説明

液体吐出ヘッドのクリーニング装置及びクリーニング方法、並びに画像形成装置

【課題】液体吐出ヘッドの液体吐出口が形成された面の撥液効果の低減を確実に抑制しつつ前記液体吐出口が形成された面に付着した異物を除去できる前記液体吐出ヘッドのクリーニング装置及びクリーニング方法、並びに前記液体吐出ヘッド及び前記クリーニング装置を備える画像形成装置を提供する。
【解決手段】 クリーニング装置100は、インク吐出ヘッド33のノズルプレートの表面に近接して対向する外周面を有する清掃用ローラ102、インク吐出ヘッド33内のインクを排出可能なインク送り手段104などを備えている。清掃用ローラ102の外周面とノズルプレートの表面との隙間に、インク吐出ヘッド33内のインクを排出させ、清掃用ローラ102を回転駆動することにより、ノズルプレートに付着した異物を除去する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出ヘッドのクリーニング装置及びクリーニング方法、並びに画像形成装置に係り、更に詳しくは、液体を吐出する液体吐出口がその一側の面に形成された液体吐出ヘッドのクリーニング装置及びクリーニング方法、並びに前記液体吐出ヘッドを用いて記録媒体に画像を形成し、前記クリーニング装置を用いて前記液体吐出ヘッドを清掃する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体吐出ヘッドから記録媒体(例えば用紙)に液体(例えばインク)を吐出して画像を形成する画像形成装置が知られている。
【0003】
この画像形成装置では、液体吐出ヘッドの液体吐出口(ノズル口)が形成された面(ノズル面)に、インク、塵、埃、紙粉等の異物が付着していると、インクの吐出不良、インク吐出方向の乱れ等の不具合が発生する。
【0004】
そこで、このような不具合の発生を防止すべく、例えば特許文献1及び2に記載の画像形成装置では、ノズル面に付着した上記異物を、ワイパーにより拭い(掻き)取ることにより除去していた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び2に記載の画像形成装置では、ワイパーによりノズル面を摺擦するので、ノズル面に形成された撥液膜が摩耗する。この結果、ノズル面の撥液効果が低減されて、液体吐出口からの液体の吐出不良が発生していた。
【0006】
本発明は、かかる事情の下になされたもので、その第1の目的は、液体吐出ヘッドの液体吐出口が形成された面の撥液効果の低減を確実に抑制しつつ前記液体吐出口が形成された面に付着した異物を除去できる前記液体吐出ヘッドのクリーニング装置及びクリーニング方法を提供することにある。
【0007】
また、本発明の第2の目的は、画像品質の低減を確実に抑制できる画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1の観点からすると、液体を吐出する液体吐出口が、その一側の面に形成された液体吐出ヘッドのクリーニング装置であって、前記一側の面に対向する対向面を有する対向部材と、前記液体吐出ヘッド内の前記液体を、前記液体吐出口を介して、前記一側の面と該一側の面に対向する前記対向面との隙間に供給する液体供給手段と、前記液体供給手段により前記液体が前記隙間に供給された状態で前記一側の面と前記対向面とを前記一側の面に平行な方向に相対移動させる第1の移動手段と、を備えることを特徴とするクリーニング装置である。ここで、本明細書中、「平行」とは、厳密に平行な場合だけでなく、実質的に平行な場合を含む。
【0009】
これによれば、液体吐出ヘッドの液体吐出口が形成された面の撥液効果の低減を確実に抑制しつつ液体吐出口が形成された面に付着した異物を除去できる。
【0010】
本発明は、第2の観点からすると、液体を吐出する液体吐出口が、その一側の面に形成された液体吐出ヘッドのクリ―ニング方法であって、前記液体吐出ヘッド内の液体を、前記液体吐出口を介して、前記一側の面と該一側の面に対向する対向面との隙間に供給することと、前記液体が前記隙間に供給された状態で前記一側の面と前記対向面とを前記一側の面に平行な方向に相対移動させることと、を含むクリーニング方法である。
【0011】
本発明は、第3の観点からすると、液体を吐出する液体吐出口が、その一側の面に形成された液体吐出ヘッドを用いて記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、本発明のクリーニング装置を備えることを特徴とする画像形成装置である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態に係る画像形成装置の内部構成を示す側面図である。
【図2】図2(A)及び図2(B)は、画像形成装置が有する画像記録部及びクリーニング装置を模式的に示す側面図(その1及びその2)である。
【図3】画像記録部の4つのインク吐出ヘッドを下方から見た平面図である。
【図4】図4(A)〜図4(E)は、インク吐出ヘッドの清掃動作を説明するための図(その1〜その5)である。
【図5】インク吐出ヘッドの清掃時における主制御装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】画像形成装置の制御の構成を示すブロック図である。
【図7】図7(A)及び図7(B)は、第2の実施形態の画像形成装置が有する画像記録部及びクリーニング装置を模式的に示す側面図(その1及びその2)である。
【図8】図8(A)〜図8(F)は、第2の実施形態のインク吐出ヘッドの清掃動作を説明するための図(その1〜その6)である。
【図9】第2の実施形態のインク吐出ヘッドの清掃時における主制御装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】図10(A)及び図10(B)は、第3の実施形態の画像形成装置が有する画像記録部及びクリーニング装置を模式的に示す側面図(その1及びその2)である。
【図11】図11(A)〜図11(E)は、第3の実施形態のインク吐出ヘッドの清掃動作を説明するための図(その1〜その5)である。
【図12】図12(A)及び図12(B)は、第4の実施形態の画像形成装置が有する画像記録部及びクリーニング装置を模式的に示す側面図(その1及びその2)である。
【図13】第4の実施形態のインク吐出ヘッドの清掃時における主制御装置の処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】第4の実施形態に係る画像形成装置の制御の構成を示すブロック図である。
【図15】第5の実施形態の4つのインク吐出ヘッド及び清掃用ローラを下方から見た平面図である。
【図16】図16(A)〜図16(C)は、第5の実施形態の画像形成装置が有する画像記録部及びクリーニング装置を模式的に示す側面図(その1〜その3)である。
【図17】図17(A)及び図17(B)は、第1の変形例の画像形成装置が有する画像記録部及びクリーニング装置を模式的に示す側面図(その1及びその2)である。
【図18】図18(A)及び図18(B)は、第2の変形例の画像形成装置が有する画像記録部及びクリーニング装置を模式的に示す側面図(その1及びその2)である。
【図19】図19(A)〜図19(C)は、第3の変形例の画像形成装置が有する画像記録部及びクリーニング装置を模式的に示す側面図(その1〜その3)である。
【図20】図20(A)及び図20(B)は、第4の変形例の画像形成装置が有する画像記録部及びクリーニング装置を模式的に示す側面図(その1及びその2)である。
【図21】図21(A)及び図21(B)は、第5の変形例の画像形成装置が有する画像記録部及びクリーニング装置を模式的に示す側面図(その1及びその2)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の第1の実施形態を図1〜図6に基づいて説明する。図1には、第1の実施形態に係る画像形成装置10の内部構成が側面図にて示されている。以下、画像形成装置10の幅方向(左右方向)をX軸方向、奥行き方向(前後方向)をY軸方向、X軸及びY軸方向に直交する方向をZ軸方向(鉛直方向)として説明する。
【0014】
この画像形成装置10は、パーソナル・コンピュータ(パソコン)などの出力装置として用いられるカラープリンタである。画像形成装置10は、図1に示されるように、本体ケース12、該本体ケース12の内部に収納された画像記録部14、用紙搬送系15、クリーニング装置100及び主制御装置110(図6参照)を含む。
【0015】
本体ケース12の下方部分の−Y側の側面には、図示しない開口が形成されており、この開口を介して前方側(図1における−Y側)から、多数枚の記録媒体としての用紙(シート)Pを積載可能な給紙カセット(或いは給紙トレイでも良い)16を着脱自在(抜き差し自在)に装着できるようになっている。また、本体ケース12の前面上半部には、用紙Pを手差しで給紙するための手差しトレイ18が起伏回動可能に設けられている。
【0016】
この画像形成装置10では、給紙カセット16あるいは手差しトレイ18から給送される用紙Pを用紙搬送系15にて取り込み、画像記録部14によって所要の画像を記録した後、本体ケース12の後面(背面)側に所定角度傾斜して装着された排紙トレイ20に排紙するようになっている。
【0017】
画像記録部14は、図2(A)に示されるように、複数(例えば4つ)のインク吐出ヘッド33を含むヘッドユニット34と、4つのインク吐出ヘッド33それぞれにインクを個別に供給する複数(例えば4つ)のインクカートリッジ36を含むカートリッジユニット41とを有する。
【0018】
インク吐出ヘッド33としては、圧電素子などの電気機械変換素子で液室壁面を形成する振動板を介してインクを加圧するピエゾ型、或いは発熱抵抗体により気泡を生じさせてインクを加圧するバブル型、若しくはインク流路壁面を形成する振動板とこれに対向する電極との間の静電力で振動板を変位させてインクを加圧する静電型などを使用することができるが、本実施形態の画像形成装置10では、図示は省略されているが、ピエゾ型のインク吐出ヘッドが採用されている。
【0019】
4つのインク吐出ヘッド33は、図2(A)に示されるように、X軸方向を軸線方向とする所定半径Rの仮想円柱の外周上部に沿って−Y側から+Y側に並んでおり、最も−Y側のインク吐出ヘッド33がイエロー(Y)のインクを吐出し、−Y側から数えて2番目のインク吐出ヘッド33がシアン(C)のインクを吐出し、−Y側から数えて3番目のインク吐出ヘッド33がマゼンタ(M)のインクを吐出し、−Y側から数えて4番目のインク吐出ヘッド33がブラック(B)のインクを吐出する。そこで、以下、4つのインク吐出ヘッド33それぞれを、−Y側から順に、インク吐出ヘッド33Y、33C、33M、33Bとも称する。4つのインク吐出ヘッド33Y、33C、33M、33Bは、主制御装置110により吐出駆動が個別に制御される(図6参照)。
【0020】
図3には、ヘッドユニット34を下方から見た状態が平面図にて示されている。4つのインク吐出ヘッド33それぞれは、図3に示されるように、X軸方向を長手方向とするベース部材33aと、該ベース部材33aに固定された複数(例えば6つ)のヘッド部33bと有する。
【0021】
4つのベース部材33aそれぞれは、その長手方向の寸法が用紙P(例えばA3版サイズの用紙)の幅方向の寸法に比べ幾分長くなっている。
【0022】
各インク吐出ヘッド33の6つのヘッド部33bそれぞれは、図4(A)に示されるように、インクを収容する液室35aがその内部に形成された液室部材35、該液室部材35の底壁に形成された開口35bに嵌合固定されたノズルプレート37などを含む。なお、図4(A)〜図4(E)には、インク吐出ヘッド33Yのヘッド部33bのみが代表的に示されている。
【0023】
各インク吐出ヘッド33では、そのノズルプレート37の表面が上記仮想円柱の外周面に接する接平面の一部にほぼ一致する状態で(図2(A)参照)、そのベース部材33aが図示しない支持部材を介して本体ケース12に支持されている。各インク吐出ヘッド33は、図2(A)に示される位置で、印字動作を行う。
【0024】
6つのノズルプレート37それぞれは、液室部材35の底壁の外壁面よりも液室35a外部側に突出している。
【0025】
ノズルプレート37としては、例えばSUS合金、ニッケルなどの導電性を有する材料から成る平板状の部材の表面に撥液膜が形成されたものが用いられている。
【0026】
各ノズルプレート37は、図3及び図4(A)に示されるように、X軸方向を長手方向としている。各ノズルプレート37には、Z軸方向、すなわち該ノズルプレート37に対し交差する方向に貫通する複数(多数)のノズル口37a(液体吐出口)が形成されている。多数のノズル口37aは、図3に示されるように、ノズルプレート37の長手方向(X軸方向)のほぼ全域に千鳥状に、すなわちノズルプレート37のX軸方向のほぼ全域に並んだ多数のノズル口37aからそれぞれ成る複数(例えば2つ)のノズル口列が、X軸方向にオーバーラップする(重なる)ようにY軸方向に並べて配置されている。
【0027】
このように、液室35aは、多数のノズル口37aを介して外部に開放されており、各インク吐出ヘッド33では、液室35a内のインクが正圧状態にされることにより、液室35a内に収容されたインクが多数のノズル口37aを介して下方に吐出(又は排出)される。
【0028】
また、図3に示されるように、各インク吐出ヘッド33の6つのノズルプレート37は、ベース部材33aの長手方向(X軸方向)のほぼ全域に千鳥状に、すなわちベース部材33aのX軸方向に並んだ複数(例えば3つ)のノズルプレート37からそれぞれ成る複数(例えば2つ)のノズルプレート列が、X軸方向にオーバーラップする(重なる)ようにY軸方向に並べて配置されている。
【0029】
すなわち、各インク吐出ヘッド33は、いわゆるフルライン型のインク吐出ヘッドを構成しており、例えばA3版サイズの用紙Pの幅方向全域にインクを吐出することができる。
【0030】
4つのインクカートリッジ36は、図2(A)に示されるように、それぞれ、対応するインク吐出ヘッド33Y、33C、33M、33Bに配管39を介して接続されており、それぞれ、対応するインク吐出ヘッド33Y、33C、33M、33Bに、Y、C、M、Bの各色のインクを供給する。配管39の中間部には、図示しない逆止弁が設けられており、各インク吐出ヘッド33から対応するインクカートリッジ36へのインクの逆流が防止されている。
【0031】
各インクカートリッジ36には、大気と連通する大気口(不図示)がその上部に形成され、インク吐出ヘッド33にインクを供給する供給口(不図示)がその下部に形成され、インクが充填された多孔質体を内蔵するインク室(不図示)がその内部に形成されている。各インクカートリッジ36では、多孔質体の毛管力によりインク吐出ヘッド33へ供給されるインクを僅かな負圧に維持している。
【0032】
各インクカートリッジ36は、本体ケース12に着脱自在(交換可能)に設けられている。以下、インク吐出ヘッド33Y、33C、33M、33Bそれぞれに対応するインクカートリッジ36を、インクカートリッジ36Y、36C、36M、36Bとも称する。
【0033】
用紙搬送系15は、図1に示されるように、給紙ローラ46、フリクションパッド48、ガイド部材50、搬送ローラ52、搬送コロ54、先端コロ56、印写受け部材58、搬送コロ60、拍車62、排紙ローラ64、拍車66及びガイド部材68、70等を備えている。
【0034】
給紙ローラ46及びフリクションパッド48は、給紙カセット16から用紙Pを一枚一枚分離して搬送系内に供給する役目を有している。ガイド部材50は、その供給された用紙Pを次段の搬送ローラ52に向けて案内する。搬送ローラ52の上方には、搬送コロ54及び先端コロ56が配置され、これらのコロが搬送ローラ52の外周面に押し付けられている。このため、搬送ローラ52が図1における時計回りに回転することにより、ガイド部材50によって案内された用紙Pは、反転された状態でその下流側のヘッドユニット34下方に設けられた印写受け部材58の方へ送られる。印写受け部材58は、搬送ローラ52から送り出された用紙Pをヘッドユニット34の下方側で案内する用紙ガイド部材である。
【0035】
先端コロ56は、位置の微調整が可能な構造となっており、その位置に応じて搬送ローラ52からの用紙Pの送り出し角度を規定する。前記搬送ローラ52は図示しないモータ、ギヤなどを含む駆動系により回転駆動されるようになっている。
【0036】
ガイド部材68、70は、印写受け部材58の搬送方向下流側に対向して配置され、印写受け部材58下流の用紙の排紙経路を形成する。この排紙経路の途中に搬送コロ60及び拍車62が配置され、搬送ローラ52から送り出され印写受け部材58及びガイド部材68、70を介して案内されてきた用紙Pを介して回転駆動され、その用紙Pを排紙方向へ送り出す。
【0037】
排紙ローラ64及び拍車66は、ガイド部材68、70により形成される排紙経路の最下流の位置に配置されており、ガイド部材68、70を介して案内されてきた用紙Pを介して回転駆動され、その用紙Pを排紙トレイ20に排出する。
【0038】
クリーニング装置100は、図2(A)に示されるように、清掃用ローラ102、複数(例えば4つ)のインク送り手段104、電圧印加手段107(図6参照)などを含む。
【0039】
清掃用ローラ102は、X軸方向を軸線方向とし、その半径rが上記仮想円柱の半径Rよりも僅かに小さい円柱状の外形を有する。清掃用ローラ102の軸線方向の寸法は、各インク吐出ヘッド33の長手方向の寸法よりも幾分長く設定されている(図3参照)。
【0040】
清掃用ローラ102は、図示は省略されているが、金属製の円柱状部材から成るローラ部材と、該ローラ部材の外周面に巻かれた例えば導電性を有するカーボンを分散した樹脂、導電性を有するゴム等から成る部材とを含む。そして、清掃用ローラ102の外周面は、撥液膜が形成されたノズルプレート37の表面よりも、撥液性が低く、すなわち濡れ性が高くなっている。
【0041】
清掃用ローラ102は、例えばモータ等を含むローラ駆動部111(図6参照)によりその軸線周りに回転駆動される。ローラ駆動部111は、主制御装置110により制御される(図6参照)。
【0042】
清掃用ローラ102の外周面近傍には、インク掻き取り手段としてのブレード106が配置されている。
【0043】
また、清掃用ローラ102は、後に詳しく説明するように、ヘッドユニット34の鉛直下方に、ローラ駆動部111及びブレード106と共に上下動可能に設けられている。
【0044】
ここで、印写受部材58は、図1及び図2(A)に示されるように、ヘッドユニット34の直下で、かつ清掃用ローラ102の上方に位置している。印写受け部材58は、その一端がX軸方向に延びる軸線周りに回動可能に支持された平板状の部材から成り、例えばソレノイド(不図示)を含む印写受け部材駆動部108(図6参照)により、XY平面に平行となる印写受け位置(図1及び図2(A)参照)と例えばXZ平面に平行となる退避位置(図2(B)参照)との間を回動可能となっている。印写受け部材駆動部108は、主制御装置110により制御される(図6参照)。
【0045】
清掃用ローラ102、ローラ駆動部111及びブレード106は、例えば不図示のラック・アンド・ピニオンを含むスライド機構、該スライド機構を作動させる例えばサーボモータ等を含む昇降装置112(図6参照)により、印写受け部材58が退避位置に位置するときに、印写受け部材58の下方の待機位置(図2(A)参照)と、4つのインク吐出ヘッド33に近接して対向する清掃位置(図2(B)参照)との間を上下動されるようになっている。
【0046】
詳述すると、清掃用ローラ102は、その軸線gのY位置が、上記仮想円柱の軸線GのY位置とほぼ一致した状態で、上記待機位置と上記清掃位置との間を上下動される。昇降装置112は、主制御装置110により制御される(図6参照)。
【0047】
清掃用ローラ102の清掃位置は、各インク吐出ヘッド33のノズルプレート37の表面と清掃用ローラ102の外周面とのクリアランスが、記録に用いられるインクの特性に応じた適正な値となる位置に設定されている。本実施形態では、一例として水性のインクが使用されており、上記クリアランスは、水性のインクの特性に応じた適正な値である例えば10μm〜500μm程度に設定されている。なお、このインクの特性に応じた適正な値とは、後述する各インク吐出ヘッド33の清掃動作の実現に好適な値である。
【0048】
4つのインク送り手段104は、図2(A)に示されるように、4つのインク吐出ヘッド33に対応して設けられており、配管114を介して対応するインク吐出ヘッド33の液室35aに接続されており、配管116を介して対応するインクカートリッジ36に接続されている。以下、4つのインク吐出ヘッド33Y、33C、33M、33Bそれぞれに対応するインク送り手段104を、インク送り手段104Y、104C、104M、104Bとも称する。
【0049】
インク送り手段104としては、例えばチュービングポンプ、ピストンポンプなどの、インクカートリッジ36内のインクをインク吐出ヘッド33に送り込むものが採用されている。各インク送り手段104は、主制御装置110により駆動制御される(図6参照)。
【0050】
電圧印加手段107は、不図示の電源、電気回路等を含み、清掃用ローラ102が上記清掃位置に位置するときに、各インク吐出ヘッド33のノズルプレート37の表面をカソード電極とし、清掃用ローラ102の外周面をアノード電極として、これら両電極間に電圧を印加することができる。電圧印加手段107は、主制御装置110により制御される(図6参照)。
【0051】
ここで、清掃用ローラ102が清掃位置に位置するときに、インク送り手段104により、インクカートリッジ36内のインクがインク吐出ヘッド33に送り込まれると、該インク吐出ヘッド33の液室35a内が正圧となり、ノズル口37aからノズルプレート37の表面と清掃用ローラ102の外周面との隙間にインクが排出される。そして、排出されたインクは、ノズルプレート37と清掃用ローラ102とに狭持された(ブリッジした)状態となる。
【0052】
この状態で、ノズルプレート37と清掃用ローラ102との間に、水の理論分解電圧である1.23Vを超えた電圧が印加されると、以下の電極反応が起こる。
ノズルプレートの表面(カソード電極):4HO+4e→2H+4OH(1)
清掃用ローラの外周面(アノード電極):2HO→4H+O+4e(2)
【0053】
また、上記反応式(1)及び(2)に加えて、電極自身の酸化還元反応も同時に起こる。具体的にどのような反応が起きるかは、電極材料、電極電位、インクのpHにもよるが、例えば電位とpHとの関係を示す状態図(Pour baix Diagram)を参照することにより容易に類推できる。
【0054】
反応式(1)によると、ノズルプレート37(カソード電極)の表面側では水酸化物イオンが生成して、結果、アルカリ性を示す。インクの色材がアニオン性顔料である場合、アルカリ条件で高い分散性を示し、ノズル面に付着したインク付着物が溶解し易くなる。また、反応式(2)によると、清掃用ローラ102の外周面(アノード電極)側では水素イオンが生成して、結果、酸性を示す。インクの色材がアニオン性顔料である場合、水素イオンのプラス電荷とアニオン系顔料のマイナス電荷が打ち消しあい、静電反発が減少して凝集、増粘、固化といった現象が清掃用ローラ102の外周面近傍、特に電極界面で起こる。清掃用ローラ102の外周面近傍にインクの顔料が濃縮すると両電極間に介在するインク濃度が低下するため、ノズルプレート37の表面に付着したインク付着物の溶解が促進される。インクが電解質成分の少ない抵抗体であれば、電位勾配が形成されるためアニオン性顔料の泳動効果も期待できる。
【0055】
本実施形態の画像形成装置10では、パソコン等からの画像信号に応じてヘッドユニット34を構成する4つのインク吐出ヘッド33を個別に駆動することにより、停止している用紙Pにインクを吐出して記録を行う。そして、記録終了信号又は用紙Pの後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作(印字動作)を終了させ用紙Pを排紙する。画像形成装置10では、このような記録動作を、複数枚の用紙Pに対し連続的に行うことができる。
【0056】
ここで、上記記録動作中、あるいは待機中に、各インク吐出ヘッド33のノズルプレート37には、例えばインクミストによるインク付着物、埃、塵、紙粉などの異物が付着する。特にノズルプレート37のノズル口37aの周囲近傍にこのような異物が付着していると、インクの吐出方向のずれ(乱れ)、インクの吐出不良などが発生し、これにより、用紙Pに記録される画像品質が劣化する。
【0057】
そこで、主制御装置110は、タイマ113(図6参照)からの計時情報に基づいて、上記記録動作の合間の時間、すなわち非印字時間が所定時間(例えば、数分)以上であると判断すると、クリーニング装置100を用いて4つのインク吐出ヘッド33の清掃を行う。なお、タイマ113によるタイムカウント(計時)は、例えば一の印字ジョブによる記録動作が終了した時点から開始される。
【0058】
以下に、4つのインク吐出ヘッド33の清掃方法を、主制御装置110の処理の流れを示す図5のフローチャートに基づいて説明する。
【0059】
上記記録動作中、あるいは待機中に、印写受け部材58は印写受け位置に位置し、清掃用ローラ102は待機位置に位置している(図2(A)参照)。
【0060】
先ず、主制御装置110は、印写受け部材駆動部108を介して印写受け部材58を印写受け位置から退避位置に回動させる(ステップS2)。
【0061】
主制御装置110は、ステップS2に引き続き、昇降装置112を介して清掃用ローラ102を待機位置から清掃位置に移動させる(ステップS3)。このとき、各インク吐出ヘッド33のノズルプレート37の表面と清掃用ローラ102の外周面とが近接して対向する(図2(B)及び図4(A)参照)。
【0062】
ここで、図4(A)に示されるように、各インク吐出ヘッド33のノズルプレート37の表面には、上述したような異物Dが付着しているものとする。
【0063】
主制御装置110は、ステップS3に引き続き、4つのインク送り手段104を介して、各インク吐出ヘッド33からインクを所定量排出させる(ステップS4)。このとき、ノズル口37aを介して排出されたインクは、ノズルプレート37と清掃用ローラ102とで狭持された膜状となる(図4(B)参照)。そして、ノズルプレート37に付着した異物Dは、この膜状のインク(インク膜M)内に取り込まれる。なお、上記インクの排出の際、各インク吐出ヘッド33の液室35a内及びノズル口37a内の気泡、及びノズル口37aを規定する面に付着した乾燥・増粘したインクなども排出される。
【0064】
主制御装置110は、ステップS4に引き続き、電圧印加手段107を介して各ノズルプレート37と清掃用ローラ102との間に電圧を印加する(ステップS5)。このとき、上述したように、異物Dのうち、特にノズルプレート37に付着したインク付着物のインク膜M内での溶解が促進されるため、このインク付着物はより確実にインク膜M内に取り込まれる。
【0065】
主制御装置110は、ステップS5に引き続き、ローラ駆動部111を介して清掃用ローラ102を矢印Q方向(図2(B)参照)に回転駆動する(ステップS6)。このとき、ノズルプレート37の表面と清掃用ローラ102の外周面とで挟まれたインク膜M及び異物Dは、ノズルプレート37の表面よりも濡れ性が高い清掃用ローラ102に引っ張られてノズルプレート37の表面に沿って矢印Q方向に移動し(図4(C)参照)、インク膜Mの表面張力及び粘度により分断されることなく清掃用ローラ102の外周面よりも撥液性が高いノズルプレート37の表面から引き剥がされて清掃用ローラ102の外周面上に受け渡される(図4(D)参照)。このようにして、ノズルプレート37の表面に付着した異物Dが除去される。なお、インク膜Mは、ノズルプレート37と清掃用ローラ102との隙間から離脱するときに、表面張力によりほぼ半球状となって清掃用ローラ102の外周面に付着する(図4(E)参照)。このほぼ半球状のインクは、清掃用ローラ102の回転に伴い、ブレード106により掻き取られ、例えばブレード106の下方に設けられた廃インク受け(不図示)に収容される。
【0066】
主制御装置110は、ステップS6に引き続き、ローラ駆動部111を介して清掃用ローラ102の回転駆動を停止した(ステップS7)後、電圧印加手段107を介して各ノズルプレート37と清掃用ローラ102との間への電圧印加を停止する(ステップS8)。なお、ステップS7とステップS8の順は、逆であっても良い。
【0067】
主制御装置110は、ステップS8に引き続き、図4(E)に示されるように、昇降装置112を介して清掃用ローラ102を清掃位置から待機位置へ移動させた(ステップS9)後、印写受け部材駆動部108を介して印写受け部材58を退避位置から印写受け位置へ移動させた(ステップS10)後、フローを終了させる。
【0068】
なお、ステップS10が終了後、タイマ113はリセットされ、タイマ113によるタイムカウント(計時)は、次の印字ジョブによる記録動作が終了した時点から開始される。
【0069】
以上のようにして、画像形成装置10では、一の印字ジョブによる記録動作が終了した時点から所定時間(例えば、数分)以内に次の印字ジョブによる記録動作が行われないときに、4つのインク吐出ヘッド33の清掃が行われる。
【0070】
以上説明した画像形成装置10によると、各インク吐出ヘッド33のノズルプレート37の表面と、該表面よりも濡れ性が高い清掃用ローラ102の外周面とを近接させ、各インク吐出ヘッド33からそのノズルプレート37の表面と清掃用ローラ102の外周面との微小な隙間にインクを排出した後、清掃用ローラ102を回転駆動する。
【0071】
したがって、各ノズルプレート37の表面に付着していた異物Dは、各ノズルプレート37の表面と清掃用ローラ102の外周面とで狭持されたインク膜M内に取り込まれた状態で該インク膜Mと共に清掃用ローラ102の外周面上に受け渡されることにより除去される。
【0072】
すなわち、クリーニング装置100は、各ノズルプレート37の表面を機械的に非接触で清掃するので、各ノズルプレート37の表面に形成された撥液膜の摩耗、すなわち撥液効果の低減が確実に抑制される。これにより、従来のように例えばゴム製のワイパー等でノズルプレートを摺擦して異物を掻き取る場合に比べ、撥液膜の寿命、すなわち各インク吐出ヘッドの寿命を大幅に延ばすことができ、ひいては画像形成装置の製品寿命を大幅に延ばすことができる。
【0073】
このように撥液膜の摩耗(撥液効果の低減)が確実に抑制されるため、各ノズル口37aから吐出されたインクがノズルプレート37により確実にはじかれ、その結果、インクの吐出不良が防止される。
【0074】
そして、各ノズルプレート37の表面を繰り返し清掃しても、その撥液効果が確実に維持されるため、清掃の度に、各ノズルプレート37の表面と清掃用ローラ102の外周面とで狭持されたインク膜M及びこれに取り込まれた異物Dを、清掃用ローラ102に確実に(コンスタントに)受け渡すことができる。
【0075】
清掃の際、記録用のインクを用いるので、例えば他の液体を用いる場合(その液体、該液体を貯留するタンクなどが別途必要)に比べて、構成を簡略化でき、コストアップを抑制することができる。
【0076】
また、各インク吐出ヘッド33からインクを排出する際に、各インク吐出ヘッド33の液室35a内及びノズル口37a内の気泡、ノズル口37aを規定する面に付着した乾燥・増粘したインク等も排出される。すなわち、本実施形態では、各インク吐出ヘッド33のノズルプレート37の清掃工程の一部で、インク吐出ヘッド33内の清掃を行うことができる。
【0077】
4つのインク吐出ヘッド33それぞれは、そのノズルプレート37の外周面が、清掃位置に位置する清掃用ローラ102の外周面に沿うように配置されているので、1つの清掃用ローラ102を用いて4つのノズルプレート37を同時に清掃することができる。したがって、構成の簡略化及び部品点数の削減を図ることができ、ひいてはコストアップを抑制できる。
【0078】
また、クリーニング装置100は、記録用のインクを用いたノズルプレート37の物理的なクリーニングを行う前に、ノズルプレート37の表面と清掃用ローラ102の外周面との間に電圧を印加することによって化学反応を生じさせてインク付着物の溶解を促進している。これにより、ノズルプレート37に付着したインク付着物を、インク膜M内に確実に取り込んで、該インク膜Mと共に清掃用ローラ102に受け渡すことができる。
【0079】
以下に、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態では、上記第1の実施形態と比べ、画像記録部及びクリーニング装置の構成が異なるのみなので、画像記録部及びクリーニング装置について説明する。また、以下の実施形態では、上記第1の実施形態と同様の構成及び機能を有する部材には、同じ符号を付して、その説明を省略することとする。
【0080】
第2の実施形態を、図7〜図9に基づいて説明する。第2の実施形態のクリーニング装置200は、上記第1の実施形態と異なり、4つのインク吐出ヘッド33それぞれに対応して設けられたヘッド移動装置(不図示)を有している。
【0081】
ヘッド移動装置は、例えば不図示のラック・アンド・ピニオンを含むスライド機構、該スライド機構を作動させる例えばステッピングモータ等を含み、各インク吐出ヘッド33を、本体ケース12に対し、そのノズルプレート37の表面に平行な方向に所定ストロークで移動させることができる(図7(A)及び図7(B)参照)。ヘッド移動装置は、主制御装置110により制御される。
【0082】
なお、第2の実施形態では、各インク吐出ヘッド33と、対応するインク送り手段104とを接続する配管114、及び各インク吐出ヘッド33と、対応するインクカートリッジ36とを接続する配管116は、各インク吐出ヘッド33の移動に追従可能な例えばフレキシブルチューブなどから成り、各インク吐出ヘッド33の移動が阻害されないようになっている。
【0083】
主制御装置(不図示)は、上記第1の実施形態と同様に、タイマ113からの計時情報に基づいて非印字時間が所定時間(例えば、数分)以上であると判断すると、4つのインク吐出ヘッド33の清掃を行う。
【0084】
以下に、第2の実施形態の4つのインク吐出ヘッド33の清掃方法を、主制御装置の処理の流れを示す図9のフローチャートに基づいて説明する。
【0085】
第2の実施形態の画像形成装置では、記録動作中、あるいは待機中、印写受け部材58は印写受け位置に位置し、清掃用ローラ102は待機位置に位置し、各インク吐出ヘッド33は印字動作を行う印字位置、すなわち上記第1の実施形態の各インク吐出ヘッド33と同じ位置に位置している(図2(A)及び図4(A)参照)。
【0086】
先ず、主制御装置は、印写受け部材駆動部108を介して印写受け部材58を印写受け位置から退避位置へ回動させる(ステップS22)。
【0087】
主制御装置は、ステップS22に引き続き、図8(A)に示されるように、昇降装置112を介して清掃用ローラ102を待機位置から清掃位置へ移動させるとともに、ヘッド移動装置を介して各インク吐出ヘッド33を、その印字位置から、そのノズルプレート37に平行な方向における清掃用ローラ102の回転方向下流側に距離L移動させる(ステップS23)。この距離Lは、各インク吐出ヘッド33のノズルプレート37の表面が清掃用ローラ102の外周面に所定のクリアランス(例えば10μm〜500μm)を介して対向し得る範囲内に設定されている(図8(B)参照)。
【0088】
このとき、図8(B)に示されるように、各ノズルプレート37の表面と清掃用ローラ102の外周面とのクリアランスは、清掃用ローラ102の回転方向(図8(D)の矢印Q方向)上流側から下流側にかけて徐々に大きくなっている。
【0089】
ここで、各ノズルプレート37の表面の、清掃用ローラ102の回転方向上流側の端及び下流側の端(以下、説明の便宜上、各ノズルプレート37の表面の上流端及び下流端と称する)それぞれには、それぞれ上記異物D1及びD2が付着しているものとする。
【0090】
主制御装置は、ステップS23に引き続き、インク送り手段104を介して各インク吐出ヘッド33からインクを所定量排出した(ステップS24)後、電圧印加手段107を介して各ノズルプレート37と清掃用ローラ102との間に電圧を印加する(ステップS25)。
【0091】
このとき、図8(C)から分かるように、各ノズルプレート37の表面と清掃用ローラ102の外周面とのクリアランスが最も小さい位置に位置する異物D1は、インク膜M内に取り込まれるが、そのクリアランスが最も大きい位置に位置する異物D2は、インク膜M内に取り込まれない。
【0092】
主制御装置は、ステップS25に引き続き、ローラ駆動部111を介して清掃用ローラ102を回転駆動するとともに、ヘッド移動装置を介して各インク吐出ヘッド33を、そのノズルプレート37に平行な方向における清掃用ローラ102の回転方向上流側に、例えば上記距離Lの2倍以上の距離移動させる(ステップS26)。
【0093】
このとき、各ノズルプレート37の表面と清掃用ローラ102の外周面とで挟まれたインク膜Mは、清掃用ローラ102の外周面に引っ張られて清掃用ローラ102の回転方向に移動し、ノズルプレート37の表面の下流端と、清掃用ローラ102の外周面との間のクリアランスが最も小さくなる位置を、異物D2を取り込みながら通過して(図8(D)参照)、清掃用ローラ102の外周面上に受け渡される(図8(E)参照)。清掃用ローラ102の外周面上に受け渡されたインクは、清掃用ローラ102の回転に伴い、ブレード106により掻き取られて、廃インク受け(不図示)内に収容される。
【0094】
主制御装置は、ステップS26に引き続き、ローラ駆動部111を介して清掃用ローラ102の回転駆動を停止した(ステップS27)後、電圧印加手段107を介して各インク吐出ヘッド33と清掃用ローラ102との間への電圧印加を停止する(ステップS28)。なお、ステップS27とステップS28の順序は逆でも良い。
【0095】
主制御装置は、ステップS28に引き続き、ヘッド移動装置を介して各インク吐出ヘッド33を印字位置へ移動させるとともに、昇降装置112を介して清掃用ローラ102を待機位置へ移動させた(ステップS29)後、印写受け部材駆動部108を介して印写受け部材58を退避位置から印写受け位置へ移動させた(ステップS30)後、フローを終了させる。
【0096】
ここで、各インク吐出ヘッド33が印字位置に位置し、かつ清掃用ローラ102が清掃位置に位置するとき、ノズルプレート37と清掃用ローラ102とのクリアランスは、図4(A)から分かるように、ノズルプレート37の表面における清掃用ローラ102の回転方向に沿う中央部が最も小さく、その中央部から清掃用ローラ102の回転方向上流側にかけて、あるいはその中央部から下流側にかけて徐々に大きくなる。この場合、図4(B)に示されるように、ノズルプレート37と清掃用ローラ102とで狭持されたインク膜Mにおける清掃用ローラ102の回転方向上流側端及び下流側端がノズルプレート37から離間するため、仮にノズルプレート37の上流端及び下流端の少なくとも一方に異物が付着していた場合、この状態で清掃用ローラ102を駆動しても、その異物がインク膜M内に取り込まれないおそれがある。
【0097】
そこで、第2の実施形態のクリーニング装置200では、上述の如く、互いに近接させた、各ノズルプレート37の表面と清掃用ローラ102の外周面とでインク膜Mを狭持させた状態で、各インク吐出ヘッド33をそのノズルプレート37の表面に平行な方向に移動させて、ノズルプレート37の表面の上流端及び下流端と、清掃用ローラ102の外周面とのクリアランスを一時的に小さくすることにより、ノズルプレート37の表面の上流端及び下流端の少なくとも一方に付着した異物をもインク膜M内に確実に取り込ませることとした。
【0098】
以上より、第2の実施形態のクリーニング装置200によると、各ノズルプレート37の表面の上流端及び下流端の間の箇所に付着した異物のみならず、そのノズルプレート37の表面の上流端及び下流端の少なくとも一方に付着した異物をも除去することができる。すなわち、第2の実施形態のクリーニング装置200では、各ノズルプレート37の表面全域を満遍なく清掃することができる。
【0099】
以下に、第3の実施形態を、図10及び図11に基づいて説明する。第3の実施形態では、上記第1及び第2の各実施形態と異なり、図10(A)に示されるように、4つのインク吐出ヘッド333それぞれは、そのノズルプレート337(図11(A)参照)の表面がXY平面に平行な同一平面上に位置するように配置されている。また、第3の実施形態では、図11(A)に示されるように、各ノズル口337aは、ノズルプレート337を該ノズルプレート337に直交する方向に貫通している。なお、図11(A)〜図11(E)では、各インク吐出ヘッド333の1つのヘッド部333bのみが図示されている。
【0100】
また、第3の実施形態のクリーニング装置300では、上記第1及び第2の各実施形態で用いられた清掃用ローラ102及びローラ駆動部111に代えて、清掃用ベルト302aを含むベルト機構302を有している。
【0101】
ベルト機構302は、上記第1及び第2の各実施形態の昇降装置112と同様の構成の昇降装置(不図示)により上下動される。
【0102】
ベルト機構302は、清掃用ベルト302aに加えて、複数(例えば3つ)のローラ302b、複数(例えば4つ)のガイド部材304、ブレード106を含む。
【0103】
3つのローラ302bは、それぞれの軸線が、X軸に平行になるようにかつ+X側から見て例えば逆二等辺三角形の頂点に位置するように、互いに対向して配置されている。3つのローラ302bのうちの1つのローラ302bは、不図示のモータ等を含む駆動部により、その軸線周りに回転駆動され、他の2つのローラ302bそれぞれは、その軸線周りに回転自在となっている。
【0104】
清掃用ベルト302aは、例えば導電性を有するゴム製の無端状ベルトから成り、3つのローラ302bに巻き掛けられ、各ローラ302bの回転に伴って周回するようになっている。したがって、1つのローラ302bが、例えば図10(A)の矢印I方向に回転駆動されることにより、清掃用ベルト302aは、図10(A)の矢印J方向に周回駆動される。清掃用ベルト302aの表面は、各インク吐出ヘッド333のノズルプレート337の表面よりも濡れ性が高くなっている。
【0105】
ブレード106は、上記第1及び第2の各実施形態のブレード106と実質的に同じもの(インク掻き取り手段)であり、清掃用ベルト302aの外周近傍に、該清掃用ベルト302aと共に上下動可能に配置されている。
【0106】
ガイド部材304は、清掃用ベルト302aの、Y軸方向に離間する上側の2つのローラ302b間に位置する上側部位の裏面に当接して配置されている。これにより、この上側部位の重力方向に関する剛性が確保されている。
【0107】
次に、第3の実施形態の4つのインク吐出ヘッド333の清掃方法を、説明する。
【0108】
画像形成装置では、記録動作中、あるいは待機中、印写受け部材58は印写受け位置に位置し、ベルト機構302は、印写受け部材58の鉛直下方の待機位置に位置する(図10(A)参照)。
【0109】
先ず、主制御装置は、上記第1及び第2の各実施形態と同様に、非印字時間が所定時間T(例えば、数分)以上であると判断すると、印写受け部材駆動部108を介して印写受け部材58を印写受け位置から退避位置へ回動させ、上記昇降装置を介してベルト機構302を、待機位置から、清掃用ベルト302aの表面と各インク吐出ヘッド33のノズルプレート337の表面とが所定のクリアランス(例えば10μm〜500μm)を介して(近接して)対向する清掃位置まで移動させる(図10(B)及び図11(A)参照)。
【0110】
次いで、主制御装置は、インク送り手段104を介して各インク吐出ヘッド333からインクを排出させた後、電圧印加手段107を介して各ノズルプレート37と清掃用ベルト302aとの間に電圧を印加する(図11(B)参照)。このとき、各ノズルプレート37の表面に付着していた異物Dは、各ノズルプレート337と清掃用ベルト302aとで狭持されたインク膜M内に確実に取り込まれる。
【0111】
そして、主制御装置は、この状態で、清掃用ベルト302aを駆動する。このとき、インク膜Mは、ノズルプレート337の表面よりも濡れ性の高い清掃用ベルト302aの表面に引っ張られてノズルプレート337の表面に平行な方向における清掃用ベルト302aの周回方向下流側に移動し(図11(C)参照)、インク膜Mの表面張力及び粘度により分断されることなく清掃用ベルト302aの表面よりも撥液性の高いノズルプレート337の表面から引き剥がされることで、清掃用ベルト302aの表面上に受け渡される(図11(D)参照)。清掃用ベルト302aの表面上に受け渡されたインクは、清掃用ベルト302aの周回に伴い、ブレード106により掻き取られて、廃インク受け(不図示)内に収容される。
【0112】
次いで、主制御装置は、図11(E)に示されるように、上記昇降装置を介してベルト機構302を清掃位置から待機位置へ移動させた後、印写受け部材駆動部108を介して印写受け部材58を退避位置から印写受け位置へ移動させる(図10(A)参照)。
【0113】
第3の実施形態によると、4つのインク吐出ヘッド333それぞれを、そのノズルプレート337の表面が同一平面上に位置するように配置し、清掃用ベルト302aの表面を4つのノズルプレート337の表面に平行な状態で近接して対向させることとしている。これにより、各ノズルプレート337と清掃用ベルト302aとのクリアランスを、そのノズルプレート337の表面の任意の位置で一定(所望の値)にすることができ、そのノズルプレート337の表面の任意の位置に付着した異物Dを確実にインク膜M内に取り込むことができる。これにより、4つのインク吐出ヘッド333それぞれのノズルプレート337の表面を、同時に、かつその全域を満遍なく清掃することができる。
【0114】
しかも、清掃用ベルト302aを周回させるだけで、すなわち各インク吐出ヘッド333を移動させることなく、そのノズルプレート337の表面の全域を清掃できるので、上記第2の実施形態に比べ、制御が簡単である。
【0115】
以下に、第4の実施形態を、図12(A)〜図14に基づいて説明する。図12(A)に示されるように、第4の実施形態のクリーニング装置400では、上記第1及び第2の各実施形態と異なり、清掃用ローラ402が中間転写体としての機能をも有する。すなわち、第4の実施形態の画像形成装置では、各インク吐出ヘッド433を用いて清掃用ローラ402の外周面に画像を形成し、該形成された画像を用紙Pに転写する一方で、清掃用ローラ402を用いて各インク吐出ヘッド433の清掃を行う。
【0116】
清掃用ローラ402は、その外周面が、印字動作を行う位置に配置された各インク吐出ヘッド433の表面に近接して対向する位置に配置されている。すなわち、清掃用ローラ402は、定位置に配置されており、これを上下動させる昇降装置は設けられていない(図14参照)。
【0117】
清掃用ローラ402の外周面と各インク吐出ヘッド433のノズルプレート(不図示)の表面とのクリアランスは、例えば10μm〜500μmに設定されている。各インク吐出ヘッド433では、ノズル口437aが、ノズルプレートを該ノズルプレートの表面に直交する方向に貫通している。清掃用ローラ402の外周面近傍には、清掃用ローラ402の外周面上に付着したインクを掻き取るためのブレード106が配置されている。
【0118】
また、清掃用ローラ402の鉛直下方には、X軸方向を軸線方向とする加圧ローラ404が、例えば不図示のソレノイドを含む加圧ローラ昇降装置405(図14参照)により、清掃用ローラ402に当接する当接位置と、清掃用ローラ402から離間する離間位置との間を移動可能に設けられている。加圧ローラ404は、その軸線周りに回転可能となっており、その外周面が例えばゴムなどの弾性材料で形成されている。加圧ローラ昇降装置405は、主制御装置410により制御される(図14参照)。なお、本実施形態の画像形成装置では、中間転写体を介して用紙Pに画像を形成する構成を採用するため、印写受け部材58は、設けられていない。
【0119】
ここで、清掃用ローラ402の材料としては、シリコーンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、及びこれらのゴムにフッ素系のコーティングを行ったエラストマなどを用いることができる。清掃用ローラ402は、全体が上記材料で形成される必要はなく、例えばアルミニウムなどの金属から成る円柱状の部材の外周面に上記材料で形成された部材が巻かれて構成されたものであっても良い。そして、上述のように、清掃用ローラ402の外周面に各ノズルプレートの表面よりも後退接触角の小さい材質を用いることにより、各ノズルプレートの表面と清掃用ローラ402の外周面との隙間に排出されたインクをより効率的に清掃用ローラ402に受け渡すことが可能となる。
【0120】
また、第4の実施形態では、清掃用ローラ402の外周面に形成された画像の情報を検出する検出手段403が設けられている(図14参照)。検出手段403は、清掃用ローラ402の外周面に対向配置され、該清掃用ローラ402の外周面に形成された画像データを取得する一次元又は二次元の受光センサ(不図示)、該受光センサにより取得された画像データを解析する解析部(不図示)を含む。検出手段403は、上記画像データの解析結果を、主制御装置410に出力する(図14参照)。主制御装置410は、上記解析結果に基づいて、各インク吐出ヘッド433の吐出状態の良否を判断する。詳述すると、主制御装置410は、上記解析結果に基づいて上記画像データが所定の品質に達していると判断した場合に各インク吐出ヘッド433の吐出状態が良好であると判断し、上記解析結果に基づいて上記画像データが所定の品質に達していないと判断した場合に少なくとも1つのインク吐出ヘッド433の吐出状態が良好でないと判断する。
【0121】
第4の実施形態の画像形成装置では、例えばパソコンからの画像信号に基づいて、4つのインク吐出ヘッド433から中間転写体としての清掃用ローラ402の外周面に時系列でインクが吐出され、清掃用ローラ402の外周面上に所定のフルカラー画像が形成される。
【0122】
そして、給紙トレイ16又は手差しトレイ18から用紙搬送系15により供給された用紙Pは、図12に示されるように、清掃用ローラ402と加圧ローラ404とに狭持されつつ+Y方向に搬送されることにより、清掃用ローラ402の外周面上に形成された画像が転写される。
【0123】
なお、清掃用ローラ402の外周面上に形成された画像を表示するインクのうち、加圧ローラ404によって用紙P上に転写しきれなかった画像を表示するインクはブレード106によって掻き取られ、例えば不図示の廃インク受けなどに収容される。
【0124】
第4の実施形態では、主制御装置410は、記録動作中、検出手段403からの検出情報に基づいて、少なくとも1つのインク吐出ヘッド433の吐出状態が良好でないと判断すると、4つのインク吐出ヘッド433の清掃を行う。
【0125】
以下に、第4の実施形態の4つのインク吐出ヘッド433の清掃方法を、主制御装置410の処理の流れを示す図13のフローチャートに基づいて説明する。
【0126】
図12(A)に示されるように、記録動作中、清掃用ローラ402と当接位置に位置する加圧ローラ404とが用紙Pを介して当接(圧接)し、清掃用ローラ402は矢印U方向に回転駆動され、加圧ローラ404は矢印V方向に回転(従動)している。
【0127】
先ず、主制御装置410は、加圧ローラ昇降装置405を介して加圧ローラ404を当接位置から離間位置へ移動させるとともに、ローラ駆動部111を介して清掃用ローラ402の回転駆動を停止する(ステップS42)。この場合、現に行われている印字ジョブによる記録動作が終了していない場合でも、その記録動作は中断され、清掃動作に移行することになる。
【0128】
主制御装置410は、ステップS42に引き続き、各インク吐出ヘッド433からインクを所定量排出した(ステップS43)後、清掃用ローラ402を回転駆動して(ステップS44)、上記第1又は第2の実施形態と同様に、各インク吐出ヘッド433を清掃する。
【0129】
主制御装置410は、ステップS44に引き続き、各インク吐出ヘッド433からインクを試し吐出して(ステップS45)、検出手段403からの検出情報に基づいて、ステップS41と同様に、各インク吐出ヘッド433の吐出状態の良否を判断する(ステップS46)。
【0130】
主制御装置410は、ステップS46において、各インク吐出ヘッド433の吐出状態が良好であると判断すると、ローラ駆動部111を介して清掃用ローラ402の回転駆動を停止した(ステップS47)後、加圧ローラ昇降装置405を介して加圧ローラ404を離間位置から当接位置へ移動させた(ステップS48)後、フローを終了させる。
【0131】
一方、主制御装置410は、ステップS46において、少なくとも1つのインク吐出ヘッド433の吐出状態が良好でないと判断すると、ステップS43〜ステップS45の処理、すなわち各インク吐出ヘッド433の清掃及び試し吐出を再び行った後、ステップS46の判断を再び行う。
【0132】
第4の実施形態の画像形成装置によると、清掃用ローラ402が中間転写体としても機能するので、清掃用ローラ402を、各インク吐出ヘッド433に近接して対向する位置(定位置)に配置することできる。これにより、記録動作と清掃動作との間の移行を迅速に行うことができる。また、清掃用ローラ402を昇降させる装置が必要なく、清掃用ローラ402を高精度に制御する必要もないので、コストアップを抑制できる。
【0133】
また、記録動作から清掃動作に移行したときに、各インク吐出ヘッド433の吐出状態が良好になるまで清掃を繰り返すので、次の記録動作を各インク吐出ヘッド433の吐出状態を良好にした状態で行うことができ、画像品質の劣化を確実に防止できる。
【0134】
以下に、第5の実施形態を、図15〜図16(C)に基づいて説明する。図15及び図16(A)に示されるように、第5の実施形態の画像形成装置では、上記第1〜第4の各実施形態と異なり、4つの小型のインク吐出ヘッド533、4つのインクカートリッジ36、4つのインク送り手段104などが、X軸方向に移動可能なキャリッジ503に搭載されており、該キャリッジ503が用紙幅方向(X軸方向)に用紙幅よりも大きいストロークで走査されることにより、用紙Pの幅方向全域にインクを吐出することができる。
【0135】
キャリッジ503は、本体ケース12に支持されたX軸方向に延びるガイドロッド(不図示)にX軸方向にスライド可能に係合しており、例えば一対のプーリ、該一対のプーリのうちの一方を駆動するモータ、該一対のプーリに巻き掛けられたタイミングベルト等を含む駆動機構(不図示)によりX軸方向に駆動される。この駆動機構は、主制御装置(不図示)により制御される。
【0136】
各インク吐出ヘッド533は、ヘッド部33b(図3参照)と実質的に同様の構成を有し、その長手方向がY軸に平行となるようにキャリッジ503に配置されている。また、4つのインク吐出ヘッド533相互の位置関係は、図16(A)に示されるように、−Y方向から見て、+X方向から見た4つのインク吐出ヘッド33相互の位置関係(図2(A)参照)と同じになっている。
【0137】
また、第5の実施形態では、清掃用ローラ502は、その軸線がY軸に平行となるように、用紙Pの被印字領域外の位置(用紙Pの被印字領域の例えば−X側の位置)に、最下位置である待機位置と最上位置である清掃位置との間を、上記昇降装置112と同様の構成の昇降装置(不図示)により上下動可能に設けられている。清掃用ローラ502の外周面近傍には、清掃用ローラ502と共に上下動可能なインク掻き取り手段としてのブレード106が配置されている。
【0138】
第5の実施形態では、主制御装置は、上記第1〜第3の各実施形態と同様に、非印字時間が所定時間T(例えば、数分)以上であると判断すると、キャリッジ503を+X方向に駆動して(図16(A)参照)、各インク吐出ヘッド533を清掃用ローラ502に対向する位置に位置させた(図16(B)参照)後、清掃用ローラ502を待機位置から清掃位置に位置させて、上記第1及び第2の各実施形態と同様に、各インク吐出ヘッド533の清掃を行う。
【0139】
なお、本発明は、上記第1〜第5の各実施形態で説明したものに特に限定されることなく、種々の変形が可能である。
【0140】
《第1の変形例》
上記第3の実施形態では、印写受け部材58と清掃用ベルト302aを併設しているが、これに代えて、例えば、印写受け部材58を設けずに、清掃用ベルト302aに印写受けとしての機能をも持たせることとしても良い。詳述すると、図17(A)に示されるように、ベルト機構302を、清掃用ベルト302aの上部(+X方向から見て逆さ二等辺三角形の底辺に相当する部分)が、各インク吐出ヘッド333のインク吐出の射程距離内にてそのノズルプレートに対向するように配置する。そして、この状態で、ベルト機構302により用紙Pを搬送しつつ各インク吐出ヘッド333から用紙Pにインクを吐出して画像を記録する。このとき、清掃用ベルト302aの裏面に下側から当接する4つのガイド部材により、清掃用ベルト302aの重力方向に関する剛性が高められるので、清掃用ベルト302aは印写受けとして充分に機能する。そして、各インク吐出ヘッド333の清掃時には、例えば、図17(B)に示されるように、4つのガイド部材304を共に又は個別に上昇させて、清掃用ベルト302aを各インク吐出ヘッド333に近接させて、上記第3の実施形態と同様に、各インク吐出ヘッド333を清掃することとしても良い。この場合、清掃用ベルト302aにテンションが付与されるため、該清掃用ベルト302aのばたつきが抑制されるとともに、経時による該清掃用ベルト302aの変形が矯正され、清掃用ベルト302aの平面度が向上される。
【0141】
上記第1の変形例では、清掃用ベルト302aに印写受けとしての機能をも持たせることとしているが、これに代えて、例えば、印写受け部材を、清掃用ベルト302aと4つのインク吐出ヘッド333との隙間に挿入される挿入位置と、該挿入位置から退避する退避位置との間を水平方向に移動可能に設けて、印写受け部材を、記録時に挿入位置に位置させ、清掃時に退避位置に位置させることとしても良い。
【0142】
《第2の変形例》
上記第4の実施形態では、清掃用ローラ402を中間転写体としても用いているが、これに代えて、例えば、図18(A)及び図18(B)に示されるように、上記第3の実施形態と同様の清掃用ベルト302aを中間転写体としても用いることとしても良い。この場合、記録時には、加圧ローラ404を、ベルト機構302の下側のローラ302bに清掃用ベルト302aを介して当接させて、用紙Pを加圧ローラ404と下側のローラ302bとで狭持しつつ搬送して清掃用ベルト302aに形成された画像を用紙Pに転写する(図18(A)参照)。そして、各インク吐出ヘッド333の清掃時には、加圧ローラ404を下側のローラ302bから離間させて、上記第3の実施形態と同様に、各インク吐出ヘッド333の清掃を行うこととすれば良い(図18(B)参照)。
【0143】
《第3の変形例》
上記第5の実施形態では、各インク吐出ヘッド533及び清掃用ローラ502を用いているが、これに代えて、例えば、図19(A)に示されるように、−Y側から見て、+X側から見た上記第3の実施形態の各インク吐出ヘッド333及びベルト機構302(図10(A)参照)と同様の構成の、小型の各インク吐出ヘッド633及び小型のベルト機構602を用いても良い。詳述すると、各インク吐出ヘッドの清掃時に、各インク吐出ヘッド633、各インクカートリッジ36、各インク送り手段104が搭載されたキャリッジ(不図示)を+X方向に駆動して(図19(A)参照)、各インク吐出ヘッド633を清掃用ベルト602aに対向する位置に位置させた(図19(B)参照)後、4つのガイド部材604を上昇させて清掃用ベルト602aを各インク吐出ヘッド633に近接させて、上記第3の実施形態と同様に、各インク吐出ヘッド633の清掃を行うこととすれば良い。
【0144】
上記第3の変形例では、清掃用ベルト602aの上側部をローラ602bに対し上下動させることとしているが、これに代えて又は加えてベルト機構602全体を上下動させることとしても良い。
【0145】
《第4の変形例》
上記第1の実施形態では、仮想円柱の外周面に沿って4つのインク吐出ヘッド33を配置し、清掃用ローラ102を用いて、4つのインク吐出ヘッド33を同時に清掃することとしているが、これに代えて、例えば、図20(A)に示されるように、上記第3の実施形態と同様に4つのインク吐出ヘッド333をY軸方向に並べて配置し、清掃用ローラ102よりも小径の清掃用ローラ702を矢印Q方向に回転させながら−Y方向から+Y方向に(Y軸方向に)移動させて4つのインク吐出ヘッド333を順次清掃することとしても良い。なお、清掃用ローラ702の移動方向及び回転方向の少なくとも一方は、逆でも良い。
【0146】
上記第5の実施形態では、仮想円柱の外周面に沿って4つのインク吐出ヘッド533を配置し、清掃用ローラ502を用いて、4つのインク吐出ヘッド533を同時に清掃することとしているが、これに代えて、例えば、図20(B)に示されるように、上記第3の変形例と同様に4つのインク吐出ヘッド633をX軸方向に並べて配置し、清掃用ローラ502よりも小径の清掃用ローラ802を矢印K方向に回転させた状態で、4つのインク吐出ヘッド633を−X方向から+X方向に(X軸方向に)移動させて4つのインク吐出ヘッド633を順次清掃することとしても良い。なお、清掃用ローラ702の回転方向、及び4つのインク吐出ヘッド633の移動方向の少なくとも一方は、逆でも良い。
【0147】
《第5の変形例》
上記第1〜第5の各実施形態では、各インク吐出ヘッドの清掃時における、各インク吐出ヘッドと、清掃用ローラ(又は清掃用ベルト)とのクリアランス、並びに各インク吐出ヘッドと、清掃用ローラの外周面(又は清掃用ベルトの表面)との相対速度を、記録に用いられるインクの特性、すなわちインクの表面張力、粘度等に応じて調整可能としても良い。これにより、記録に用いられるインクの特性に関わらず、各インク吐出ヘッドの清掃効率をより向上させることができる。
【0148】
具体的には、インクの属性の違い(例えば水性と油性の違いなど)に応じて、4つのインク吐出ヘッドの配置、及び清掃用ローラ(又は清掃用ベルト)の移動距離の設定の少なくとも一方を変更することにより上記クリアランスを適正な大きさに調整するとともに、清掃用ローラの回転速度(又は清掃用ベルトの周回速度)の設定を変えることにより上記相対速度を適正な大きさに調整することとすれば良い。
【0149】
また、インクは、色ごとに特性が異なるため、インクの色に応じて、すなわち各インク吐出ヘッド毎に、上記クリアランス及び上記相対速度を調整しても良い。具体的には、4つのインク吐出ヘッドをそのノズルプレートの表面に交差する方向(例えば直交する方向)に個別に移動させて上記クリアランスを各インク吐出ヘッド毎に適正な大きさに調整するとともに(図21(A)及び図21(B)参照)、各インク吐出ヘッドをそのノズルプレートの表面に平行な方向に移動させ、かつ清掃用ローラを回転又は清掃用ベルトを周回させることとにより上記相対速度を各インク吐出ヘッド毎に適正な大きさに調整することとすれば良い。
【0150】
これらの場合、上記クリアランスと上記相対速度の適正な組み合わせを例えば主制御装置のメモリに格納しておき、これを清掃時に読み出して、上記相対速度及び上記クリアランスを調整することとしても良い。
【0151】
上記第4の実施形態では、4つのインク吐出ヘッド433を中間転写体としての清掃用ローラ402に近接させて同時に清掃することとしている。しかしながら、異なる色のインクを吐出する複数のインク吐出ヘッドを同時に清掃すると、中間転写体によってノズルプレートの表面から除去されたインクが異なる色のインクを吐出するノズル口から逆流し混色することがある。これは、清掃直後に形成される画像の色品質を劣化させる要因となる。そこで、この混色を回避するために、各インク吐出ヘッドに対応して清掃用ローラを個別に設けて、各インク吐出ヘッド433を対応する清掃用ローラを用いて個別に清掃することとすれば良い。これにより、各清掃用ローラは対応するインク吐出ヘッドを独立に清掃することが可能となり、清掃時の混色が防止される。
【0152】
上記第1〜第3の各実施形態では、4つのインク吐出ヘッドの鉛直下方に清掃用ローラ(又は清掃用ベルト)を配置しているが、これに限らず、例えば、4つのインク吐出ヘッドの鉛直上方、周囲、斜め下方、斜め上方などに清掃用ローラ(又は清掃用ベルト)を配置しても良い。この場合、清掃用ローラ(又は清掃用ベルト)と各インク吐出ヘッドとを例えば鉛直方向及び水平方向の少なくとも一方に相対移動させて、各ノズルプレートの表面と清掃用ローラの外周面とを近接して対向させても良い。この場合、各インク吐出ヘッド、及び清掃用ローラ(又は清掃用ベルト)の一方のみを移動させることとしても良いし、双方を移動させることとしても良い。
【0153】
上記第4の実施形態では、ノズルプレートと清掃用ローラ402との隙間の大きさを記録時と清掃時とで同じにしているが、これに限らず、例えば、インク吐出ヘッド433を、そのノズルプレートの表面に交差する方向に移動させて上記隙間の大きさを記録時と清掃時とで変えても良い。
【0154】
上記第5の実施形態では、清掃用ローラ502を上下動させて各ノズルプレートの表面と清掃用ローラ502の外周面とを近接して対向させることとしているが、これに代えて、4つのインク吐出ヘッド533を上下動させて、又は清掃用ローラ502及び4つのインク吐出ヘッド533の双方を上下動させて各ノズルプレートの表面と清掃用ローラ502の外周面とを近接して対向させることとしても良い。
【0155】
上記第1〜第3、及び第5の各実施形態では、インクの特性により凝集によるインク付着物がノズルプレートに付着しないような場合には、電圧印加手段を設けなくても良い、すなわち各ノズルプレートと、清掃用ローラ(又は清掃用ベルト)との間に電圧を印加しなくても良い。
【0156】
上記第1〜第3、及び第5の各実施形態では、各ノズルプレートの表面と清掃用ローラの外周面(又は清掃用ベルトの表面)との隙間にインクを排出した後に、各ノズルプレートと清掃用ローラ(又は清掃用ベルト)との間に電圧を印加することとしているが、これに代えて、上記隙間にインクを排出する前に、各ノズルプレートと清掃用ローラ(又は清掃用ベルト)との間に電圧を印加することとしても良い。
【0157】
上記第4の実施形態では、清掃用ローラ402の少なくとも表面を、導電性を有する材料で形成し、各インク吐出ヘッドの清掃時に、各インク吐出ヘッドと清掃用ベルトとの間に電圧を印加することとしても良い。
【0158】
上記第1〜第3、及び第5の各実施形態では、非印字時間に基づいて各インク吐出ヘッドの清掃を行うこととしているが、これに限らず、例えば、各インク吐出ヘッドの吐出回数、各インク吐出ヘッド付近の雰囲気中の湿度、温度などに基づいて各インク吐出ヘッドの清掃を行うこととしても良い。
【0159】
上記第4の実施形態では、各インク吐出ヘッドの吐出状態に基づいて各インク吐出ヘッドの清掃を行うこととしているが、これに限らず、例えば、上記1〜第3、及び第5の各実施形態と同様に非印字時間に基づいて、又は各インク吐出ヘッドの吐出回数、各インク吐出ヘッド付近の雰囲気中の湿度、温度などに基づいて各インク吐出ヘッドの清掃を行うこととしても良い。
【0160】
上記第1〜第5の各実施形態では、インク送り手段を用いてインク吐出ヘッドにインクを送り込むことにより各インク吐出ヘッドと、清掃用ローラ(又は清掃用ベルト)との隙間にインクを排出することとしているが、これに代えて、例えば真空ポンプなどのインク吸引手段を用いて各インク吐出ヘッドからインクを吸引することにより上記隙間にインクを供給することとしても良い。この場合、吸引されたインクは、例えば、本体ケース12の下部に設置された廃インク溜(不図示)に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持されることとすれば良い。
【0161】
上記第2の実施形態では、各インク吐出ヘッド33をそのノズルプレート37の表面に平行な方向に移動させるとともに、清掃用ローラ102を回転駆動することとしているが、これに限らず、例えば、清掃用ローラ102を回転駆動せずに、各インク吐出ヘッド33のみを上記第2の実施形態よりも大ストロークで移動させることとしても良い。この場合、各インク吐出ヘッドを、清掃用ローラの回転方向の下流側から上流側へ移動させても良いし、清掃用ローラの回転方向の上流側から下流側へ移動させても良い。そして、この場合、各インク吐出ヘッドの移動動作が終了した後に、清掃用ローラを回転駆動させて清掃用ローラの外周面に付着した異物をブレードにより掻き取ることとしても良い。また、上記第2の実施形態では、各インク吐出ヘッド33を清掃用ローラ102の回転方向の下流側から上流側へ移動させることとしているが、これに代えて、各インク吐出ヘッドを清掃用ローラの回転方向の上流側から下流側へ清掃用ローラの外周面の移動速度と異なる速度で移動させることとしても良い。要は、各ノズルプレートの表面と清掃用ローラの外周面とを該ノズルプレートの表面に平行な方向に相対移動させることとすれば良い。
【0162】
上記第1、第3〜第5の各実施形態では、上記第2の実施形態と同様に、各インク吐出ヘッドをそのノズルプレートの表面に平行な方向に移動させることとしても良い。この場合、清掃用ローラ(又は清掃用ベルト)は、各インク吐出ヘッドと共に、駆動されても良いし、駆動されなくても良い。
【0163】
上記第1〜第3、及び第5の各実施形態では、昇降装置又はヘッド移動装置に、ラック・アンド・ピニオン方式が採用されているが、これに限らず、例えば、送りねじ方式、リニアモータ方式などの直線駆動可能な方式であれば、如何なる方式を採用しても良い。但し、昇降装置は、特に、高速かつ高精度な位置制御機能を有するものであることが好ましい。
【0164】
上記第3の実施形態のベルト機構302の構成は、上述したものに限定されず、例えば、清掃用ベルトが巻き掛けられるローラの数は、2つ又は4つ以上であっても良く、要は、清掃用ベルト302aをX軸周りに周回可能な構成であれば良い。
【0165】
上記第1〜第5の各実施形態では、4つのインク吐出ヘッドの清掃のために、清掃用ローラ又は清掃用ベルトが用いられているが、これらのいずれを用いるかは、画像形成装置の内部レイアウト、スペック、インク吐出ヘッドの大きさ等に応じて適宜選択されることが望ましい。
【0166】
上記第1〜第5の各実施形態では、4つのインク吐出ヘッドに近接して対向させる部材としてローラ又はベルトが用いられているが、これに限らず、例えば、平板部材を用いても良い。この場合、例えば、1つの平板部材を4つのインク吐出ヘッドに同時に近接して対向させることとしても良いし、4つの平板部材を4つのインク吐出ヘッドに個別に近接して対向させることとしても良い。
【0167】
上記第1〜第5の各実施形態では、4つのインク吐出ヘッドを、主制御装置が清掃用ローラ(又は清掃用ベルト)及びインク吐出ヘッドの少なくとも一方を作動させて清掃することとしているが、これに限らず、例えばユーザ、サービスマン等が、適宜、例えば画像形成装置10の操作部(不図示)などを介して清掃用ローラ(又は清掃用ベルト)及びインク吐出ヘッドの少なくとも一方を作動させて清掃することとしても良い。
【0168】
一般に、濡れ性(あるいは撥液性)の度合いは、静的接触角、表面張力などの部材と液との親和性が基準とされる。そして、動的接触角のうち後退接触角は、この親和性の他に液の粘性による影響が加わった値として測定される。後退接触角が大きい部材からはインクが良く離型され、後退接触角が小さい部材へはインクがより吸着する事が分かっている。特に、離型性のよい条件としては、ノズルプレートの表面の後退接触角が純水に対して60°以上、望ましくは75°以上であり、清掃用ローラの外周面の後退接触角が70°未満、更に望ましくは60°以下であるときであった。したがって、上記第1〜第5の各実施形態では、清掃用ローラの外周面(又は清掃用ベルトの表面)にノズルプレートの表面よりも後退接触角が小さい材質を用いることにより、ノズルプレートの表面と清掃用ローラの外周面(又は清掃用ベルトの表面)とで狭持されたインクをより効率的に清掃用ローラ(又は清掃用ベルト)に受け渡すことが可能となる。
【0169】
また、上記第1〜第5の各実施形態では、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色のインクが個別に内蔵された4つのインク吐出ヘッドを備えた画像形成装置について説明したが、これに限らず、いずれか1色のみ、あるいは任意の2色、あるいは任意の3色、あるいは5色以上のインクを内蔵する少なくとも1つのインク吐出ヘッドを備えた画像形成装置にも本発明は好適に適用できる。
【0170】
また、上記第1〜第5の各実施形態では、本発明の画像形成装置の一例としてプリンタ(カラープリンタ)について説明したが、これに限らず、複写機、ファクシミリ、複写機とファクシミリあるいはそれに加えてプリンタの機能を備える複合機、液晶を基板に吐出して液晶ディスプレイを製造する液晶ディスプレイ製造装置、DNA溶液を基板に吐出してDNAチップを製造するDNAチップ製造装置、例えばアモルファスシリコンなどの半導体を基板に吐出して回路基板を製造する回路基板製造装置などの画像形成装置に本発明は適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0171】
以上説明したように、本発明の液体吐出ヘッドのクリーニング装置は、液体吐出口がその一側の面に形成された液体吐出ヘッドの清掃に適している。本発明の液体吐出ヘッドのクリーニング方法は、前記液体吐出ヘッドの清掃に適している。本発明の画像形成装置は、前記液体吐出ヘッドを用いて記録媒体に画像を形成するのに適している。
【符号の説明】
【0172】
10…画像形成装置、33…インク吐出ヘッド(液体吐出ヘッド)、37a…ノズル口(液体吐出口)、100…クリーニング装置、102…清掃用ローラ(対向部材)、104…インク送り手段(液体供給手段)、111…ローラ駆動部(第1の移動手段)、112…昇降装置(第2の移動手段)、107…電圧印加手段。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0173】
【特許文献1】特開2009−101631号公報
【特許文献2】特開2005−336306号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出する液体吐出口が、その一側の面に形成された液体吐出ヘッドのクリーニング装置であって、
前記一側の面に対向する対向面を有する対向部材と、
前記液体吐出ヘッド内の前記液体を、前記液体吐出口を介して、前記一側の面と該一側の面に対向する前記対向面との隙間に供給する液体供給手段と、
前記液体供給手段により前記液体が前記隙間に供給された状態で前記一側の面と前記対向面とを前記一側の面に平行な方向に相対移動させる第1の移動手段と、を備えることを特徴とするクリーニング装置。
【請求項2】
前記対向部材は、前記一側の面に平行な軸線の周りに回転可能なローラであり、
前記第1の移動手段は、前記液体が前記隙間に供給された状態で、前記液体吐出ヘッドを前記一側の面に平行な方向に移動させること、及び前記ローラを前記軸線の周りに回転駆動することの少なくとも一方を行うことを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項3】
前記対向部材は、前記一側の面に平行な軸線の周りに周回可能なベルトであり、
前記第1の移動手段は、前記液体が前記隙間に供給された状態で、前記液体吐出ヘッドを前記一側の面に平行な方向に移動させること、及び前記ベルトを前記軸線の周りに周回駆動することの少なくとも一方を行うことを特徴とする請求項1に記載のクリーニング装置。
【請求項4】
前記第1の移動手段は、前記相対移動の速度を、前記液体の特性に応じて調整可能であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
【請求項5】
前記液体吐出ヘッドは、複数設けられており、
前記第1の移動手段は、前記複数の液体吐出ヘッドそれぞれを、その前記一側の面に平行な方向に個別に移動させることにより前記相対移動の速度を個別に調整可能であることを特徴とする請求項4に記載のクリーニング装置。
【請求項6】
前記一側の面と前記対向面とを接近する方向又は離間する方向に相対移動させる第2の移動手段を更に備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
【請求項7】
前記第2の移動手段は、前記隙間の大きさを、前記液体の特性に応じて調整可能であることを特徴とする請求項6に記載のクリーニング装置。
【請求項8】
前記液体吐出ヘッドは、複数設けられており、
前記第2の移動手段は、前記複数の液体吐出ヘッドそれぞれを、その前記一側の面に交差する方向に個別に移動させることにより前記隙間を個別に調整可能であることを特徴とする請求項7に記載のクリーニング装置。
【請求項9】
前記液体は、水を含む液体であり、
前記一側の面及び前記対向面は、導電性を有し、
前記一側の面と前記対向面との間に電圧を印加可能な電圧印加手段を更に備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
【請求項10】
前記液体供給手段は、前記液体吐出ヘッド内に前記液体を送り込むことにより、前記液体を、前記液体吐出口を介して前記隙間に供給することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
【請求項11】
前記液体供給手段は、前記液体吐出ヘッド内の前記液体を、前記液体吐出孔を介して吸引することにより、前記隙間に供給することを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
【請求項12】
前記対向部材は、前記液体吐出ヘッドから前記液体が前記対向面に吐出されることにより該対向面に画像が形成され、該形成された画像を記録媒体に転写する中間転写体としての機能をも有することを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
【請求項13】
前記対向面は、前記一側の面よりも前記液体との濡れ性が高いことを特徴とする請求項1〜12のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
【請求項14】
液体を吐出する液体吐出口が、その一側の面に形成された液体吐出ヘッドのクリ―ニング方法であって、
前記液体吐出ヘッド内の液体を、前記液体吐出口を介して、前記一側の面と該一側の面に対向する対向面との隙間に供給することと、
前記液体が前記隙間に供給された状態で前記一側の面と前記対向面とを前記一側の面に平行な方向に相対移動させることと、を含むクリーニング方法。
【請求項15】
液体を吐出する液体吐出口が、その一側の面に形成された液体吐出ヘッドを用いて記録媒体に画像を形成する画像形成装置であって、
請求項1〜13のいずれか一項に記載のクリーニング装置を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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