説明

液体を供給する装置

【課題】簡単な機構と単純な管理作業で多様な目的で使用される液体を適時適切に補給することによって、装置や設備の初期投資と管理コストとを大幅に削減する。
【解決手段】トリチェリの気圧測定実験の機構によって液体の表面を一定に保ち、液体の物性を利用して貯液部からの移動を制御し、大容量の補給タンクから高精度の制御を加えながら必要な量を必要な時に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触物に自動的に液体を供給し、供給された該液体による多様な効果を得る装置に関する。本発明において接触物の定義は、該接触物の一部として該液体と直接接触する部分を接触面として持ち、適宜の目的で液体を該接触面から供給されて消費する物質である。例えば、履物・車輪・タイヤ・キャタピラ又は植物の培養土・根又は環境調整装置又は工業用の供給作業における被供給物又は供給面上を循環する気体などである。
【背景技術】
【0002】
従来、通行する接触物に冷却・防塵・凍結防止・洗浄・消毒・標識などを目的として、打水・散水・凍結防止液・洗浄水・消毒液・標識液などの液体を供給した。このための従来の手段は、散水車・散水パイプ・浅い溜池・吸水スポンジなどを利用する方法であった。しかし、側溝に流れたり、蒸発したり、飛沫が周辺に付着したりして相当量が損失した。加えて、損失した分を適時に補うことが難しかった。即ち従来の手段には下記のような二大欠点があった。
・ 損失量が多かった。
・ 適時に適量の補給をするために面倒な手間や特別な設備を要した。
【0003】
上記の欠点を解消し、消費に応じて補給するために浅い溜池の周辺に置いた補給タンクから自動的に液を供給する機能舗装(特許文献1に示す)が発明された。この発明は通行する人や車の重力で弾性体の表面を液面下に押し下げることを利用し、水などの液体を接触物に付着させ、付着した液で車輪の洗浄・消毒及び路面の凍結防止・冷却・防塵・洗浄・消毒を行った。即ち、下記の二点で上記の欠点を解決した。
・ 接触物の重力で配列ブロックの表面を液面下まで押し下げ、露出した該液面から必要な液量を該接触物に付着させた。
・ よく知られたトリチェリの気圧測定実験の仕組みを利用した液面保持によって消費分を自動的に補給した。
【特許文献1】日本国特許第4096032号 機能舗装 (平成20年3月)
【0004】
しかし、この機能舗装の持つ次のような欠点が実用化を阻んできた。
・ 材料とその周辺設備の施工に大きな費用が掛かる欠点があった。この理由は次のようである。交通荷重が接触物を介して表層を定められた液面まで押し下げる時、沈下の復元には弾性挙動が求められる。表層表面を確実に液体の液面より下げるために必要な一定の沈下量を確保し、加えて、通過後は沈下を無負荷時の状態まで復元するためには弾性体の歪量が極めて小さく限定される。即ち、一定の沈下量を確保して歪量を小さくするために、使用する弾性体の初期厚さが厚くなるからである。
・ 通過速度が制限されたり、乗り心地を悪化させたりする欠点があった。表層表面が変位するので平坦性が失われるからである。
・ 雨や雪で水溜りや結氷面が生じる欠点があった。即ち、ブロックの配列位置と姿勢が交通によって変化して窪みが形成された。窪みは通過交通による飛沫で周辺を濡らしたり、汚染したり、発生する波により液を流失させたりした。この欠点は弾性体の厚みが増すほど助長された。結氷は交通事故の原因になった。
・ 目的の機能が低下する欠点があった。凍結防止液や消毒のように液の持つ機能の発揮が目的の場合に、該溜まりが発生すると、雨水等の流入水により液が希釈されるからである。特に補給パイプが長い場合はタンクからの補給速度が低下し、希釈の進行が促進され影響が大きくなった。
・ 補給パイプの端末の固定機構が表層表面より高くなるので交通の障害になった。また、このため道路の端から離れた位置に独立して設置することが難しかった。この理由は、補給タンクからの供給量が吐出口から流入して液体と置換する空気の量によるからである。従って気泡の移動を容易にするために補給パイプが単調な下り勾配に設置されることが要求された。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の欠点の原因は、表層を一定の液面まで押し下げることによって接触物に液体を供給することにある。即ち、解決しようとする問題点は、表層の押し下げによる液面の露出において、弾性体の弾性限界内で圧縮するので弾性体の厚さが増大し全体が肥大化し、加えて、沈下量が制限されているので表層表面の水平精度が高く要求され、設置費用が上昇した。またこの課題が弾性体を薄くして小さい沈下量で確実に濡らすために出来るだけ高い位置に液面を置くことを要求し、補給パイプの吐き出し口とその固定装置が表層より上に突出た。突き出た部分が障害になるため設置場所が制限された。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明における上記課題解決の手段は、請求項1に記述のように、補給タンクに貯留した液体をトリチェリの仕組みを利用して使用面における維持液面の高さを一定に保つ利点を継承しつつ、表層の平坦性を維持し、その上で接触物の圧力又は飽和度の変化に応じて該接触物と液体とを接触させる。即ち表層の下降に依存しない方法で供給するために、下記のように構成され、一定面積の対象範囲において、少なくとも一部をなす供給面を持ち、接触物の接触面又は該供給面の周辺に適宜の機能を持つ液体を供給し、供給に消費した量を自動的に補給することを特徴とする液体を供給する装置である。
・ 密封された補給タンク内に該液体を貯留し、該補給タンクの下端を開放した吐出口を任意の高さに制御して該液体の維持液面を維持制御する。
・ 該供給面の下方の少なくとも一部に該液体が待機する貯液部を設ける。
・ 該貯液部の液周辺と液底面とを該液体に対し不透過性の材料で製作する。
・ 該供給面に接する該貯液部を、内部空間を持つ小区分に区分する。
・ 該内部空間において該維持液面の該液体を内部液として保持する。
・ 下記の原因による該内部液の移動、又は、該接触面の凸部との直接接触によって該液体を該接触面に供給する。
a 該小区分の接する外気の気圧降下
b 該内部液の加圧
c 該内部空間の形状変形を原因とする該内部空間の体積減少
d 該内部空間に挿入した挿入物の体積の増加
e 該挿入物の毛細管現象による吸い上げ
f 移動する該挿入物に付着して移動
【0007】
請求項1の6)を構成する各細目に対応して次のように補足説明する。
a について:例えばタイヤの通過直後や制御空間の膨張による負圧を発生させて気圧を降下させる。
b について:該吐出口の上昇又は該補給タンク内に発生した液上空間への気体又は液体の注入により制御する。例えば吐出口をスライドやヒンジで上下させ、浮子やモーターで昇降させる。該維持液面が上下し、該供給面の供給の能力を制御することが容易になり、該供給面近傍の設備や装置を簡素化し設置・交換・設置場所の移動・除去などをより簡便かつ迅速に実施すること可能にする。特に、大量の雨や雪の場合、樹脂製などの浮子を付けて浮かせることによって一時的な維持液面の上昇が可能になるので流入による該液体の希釈を防ぐことが容易になる。加えて、該内部空間の圧力・磁力・温度変化・振動・電磁波の何れかの変化を判定するセンサー手段を用いると、その出力によって維持液面をより精密に制御することができるので該液体の機能を更に高める。
c 該内部空間の少なくとも一部を変形と復元を繰り返す変形材料で構成し、圧力・磁力・温度変化・振動・電磁波の何れかで該変形材料を変形させることができる。該変形による該内部空間の縮小によって該内部液を上昇させる、上昇ができれば維持液面の位置を更に下げることができるのでより多様な用途に応用することができる。例えば、該変形材料はゴムや樹脂の弾性体や蛇腹機構で構成し、近傍の条件判定や該接触物の接近などによってセンサーに生ずる変化で圧力・磁力・温度変化・振動・電磁波などの物理現象による作用を用いて該弾性体を変形させる。
d 挿入物を低弾性材や可塑性材で作成し、内部の気泡を膨脹させて体積を増加させることはよく知られている。加えて、該挿入物を弾性変形・折り畳み・スライドの何れかで繰り返して変形が可能に製作して体積の増加を図ることも一般に知られている。
e 柱状の繊維束・紙紐・吸水樹脂などを毛細管の挿入物とし、その下端を小区分内の液体内に挿入し、上端を維持液面より上に出すことにより、内部液を引き上げる。
f 該挿入物の一部を弾性変形・折り畳み・スライドの何れかで変形可能に製作し、この変形によって該挿入物の一部を繰り返し往復させ、往路で該一部を該内部液で濡らし、復路で該一部の濡れた部分から接触又は絞り出しによって供給する。
【0008】
場合によって請求項2のように、該供給面と該小区分とを一体化して下記のように加工した供給シートとし、重力・磁力・摩擦力・吸着力・接着力の何れかを用いて該供給シートを固定し、運搬・保管・取扱を更に簡易にする。
・ 該供給シートを略等厚に成形し、重ねた時の両接面の条件を下記の仕方に製作する。
a 相互に噛み合う凹凸の起伏を設ける。
b 摩擦係数を0.05以上に仕上げる。
・ 該供給シートの少なくとも一部に可撓性の材料を用いて巻き取り又は折り畳み自在に加工する。
該供給面と該内部空間とを一体のユニットとし、複数の該ユニットを線状又は網状の材料によりシート状に連結する
【0009】
また場合によって請求項3のように、該供給面から水平距離が離れた位置に中継室を設けて該吐出口を配置し、該中継室と該維持液面とを連結空間で連結し、両者における液面の高さが等しくなることを利用して該維持液面を制御する。これにより維持液面の制御装置の位置が自由に選択できるので該吐出口の制御機構とセンサーの取り付けが容易になり機能が向上する。加えて、交通障害を避けたり、保守を容易にしたり、該供給面を独立した島状に設置したりすることが容易になり、用途が更に広くなる。
【0010】
また場合によって請求項4のように、該維持液面から上昇した該内部液を、該接触物の圧力・湿度・飽和度・磁力・温度変化・振動・電磁波の何れかの変化によって該供給面の外部に押し出す。この手段により、該供給面の外部に押し出すことによって供給が容易になり、実際に供給された被供給面と該供給面との面積比が増大する。即ち、道路における該接触物の通過時の圧力若しくは振動、又は、植物栽培における外気や培養土の温度や乾湿の変化よって該小区分の空間に保持された該液体を該供給面の外部に押し出し、押し出された該液体で該接触物を濡らす。これにより供給速度を促進し汎用性が増す。該液体を利用する多くの分野に本発明を利用することができる。
【0011】
また場合によって請求項5のように、該供給面の上に内部に空間を持つ制御空間を設け、吸収性の材料による吸収層を該供給面の上に配置することによって該制御空間を該吸収層を介して該液体に暴露し、該液体への暴露により該制御空間の物理的条件即ち湿度・温度・照度・香り・反響を制御する。該液体が水や湯であれば補給タンク又は中継室で加熱・冷却を加えて供給面で供給する液体の散布や蒸発速度を温度で容易に制御するので該制御空間の物理的条件が制御される。例えば、内部に空間を持つ制御空間即ち三次元物体の被覆空間(例えば植物用のラップ並びに土及び動物用の居室及び鉱物用の包など)を吸水性の材料による吸水層を介して該供給面の上に配置することによって、所望の温度・湿度に制御される。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、簡単な機構によって無駄な損失を防ぎ、多様な態様の接触物に対する供給を自動化して損失と同時に損失量を供給するので適時適切な供給が可能になる。加えて必要な資材・設置費用・維持管理費などを大きく減少させる。従って施工費及び維持管理費の大幅な軽減を可能にする効果を奏し、加えて、設置位置やその変更を容易にするので必要に応じて敷設したり、移動したり、撤去したりすることが可能になり汎用性と利便性とを増進する効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
ヒートアイランド緩和のために液体33である水を舗装した路面に散布する装置への応用例について図1と図2を参照して記述する。対象範囲2は散水して冷却の対象とする路面である。供給面21となる部分を凹に成形し浅池状の貯液部23を2個の小区部25に分割し準備する。該貯液部の側面は液周辺24、下は液底面25として不透水性に仕上げる。密封された補給タンク31内の水は吐出口35から中継室71に吐き出され、連結空間72を経て該貯液部に至る。走行する自動車のタイヤは接触物5とし、そのトレッドは接触面52として該供給面を走行し該液体としての水を付着する。該タイヤは付着した水を該対象範囲に塗布しながら通過する。消費された分は該吐出口を空中に露出させないように自動的に補給される。
【0014】
図1の左上から右下に向けて該接触物たるタイヤの進行方向に見た断面図を図2に示す。該吐出口は中継室71の中に配置する。維持液面22は自動的に該吐出口の高さに調整される。この形態においては、該小区分の寸法が大きいので該タイヤの通過速度によっては飛沫や波による損失が増す。速度制限又は該小区分の寸法や底面の粗度の制御によっても損失量を防ぐことができる。
【実施例1】
【0015】
本発明の実施例1は斜視図として図1に示すように、ゴムタイヤのトレッドが接触面52として走行しながら液体33を周辺に塗布する。上記の最良の形態は液体や用法を選択して用途を変えることが容易である。例えば凍結防止液に変えた凍結防止、吐出口35を引き上げて水深を深くし飛沫を大きくした防塵、更に水深を深くしたタイヤ洗浄などである。
【実施例2】
【0016】
実施例2を図3に示す。これは本発明の実施例1に対して、小区分を分割して飛沫・波を防ぎ、平坦性を確保して高速通過を可能にするため貯液部23に多孔の供給シート29を挿入した装置である。該小区分の中に貯留された液体を、タイヤの部分挿入や接地圧による該小区分の縮小など多様な作用で該接触面たるトレッドに移す。。成要素を組み合わせる要領を図4に示す。
【実施例3】
【0017】
実施例3は請求項2のように本発明の実施例1において、該供給面・該小区分・該液周辺・該液底面をシート状に一体化した供給シート29である。図5に示すように管状の連結空間72を貯液部23に挿入する。
【実施例4】
【0018】
板状に培養土を成型して接触物5を実施例3の供給シート29の上に重ねる要領を図6に示す。該接触物に芝などの植物を植えるためである。
【実施例5】
【0019】
実施例3の供給シート29を複数重ねて用いる例を図7に示す。補給タンク31をも別にして異なる液体を供給することができるので植物の成長に適した組成や密度の異なる溶液を適した時期に供給することを吐出口35の単純な開閉で可能にする。
【実施例6】
【0020】
挿入物28を小区分25に挿入した例を図8に示す。下端は貯液部23に浸かり、上端は供給シート29の上に突き出ている。各挿入物には毛細管現象で液体を上に吸い上げる機能を持たせる。例えば多孔樹脂や紙ロールをプラスチックで巻いた円筒などである。液体33を毛細管現象で上昇させる。上昇した液体は車輪などで踏まれて押し出され路面に散布したり、乾燥して飽和度が低下した培養土が吸収して植物の養分としたり、室内や覆いで囲んだ空間の湿度を制御したりできるので、多様の用途に使用が可能である。
【実施例7】
【0021】
弾性と撓みによって上下動する挿入物28を小区分25に挿入した例を図9に示す。上からの圧力で僅かに突き出た上端部分を押し下げる。押し下げで該下端の浸液部分が膨張したり、維持液面22より下になった下端部分に液体33が付着したりする。膨張は内部液を押し上げる。圧力が通過すると形状が復元し、付着した分が上に上がり蒸発・押し出しで上部に開放される。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、上記の効果によって下記のように多くの分野の利用可能性を持つ液体の自動化された経済的・汎用的・利便的な供給手段を提供する。
・ 交通:冷却用打水・防塵用散水・凍結防止液・洗浄水など多様な液体をタイヤや靴に供給して交通の安全と能率の向上に寄与する効果がある。特に、凍結防止液を用いて、交差点・急斜面・日陰道路・橋梁・トンネルなどにおけるスリップ事故を防止する。加えて、散水冷却によるヒートアイランドの緩和は近年要望の強い効果である。なお、該供給面を略水平平面に成形し、該供給面の下に上層と下層の二層に分け、該小区分の集合した該上層に透過性を持たせ、より緻密な材料で該下層及び該上層の周辺を成型して透過性を制限する方法の場合は、従来の透水性舗装や排水性舗装の技術を転用することが容易になるので特別な技術や設備を省くことができる。加えて、関わる全体の厚さをより減少させることができる。
・ 防疫:病院・鶏舎・豚舎・厩舎などの出入口において通過する接触物に消毒液などを供給する。
・ 洗浄:供給量を制御して接触物の洗浄を自動的且つ簡易に実施する。土工作業現場や泥濘地の出入車両や人による外部道路の汚染を防止する。
・ 標識:接触物が接触した時間と場所の証拠としての標識を遅滞なく行う。ある地点の通過事実の証明、マラソンなど多数の接触物が同一経路を通過した証拠、離れた二個所の通過点の速度算定などを容易にする。
・ 植物の栽培や維持:接触物が植物又はその植物を栽培する培養土若しくは生育土砂の場合は、水分や養分を含んだ溶液を植物の根や茎に適切に補給し、周辺の適正な湿度を維持することができるので栽培コストを下げ、よい成果を得る効果を奏する。特に、室内の観葉植物など長期出張で給水ができない期間に自動的に水分や養分を補給するために用いると簡単な装置と手間で遅滞の無い無人管理が可能になる。
・ 空間管理:適宜の液体を制御空間に暴露することにより該制御空間の乾湿・温度・照度・香り・反響などを調整し、適切な環境条件を自動的に維持する。
・ 工業利用:機構と維持作業が簡単なために該液体の種類を選択して対象とする接触物に自動的に供給することができる。該液体は防腐液・消毒液・芳香液・標識塗料・印刷インク・栄養液・芳香液など供給によって機能を発揮する全ての液体の供給作業に適用ができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の設置要領を示した斜視図である。(実施例1)
【図2】本発明の液体の経路を示す断面図である。(実施例1)
【図3】多孔シートを貯留部に用いた部分的斜視図である。(実施例2)
【図4】構成要素の組み合わせ要領の斜視図である。(実施例2)
【図5】構成要素を一体化した供給シートの斜視図である。(実施例3)
【図6】シート状の接触物5の場合の斜視図である。(実施例4)
【図7】斜視図である。(実施例5)
【図8】挿入物28が小区分25を貫く要領を示す斜視図である。(実施例6)
【図9】押し込みと戻りが可能な挿入物28の配置要領を示す斜視図である。(実施例7)
【符号の説明】
【0024】
2 対象範囲
21 供給面
22 維持液面
23 貯液部
24 液周辺
25 小区分
29 供給シート
31 補給タンク
33 液体
35 吐出口
37 注入口
38 栓
5 接触物
52 接触面
71 中継室
72 連結空間
75 液底面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記のように構成され、一定面積の対象範囲において、少なくとも一部をなす供給面を持ち、接触物の接触面又は該供給面の周辺に適宜の機能を持つ液体を供給し、供給に消費した量を自動的に補給することを特徴とする液体を供給する装置。
・ 密封された補給タンク内に該液体を貯留し、該補給タンクの下端を開放した吐出口を任意の高さに制御して該液体の維持液面を維持制御する。
・ 該供給面の下方の少なくとも一部に該液体が待機する貯液部を設ける。
・ 該貯液部の液周辺と液底面とを該液体に対し不透過性の材料で製作する。
・ 該供給面に接する該貯液部を、内部空間を持つ小区分に区分する。
・ 該内部空間において該維持液面の該液体を内部液として保持する。
・ 下記の原因による該内部液の移動、又は、該接触面の凸部との直接接触によって該液体を該接触面に供給する。
a 該小区分の接する外気の気圧降下
b 該内部液の加圧
c 該内部空間の形状変形を原因とする該内部空間の体積減少
d 該内部空間に挿入した挿入物の体積の増加
e 該挿入物の毛細管現象による吸い上げ
f 移動する該挿入物に付着して移動
【請求項2】
該供給面と該小区分とを一体化して下記のように加工した供給シートとし、重力・磁力・摩擦力・吸着力・接着力の何れかを用いて該供給シートを固定したことを特徴とする請求項1記載の液体を供給する装置。
・ 該供給シートを略等厚に成形し、重ねた時の両接面の条件を下記の仕方に製作する。
a 相互に噛み合う凹凸の起伏を設ける。
b 摩擦係数を0.05以上に仕上げる。
・ 該供給シートの少なくとも一部に可撓性の材料を用いて巻き取り又は折り畳み自在に加工する。
・ 該供給面と該内部空間とを一体のユニットとし、複数の該ユニットを線状又は網状の材料によりシート状に連結する。
【請求項3】
該供給面から水平距離が離れた位置に中継室を設けて該吐出口を配置し、該中継室と該維持液面とを連結空間で連結し、両者における液面の高さが等しくなることを利用して該維持液面を制御することを特徴とする請求項1記載の液体を供給する装置。
【請求項4】
該維持液面から上昇した該内部液を、該接触物の圧力・湿度・飽和度・磁力・温度変化・振動・電磁波の何れかの変化によって該供給面の外部に押し出すことを特徴とする請求項1記載の液体を供給する装置。
【請求項5】
該供給面の上に内部に空間を持つ制御空間を設け、吸収性の材料による吸収層を該供給面の上に配置することによって該制御空間を該吸収層を介して該液体に暴露し、該液体への暴露により該制御空間の物理的条件即ち湿度・温度・照度・香り・反響を制御することを特徴とする請求項1記載の液体を供給する装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−77705(P2010−77705A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−248058(P2008−248058)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(391012213)
【Fターム(参考)】