説明

液体吐出ヘッド及び画像形成装置

【課題】共通液室内のフィルタより下流の気泡が圧力室側に移動するのを防止する。
【解決手段】共通液室28は、外部から液体が供給される供給側共通液室31と、外部に液体を排出する排出側共通液室32と、複数の圧力室6に通じる共通流路30とで構成され、供給側共通液室31は第1フィルタ部41を介して共通流路30に通じ、排出側共通液室32は第2フィルタ部42を介して共通流路30に通じ、第1フィルタ部41よりも第2フィルタ部42が高さ方向で高い位置に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体吐出ヘッド及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)からなる記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置、例えばインクジェット記録装置が知られている。
【0003】
液体吐出ヘッドにあっては、微細なノズルから液滴を吐出するために、ヘッド流路内に塵や気泡が混入した場合、滴吐出特性が不安定になり、あるいは滴吐出不良が生じる。
【0004】
そこで、従来、共通液室(共通流路)内に異物を捕集するフィルタ部材を配置したもの(特許文献1)が知られている。
【0005】
また、フィルタ下流側の液室に、2つの板部材を、間隔を置いて、一部を液体の流れ方向から見て重ねて、斜めに配置することで、気泡を斜め上方に導いて外部に排出させるようにしたもの(特許文献2)も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−296613号公報
【特許文献2】特開2002−144550号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、共通液室内にフィルタ部材を配置した場合、フィルタ下流側に気泡が溜まり易く、しかも、フィルタによって流速が抑えられるために溜まった気泡の排出が難しく、気泡が圧力室やノズルに移動することで滴吐出不良が発生する。
【0008】
この場合、特許文献2のようにフィルタより下流側に板部材を配置したので、圧力損失が大きくなり、特に高周波駆動するときに圧力室への液体供給が間に合わなくなり、必要な吐出特性が得られなくなるという課題がある。
【0009】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、共通液室内のフィルタ部材より下流側の気泡が圧力室側に移動することを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するため、本発明に係る液体吐出ヘッドは、
液滴を吐出する複数のノズルと、
前記ノズルに連なって通じる複数の圧力室と、
前記複数の圧力室に液体を共通する共通液室と、
前記共通液室に設けられ、液体に含まれる異物を捕集するフィルタと、を備え、
前記共通液室は、
外部から液体が供給される供給側共通液室と、
外部に液体を排出する排出側共通液室と、
前記複数の圧力室に通じる共通流路と、で構成され、
前記供給側共通液室は第1フィルタを介して前記共通流路に通じ、
前記排出側共通液室は第2フィルタを介して前記共通流路に通じ、
前記第1フィルタよりも前記第2フィルタが高さ方向で高い位置に設けられている
構成とした。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る液体吐出ヘッドによれば、共通液室内のフィルタより下流側の気泡が圧力室側に移動することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液体吐出ヘッドの分解斜視説明図である。
【図2】同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向に沿う断面説明図である。
【図3】同ヘッドの各部材の平面説明図である。
【図4】フィルタ部の第1例の説明に供する平面説明図である。
【図5】フィルタ部の第2例の説明に供する平面説明図である。
【図6】フィルタ部の貫通孔の異なる例を示す断面説明図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る液体吐出ヘッドの分解斜視説明図である。
【図8】同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向に沿う断面説明図である。
【図9】本発明に係る画像形成装置の一例の機構部を説明する概略側面説明図である。
【図10】同機構部の要部平面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図1ないし図3を参照して説明する。図1は同ヘッドの分解斜視説明図、図2は同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向に沿う断面説明図、図3は同ヘッドの各部材の平面説明図である。
【0014】
この液体吐出ヘッドは、ノズル板1と、流路板2と、振動板部材3とを接合している。
【0015】
ノズル板1には、液滴を吐出する複数のノズル4が千鳥状に2列配列されている(図1ないし図3ではノズル列1列分のみを図示している)。このノズル板1は、例えば、ステンレス(例えばSUS316)を用いてプレス加工でノズル4を形成しているが、その他のNi電鋳、ポリイミド樹脂フィルムなどの樹脂、シリコン、及びそれらの組み合わせからなるものなどを用いることができる。また、ノズル面にはメッキ被膜や撥液剤コーティングなどの周知の方法で撥液膜を形成している。このノズル板1は流路板2に接着剤接合している。
【0016】
流路板2は、ノズル4に連なって通じる圧力室6、圧力室6に液体を供給する液体供給路となる流体抵抗部7、流体抵抗部7の上流側の液導入部8を形成している。この流路板2は、例えばステンレス(SUS304など)を用いてプレス加工で形成しているが、これに限るものではなく、シリコン基板をエッチングして形成することでもよい。
【0017】
振動板部材3は、圧力室6の一部の壁面を変位可能な振動領域3aを有する。また、振動板部材3には、後述する共通液室を構成する共通流路30に臨み、共通流路30と各圧力室6の入口側である液導入部8とを通じる開口部9が形成されている。この振動板部材3は、二層構造をなし、Ni電鋳で形成した。
【0018】
そして、振動板部材3の圧力室6と反対側には、共通流路部材20と、第1フィルタ部材21と、第2フィルタ部材22及びこのヘッドのフレームを兼ねる共通液室部材23を積層接合し、各圧力室6に液体を供給する共通流路30、供給側共通液室31、排出側共通液室32からなる、第1フィルタ部41、42を有する共通液室28を形成している。共通液室28に関する構成の詳細は後述する。
【0019】
また、振動板部材3の振動領域3aの圧力室6とは反対側に圧電アクチュエータ11を配置している。圧電アクチュエータ11は、ベース部材13に柱状の圧電素子(圧電柱)を形成した圧電部材12を接合している。圧電部材12の各圧電柱は振動板部材3の振動領域3aに形成された島状凸部3bに接合され、配線部材であるFPC16を介して駆動信号が与えられる。
【0020】
圧電部材12はベース部材13に接合固定して溝加工(スリット加工)によって分断することのない溝を形成することで、柱状の圧電素子である複数の圧電柱12Aを形成したものである。また、圧電部材12としては、厚さ10〜50μm/1層のチタン酸ジルコン酸(PZT)と、厚さ数μm/1層の銀・パラジューム(AgPd)からなる内部電極とを交互に積層した積層型圧電部材を用いている。
【0021】
この圧電アクチュエータ11は、共通流路部材20、第1フィルタ部材21、第2フィルタ部材22、共通液室部材23に設けたアクチュエータ挿入穴19内に挿入されて配置されている。
【0022】
この液体吐出ヘッドでは、例えば圧電柱12Aに印加する電圧を基準電位から下げることによって圧電柱12Aが収縮し、振動板部材3の振動領域3aが変形して圧力室6の容積が膨張することで、圧力室6内に液体(インク)が流入し、その後圧電柱12Aに印加する電圧を上げて駆動柱12Aを積層方向に伸長させ、振動領域3aをノズル4方向に変形させて圧力室6内のインクを加圧することで、ノズル4からインク滴が吐出される。
【0023】
そして、圧電柱12Aに印加する電圧を基準電位に戻すことによって振動領域3aが初期位置に復元し、圧力室6が膨張して負圧が発生するので、このとき、共通液室28から圧力室6内にインクが充填される。そこで、ノズル4のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の液滴吐出のための動作に移行する。
【0024】
なお、このヘッドの駆動方法については上記の例(引き−押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行うこともできる。
【0025】
次に、本発明の第1実施形態における共通液室構造の詳細について説明する。
【0026】
まず、前記述したように、共通液室28を形成するため、各圧力室6に開口部9を介して通じる共通流路30を形成する共通流路部材20と、供給側共通液室31及び排出側共通液室32を形成する共通液室部材23と、共通流路部材20と共通液室部材23との間に介在する第1フィルタ部材21及び第2フィルタ部材22を有している。
【0027】
共通液室部材23は、隔壁部34で仕切られた供給側共通液室31と排出側共通液室32を形成している。これらの供給側共通液室31と排出側共通液室32はノズル配列方向に長い形状であって、隔壁部34でノズル配列方向と直交する方向に仕切られている。
【0028】
共通液室部材23には、供給側共通液室31の端部に外部からインクが供給される液供給口35が設けられている。排出側共通液室32の液供給口35とは反対側の端部に外部にインクを排出する液排出口36が設けられている。
【0029】
また、ノズル配列方向と直交する方向において、供給側共通液室31は、共通流路30の圧力室6の入口側である液導入部8が臨む側に配置され、排出側共通液室32は液導入部8が臨まない側に配置されている。
【0030】
第1フィルタ部材21には、供給側共通液室31と共通流路30との間に介在する第1フィルタ部41が設けられている。第2フィルタ部材22には、排出側共通液室32と共通流路30との間に介在する第2フィルタ部42が設けられている。また、第1フィルタ部材21には共通流路30と第2フィルタ部42を通じる開口部45が形成され、第2フィルタ部材22には供給側共通液室31と第1フィルタ部41とを通じる開口部46が形成されている。
【0031】
ここで、ノズル面が下方に向けた配置される液体吐出時の配置において、第1フィルタ部材21に第2フィルタ部材22が高さ方向で上側に積層されることで、第1フィルタ部41よりも第2フィルタ部42が第1フィルタ部材21の厚み分高さ方向で高い位置に配置される。
【0032】
また、共通流路30の第1フィルタ部材21で形成される第2フィルタ部42側の壁面には気泡溜りとなる凹部38が設けられている。この凹部38は、第1フィルタ部41の第2フィルタ部42に対向する開口部45のノズル配列方向と直交する方向の幅を、第2フィルタ部42よりも大きして形成している。
【0033】
このように構成したので、この液体吐出ヘッドにインクを初期充填するとき、液供給口35からインクを加圧供給し、ノズル4を図示しない吸引キャップで密封して吸引ポンプなどの吸引手段によってノズル4から吸引を行うことで、ヘッド内流路にインクが満たされ、その後も液供給口35からインクを加圧供給することで、液排出口36からインクを排出させることにより、ヘッド内にインクを充填することができる。
【0034】
ここで、液供給口35から供給されたインクは、第1フィルタ部41を通過して共通流路30から開口部9を経て各圧力室6に流れるとともに、共通流路30から第2フィルタ部42を通じて排出側共通液室32にも流れ込む。
【0035】
このとき、第1フィルタ部41より下流側に混入した気泡は、浮力によって、共通流路30の圧力室6の入口側(液導入部8側)より離れた第2フィルタ部42側に移動しやすくなり、また、第2フィルタ部42側を通過できない気泡は凹部38に溜められる。
【0036】
このようにして、共通流路30から各圧力室6への気泡の移動が抑制されて、気泡詰まりによる圧力損失を低減することができ、所謂ノズル抜け(滴吐出不良や滴吐出不能)のない安定した滴吐出を行うことができる。
【0037】
次に、供給側の第1フィルタ及び排出側の第2フィルタの異なる例について図4及び図5を参照して説明する。
【0038】
図4に示す第1例は、複数の貫通孔40を千鳥状に配置した例である。また、図5に示す第2例は、複数の貫通孔40を格子状に配置した例である。
【0039】
ここで、貫通孔40は、図6(a)に示すようにテーパ形状、あるいは、同図(b)に示すようにホーン形状に形成している。これらの形状は、例えばNi電鋳工法でフィルタ部材を製作することで容易に形成することができる。
【0040】
この貫通孔40は、平面形状で円形に限るものではなく、多角形状とすることもできる。単位面積当たりの開口率も流体抵抗に大きく影響する要素であり、多角形状とすることで、効率よく貫通孔40を配置することができる。
【0041】
貫通孔40の孔径は下流側でノズル4の孔径以下としている。
【0042】
そして、図4、図5に示すように、第2フィルタ部42の開口率を第1フィルタ部41の開口率よりも大きくしている。つまり、各図(b)に示す第2フィルタ部42の単位面積当たりの貫通孔40の数を、各図(a)に示す第1フィルタ部41の単位面積当たりの貫通孔40の数よりも多くしている。
【0043】
このように、排出側の第2フィルタ部42の開口率が供給側の第1フィルタ部41の開口率より大きいことにより、排出側共通液室32への流れが発生しやすくなり、気泡が滞留した場合でも、気泡の浮力によって、圧力室6の入口側から離れた第2フィルタ部42側や気泡溜り38側に気泡が移動し易くなる。
【0044】
また、第2フィルタ部42は撥液性を付与している。撥液性は、ノズル面と同様に、メッキ被膜、あるいは撥液剤コーティングなどの周知の方法で撥液膜を形成すること付与している。
【0045】
このように、排出側の第2フィルタ部42の撥液性を供給側の第1フィルタ部41の撥液性よりも高く(大きく)することで、排出側の第2フィルタ部42側に気泡が滞在し易くなる。これにより、圧力室6の入口側から離れた位置に気泡を滞在させることができ、吐出中やノズル面からの吸引動作時などに圧力室6に気泡が侵入することを低減できる。
【0046】
次に、本発明の第2実施形態について図7及び図8を参照して説明する。図7は同ヘッドの分解斜視説明図、図8は同ヘッドのノズル配列方向と直交する方向に沿う断面説明図である。
【0047】
本実施形態では、1枚のフィルタ部材24を用いて、このフィルタ部材24に設けたフィルタ43を斜めに傾斜して配置し、供給側共通液室31と共通流路30との間に介在する第1フィルタ部41と、排出側共通液室32と共通流路30との間に介在する第2フィルタ部42とを形成し、第1フィルタ部41よりも第2フィルタ部42を高さ方向で高い位置に配置している。
【0048】
この場合、共通液室部材23は、ノズル配列方向と直交する方向で、供給側共通液室31の外側の外壁部23A、隔壁部34、排出側共通液室32の外側の外壁部23Bの順に厚みを薄くしている。
【0049】
このように構成することで、前記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができるとともに、部品点数を削減して低コスト化を図れる。しかも、第1フィルタ部41及び第2フィルタ部42が連続して傾斜していることで、第1フィルタ部41の下流側の気泡がスムーズに第2フィルタ部42側に移動するので、スムーズに圧力室6の入口側よりも離れた側へ気泡を移動させることができる。
【0050】
なお、上記実施形態では、圧電型ヘッドで説明しているが、発熱抵抗体を設けた基板を壁面部材とするサーマル型ヘッドでも、その他静電型ヘッドであっても、同様に本発明を適用することができる。
【0051】
また、上述した液体吐出ヘッドとこの液体吐出ヘッドに液体を供給するタンクを一体化することでヘッド一体型液体カートリッジ(カートリッジ一体型ヘッド)を得ることができる。
【0052】
次に、本発明に係る液体吐出ヘッドを備える本発明に係る画像形成装置の一例について図9及び図10を参照して説明する。なお、図9は同装置の機構部の側面説明図、図10は同機構部の要部平面説明図である。
【0053】
この画像形成装置はシリアル型画像形成装置であり、左右の側板221A、221Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド231、232でキャリッジ233を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
【0054】
このキャリッジ233には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための本発明に係る液体吐出ヘッドと同ヘッドに供給するインクを収容するタンクを一体化した記録ヘッド234を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0055】
記録ヘッド234は、それぞれ2つのノズル列を有し、一方の記録ヘッド234aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、他方の記録ヘッド234bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。なお、ここでは2ヘッド構成で4色の液滴を吐出する構成としているが、1ヘッド当たり4ノズル列配置とし、1個のヘッドで4色の各色を吐出させることもできる。
【0056】
また、記録ヘッド234のタンク235には各色の供給チューブ236を介して、供給ユニット224によって各色のインクカートリッジ210から各色のインクが補充供給される。
【0057】
一方、給紙トレイ202の用紙積載部(圧板)241上に積載した用紙242を給紙するための給紙部として、用紙積載部241から用紙242を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)243及び給紙コロ243に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド244を備え、この分離パッド244は給紙コロ243側に付勢されている。
【0058】
そして、この給紙部から給紙された用紙242を記録ヘッド234の下方側に送り込むために、用紙242を案内するガイド245と、カウンタローラ246と、搬送ガイド部材247と、先端加圧コロ249を有する押さえ部材248とを備えるとともに、給送された用紙242を静電吸着して記録ヘッド234に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト251を備えている。
【0059】
この搬送ベルト251は、無端状ベルトであり、搬送ローラ252とテンションローラ253との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト251の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ256を備えている。この帯電ローラ256は、搬送ベルト251の表層に接触し、搬送ベルト251の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト251は、図示しない副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ252が回転駆動されることによってベルト搬送方向に周回移動する。
【0060】
さらに、記録ヘッド234で記録された用紙242を排紙するための排紙部として、搬送ベルト251から用紙242を分離するための分離爪261と、排紙ローラ262及び排紙コロ263とを備え、排紙ローラ262の下方に排紙トレイ203を備えている。
【0061】
また、装置本体の背面部には両面ユニット271が着脱自在に装着されている。この両面ユニット271は搬送ベルト251の逆方向回転で戻される用紙242を取り込んで反転させて再度カウンタローラ246と搬送ベルト251との間に給紙する。また、この両面ユニット271の上面は手差しトレイ272としている。
【0062】
さらに、キャリッジ233の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド234のノズルの状態を維持し、回復するための回復手段を含む本発明に係るヘッドの維持回復装置である維持回復機構281を配置している。この維持回復機構281には、記録ヘッド234の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)282a、282b(区別しないときは「キャップ282」という。)と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード283と、増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け284などを備えている。
【0063】
また、キャリッジ233の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘した記録液を排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け288を配置し、この空吐出受け288には記録ヘッド234のノズル列方向に沿った開口部289などを備えている。
【0064】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ202から用紙242が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙242はガイド245で案内され、搬送ベルト251とカウンタローラ246との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド237で案内されて先端加圧コロ249で搬送ベルト251に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0065】
このとき、帯電ローラ256に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト251が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト251上に用紙242が給送されると、用紙242が搬送ベルト251に吸着され、搬送ベルト251の周回移動によって用紙242が副走査方向に搬送される。
【0066】
そこで、キャリッジ233を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド234を駆動することにより、停止している用紙242にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙242を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙242の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙242を排紙トレイ203に排紙する。
【0067】
このように、この画像形成装置では、本発明に係る液体吐出ヘッドを記録ヘッドとして備えるので、高画質画像を安定して形成することができる。
【0068】
なお、本願において、「用紙」とは材質を紙に限定するものではなく、OHP、布、ガラス、基板などを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含む。また、画像形成、記録、印字、印写、印刷はいずれも同義語とする。
【0069】
また、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。
【0070】
また、「インク」とは、特に限定しない限り、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。
【0071】
また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0072】
また、画像形成装置には、特に限定しない限り、シリアル型画像形成装置及びライン型画像形成装置のいずれも含まれる。
【符号の説明】
【0073】
1 ノズル板
2 流路板
3 振動板部材
4 ノズル
6 圧力室
8 液導入部
11 圧電アクチュエータ
20 共通流路部材
21 第1フィルタ部材
22 第2フィルタ部材
23 共通液室部材
24 フィルタ部材
28 共通液室
30 共通流路
31 供給側共通液室
32 排出側共通液室
41 第1フィルタ部
42 第2フィルタ部
43 フィルタ
233 キャリッジ
234a、234b 記録ヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出する複数のノズルと、
前記ノズルに連なって通じる複数の圧力室と、
前記複数の圧力室に液体を共通する共通液室と、
前記共通液室に設けられ、液体に含まれる異物を捕集するフィルタと、を備え、
前記共通液室は、
外部から液体が供給される供給側共通液室と、
外部に液体を排出する排出側共通液室と、
前記複数の圧力室に通じる共通流路と、で構成され、
前記供給側共通液室は第1フィルタ部を介して前記共通流路に通じ、
前記排出側共通液室は第2フィルタ部を介して前記共通流路に通じ、
前記第1フィルタ部よりも前記第2フィルタ部が高さ方向で高い位置に設けられている
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記第1フィルタ部と前記第2フィルタ部は別部材であり、高さ方向で段差をおいて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記第1フィルタ部と前記第2フィルタ部は1つの部材であり、前記第2フィルタ部が高さ方向で高くなるように傾斜して配置されていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
ノズル配列方向と直交する方向において、前記供給側共通液室は前記共通流路の前記圧力室の入口側が臨む側に配置され、前記排出側共通液室は前記共通流路の前記圧力室への入口側が臨まない側に配置されていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
前記共通流路の前記第2フィルタ部側の壁面には気泡溜り部が形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記第2フィルタ部の開口率は前記第1フィルタ部の開口率よりも大きいことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
前記第2フィルタ部の撥液性が前記第1フィルタ部の撥液性よりも大きいことを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の液体吐出ヘッドを備えていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−63535(P2013−63535A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202467(P2011−202467)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】