液体コンテナ
【課題】円筒状胴部を有するドラム缶形のコンテナ本体と、コンテナ用袋体とを組み合わせた液体コンテナの実施を容易にする構造を提供する。
【解決手段】ドラム缶形のコンテナ本体1と、底部に排出口用の口部材4が固着されたコンテナ用袋体3と、口部材4に締結されるバルブ付き排出管5を備え、コンテナ本体の底板12に開口16を設け、バルブ付き排出管5を開口16に通して底板下方に出すとともに、筒壁部71の上端に外フランジ72、下端に口部材4のフランジ部42を受ける内フランジ73を設けた受け部材7を開口16に嵌合して開口周縁部16aに係合し、排出管5をコンテナ本体1の底板12とパレット2との間で横向きに支持する。
【解決手段】ドラム缶形のコンテナ本体1と、底部に排出口用の口部材4が固着されたコンテナ用袋体3と、口部材4に締結されるバルブ付き排出管5を備え、コンテナ本体の底板12に開口16を設け、バルブ付き排出管5を開口16に通して底板下方に出すとともに、筒壁部71の上端に外フランジ72、下端に口部材4のフランジ部42を受ける内フランジ73を設けた受け部材7を開口16に嵌合して開口周縁部16aに係合し、排出管5をコンテナ本体1の底板12とパレット2との間で横向きに支持する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種薬品や液状食品その他の液体の輸送に用いられる液体コンテナ、特にドラム缶形のコンテナ本体と袋体とを組み合わせた液体コンテナに関するものである。
【従来の技術】
【0002】
従来より、各種の薬品や液状の食品あるいは飲料や液状塗料等の液体を収容し輸送するコンテナとして、金属製やプラスチック製のタンクが一般に用いられていたが、この種のタンクはかなり高価であり、また繰り返し使用するための洗浄、特にバルブ付き排出管の洗浄がきわめて面倒なものになっていた。
【0003】
そのため、近年、繰り返し使用のための洗浄作業を容易にあるいは不要にするために、ポリエチレン等の合成樹脂製やステンレス等の金属製のコンテナ本体内に、ワンウエイ使用の合成樹脂フィルム製の袋体を装入セットして使用する液体コンテナが出現している。
【0004】
本出願人も、合成樹脂フィルム等よりなるコンテナ用袋体を剛性のあるコンテナ本体としての外枠と組み合わせた液体コンテナとして、外枠への袋体のセット作業及びバルブ付き排出管のセット作業、袋体底部の排出口とバルブ付き排出管との接続作業等を容易に行うことができ、かつ袋体の取り出しの際に残留液が滴り落ちるのを防止するために、袋体底部の排出口にバルブ付き排出管を接続しておいて、この排出管を、外枠の内側から底受部に有する開口を通して該底受部の下方に出して支持し、また袋体を取り出す際に、排出管を接続したままにして外枠内に抜き出して取り出せるようにした液体コンテナを提案している(特許文献1)。
【0005】
前記提案の液体コンテナにおいて、コンテナ本体としての外枠が四角形の場合には、その内部に装入セットする袋体が、外枠の形態に対応した角筒状胴部を有する角底の袋体からなるものが一般的である。通常、前記袋体は、コンテナ本体より大きめに作られており、液体の収納により膨らんで、コンテナ本体の内面に添接でするものであるが、この袋体の装入セット作業の際に、袋体の角筒状胴部の方向がコンテナ本体の角筒状胴部に対してずれていると、液体の収納によってコンテナ本体の内面に密着するときに、袋体が部分的に強く引っ張られたり歪んでひきつった状態になり、その結果、袋体が破損する虞があり、装入セット作業の際の位置合わせが面倒なものである。このため、袋体の装入セット作業をさらに容易にして、かつ引きつれ等を生じさせないようにするためには、コンテナ本体の胴部を円筒形とし、又袋体についても円筒状胴部を有するものが望ましい。
【0006】
また、輸送対象の液体が劇薬物等の場合には、車両事故等により転倒しても容易に変形しない、あるいは破損しない強度を保有することが要求されることから、袋体と組み合わせるコンテナ本体としては、強度を有するドラム缶等の使用が望まれ、その実施を容易にする構造が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3769653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の要望に応えるためになしたもので、円筒状胴部を有するドラム缶形のコンテナ本体と、コンテナ用袋体とを組み合わせた液体コンテナの実施を容易にする構造を提供するものであり、さらにはコンテナ本体をパレット上に設置した状態において、袋体の排出口用の口部材に締結したバルブ付き排出管を、コンテナ本体の底板とパレットとの間で横向きに支持し、問題なく開閉操作できるようにした構造の液体コンテナを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決する本発明の液体コンテナは、パレット上に支持脚部によりバルブ付き排出管を配置するための間隔を存して支持された円筒状胴部を有するドラム缶形のコンテナ本体と、排出管締結用の筒部の一端にフランジ部を連設してなる排出口用の口部材が前記フランジ部で袋底部に固着されて前記コンテナ本体に装入セットされるコンテナ用袋体と、前記口部材の筒部に締結されるエルボ管を含むバルブ付き排出管とからなる液体コンテナであって、前記コンテナ本体の底板の中央部に、前記口部材の筒部に締結されたバルブ付き排出管を抜き通し得る開口が設けられるとともに、前記口部材の筒部の外周に遊嵌もしくは嵌合した状態で前記口部材のフランジ部を受支する受け部材が、前記底板の開口周縁部上にセット自在に設けられてなり、前記受け部材は、前記底板の開口内に嵌入できる筒壁部の上端部に前記開口周縁部上に載接する外フランジが、前記筒壁部の下端部に前記口部材のフランジ部を受ける内フランジがそれぞれ設けられてなり、前記バルブ付き排出管をコンテナ本体内から前記開口を通して下方に出して横向きにした状態で、前記口部材のフランジ部を受け部材の前記内フランジで受支し、該バルブ付き排出管がコンテナ本体の底板部とパレットとの間で横向きに支持されることを特徴とするものである。
【0010】
これにより、円筒状胴部を有するドラム缶形のコンテナ本体に対するコンテナ用袋体のセット作業及びバルブ付き排出管のセット作業、袋体底部の排出口とバルブ付き排出管との接続作業等を容易に行うことができ、かつ袋体の取り出しの際に残留液が滴り落ちるのを防止することができる。
【0011】
しかも、排出口用の口部材のフランジ部を受ける受け部材を、筒壁部の上端部に外フランジ、下端部に内フランジを設けた形態にして、前記口部材のフランジ部をコンテナ本体の底板より下方位置で前記内フランジにより受けるようにしたことにより、コンテナ本体の底板が水平をなすものであるにもかかわらず、該底板とパレット上面との間には、略L字形のエルボ管の縦部分を過度に長くすることなく、バルブ付き排出管をパレット上に横向きに支持して設置でき、かつバルブ操作するのに必要な間隔を保有することができる。また、前記エルボ管の縦部分を長くする必要がないため、前記底板の開口を抜き通す操作も容易になる。
【0012】
前記の液体コンテナにおいて、コンテナ本体がドラム缶、特には金属製のドラム缶であるのが好ましく、転倒等によっても変形あるいは破損することがなく、劇薬物等に好適に使用できることになる。
【0013】
前記の液体コンテナにおいて、前記受け部材の筒壁部が下方側程径小のテーパ状をなしているのがよく、これにより、バルブ付き排出管を排出口用の口部材に締結したコンテナ用袋体を、コンテナ本体に装入セットする際、前記受け部材をコンテナ本体の底板に有する開口にコンテナ内から容易に嵌め込みセットすることができる。
【0014】
前記の液体コンテナにおいて、バルブ付き排出管が、前記口部材の筒部に締結されるエルボ管に、バルブを備える口金部材が接続されてなり、前記底板の開口を通して下方に出して横向きにした状態において前記バルブの外周部分がパレット上の位置決め係止部に係止固定されるものとする。これにより、バルブ付き排出管をパレット上に安定性よく位置決め固定できる。
【0015】
前記の液体コンテナにおいて、パレット上の前記位置決め係止部として、バルブの外周部分の前後部に係止する前後係止板を有する係止部材が、バルブの外周部分を上方より嵌め込み可能な正面凹形に屈曲形成されてパレット上に固設されてなり、該係止部材の左右縦部の少なくとも一方の上端部に、該係止部材に嵌め込まれた前記バルブの外周部分を押さえる押さえ部材がねじ締結手段により固着自在に設けられてなるものとすることができる。これにより、コンテナ本体の底板に有する開口を通して下方に抜き通したバルブ付き排出管を、簡単な嵌め込み操作で、位置決めできて、かつ簡単なねじ止め操作で固定保持することができる。
【0016】
前記の液体コンテナにおいて、前記コンテナ本体の前記開口周縁部を除く底板上に、環状円板よりなり、がつ上面が外周縁から内周縁に向かって傾斜面をなす排出補助用の底部材が脱着自在に載設されてなるものとすることができる。これにより、袋体内に収容されている液体を底板上に殆ど残留させずに排出することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の液体コンテナによれば、円筒状胴部を有するドラム缶形のコンテナ本体とコンテナ用袋体とを組み合わせた液体コンテナの実施が容易になり、袋体の排出口用の口部材に締結したバルブ付き排出管を、コンテナ本体の底板部とパレットとの間に、横向きにしてかつバルブ操作上の問題なく設置しておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る液体コンテナの組立てセット状態の概略を示す断面図である。
【図2】同上の一部を欠截した正面図である。
【図3】同上のコンテナ用袋体の排出口用の口部材にバルブ付き排出管を接続する前の一部の拡大断面図である。
【図4】同上のバルブ付き排出管を排出口用の口部材に接続した状態の一部の拡大断面図である。
【図5】コンテナ本体の底板部分の拡大断面図である。
【図6】コンテナ本体の底板中央部の開口と受け部材の拡大断面斜視図である。
【図7】コンテナ本体の底板中央部の開口にバルブ付き排出管を通す状態の一部の断面図である。
【図8】同上の排出管を開口に通して組立てセットした状態の一部の断面図である。
【図9】コンテナ本体を省略したパレット上面の平面図である。
【図10】バルブ付き排出管の位置決め係止部の部分の拡大斜視図である。
【図11】同上のバルブ外周部分を位置決め固定した状態の一部の拡大断面図である。
【発明の実施の形態】
【0019】
次に本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。
【0020】
図において、1は円筒状胴部11を有するドラム缶形のコンテナ本体、2は前記コンテナ本体1を支持する支持台としてのパレット、3は前記コンテナ本体1に装入セットされるコンテナ用袋体であり、コンテナ本体1に対応した主として円筒状の筒状胴部31を有し、底部32の中央部には排出口用の口部材4が固着されている、5は前記口部材4に締結されるエルボ管51を含むバルブ付き排出管である。
【0021】
前記コンテナ用袋体3は、例えばポリエチレンフィルム等の合成樹脂フィルムの単層もしくは複層のシートよりなる袋、またはこれらとターポリン製シートとの組み合わせよりなる袋、あるいはゴム製の気密性のある袋よりなり、その上部の略中央にキャップ付の注入口33が設けられ、底部32の中央部に前記口部材4による排出口が設けられてなる。もちろん、他の形態の袋であってもよいのは言うまでもない。
【0022】
前記排出口用の口部材4は、図3等に拡大して示すように、ポリエチレン樹脂あるいはポリカーボネート等のある程度の強度を有する合成樹脂成形体により形成され、排出管締結用の筒部41と、該筒部41の一端に連設されたフランジ部42とよりなり、前記フランジ部42に前記袋体5の底部の排出口周縁が熱融着手段等によりシール状態に固着されている。前記筒部41の端部と、前記バルブ付き排出管5のエルボ管51の端部とは、例えばクランプ式の締結手段6により前記両端部をパッキン(図示省略)を介して突き合わせ状態にして液密に締結できるように設けられている。前記フランジ部42は、通常、例えば円形又は角部に丸みをつけた略四角形をなしているが、楕円形や5角形以上の多角形とすることもできる。
【0023】
前記バルブ付き排出管5は、主としてステンレス等の金属製で、前記口部材4の筒部41に締結される略L字形をなすエルボ管51と、該エルボ管51に適宜締結手段により接続されるバルブ52付の口金部材53とからなる。前記エルボ管51としては、市販のエルボ管を利用することができる。
【0024】
なお、前記口部材4と前記排出管5のエルボ管51との締結手段としては、前記のクランプ式の締結手段6のほか、他の締結手段を利用することも可能であるが、実施上は、前記のクランプ式の締結手段6が締結操作の容易性や連結部のシール性等の点から特に好ましい。前記バルブ付き排出管5のエルボ管51と口金部材53との接続にも前記と同様のクランプ式の締結構造を利用することができる。
【0025】
前記コンテナ本体1は、円筒状胴部11を有するドラム缶形をなす容器であれば、金属製のものに限らず、プラスチック製のドラム缶等の容器を使用することもできるが、実施上は金属製ドラム缶が好適に使用される。図示する実施例では、コンテナ本体1として金属製のドラム缶を使用しており、円筒状胴部11の下端部には底板12がリング状の締め付け部材13により固定されている。前記円筒状胴部11の上端部に被着される蓋板14は、リング状の締め付け部材15に着脱自在に設けられている。
【0026】
かかるコンテナ本体1は、パレット2の上面の左右部に間隔をおいて立設された支持脚部21により、前記底板12とパレット上面との間に前記バルブ付き排出管5を横向きに配置してかつバルブ操作に支承のない間隔を保有する高さに支持されている。
【0027】
前記コンテナ本体1の底板12には、その中央部の前両支持脚部21,21間の部分にエルボ管51を含む前記バルブ付き排出管5を抜き通し得る大きさの開口16が設けられている。さらに前記口部材4の筒部41の外周に遊嵌もしくは嵌合した状態で前記口部材4のフランジ部42を受支する受け部材7が、前記底板12の開口周縁部(開口16の周縁部)16a上に係合セット自在に設けられている。
【0028】
前記受け部材7は、前記コンテナ本体1の底板12の開口16内に嵌入できる筒壁部、特に好ましくは図のように下方側程径小のテーパ状をなしている筒壁部71の上端部に前記開口周縁部16a上に載接する外フランジ72が、前記筒壁部71の下端部に前記口部材4の筒部41の外周に遊嵌もしくは嵌合してフランジ部42を受ける内フランジ73がそれぞれ設けられてなり、前記筒壁部71を前記開口16に内側から嵌入して下部を下方に突出させた状態で前記外フランジ72を開口周縁部16aに載設し係合できるようになっている。これにより、前記バルブ付き排出管5を、前記コンテナ本体1の内側から前記開口16を下方に通した状態で、前記口部材4のフランジ部42を受け部材7の前記内フランジ73で受け、該バルブ付き排出管5を、コンテナ本体1の底板12とパレット2の上面との間で横向きに支持できるようになっている。
【0029】
特に本発明の場合、前記のように前記受け部材7を、筒壁部71の上端部に外フランジ72、下端部に内フランジ73を設けた形態にして、前記口部材4のフランジ部42をコンテナ本体1の底板12より下方位置で前記内フランジ73により受けるようにしたことで、コンテナ本体1の底板12が水平をなすものであるにもかかわらず、該底板12とパレット2上面との間には、略L字形のエルボ管51の縦部分51aを過度に長くすることなく、バルブ付き排出管5をパレット2上に横向きに支持して設置でき、かつバルブ操作するのに必要な間隔を保有することができる。またそのため、前記開口16を必要以上に大きくする必要がなく、また前記エルボ管51として、市販のエルボ管を利用することもできることになる。
【0030】
前記受け部材7は、筒壁部71が必ずしもテーパ状なすものでなくてもよいが、テーパ状をなしている方が、袋体3の装入セット作業の際に、コンテナ本体1の底部中央の開口16に対する嵌め込み操作が容易なり好ましい。
【0031】
図中の符号8は、前記コンテナ本体1の前記開口周縁部16a、すなわち前記受け部材7の外フランジ72を載接する開口周縁部16aを除く底板12上に保護を兼ねて載設された排出補助用の底部材であり、例えば合成樹脂材や発泡樹脂材あるいは断熱ボード等により形成された環状円板よりなり、上面81が外周縁から内周縁に向かって傾斜面をなしており、該上面81で受ける袋体3内の液体を中央部に向かって流し易くし、排出差養和補助できるようになっている。
【0032】
前記パレット2は、図のように、上下板22,23が四隅部と四方各辺の中央部で連結支柱24により連結されてなり、四方からフォークリフトによる運搬移動のためのフォークを差し込めるフォーク挿し込み部25が設けられてなる。そして、上板22による上面の左右部に鋼材製のアングル材や板材等よりなる前記支持脚部21、21がバルブ付き排出管5をセットできる空間を保有するように間隔をおいて立設され、該支持脚部21上に前記コンテナ本体1の下端部が溶接手段等により固定されて支持されている。図中の26は前記支持脚部21,21に沿って設けた補強部材、27は上板22の外周部に設けた補強用突縁、28は水抜き穴である。
【0033】
前記パレット2の上面には、前記コンテナ本体1の底板12開口を通して下方に出して横向きにした状態の前記バルブ付き排出管5のバルブ52の外周部分54を係止して位置決めし係止固定する位置決め係止部9が設けられている。
【0034】
前記位置決め係止部9として、図示する実施例の場合、図10及び図11に示すように、バルブ付き排出管5の前記バルブ外周部分54の前後部に係止する前後係止板92,93を有する係止部材91が、バルブ外周部分54を上方より嵌め込み可能な正面凹形に屈曲形成されてパレット2上に溶接手段により固設され、さらに該係止部材91の左右縦部94の少なくとも一方の上端部94aが外方に折曲延成され、該上端部94aに、該係止部材91に嵌め込まれた前記バルブ外周部分54を押さえる押さえ部材95がねじ締結手段96により固着自在に設けられている。97は前記ねじ締結手段96の螺合用ねじ部であり、例えばナットが前記上端部94aに固着されてなる。
【0035】
前記位置決め係止部9としては、バルブ付き排出管5をパレット2上に安定性よく係止固定できるものであれば、どのような構造のものであってもよいが、実施上は、前記の嵌め込みを利用した形態にするのが好ましい。
【0036】
上記の構成をなす液体コンテナにおけるコンテナ用袋体3及びバルブ付き排出管5等のコンテナ本体1への装入セットする方法について説明する。
【0037】
コンテナ用袋体3をドラム缶形のコンテナ本体1内に装入セットして使用できる状態に組み立てるには、組込みを開始するまでに、コンテナ本体1の外部において、前記袋体3の底部の排出口用の口部材4に、バルブ付き排出管5を締結しておく。この締結操作は、例えば図3及び図4に示すように、前記口部材4の筒部41の外周に前記受け部材7の内フランジ73を遊嵌もしくは嵌合した状態にして組み合わせておいて、該口部材4の筒部41の端部に、バルブ付き排出管5のエルボ管51の端部をパッキン(図示省略)を介して突き合わせて、クランプ式の締結手段6により締結する。この締結作業は、コンテナ本体1の外部の広い場所で容易に行える。
【0038】
そして、前記バルブ付き排出管5を締結したコンテナ用袋体3を、コンテナ本体1の蓋板14を被着する前の上部開口からコンテナ本体1内に装入し、前記バルブ付き排出管5を底板12の中央部に有する開口16に、図7のように内側から下方に通して底板12の下方に抜き出す。これと同時に、前記受け部材7の筒壁部71を前記開口16に嵌め込んで上端の外フランジ72を開口周縁部16aに載接して係合セットし、この状態で前記口部材4のフランジ部42を底板12より下方位置で前記内フランジ73で受支する。
【0039】
そして、底板12の開口16より下方に出したバルブ付き排出管5は、パレット2の上面に適宜の固定手段により、例えば図示する実施例のように、パレット2上の位置決め係止部9として正面凹形の係止部材91の左右縦部94,94間にバルブ52の外周部分54を嵌め込んで前後係止板92,93に係止させて位置決め固定する(図11)。
【0040】
この後、コンテナ本体1内にセットした前記のコンテナ用袋体3の上部のキャップ付き注入口33より輸送対象の液体を注入し充填する。この際、前記注入口33を、適宜補助の支持部材(図示せず)を用いてコンテナ本体1の上部開口の高さ位置に保持しておくのがよい。また、必要に応じて、前記の液体注入までに袋体3内にエアを吹き込む等してコンテナ本体1の内面に沿うように膨らませておくこともできる。こうして液体を注入し充填したあと、コンテナ本体1の蓋板14を被着し輸送に供する。
【0041】
また、輸送先で内容物の液体を排出した後、ワンウエイ使用のコンテナ用袋体3をコンテナ本体1から取り出して分解し、コンテナ本体1及びバルブ付き排出管5については、輸送元に返送する。
【0042】
この分解作業の際、パレット2上のバルブ付き排出管5の固定を外し、該排出管5を袋体3の口部材4に連結した状態のままで、前記のセット作業とは逆にコンテナ本体1の底板12の開口16から受け部材7とともに上方へ抜き出し、そのまま前記袋体3をコンテナ本体1から取り出す。こうして、コンテナ本体1の外部において、前記排出管5を口部材4から分離すればよい。すなわち、コンテナ用袋体3は、その底部32に有する排出口用の口部材4にバルブ付き排出管5を締結した状態のまま、該排出管5を底板12の開口16を通してコンテナ本体1に組込み、またコンテナ本体1から取り出すことができるので、該袋体3や排出管5のセット作業及び取り出し分解作業を容易に、かつ残留液を滴り落とすおそれなく行うことができる。
【0043】
そのため、ドラム缶等の円筒状胴部を有するコンテナ本体と、コンテナ用袋体及びバルブ付き排出管を組み合わせた液体コンテナを容易に実施できる。
【符号の説明】
【0044】
1…コンテナ本体、11…円筒状胴部、12…底板、13…締め付け部材、14…蓋板凹設部、15…締め付け部材、16…開口、16a…開口周縁部、2…パレット、21…支持脚部、22,23…上下板、24…連結支柱、25…フォーク挿し込み部、26…補強部材、27…補強用突縁、28…水抜き穴、3…コンテナ用袋体、31…筒状胴部、32…底部、33…注入口、4…排出口用の口部材、41…排出管締結用の筒部、42…フランジ部、5…バルブ付きの排出管、51…エルボ管、52…バルブ、53…口金部材、54…バルブ外周部分、6…締結手段、7…受け部材、71…筒壁部、72…外フランジ、73…内フランジ、8…排出補助用の底部材、81…上面、9…位置決め係止部、91…係止部材、92,93…前後係止板、94…左右縦部、94a…上端部、95…押さえ部材、96…ねじ締結手段、97…螺合用ねじ部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種薬品や液状食品その他の液体の輸送に用いられる液体コンテナ、特にドラム缶形のコンテナ本体と袋体とを組み合わせた液体コンテナに関するものである。
【従来の技術】
【0002】
従来より、各種の薬品や液状の食品あるいは飲料や液状塗料等の液体を収容し輸送するコンテナとして、金属製やプラスチック製のタンクが一般に用いられていたが、この種のタンクはかなり高価であり、また繰り返し使用するための洗浄、特にバルブ付き排出管の洗浄がきわめて面倒なものになっていた。
【0003】
そのため、近年、繰り返し使用のための洗浄作業を容易にあるいは不要にするために、ポリエチレン等の合成樹脂製やステンレス等の金属製のコンテナ本体内に、ワンウエイ使用の合成樹脂フィルム製の袋体を装入セットして使用する液体コンテナが出現している。
【0004】
本出願人も、合成樹脂フィルム等よりなるコンテナ用袋体を剛性のあるコンテナ本体としての外枠と組み合わせた液体コンテナとして、外枠への袋体のセット作業及びバルブ付き排出管のセット作業、袋体底部の排出口とバルブ付き排出管との接続作業等を容易に行うことができ、かつ袋体の取り出しの際に残留液が滴り落ちるのを防止するために、袋体底部の排出口にバルブ付き排出管を接続しておいて、この排出管を、外枠の内側から底受部に有する開口を通して該底受部の下方に出して支持し、また袋体を取り出す際に、排出管を接続したままにして外枠内に抜き出して取り出せるようにした液体コンテナを提案している(特許文献1)。
【0005】
前記提案の液体コンテナにおいて、コンテナ本体としての外枠が四角形の場合には、その内部に装入セットする袋体が、外枠の形態に対応した角筒状胴部を有する角底の袋体からなるものが一般的である。通常、前記袋体は、コンテナ本体より大きめに作られており、液体の収納により膨らんで、コンテナ本体の内面に添接でするものであるが、この袋体の装入セット作業の際に、袋体の角筒状胴部の方向がコンテナ本体の角筒状胴部に対してずれていると、液体の収納によってコンテナ本体の内面に密着するときに、袋体が部分的に強く引っ張られたり歪んでひきつった状態になり、その結果、袋体が破損する虞があり、装入セット作業の際の位置合わせが面倒なものである。このため、袋体の装入セット作業をさらに容易にして、かつ引きつれ等を生じさせないようにするためには、コンテナ本体の胴部を円筒形とし、又袋体についても円筒状胴部を有するものが望ましい。
【0006】
また、輸送対象の液体が劇薬物等の場合には、車両事故等により転倒しても容易に変形しない、あるいは破損しない強度を保有することが要求されることから、袋体と組み合わせるコンテナ本体としては、強度を有するドラム缶等の使用が望まれ、その実施を容易にする構造が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3769653号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の要望に応えるためになしたもので、円筒状胴部を有するドラム缶形のコンテナ本体と、コンテナ用袋体とを組み合わせた液体コンテナの実施を容易にする構造を提供するものであり、さらにはコンテナ本体をパレット上に設置した状態において、袋体の排出口用の口部材に締結したバルブ付き排出管を、コンテナ本体の底板とパレットとの間で横向きに支持し、問題なく開閉操作できるようにした構造の液体コンテナを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決する本発明の液体コンテナは、パレット上に支持脚部によりバルブ付き排出管を配置するための間隔を存して支持された円筒状胴部を有するドラム缶形のコンテナ本体と、排出管締結用の筒部の一端にフランジ部を連設してなる排出口用の口部材が前記フランジ部で袋底部に固着されて前記コンテナ本体に装入セットされるコンテナ用袋体と、前記口部材の筒部に締結されるエルボ管を含むバルブ付き排出管とからなる液体コンテナであって、前記コンテナ本体の底板の中央部に、前記口部材の筒部に締結されたバルブ付き排出管を抜き通し得る開口が設けられるとともに、前記口部材の筒部の外周に遊嵌もしくは嵌合した状態で前記口部材のフランジ部を受支する受け部材が、前記底板の開口周縁部上にセット自在に設けられてなり、前記受け部材は、前記底板の開口内に嵌入できる筒壁部の上端部に前記開口周縁部上に載接する外フランジが、前記筒壁部の下端部に前記口部材のフランジ部を受ける内フランジがそれぞれ設けられてなり、前記バルブ付き排出管をコンテナ本体内から前記開口を通して下方に出して横向きにした状態で、前記口部材のフランジ部を受け部材の前記内フランジで受支し、該バルブ付き排出管がコンテナ本体の底板部とパレットとの間で横向きに支持されることを特徴とするものである。
【0010】
これにより、円筒状胴部を有するドラム缶形のコンテナ本体に対するコンテナ用袋体のセット作業及びバルブ付き排出管のセット作業、袋体底部の排出口とバルブ付き排出管との接続作業等を容易に行うことができ、かつ袋体の取り出しの際に残留液が滴り落ちるのを防止することができる。
【0011】
しかも、排出口用の口部材のフランジ部を受ける受け部材を、筒壁部の上端部に外フランジ、下端部に内フランジを設けた形態にして、前記口部材のフランジ部をコンテナ本体の底板より下方位置で前記内フランジにより受けるようにしたことにより、コンテナ本体の底板が水平をなすものであるにもかかわらず、該底板とパレット上面との間には、略L字形のエルボ管の縦部分を過度に長くすることなく、バルブ付き排出管をパレット上に横向きに支持して設置でき、かつバルブ操作するのに必要な間隔を保有することができる。また、前記エルボ管の縦部分を長くする必要がないため、前記底板の開口を抜き通す操作も容易になる。
【0012】
前記の液体コンテナにおいて、コンテナ本体がドラム缶、特には金属製のドラム缶であるのが好ましく、転倒等によっても変形あるいは破損することがなく、劇薬物等に好適に使用できることになる。
【0013】
前記の液体コンテナにおいて、前記受け部材の筒壁部が下方側程径小のテーパ状をなしているのがよく、これにより、バルブ付き排出管を排出口用の口部材に締結したコンテナ用袋体を、コンテナ本体に装入セットする際、前記受け部材をコンテナ本体の底板に有する開口にコンテナ内から容易に嵌め込みセットすることができる。
【0014】
前記の液体コンテナにおいて、バルブ付き排出管が、前記口部材の筒部に締結されるエルボ管に、バルブを備える口金部材が接続されてなり、前記底板の開口を通して下方に出して横向きにした状態において前記バルブの外周部分がパレット上の位置決め係止部に係止固定されるものとする。これにより、バルブ付き排出管をパレット上に安定性よく位置決め固定できる。
【0015】
前記の液体コンテナにおいて、パレット上の前記位置決め係止部として、バルブの外周部分の前後部に係止する前後係止板を有する係止部材が、バルブの外周部分を上方より嵌め込み可能な正面凹形に屈曲形成されてパレット上に固設されてなり、該係止部材の左右縦部の少なくとも一方の上端部に、該係止部材に嵌め込まれた前記バルブの外周部分を押さえる押さえ部材がねじ締結手段により固着自在に設けられてなるものとすることができる。これにより、コンテナ本体の底板に有する開口を通して下方に抜き通したバルブ付き排出管を、簡単な嵌め込み操作で、位置決めできて、かつ簡単なねじ止め操作で固定保持することができる。
【0016】
前記の液体コンテナにおいて、前記コンテナ本体の前記開口周縁部を除く底板上に、環状円板よりなり、がつ上面が外周縁から内周縁に向かって傾斜面をなす排出補助用の底部材が脱着自在に載設されてなるものとすることができる。これにより、袋体内に収容されている液体を底板上に殆ど残留させずに排出することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の液体コンテナによれば、円筒状胴部を有するドラム缶形のコンテナ本体とコンテナ用袋体とを組み合わせた液体コンテナの実施が容易になり、袋体の排出口用の口部材に締結したバルブ付き排出管を、コンテナ本体の底板部とパレットとの間に、横向きにしてかつバルブ操作上の問題なく設置しておくことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る液体コンテナの組立てセット状態の概略を示す断面図である。
【図2】同上の一部を欠截した正面図である。
【図3】同上のコンテナ用袋体の排出口用の口部材にバルブ付き排出管を接続する前の一部の拡大断面図である。
【図4】同上のバルブ付き排出管を排出口用の口部材に接続した状態の一部の拡大断面図である。
【図5】コンテナ本体の底板部分の拡大断面図である。
【図6】コンテナ本体の底板中央部の開口と受け部材の拡大断面斜視図である。
【図7】コンテナ本体の底板中央部の開口にバルブ付き排出管を通す状態の一部の断面図である。
【図8】同上の排出管を開口に通して組立てセットした状態の一部の断面図である。
【図9】コンテナ本体を省略したパレット上面の平面図である。
【図10】バルブ付き排出管の位置決め係止部の部分の拡大斜視図である。
【図11】同上のバルブ外周部分を位置決め固定した状態の一部の拡大断面図である。
【発明の実施の形態】
【0019】
次に本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。
【0020】
図において、1は円筒状胴部11を有するドラム缶形のコンテナ本体、2は前記コンテナ本体1を支持する支持台としてのパレット、3は前記コンテナ本体1に装入セットされるコンテナ用袋体であり、コンテナ本体1に対応した主として円筒状の筒状胴部31を有し、底部32の中央部には排出口用の口部材4が固着されている、5は前記口部材4に締結されるエルボ管51を含むバルブ付き排出管である。
【0021】
前記コンテナ用袋体3は、例えばポリエチレンフィルム等の合成樹脂フィルムの単層もしくは複層のシートよりなる袋、またはこれらとターポリン製シートとの組み合わせよりなる袋、あるいはゴム製の気密性のある袋よりなり、その上部の略中央にキャップ付の注入口33が設けられ、底部32の中央部に前記口部材4による排出口が設けられてなる。もちろん、他の形態の袋であってもよいのは言うまでもない。
【0022】
前記排出口用の口部材4は、図3等に拡大して示すように、ポリエチレン樹脂あるいはポリカーボネート等のある程度の強度を有する合成樹脂成形体により形成され、排出管締結用の筒部41と、該筒部41の一端に連設されたフランジ部42とよりなり、前記フランジ部42に前記袋体5の底部の排出口周縁が熱融着手段等によりシール状態に固着されている。前記筒部41の端部と、前記バルブ付き排出管5のエルボ管51の端部とは、例えばクランプ式の締結手段6により前記両端部をパッキン(図示省略)を介して突き合わせ状態にして液密に締結できるように設けられている。前記フランジ部42は、通常、例えば円形又は角部に丸みをつけた略四角形をなしているが、楕円形や5角形以上の多角形とすることもできる。
【0023】
前記バルブ付き排出管5は、主としてステンレス等の金属製で、前記口部材4の筒部41に締結される略L字形をなすエルボ管51と、該エルボ管51に適宜締結手段により接続されるバルブ52付の口金部材53とからなる。前記エルボ管51としては、市販のエルボ管を利用することができる。
【0024】
なお、前記口部材4と前記排出管5のエルボ管51との締結手段としては、前記のクランプ式の締結手段6のほか、他の締結手段を利用することも可能であるが、実施上は、前記のクランプ式の締結手段6が締結操作の容易性や連結部のシール性等の点から特に好ましい。前記バルブ付き排出管5のエルボ管51と口金部材53との接続にも前記と同様のクランプ式の締結構造を利用することができる。
【0025】
前記コンテナ本体1は、円筒状胴部11を有するドラム缶形をなす容器であれば、金属製のものに限らず、プラスチック製のドラム缶等の容器を使用することもできるが、実施上は金属製ドラム缶が好適に使用される。図示する実施例では、コンテナ本体1として金属製のドラム缶を使用しており、円筒状胴部11の下端部には底板12がリング状の締め付け部材13により固定されている。前記円筒状胴部11の上端部に被着される蓋板14は、リング状の締め付け部材15に着脱自在に設けられている。
【0026】
かかるコンテナ本体1は、パレット2の上面の左右部に間隔をおいて立設された支持脚部21により、前記底板12とパレット上面との間に前記バルブ付き排出管5を横向きに配置してかつバルブ操作に支承のない間隔を保有する高さに支持されている。
【0027】
前記コンテナ本体1の底板12には、その中央部の前両支持脚部21,21間の部分にエルボ管51を含む前記バルブ付き排出管5を抜き通し得る大きさの開口16が設けられている。さらに前記口部材4の筒部41の外周に遊嵌もしくは嵌合した状態で前記口部材4のフランジ部42を受支する受け部材7が、前記底板12の開口周縁部(開口16の周縁部)16a上に係合セット自在に設けられている。
【0028】
前記受け部材7は、前記コンテナ本体1の底板12の開口16内に嵌入できる筒壁部、特に好ましくは図のように下方側程径小のテーパ状をなしている筒壁部71の上端部に前記開口周縁部16a上に載接する外フランジ72が、前記筒壁部71の下端部に前記口部材4の筒部41の外周に遊嵌もしくは嵌合してフランジ部42を受ける内フランジ73がそれぞれ設けられてなり、前記筒壁部71を前記開口16に内側から嵌入して下部を下方に突出させた状態で前記外フランジ72を開口周縁部16aに載設し係合できるようになっている。これにより、前記バルブ付き排出管5を、前記コンテナ本体1の内側から前記開口16を下方に通した状態で、前記口部材4のフランジ部42を受け部材7の前記内フランジ73で受け、該バルブ付き排出管5を、コンテナ本体1の底板12とパレット2の上面との間で横向きに支持できるようになっている。
【0029】
特に本発明の場合、前記のように前記受け部材7を、筒壁部71の上端部に外フランジ72、下端部に内フランジ73を設けた形態にして、前記口部材4のフランジ部42をコンテナ本体1の底板12より下方位置で前記内フランジ73により受けるようにしたことで、コンテナ本体1の底板12が水平をなすものであるにもかかわらず、該底板12とパレット2上面との間には、略L字形のエルボ管51の縦部分51aを過度に長くすることなく、バルブ付き排出管5をパレット2上に横向きに支持して設置でき、かつバルブ操作するのに必要な間隔を保有することができる。またそのため、前記開口16を必要以上に大きくする必要がなく、また前記エルボ管51として、市販のエルボ管を利用することもできることになる。
【0030】
前記受け部材7は、筒壁部71が必ずしもテーパ状なすものでなくてもよいが、テーパ状をなしている方が、袋体3の装入セット作業の際に、コンテナ本体1の底部中央の開口16に対する嵌め込み操作が容易なり好ましい。
【0031】
図中の符号8は、前記コンテナ本体1の前記開口周縁部16a、すなわち前記受け部材7の外フランジ72を載接する開口周縁部16aを除く底板12上に保護を兼ねて載設された排出補助用の底部材であり、例えば合成樹脂材や発泡樹脂材あるいは断熱ボード等により形成された環状円板よりなり、上面81が外周縁から内周縁に向かって傾斜面をなしており、該上面81で受ける袋体3内の液体を中央部に向かって流し易くし、排出差養和補助できるようになっている。
【0032】
前記パレット2は、図のように、上下板22,23が四隅部と四方各辺の中央部で連結支柱24により連結されてなり、四方からフォークリフトによる運搬移動のためのフォークを差し込めるフォーク挿し込み部25が設けられてなる。そして、上板22による上面の左右部に鋼材製のアングル材や板材等よりなる前記支持脚部21、21がバルブ付き排出管5をセットできる空間を保有するように間隔をおいて立設され、該支持脚部21上に前記コンテナ本体1の下端部が溶接手段等により固定されて支持されている。図中の26は前記支持脚部21,21に沿って設けた補強部材、27は上板22の外周部に設けた補強用突縁、28は水抜き穴である。
【0033】
前記パレット2の上面には、前記コンテナ本体1の底板12開口を通して下方に出して横向きにした状態の前記バルブ付き排出管5のバルブ52の外周部分54を係止して位置決めし係止固定する位置決め係止部9が設けられている。
【0034】
前記位置決め係止部9として、図示する実施例の場合、図10及び図11に示すように、バルブ付き排出管5の前記バルブ外周部分54の前後部に係止する前後係止板92,93を有する係止部材91が、バルブ外周部分54を上方より嵌め込み可能な正面凹形に屈曲形成されてパレット2上に溶接手段により固設され、さらに該係止部材91の左右縦部94の少なくとも一方の上端部94aが外方に折曲延成され、該上端部94aに、該係止部材91に嵌め込まれた前記バルブ外周部分54を押さえる押さえ部材95がねじ締結手段96により固着自在に設けられている。97は前記ねじ締結手段96の螺合用ねじ部であり、例えばナットが前記上端部94aに固着されてなる。
【0035】
前記位置決め係止部9としては、バルブ付き排出管5をパレット2上に安定性よく係止固定できるものであれば、どのような構造のものであってもよいが、実施上は、前記の嵌め込みを利用した形態にするのが好ましい。
【0036】
上記の構成をなす液体コンテナにおけるコンテナ用袋体3及びバルブ付き排出管5等のコンテナ本体1への装入セットする方法について説明する。
【0037】
コンテナ用袋体3をドラム缶形のコンテナ本体1内に装入セットして使用できる状態に組み立てるには、組込みを開始するまでに、コンテナ本体1の外部において、前記袋体3の底部の排出口用の口部材4に、バルブ付き排出管5を締結しておく。この締結操作は、例えば図3及び図4に示すように、前記口部材4の筒部41の外周に前記受け部材7の内フランジ73を遊嵌もしくは嵌合した状態にして組み合わせておいて、該口部材4の筒部41の端部に、バルブ付き排出管5のエルボ管51の端部をパッキン(図示省略)を介して突き合わせて、クランプ式の締結手段6により締結する。この締結作業は、コンテナ本体1の外部の広い場所で容易に行える。
【0038】
そして、前記バルブ付き排出管5を締結したコンテナ用袋体3を、コンテナ本体1の蓋板14を被着する前の上部開口からコンテナ本体1内に装入し、前記バルブ付き排出管5を底板12の中央部に有する開口16に、図7のように内側から下方に通して底板12の下方に抜き出す。これと同時に、前記受け部材7の筒壁部71を前記開口16に嵌め込んで上端の外フランジ72を開口周縁部16aに載接して係合セットし、この状態で前記口部材4のフランジ部42を底板12より下方位置で前記内フランジ73で受支する。
【0039】
そして、底板12の開口16より下方に出したバルブ付き排出管5は、パレット2の上面に適宜の固定手段により、例えば図示する実施例のように、パレット2上の位置決め係止部9として正面凹形の係止部材91の左右縦部94,94間にバルブ52の外周部分54を嵌め込んで前後係止板92,93に係止させて位置決め固定する(図11)。
【0040】
この後、コンテナ本体1内にセットした前記のコンテナ用袋体3の上部のキャップ付き注入口33より輸送対象の液体を注入し充填する。この際、前記注入口33を、適宜補助の支持部材(図示せず)を用いてコンテナ本体1の上部開口の高さ位置に保持しておくのがよい。また、必要に応じて、前記の液体注入までに袋体3内にエアを吹き込む等してコンテナ本体1の内面に沿うように膨らませておくこともできる。こうして液体を注入し充填したあと、コンテナ本体1の蓋板14を被着し輸送に供する。
【0041】
また、輸送先で内容物の液体を排出した後、ワンウエイ使用のコンテナ用袋体3をコンテナ本体1から取り出して分解し、コンテナ本体1及びバルブ付き排出管5については、輸送元に返送する。
【0042】
この分解作業の際、パレット2上のバルブ付き排出管5の固定を外し、該排出管5を袋体3の口部材4に連結した状態のままで、前記のセット作業とは逆にコンテナ本体1の底板12の開口16から受け部材7とともに上方へ抜き出し、そのまま前記袋体3をコンテナ本体1から取り出す。こうして、コンテナ本体1の外部において、前記排出管5を口部材4から分離すればよい。すなわち、コンテナ用袋体3は、その底部32に有する排出口用の口部材4にバルブ付き排出管5を締結した状態のまま、該排出管5を底板12の開口16を通してコンテナ本体1に組込み、またコンテナ本体1から取り出すことができるので、該袋体3や排出管5のセット作業及び取り出し分解作業を容易に、かつ残留液を滴り落とすおそれなく行うことができる。
【0043】
そのため、ドラム缶等の円筒状胴部を有するコンテナ本体と、コンテナ用袋体及びバルブ付き排出管を組み合わせた液体コンテナを容易に実施できる。
【符号の説明】
【0044】
1…コンテナ本体、11…円筒状胴部、12…底板、13…締め付け部材、14…蓋板凹設部、15…締め付け部材、16…開口、16a…開口周縁部、2…パレット、21…支持脚部、22,23…上下板、24…連結支柱、25…フォーク挿し込み部、26…補強部材、27…補強用突縁、28…水抜き穴、3…コンテナ用袋体、31…筒状胴部、32…底部、33…注入口、4…排出口用の口部材、41…排出管締結用の筒部、42…フランジ部、5…バルブ付きの排出管、51…エルボ管、52…バルブ、53…口金部材、54…バルブ外周部分、6…締結手段、7…受け部材、71…筒壁部、72…外フランジ、73…内フランジ、8…排出補助用の底部材、81…上面、9…位置決め係止部、91…係止部材、92,93…前後係止板、94…左右縦部、94a…上端部、95…押さえ部材、96…ねじ締結手段、97…螺合用ねじ部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パレット上に支持脚部によりバルブ付き排出管を配置するための間隔を存して支持された円筒状胴部を有するドラム缶形のコンテナ本体と、排出管締結用の筒部の一端にフランジ部を連設してなる排出口用の口部材が前記フランジ部で袋底部に固着されて前記コンテナ本体に装入セットされるコンテナ用袋体と、前記口部材の筒部に締結されるエルボ管を含むバルブ付き排出管とからなる液体コンテナであって、
前記コンテナ本体の底板の中央部に、前記口部材の筒部に締結されたバルブ付き排出管を抜き通し得る開口が設けられるとともに、前記口部材の筒部の外周に遊嵌もしくは嵌合した状態で前記口部材のフランジ部を受ける受け部材が、前記底板の開口周縁部に係合セット自在に設けられてなり、
前記受け部材は、前記底板の開口内に嵌入できる筒壁部の上端部に前記開口周縁部上に載接する外フランジが、前記筒壁部の下端部に前記口部材のフランジ部を受ける内フランジがそれぞれ設けられてなり、前記バルブ付き排出管をコンテナ本体内から前記開口を通して下方に出して横向きにした状態で、前記口部材のフランジ部を受け部材の前記内フランジで受支し、該バルブ付き排出管がコンテナ本体の底板部とパレットとの間で横向きに支持されることを特徴とする液体コンテナ。
【請求項2】
コンテナ本体がドラム缶てある請求項1に記載の液体コンテナ。
【請求項3】
前記受け部材の筒壁部が下方側程径小のテーパ状をなしている請求項1又は2に記載の液体コンテナ。
【請求項4】
バルブ付き排出管が、前記口部材の筒部に締結されるエルボ管に、バルブを備える口金部材が接続されてなり、前記底板の開口を通して下方に出して横向きにした状態において前記バルブの外周部分がパレット上の位置決め係止部に係止固定されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体コンテナ。
【請求項5】
パレット上の前記位置決め係止部として、バルブの外周部分の前後部に係止する前後係止板を有する係止部材が、バルブの外周部分の外周部を上方より嵌め込み可能な正面凹形に屈曲形成されてパレット上に固設されてなり、該係止部材の左右縦部の少なくとも一方の上端部に、該係止部材に嵌め込まれた前記バルブの外周部分を押さえる押さえ部材がねじ締結手段により固着自在に設けられてなる請求項4に記載の液体コンテナ。
【請求項6】
前記コンテナ本体の前記開口周縁部を除く底板上に、環状円板よりなり、がつ上面が外周縁から内周縁に向かって傾斜面をなす排出補助用の底部材が脱着自在に載設されてなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の液体コンテナ。
【請求項1】
パレット上に支持脚部によりバルブ付き排出管を配置するための間隔を存して支持された円筒状胴部を有するドラム缶形のコンテナ本体と、排出管締結用の筒部の一端にフランジ部を連設してなる排出口用の口部材が前記フランジ部で袋底部に固着されて前記コンテナ本体に装入セットされるコンテナ用袋体と、前記口部材の筒部に締結されるエルボ管を含むバルブ付き排出管とからなる液体コンテナであって、
前記コンテナ本体の底板の中央部に、前記口部材の筒部に締結されたバルブ付き排出管を抜き通し得る開口が設けられるとともに、前記口部材の筒部の外周に遊嵌もしくは嵌合した状態で前記口部材のフランジ部を受ける受け部材が、前記底板の開口周縁部に係合セット自在に設けられてなり、
前記受け部材は、前記底板の開口内に嵌入できる筒壁部の上端部に前記開口周縁部上に載接する外フランジが、前記筒壁部の下端部に前記口部材のフランジ部を受ける内フランジがそれぞれ設けられてなり、前記バルブ付き排出管をコンテナ本体内から前記開口を通して下方に出して横向きにした状態で、前記口部材のフランジ部を受け部材の前記内フランジで受支し、該バルブ付き排出管がコンテナ本体の底板部とパレットとの間で横向きに支持されることを特徴とする液体コンテナ。
【請求項2】
コンテナ本体がドラム缶てある請求項1に記載の液体コンテナ。
【請求項3】
前記受け部材の筒壁部が下方側程径小のテーパ状をなしている請求項1又は2に記載の液体コンテナ。
【請求項4】
バルブ付き排出管が、前記口部材の筒部に締結されるエルボ管に、バルブを備える口金部材が接続されてなり、前記底板の開口を通して下方に出して横向きにした状態において前記バルブの外周部分がパレット上の位置決め係止部に係止固定されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体コンテナ。
【請求項5】
パレット上の前記位置決め係止部として、バルブの外周部分の前後部に係止する前後係止板を有する係止部材が、バルブの外周部分の外周部を上方より嵌め込み可能な正面凹形に屈曲形成されてパレット上に固設されてなり、該係止部材の左右縦部の少なくとも一方の上端部に、該係止部材に嵌め込まれた前記バルブの外周部分を押さえる押さえ部材がねじ締結手段により固着自在に設けられてなる請求項4に記載の液体コンテナ。
【請求項6】
前記コンテナ本体の前記開口周縁部を除く底板上に、環状円板よりなり、がつ上面が外周縁から内周縁に向かって傾斜面をなす排出補助用の底部材が脱着自在に載設されてなる請求項1〜5のいずれか1項に記載の液体コンテナ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−10522(P2013−10522A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143017(P2011−143017)
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(591123573)株式会社共立物流システム (7)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月28日(2011.6.28)
【出願人】(591123573)株式会社共立物流システム (7)
【Fターム(参考)】
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