から請求項7のいずれかに記載の消防活動支援装置において、前記警告灯の輝度を変更する警告灯減光指示手段を備えたことを特徴とする。
請求項9記載の本発明は、請求項1から請求項8のいずれかに記載の消防活動支援装置を搭載した消防車輌であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、騒音によって伝達が困難な火災現場において、放水量の増減操作状態を遠隔にいる隊員に的確に示すことができるため、円滑な消火活動を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施例による消防活動支援装置を搭載した消防車輌の側面図
【図2】同消防車輌に設けられるポンプ操作装置の要部平面図
【図3】同消防車輌に設けられるポンプ装置の要部写真
【図4】同ポンプ装置を示す構成図
【図5】本実施例による消防活動支援装置を機能実現手段で現したブロック図
【図6】本実施例による消防活動支援装置での処理流れを示すフローチャート
【図7】本発明の他の実施例による消防活動支援装置での処理流れを示すフローチャート
【図8】本実施例によるCAF点滅パターンを示す図
【図9】本実施例によるPUM点滅パターンを示す図
【図10】本実施例によるTRO点滅パターンを示す図
【図11】本実施例によるUP点滅パターンを示す図
【図12】本実施例によるDOW点滅パターンを示す図
【図13】放水中パターン信号の点滅パターン、及び放水待機中パターン信号の点滅パターンを示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の第1の実施の形態による消防活動支援装置は、ポンプ制御器は、水ポンプの異常を判断したとき、情報表示器に異常を報知させるとともに、警告灯に異常を示す点滅パターン信号を出力するものである。本実施の形態によれば、水ポンプの異常を迅速的確に隊員に示すことができるため、円滑な消火活動を支援することができる。
【0010】
本発明の第2の実施の形態は、第1の実施の形態による消防活動支援装置において、少なくとも第1の吐水コックと第2の吐水コックとを有し、水ポンプから吐出される消火液を第1の吐水コックに導く第1の吐水配管と、水ポンプから吐出される消火液を第2の吐水コックに導く第2の吐水配管とを有し、第1の吐水配管には第1の流量センサを、第2の吐水配管には第2の流量センサをそれぞれ設け、ポンプ制御器は、PTOの作動時に、第1の流量センサで検出される消火液の流量と第2の流量センサで検出される消火液の流量との総流量が所定量より多いか否かを判断し、総流量が所定量より多いと判断した場合には放水中パターン信号を出力し、総流量が所定量以下であると判断した場合には放水待機中パターン信号を出力するものである。本実施の形態によれば、2つの吐水コックを有している場合に、放水中か放水待機中であるかを確実に表示でき、円滑な消火活動を支援することができる。
【0011】
本発明の第3の実施の形態は、第2の実施の形態による消防活動支援装置において、第1の吐水配管には第3の吐水コックを、第2の吐水配管には第4の吐水コックをそれぞれ設け、第1の流量センサを第3の吐水コックよりも上流側に、第2の流量センサを第4の吐水コックよりも上流側にそれぞれ配置したものである。本実施の形態によれば、2つ以上の吐水コックを有している場合にも、2つの流量センサによって放水中か放水待機中であるかを確実に表示でき、円滑な消火活動を支援することができる。
【0012】
本発明の第4の実施の形態は、第1の実施の形態による消防活動支援装置において、PTOの駆動源であるエンジンの回転数変更を指示するエンジン回転数変更指示手段を備え、ポンプ制御器が、PTOの作動時に、エンジン回転数変更指示手段からの指示内容に対応した点滅パターン信号を出力するものである。本実施の形態によれば、騒音によって伝達が困難な火災現場において、放水量の増減操作状態を遠隔にいる隊員に的確に示すことができるため、円滑な消火活動を支援することができる。
【0013】
本発明の第5の実施の形態は、第4の実施の形態による消防活動支援装置において、指示内容がエンジンの回転数上昇指示であり、点滅パターン信号をエンジンの回転数上昇を示す点滅パターンとしたものである。本実施の形態によれば、例えば、放水開始に伴うホースへの加圧や放水量の増大に伴うホースへの加圧を隊員に示すことができるため、円滑な消火活動を支援することができる。
【0014】
本発明の第6の実施の形態は、第4の実施の形態による消防活動支援装置において、指示内容がエンジンの回転数下降指示であり、点滅パターン信号をエンジンの回転数下降を示す点滅パターンとしたものである。本実施の形態によれば、例えば、操作による放水量の減少を隊員に示すことができるため、異常発生による放水量の減少との区別を隊員が判断でき、円滑な消火活動を支援することができる。
【0015】
本発明の第7の実施の形態は、第1から第6の実施の形態による消防活動支援装置において、水ポンプの異常を報知する警報ブザーを備えたものである。本実施の形態によれば、情報表示器での報知、及び警告灯での表示に加えて音による報知を行うことで、水ポンプの異常を迅速に把握できる。
【0016】
本発明の第8の実施の形態は、第1から第7の実施の形態による消防活動支援装置において、警告灯の輝度を変更する警告灯減光指示手段を備えたものである。本実施の形態によれば、特に夜間における消火活動に対して、輝度が高すぎることによる視認性低下を防止でき、円滑な消火活動を支援することができる。
【0017】
本発明の第9の実施の形態は、第1から第8の実施の形態による消防活動支援装置を搭載した消防車輌である。本実施の形態によれば、円滑な消火活動を支援する消防車輌を提供することができる。
【実施例】
【0018】
以下本発明の一実施例による消防活動支援装置を搭載した消防車輌について説明する。
図1は本実施例による消防活動支援装置を搭載した消防車輌の側面図、図2は同消防車輌に設けられるポンプ操作装置の要部平面図、図3は同消防車輌に設けられるポンプ装置の要部写真、図4は同ポンプ装置を示す構成図である。
図1に示すように、本実施例による消防車輌は、車輌フレーム10上に、乗車キャビン11とポンプ装置12とを搭載している。また同消防車輌は、車輌走行用のエンジンの動力を取り出すPTO(Power take−off)(図示せず)を備えている。
【0019】
ポンプ装置12は、このPTOによって駆動される水ポンプ14と、この水ポンプ14を操作するポンプ操作装置20を有する。
また、ポンプ装置12の上部には、緊急走行時に点灯させる警告灯30を備えている。警告灯30は、複数の発光源31、32、33、34から構成され、それぞれの発光源31、32、33、34は、それぞれが独立して点滅することができる。
図1では、ポンプ装置12の一方の側部に4つの発光源31、32、33、34を示しているが、ポンプ装置12の他方の側部にも同様に発光源31、32、33、34を備えている。
なお、警告灯30は、乗車キャビン11の上部に設けてもよく、乗車キャビン11の前方位置やポンプ装置12の後方位置に配置してもよい。
【0020】
図2に示すように、ポンプ操作装置20は、動作指示を行う手段として、PTO作動指示手段21、モード切替指示手段22、エンジン回転数変更指示手段23、警告灯減光指示手段24、真空ポンプ作動指示手段25、及び真空ポンプ停止指示手段26を備えている。
【0021】
PTO作動指示手段21は、PTOの入り切り指示を行うスイッチである。モード切替指示手段22は、水放射モードと圧縮空気泡消火システム(CAFS)による泡放射モードの切替指示を行うスイッチである。エンジン回転数変更指示手段23は、エンジンの回転数を上昇指示又は下降指示を行うダイヤルである。警告灯減光指示手段24は、警告灯30の輝度を変更するスイッチである。真空ポンプ作動指示手段25は、真空ポンプの作動指示を行うスイッチである。真空ポンプ作動指示手段25で動作指示を行うと真空ポンプのクラッチが入り、自動スロットルが作動する。真空ポンプ停止指示手段26は、真空ポンプの停止指示を行うスイッチである。真空ポンプ作動中に、真空ポンプ停止指示手段26で停止指示を行うと真空ポンプのクラッチが切れ、自動スロットルの作動が解除されてエンジンの回転数はアイドリング状態まで低下する。
【0022】
ポンプ操作装置20は、動作監視を行う手段として、情報表示器27、圧力計28a、及び連成計28bを備えている。
情報表示器27は、コックの開閉状態や警報を表示させるモニタである。圧力計28aは吐水パイプの圧力を表示する計器である。連成計28bは吸水パイプの真空度と圧力を表示する計器である。
【0023】
図3及び図4に示すように、ポンプ装置12は、水ポンプ14から吐出される消火液を第1の吐水コック15Aに導く第1の吐水配管16Aと、水ポンプ14から吐出される消火液を第2の吐水コック15Bに導く第2の吐水配管16Bとを有している。第1の吐水配管16Aには第3の吐水コック15Cを、第2の吐水配管16Bには第4の吐水コック15Dをそれぞれ設けている。
【0024】
第1の吐水配管16Aには第1の流量センサ17Aを、第2の吐水配管16Bには第2の流量センサ17Bをそれぞれ設けている。第1の流量センサ17Aは第3の吐水コック15Cよりも上流側に、第2の流量センサ17Bは第4の吐水コック15Dよりも上流側にそれぞれ配置している。
第1の流量センサ17A及び第2の流量センサ17Bには、例えば電磁流量計や水車型センサを用いる。
第1の流量センサ17Aは第1の吐水配管16Aを流れる消火液の液量を計測又は検知し、第2の流量センサ17Bは第2の吐水配管16Bを流れる消火液の液量を計測又は検知する。
【0025】
また、ポンプ装置12は、水ポンプ14に消火液を供給する吸水コック18A、18Bと中継コック19A、19Bとを設けている。
第1の吐水コック15A、第3の吐水コック15C、吸水コック18A、及び中継コック19Aは、車輌の一方の側面に設け、第2の吐水コック15B、第4の吐水コック15D、吸水コック18B、及び中継コック19Bは、車輌の他方の側面に設けている。
【0026】
第1の吐水コック15A、第2の吐水コック15B、第3の吐水コック15C、第4の吐水コック15D、吸水コック18A、18B、及び中継コック19A、19Bには、コック開状態検出手段70を設けている。
コック開状態検出手段70は、第1の吐水コック15A、第2の吐水コック15B、第3の吐水コック15C、第4の吐水コック15D、吸水コック18A、18B、又は中継コック19A、19Bが開状態であることを検知する。コック開状態検出手段70には、近接スイッチやマイクロスイッチを用いる。
【0027】
図5は本実施例による消防活動支援装置を機能実現手段で現したブロック図である。
ポンプ制御器40は、ポンプ操作装置20からの動作指示によって動作し、ポンプ操作装置20、警告灯30、エンジン回転数制御装置51に対して信号を出力する。
また、ポンプ制御器40には、PTO信号61、揚水検知信号62、及びタンク残量検知信号63が入力される。
ポンプ制御器40は、PTOモード出力部41、パターンモード決定部42、PTO作動判断部43、減光モード判断部44、CAFS切替判断部45、エンジン回転数変更判断部46、及び異常発生判断部47を有している。
【0028】
PTOモード出力部41は、警告灯30に点滅パターン信号を出力する。パターンモード決定部42は、PTO作動判断部43、減光モード判断部44、CAFS切替判断部45、エンジン回転数変更判断部46、及び異常発生判断部47での判断結果によってPTOモード出力部41からの点滅パターン信号を決定する。PTO作動判断部43は、PTO作動指示手段21の指示によってPTOの入り切りを判断する。減光モード判断部44は、警告灯減光指示手段24の指示によって警告灯30の輝度変更を判断する。CAFS切替判断部45は、モード切替指示手段22の指示によって水放射モードとCAFSによる泡放射モードとを判断する。エンジン回転数変更判断部46は、エンジン回転数変更指示手段23の指示によってエンジンの回転数の上昇又は下降を判断する。異常発生判断部47は、揚水検知信号62又はタンク残量検知信号63からの信号によって異常発生を判断する。
【0029】
警告灯30は、PTOモード出力部41からの出力が無い場合には、緊急走行時点灯制御手段52によって点灯が制御されている。なお、警告灯減光指示手段24の指示による警告灯30の輝度変更は、緊急走行時点灯制御手段52による点灯制御時に行ってもよい。
ポンプ操作装置20は、警報ブザー29を備えている。異常発生判断部47によって異常発生を判断すると、情報表示部27で異常内容を表示するとともに警報ブザー29で報知する。警報ブザー29は、警告音を発する場合の他、異常内容をメッセージによって報知することが好ましい。
【0030】
図6は本実施例による消防活動支援装置での処理流れを示すフローチャートである。
警告灯30は、緊急走行時には緊急走行時点灯制御手段52によって点灯が行われている(ステップ1)。
ステップ2において、PTO作動指示手段21の指示が行われ、PTO作動判断部43によってPTOが作動されたことを判断すると、減光の指示の有無が判断される(ステップ3)。
ステップ3において、警告灯減光指示手段24によって輝度変更が指示されたと減光モード判断部44が判断すると、減光モード信号をパターンモード決定部42に出力する(ステップ4)。
ステップ3において、警告灯減光指示手段24による輝度変更が指示されていないと減光モード判断部44が判断すると、通常モードとしてステップ5におけるCAFS切替判断を行う。
なお、ステップ4における減光モード信号を出力した後にもステップ5におけるCAFS切替判断を行う。
【0031】
ステップ5において、モード切替指示手段22によるCAFS切替が指示されたとCAFS切替判断部45が判断すると、パターンモード決定部42においてCAF点滅パターン信号が決定され、PTOモード出力部41からCAF点滅パターン信号が出力される(ステップ6)。CAF点滅パターン信号は、泡放射モードであることを表示する点滅パターン信号である。
ステップ4において減光モード信号が出力されている場合には、警告灯30では、減光されたCAF点滅パターンで点滅が行われる。
【0032】
ステップ5において、モード切替指示手段22によるCAFS切替が指示されていないとCAFS切替判断部45が判断すると、パターンモード決定部42においてPUM点滅パターン信号が決定され、PTOモード出力部41からPUM点滅パターン信号が出力される(ステップ7)。PUM点滅パターン信号は、水放射モードであることを表示する点滅パターン信号である。
ステップ4において減光モード信号が出力されている場合には、警告灯30では、減光されたPUM点滅パターンで点滅が行われる。
【0033】
ステップ8では、異常発生の有無が判断される。ステップ8において、揚水検知信号62又はタンク残量検知信号63からの信号によって異常が発生していると異常発生判断部47が判断すると、パターンモード決定部42においてTRO点滅パターン信号が決定され、PTOモード出力部41からTRO点滅パターン信号が出力される(ステップ9)。TRO点滅パターン信号は、異常が発生していることを表示する点滅パターン信号である。
ステップ4において減光モード信号が出力されている場合には、警告灯30では、減光されたTRO点滅パターンで点滅が行われる。
ステップ9においてTRO点滅パターン信号を出力した後は、ステップ8に戻り、異常発生の有無が判断される。
【0034】
ステップ8において、異常の発生が無いと判断すると、エンジン回転数の変更指示の有無が判断される(ステップ10)。
ステップ10において、エンジン回転数変更指示手段23の指示によるエンジンの回転数の上昇及び下降が行われていないことをエンジン回転数変更判断部46が判断すると、ステップ2に戻り、PTOの指示動作が継続していれば、CAF点滅パターン信号が出力され(ステップ6)、又はPUM点滅パターン信号が出力される(ステップ7)。
【0035】
ステップ10において、エンジンの回転数の上昇又は下降が行われていることを判断すると、ステップ11において、エンジンの回転数が上昇しているのか下降しているのかがエンジン回転数変更判断部46で判断される。
ステップ11において、エンジンの回転数が上昇していると判断されると、パターンモード決定部42においてUP点滅パターン信号が決定され、PTOモード出力部41からUP点滅パターン信号が出力される(ステップ12)。UP点滅パターン信号は、エンジンの回転数が上昇していることを表示する点滅パターン信号である。エンジンの回転数上昇によって放水量は増加する。
ステップ4において減光モード信号が出力されている場合には、警告灯30では、減光されたUP点滅パターンで点滅が行われる。
【0036】
ステップ11において、エンジンの回転数が下降していると判断されると、パターンモード決定部42においてDOW点滅パターン信号が決定され、PTOモード出力部41からDOW点滅パターン信号が出力される(ステップ13)。DOW点滅パターン信号は、エンジンの回転数が下降していることを表示する点滅パターン信号である。エンジンの回転数下降によって放水量は減少する。
ステップ4において減光モード信号が出力されている場合には、警告灯30では、減光されたDOW点滅パターンで点滅が行われる。
【0037】
ステップ12においてUP点滅パターン信号を出力し、又はステップ13においてDOW点滅パターン信号を出力した後は、ステップ8に戻り、異常発生の有無が判断される。
ステップ2において、PTO作動指示手段21の指示が行われ、PTO作動判断部43によってPTOの作動停止を判断すると、ステップ1に戻り、警告灯30は、緊急走行時点灯制御手段52による点灯が行われる。
【0038】
図7は他の実施例による消防活動支援装置での処理流れを示すフローチャートである。
警告灯30は、緊急走行時には緊急走行時点灯制御手段52によって点灯が行われている(ステップ1)。
ステップ2において、PTO作動指示手段21の指示が行われ、PTO作動判断部43によってPTOが作動されたことを判断すると、減光の指示の有無が判断される(ステップ3)。
ステップ3において、警告灯減光指示手段24によって輝度変更が指示されたと減光モード判断部44が判断すると、減光モード信号をパターンモード決定部42に出力する(ステップ4)。
ステップ3において、警告灯減光指示手段24による輝度変更が指示されていないと減光モード判断部44が判断すると、通常モードとしてステップ21における総流量が所定量より多いか否かの判断を行う。
【0039】
なお、ステップ4における減光モード信号を出力した後にもステップ21における総流量が所定量より多いか否かの判断を行う。ステップ21における判断はポンプ制御器40において行う。従って本実施例では、図5に示すエンジン回転数変更判断部46の代わりに総流量判断部を備える。
ここで総流量とは、第1の流量センサ17Aで検出される消火液の流量と第2の流量センサ17Bで検出される消火液の流量との合計流量である。所定量は、例えば50L/
minとし、放水に最低限必要な流量をあらかじめ設定する。
【0040】
ステップ21において、総流量が所定量より多いと判断した場合には放水中パターン信号を出力し(ステップ22)、総流量が所定量以下であると判断した場合には放水待機中パターン信号を出力する(ステップ23)。
なお、ステップ21における判断は、第1の吐水コック15A、第2の吐水コック15B、第3の吐水コック15C、及び第4の吐水コック15Dのいずれかが開状態であることをコック開状態検出手段70が検知した場合に行い、第1の吐水コック15A、第2の吐水コック15B、第3の吐水コック15C、及び第4の吐水コック15Dの全てが閉である場合には行わずに待機状態とするか、ステップ23における放水待機中パターン信号を出力してもよい。このようにコック開状態検出手段70での検知状態によって、ステップ21における判断を行わないか、放水待機中パターン信号を出力することで、冷却水などの放水以外で使用されている流量検知や流量の誤検知を防止することができる。
【0041】
ステップ5において、モード切替指示手段22によるCAFS切替が指示されたとCAFS切替判断部45が判断すると、パターンモード決定部42においてCAF点滅パターン信号が決定され、PTOモード出力部41からCAF点滅パターン信号が出力される(ステップ6)。CAF点滅パターン信号は、泡放射モードであることを表示する点滅パターン信号である。
ステップ4において減光モード信号が出力されている場合には、警告灯30では、減光されたCAF点滅パターンで点滅が行われる。
【0042】
ステップ5において、モード切替指示手段22によるCAFS切替が指示されていないとCAFS切替判断部45が判断すると、パターンモード決定部42においてPUM点滅パターン信号が決定され、PTOモード出力部41からPUM点滅パターン信号が出力される(ステップ7)。PUM点滅パターン信号は、水放射モードであることを表示する点滅パターン信号である。
ステップ4において減光モード信号が出力されている場合には、警告灯30では、減光されたPUM点滅パターンで点滅が行われる。
【0043】
ステップ8では、異常発生の有無が判断される。ステップ8において、揚水検知信号62又はタンク残量検知信号63からの信号によって異常が発生していると異常発生判断部47が判断すると、パターンモード決定部42においてTRO点滅パターン信号が決定され、PTOモード出力部41からTRO点滅パターン信号が出力される(ステップ9)。TRO点滅パターン信号は、異常が発生していることを表示する点滅パターン信号である。
ステップ4において減光モード信号が出力されている場合には、警告灯30では、減光されたTRO点滅パターンで点滅が行われる。
ステップ9においてTRO点滅パターン信号を出力した後は、ステップ8に戻り、異常発生の有無が判断される。
ステップ8において、異常の発生が無いと判断すると、PTOの作動指示の有無が判断される(ステップ2)。
【0044】
図8から図13は本実施例による点滅パターンを示す図である。
図8は、ステップ6で出力されるCAF点滅パターン信号による警告灯30での点滅パターンを示している。
図8における点滅パターンでは、全ての発光源31、32、33、34を3回点滅させた後に、所定時間を空けて再び全ての発光源31、32、33、34を3回点滅させることを繰り返すことを示している。
【0045】
図9は、ステップ7で出力されるPUM点滅パターン信号による警告灯30での点滅パターンを示している。
図9における点滅パターンでは、全ての発光源31、32、33、34を1回点滅させた後に、一部の発光源33、34を2回点滅させ、所定時間を空けて再びこの点滅パターンを繰り返すことを示している。
【0046】
図10は、ステップ9で出力されるTRO点滅パターン信号による警告灯30での点滅パターンを示している。
図10における点滅パターンでは、一つの発光源31を3回点滅させ、所定時間開けて再び発光源31を3回点滅させた後は、他の発光源33を3回点滅させ、所定時間開けて再び発光源31を3回点滅させる。発光源33の次には、未だ点滅させていない発光源32について同様の点滅を行う。発光源32の次には、発光源34を同様に点滅させ、その後も同様にこのパターンを繰り返すことを示している。
図11は、ステップ12で出力されるUP点滅パターン信号による警告灯30での点滅パターンを示している。
【0047】
図11における点滅パターンでは、1つの発光源34は常に同じパターンで点滅させ、時間の経過とともに2つの発光源33、34、3つの発光源32、33、34、4つの発光源31、32、33,34のように、発光源数を段階的に増加させることを示している。
【0048】
図12は、ステップ13で出力されるDOW点滅パターン信号による警告灯30での点滅パターンを示している。
図12における点滅パターンでは、1つの発光源34は常に同じパターンで点滅させ、時間の経過とともに4つの発光源31、32、33、34、3つの発光源32、33、34、2つの発光源33,34のように、発光源数を段階的に減少させることを示している。
【0049】
図13は、ステップ22で出力される放水中パターン信号による警告灯30での点滅パターン、及びステップ23で出力される放水待機中パターン信号による警告灯30での点滅パターンを示している。
図13における点滅パターンでは、4つの発光源31、32、33、34を順次点灯させるが、放水中パターン信号による警告灯30での点滅は一方向順次点灯パターン、放水待機中パターン信号による警告灯30での点滅は双方向順次点灯パターンであることを示している。
【0050】
本実施例におけるポンプ制御器40は、水ポンプ14の異常を判断したとき、情報表示器27に異常を報知させるとともに、警告灯30に異常を示すTRO点滅パターン信号を出力する。従って、水ポンプ14の異常を迅速的確に隊員に示すことができる。
【0051】
また本実施例は、少なくとも第1の吐水コック15Aと第2の吐水コック15Bとを有し、水ポンプ14から吐出される消火液を第1の吐水コック15Aに導く第1の吐水配管16Aと、水ポンプ14から吐出される消火液を第2の吐水コック15Bに導く第2の吐水配管16Bとを有し、第1の吐水配管16Aには第1の流量センサ17Aを、第2の吐水配管16Bには第2の流量センサ17Bをそれぞれ設け、ポンプ制御器40は、PTOの作動時に、第1の流量センサ17Aで検出される消火液の流量と第2の流量センサ17Bで検出される消火液の流量との総流量が所定量より多いか否かを判断し、総流量が所定量より多いと判断した場合には放水中パターン信号を出力し、総流量が所定量以下であると判断した場合には放水待機中パターン信号を出力する。従って、2つの吐水コック15A、15Bを有している場合に、放水中か放水待機中であるかを確実に表示でき、円滑な消火活動を支援することができる。
【0052】
また本実施例は、第1の吐水配管16Aには第3の吐水コック15Cを、第2の吐水配管16Bには第4の吐水コック15Dをそれぞれ設け、第1の流量センサ17Aを第3の吐水コック15Cよりも上流側に、第2の流量センサ17Bを第4の吐水コック15Dよりも上流側にそれぞれ配置している。従って、2つ以上の吐水コック15A、15B、15C、15Dを有している場合にも、2つの流量センサ17A、17Bによって放水中か放水待機中であるかを確実に表示でき、円滑な消火活動を支援することができる。
【0053】
本実施例は、ポンプ制御器40が、PTOの作動時に、エンジン回転数変更指示手段23からの指示内容に対応した点滅パターン信号を出力する。従って、騒音によって伝達が困難な火災現場において、放水量の増減操作状態を遠隔にいる隊員に的確に示すことができる。
【0054】
また本実施例は、エンジンの回転数上昇指示を、UP点滅パターン信号として点滅させることで、放水開始に伴うホースへの加圧や放水量の増大に伴うホースへの加圧を隊員に示すことができる。
【0055】
また本実施例は、エンジンの回転数下降指示を、DOW点滅パターン信号として点滅させることで、操作による放水量の減少を隊員に示すことができるため、異常発生による放水量の減少との区別を隊員が判断できる。
【0056】
また本実施例は、水ポンプ14の異常を報知する警報ブザー29を備えたことで、情報表示器27での報知、及び警告灯30での表示に加えて音による報知を行え、水ポンプ14の異常を迅速に把握できる。
【0057】
また本実施例は、警告灯30の輝度を変更する警告灯減光指示手段24を備えたことで、特に夜間における消火活動に対して、輝度が高すぎることによる視認性低下を防止でき、円滑な消火活動を支援することができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明の消防活動支援装置は、水ポンプを駆動させるPTOを備えた消防車輌に用いられる。
【符号の説明】
【0059】
12 ポンプ装置
20 ポンプ操作装置
21 PTO作動指示手段
22 モード切替指示手段
23 エンジン回転数変更指示手段
24 警告灯減光指示手段
27 情報表示器
29 警報ブザー
30 警告灯
40 ポンプ制御器
62 揚水検知信号
63 タンク残量検知信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
緊急走行時に点灯させる警告灯と、水ポンプを駆動させるPTOと、前記水ポンプを制御及び監視するとともに前記警告灯に点滅パターン信号を出力するポンプ制御器と、前記ポンプ制御器の稼動情報を表示する情報表示器とを備えた消防活動支援装置であって、
前記ポンプ制御器は、前記水ポンプの異常を判断したとき、前記情報表示器に異常を報知させるとともに、前記警告灯に異常を示す前記点滅パターン信号を出力することを特徴とする消防活動支援装置。
【請求項2】
少なくとも第1の吐水コックと第2の吐水コックとを有し、
前記水ポンプから吐出される消火液を前記第1の吐水コックに導く第1の吐水配管と、
前記水ポンプから吐出される前記消火液を前記第2の吐水コックに導く第2の吐水配管とを有し、
前記第1の吐水配管には第1の流量センサを、前記第2の吐水配管には第2の流量センサをそれぞれ設け、
前記ポンプ制御器は、前記PTOの作動時に、前記第1の流量センサで検出される前記消火液の流量と前記第2の流量センサで検出される前記消火液の流量との総流量が所定量より多いか否かを判断し、前記総流量が前記所定量より多いと判断した場合には放水中パターン信号を出力し、前記総流量が前記所定量以下であると判断した場合には放水待機中パターン信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の消防活動支援装置。
【請求項3】
前記第1の吐水配管には第3の吐水コックを、前記第2の吐水配管には第4の吐水コックをそれぞれ設け、
前記第1の流量センサを前記第3の吐水コックよりも上流側に、前記第2の流量センサを前記第4の吐水コックよりも上流側にそれぞれ配置したことを特徴とする請求項2に記載の消防活動支援装置。
【請求項4】
前記PTOの駆動源であるエンジンの回転数変更を指示するエンジン回転数変更指示手段を備え、
前記ポンプ制御器が、前記PTOの作動時に、前記エンジン回転数変更指示手段からの指示内容に対応した前記点滅パターン信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の消防活動支援装置。
【請求項5】
前記エンジンの回転数上昇指示であり、前記点滅パターン信号を前記エンジンの回転数上昇を示す点滅パターンとしたことを特徴とする請求項4記載の消防活動支援装置。
【請求項6】
前記指示内容が前記エンジンの回転数下降指示であり、前記点滅パターン信号を前記エンジンの回転数下降を示す点滅パターンとしたことを特徴とする請求項4記載の消防活動支援装置。
【請求項7】
前記水ポンプの異常を報知するブザーを備えたことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の消防活動支援装置。
【請求項8】
前記警告灯の輝度を変更する警告灯減光指示手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の消防活動支援装置。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の消防活動支援装置を搭載した消防車輌。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−66700(P2013−66700A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−167070(P2012−167070)
【出願日】平成24年7月27日(2012.7.27)
【出願人】(000192073)株式会社モリタホールディングス (80)
【出願人】(312001937)株式会社パトライト (15)
【Fターム(参考)】