液体吐出ヘッド及び画像形成装置
【課題】圧力室とノズルとを通じる貫通孔部分で隣接クロストークが発生して、安定した滴吐出を行うことができない。
【解決手段】流路板2には、壁面部材側圧力室12を形成する溝部30、溝部30に通じて流体抵抗部13を形成する溝部31を形成し、ノズル板側に共通液室16に開口する液体導入部14をとなる溝部32が形成され、流路板2を厚み方向に貫通して、流体抵抗部13となる溝部31に開口し、流体抵抗部13と液体導入部14を通じる液体供給経路の一部となる第1貫通孔21が形成され、流体抵抗部13を形成する溝部31は、ノズル配列方向と直交する方向で圧力室12と反対側の端部は閉じて端部壁面31aが形成されている。
【解決手段】流路板2には、壁面部材側圧力室12を形成する溝部30、溝部30に通じて流体抵抗部13を形成する溝部31を形成し、ノズル板側に共通液室16に開口する液体導入部14をとなる溝部32が形成され、流路板2を厚み方向に貫通して、流体抵抗部13となる溝部31に開口し、流体抵抗部13と液体導入部14を通じる液体供給経路の一部となる第1貫通孔21が形成され、流体抵抗部13を形成する溝部31は、ノズル配列方向と直交する方向で圧力室12と反対側の端部は閉じて端部壁面31aが形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体吐出ヘッド及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)からなる記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置、例えばインクジェット記録装置が知られている。
【0003】
液体吐出ヘッドとしては、液滴を吐出する複数のノズルが配列されたノズル板と、ノズルが各々通じる複数の圧力室など形成する溝部が隔壁を挟んで配列された流路板と、溝部を覆い、圧力室の壁面を形成する振動板部材や発熱抵抗体を設けた基板などの壁面部材とを備えたものが知られている。
【0004】
このような液体吐出ヘッドにおいては、圧力室の液体をアクチュエータ手段で加圧したときに、圧力室の液体がノズルと逆方向へ流れることを防止するために、圧力室の上流側に流路を絞った流体抵抗部が設けられる。この流体抵抗部の流体抵抗によって吐出を制御するため、流体抵抗部の形状精度は極めて重要である。
【0005】
従来、流路板として結晶面方位<110>のシリコン基板(Si基板)を使用し、エッチングにしてより垂直な隔壁を持つ圧力室や流体抵抗部及び流体抵抗部に通じる液体導入部を同じ面に形成するものがある(特許文献1)。
【0006】
また、流体抵抗部となる溝部を形成したノズル板とノズル板の溝部に対向する隔壁部を形成した流路板を接合することで、精度の高い流体抵抗部を形成するものも知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−209921号公報
【特許文献2】特開平9−239978号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述したような<110>Si基板を用いて流路を細くした流体抵抗部を形成する構成にあっては、細くした角部が結晶方位の高次の面となるため、エッチング速度が速く、且つ安定しないため、流体抵抗部の長さを制御することが難しくなるという課題がある。
【0009】
また、圧力室を形成した流路板と流体抵抗部となる溝部を形成したノズル板とを接合する構成にあっては、ノズル板側に溝部を形成しなければならず、ノズル板の加工が複雑になるという課題がある。
【0010】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で高精度の流体抵抗部を形成して、滴吐出特性のバラツキの少ない、安定した滴吐出を行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明に係る液体吐出ヘッドは、
液滴を吐出する複数のノズルが各々通じる圧力室と、
少なくとも、前記圧力室の上流側に前記圧力室に液体を供給する流体抵抗部を有する液体供給路と、を形成する流路板を備え、
前記流路板は、結晶面方位<110>のシリコン基板をエッチングして形成され、
前記流路板の一面には前記圧力室となる溝部に連続して前記流体抵抗部となる溝部が形成され、
前記流体抵抗部となる溝部は、ノズル配列方向と直交する方向で前記圧力室と反対側の端部が閉じている
構成として。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、滴吐出特性のバラツキの少ない、安定した滴吐出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液体吐出ヘッドの外観斜視説明図である。
【図2】図4のA1−A1線に沿う断面説明図である。
【図3】図4のA2−A2線に沿う断面説明図である。
【図4】図2のB1−B1線に沿う断面説明図である。
【図5】比較例の図6のA3−A3線に沿う断面説明図である。
【図6】図5のB2−B2線に沿う断面説明図である。
【図7】同実施形態の効果説明に供する図2と同様な断面説明図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る液体吐出ヘッドの図10のA4−A4線に沿う断面説明図である。
【図9】図10のA5−A5線に沿う断面説明図である。
【図10】図8のB3−B3線に沿う断面説明図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係る液体吐出ヘッドの図13のA6−A6線に沿う断面説明図である。
【図12】図13のA7−A7線に沿う断面説明図である。
【図13】図11のB4−B4線に沿う断面説明図である。
【図14】同実施形態の効果説明に供する図12と同様な断面説明図である。
【図15】本発明の第4実施形態に係る液体吐出ヘッドの図17のA8−A8線に沿う断面説明図である。
【図16】図17のA9−A9線に沿う断面説明図である。
【図17】図15のB5−B5線に沿う断面説明図である。
【図18】本発明の第5実施形態に係る液体吐出ヘッドの図20のA10−A10線に沿う断面説明図である。
【図19】図20のA11−A11線に沿う断面説明図である。
【図20】図18のB6−B6線に沿う断面説明図である。
【図21】本発明の第6実施形態に係る液体吐出ヘッドの図23のA12−A12線に沿う断面説明図である。
【図22】図23のA13−A13線に沿う断面説明図である。
【図23】図21のB7−B7線に沿う断面説明図である。
【図24】本発明の第7実施形態に係る液体吐出ヘッドの異なる例の図26のA14−A14線に沿う断面説明図である。
【図25】図26のA15−A15線に沿う断面説明図である。
【図26】図24のB8−B8線に沿う断面説明図である。
【図27】第1例の図24のC1−C1線に沿う断面説明図である。
【図28】第2例の図24のC1−C1線に沿う断面説明図である。
【図29】本発明の第8実施形態に係る液体吐出ヘッドの図31のA16−A16線に沿う断面説明図である。
【図30】図31のA17−A17線に沿う断面説明図である。
【図31】図29のB9−B9線に沿う断面説明図である。
【図32】本発明の第9実施形態に係る液体吐出ヘッドの図34のA18−A18線に沿う断面説明図である。
【図33】図34のA19−A19線に沿う断面説明図である。
【図34】図32のB10−B10線に沿う断面説明図である。
【図35】本発明の第10実施形態に係る液体吐出ヘッドの図38のA20−A20線に沿う断面説明図である。
【図36】図38のA21−A21線に沿う断面説明図である。
【図37】図38のA22−A22線に沿う断面説明図である。
【図38】図35のB11−B11線に沿う断面説明図である。
【図39】本発明の第11実施形態に係る液体吐出ヘッドの図42のA23−A23線に沿う断面説明図である。
【図40】図42のA24−A24線に沿う断面説明図である。
【図41】図42のA25−A25線に沿う断面説明図である。
【図42】図39のB12−B12線に沿う断面説明図である。
【図43】本発明の第12実施形態に係る液体吐出ヘッドの図45のA26−A26線に沿う断面説明図である。
【図44】図45のA27−A27線に沿う断面説明図である。
【図45】図43のB13−B13線に沿う断面説明図である。
【図46】本発明の第13実施形態に係る液体吐出ヘッドの図48のA28−A28線に沿う断面説明図である。
【図47】図48のA29−A29線に沿う断面説明図である。
【図48】図46のB14−B14線に沿う断面説明図である。
【図49】本発明の第14実施形態に係る液体吐出ヘッドの図50のA30−A30線に沿う断面説明図である。
【図50】図50のA31−A31線に沿う断面説明図である。
【図51】図49のB15−B15線に沿う断面説明図である。
【図52】本発明に係る液体吐出ヘッドにおける流路板の製作プロセスの説明に供する平面説明図、底面説明図及び断面説明図である。
【図53】同じく図52に続く工程の平面説明図及び断面説明図である。
【図54】同じく図53に続く工程の平面説明図及び断面説明図である。
【図55】同じく図54に続く工程の平面説明図及び断面説明図である。
【図56】同じく図55に続く工程の平面説明図及び断面説明図である。
【図57】同じく図56に続く工程の平面説明図及び断面説明図である。
【図58】同じく図57に続く工程の平面説明図及び断面説明図である。
【図59】同じく図58に続く工程の平面説明図及び断面説明図である。
【図60】同じく図59に続く工程の平面説明図及び断面説明図である。
【図61】同じく図60に続く工程の平面説明図及び断面説明図である。
【図62】本発明に係る画像形成装置の一例を示す機構部の側面説明図である。
【図63】同機構部の要部平面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図1ないし図4を参照して説明する。図1は同ヘッドの外観斜視説明図、図2は図4のA1−A1線に沿う断面説明図、図3は図4のA2−A2線に沿う断面説明図、図4は図2のB1−B1線に沿う(図1のX−X線に沿う)断面説明図である。なお、図1は滴吐出方向を上方に向けた状態で示しているが、図2ないし図4では滴吐出方向を下方に向けた状態で示している。
【0015】
この液体吐出ヘッドは、ノズル板1と、流路板2と、壁面部材である振動板部材3とを積層して接合している。振動板部材3の流路板2とは反対側には圧電部材4を配置し、流路板2及び振動板部材3(併せて「流路部材」という。)のノズル配列方向と直交する方向に端部には共通液室16を形成する共通液室部材5を配置している。
【0016】
ノズル板1には液滴を吐出する複数のノズル11が千鳥状に2列配列されて。このノズル板1は、例えば、ステンレスを用いてプレス加工でノズル11を形成しているが、その他のNi電鋳、ポリイミド樹脂フィルムなどの樹脂、シリコン、及びそれらの組み合わせからなるものなどを用いることができる。また、ノズル面にはメッキ被膜や撥水剤コーティングなどの周知の方法で撥水膜を形成している。このノズル板1は流路板2に接着剤接合している。
【0017】
流路板2は、ノズル11に通じる貫通孔15、ノズル11に貫通孔15を介して通じる圧力室12、圧力室12に液体を供給する液体供給路の一部となる流体抵抗部13、第1貫通孔21、液体導入部14を形成している。この流路板2は、結晶面方位<110>のシリコン基板をエッチングして形成している。
【0018】
振動板部材3は、圧力室12、流体抵抗部13などの壁面を形成する壁面形成部材である。この振動板部材3には圧力室12の一部の壁面となる変位可能な振動領域3aを有し、振動領域3aに設けられた島状凸部3bにアクチュエータ手段である圧電部材(圧電素子)4が接合されている。この振動板部材3は、二層構造をなし、Ni電鋳で形成している。
【0019】
圧電部材4としては、図示しないベース部材に接合された積層型圧電部材にハーフカットダイシングによって溝加工して複数の柱状の圧電素子である圧電柱を所定の間隔で櫛歯状に形成したものを用いている。
【0020】
共通液室部材5は、このヘッドのフレーム部材を兼ね、外部から供給される液体を収容して、各圧力室12に供給するための共通液室16を形成している。この共通液室部材5は、段違いで、ノズル板1と振動板部材3とに接合することで、流路板2及び振動板部材3のノズル配列方向と直交する方向の端部の外側に共通液室16を配置している。
【0021】
この液体吐出ヘッドにおいては、例えば圧電部材4に印加する電圧を基準電位から下げることによって圧電部材4が収縮し、振動板部材3の振動領域3aが下降して圧力室12の容積が膨張することで、圧力室12内にインクが流入し、その後圧電部材4に印加する電圧を上げて積層方向に伸長させ、振動板部材3の振動領域3aをノズル11方向に変形させて圧力室12の容積を収縮させることにより、圧力室12内のインクが加圧され、ノズル11からインク滴が吐出(噴射)される。
【0022】
そして、圧電部材4に印加する電圧を基準電位に戻すことによって振動板部材3の振動領域3aが初期位置に復元し、圧力室12が膨張して負圧が発生するので、このとき、共通液室16から圧力室12内にインクが充填される。そこで、ノズル11のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の液滴吐出のための動作に移行する。
【0023】
なお、このヘッドの駆動方法については上記の例(引き−押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行なうこともできる。
【0024】
次に、本実施形態における流路板の流路構造の詳細について説明する。
【0025】
流路板2には、振動板部材3と接合する面側(以下、「壁面部材側」という。)に、圧力室12を形成する溝部30、溝部30に通じて流体抵抗部13を形成する溝部31を形成している。ノズル配列方向と直交する方向では、溝部30の幅より溝部31の幅が狭く形成されていることで、この部分が流体抵抗部13となる。
【0026】
また、流路板2には、ノズル板1と接合する面側(以下、「ノズル板側」という。)に、共通液室16に開口する開口部14aを有し、流路板2内の流路に液体を導入する液体供給経路の一部となる液体導入部14を形成する溝部32が形成されている。
【0027】
そして、流路板2には、流体抵抗部13となる溝部31の上流側で、流路板2を厚み方向に貫通して、壁面部材側で流体抵抗部13となる溝部31に開口し、ノズル板側で液体導入部14となる溝部32に開口して、流体抵抗部13と液体導入部14を通じる液体供給経路の一部となる第1貫通孔21が形成されている。
【0028】
ここで、流体抵抗部13を形成する溝部31は、ノズル配列方向と直交する方向で圧力室12と反対側の端部は閉じて端部壁面31aが形成されている。本実施形態では、溝部31の端部壁面31aは第1貫通孔21の側壁面21aと同一面で連なっている。
【0029】
このように構成したので、流体抵抗部13の長さLは、第1貫通孔21の圧力室12側の側壁面21bの位置と圧力室12側に向かって広がる起点との間の距離として規定される。
【0030】
したがって、結晶面方位<110>のシリコン基板をエッチングして、流路板2に流体抵抗部13となる溝部31を形成するとき、溝部31のノズル配列方向と直交する方向の端部壁面31aは、結晶方位に対して凹部となって、エッチングレートが一番遅い(111)結晶方位面となり、異方性エッチングによるエッチング速度が極めて遅く安定することとなる。
【0031】
ただし、流体抵抗部13となる溝部31の圧力室12の端部と圧力室12となる溝部30との連結部の壁面30aが、結晶方位に対して凸部となって、高次の結晶方位面がエッチャントに露出するため、速く且つ不安定なエッチング速度でエッチングされ、位置精度は低下する。
【0032】
しかしながら、溝部31の一端部を高精度に形成できることで、両端部が開口している場合に比べて、流体抵抗部13の長さを高精度に制御することができる。つまり、溝部31の両端部において、上記圧力室側と同様な連結部を設けた場合には、いずれも結晶方位に対して凸部となって流体抵抗部の長さを高精度に制御できなくなる。
【0033】
本実施形態の作用効果について、シリコン基板との結晶方位との関係において、流体抵抗部となる溝部の両端部が開口している比較例(図5及び図6)と比較して、一端部が閉じている本実施形態(図7)との効果について説明する。
【0034】
まず、図5及び図6に示す比較例は、流路板2の一面(壁部材側の面)に、圧力室12と、流体抵抗部13と、液体導入部14を、一連の溝部で形成したものである。
【0035】
この比較例の構成にあっては、流体抵抗部13の両端部と圧力室12及び液体導入部14との連結部分の4つの壁面には、高次の結晶方位面410が現れることになる。他の壁面については、エッチングレートが遅く、エッチングレートも安定している結晶方位面である(111)面411、あるいは、(100)面412が現れる。なお、エッチングレートでは、(111)面が最も遅く、次に(100)面が次に遅く、(110)が速い。
【0036】
高次の結晶面は、異方性エッチングのレートを管理することが難しく、またエッチングレートも速い面である。そのため、エッチング時のエッチング液濃度や温度のバラツキや、エッチングのロット違いによるエッチング液濃度や温度のバラツキによって、流体抵抗部13の両端部でエッチング量がばらつく。
【0037】
ここで、流体抵抗部13の長さは、溝幅(ノズル配列方向の幅)が同じ部分の長さとして規定されるので、エッチング量のばらつきによって、図6に示すように、流体抵抗部13の長さは、例えば規定の長さL1(L=L1)に対して長くなる長さL2、あるいは、短くなる長さL3、というようにばらつくことになる。
【0038】
このように、流体抵抗部13の長さがばらつくと、滴吐出特性が各ノズルでばらつくことになる。
【0039】
これに対し、本実施形態では、図7に示すように、高次の結晶方位面410が現れるのは、流体抵抗部13と圧力室12との連結部の2面だけであり、他の面は、エッチングレートも安定している結晶方位面である(111)面411と(100)面412で形成される。
【0040】
そのため、流体抵抗部13の圧力室12側の高次の結晶面だけがばらつくことになる。例えば、流体抵抗部13の長さは、例えば規定の長さL1(L=L1)に対して長くなる長さL12、あるいは、短くなる長さL13というように、ばらつくことになる。
【0041】
しかしながら、本実施形態では、流体抵抗部13の長さは、一端が第1貫通孔21の側壁面21bの位置を基準として決定されるので、高次の結晶方位面のエッチングレートバラツキが比較例と同様であるとした場合、上記比較例に比べて、流体抵抗部長さのバラツキを1/2にすることができる。
【0042】
次に、本発明の第2実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図8ないし図10を参照して説明する。図8は同ヘッドの図10のA4−A4線に沿う断面説明図、図9は図10のA5−A5線に沿う断面説明図、図10は図8のB3−B3線に沿う断面説明図である。
【0043】
本実施形態では、流体抵抗部13を、第1貫通孔21側から延びる隔壁部33によって、ノズル配列方向で2本に分割し、1つの圧力室12に対して2本の流体抵抗部13を配置する構成としている。
【0044】
この場合も、各流体抵抗部13を形成する溝部31は、ノズル配列方向と直交する方向で圧力室12と反対側の端部は閉じて端部壁面31aが形成されている。本実施形態では、溝部31の端部壁面31aは第1貫通孔21の側壁面21aと同一面で連なっている。
【0045】
このように構成しても、前記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0046】
次に、本発明の第3実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図11ないし図13を参照して説明する。図11は同ヘッドの図13のA6−A6線に沿う断面説明図、図12は図13のA7−A7線に沿う断面説明図、図13は図11のB4−B4線に沿う断面説明図である。
【0047】
本実施形形態では、振動板部材3の圧力室12側とは反対側の面に共通液室部材5を配置し、振動板部材3に設けた開口部17を介して液体を供給する。
【0048】
流路板2には、壁面部材側に、圧力室12を形成する溝部30及び開口部17に通じる液体導入部14となる溝部32を形成している。
【0049】
また、流路板2には、ノズル板側に、流体抵抗部13となる溝部31を形成している。
【0050】
そして、流路板2には、流路板2を厚み方向に貫通する液体供給経路の一部となる第1貫通孔21及び第2貫通孔22を設け、第1貫通孔21と第2貫通孔22との間に流体抵抗部13を配置している。
【0051】
第1貫通孔21は、流体抵抗部13となる溝部31の下流側に開口して圧力室12と通じ、第2貫通孔22は流体抵抗部13となる溝部31の上流側に開口して液体導入部14に通じる。
【0052】
ここで、流体抵抗部13を形成する溝部31は、ノズル配列方向と直交する方向の両端部が閉じて端部壁面31a、31cが形成されている。本実施形態では、溝部31の端部壁面31aは第1貫通孔21の側壁面21bと同一面で連なり、溝部31の端部壁面31cは第2貫通孔22の側壁面22aと同一面で連なっている。
【0053】
このように構成したので、流体抵抗部13となる溝部31の端部壁面31a、31cは、いずれも結晶方位の凹部となって、異方性エッチングによるエッチング速度が極めて遅く安定する。
【0054】
これにより、流体抵抗部長さ精度を高精度に形成することができる。なお、本実施形態の流体抵抗部13の長さは、第1貫通孔21の側壁面21aの位置と第2貫通孔22の側壁面22bとで規定される。
【0055】
本実施形態の作用効果について、結晶方位面との関係で図14も参照して説明する。
【0056】
本実施形態の構成では、図14に示すように、流路板2の溝部30、31、32は全面がエッチングレートが遅く、エッチングレートも安定している結晶方位面である(111)面411と(100)面412で形成される。
【0057】
したがって、高次の結晶方位面のエッチングレートバラツキにより流体抵抗部長さのバラツキはほとんど発生しないので、前記第1、第2実施形態よりも、流体抵抗部の長さを高精度に形成できて、よりバラツキの少ない安定した滴吐出特性が得られる。
【0058】
次に、本発明の第4実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図15ないし図17を参照して説明する。図15は同ヘッドの図17のA8−A8線に沿う断面説明図、図16は図17のA9−A9線に沿う断面説明図、図17は図15のB5−B5線に沿う断面説明図である。
【0059】
本実施形態では、流体抵抗部13を、隔壁部34によって、ノズル配列方向で2本に分割し、1つの圧力室12に対して2本の流体抵抗部13を配置する構成としている。
【0060】
この場合も、各流体抵抗部13を形成する溝部31の両端部は閉じて端部壁面31a、31cが形成されている。本実施形態でも、溝部31の端部壁面31aは第1貫通孔21の側壁面21bと同一面で連なり、溝部31の端部壁面31cは第2貫通孔22の側壁面22aと同一面で連なる。
【0061】
このように構成しても、前記第3実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0062】
次に、本発明の第5実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図18ないし図20を参照して説明する。図18は同ヘッドの図20のA10−A10線に沿う断面説明図、図19は図20のA11−A11線に沿う断面説明図、図20は図18のB6−B6線に沿う断面説明図である。
【0063】
本実施形態では、前記第1実施形態において、前記第3実施形態と同様に、振動板部材3の圧力室12側とは反対側の面に共通液室部材5を配置し、振動板部材3に設けた開口部17を介して液体を供給し、流路板2の液体導入部14は、流路板2を厚み方向に貫通する貫通孔35と溝部32によって構成している。
【0064】
そして、流路板2の壁面部材側の面に形成する、圧力室12となる溝部30に対して流体抵抗部13となる溝部31とノズル配列方向に片寄らせて形成している。ここでは、溝部30のノズル配列方向の一方の壁面と溝部30にノズル配列方向の一方の壁面とは同じ面となる。
【0065】
これにより、結晶方位に対して凸部となって、結晶方位高次の面がエッチャントに露出するため、速く且つ不安定なエッチング速度でエッチングされ、位置精度が悪くなる部位は、溝部30、31の他方の壁面を連結する1つの壁面31bの1箇所のみとなる。
【0066】
したがって、前記第1、第2実施形態に比べても、流体抵抗部13の長さ精度を更に向上させることができ、また検査等により管理することも容易となる。
【0067】
次に、本発明の第6実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図21ないし図23を参照して説明する。図21は同ヘッドの図23のA12−A12線に沿う断面説明図、図22は図23のA13−A13線に沿う断面説明図、図23は図21のB7−B7線に沿う断面説明図である。
【0068】
本実施形態では、前記第5実施形態において、圧力室12と第1貫通孔21の位置をノズル配列方向にずらして配置している。
【0069】
このようにしても、前記第5実施形態と同様の作用効果を得ることができる。そして、ノズル列を複数配置する多列化によってノズル密度を高くする多列ヘッドとした場合、ノズル列毎にノズル位置をノズル配列方向にずらす必要がある。このような多列ヘッドでは本実施形態のように構成することで、ノズル位置をノズル配列方向に容易にずらすことができて、高密度化を図ることができる。
【0070】
次に、本発明の第7実施形態に係る液体吐出ヘッドの異なる例について図24ないし図28を参照して説明する。図24は同ヘッドの図26のA14−A14線に沿う断面説明図、図25は図26のA15−A15線に沿う断面説明図、図26は図24のB8−B8線に沿う断面説明図、図27は第1例の図24のC1−C1線に沿う断面説明図、図28は第2例の図24のC1−C1線に沿う断面説明図である。
【0071】
本実施形態における流体抵抗部13及び第1貫通孔21の構成は前記第1実施形態と同様であり、液体導入部14側の構成は前記第5実施形態と同様である。
【0072】
そして、図27に示す第1例では、第1貫通孔21と流体抵抗部13となる溝部31との連結部分をテーパ形状としている。
【0073】
このようなテーパ形状は、異方性ウェットエッチングにて連結部分をエッチングすることにより容易に形成することができる。これにより、液体の流れがスムーズになって、流速変化が少なくなり、気泡のトラップが生じにくくなる。
【0074】
また、図28に示す第2例では、第1貫通孔21と流体抵抗部13となる溝部31との連結部分を平坦な段差形状としている。
【0075】
このような段差形状は、異方性ウェットエッチングにて連結部分をエッチングするときに、流路溝部と同一のエッチングにて加工することにより容易に形成することができる。あるいは、溝部31を形成後に第1貫通孔21を貫通させるときに、ボロンドープやメタルスパッタマスクにより溝部31以外の部分の上面を保護してから、第1貫通孔21を貫通させることにより容易に形成することができる。
【0076】
流体抵抗部13の流体抵抗は、最も幅の狭い流路部分の長さにより決まるので、平坦な段差形状にすることにより、最も狭められている部位の長さを管理しやすくなる。
【0077】
次に、本発明の第8実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図29ないし図31を参照して説明する。図29は同ヘッドの図31のA16−A16線に沿う断面説明図、図30は図31のA17−A17線に沿う断面説明図、図31は図29のB9−B9線に沿う断面説明図である。
【0078】
本実施形態では、共通液室16の平面形状が前記第1実施形態と異なるのみである。ここで、流路板2内の流路に液体を導入する液体導入部14は、前記第1実施形態と同様に、流路板2のノズル板側の面に設けている。
【0079】
前述したように、共通液室部材5は、段違いで振動板部材3とノズル板1とに接着剤で接合しているので、接合部段差の誤差を埋めるために、共通液室部材5と振動板部材3との間の接着剤130を厚くする必要がある。
【0080】
厚く塗られた接着剤130の一部は、振動板部材3及び流路板2のノズル配列方向端部に流れ出し、液体導入部14を閉塞するおそれがある。
【0081】
本実施形態のように、共通液室部材5と振動板部材3との接着剤による接合部から離れた流路板2のノズル板側の面に液体導入部14を設けることで、接着剤130の一部が流れ出したとしても、液体導入部14を閉塞するおそれが低減する。
【0082】
次に、本発明の第9実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図32ないし図34を参照して説明する。図32は同ヘッドの図34のA18−A18線に沿う断面説明図、図33は図34のA19−A19線に沿う断面説明図、図34は図32のB10−B10線に沿う断面説明図である。
【0083】
本実施形態では、前記第8実施形態において、液体導入部14の共通液室16側の開口部14aを、共通液室16側に向かって広がるテーパ形状としている。
【0084】
このようなテーパ形状は、異方性エッチングにて各個別流路を連結するようにマスクすることにより容易に形成することができる。
【0085】
これにより、液体が導入され易くなり、例えば気泡が液体導入部14の角部にトラップされる等の不具合を防ぐことができる。
【0086】
次に、本発明の第10実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図35ないし図38を参照して説明する。図35は同ヘッドの図38のA20−A20線に沿う断面説明図、図36は図38のA21−A21線に沿う断面説明図、図37は図38のA22−A22線に沿う断面説明図、図38は図35のB11−B11線に沿う断面説明図である。
【0087】
本実施形態では、個別流路(圧力室12、流体抵抗部13、第1貫通孔21)の液体導入部14を各個別流路で連結している。
【0088】
すなわち、各個別流路の圧力変動に対する応答速度は、各個別流路が共通部から個別流路に分離してからの容積に依存する。そのため、液体導入部14を各個別流路で連結することにより、各個別流路の容積を小さくし、圧力変動に対する応答速度を速くすることができ、高速での液滴吐出が可能となる。
【0089】
なお、液体導入部14の連結の程度としては、第1貫通孔21に対向する部分までの全てでも良いし、あるいは、第1貫通孔21の手前側(第1貫通孔21はここの液体導入部14に対向する状態)でもよい。
【0090】
次に、本発明の第11実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図39ないし図42を参照して説明する。図39は同ヘッドの図42のA23−A23線に沿う断面説明図、図40は図42のA24−A24線に沿う断面説明図、図41は図42のA25−A25線に沿う断面説明図、図42は図39のB12−B12線に沿う断面説明図である。
【0091】
本実施形態は、前記第10実施形態において、複数の液体導入部14ごとにリブ131を配置して連結している。
【0092】
すなわち、ノズル板1との接合部に大きな空間領域を設けると、ノズル板1の外力によるたわみなどにより問題が生じるおそれがある。
【0093】
そこで、一部にリブ131を設けることにより、ノズル板1との接合部に大きな空間領域の一部に補強部を設け、外力によるたわみなどを防止している。
【0094】
次に、本発明の第12実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図43ないし図45を参照して説明する。図43は同ヘッドの図45のA26−A26線に沿う断面説明図、図44は図45のA27−A27線に沿う断面説明図、図45は図43のB13−B13線に沿う断面説明図である。
【0095】
本実施形態では、前記第8実施形態の構成において、流路板2の端部に凸部132を設けている。
【0096】
この凸部132は、流路を形成するためのマスクと、流路を分離するためのマスク或はダイシングラインに段差を設けることにより、容易に形成することができる。
【0097】
このように構成することで、共通液室部材5と振動板部材3との接合部から、接着剤130の一部が流れ出したとしても、凸部132で堰き止めて、液体導入部14に流入することを防止することができる。
【0098】
次に、本発明の第13実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図46ないし図48を参照して説明する。図46は同ヘッドの図48のA28−A28線に沿う断面説明図、図47は図48のA29−A29線に沿う断面説明図、図49は図46のB14−B14線に沿う断面説明図である。
【0099】
結晶面方位<110>のシリコン基板(ウエハ)を使用して流路板2を製作する場合、ウェハに対するエッチング面方位によっては、図46に示すように、圧力室12、貫通孔15、流体抵抗部13、液体導入部14などのノズル配列方向と直交する方向に沿う方向の端部の角度α、βを異なる角度とすることができる。
【0100】
ここで、第1貫通孔21、あるいは、第2貫通孔22、又は第1貫通孔21及び第2貫通孔22の両者の、角度αを持つ面412と角度βを持つ面411が交差する位置を、溝部のノズル配列方向と直交する方向の略中央部に位置させることにより、第1貫通孔21、あるいは、第2貫通孔22、又は第1貫通孔21及び第2貫通孔22の両者を、液体が通過し易くなり、気泡除去性(気泡排出性)を高めることができる。
【0101】
この場合、上述した形状は、光学マスクにて角度αを持つ面と、角度βを持つ面の比率を変えることにより容易に製作することができる。
【0102】
次に、本発明の第14実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図49ないし図51を参照して説明する。図49は同ヘッドの図51のA30−A30線に沿う断面説明図、図50は図51のA31−A31線に沿う断面説明図、図51は図49のB15−B15線に沿う断面説明図である。
【0103】
上述したように、結晶面方位<110>のシリコン基板(ウエハ)を使用して流路板2を製作する場合、ウエハに対するエッチング面方位によっては、図49に示すように、圧力室12、貫通孔15、流体抵抗部13、液体導入部14などのノズル配列方向と直交する方向に沿う方向の端部の角度α、βを異なる角度とすることができる。
【0104】
そして、本実施形態では、圧力室12の貫通孔15側端部及び貫通孔15について、角度αを持つ面412と角度βを持つ面411とが交差する位置を、ノズル配列方向と直交する方向の中央部からずらして形成している。
【0105】
これにより、圧力室12を形成する溝部のノズル配列方向両端部の側壁面の直線領域長さL11、L12を異ならせることができる。
【0106】
このような形状にすることによって、溝部形状を自由に変更することができ、溝部内を液体が流動しやすくし、気泡除去性を高めることができる。なお、このような形状は、光学マスクにて各度αを持つ面411と、角度βを持つ面の比率を変えることにより容易に製作することができる。
【0107】
次に、本発明に係る液体吐出ヘッドの流路板の製造方法の一例について図52ないし図61を参照して説明する。各図(a)は平面説明図、(b)は底面図、(c)は(a)、(b)のX1−X1線に沿う断面説明図、(d)は(a)、(b)のX2−X2線に沿う断面説明図である。
【0108】
まず、結晶面方位(110)のシリコン基板303を使用して、図52に示すように、表側ドライエッチング保護膜301、表側ウェットエッチングパターニング302、裏側ウェットエッチングパターン304、裏側ウェットエッチングパターン305、裏側ウェットエッチングパターン306、裏側ドライエッチングパターン307をパターニングする。
【0109】
パターニングは、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜などを用いることもできるし、レジストによるパターニングを用いることもできる。
【0110】
その後、図53に示すように、ドライエッチングにてほぼ垂直なエッチングホール308を形成する。
【0111】
次いで、図54に示すように、裏側ドライエッチングパターン307を剥離する。
【0112】
その後、図55に示すように、異方性エッチング液にてエッチングを行う。すると、ドライエッチングホール308からエッチングが広がり、ほぼマスクパターン形状にエッチングされる(エッチング穴309となる)。
【0113】
その後、図56に示すように、裏側ウェットエッチングパターン306を剥離する。
【0114】
次いで、図57に示すように、再び異方性エッチング液にてエッチングを行う。すると、裏面側にウェットエッチング穴310が形成される。
【0115】
その後、図58に示すように、表側ウェットエッチング保護膜301、裏側ウェットエッチングパターン305を剥離する。
【0116】
次いで、図59に示すように、再び異方性エッチング液にてエッチングを行う。すると、裏面側にウェットエッチング穴310は更に深くエッチングされていく。また表面、裏面に溝部312、311がエッチングされていく。ここで、エッチングのレートを管理することが難しく、またエッチングレートも速い高次の結晶面313は圧力室12の隔壁を形成する他の面より速く、不安定にエッチングされ、エッチングレジストパターン314の下をエッチングが進行する。
【0117】
その後、図60に示すように、溝部311、312が所定の深さになるまでエッチングする。
【0118】
その後、図61に示すように、全てのエッチングパターンを剥離すると、本発明に係る液体吐出ヘッドの流路板が完成する。なお、図61には圧力室12、流体抵抗部13、貫通孔15、第1貫通孔21、液体導入部14の各部も付記している。
【0119】
上記のプロセスで、エッチングのレートを管理することが難しく、またエッチングレートも速い高次の結晶面313が2面しか生じないため、図7で説明したように、流体抵抗部長さのバラツキを比較例の1/2にすることができ、安定した均一な吐出が可能となる。
【0120】
なお、その他の実施形態における流路板も、上記と同様のプロセスで製作することができる。
【0121】
なお、上述した液体吐出ヘッドとこの液体吐出ヘッドに液体を供給するタンクを一体化することでヘッド一体型液体カートリッジ(カートリッジ一体型ヘッド)を得ることができる。
【0122】
次に、本発明に係る液体吐出ヘッドを備える本発明に係る画像形成装置の一例について図62及び図63を参照して説明する。なお、図62は同装置の機構部を説明する概略側面説明図、図63は同機構部の要部平面説明図である。
【0123】
この画像形成装置はシリアル型画像形成装置であり、左右の側板221A、221Bに横架したガイドである主従のガイドロッド231、232でキャリッジ233を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
【0124】
このキャリッジ233には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための本発明に係る液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド234を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0125】
記録ヘッド234は、それぞれ2つのノズル列を有する液体吐出ヘッド234a、234bを1つのベース部材に取り付けて構成したもので、一方のヘッド234aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、他方のヘッド234bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。なお、ここでは2ヘッド構成で4色の液滴を吐出する構成としているが、各色毎の液体吐出ヘッドを備えることもできる。
【0126】
また、キャリッジ233には、記録ヘッド234のノズル列に対応して各色のインクを供給するためのサブタンク235a、235b(区別しないときは「サブタンク235」という。)を搭載している。このサブタンク235には各色の供給チューブ236を介して、供給ユニット224によって各色のインクカートリッジ210から各色のインクが補充供給される。
【0127】
一方、給紙トレイ202の用紙積載部(圧板)241上に積載した用紙242を給紙するための給紙部として、用紙積載部241から用紙242を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)243及び給紙コロ243に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド244を備え、この分離パッド244は給紙コロ243側に付勢されている。
【0128】
そして、この給紙部から給紙された用紙242を記録ヘッド234の下方側に送り込むために、用紙242を案内するガイド245と、カウンタローラ246と、搬送ガイド247と、先端加圧コロ249を有する押さえ部材248とを備えるとともに、給送された用紙242を静電吸着して記録ヘッド234に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト251を備えている。
【0129】
この搬送ベルト251は、無端状ベルトであり、搬送ローラ252とテンションローラ253との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト251の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ256を備えている。この帯電ローラ256は、搬送ベルト251の表層に接触し、搬送ベルト251の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト251は、図示しない副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ252が回転駆動されることによってベルト搬送方向に周回移動する。
【0130】
さらに、記録ヘッド234で記録された用紙242を排紙するための排紙部として、搬送ベルト251から用紙242を分離するための分離爪261と、排紙ローラ262及び排紙コロ263とを備え、排紙ローラ262の下方に排紙トレイ203を備えている。
【0131】
また、装置本体の背面部には両面ユニット271が着脱自在に装着されている。この両面ユニット271は搬送ベルト251の逆方向回転で戻される用紙242を取り込んで反転させて再度カウンタローラ246と搬送ベルト251との間に給紙する。また、この両面ユニット271の上面は手差しトレイ272としている。
【0132】
さらに、キャリッジ233の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド234のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構281を配置している。この維持回復機構281には、記録ヘッド234の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)282a、282b(区別しないときは「キャップ282」という。)と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード283と、増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け284などを備えている。
【0133】
また、キャリッジ233の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け288を配置し、この空吐出受け288には記録ヘッド234のノズル列方向に沿った開口部289などを備えている。
【0134】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ202から用紙242が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙242はガイド245で案内され、搬送ベルト251とカウンタローラ246との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド247で案内されて先端加圧コロ249で搬送ベルト251に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0135】
このとき、帯電ローラ256に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト251が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト251上に用紙242が給送されると、用紙242が搬送ベルト251に吸着され、搬送ベルト251の周回移動によって用紙242が副走査方向に搬送される。
【0136】
そこで、キャリッジ233を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド234を駆動することにより、停止している用紙242にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙242を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙242の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙242を排紙トレイ203に排紙する。
【0137】
このように、この画像形成装置では本発明に係る液体吐出ヘッドを記録ヘッドとして備えているので、安定した滴吐出特性が得られ、安定して高画質画像を形成することができる。
【0138】
なお、本願において、「用紙」とは材質を紙に限定するものではなく、OHP、布、ガラス、基板などを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含む。また、画像形成、記録、印字、印写、印刷はいずれも同義語とする。
【0139】
また、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。
【0140】
また、「インク」とは、特に限定しない限り、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。
【0141】
また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0142】
また、画像形成装置には、特に限定しない限り、シリアル型画像形成装置及びライン型画像形成装置のいずれも含まれる。
【符号の説明】
【0143】
1 ノズル板
2 流路板
3 振動板部材
4 圧電部材
5 共通液室部材
11 ノズル
12 圧力室
13 流体抵抗部
14 液体導入部
15 貫通孔
16 共通液室
21 第1貫通孔
22 第2貫通孔
233 キャリッジ
234a、234b 記録ヘッド
【技術分野】
【0001】
本発明は液体吐出ヘッド及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これらの複合機等の画像形成装置として、例えばインク液滴を吐出する液体吐出ヘッド(液滴吐出ヘッド)からなる記録ヘッドを用いた液体吐出記録方式の画像形成装置、例えばインクジェット記録装置が知られている。
【0003】
液体吐出ヘッドとしては、液滴を吐出する複数のノズルが配列されたノズル板と、ノズルが各々通じる複数の圧力室など形成する溝部が隔壁を挟んで配列された流路板と、溝部を覆い、圧力室の壁面を形成する振動板部材や発熱抵抗体を設けた基板などの壁面部材とを備えたものが知られている。
【0004】
このような液体吐出ヘッドにおいては、圧力室の液体をアクチュエータ手段で加圧したときに、圧力室の液体がノズルと逆方向へ流れることを防止するために、圧力室の上流側に流路を絞った流体抵抗部が設けられる。この流体抵抗部の流体抵抗によって吐出を制御するため、流体抵抗部の形状精度は極めて重要である。
【0005】
従来、流路板として結晶面方位<110>のシリコン基板(Si基板)を使用し、エッチングにしてより垂直な隔壁を持つ圧力室や流体抵抗部及び流体抵抗部に通じる液体導入部を同じ面に形成するものがある(特許文献1)。
【0006】
また、流体抵抗部となる溝部を形成したノズル板とノズル板の溝部に対向する隔壁部を形成した流路板を接合することで、精度の高い流体抵抗部を形成するものも知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−209921号公報
【特許文献2】特開平9−239978号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述したような<110>Si基板を用いて流路を細くした流体抵抗部を形成する構成にあっては、細くした角部が結晶方位の高次の面となるため、エッチング速度が速く、且つ安定しないため、流体抵抗部の長さを制御することが難しくなるという課題がある。
【0009】
また、圧力室を形成した流路板と流体抵抗部となる溝部を形成したノズル板とを接合する構成にあっては、ノズル板側に溝部を形成しなければならず、ノズル板の加工が複雑になるという課題がある。
【0010】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で高精度の流体抵抗部を形成して、滴吐出特性のバラツキの少ない、安定した滴吐出を行えるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するため、本発明に係る液体吐出ヘッドは、
液滴を吐出する複数のノズルが各々通じる圧力室と、
少なくとも、前記圧力室の上流側に前記圧力室に液体を供給する流体抵抗部を有する液体供給路と、を形成する流路板を備え、
前記流路板は、結晶面方位<110>のシリコン基板をエッチングして形成され、
前記流路板の一面には前記圧力室となる溝部に連続して前記流体抵抗部となる溝部が形成され、
前記流体抵抗部となる溝部は、ノズル配列方向と直交する方向で前記圧力室と反対側の端部が閉じている
構成として。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、滴吐出特性のバラツキの少ない、安定した滴吐出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液体吐出ヘッドの外観斜視説明図である。
【図2】図4のA1−A1線に沿う断面説明図である。
【図3】図4のA2−A2線に沿う断面説明図である。
【図4】図2のB1−B1線に沿う断面説明図である。
【図5】比較例の図6のA3−A3線に沿う断面説明図である。
【図6】図5のB2−B2線に沿う断面説明図である。
【図7】同実施形態の効果説明に供する図2と同様な断面説明図である。
【図8】本発明の第2実施形態に係る液体吐出ヘッドの図10のA4−A4線に沿う断面説明図である。
【図9】図10のA5−A5線に沿う断面説明図である。
【図10】図8のB3−B3線に沿う断面説明図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係る液体吐出ヘッドの図13のA6−A6線に沿う断面説明図である。
【図12】図13のA7−A7線に沿う断面説明図である。
【図13】図11のB4−B4線に沿う断面説明図である。
【図14】同実施形態の効果説明に供する図12と同様な断面説明図である。
【図15】本発明の第4実施形態に係る液体吐出ヘッドの図17のA8−A8線に沿う断面説明図である。
【図16】図17のA9−A9線に沿う断面説明図である。
【図17】図15のB5−B5線に沿う断面説明図である。
【図18】本発明の第5実施形態に係る液体吐出ヘッドの図20のA10−A10線に沿う断面説明図である。
【図19】図20のA11−A11線に沿う断面説明図である。
【図20】図18のB6−B6線に沿う断面説明図である。
【図21】本発明の第6実施形態に係る液体吐出ヘッドの図23のA12−A12線に沿う断面説明図である。
【図22】図23のA13−A13線に沿う断面説明図である。
【図23】図21のB7−B7線に沿う断面説明図である。
【図24】本発明の第7実施形態に係る液体吐出ヘッドの異なる例の図26のA14−A14線に沿う断面説明図である。
【図25】図26のA15−A15線に沿う断面説明図である。
【図26】図24のB8−B8線に沿う断面説明図である。
【図27】第1例の図24のC1−C1線に沿う断面説明図である。
【図28】第2例の図24のC1−C1線に沿う断面説明図である。
【図29】本発明の第8実施形態に係る液体吐出ヘッドの図31のA16−A16線に沿う断面説明図である。
【図30】図31のA17−A17線に沿う断面説明図である。
【図31】図29のB9−B9線に沿う断面説明図である。
【図32】本発明の第9実施形態に係る液体吐出ヘッドの図34のA18−A18線に沿う断面説明図である。
【図33】図34のA19−A19線に沿う断面説明図である。
【図34】図32のB10−B10線に沿う断面説明図である。
【図35】本発明の第10実施形態に係る液体吐出ヘッドの図38のA20−A20線に沿う断面説明図である。
【図36】図38のA21−A21線に沿う断面説明図である。
【図37】図38のA22−A22線に沿う断面説明図である。
【図38】図35のB11−B11線に沿う断面説明図である。
【図39】本発明の第11実施形態に係る液体吐出ヘッドの図42のA23−A23線に沿う断面説明図である。
【図40】図42のA24−A24線に沿う断面説明図である。
【図41】図42のA25−A25線に沿う断面説明図である。
【図42】図39のB12−B12線に沿う断面説明図である。
【図43】本発明の第12実施形態に係る液体吐出ヘッドの図45のA26−A26線に沿う断面説明図である。
【図44】図45のA27−A27線に沿う断面説明図である。
【図45】図43のB13−B13線に沿う断面説明図である。
【図46】本発明の第13実施形態に係る液体吐出ヘッドの図48のA28−A28線に沿う断面説明図である。
【図47】図48のA29−A29線に沿う断面説明図である。
【図48】図46のB14−B14線に沿う断面説明図である。
【図49】本発明の第14実施形態に係る液体吐出ヘッドの図50のA30−A30線に沿う断面説明図である。
【図50】図50のA31−A31線に沿う断面説明図である。
【図51】図49のB15−B15線に沿う断面説明図である。
【図52】本発明に係る液体吐出ヘッドにおける流路板の製作プロセスの説明に供する平面説明図、底面説明図及び断面説明図である。
【図53】同じく図52に続く工程の平面説明図及び断面説明図である。
【図54】同じく図53に続く工程の平面説明図及び断面説明図である。
【図55】同じく図54に続く工程の平面説明図及び断面説明図である。
【図56】同じく図55に続く工程の平面説明図及び断面説明図である。
【図57】同じく図56に続く工程の平面説明図及び断面説明図である。
【図58】同じく図57に続く工程の平面説明図及び断面説明図である。
【図59】同じく図58に続く工程の平面説明図及び断面説明図である。
【図60】同じく図59に続く工程の平面説明図及び断面説明図である。
【図61】同じく図60に続く工程の平面説明図及び断面説明図である。
【図62】本発明に係る画像形成装置の一例を示す機構部の側面説明図である。
【図63】同機構部の要部平面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図1ないし図4を参照して説明する。図1は同ヘッドの外観斜視説明図、図2は図4のA1−A1線に沿う断面説明図、図3は図4のA2−A2線に沿う断面説明図、図4は図2のB1−B1線に沿う(図1のX−X線に沿う)断面説明図である。なお、図1は滴吐出方向を上方に向けた状態で示しているが、図2ないし図4では滴吐出方向を下方に向けた状態で示している。
【0015】
この液体吐出ヘッドは、ノズル板1と、流路板2と、壁面部材である振動板部材3とを積層して接合している。振動板部材3の流路板2とは反対側には圧電部材4を配置し、流路板2及び振動板部材3(併せて「流路部材」という。)のノズル配列方向と直交する方向に端部には共通液室16を形成する共通液室部材5を配置している。
【0016】
ノズル板1には液滴を吐出する複数のノズル11が千鳥状に2列配列されて。このノズル板1は、例えば、ステンレスを用いてプレス加工でノズル11を形成しているが、その他のNi電鋳、ポリイミド樹脂フィルムなどの樹脂、シリコン、及びそれらの組み合わせからなるものなどを用いることができる。また、ノズル面にはメッキ被膜や撥水剤コーティングなどの周知の方法で撥水膜を形成している。このノズル板1は流路板2に接着剤接合している。
【0017】
流路板2は、ノズル11に通じる貫通孔15、ノズル11に貫通孔15を介して通じる圧力室12、圧力室12に液体を供給する液体供給路の一部となる流体抵抗部13、第1貫通孔21、液体導入部14を形成している。この流路板2は、結晶面方位<110>のシリコン基板をエッチングして形成している。
【0018】
振動板部材3は、圧力室12、流体抵抗部13などの壁面を形成する壁面形成部材である。この振動板部材3には圧力室12の一部の壁面となる変位可能な振動領域3aを有し、振動領域3aに設けられた島状凸部3bにアクチュエータ手段である圧電部材(圧電素子)4が接合されている。この振動板部材3は、二層構造をなし、Ni電鋳で形成している。
【0019】
圧電部材4としては、図示しないベース部材に接合された積層型圧電部材にハーフカットダイシングによって溝加工して複数の柱状の圧電素子である圧電柱を所定の間隔で櫛歯状に形成したものを用いている。
【0020】
共通液室部材5は、このヘッドのフレーム部材を兼ね、外部から供給される液体を収容して、各圧力室12に供給するための共通液室16を形成している。この共通液室部材5は、段違いで、ノズル板1と振動板部材3とに接合することで、流路板2及び振動板部材3のノズル配列方向と直交する方向の端部の外側に共通液室16を配置している。
【0021】
この液体吐出ヘッドにおいては、例えば圧電部材4に印加する電圧を基準電位から下げることによって圧電部材4が収縮し、振動板部材3の振動領域3aが下降して圧力室12の容積が膨張することで、圧力室12内にインクが流入し、その後圧電部材4に印加する電圧を上げて積層方向に伸長させ、振動板部材3の振動領域3aをノズル11方向に変形させて圧力室12の容積を収縮させることにより、圧力室12内のインクが加圧され、ノズル11からインク滴が吐出(噴射)される。
【0022】
そして、圧電部材4に印加する電圧を基準電位に戻すことによって振動板部材3の振動領域3aが初期位置に復元し、圧力室12が膨張して負圧が発生するので、このとき、共通液室16から圧力室12内にインクが充填される。そこで、ノズル11のメニスカス面の振動が減衰して安定した後、次の液滴吐出のための動作に移行する。
【0023】
なお、このヘッドの駆動方法については上記の例(引き−押し打ち)に限るものではなく、駆動波形の与えた方によって引き打ちや押し打ちなどを行なうこともできる。
【0024】
次に、本実施形態における流路板の流路構造の詳細について説明する。
【0025】
流路板2には、振動板部材3と接合する面側(以下、「壁面部材側」という。)に、圧力室12を形成する溝部30、溝部30に通じて流体抵抗部13を形成する溝部31を形成している。ノズル配列方向と直交する方向では、溝部30の幅より溝部31の幅が狭く形成されていることで、この部分が流体抵抗部13となる。
【0026】
また、流路板2には、ノズル板1と接合する面側(以下、「ノズル板側」という。)に、共通液室16に開口する開口部14aを有し、流路板2内の流路に液体を導入する液体供給経路の一部となる液体導入部14を形成する溝部32が形成されている。
【0027】
そして、流路板2には、流体抵抗部13となる溝部31の上流側で、流路板2を厚み方向に貫通して、壁面部材側で流体抵抗部13となる溝部31に開口し、ノズル板側で液体導入部14となる溝部32に開口して、流体抵抗部13と液体導入部14を通じる液体供給経路の一部となる第1貫通孔21が形成されている。
【0028】
ここで、流体抵抗部13を形成する溝部31は、ノズル配列方向と直交する方向で圧力室12と反対側の端部は閉じて端部壁面31aが形成されている。本実施形態では、溝部31の端部壁面31aは第1貫通孔21の側壁面21aと同一面で連なっている。
【0029】
このように構成したので、流体抵抗部13の長さLは、第1貫通孔21の圧力室12側の側壁面21bの位置と圧力室12側に向かって広がる起点との間の距離として規定される。
【0030】
したがって、結晶面方位<110>のシリコン基板をエッチングして、流路板2に流体抵抗部13となる溝部31を形成するとき、溝部31のノズル配列方向と直交する方向の端部壁面31aは、結晶方位に対して凹部となって、エッチングレートが一番遅い(111)結晶方位面となり、異方性エッチングによるエッチング速度が極めて遅く安定することとなる。
【0031】
ただし、流体抵抗部13となる溝部31の圧力室12の端部と圧力室12となる溝部30との連結部の壁面30aが、結晶方位に対して凸部となって、高次の結晶方位面がエッチャントに露出するため、速く且つ不安定なエッチング速度でエッチングされ、位置精度は低下する。
【0032】
しかしながら、溝部31の一端部を高精度に形成できることで、両端部が開口している場合に比べて、流体抵抗部13の長さを高精度に制御することができる。つまり、溝部31の両端部において、上記圧力室側と同様な連結部を設けた場合には、いずれも結晶方位に対して凸部となって流体抵抗部の長さを高精度に制御できなくなる。
【0033】
本実施形態の作用効果について、シリコン基板との結晶方位との関係において、流体抵抗部となる溝部の両端部が開口している比較例(図5及び図6)と比較して、一端部が閉じている本実施形態(図7)との効果について説明する。
【0034】
まず、図5及び図6に示す比較例は、流路板2の一面(壁部材側の面)に、圧力室12と、流体抵抗部13と、液体導入部14を、一連の溝部で形成したものである。
【0035】
この比較例の構成にあっては、流体抵抗部13の両端部と圧力室12及び液体導入部14との連結部分の4つの壁面には、高次の結晶方位面410が現れることになる。他の壁面については、エッチングレートが遅く、エッチングレートも安定している結晶方位面である(111)面411、あるいは、(100)面412が現れる。なお、エッチングレートでは、(111)面が最も遅く、次に(100)面が次に遅く、(110)が速い。
【0036】
高次の結晶面は、異方性エッチングのレートを管理することが難しく、またエッチングレートも速い面である。そのため、エッチング時のエッチング液濃度や温度のバラツキや、エッチングのロット違いによるエッチング液濃度や温度のバラツキによって、流体抵抗部13の両端部でエッチング量がばらつく。
【0037】
ここで、流体抵抗部13の長さは、溝幅(ノズル配列方向の幅)が同じ部分の長さとして規定されるので、エッチング量のばらつきによって、図6に示すように、流体抵抗部13の長さは、例えば規定の長さL1(L=L1)に対して長くなる長さL2、あるいは、短くなる長さL3、というようにばらつくことになる。
【0038】
このように、流体抵抗部13の長さがばらつくと、滴吐出特性が各ノズルでばらつくことになる。
【0039】
これに対し、本実施形態では、図7に示すように、高次の結晶方位面410が現れるのは、流体抵抗部13と圧力室12との連結部の2面だけであり、他の面は、エッチングレートも安定している結晶方位面である(111)面411と(100)面412で形成される。
【0040】
そのため、流体抵抗部13の圧力室12側の高次の結晶面だけがばらつくことになる。例えば、流体抵抗部13の長さは、例えば規定の長さL1(L=L1)に対して長くなる長さL12、あるいは、短くなる長さL13というように、ばらつくことになる。
【0041】
しかしながら、本実施形態では、流体抵抗部13の長さは、一端が第1貫通孔21の側壁面21bの位置を基準として決定されるので、高次の結晶方位面のエッチングレートバラツキが比較例と同様であるとした場合、上記比較例に比べて、流体抵抗部長さのバラツキを1/2にすることができる。
【0042】
次に、本発明の第2実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図8ないし図10を参照して説明する。図8は同ヘッドの図10のA4−A4線に沿う断面説明図、図9は図10のA5−A5線に沿う断面説明図、図10は図8のB3−B3線に沿う断面説明図である。
【0043】
本実施形態では、流体抵抗部13を、第1貫通孔21側から延びる隔壁部33によって、ノズル配列方向で2本に分割し、1つの圧力室12に対して2本の流体抵抗部13を配置する構成としている。
【0044】
この場合も、各流体抵抗部13を形成する溝部31は、ノズル配列方向と直交する方向で圧力室12と反対側の端部は閉じて端部壁面31aが形成されている。本実施形態では、溝部31の端部壁面31aは第1貫通孔21の側壁面21aと同一面で連なっている。
【0045】
このように構成しても、前記第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0046】
次に、本発明の第3実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図11ないし図13を参照して説明する。図11は同ヘッドの図13のA6−A6線に沿う断面説明図、図12は図13のA7−A7線に沿う断面説明図、図13は図11のB4−B4線に沿う断面説明図である。
【0047】
本実施形形態では、振動板部材3の圧力室12側とは反対側の面に共通液室部材5を配置し、振動板部材3に設けた開口部17を介して液体を供給する。
【0048】
流路板2には、壁面部材側に、圧力室12を形成する溝部30及び開口部17に通じる液体導入部14となる溝部32を形成している。
【0049】
また、流路板2には、ノズル板側に、流体抵抗部13となる溝部31を形成している。
【0050】
そして、流路板2には、流路板2を厚み方向に貫通する液体供給経路の一部となる第1貫通孔21及び第2貫通孔22を設け、第1貫通孔21と第2貫通孔22との間に流体抵抗部13を配置している。
【0051】
第1貫通孔21は、流体抵抗部13となる溝部31の下流側に開口して圧力室12と通じ、第2貫通孔22は流体抵抗部13となる溝部31の上流側に開口して液体導入部14に通じる。
【0052】
ここで、流体抵抗部13を形成する溝部31は、ノズル配列方向と直交する方向の両端部が閉じて端部壁面31a、31cが形成されている。本実施形態では、溝部31の端部壁面31aは第1貫通孔21の側壁面21bと同一面で連なり、溝部31の端部壁面31cは第2貫通孔22の側壁面22aと同一面で連なっている。
【0053】
このように構成したので、流体抵抗部13となる溝部31の端部壁面31a、31cは、いずれも結晶方位の凹部となって、異方性エッチングによるエッチング速度が極めて遅く安定する。
【0054】
これにより、流体抵抗部長さ精度を高精度に形成することができる。なお、本実施形態の流体抵抗部13の長さは、第1貫通孔21の側壁面21aの位置と第2貫通孔22の側壁面22bとで規定される。
【0055】
本実施形態の作用効果について、結晶方位面との関係で図14も参照して説明する。
【0056】
本実施形態の構成では、図14に示すように、流路板2の溝部30、31、32は全面がエッチングレートが遅く、エッチングレートも安定している結晶方位面である(111)面411と(100)面412で形成される。
【0057】
したがって、高次の結晶方位面のエッチングレートバラツキにより流体抵抗部長さのバラツキはほとんど発生しないので、前記第1、第2実施形態よりも、流体抵抗部の長さを高精度に形成できて、よりバラツキの少ない安定した滴吐出特性が得られる。
【0058】
次に、本発明の第4実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図15ないし図17を参照して説明する。図15は同ヘッドの図17のA8−A8線に沿う断面説明図、図16は図17のA9−A9線に沿う断面説明図、図17は図15のB5−B5線に沿う断面説明図である。
【0059】
本実施形態では、流体抵抗部13を、隔壁部34によって、ノズル配列方向で2本に分割し、1つの圧力室12に対して2本の流体抵抗部13を配置する構成としている。
【0060】
この場合も、各流体抵抗部13を形成する溝部31の両端部は閉じて端部壁面31a、31cが形成されている。本実施形態でも、溝部31の端部壁面31aは第1貫通孔21の側壁面21bと同一面で連なり、溝部31の端部壁面31cは第2貫通孔22の側壁面22aと同一面で連なる。
【0061】
このように構成しても、前記第3実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0062】
次に、本発明の第5実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図18ないし図20を参照して説明する。図18は同ヘッドの図20のA10−A10線に沿う断面説明図、図19は図20のA11−A11線に沿う断面説明図、図20は図18のB6−B6線に沿う断面説明図である。
【0063】
本実施形態では、前記第1実施形態において、前記第3実施形態と同様に、振動板部材3の圧力室12側とは反対側の面に共通液室部材5を配置し、振動板部材3に設けた開口部17を介して液体を供給し、流路板2の液体導入部14は、流路板2を厚み方向に貫通する貫通孔35と溝部32によって構成している。
【0064】
そして、流路板2の壁面部材側の面に形成する、圧力室12となる溝部30に対して流体抵抗部13となる溝部31とノズル配列方向に片寄らせて形成している。ここでは、溝部30のノズル配列方向の一方の壁面と溝部30にノズル配列方向の一方の壁面とは同じ面となる。
【0065】
これにより、結晶方位に対して凸部となって、結晶方位高次の面がエッチャントに露出するため、速く且つ不安定なエッチング速度でエッチングされ、位置精度が悪くなる部位は、溝部30、31の他方の壁面を連結する1つの壁面31bの1箇所のみとなる。
【0066】
したがって、前記第1、第2実施形態に比べても、流体抵抗部13の長さ精度を更に向上させることができ、また検査等により管理することも容易となる。
【0067】
次に、本発明の第6実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図21ないし図23を参照して説明する。図21は同ヘッドの図23のA12−A12線に沿う断面説明図、図22は図23のA13−A13線に沿う断面説明図、図23は図21のB7−B7線に沿う断面説明図である。
【0068】
本実施形態では、前記第5実施形態において、圧力室12と第1貫通孔21の位置をノズル配列方向にずらして配置している。
【0069】
このようにしても、前記第5実施形態と同様の作用効果を得ることができる。そして、ノズル列を複数配置する多列化によってノズル密度を高くする多列ヘッドとした場合、ノズル列毎にノズル位置をノズル配列方向にずらす必要がある。このような多列ヘッドでは本実施形態のように構成することで、ノズル位置をノズル配列方向に容易にずらすことができて、高密度化を図ることができる。
【0070】
次に、本発明の第7実施形態に係る液体吐出ヘッドの異なる例について図24ないし図28を参照して説明する。図24は同ヘッドの図26のA14−A14線に沿う断面説明図、図25は図26のA15−A15線に沿う断面説明図、図26は図24のB8−B8線に沿う断面説明図、図27は第1例の図24のC1−C1線に沿う断面説明図、図28は第2例の図24のC1−C1線に沿う断面説明図である。
【0071】
本実施形態における流体抵抗部13及び第1貫通孔21の構成は前記第1実施形態と同様であり、液体導入部14側の構成は前記第5実施形態と同様である。
【0072】
そして、図27に示す第1例では、第1貫通孔21と流体抵抗部13となる溝部31との連結部分をテーパ形状としている。
【0073】
このようなテーパ形状は、異方性ウェットエッチングにて連結部分をエッチングすることにより容易に形成することができる。これにより、液体の流れがスムーズになって、流速変化が少なくなり、気泡のトラップが生じにくくなる。
【0074】
また、図28に示す第2例では、第1貫通孔21と流体抵抗部13となる溝部31との連結部分を平坦な段差形状としている。
【0075】
このような段差形状は、異方性ウェットエッチングにて連結部分をエッチングするときに、流路溝部と同一のエッチングにて加工することにより容易に形成することができる。あるいは、溝部31を形成後に第1貫通孔21を貫通させるときに、ボロンドープやメタルスパッタマスクにより溝部31以外の部分の上面を保護してから、第1貫通孔21を貫通させることにより容易に形成することができる。
【0076】
流体抵抗部13の流体抵抗は、最も幅の狭い流路部分の長さにより決まるので、平坦な段差形状にすることにより、最も狭められている部位の長さを管理しやすくなる。
【0077】
次に、本発明の第8実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図29ないし図31を参照して説明する。図29は同ヘッドの図31のA16−A16線に沿う断面説明図、図30は図31のA17−A17線に沿う断面説明図、図31は図29のB9−B9線に沿う断面説明図である。
【0078】
本実施形態では、共通液室16の平面形状が前記第1実施形態と異なるのみである。ここで、流路板2内の流路に液体を導入する液体導入部14は、前記第1実施形態と同様に、流路板2のノズル板側の面に設けている。
【0079】
前述したように、共通液室部材5は、段違いで振動板部材3とノズル板1とに接着剤で接合しているので、接合部段差の誤差を埋めるために、共通液室部材5と振動板部材3との間の接着剤130を厚くする必要がある。
【0080】
厚く塗られた接着剤130の一部は、振動板部材3及び流路板2のノズル配列方向端部に流れ出し、液体導入部14を閉塞するおそれがある。
【0081】
本実施形態のように、共通液室部材5と振動板部材3との接着剤による接合部から離れた流路板2のノズル板側の面に液体導入部14を設けることで、接着剤130の一部が流れ出したとしても、液体導入部14を閉塞するおそれが低減する。
【0082】
次に、本発明の第9実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図32ないし図34を参照して説明する。図32は同ヘッドの図34のA18−A18線に沿う断面説明図、図33は図34のA19−A19線に沿う断面説明図、図34は図32のB10−B10線に沿う断面説明図である。
【0083】
本実施形態では、前記第8実施形態において、液体導入部14の共通液室16側の開口部14aを、共通液室16側に向かって広がるテーパ形状としている。
【0084】
このようなテーパ形状は、異方性エッチングにて各個別流路を連結するようにマスクすることにより容易に形成することができる。
【0085】
これにより、液体が導入され易くなり、例えば気泡が液体導入部14の角部にトラップされる等の不具合を防ぐことができる。
【0086】
次に、本発明の第10実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図35ないし図38を参照して説明する。図35は同ヘッドの図38のA20−A20線に沿う断面説明図、図36は図38のA21−A21線に沿う断面説明図、図37は図38のA22−A22線に沿う断面説明図、図38は図35のB11−B11線に沿う断面説明図である。
【0087】
本実施形態では、個別流路(圧力室12、流体抵抗部13、第1貫通孔21)の液体導入部14を各個別流路で連結している。
【0088】
すなわち、各個別流路の圧力変動に対する応答速度は、各個別流路が共通部から個別流路に分離してからの容積に依存する。そのため、液体導入部14を各個別流路で連結することにより、各個別流路の容積を小さくし、圧力変動に対する応答速度を速くすることができ、高速での液滴吐出が可能となる。
【0089】
なお、液体導入部14の連結の程度としては、第1貫通孔21に対向する部分までの全てでも良いし、あるいは、第1貫通孔21の手前側(第1貫通孔21はここの液体導入部14に対向する状態)でもよい。
【0090】
次に、本発明の第11実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図39ないし図42を参照して説明する。図39は同ヘッドの図42のA23−A23線に沿う断面説明図、図40は図42のA24−A24線に沿う断面説明図、図41は図42のA25−A25線に沿う断面説明図、図42は図39のB12−B12線に沿う断面説明図である。
【0091】
本実施形態は、前記第10実施形態において、複数の液体導入部14ごとにリブ131を配置して連結している。
【0092】
すなわち、ノズル板1との接合部に大きな空間領域を設けると、ノズル板1の外力によるたわみなどにより問題が生じるおそれがある。
【0093】
そこで、一部にリブ131を設けることにより、ノズル板1との接合部に大きな空間領域の一部に補強部を設け、外力によるたわみなどを防止している。
【0094】
次に、本発明の第12実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図43ないし図45を参照して説明する。図43は同ヘッドの図45のA26−A26線に沿う断面説明図、図44は図45のA27−A27線に沿う断面説明図、図45は図43のB13−B13線に沿う断面説明図である。
【0095】
本実施形態では、前記第8実施形態の構成において、流路板2の端部に凸部132を設けている。
【0096】
この凸部132は、流路を形成するためのマスクと、流路を分離するためのマスク或はダイシングラインに段差を設けることにより、容易に形成することができる。
【0097】
このように構成することで、共通液室部材5と振動板部材3との接合部から、接着剤130の一部が流れ出したとしても、凸部132で堰き止めて、液体導入部14に流入することを防止することができる。
【0098】
次に、本発明の第13実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図46ないし図48を参照して説明する。図46は同ヘッドの図48のA28−A28線に沿う断面説明図、図47は図48のA29−A29線に沿う断面説明図、図49は図46のB14−B14線に沿う断面説明図である。
【0099】
結晶面方位<110>のシリコン基板(ウエハ)を使用して流路板2を製作する場合、ウェハに対するエッチング面方位によっては、図46に示すように、圧力室12、貫通孔15、流体抵抗部13、液体導入部14などのノズル配列方向と直交する方向に沿う方向の端部の角度α、βを異なる角度とすることができる。
【0100】
ここで、第1貫通孔21、あるいは、第2貫通孔22、又は第1貫通孔21及び第2貫通孔22の両者の、角度αを持つ面412と角度βを持つ面411が交差する位置を、溝部のノズル配列方向と直交する方向の略中央部に位置させることにより、第1貫通孔21、あるいは、第2貫通孔22、又は第1貫通孔21及び第2貫通孔22の両者を、液体が通過し易くなり、気泡除去性(気泡排出性)を高めることができる。
【0101】
この場合、上述した形状は、光学マスクにて角度αを持つ面と、角度βを持つ面の比率を変えることにより容易に製作することができる。
【0102】
次に、本発明の第14実施形態に係る液体吐出ヘッドについて図49ないし図51を参照して説明する。図49は同ヘッドの図51のA30−A30線に沿う断面説明図、図50は図51のA31−A31線に沿う断面説明図、図51は図49のB15−B15線に沿う断面説明図である。
【0103】
上述したように、結晶面方位<110>のシリコン基板(ウエハ)を使用して流路板2を製作する場合、ウエハに対するエッチング面方位によっては、図49に示すように、圧力室12、貫通孔15、流体抵抗部13、液体導入部14などのノズル配列方向と直交する方向に沿う方向の端部の角度α、βを異なる角度とすることができる。
【0104】
そして、本実施形態では、圧力室12の貫通孔15側端部及び貫通孔15について、角度αを持つ面412と角度βを持つ面411とが交差する位置を、ノズル配列方向と直交する方向の中央部からずらして形成している。
【0105】
これにより、圧力室12を形成する溝部のノズル配列方向両端部の側壁面の直線領域長さL11、L12を異ならせることができる。
【0106】
このような形状にすることによって、溝部形状を自由に変更することができ、溝部内を液体が流動しやすくし、気泡除去性を高めることができる。なお、このような形状は、光学マスクにて各度αを持つ面411と、角度βを持つ面の比率を変えることにより容易に製作することができる。
【0107】
次に、本発明に係る液体吐出ヘッドの流路板の製造方法の一例について図52ないし図61を参照して説明する。各図(a)は平面説明図、(b)は底面図、(c)は(a)、(b)のX1−X1線に沿う断面説明図、(d)は(a)、(b)のX2−X2線に沿う断面説明図である。
【0108】
まず、結晶面方位(110)のシリコン基板303を使用して、図52に示すように、表側ドライエッチング保護膜301、表側ウェットエッチングパターニング302、裏側ウェットエッチングパターン304、裏側ウェットエッチングパターン305、裏側ウェットエッチングパターン306、裏側ドライエッチングパターン307をパターニングする。
【0109】
パターニングは、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜などを用いることもできるし、レジストによるパターニングを用いることもできる。
【0110】
その後、図53に示すように、ドライエッチングにてほぼ垂直なエッチングホール308を形成する。
【0111】
次いで、図54に示すように、裏側ドライエッチングパターン307を剥離する。
【0112】
その後、図55に示すように、異方性エッチング液にてエッチングを行う。すると、ドライエッチングホール308からエッチングが広がり、ほぼマスクパターン形状にエッチングされる(エッチング穴309となる)。
【0113】
その後、図56に示すように、裏側ウェットエッチングパターン306を剥離する。
【0114】
次いで、図57に示すように、再び異方性エッチング液にてエッチングを行う。すると、裏面側にウェットエッチング穴310が形成される。
【0115】
その後、図58に示すように、表側ウェットエッチング保護膜301、裏側ウェットエッチングパターン305を剥離する。
【0116】
次いで、図59に示すように、再び異方性エッチング液にてエッチングを行う。すると、裏面側にウェットエッチング穴310は更に深くエッチングされていく。また表面、裏面に溝部312、311がエッチングされていく。ここで、エッチングのレートを管理することが難しく、またエッチングレートも速い高次の結晶面313は圧力室12の隔壁を形成する他の面より速く、不安定にエッチングされ、エッチングレジストパターン314の下をエッチングが進行する。
【0117】
その後、図60に示すように、溝部311、312が所定の深さになるまでエッチングする。
【0118】
その後、図61に示すように、全てのエッチングパターンを剥離すると、本発明に係る液体吐出ヘッドの流路板が完成する。なお、図61には圧力室12、流体抵抗部13、貫通孔15、第1貫通孔21、液体導入部14の各部も付記している。
【0119】
上記のプロセスで、エッチングのレートを管理することが難しく、またエッチングレートも速い高次の結晶面313が2面しか生じないため、図7で説明したように、流体抵抗部長さのバラツキを比較例の1/2にすることができ、安定した均一な吐出が可能となる。
【0120】
なお、その他の実施形態における流路板も、上記と同様のプロセスで製作することができる。
【0121】
なお、上述した液体吐出ヘッドとこの液体吐出ヘッドに液体を供給するタンクを一体化することでヘッド一体型液体カートリッジ(カートリッジ一体型ヘッド)を得ることができる。
【0122】
次に、本発明に係る液体吐出ヘッドを備える本発明に係る画像形成装置の一例について図62及び図63を参照して説明する。なお、図62は同装置の機構部を説明する概略側面説明図、図63は同機構部の要部平面説明図である。
【0123】
この画像形成装置はシリアル型画像形成装置であり、左右の側板221A、221Bに横架したガイドである主従のガイドロッド231、232でキャリッジ233を主走査方向に摺動自在に保持し、図示しない主走査モータによってタイミングベルトを介して矢示方向(キャリッジ主走査方向)に移動走査する。
【0124】
このキャリッジ233には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための本発明に係る液体吐出ヘッドからなる記録ヘッド234を複数のノズルからなるノズル列を主走査方向と直交する副走査方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
【0125】
記録ヘッド234は、それぞれ2つのノズル列を有する液体吐出ヘッド234a、234bを1つのベース部材に取り付けて構成したもので、一方のヘッド234aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を、他方のヘッド234bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を、他方のノズル列はイエロー(Y)の液滴を、それぞれ吐出する。なお、ここでは2ヘッド構成で4色の液滴を吐出する構成としているが、各色毎の液体吐出ヘッドを備えることもできる。
【0126】
また、キャリッジ233には、記録ヘッド234のノズル列に対応して各色のインクを供給するためのサブタンク235a、235b(区別しないときは「サブタンク235」という。)を搭載している。このサブタンク235には各色の供給チューブ236を介して、供給ユニット224によって各色のインクカートリッジ210から各色のインクが補充供給される。
【0127】
一方、給紙トレイ202の用紙積載部(圧板)241上に積載した用紙242を給紙するための給紙部として、用紙積載部241から用紙242を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ)243及び給紙コロ243に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド244を備え、この分離パッド244は給紙コロ243側に付勢されている。
【0128】
そして、この給紙部から給紙された用紙242を記録ヘッド234の下方側に送り込むために、用紙242を案内するガイド245と、カウンタローラ246と、搬送ガイド247と、先端加圧コロ249を有する押さえ部材248とを備えるとともに、給送された用紙242を静電吸着して記録ヘッド234に対向する位置で搬送するための搬送手段である搬送ベルト251を備えている。
【0129】
この搬送ベルト251は、無端状ベルトであり、搬送ローラ252とテンションローラ253との間に掛け渡されて、ベルト搬送方向(副走査方向)に周回するように構成している。また、この搬送ベルト251の表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ256を備えている。この帯電ローラ256は、搬送ベルト251の表層に接触し、搬送ベルト251の回動に従動して回転するように配置されている。この搬送ベルト251は、図示しない副走査モータによってタイミングを介して搬送ローラ252が回転駆動されることによってベルト搬送方向に周回移動する。
【0130】
さらに、記録ヘッド234で記録された用紙242を排紙するための排紙部として、搬送ベルト251から用紙242を分離するための分離爪261と、排紙ローラ262及び排紙コロ263とを備え、排紙ローラ262の下方に排紙トレイ203を備えている。
【0131】
また、装置本体の背面部には両面ユニット271が着脱自在に装着されている。この両面ユニット271は搬送ベルト251の逆方向回転で戻される用紙242を取り込んで反転させて再度カウンタローラ246と搬送ベルト251との間に給紙する。また、この両面ユニット271の上面は手差しトレイ272としている。
【0132】
さらに、キャリッジ233の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド234のノズルの状態を維持し、回復するための維持回復機構281を配置している。この維持回復機構281には、記録ヘッド234の各ノズル面をキャピングするための各キャップ部材(以下「キャップ」という。)282a、282b(区別しないときは「キャップ282」という。)と、ノズル面をワイピングするためのブレード部材であるワイパーブレード283と、増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け284などを備えている。
【0133】
また、キャリッジ233の走査方向他方側の非印字領域には、記録中などに増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け288を配置し、この空吐出受け288には記録ヘッド234のノズル列方向に沿った開口部289などを備えている。
【0134】
このように構成したこの画像形成装置においては、給紙トレイ202から用紙242が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙242はガイド245で案内され、搬送ベルト251とカウンタローラ246との間に挟まれて搬送され、更に先端を搬送ガイド247で案内されて先端加圧コロ249で搬送ベルト251に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
【0135】
このとき、帯電ローラ256に対してプラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように、つまり交番する電圧が印加され、搬送ベルト251が交番する帯電電圧パターン、すなわち、周回方向である副走査方向に、プラスとマイナスが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラス、マイナス交互に帯電した搬送ベルト251上に用紙242が給送されると、用紙242が搬送ベルト251に吸着され、搬送ベルト251の周回移動によって用紙242が副走査方向に搬送される。
【0136】
そこで、キャリッジ233を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド234を駆動することにより、停止している用紙242にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙242を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号又は用紙242の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙242を排紙トレイ203に排紙する。
【0137】
このように、この画像形成装置では本発明に係る液体吐出ヘッドを記録ヘッドとして備えているので、安定した滴吐出特性が得られ、安定して高画質画像を形成することができる。
【0138】
なお、本願において、「用紙」とは材質を紙に限定するものではなく、OHP、布、ガラス、基板などを含み、インク滴、その他の液体などが付着可能なものの意味であり、被記録媒体、記録媒体、記録紙、記録用紙などと称されるものを含む。また、画像形成、記録、印字、印写、印刷はいずれも同義語とする。
【0139】
また、「画像形成装置」は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックス等の媒体に液体を吐出して画像形成を行う装置を意味し、また、「画像形成」とは、文字や図形等の意味を持つ画像を媒体に対して付与することだけでなく、パターン等の意味を持たない画像を媒体に付与すること(単に液滴を媒体に着弾させること)をも意味する。
【0140】
また、「インク」とは、特に限定しない限り、インクと称されるものに限らず、記録液、定着処理液、液体などと称されるものなど、画像形成を行うことができるすべての液体の総称として用い、例えば、DNA試料、レジスト、パターン材料、樹脂なども含まれる。
【0141】
また、「画像」とは平面的なものに限らず、立体的に形成されたものに付与された画像、また立体自体を三次元的に造形して形成された像も含まれる。
【0142】
また、画像形成装置には、特に限定しない限り、シリアル型画像形成装置及びライン型画像形成装置のいずれも含まれる。
【符号の説明】
【0143】
1 ノズル板
2 流路板
3 振動板部材
4 圧電部材
5 共通液室部材
11 ノズル
12 圧力室
13 流体抵抗部
14 液体導入部
15 貫通孔
16 共通液室
21 第1貫通孔
22 第2貫通孔
233 キャリッジ
234a、234b 記録ヘッド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出する複数のノズルが各々通じる圧力室と、
少なくとも、前記圧力室の上流側に前記圧力室に液体を供給する流体抵抗部を有する液体供給路と、を形成する流路板を備え、
前記流路板は、結晶面方位<110>のシリコン基板をエッチングして形成され、
前記流路板の一面には前記圧力室となる溝部に連続して前記流体抵抗部となる溝部が形成され、
前記流体抵抗部となる溝部は、ノズル配列方向と直交する方向で前記圧力室と反対側の端部が閉じている
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記流路板は、前記流体抵抗部の上流側で、前記流路板を厚み方向に貫通して、前記液体供給路の一部を形成する第1貫通孔を有し、
前記第1貫通孔は前記流体抵抗部を形成する溝部に対して開口している
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記流路板の他面には前記液体供給路の一部となる液体導入部が形成され、
前記第1貫通孔は前記流路板の他面側で、前記液体導入部に連なっている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記液体導入部は、液体の流れ方向と逆方向にテーパ状に開口していることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
液滴を吐出する複数のノズルが各々通じる圧力室と、
少なくとも、前記圧力室の上流側に前記圧力室に液体を供給する流体抵抗部を有する液体供給路と、を形成する流路板を備え、
前記流路板は、結晶面方位<110>のシリコン基板をエッチングして形成され、
前記流路板の一面には前記圧力室となる溝部が形成され、
前記流路板の他面には前記流体抵抗部となる溝部が形成され、
前記流路板には、前記流路板を厚み方向に貫通して、前記液体供給路の一部を形成する第1貫通孔と第2貫通孔を有し、
前記第1貫通孔と前記第2貫通孔との間に、前記流体抵抗部を形成する溝部が設けられている
前記流体抵抗部となる溝部は、ノズル配列方向と直交する方向の両端部が閉じている
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記流体抵抗部を形成する溝部は、ノズル配列方向に複数本設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
前記流体抵抗部を形成する溝部は、前記圧力室を形成する溝部に対して、ノズル配列方向で片寄って設けられていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項8】
前記第1貫通孔と前記流体抵抗部を形成する溝部とのつなぎ部分がテーパ面又は平坦面であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の液体吐出ヘッドを備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
液滴を吐出する複数のノズルが各々通じる圧力室と、
少なくとも、前記圧力室の上流側に前記圧力室に液体を供給する流体抵抗部を有する液体供給路と、を形成する流路板を備え、
前記流路板は、結晶面方位<110>のシリコン基板をエッチングして形成され、
前記流路板の一面には前記圧力室となる溝部に連続して前記流体抵抗部となる溝部が形成され、
前記流体抵抗部となる溝部は、ノズル配列方向と直交する方向で前記圧力室と反対側の端部が閉じている
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記流路板は、前記流体抵抗部の上流側で、前記流路板を厚み方向に貫通して、前記液体供給路の一部を形成する第1貫通孔を有し、
前記第1貫通孔は前記流体抵抗部を形成する溝部に対して開口している
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記流路板の他面には前記液体供給路の一部となる液体導入部が形成され、
前記第1貫通孔は前記流路板の他面側で、前記液体導入部に連なっている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記液体導入部は、液体の流れ方向と逆方向にテーパ状に開口していることを特徴とする請求項2に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
液滴を吐出する複数のノズルが各々通じる圧力室と、
少なくとも、前記圧力室の上流側に前記圧力室に液体を供給する流体抵抗部を有する液体供給路と、を形成する流路板を備え、
前記流路板は、結晶面方位<110>のシリコン基板をエッチングして形成され、
前記流路板の一面には前記圧力室となる溝部が形成され、
前記流路板の他面には前記流体抵抗部となる溝部が形成され、
前記流路板には、前記流路板を厚み方向に貫通して、前記液体供給路の一部を形成する第1貫通孔と第2貫通孔を有し、
前記第1貫通孔と前記第2貫通孔との間に、前記流体抵抗部を形成する溝部が設けられている
前記流体抵抗部となる溝部は、ノズル配列方向と直交する方向の両端部が閉じている
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項6】
前記流体抵抗部を形成する溝部は、ノズル配列方向に複数本設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項7】
前記流体抵抗部を形成する溝部は、前記圧力室を形成する溝部に対して、ノズル配列方向で片寄って設けられていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項8】
前記第1貫通孔と前記流体抵抗部を形成する溝部とのつなぎ部分がテーパ面又は平坦面であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の液体吐出ヘッド。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載の液体吐出ヘッドを備えていることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
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【図26】
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【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図56】
【図57】
【図58】
【図59】
【図60】
【図61】
【図62】
【図63】
【公開番号】特開2013−63588(P2013−63588A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203640(P2011−203640)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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