説明

液体の脱気法

枝分かれしたポリエーテル−ポリシロキサン共重合体0.0001〜5.0質量%、特に0.0002〜1.0質量%、特に有利に0.001〜0.2質量%を液体に添加することによってこの液体を脱気する方法であって、この場合枝分かれしたポリエーテル−ポリシロキサン共重合体として、ポリエーテル基が直鎖状シロキサン鎖に炭化水素基を介してSiC結合され、かつこのシロキサン鎖が酸素原子および窒素原子の群から選択された1個以上のヘテロ原子を含有していてよい、SiC結合した有機基、特に2価〜10価、有利に2価〜4価の炭化水素基を介して互いに結合されているものが使用される、液体を脱気する前記方法が記載される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を脱気するための、殊に例えば繊維の処理またはケミカルパルプおよび紙の製造の際に生じるような水性懸濁液を脱気するための方法に関する。
【0002】
望ましい成分として、または望ましくない成分として界面活性化合物を含有する多くの液体系、殊に水性系中で、例えば排水の散布、液体の強力な攪拌、蒸留法、洗浄法または染色法において前記系がガス状物質と多少とも強力に接触した際に、閉じ込められた気泡での問題が生じうる。殊に、気泡を吸引しうる、例えば繊維のような微細に分布された粒子を含有する液体は、空気を閉じ込める傾向にある。
【0003】
ケミカルパルプの製造において、閉じ込められた空気は、例えば水の急速な排流を阻止し、それによって品質および生産性を低減する。
【0004】
従来の消泡剤は、公知であるように"無水"表面フォームの制御に適しており、その際大きな気泡は、薄手の液体被膜によって分離されている。(例えば、Langmuir 2004,20,9463〜9505の記載と同様)しかし、大部分が場合により懸濁された固体を有する液体からなる液体−ガス混合物を脱気するための前記消泡剤の作用については、記載されていない。
【0005】
この作用は、マクロフォームとも呼称される表面フォームを破壊する、消泡剤の表面特性および溶解性は、必要に応じて脱気剤の性質とは区別されることにある(Adams,J.,et al.Verfkroniek,68(10)1996 第43〜45頁参照)。消泡剤は、非相容性でなければならず、かつ急速に表面上に移動しなければならない。これに対して、マクロフォームを防除するはずの脱気剤は、良好に相容性でなければならず、それというのも脱気剤は、表面で作用するのではなく、液相中で作用するからである。従って、良好な消泡作用を脱気作用に対して遮断することは、不可能である(欧州特許第257356号明細書B1、第2頁、第28〜31行参照)。
【0006】
従って、この使用のために特殊な配合物が提案されている。英国特許第2350117号明細書Aには、良好な脱気のために、Si−CまたはSi−O−C結合したポリエーテル基を有する直鎖状または環状シロキサンを使用することが提案されている。欧州特許第257356号明細書B1には、ポリエーテルシロキサンより良好なプラスチゾルの脱気を可能にする、(イソブチリルオキシ)イソプロピルジメチル−プロポキシ基を有するシロキサンの特許保護が請求されている。
【0007】
WO 2006/128624A1、欧州特許出願公開第1424117号明細書および欧州特許出願公開第1076073号明細書A1には、
(A)シロキサンを基礎とする消泡剤および
(B)ポリエーテル−ポリシロキサン共重合体
を含有する消泡剤配合物が記載されている。
【0008】
更に、種々の用途のため、殊にケミカルパルプを製造するためのより良好な脱気剤が要求されている。
【0009】
意外なことに、特殊に枝分かれしたポリエーテル−ポリシロキサン共重合体は、卓越した脱気作用を有することが見い出された。
【0010】
本発明の対象は、枝分かれしたポリエーテル−ポリシロキサン共重合体0.0001〜5.0質量%、特に0.0002〜1.0質量%、特に有利に0.001〜0.2質量%を液体に添加することによってこの液体を脱気する方法であり、この場合枝分かれしたポリエーテル−ポリシロキサン共重合体として、ポリエーテル基が直鎖状シロキサン鎖に炭化水素基、特に2価の炭化水素基を介してSiC結合され、かつこのシロキサン鎖が酸素原子および窒素原子の群から選択された1個以上のヘテロ原子を含有していてよい、SiC結合した有機基、特に2価〜10価、有利に2価〜4価の炭化水素基を介して互いに結合されているものが使用される。
【0011】
本発明による枝分かれしたポリエーテル−ポリシロキサン共重合体として、特に、直鎖状シロキサン鎖が側位の直鎖状または分枝鎖状のSiC結合した有機基、特に直鎖状SiC結合した有機基を介して互いに結合しているか、または直鎖状シロキサン鎖が末位で分枝鎖状有機基を介して互いに結合されているようなものが使用される。
【0012】
直鎖状シロキサン鎖が側位の直鎖状または分枝鎖状のSiC結合した有機基を介して互いに結合された有機基の例は、SiC結合した2価の炭化水素基、例えばアルキレン基、2価の炭化水素基、例えばアルキレン基を介してシロキサン鎖に結合された、SiC結合したポリエーテル基、およびポリエーテル基およびウレタン基を含有する、SiC結合した2価の炭化水素基、例えばアルキレン基である。
【0013】
直鎖状シロキサン鎖が末位で分枝鎖状有機基を介して互いに結合された有機基の例は、SiC結合した3価の分枝鎖状炭化水素基、式
【化1】

で示される基である。
【0014】
本発明によるポリエーテル−ポリシロキサン共重合体は、25℃で特に100〜100000000mPa.s、有利に25℃で有利に1000〜1000000mPa.s、特に有利に25℃で1000〜100000mPa.sの粘度を有する。
【0015】
枝分かれしたポリエーテル−ポリシロキサン共重合体として、特に、第1工程で1分子当たり少なくとも1個のSiC結合した水素原子、特に少なくとも2個のSiC結合した水素原子を有する直鎖状オルガノポリシロキサン(1)を、一般式
1−(O−Cn2nm−A1−H (I)
〔式中、R1は、Si−H−基がヒドロシリル化反応において付着していてよい、1価の場合により置換された炭化水素基を表わし、特に脂肪族C−C−多重結合を有する炭化水素基を表わし、
1は、−O−、−NH−および−NR'−(この場合、R'は、1〜18個の炭素原子を有する1価の炭化水素基を表わす)の群から選択された2価の極性有機基、特に酸素原子−O−を表わし、
nは、1〜20、特に1〜4、有利に2または3の整数であり、および
mは、正の整数、特に5〜50である〕で示される十分に直鎖状のオリゴマーまたは重合体の化合物(2)と反応させ、
および第2工程で
こうして得られたH−A1−基を有する中間生成物を、1分子当たり少なくとも2個のイソシアネート基を有する有機化合物(5)と反応させることにより製造可能であるような共重合体(B1)が使用され、
但し、この場合ポリシロキサン共重合体の製造に使用される化合物(1)および(2)の含水量は、それぞれ化合物(1)および(2)の全質量に対して2000質量ppmより低く、特に1500質量ppmより低く、有利に1000質量ppmより低い。
【0016】
本発明により使用される枝分かれしたポリエーテル−ポリシロキサン共重合体(B1)の場合、直鎖状シロキサン鎖は、側位の直鎖状または分枝鎖状有機基、特に直鎖状有機基を介して互いに結合されており、この場合この有機基は、ポリエーテル基およびウレタン基を含有する、SiC結合した2価の炭化水素基、例えばアルキレン基である。
【0017】
好ましくは、オルガノポリシロキサン(1)として一般式
g3-gSiO(SiR2O)o(SiRHO)pSiR3-gg (III)
〔式中、Rは、同一でも異なっていてもよく、基1個当たり1〜18個の炭素原子を有する、1価の、場合によりハロゲン化された炭化水素基を表わし、
gは、0、1または2であり、
oは、0または1〜1500の整数であり、および
pは、1〜200の整数である〕で示されるものが使用され、
但し、この場合1分子当たり少なくとも1個のSiC結合した水素原子、有利に少なくとも2個のSiC結合した水素原子が存在する。
【0018】
好ましくは、式(III)中のgは、0であり、式(III)中のpは、2〜50、特に有利に3〜20、殊に5〜10であり、およびオルガノポリシロキサン(1)として特に水素アルキルシロキシ単位およびジアルキルシロキシ単位からなる共重合体、殊に水素メチルシロキシ単位およびジメチルシロキシ単位からなる共重合体が使用される。
【0019】
基Rの例は、アルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、1−n−ブチル基、2−n−ブチル基、イソブチル基、第三ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、第三ペンチル基、ヘキシル基、例えばn−ヘキシル基、ヘプチル基、例えばn−ヘプチル基、オクチル基、例えばn−オクチル基およびイソオクチル基、例えば2,2,4−トリメチルペンチル基、ノニル基、例えばn−ノニル基、デシル基、例えばn−デシル基、ドデシル基、例えばn−ドデシル基、および
オクタデシル基、例えばn−オクタデシル基;シクロアルキル基、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基およびメチルシクロヘキシル基;アリール基、例えばフェニル基、ナフチル基、アントリル基およびフェナントリル基;アルカリール基、例えばo−、m−、p−トリル基、キシリル基およびエチルフェニル基;およびアラルキル基、例えばベンジル基、α−フェニルエチル基およびβ−フェニルエチル基である。
【0020】
ハロゲン化された基Rの例は、ハロゲン化アルキル基、例えば3,3,3−トリフルオロ−n−プロピル基、2,2,2,2',2',2'−ヘキサフルオロイソプロピル基、ヘプタフルオロイソプロピル基およびハロゲン化アリール基、例えばo−、m−およびp−クロロフェニル基である。
【0021】
好ましくは、基Rは、1〜6個の炭素原子を有する1価の炭化水素基であり、この場合には、メチル基が特に有利である。
【0022】
基R1の例は、アルケニル基、例えばビニル基、5−ヘキセニル基、シクロヘキセニル基、1−プロペニル基、アリル基、3−ブテニル基および4−ペンテニル基、およびアルキニル基、例えばエチニル基、プロパルギル基および1−プロピニル基である。
【0023】
好ましくは、基R1は、アルケニル基、殊にω−アルケニル基であり、この場合には、アリル基が特に有利である。
【0024】
一般式
2C=CH−R2−(OCn2nm−OH (IV)
〔式中、R2は、1〜10個の炭素原子を有する2価の炭化水素基、有利に式−CH2−、−CH(CH3)−または−C(CH32−で示される基であり、および
nおよびmは、上記の意味を有する〕で示されるポリエーテルは、オリゴマーまたは重合体の化合物(2)として好ましい。
【0025】
ポリエーテル(2)の好ましい例は、一般式
2C=CH−R2−(OCH2CH2a[OCH2CH(CH3)]b−OH (IV')
〔式中、R2は、上記の意味を有し、および
aおよびbは、0または1〜200、特に5〜50の整数である〕で示されるものである。
【0026】
化合物(2)は、オルガノポリシロキサン(1)中のSiC結合した水素原子1モル当たり、特に脂肪族C−C−多重結合を有する基、有利にω−アルケニル基である基R11.0〜4.0モル、有利に1.3〜2.5モルの量で使用される。
【0027】
第1の処理工程において、特に脂肪族多重結合へのSiC結合した水素の付着を促進する触媒(3)が使用される。触媒(3)として、本発明による方法の場合も、脂肪族多重結合へのSi結合した水素の付加を促進するためにこれまでも使用され得た同じ触媒が使用されることができる。この触媒は、好ましくは白金金属の群からの金属または白金金属の群からの化合物または錯体である。このような触媒の例は、担体、例えば二酸化珪素、酸化アルミニウムまたは活性炭上に存在することができる、金属の微粒状白金、白金の化合物または錯体、例えば白金ハロゲン化物、例えばPtCl、H2PtC16*H2O、Na2PtC14*4H2O、白金−オレフィン錯体、白金−アルコール錯体、白金−アルコラート錯体、白金−エーテル錯体、白金−アルデヒド錯体、H2PtC16*6H2Oとシクロヘキサノンとの反応生成物を含む、白金−ケトン錯体、検出可能な無機結合したハロゲン含量を有するかまたは有しない、白金−ビニル−シロキサン錯体、例えば白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチル−ジシロキサン錯体、ビス−(γ−ピコリン)塩化白金、トリメチレンジピリジン白金ジクロリド、ジシクロペンタジエン白金ジクロリド、ジメチルスルホキシドエチレン白金(II)ジクロリド、シクロオクタジエン白金ジクロリド、ノルボルナジエン白金ジクロリド、γ−ピコリン白金ジクロリド、シクロペンタジエン白金ジクロリドならびに白金テトラクロリドとオレフィンおよび第1アミンまたは第2アミンまたは第1アミンおよび第2アミンとの反応生成物、例えば1−オクテン中に溶解された白金テトラクロリドと第二ブチルアミンとの反応生成物またはアンモニウム白金錯体である。
【0028】
触媒(3)は、第1の処理工程において、特にオルガノポリシロキサンと化合物(2)の全体量に対して、それぞれ元素状白金として計算した、1〜50質量ppm(百万質量部当たりの質量部)の量、有利に2〜20質量ppmの量で使用される。
【0029】
第1の処理工程は、特に周囲大気の圧力、即ちほぼ1020hPa(絶対)で実施されるが、しかし、この第1の処理工程は、より高いまたはより低い圧力で実施されてもよい。更に、第1の処理工程は、特に60℃〜140℃、有利に80℃〜120℃の温度で実施される。
【0030】
第2の処理工程において、1分子当たり少なくとも2個のイソシアネート基を有する有機化合物(5)として、有利に一般式
O=C=N−R3−N=C=O (V)
〔式中、R3は、基1個当たり4〜40個の炭素原子を有する2価の炭化水素基を表わす〕で示されるジイソシアネートが使用される。
【0031】
有機化合物(5)の例は、ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネート、トリレン−2,6−ジイソシアネート、フェニレン−1,3−ジイソシアネート、4,4′−メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート)、4,4′−メチレン−ビス(フェニルイソシアネート)およびジメチルフェニルジイソシアネートである。
【0032】
有機化合物(5)は、第2の処理工程において、特に中間生成物(4)中のH−A1−基1モル当たりイソシアネート基0.1〜0.9モル、有利に0.2〜0.7モルの量で使用される。
【0033】
本発明による方法の第2工程における反応には、特に縮合触媒(6)、例えばジ−n−ブチル錫ジラウレート、錫(II)オクトエート、ジブチル錫ジアセテート、カリウムオクトエートまたは第三アミン、例えばジメチルシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノプロピルジプロパノールアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン、N−メチルイミダゾールまたはN−エチルモルホリンが使用される。
【0034】
好ましいポリシロキサン共重合体は、第1の処理工程において、側位にSiC結合した水素原子を有する、メチル末端基を有する水素官能性ポリシロキサン(1)を、式(IV)の過剰量のポリエーテル(2)と反応させ、第2の処理工程において中間生成物(4)、櫛状構造を有するシリコーンポリエーテルを式(V)のジイソシアネート(5)と反応させることにより得られ、この場合ウレタン基は、ポリシロキサン共重合体中に導入される。この場合、第1工程からの遊離ポリエーテルもウレタン形成によって結合される。
【0035】
本発明による方法の第2工程において、有機化合物(5)に加えてさらになおイソシアネート基に対して反応性である化合物(7)が使用されてよい。
【0036】
第2の処理工程は、特に周囲大気の圧力、即ちほぼ1020hPa(絶対)で実施されるが、しかし、より高いまたはより低い圧力で実施されてもよい。更に、第2の処理工程は、特に40℃〜160℃、有利に80℃〜140℃の温度で実施される。
【0037】
部分的に極めて高い生成物粘度を減少させるために、場合によっては低分子量物質、例えばアルコールまたはエーテルが添加されてよい。
【0038】
ポリエーテル−ポリシロキサン共重合体(B1)およびその製造は、WO 2006/128624A1、殊に第3頁、第8行〜第13頁、第38行に記載されている(参考のために含めた)。
【0039】
枝分かれしたポリエーテル−ポリシロキサン共重合体として、特に一般式
Y[−Cn'2n'−(R2SiO)m'−A'p'−R2Si−G]x' (I')
〔式中、
Yは、酸素原子および窒素原子の群から選択された1個以上のヘテロ原子を含有していてよい、3価〜10価、特に3価〜4価の炭化水素基を表わし、
Rは、上記の意味を有し、
A'は、式−R2Si−R2'−(R2SiO)m'−で示される基
を表わし、
この場合R2'は、1個以上の互いに別々の酸素原子、特に1〜4個の互いに別々の酸素原子によって中断されていてよい、2〜30個の炭素原子を有する2価の炭化水素基を表わし、
Gは、式−Cf'2f'-2k'−Zの1価の基または式−Cn'2n'−の2価の基を表わし、この場合さらなる基Yへの第2の結合が生じ、
Zは、式
−(R6'v'−(OCH2CH2a'[OCH2CH(CH3)]b'[OCH2CH(CH2CH3c']−OR3'で示される基を表わし、
上記式中、R3'は、水素原子または1〜18個の炭素原子を有する炭化水素基、または式R−C(O)−(この場合、Rは、上記の意味を有する)の基を表わし、
6'は、1〜10個の炭素原子を有する2価の炭化水素基を表わし、および
v'は、0または1、特に1であり、および
a'、b'およびc'は、0または1〜1000の整数であり、c'は、特に0であり、
但し、この場合(a'+b'+c')の総和は、2〜2000、特に2〜200、有利に2〜150の値を有し、
x'は、3〜10、特に3または4の整数であり、
f'は、2〜12、特に2の整数であり、
k'は、0または1、特に0であり、
n'は、2〜12、特に2の整数であり、
m'は、少なくとも1の整数、特に1〜1000の整数であり、および
p'は、0または正の整数、特に0または1〜20の整数であり、
但し、この場合枝分かれしたポリエーテル−ポリシロキサン共重合体(B2)は、平均して少なくとも1個の基Zを含有する〕で示される構造要素を含有するような共重合体(B2)が使用される。
【0040】
一般式(I')の枝分かれしたポリエーテル−ポリシロキサン共重合体(B2)は、特に、第1工程で式
Y(CR1'=CH2x'
〔式中、Yおよびx'は、上記の意味を有し、R1'は、水素原子または1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、有利に水素原子を表わす〕で示される、少なくとも3個の脂肪族二重結合を有する化合物(1')を、一般式
H(R2SiO)m'−A'p'−R2SiH
〔式中、A'、R、m'およびp'は、上記の意味を有する〕で示されるオルガノポリシロキサン(2')と、脂肪族多重結合へのSiC結合した水素の付着を促進する触媒(3')、いわゆるヒドロシリル化触媒の存在下で反応させ、
第2工程で、こうして得られたSiC結合した水素原子を有する分枝鎖状中間生成物(5')を
k'=0の場合:H2C=CR4'−Z (4a')および
k'=1の場合:R5'C≡C−Z (4b')
の群から選択された、式
f'2f'-2k'-1−Z
〔上記式中、R4'およびR5'は、R1'の意味を有し、有利に水素原子を表わし、
f'、k'およびZは、上記の意味を有する〕で示される有機化合物(4')と脂肪族多重結合へのSiC結合した水素の付着を促進する触媒(3')の存在下で反応させることにより、製造される。
【0041】
好ましくは、k'は、0であり、したがって有機化合物(4a')が好ましい。
【0042】
本発明により使用される、分枝鎖状構造を有するポリエーテル−ポリシロキサン共重合体(B2)は、原則的に鎖状のシロキサンブロックを含有し、このシロキサンブロックの末端は、それぞれCn'2n'−またはCf'2f'-2k'−橋を介して構造要素YまたはZと結合している。要素Yと両側で結合しているシロキサンブロックが多くなれば多くなるほど、形成される生成物は、ますます枝分かれを生じる。一般的に本発明によるポリエーテル−ポリシロキサン共重合体(B2)は、シロキサンブロックと有機ブロックとが交互に現れるように形成され、この場合分枝鎖状構造および末端は、有機ブロックからなる。
【0043】
ポリエーテル−ポリシロキサン共重合体(B2)において、末端基Zと分枝鎖状基Yとの比(Z/Y比)は、特に1.0〜2.0、有利に1.1〜1.5である。
【0044】
基Rの例は、上記されている。
【0045】
1〜10個の炭素原子を有する炭化水素基Rの例は、炭化水素基R1'、R4'およびR5'にも当てはまる。
【0046】
1〜18個の炭素原子を有する炭化水素基Rの例は、炭化水素基R3'にも当てはまる。
【0047】
好ましくは、R3'は、水素原子、メチル基、n−ブチル基またはアセチル基である。
【0048】
好ましくは、基R6'は、式−(CH2)−の基である。
【0049】
第1の処理工程において、(1')のCH2=CR1'基への(2')のSiH基の付加、いわゆるヒドロシリル化は、当業者に公知の、2つの異性体の形成を導く。
【0050】
本発明による共重合体(B2)の−Cn'2n'−基は、この共重合体の異性体形成を含み、したがって特に異性体の基
(i)の−CHR1'−CH2−および(ii)の
【化2】

を表わし、
したがってn'は、(1')のCH2=CR1'−基中のC原子の全体数である。R1'は、特に水素原子であるので、n'は、特に2である。
【0051】
化合物(1')の例は、
1,2,4−トリビニルシクロヘキサン、
1,3,5−トリビニルシクロヘキサン、
3,5−ジメチル−4−ビニル−1,6−ヘプタジエン、
1,2,3,4−テトラビニルシクロブタン、
メチルトリビニルシラン、
テトラビニルシラン、
1,1,2,2−テトラアリルオキシエタンであり、
この場合1,2,4−トリビニルシクロヘキサンが好ましい。
【0052】
従って、基Yとして式
【化3】

で示される基が好ましい。
【0053】
オルガノポリシロキサン(2')として十分に直鎖状の重合体が使用され、
p'は、有利に0であり、
m'は、有利に5〜400の整数である。
【0054】
オルガノポリシロキサン(2')は、第1の処理工程において、オルガノポリシロキサン(2')中のSiC結合した水素と化合物(1')中の脂肪族二重結合との比率が特に少なくとも1.5、有利に1.5〜20、特に有利に1,5〜5.0であるような量で使用される。
【0055】
オルガノポリシロキサン(2')は、特に過剰量で使用されるので、したがって、第1の処理工程において、化合物(1')中の全部の脂肪族二重結合が反応し、SiC結合した水素原子を有する分枝鎖状中間生成物(5')が得られる。
【0056】
脂肪族多重結合へのSiC結合した水素の付着を促進する触媒(3')として、上記の触媒(3)が使用されてよい。
【0057】
触媒(3')は、第1の処理工程において、特に化合物(1')とオルガノポリシロキサン(2')の全体量に対して、それぞれ元素状白金として計算した、0.2〜20質量ppm(百万質量部当たりの質量部)の量、有利に1〜10質量ppmの量で使用される。
【0058】
第1の処理工程は、特に周囲大気の圧力、即ちほぼ1020hPa(絶対)で実施されるが、しかし、より高いまたはより低い圧力で実施されてもよい。更に、第1の処理工程は、特に20℃〜150℃、有利に40℃〜100℃の温度で実施される。
【0059】
第1の処理工程ならびに第2の処理工程において、特に不活性の有機溶剤が共用されてよい。不活性の有機溶剤の例は、トルエン、キシレン、オクタン異性体、ヘプタン異性体、ブチルアセテート、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフランおよびシクロヘキサンである。
【0060】
有機化合物(4')は、脂肪族C−C二重結合または三重結合を含有し、前記結合は、ヒドロシリル化反応においてSi−H基に対して反応性でありかつこのSi−H基をSi−C結合の形成下に付着する。化合物(4a')は、好ましい。
【0061】
(4a')または(4b')中の二重結合または三重結合への中間生成物(5')中のSiH基の付着の場合には、当業者に公知の異性体形成を生じる。
【0062】
本発明によるポリエーテル−ポリシロキサン共重合体(B2)の−Cf'2f-2k'−基は、この共重合体の異性体形成を含み、したがって特に異性体の基
(iii)の−CH2−CHR3'−および(iv)の
【化4】

および
(v)の−CR4'=CH−および(vi)の
【化5】

を表わし、
(有機化合物(4a')が好ましいので、異性体の基は、(iii)および(iv)が好ましい)、
したがって、f'は、(4a')のH2C=CR3'基または(4b')のR4'C≡C基中のC原子の全体数である。
【0063】
3'およびR4'は、特に水素原子であるので、したがってf'は、特に2である。
【0064】
有機化合物(4a')のための好ましい例は、式
2C=CH−CH2−(OCH2CH2a[OCH2CH(CH3)]b[OCH2CH(CH2CH3)]c−OR3で示される化合物であり、
従って(I')中の基−Cf'2f'-2k'−Zには、式
−CH2−CH2−CH2−(OCH2CH2a'[OCH2CH(CH3)]b'[OCH2CH(CH2CH3)]c'−OR3'
【化6】

〔式中、a'、b'、c'およびR3'は、上記の意味を有する〕で示される異性体の基が好ましい。
【0065】
(4a')または(4b')中の二重結合または三重結合に結合した基Zは、ポリエーテルである。通常、このポリエーテルは、酸化エチレンおよび/または酸化プロピレンおよび/または酸化ブチレンを重合させることによって製造され、この場合アルキレンオキシド単位は、ランダムに分布していてよいか、またはブロック共重合体として存在していてよい。ポリエーテルは、アルキレンオキシドだけから製造されていてよいか、または記載されたアルキレンオキシドの2つまたは3つによる共重合によって製造されていてよい。この場合には、方法に応じて、ランダムに分布された共重合体またはブロック共重合体が得られ、この場合ランダムに分布されたポリエーテルが好ましい。枝分かれしたポリエーテル−ポリシロキサン共重合体(B2)の製造に使用される、式4aおよび4bのポリエーテルは、少なくとも2個のポリオキシアルキレン単位、通常、200個以下のポリオキシアルキレン単位、有利に150℃以下のポリオキシアルキレン単位を有する。
【0066】
第2の処理工程において、有機化合物(4')は、(4a')中の脂肪族二重結合または(4b')中の脂肪族酸重結合と第1の処理工程で得られた中間生成物(5')中のSiC結合した水素との比率が有利に1.05〜1.5であるような量で使用される。
【0067】
触媒(3')は、第2の処理工程において、特に有機化合物(4')と第1の処理工程で得られた中間生成物(5')の全体量に対して、それぞれ元素状白金として計算した、0.5〜50質量ppm(百万質量部当たりの質量部)の量、有利に2〜20質量ppmの量で使用される。
【0068】
第2の処理工程は、特に周囲大気の圧力、即ちほぼ1020hPa(絶対)で実施されるが、しかし、より高いまたはより低い圧力で実施されてもよい。更に、第1の処理工程は、特に20℃〜150℃、有利に40℃〜120℃の温度で実施される。
【0069】
分枝鎖状ポリエーテル−ポリシロキサン共重合体(B2)およびその製造は、欧州特許出願公開第1424117号明細書A2、殊に第2頁、第41行〜第10頁、第19行に記載されている(参考のために含めた)。
【0070】
枝分かれしたポリエーテル−ポリシロキサン共重合体として、特に一般式
【化7】

で示されるポリエーテル−ポリシロキサン共重合体(B3)が使用され、
上記式中、Rは、上記の意味を有し、
R*は、Rまたは基
−R2*−(CH2CH2CO)a*[CH2CH(CH3)O]b*[H2CH(CH2CH3)O]c*−OR1*または
−R2*−(CH2CH2CO)d*[CH2CH(CH3)O]e*[H2CH(CH2CH3)O]f*−R2*
およびR1*は、水素またはアルキル基、アラルキル基、アリール基、R−C(O)−基を表わし、
*は、0.1〜200の値を取り、
*は、1〜1000の値を取り、および
*は、0.01〜2.0の値を取り、
*、b*、c*、d*、e*およびf*は、0〜1000の値を取り、但し、この場合(a*+b*+c*)からの総和および(d*+e*+f*)からの総和は、2〜2000の値を取り、
およびR2*は、2〜10個の炭素原子を有するアルキレン基を表わし、開いた原子価は、再び基
【化8】

と結合されている。
【0071】
特に、一般式(I)のポリエーテル−ポリシロキサン共重合体において、a*およびb*は、5〜50の値を取り、
*、d*およびf*は、0の値を取り、e*は、20〜150の値を取り、
*は、1〜10の値を取り、y*は、3〜100の値を取り、および
*は、0.5〜1.5の値を取る。
【0072】
*は、特にRである。
【0073】
基Rの例は、上記されている。
【0074】
一般式(I*)の室温で液状のポリエーテル−ポリシロキサン共重合体は、例えば(ba)一般式
(R2**SiO)2(HRSiO)X*+Z*(R2SiO)Y* (III*
〔式中、Rならびにx*、y*およびz*は、上記の意味を有し、R**は、RまたはHを表わす〕で示される珪素有機化合物、
(bb)一般式
1*−O−(CH2CH2CO)a*[CH2CH(CH3)O]b*[H2CH(CH2CH3)O]c*−R5* (IV*)で示される有機化合物
および
(bc)一般式
5*−O−(CH2CH2CO)d*[CH2CH(CH3)O]e*[CH2CH(CH2CH3)O]f*−R5* (V*
〔上記式中、R1*、a*、b*、c*、d*、e*およびf*は、上記の意味を有し、
5*は、2〜10個の炭素原子を有する式−Cm(2m*-1)のアルケニル基であり、この場合m*は、3〜10の値、特に3であり、好ましくは、ビニル基またはアリル基である〕で示される有機化合物を反応させることによって製造され、
この場合式(III*)中のSi−Hの数と式(IV*)および(V*)中のアルケニル基R5*の数との比率は、1以下であり、
および反応は、ヒドロシリル化反応を促進する触媒の存在下で行なわれる。
【0075】
一般式(III*)の化合物は、流動能を有するシロキサンであり、このシロキサンの粘度は、分子中のHRSiO−の数とR2SiO−基の数の平均数の総和によって定められる。前記化合物およびその合成は、一般に公知である。例えば、H−Si−結合のランダムな分布を有する一般式(III*)の水素官能性ポリオルガノシロキサンは、例えばMeSiHCl2、Me2SiHCl、Me2SiCl2、Me3SiClおよびMeSiCl3からのメチルクロロシランを共加水分解することによって製造されてよい。更に、水素官能性ポリオルガノシロキサンを、ヘキサメチルジシロキサンおよび種々の環式化合物の混合物、例えば環式メチル水素シロキサンおよび環式ジメチルシロキサンの酸性平衡化、または直鎖状のオリゴマーおよび/または重合体のシロキサンの平衡化、但し、この場合反応成分は、側位および場合により末位のSi−H基を有するものとし、によって得ることが可能である。
【0076】
一般式(III*)中の総和(x*+z*)は、例えば1.1〜202、有利に1.5〜11.5の値を取る。この場合、−HRSiO−基は、ランダムに分子を介して分布されている。一般式(III*)中のy*のための値は、特に1〜1000、有利に3〜100である。
【0077】
一般式(IV*)および(V*)の有機化合物は、ポリエーテルまたはポリオキシアルキレンと呼称される。
【0078】
この結合基は、公知である。通常、このポリエーテルは、酸化エチレンおよび/または酸化プロピレンおよび/または酸化ブチレンを重合させることによって製造され、この場合アルキレンオキシド単位は、ランダムに分布していてよいか、またはブロック共重合体として存在していてよい。一般式(IV*)および(V*)のポリエーテルは、1つのアルキレンオキシドだけから製造されてよいか、または記載されたアルキレンオキシドの2つまたは3つを共重合させることによって製造されてよい。この場合には、方法に応じて、ランダムに分布された共重合体またはブロック共重合体が得られ、この場合ランダムに分布されたポリエーテルが好ましい。ポリエーテル−ポリシロキサン共重合体(B3)の製造に使用される、一般式(IV*)および(V*)のポリエーテルは、少なくとも2個のポリオキシアルキレン単位、通常、200個以下のポリオキシアルキレン単位、有利に150℃以下のポリオキシアルキレン単位を有する。一般式(I*)および(IV*)中の基R1*は、例えばエチル、n−プロピル、イソプロピル、ヘキシル、デシル、ドデシル、2−フェニルエチル、有利に水素、メチル、ブチルおよびアセチルである。
【0079】
化合物(III*)、(IV*)および(V*)の製造に使用される質量分は、一般式(I*)の望ましいポリエーテル−ポリシロキサン共重合体に依存して選択され、当業者に簡単に平均分子量および粘度の制御を可能にし、および相応して望ましい要件に調節することを可能にする。化合物(IV*)および化合物(V*)の使用される質量分およびそれによって確定される分子比は、一般式(I*)中の係数x*およびz*を定める。
【0080】
一般式(III*)、(IV*)および(V*)の化合物は、ヒドロシリル化反応を促進する触媒の存在下で反応され、この場合一般式(III*)の化合物中のSi−H−基の数と一般式(VI*)および(V*)の化合物に由来する末端のアルキレン基の数との比率は、1以下である。一般式(III*)、(IV*)および(V*)の化合物が互いに不混和性であるかまたは混合粘度が高すぎる場合には、溶剤または溶解助剤を使用することは、有用である。
【0081】
そのために、有利に非プロトン性溶剤、例えばベンゼン、キシレンまたは飽和炭化水素が使用されるが、しかし、殊に芳香族溶剤、例えばトルエンが使用される。
【0082】
ヒドロシリル化触媒の例は、上記の触媒(3)において記載されている。
【0083】
ヒドロシリル化触媒は、出発物質の全体量に対して0.1〜100ppm、有利に2〜50ppm、特に有利に4〜20ppmの濃度で使用される。
【0084】
ポリエーテル−ポリシロキサン共重合体の製造中の温度は、300℃までである。50〜120℃の温度が好ましい。反応時間は、1分間ないし20時間である。変換率は、塩基性で分解可能な水素の量に対して未反応のSi−H−基によって定められ得る。変換は、分解可能な水素がもはや検出不可能であるか、または残留水素の濃度がもはやさらに減少不可能である場合に終結されている。
【0085】
ポリエーテル−ポリシロキサン共重合体(B3)およびその製造は、欧州特許出願公開第1076073号明細書A1、殊に第2頁、第38行〜第4頁、第46行に記載されている(参考のために含めた)。
【0086】
脱気は、本発明の範囲内で、ガスを分散された形で含有する、即ち液体の体積分がガスの体積分より高いようなミクロフォームを含有する液体のガス含量を減少させるようなプロセスである。
【0087】
液体を脱気するための方法とは、本発明の範囲内で殊に、ガスを特に最大50体積%、有利に最大20体積%、特に有利に最大10体積%含有する液相のガス含量が著しく減少され、その結果、特に5体積%未満、殊に2体積%未満のガス含量が達成されるような方法である。
【0088】
本発明の好ましい対象は、ケミカルパルプ製造において生じる液体、特に水性懸濁液を脱気するための方法である。
【0089】
多少とも強力に汚染されたセルロースであるケミカルパルプをセルロース含有材料、例えば木材から取得する場合には、残りの成分、例えばリグニンを溶解するために、異なる離解溶液が使用される。引続く洗浄−および篩別プロセスにおいて、生じるケミカルパルプは、離解溶液から分離され、清浄化される。
【0090】
最も重要な蒸解方法は、NaOH/NaSを含有する蒸解溶液を用いていわゆる硫酸塩パルプまたはクラフトパルプが取得されるようなアルカリ硫酸塩プロセスまたはクラフトプロセスである。更に、生成物として、蒸解溶液と共にセルロース含有材料、例えば木材の残りの成分を含有する黒色排液が生じる。
【0091】
本発明によるシリコーンポリエーテルは、直接に、またはよりいっそう良好な分布および取扱いのために、適当な有機物質中の溶液として使用されてよいか、または乳濁液として使用されてよい。
【0092】
適当な有機添加剤は、鉱油、天然油、イソパラフィン、ポリイソブチレン、オキソアルコール合成からの残渣、低分子量の合成カルボン酸のエステル、例えば2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール−ジイソブチレート、脂肪酸エステル、例えばドデシルパルミテートまたはイソプロピルミリステート、脂肪アルコール、フタレートおよび燐酸のエステルである。
【0093】
本発明によるポリエーテル−ポリシロキサン共重合体の製造:
WO 2006/128624A1に記載のポリエーテル−ポリシロキサン共重合体(重合体1)の製造
メチル基を末端に有する、0.133%の活性水素含量および72mm2/秒(25℃)の粘度を有する、ジメチルシロキシ単位および水素メチルシロキシ単位からのシロキサン67gを、強力な撹拌下に4.0のPO/EO比および11.2の沃素価を有するアリルポリエーテル408g(H2O含量560ppm)と混合し、100℃に昇温させる。イソプロパノール中のヘキサクロロ白金の2%の溶液0.5mlを添加することによって、ヒドロシリル化を開始し、このことは、弱い発熱反応を示す。この反応混合物を100〜110℃で、澄明な共重合体が得られかつ活性水素がもはや検出できなくなるまで維持する。中間生成物、側位のポリエーテル基を有するポリシロキサン(比較試験2において、重合体V1として試験した)は、870mm2/秒(25℃)の粘度を有する。
【0094】
更に、130℃に加熱し、微量の水を1hPaで除去する。その後、ヘキサメチレンジイソシアネート7gを供給し、かつ20分間均質化する。イソシアネート反応を、ジブチル錫ラウレート(DBTL)を一滴加えて開始する。2時間後、NCO含量は、検出限界(IR:20ppm)より低く減少し、したがって界面活性剤120g(BASF SE社、D−ルートビヒスハーフェン在でEmulan(登録商標)の商品名にて購買して入手可能)を供給する。80%の共重合体溶液は、25℃への冷却後に2100mm2/秒の粘度および0.139ミリ当量/gのウレタン含量を有する。
【0095】
欧州特許出願公開第1076073号明細書A1に記載のポリエーテル−ポリシロキサン共重合体(重合体2)の製造

(Me3SiO)2(HRSiO)5(Me2SiO)50で示されるSi−H−含有シロキサン重合体1モルと、式C49−O−(CH2CH2O)25[CH2CH(CH3)O]25−CH2−CH−CH2で示されるモノアルキルポリエーテル4.25モルと、

CH2=CH−CH2−O−[CH2CH(CH3)O]130−CH2−CH=CH2で示されるジアリルポリエーテル1モルとを、溶剤としてのトルエン中で混合する。シュパイヤー触媒10ppm(白金として計算した)の存在下に前記混合物を還流下に3時間煮沸する。溶剤を真空(100Pa)中で除去する。得られた生成物において、塩基性で分解可能な水素5ppm未満が検出可能である。
【0096】
欧州特許出願公開第1424117号明細書A2に記載のポリエーテル−ポリシロキサン共重合体(重合体3)の製造
機械的攪拌機を備えたフラスコ中で、1,2,4−トリビニルシクロヘキサン108gを、0.18質量%の活性水素含量(SiC結合した水素)および25℃で9mPa.sの粘度を有するα,ω−ジヒドロジェンポリジメチルシロキサン1840gと混合し、引続き1.0質量%のPt含量を有する、ジメチルポリシロキサン中の白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン錯体1.9g(いわゆるカールシュテット触媒)を添加する。反応混合物は、数分間で約80℃に昇温され、この温度で約1時間攪拌される。25℃で220mm2/秒の粘度および0.067質量%の活性水素の含量を有する分枝鎖状シロキサン重合体が得られる。合成原理に相応して、全部の遊離シロキサン鎖端は、高反応性のヒドロジェンジメチルシロキシ単位からなり、このヒドロジェンシロキサン重合体100gを、式CH2=CH−CH2−O−(CH2CH2O)24−(CH2CH2CH2O)25−Hで示される、平均で24個のエチレンオキシ−および25個のプロピレンオキシ基を有するモノアリル系ポリエーテルと実施例1に記載のカールシュテット触媒溶液0.3g(Pt含量=1.0質量%)とからなる100℃の熱い混合物中に計量供給する。全部で3時間の反応時間後に、活性水素(SiC結合した水素)は、完全に変換されている。25℃への冷却後、25℃で18400mPa.sを有する澄明な極めて粘稠の生成物が得られる。遊離鎖端は、直鎖状ポリエーテル鎖で変性されている。
【0097】
比較重合体(重合体V1):
重合体V1は、重合体1を製造する際の中間段階である。これは、英国特許第2350117号明細書Aと同様に側位のポリエーテル基を有する非分枝鎖状ポリシロキサンである。
【0098】
シリコーン油A1:
12500mm2/秒の粘度のポリジメチルシロキサン94部および親水性珪酸6部をコロイドミル(間隙0.6mm)を用いて3回均質化する。この混合物を190℃に10時間加熱することによって、珪酸をインサイチュー(in−situ)で疎水化する。
【0099】
脱気試験の記載:
硬質木材および軟質木材のケミカルパルププロセスからの黒色排液350ml(ハードウッドおよびソフトウッドは、UPM Kymmene Oy社、クウサンコスキー在、フィンランド国、からのものであった)を、撹拌下にビーカー中で一定の条件下に15分間80℃に加熱し、その後にこのビーカーから同様に80℃にサーモスタットにより温度調整されたガラス製攪拌型オートクレーブ中に移す。
【0100】
0の測定:
前記オートクレーブを脱気剤の供給なしに閉鎖し、3秒の待ち時間後にオートクレーブの底面の出口弁を5秒間開く。
【0101】
更に、黒色排液を3バールの圧力下でメスシリンダー中に排出し、その後に直ちに質量および容量を密度の算出のために定める。
【0102】
2の測定:
前記オートクレーブを脱気剤の供給なしに閉鎖し、含まれている黒色排液を3バールの圧縮空気圧力下で800rpmで10分間攪拌する。3秒の待ち時間後にオートクレーブの底面の出口弁を5秒間開く。
【0103】
更に、黒色排液を3バールの圧力下でメスシリンダー中に排出し、その後に直ちに質量および容量を密度の算出のために定める。
【0104】
1の測定:
前記オートクレーブを脱気剤の供給なしに閉鎖し、含まれている黒色排液を3バールの圧縮空気圧力下で800rpmで10分間攪拌する。3秒の待ち時間後にオートクレーブの底面の出口弁を5秒間開く。
【0105】
更に、黒色排液を3バールの圧力下でメスシリンダー中に排出し、その後に直ちに質量および容量を密度の算出のために定める。
0=脱気剤なしで80℃での黒色排液の密度;攪拌なし。
2=脱気剤なしで80℃での黒色排液の密度;攪拌後。
1=脱気剤なしで80℃での黒色排液の密度;攪拌後。
脱気率 %=100×(D1−D2)/(D0−D2
0(ハードウッド):1.02g/m3およびD2(ハードウッド):0.87g/m3
0(ソフトウッド):1.04g/m3およびD2(ソフトウッド):0.79g/m3
【実施例】
【0106】
実施例1〜3(重合体1〜3を用いる)、
比較試験1(重合体1+シリコーン油A1を用いる)および比較試験2(重合体V1を用いる):
脱気剤としての使用のために、重合体A1〜A3(実施例1〜3)および重合体V1(比較試験2)をそれぞれ20%の溶液として合成エステル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール−ジイソブチレート中に溶解する。
【0107】
比較試験1において、枝分かれしたポリエーテル−ポリシロキサン共重合体(重合体1)と共に上記のシリコーン油A1を含有する、WO 2006/128624 A1に記載の消泡剤配合物を脱気剤として使用する。
【0108】
比較試験1においては、20%の溶液は、重合体1 2%および上記のシリコーン油A1 18%を含有する(WO 2006/128624A1の実施例1(C11)による)。
【0109】
黒色排液中への20%の溶液または純粋なエステル(盲検試料)の供給量は、表中に記載されている。
【0110】
脱気における作用を試験した結果は、表中に記載されている。
【0111】
【表1】

【0112】
表の記載から確認することができるように、比較試験1における脱気は、実施例1におけるよりも明らかに劣悪である。従って、WO 2006/128624 A1に記載の消泡剤は、脱気剤として不適当である。
【0113】
これに対して、意外なことに、枝分かれしたポリエーテル−ポリシロキサン共重合体は、単独で消泡剤として適している。比較試験2においても、脱気は、実施例1よりも明らかに劣悪である。比較試験2においては、英国特許第2350117号明細書の記載と同様の枝分かれしてないポリエーテル−ポリシロキサン共重合体が使用される。これに対して、本発明による枝分かれしたポリエーテル−ポリシロキサン共重合体は、脱気において予想していなかった、よりいっそう良好な結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
枝分かれしたポリエーテル−ポリシロキサン共重合体0.0001〜5.0質量%、特に0.0002〜1.0質量%、特に有利に0.001〜0.2質量%を液体に添加することによってこの液体を脱気する方法であって、この場合枝分かれしたポリエーテル−ポリシロキサン共重合体として、ポリエーテル基が直鎖状シロキサン鎖に炭化水素基を介してSiC結合され、かつこのシロキサン鎖が酸素原子および窒素原子の群から選択された1個以上のヘテロ原子を含有していてよい、SiC結合した有機基、特に2価〜10価、有利に2価〜4価の炭化水素基を介して互いに結合されているものが使用される、液体を脱気する前記方法。
【請求項2】
枝分かれしたポリエーテル−ポリシロキサン共重合体として、直鎖状シロキサン鎖は、側位の直鎖状または分枝鎖状のSiC結合した有機基、特に直鎖状SiC結合した有機基を介して互いに結合しているか、または直鎖状シロキサン鎖は、末位で分枝鎖状有機基を介して互いに結合されているようなものが使用される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
枝分かれしたポリエーテル−ポリシロキサン共重合体として、シロキサン鎖は、ポリエーテル基およびウレタン基を含有する、側位の2価のSiC結合した炭化水素基を介して互いに結合している、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
枝分かれしたポリエーテル−ポリシロキサン共重合体として、第1工程で1分子当たり少なくとも1個のSiC結合した水素原子、特に少なくとも2個のSiC結合した水素原子を有する直鎖状オルガノポリシロキサン(1)を、一般式
1−(O−Cn2nm−A1−H (I)
〔式中、R1は、Si−H−基がヒドロシリル化反応において付着していてよい、1価の場合により置換された炭化水素基を表わし、
1は、−O−、−NH−および−NR'−(この場合、R'は、1〜18個の炭素原子を有する1価の炭化水素基を表わす)の群から選択された2価の極性有機基を表わし、
nは、1〜20の整数であり、
mは、整数である〕で示される十分に直鎖状のオリゴマーまたは重合体の化合物(2)と反応させ、
および第2工程で
こうして得られたH−A1−を有する中間生成物(4)を、1分子当たり少なくとも2個のイソシアネート基を有する有機化合物(5)と反応させることにより製造可能であるようなものが使用され、
但し、この場合ポリエーテル−ポリシロキサン共重合体の製造に使用される化合物(1)および(2)の含水量は、化合物(1)および(2)の全質量に対して2000質量ppmより低い、請求項1、2または3記載の方法。
【請求項5】
化合物(2)として、一般式
2C=CH−R2−(OCn2nm−OH (IV)
〔式中、R2は、1〜10個の炭素原子を有する2価の炭化水素基、有利に式−CH2−、−CH(CH3)−または−C(CH32−で示される基であり、および
nおよびmは、請求項4において記載された意味を有する〕で示されるポリエーテルが使用される、請求項4記載の方法。
【請求項6】
有機化合物(5)として、一般式
O=C=N−R3−N=C=O (V)
〔式中、R3は、基1個当たり4〜40個の炭素原子を有する2価の炭化水素基を表わす〕で示されるジイソシアネートが使用される、請求項4または5記載の方法。
【請求項7】
枝分かれしたポリエーテル−ポリシロキサン共重合体として、一般式
Y[−Cn'2n'−(R2SiO)m'−A'p'−R2Si−G]x' (I')
〔式中、
Yは、酸素原子および窒素原子の群から選択された1個以上のヘテロ原子を含有していてよい、3価〜10価、特に3価〜4価の炭化水素基を表わし、
Rは、同一でも異なっていてもよく、基1個当たり1〜18個の炭素原子を有する、1価の、場合によりハロゲン化された炭化水素基を表わし、
A'は、式−R2Si−R2'−(R2SiO)m'−の基を表わし、この場合、
2'は、1個以上の互いに別々の酸素原子によって中断されていてよい、2〜30個の炭素原子を有する2価の炭化水素基を表わし、
Gは、式−Cf'2f'-2k'−Zの1価の基または式−Cn'2n'−の2価の基を表わし、この場合さらなる基Yへの第2の結合が生じ、
Zは、式
−(R6'v'−(OCH2CH2a'[OCH2CH(CH3)]b'[OCH2CH(CH2CH3c']−OR3'で示される基を表わし、
上記式中、
3'は、水素原子または1〜18個の炭素原子を有する炭化水素基、または式R−C(O)−(この場合、Rは、上記の意味を有する)の基を表わし、
6'は、1〜10個の炭素原子を有する2価の炭化水素基を表わし、および
v'は、0または1であり、および
a'、b'およびc'は、0または1〜1000の整数であり、
但し、この場合(a'+b'+c')の総和は、2〜2000の値を有し、
x'は、3〜10の整数であり、
f'は、2〜12の整数であり、
k'は、0または1であり、
n'は、2〜12の整数であり、
m'は、少なくとも1の整数であり、
p'は、0または正の整数である〕で示される構造要素を含有するようなものが使用され、
但し、この場合枝分かれしたポリエーテル−ポリシロキサン共重合体は、平均して少なくとも1個の基Zを含有する、請求項1または2記載の方法。
【請求項8】
枝分かれしたポリエーテル−ポリシロキサン共重合体として、一般式
【化1】

〔式中、
Rは、互いに無関係に、同一でも異なっていてもよく、1〜30個の炭素原子を有する、置換された、および/または置換されていない炭化水素基を表わし、
*は、Rまたは基
−R2*−(CH2CH2CO)a*[CH2CH(CH3)O]b*[H2CH(CH2CH3)O]c*−OR1*または
−R2*−(CH2CH2O)d*[CH2CH(CH3)O]e*[H2CH(CH2CH3)O]f*−OR2*の1つを表わし、
およびR1*は、水素またはアルキル基、アラルキル基、アリール基、R−C(O)−基を表わし、
x*は、0.1〜200の値を取り、
y*は、1〜1000の値を取り、および
z*は、0.01〜2.0の値を取り、
およびa*、b*、c*、d*、e*およびf*は、0〜1000の値を取り、但し、この場合(a*+b*+c*)からの総和および(d*+e*+f*)からの総和は、2〜2000の値を取り、および
2*は、2〜10個の炭素原子を有するアルキレン基を表わし、開いた原子価は、再び基
【化2】

と結合されている〕で示されるものが使用される、請求項1または2記載の方法。
【請求項9】
液体を脱気する方法において、ガスを分散された形で含有する、即ち液体の体積分がガスの体積分より高いようなミクロフォームを含有する液体のガス含量を減少させる、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
ケミカルパルプの製造において生じる液体を脱気する方法に使用する、請求項1から9までのいずれか1項に記載の方法。

【公表番号】特表2013−506551(P2013−506551A)
【公表日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532538(P2012−532538)
【出願日】平成22年9月29日(2010.9.29)
【国際出願番号】PCT/EP2010/064466
【国際公開番号】WO2011/042342
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】