説明

消音装置

【課題】 通気孔にダスト、水、カーボン等の異物が付着又は堆積するのを抑制することにより、初期の消音性能を長期的に維持する。
【解決手段】 通気管20に設けられ、該通気管20の内外面21、22を貫通する複数の通気孔3を有する消音部2を備えた消音装置1であって、前記消音部2の各通気孔3の内面4の一部に、通気管20の内側に突出又は延出する延長部11を一体に設ける。各通気孔3の延長部により、通気管20の消音部2を通過する空気の流れに、空気の流れの一部を通気孔3内に巻き込む乱流が生じるのを防止でき、空気中に含まれるダスト、水、カーボン等の異物が通気孔3の内面に付着又は堆積するのを抑制でき、初期の消音性能を維持することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消音装置に関し、特に、内燃機関の吸気管などの通気管に発生する吸気音を低減させるのに有効な消音装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関の吸気系に発生する吸気音を低減させる消音装置には種々のタイプものがあり、例えば、吸気ダクトの途中に、吸気ダクトの内外面を貫通する各種の形状(円形、四角形、長方形状等)の通気孔を複数設け、この通気孔の外側に間隔をおいてケーシングを設け、ケーシングの内部に吸音材を充填し、通気孔の開口を吸音材で閉塞した消音装置が提案されている(特許文献1、2参照)。
【0003】
このような構成の消音装置にあっては、内燃機関の吸気系に発生する吸気音と各通気孔内に形成される気柱とを共鳴(共振)させるとともに、その共鳴音を各通気孔の外側に設けた吸音材によって吸収することにより、特定の周波数域の吸気音を低減させることができる。
【0004】
また、消音可能な吸気音の周波数域は、吸気ダクトの通気孔の開口面積等に依存するので、対象の内燃機関の特性に応じて、吸気ダクトに設ける通気孔の開口面積の大きさを設定することにより、対象の内燃機関の吸気系に発生する特定の周波数域の吸気音を効率良く消音させることができる。この場合、吸音材は、広い周波数範囲にて消音効果を有するので、吸音材による吸気音の消音効果も広い周波数範囲で得ることができる。
【0005】
さらに、内燃機関が自家用自動車等の車両の場合には、走行距離や使用環境等に関わらず、常に一定の消音性能が得られることが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭53−148617号公報
【特許文献2】特開平9−256834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記のような構成の消音装置にあっては、図18〜図20に示す消音装置31のように、吸気ダクト20の消音部32を通過する吸入空気の流れに、吸入空気の一部を通気孔33内に巻き込む乱流が生じ、吸入空気中に含まれるダスト、水、カーボン等の浮遊物(異物34)の一部が通気孔33内に浸入することがあり、これらの異物34が通気孔33の内面に付着又は堆積して通気孔33が目詰まりを起こし、初期の消音性能を維持することが困難になる。
【0008】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、通気管を通過する空気中に含まれるダスト、水、カーボン等の浮遊物(異物)によって通気孔が目詰まりを起こすのを抑制することができる消音装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記のような課題を解決するために、本発明は、以下のような手段を採用している。
すなわち、本発明は、通気管に設けられ、該通気管の内外面を貫通する複数の通気孔を有する消音部を備えた消音装置であって、前記消音部の各通気孔の内面の一部に、当該通気孔の内側に向けて突出又は延出する延長部を一体に設けたことを特徴とする。
【0010】
本発明の消音装置によれば、各通気孔の内面の一部に設けた延長部により、通気管の消音部を通過する空気の流れの一部に、一部の空気を通気孔内に巻き込む乱流が生じるのを防止できる。これにより、空気中に含まれるダスト(砂塵、塵等)、水、カーボン等の浮遊物(異物)が通気孔内に浸入し難くなるので、通気孔の内面にダスト、水、カーボン等の異物が付着又は堆積することによる各通気孔の目詰まりを抑制できる。
【0011】
また、本発明において、前記各通気孔の内面のうち、前記通気管の内面側の開口縁部に前記延長部を一体に設けたこととしてもよい。
【0012】
本発明の消音装置によれば、各通気孔の内面のうち、通気管の内面側の開口縁部に延長部が設けられているので、消音部を通過する空気の流れに、一部の空気を通気孔内に巻き込む乱流が生じるのを効果的に防止できる。
【0013】
さらに、本発明において、前記延長部は、前記通気管の内面に沿う面が、前記通気管を流通する空気の流れ方向の下流側に行くに従って順次前記通気管の管軸に近づく湾曲面又は傾斜面に形成されていることとしてもよい。
【0014】
本発明の消音装置によれば、各通気孔の延長部により、通気管の内面に沿う空気の流れを、通気管の管軸の方向に向けることができるので、各通気孔内に空気を巻き込むのを効果的に防止できる。
【0015】
さらに、本発明において、前記通気孔は、円形状、多角形状、又はスリット状に形成されていることとしてもよい。
【0016】
本発明の消音装置によれば、通気孔の形状に関わらず、通気孔の内面の一部に設けた延長部により、通気管の消音部を通過する空気の流れの一部に、空気の一部を通気孔内に巻き込む乱流が生じるのを防止でき、空気中に含まれるダスト(砂塵、塵等)、水、カーボン等の浮遊物(異物)が通気孔内に浸入するのを抑制できる。
【0017】
さらに、本発明において、前記通気管の前記消音部の外面側には、前記消音部の各通気孔の開口を塞ぐように吸音材が設けられていることとしてもよい。
【0018】
本発明の消音装置によれば、吸気系に生じる吸気音は、通気管の消音部の複数の通気孔に形成される気柱との共鳴(共振)により低減されるとともに、通気孔の外側の吸音材により更に低減されることになる。また、吸音材は、広い周波数範囲にて消音効果を有するので、吸音材による吸気音の低減効果も広い周波数範囲で得ることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上、説明したように、本発明の消音装置によれば、通気管の消音部を通過する空気の流れの一部に、空気の一部を通気孔内に巻き込む乱流が生じるのを防止できる。従って、空気中に含まれるダスト、水、カーボン等の浮遊物(異物)が通気孔内に浸入して、通気孔の内面に付着又は堆積することにより通気孔が目詰まりを起こすのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明による消音装置の第1の実施の形態を示した平面図であって、一次側吸気ダクトに設けた状態を示した平面図である。
【図2】図1の一次側吸気ダクトからケーシングを取り外した状態を示した平面図である。
【図3】図1のA−A線断面図である。
【図4】図3の消音部の部分拡大図である。
【図5】第1の実施の形態の消音装置の変形例を示した部分拡大図である。
【図6】第1の実施の形態の消音装置の変形例を示した部分拡大図である。
【図7】第1の実施の形態の消音装置の変形例を示した部分拡大図である。
【図8】本発明による消音装置の第2の実施の形態を示した部分拡大図である。
【図9】第2の実施の形態の消音装置の変形例を示した部分拡大図である。
【図10】第2の実施の形態の消音装置の変形例を示した部分拡大図である。
【図11】第2の実施の形態の消音装置の変形例を示した部分拡大図である。
【図12】本発明による消音装置の第3の実施の形態を示した部分拡大図である。
【図13】本発明による消音装置の設置箇所の変形例を示した説明図である。
【図14】本発明による消音装置及び従来の消音装置の性能試験装置を示した説明図である。
【図15】従来の消音装置の性能試験の結果を示した説明図である。
【図16】本発明の消音装置の性能試験の結果を示した説明図である。
【図17】本発明の消音装置の通気抵抗の試験結果を示した説明図である。
【図18】従来の消音装置の一例を示した断面図である。
【図19】図18の部分拡大図である。
【図20】図18の通気孔の状態を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
図1〜図4には、本発明による消音装置の第1の実施の形態が示されている。本実施の形態の消音装置1は、内燃機関の吸気系に発生する吸気音を低減させるのに有効なものであって、本実施の形態においては、吸気系のエアークリーナボックス24の上流側の一次側吸気ダクト20に消音装置1を設けている。
【0022】
図1〜図3に示すように、一次側吸気ダクト(以下、吸気ダクト20という。)は、例えば、合成樹脂製の円形断面又は角形断面(本実施の形態では円形断面)のパイプ状をなすものであって、長手方向の一端に空気の吸気口23が設けられ、他端がエアークリーナボックス24に接続され、吸気口23から吸い込んだ空気が吸気ダクト20を介してエアークリーナボックス24に供給され、エアークリーナボックス24から下流側の二次側吸気ダクト25に供給される。
【0023】
吸気ダクト20の長手方向の中間部には、図1〜図3に示すように、吸気系に発生する吸気音を低減させる消音部2が設けられている。消音部2は、吸気ダクト20の内外面21、22を貫通する複数の通気孔3と、吸気ダクト20の外面22側に複数の吸気孔3を覆うように一体に設けられるカップ状のケーシング16と、ケーシング16内に充填されて、複数の通気孔3の開口を閉塞するグラスウール等からなる吸音材17とから構成されている。
なお、吸音材17は、ケーシング15内に必ずしも設ける必要はなく、必要に応じて設ければよい。
【0024】
通気孔3は、図2に示すように、吸気ダクト20の周方向に延びるスリット状をなすものであって、吸気ダクト20の長手方向の中間部に所定の間隔ごとに複数箇所に設けられている。各通気孔3は、同一幅、長さのスリット状に形成され、各通気孔3内に、吸気系に発生する吸気音と共鳴(共振)させる気柱が形成される。
【0025】
図4に示すように、各通気孔3の内面4のうち、吸気ダクト20内を流通する吸入空気(以下、空気という。)の流れ方向の下流側の面5は、吸気ダクト20の管軸に直交する面に形成されている。また、空気の流れ方向の上流側の面8は、吸気ダクト20の外面22から内面21方向の所定の位置までの間が吸気ダクト20の管軸に直交する第1面9に形成され、それよりも内側の第2面10に空気の流れ方向の下流側に向けて突出又は延出する延長部であるフィン11が通気孔3の全長に亘って一体に設けられている。
【0026】
フィン11は、図4に示すように、断面略三角形状をなすものであって、上面12(吸気ダクト20の外面22側の面)が空気の流れ方向の下流側に行くに従って順次吸気ダクト20の内面21に近づくに傾斜面に形成され、下面13(吸気ダクト20の内面21に沿う面)が空気の流れ方向の下流側に行くに従って順次吸気ダクト20の管軸に近づく湾曲面に形成されている。
なお、図5に示すように、フィン11の下面13(吸気ダクト20の内面21に沿う面)は、空気の流れ方向の下流側に行くに従って順次吸気ダクト20の管軸に近づく傾斜面に形成してもよい。
また、図6、図7に示すように、通気孔3の内面4(空気の流れ方向の下流側の面5及び上流側の面8)が、吸気ダクト20の管軸に対して所定の角度で傾斜する傾斜面の場合にも、本実施の形態を適用することができる。
【0027】
なお、フィン11は、吸気系に発生する吸気音と通気孔に形成される気柱との共鳴(共振)を阻害することがないように、各通気孔3の内面側開口への設置位置、形状等が設計されている。
【0028】
上記のように構成した本実施の形態の消音装置1にあっては、吸気口23から吸気ダクト20内に吸い込まれた空気が消音部2を通過する際に、消音部2の各通気孔3内に形成された気柱と共鳴(共振)することにより、吸気系に発生する所定の周波数域の吸気音を低減させることができる。また、ケーシング16内に充填した吸音材17により、通気孔3内に形成された気柱との共鳴(共振)によって低減させた吸気音を更に低減させることができ、所望の消音効果が得られる。
【0029】
この場合、吸気ダクト20の消音部2を通過する空気は、消音部2の各通気孔3のフィン11の下面13により、図4中に矢印で示すように、吸気ダクト20の管軸方向に向って流れることになるので、消音部2を通過する空気の流れの一部(吸気ダクト20の内面21に沿う流れ)に、空気の一部を各通気孔3内に巻き込むような乱流が発生するようなことはなく、空気中に含まれるダスト(砂塵、塵等)、水、カーボン等の浮遊物(異物)が各通気孔3内に浸入し難くなる。
【0030】
従って、空気中に含まれるダスト、水、カーボン等の異物が各通気孔3の内面4に付着又は堆積することによる各通気孔3の目詰まりを抑制でき、吸気系に発生する吸気音を、各通気孔3に形成される気柱と共鳴(共振)させて低減させることができるとともに、気柱との共鳴(共振)によって低減させた吸気音を吸音材17で吸収して更に低減させることができる。
【0031】
この結果、走行距離や使用環境に影響されることがなく、初期の消音性能を長期的に維持することができ、自家用自動車等の車両に用いた場合には、快適な走行性能を提供することができる。
【0032】
図8には、本発明による消音装置の第2の実施の形態が示されている。本実施の形態の消音装置1は、各通気孔3の内面4のうち、空気の流れ方向の上流側の面8に断面略四角形状のフィン11を一体に設けるとともに、フィン11の上面12(吸気ダクト20の外面22側の面)を吸気ダクト20の管軸に平行な平面に形成し、下面13(吸気ダクト20の内面21に沿う面)を上面12に平行な面に形成し、側面15を吸気ダクト20の管軸に直交する平面に形成したものであって、その他の構成は前記第1の実施の形態に示すものと同様である。
【0033】
そして、本実施の形態の消音装置1にあっても、前記第1の実施の形態に示すものと同様に、フィン11の下面13により、空気中に含まれるダスト、水、カーボン等の異物が各通気孔3内に浸入して各通気孔3の内面4に付着又は堆積することに起因する各通気孔3の目詰まりを抑制できるので、走行距離や使用環境に影響されることがなく、初期の消音性能を長期的に維持することができる。
【0034】
図9には、第2実施の形態の変形例が示されている。この消音装置1は、各通気孔3の内面4のうち、空気の流れ方向の上流側の面8に断面略四角形状のフィン11を一体に設けるとともに、フィン11の上面12(吸気ダクト20の外面22側の面)を、空気の流れ方向の下流側に行くに従って順次吸気ダクト20の管軸に近づく傾斜面に形成し、下面13(吸気ダクト20の内面21に沿う面)を上面12に平行な傾斜面に形成し、かつ、側面15(空気の流れ方向の下流側の面)を、吸気ダクト20の管軸に直交する平面に形成したものであって、その他の構成は前記第2の実施の形態に示すものと同様である。
【0035】
そして、本実施の形態の消音装置1にあっても、前記第1の実施の形態に示すものと同様に、フィン部11の下面13により、空気中に含まれるダスト、水、カーボン等の異物が各通気孔3内に浸入して各通気孔3の内面4に付着又は堆積することによる各通気孔3が目詰まりを抑制できる、走行距離や使用環境に影響されることがなく、初期の消音性能を長期的に維持することができる。
なお、図10、図11に示すように、通気孔3の内面4(空気の流れ方向の下流側の面5及び上流側の面8)が、吸気ダクト20の管軸に対して所定の角度で傾斜する傾斜面の場合にも、本実施の形態を適用することができる。
【0036】
図12には、本発明による消音装置の第3の実施の形態が示されている。本実施の形態の消音装置1は、各通気孔3の内面4のうち、空気の流れ方向の上流側の面8を、吸気ダクト20の管軸に直交する面に形成し、空気の流れ方向の下流側の面5のうち、吸気ダクト20の外面22から内面21方向の所定の位置までの間を吸気ダクト20の管軸に直交する第1面6に形成し、それよりも内側の第2面7に空気の流れ方向の上流側に突出する断面略四角形状のフィン11を通気孔3の全長に亘って一体に設けたものであって、その他の構成は前記第1の実施の形態に示すものと同様である。
【0037】
この場合、フィン11の上面12(吸気ダクト20の外面22側の面)を、空気の流れ方向の下流側に行くに従って順次吸気ダクト20の管軸に近づく傾斜面に形成し、下面13(吸気ダクト20の内面21に沿う面)を、上面12に平行な傾斜面に形成し、かつ、側面15(空気の流れ方向の上流側の面)を、吸気ダクト20の管軸に直交する平面に形成している。
【0038】
そして、本実施の形態の遮音装置にあっても、前記第1の実施の形態に示すものと同様に、フィン11の下面13により、空気中に含まれるダスト、水、カーボン等の異物が各通気孔3内に浸入して各通気孔3の内面4に付着又は堆積することによる各通気孔3の目詰まりを抑制できるので、走行距離や使用環境に影響されることがなく、初期の消音性能を長期的に維持することができる。
【0039】
図14〜図16に、本発明の消音装置(第1の実施の形態の消音装置1)及び従来の消音装置(四角形状の通気孔を格子状に設けたタイプの消音装置)の消音性能試験装置、及び消音性能試験の結果を示す。
図14に示すように、試験装置として、2300cc直列4気筒のエンジンを用い、このエンジンの吸気系(一次側吸気ダクト20、エアークリーナボックス24、二次側吸気ダクト25)の一次側吸気ダクト20の途中に消音装置1を取り付け、一次側吸気ダクト20の先端から100mmの位置にマイク(図示せず)を取り付けた。そして、エンジン速度を1000〜6000rpmとし、定格空気量60m/minにて、計520gのダスト(ISOファイン)を吸気口23から一次側吸気ダクト20内に投入した。
【0040】
図15に、従来の消音装置の性能試験結果を示し、図16に、本発明の消音装置の性能結果を示す。図15及び図16において、実線は、ダスト投入前の音圧レベルとエンジン速度との関係を示し、破線は、ダスト投入後の音圧レベルとエンジン速度との関係を示している。この試験結果から、従来の消音装置31は、ダストの投入によって通気孔33が目詰まりを起こし、消音性能が悪化しているのに対して、本発明の消音装置1は、ダストの投入による通気孔3の目詰まりが起こり難く、初期の消音性能を維持していることが分かる。
【0041】
図17に、本発明の消音装置(第1の実施の形態の消音装置1)の通気抵抗及び従来の消音装置(四角形状の通気孔を格子状に設けたタイプの消音装置31)の通気抵抗の試験結果を示す。
この通気抵抗の試験結果から、本発明の消音装置1は、従来の消音装置31と同等の通気抵抗が得られ、通気孔3の内面に設けたフィン11によって通気抵抗が増加することはないことが分かる。
【0042】
なお、前記各実施の形態においては、直線状をなす吸気ダクト20の長手方向の中間部に本発明の消音装置1を設けたが、図13に示すように、屈曲形状をなす吸気ダクト20の屈曲部に本発明の消音装置1を設けてもよいものであり、その場合には、空気中に含まれるダスト、水、カーボン等の浮遊物(異物)が溜りやすい屈曲部において、通気孔3が目詰まりを起こすことなく、吸気系に発生する吸気音を低減させることができる。
【0043】
なお、前記各実施の形態においては、吸気ダクト20の長手方向の中間部に、吸気ダクト20の内外面21、22を貫通する複数の通気孔3を設け、各通気孔3の内面4にフィン11を一体に設けたが、図示はしないが、吸気ダクト20の長手方向の中間部に吸気ダクト20の内外面21、22を貫通する開口部を設け、この開口部に、複数の通気孔3を設けるとともに、各通気孔3の内面4にフィン11を設けた多孔板を装着し、多孔板と吸気ダクト20とを、接着剤、振動溶着等の手段によって一体に接合するように構成してもよい。
【0044】
また、前記各実施の形態においては、通気孔3をスリット状に形成したが、通気孔3を三角形、四角形状等の他の形状に形成してもよい。
【0045】
さらに、前記各実施の形態においては、本発明による消音装置を内燃機関の吸気系の一次側吸気ダクト20に設けたが、二次側吸気ダクト25に本発明による消音装置を設けてもよいし、その他の吸気音の影響を受ける吸気ダクトに本発明による消音装置を設けてもよく、また、排気ダクトに設けても良い。
【0046】
また、本発明の消音装置は、内燃機関に限らず、各種設備に設けられて空気の吸入あるいは排出を行う吸気管や排気管に適用が可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 消音装置
2 消音部
3 通気孔
4 内面
5 下流側の面
6 第1面
7 第2面
8 上流側の面
9 第1面
10 第2面
11 フィン
12 上面
13 下面
15 側面
16 ケーシング
17 吸音材
20 一次側吸気ダクト(吸気ダクト)
21 内面
22 外面
23 吸気口
24 エアークリーナボックス
25 二次側吸気ダクト
31 消音装置
32 消音部
33 通気孔
34 異物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気管に設けられ、該通気管の内外面を貫通する複数の通気孔を有する消音部を備えた消音装置であって、
前記消音部の各通気孔の内面の一部に、当該通気孔の内側に向けて突出又は延出する延長部を一体に設けたことを特徴とする消音装置。
【請求項2】
前記各通気孔の内面のうち、前記通気管の内面側の開口縁部に前記延長部を一体に設けたことを特徴とする請求項1に記載の消音装置。
【請求項3】
前記延長部は、前記通気管の内面に沿う面が、前記通気管を流通する空気の流れ方向の下流側に行くに従って順次前記通気管の管軸に近づく湾曲面又は傾斜面に形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の消音装置。
【請求項4】
前記通気孔は、円形状、多角形状、又はスリット状に形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の消音装置。
【請求項5】
前記通気管の前記消音部の外面側には、前記消音部の各通気孔の開口を塞ぐように吸音材が設けられていることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の消音装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−12986(P2012−12986A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−149868(P2010−149868)
【出願日】平成22年6月30日(2010.6.30)
【出願人】(000220804)東京濾器株式会社 (84)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)