液体吐出ポンプ
【課題】筒状ピストンの上昇時における変形を防止ないし極力抑制することで上記のようないわゆるブロック現象を回避ないし緩和することが可能な液体吐出ポンプを提供する。
【解決手段】 容器体内へ垂下するシリンダ10上部内へステム抜止め筒20を嵌合させ、前記シリンダ内へ筒状ピストン30を上下動自在に嵌合させ、
前記ステム抜止め筒内へステム40を上方付勢状態で上下動自在に挿通させて、該ステム下端を前記筒状ピストンへ当接可能に設け、前記ステム40の押下げで、前記筒状ピストンから離間すると共に、前記ステムの上昇で前記筒状ピストン下端へ水密に当接して該筒状ピストンを押上げる弁座部50を設け、前記ステムの上昇限度で前記筒状ピストンが前記ステム抜止め筒下端へ水密に当接可能に設け、前記筒状ピストンが前記ステム抜止め筒下端へ当接する直前に、前記ステムを介して前記筒状ピストンの上昇速度を減速させるステム規制手段25、25Aを設けた。
【解決手段】 容器体内へ垂下するシリンダ10上部内へステム抜止め筒20を嵌合させ、前記シリンダ内へ筒状ピストン30を上下動自在に嵌合させ、
前記ステム抜止め筒内へステム40を上方付勢状態で上下動自在に挿通させて、該ステム下端を前記筒状ピストンへ当接可能に設け、前記ステム40の押下げで、前記筒状ピストンから離間すると共に、前記ステムの上昇で前記筒状ピストン下端へ水密に当接して該筒状ピストンを押上げる弁座部50を設け、前記ステムの上昇限度で前記筒状ピストンが前記ステム抜止め筒下端へ水密に当接可能に設け、前記筒状ピストンが前記ステム抜止め筒下端へ当接する直前に、前記ステムを介して前記筒状ピストンの上昇速度を減速させるステム規制手段25、25Aを設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体吐出ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
シリンダ内へ筒状ピストンを嵌合させると共に、シリンダ上部内へステム抜止め筒を嵌合させ、ステム抜止め筒内へ挿通させたノズルヘッド付きステムの押下げで、筒状ピストンを下降させて液体を吐出可能に設けると共に、ノズルヘッドの押下げ解除によるステム上昇で筒状ピストンが上昇可能に設けた液体吐出ポンプが従来技術として知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−313935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術は筒状ピストンがステムの上昇と共に勢いよく上昇して、その上端がステム抜止め筒下端へ衝当するため、筒状ピストン上部が外方へ変形してその上端部がシリンダ周壁へ圧接されることとなって、そのことが再度のノズルヘッドによる押下げ操作を重いものとしていた。このような筒状ピストン上昇時における変形に起因して生ずるいわゆるブロック現象は、ピストンの材質が比較的軟材質の場合に特に生じ易いという課題がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、筒状ピストンの上昇時における変形を防止ないし極力抑制することで上記のようないわゆるブロック現象を回避ないし緩和することが可能な液体吐出ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、容器体内へ垂下するシリンダ10上部内へステム抜止め筒20を嵌合させ、
前記シリンダ内へ筒状ピストン30を上下動自在に嵌合させ、
前記ステム抜止め筒内へステム40を上方付勢状態で上下動自在に挿通させて、該ステム下端を前記筒状ピストンへ当接可能に設け、
前記ステム40の押下げで、前記筒状ピストンから離間すると共に、前記ステムの上昇で前記筒状ピストン下端へ水密に当接して該筒状ピストンを押上げる弁座部50を設け、
前記ステムの上昇限度で前記筒状ピストンが前記ステム抜止め筒下端へ水密に当接可能に設け、
前記筒状ピストンが前記ステム抜止め筒下端へ当接する直前に、前記ステムを介して前記筒状ピストンの上昇速度を減速させるステム規制手段25、25Aを設けた
ことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、前記弁座部50を、前記ステム下部内から垂下する下面閉塞の垂下筒下端部に設けた外向きフランジ状部で構成し、該外向きフランジ状部を前記筒状ピストン下面へ水密に当接させたことを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明は、前記筒状ピストン30上面に凹溝31を周設して、該凹溝内へ前記ステム40下端部を上下動自在に嵌合させ、
前記ステムの押下げで前記垂下筒51が下降して、前記弁座部が前記筒状ピストンから下方へ離間した後、前記ステム下端が前記凹溝31下面へ当接して前記筒状ピストンを押下げ可能に設け、
前記ステム40が付勢力で上昇することで、該ステム下端が前記筒状ピストンの凹溝底面から上方へ離間すると共に、前記弁座部50が上昇して前記筒状ピストンへ当接して該筒状ピストンを押し上げ可能に設けたことを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明は、前記ステム抜止め筒20と前記ステム40とのそれぞれの上部を上方小径のテーパ筒22、42を介して小内径部23、41に形成し、
前記ステム抜止め筒20のテーパ筒22下面と前記ステム40のテーパ筒42上面とのいずれか一方に外方へ拡開可能な弾性片25を一体に設けることにより前記ステム規制手段を構成したことを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明は、前記弾性片25を前記ステム抜止め筒20の小内径部23下端から周方向に任意の間隔をおいて複数垂下し、
前記筒状ピストン30が前記ステム抜止め筒20下端へ当接する直前に、前記弾性片25が前記ステムのテーパ筒42上面へ係合して外方へ拡開することで前記ステムの上昇速度を減速可能に設けたことを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明は、前記ステム抜止め筒20の上部を上方小径のテーパ筒22を介して小内径部23に形成すると共に、前記ステム40の上部を上向き段部42Aを介して小内径部に形成し、該小内径部上に緩衝材25Aを固着させることにより前記ステム規制手段を構成したことを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明は、前記緩衝材25Aは発泡性合成樹脂からなり、前記筒状ピストン30が前記ステム抜止め筒20下端へ当接する直前に、前記緩衝材25Aが前記ステム抜止め筒20のテーパ筒22下面へ当接して弾性変形することで前記ステムの上昇速度を減速可能に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、筒状ピストンの上昇速度を減速させるステム規制手段を設けたので、ステム抜止め筒下端へ当接する直前における筒状ピストンの上昇速度が減速されることとなり、その結果筒状ピストンのステム抜止め筒下端への当接後における変形が防止ないし抑制されるため、いわゆるブロック現象が回避ないし緩和されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る液体吐出ポンプの断面図である。
【図2】要部拡大断面図である。
【図3】第2の実施形態を示す図1相当図である。
【図4】要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1において、1は容器体で、肩部を介して口頸部2を起立する。
【0017】
10はシリンダで、パッキンを介して容器体口頸部2上端へ載置させた外向きフランジ11内周から周壁12を垂下すると共に、周壁12下面を閉塞する底壁13の中央部に吸込み孔14を形成して、吸込み孔14の上面周縁から短筒15を起立させて弁座となし、また吸込み孔14下面周縁から吸上げパイプ嵌合筒16を垂下させる。
【0018】
20はステム抜止め筒で、シリンダ周壁12の上部へ嵌合させた嵌合筒21上部内から上方小径のテーパ筒22を介して小径筒を起立して小内径部23に形成すると共に、嵌合筒21上端の鍔部24を外向きフランジ11上へ係合させ、さらに小内径部23の内面下端からステム規制手段を構成する弾性片25を周方向に等間隔をおいて複数垂下させている。該弾性片25はステムのテーパ筒42上面へ係合することにより外方へ拡開可能になっている。
【0019】
30は筒状ピストンで、ステム抜止め筒20より下方のシリンダ周壁12部分内へ筒壁外面の上下両端部を上下動自在に嵌合させると共に、筒壁の上下両面に凹溝31を周設させる。
【0020】
40はステムで、ステム抜止め筒20の小内径部23へ上下動自在に挿通させた長筒部41の下部を上方小径のテーパ筒42を介して大内径部43に形成して、該大内径部43を嵌合筒21内へ上下動自在に嵌合させると共に、大内径部43下部を筒状ピストン30の凹溝31内周面へ上下動自在に嵌合させている。
【0021】
50は弁座部で、ステム40の長筒部41下部内へ、上部を嵌着させて垂下する下面閉塞の垂下筒51下端部に設けた外向きフランジ状部52で構成されている。該外向きフランジ状部52は垂下筒51下端部に下方大径のテーパ筒部53を付設すると共に、該テーパ筒部53下端部から短筒54を垂下し、さらに該短筒54に鍔55を設けて、鍔55に複数の透孔56を形成すると共に、短筒54上端に突条57を周設して、該突条57を筒状ピストン30下面の凹溝内周面へ水密に係合させている。58は垂下筒51下部に設けた流入孔である。
【0022】
60は装着筒で、容器体口頸部2外面へ螺合させた周壁61上端から内向きフランジを介して案内筒62を起立させている。
【0023】
70はノズルヘッドで、頂壁71から内外二重筒72、73を垂下して、内筒72をステム40上部へ嵌合させると共に、外筒73を案内筒62内へ上下動自在に嵌合させ、さらに内外筒へノズル74を貫設させてステム40へ連通させている。
【0024】
80はコイルバネで、下端部をステム抜止め筒20の小内径部へ嵌合させると共に、上端部を内筒下部へ嵌合させることで、ノズルヘッド70を上方へ付勢している。
【0025】
90は吸込み弁で、シリンダ10底部内へ上下動自在に嵌合させた有頂周壁91内に弁板92を設けて、弁板92の中央部を短筒15上へ載置させると共に、弁板92周縁部に透孔を設けている。筒状ピストン30が上昇すると、吸込み弁90が上昇して、弁板92が短筒15から離間し、後述の吸上げパイプ100を介して吸上げられた液体がシリンダ内面に設けられた縦溝を介してシリンダ内に流入する。
【0026】
100は吸上げパイプで、吸上げパイプ嵌合筒16へ上部を嵌合させて容器体内へ垂下する。
【0027】
次に作用について説明する。
ノズルヘッド70をバネ80の付勢力に抗して押下げると、ステム40と共に弁座部50が下降して筒状ピストン30から下方へ離間する一方、ステム40は筒状ピストン30の凹溝31内を下降し凹溝下面に当接して筒状ピストンを押下げる。これによりシリンダ内液体が加圧されて透孔56から流入孔58を介してステム40内へ流入して、ノズル74から吐出される。
【0028】
ノズルヘッド70の押下げを解除すると、ノズルヘッドがバネの付勢力で上昇し、これと共にステム40と弁座部50が上昇して、ステム40が筒状ピストン30の凹溝31下面から離脱すると共に、弁座部50が筒状ピストン30下面の凹溝へ水密に当接して、筒状ピストン30を押上げる。
【0029】
筒状ピストン30は弁座部50の押上げ力により勢いよく上昇するが、ステム抜止め筒20下端へ当接する直前で、ステム40のテーパ筒42が弾性片25に当たることによりステムの上昇速度が減速されるため、筒状ピストン30も減速されることとなってステム抜止め筒20下端へは減速された状態で当接するため、当接に起因して変形することが防止されるか、あるいは変形が極力抑制される。したがって、再度ノズルヘッド70を押下げる際にいわゆるブロック現象が回避されるか、あるいは緩和されるため、ノズルヘッドの押下げが軽い操作力で行える。
【0030】
なお、上記では、弾性片25はステム抜止め筒20の小径筒部23から垂下させたが、これに限らずステム40のテーパ筒42上端から起立させても同一の作用効果が得られる。
【0031】
図3および図4は他の実施形態を示す。本実施形態ではステム規制手段が第1実施形態と相違する。すなわち、本実施形態では、ステム抜止め筒20の小内径部23へ上下動自在に挿通させた長筒部41の下部を上向き段部42Aを介して大内径部43に形成して、該大内径部上に環状の緩衝材25Aを固着させることによりステム規制手段を構成する。
【0032】
このようにすることにより、筒状ピストン30がステム抜止め筒20下端へ当接する直前で、緩衝材25Aがステム抜止め筒20のテーパ筒22下面へ当接して変形することでステム40の上昇速度が減速されるから、上記同様に筒状ピストン30の変形が防止ないし極力抑制される。なお、緩衝材25Aの材質としては発泡性合成樹脂が好ましい。その他の構成は第1実施形態と同一であるから、説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、液体吐出ポンプを備えた容器の分野に利用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 容器体
2 口頸部
10 シリンダ
20 ステム抜止め筒
21 嵌合筒
22 テーパ筒
23 小内径部
25 弾性片
30 筒状ピストン
31 凹溝
40 ステム
42 テーパ筒
50 弁座部
70 ノズルヘッド
【技術分野】
【0001】
本発明は液体吐出ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
シリンダ内へ筒状ピストンを嵌合させると共に、シリンダ上部内へステム抜止め筒を嵌合させ、ステム抜止め筒内へ挿通させたノズルヘッド付きステムの押下げで、筒状ピストンを下降させて液体を吐出可能に設けると共に、ノズルヘッドの押下げ解除によるステム上昇で筒状ピストンが上昇可能に設けた液体吐出ポンプが従来技術として知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−313935号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術は筒状ピストンがステムの上昇と共に勢いよく上昇して、その上端がステム抜止め筒下端へ衝当するため、筒状ピストン上部が外方へ変形してその上端部がシリンダ周壁へ圧接されることとなって、そのことが再度のノズルヘッドによる押下げ操作を重いものとしていた。このような筒状ピストン上昇時における変形に起因して生ずるいわゆるブロック現象は、ピストンの材質が比較的軟材質の場合に特に生じ易いという課題がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、筒状ピストンの上昇時における変形を防止ないし極力抑制することで上記のようないわゆるブロック現象を回避ないし緩和することが可能な液体吐出ポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、容器体内へ垂下するシリンダ10上部内へステム抜止め筒20を嵌合させ、
前記シリンダ内へ筒状ピストン30を上下動自在に嵌合させ、
前記ステム抜止め筒内へステム40を上方付勢状態で上下動自在に挿通させて、該ステム下端を前記筒状ピストンへ当接可能に設け、
前記ステム40の押下げで、前記筒状ピストンから離間すると共に、前記ステムの上昇で前記筒状ピストン下端へ水密に当接して該筒状ピストンを押上げる弁座部50を設け、
前記ステムの上昇限度で前記筒状ピストンが前記ステム抜止め筒下端へ水密に当接可能に設け、
前記筒状ピストンが前記ステム抜止め筒下端へ当接する直前に、前記ステムを介して前記筒状ピストンの上昇速度を減速させるステム規制手段25、25Aを設けた
ことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、前記弁座部50を、前記ステム下部内から垂下する下面閉塞の垂下筒下端部に設けた外向きフランジ状部で構成し、該外向きフランジ状部を前記筒状ピストン下面へ水密に当接させたことを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明は、前記筒状ピストン30上面に凹溝31を周設して、該凹溝内へ前記ステム40下端部を上下動自在に嵌合させ、
前記ステムの押下げで前記垂下筒51が下降して、前記弁座部が前記筒状ピストンから下方へ離間した後、前記ステム下端が前記凹溝31下面へ当接して前記筒状ピストンを押下げ可能に設け、
前記ステム40が付勢力で上昇することで、該ステム下端が前記筒状ピストンの凹溝底面から上方へ離間すると共に、前記弁座部50が上昇して前記筒状ピストンへ当接して該筒状ピストンを押し上げ可能に設けたことを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明は、前記ステム抜止め筒20と前記ステム40とのそれぞれの上部を上方小径のテーパ筒22、42を介して小内径部23、41に形成し、
前記ステム抜止め筒20のテーパ筒22下面と前記ステム40のテーパ筒42上面とのいずれか一方に外方へ拡開可能な弾性片25を一体に設けることにより前記ステム規制手段を構成したことを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明は、前記弾性片25を前記ステム抜止め筒20の小内径部23下端から周方向に任意の間隔をおいて複数垂下し、
前記筒状ピストン30が前記ステム抜止め筒20下端へ当接する直前に、前記弾性片25が前記ステムのテーパ筒42上面へ係合して外方へ拡開することで前記ステムの上昇速度を減速可能に設けたことを特徴とする。
【0011】
さらに、本発明は、前記ステム抜止め筒20の上部を上方小径のテーパ筒22を介して小内径部23に形成すると共に、前記ステム40の上部を上向き段部42Aを介して小内径部に形成し、該小内径部上に緩衝材25Aを固着させることにより前記ステム規制手段を構成したことを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明は、前記緩衝材25Aは発泡性合成樹脂からなり、前記筒状ピストン30が前記ステム抜止め筒20下端へ当接する直前に、前記緩衝材25Aが前記ステム抜止め筒20のテーパ筒22下面へ当接して弾性変形することで前記ステムの上昇速度を減速可能に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、筒状ピストンの上昇速度を減速させるステム規制手段を設けたので、ステム抜止め筒下端へ当接する直前における筒状ピストンの上昇速度が減速されることとなり、その結果筒状ピストンのステム抜止め筒下端への当接後における変形が防止ないし抑制されるため、いわゆるブロック現象が回避ないし緩和されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る液体吐出ポンプの断面図である。
【図2】要部拡大断面図である。
【図3】第2の実施形態を示す図1相当図である。
【図4】要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0016】
図1において、1は容器体で、肩部を介して口頸部2を起立する。
【0017】
10はシリンダで、パッキンを介して容器体口頸部2上端へ載置させた外向きフランジ11内周から周壁12を垂下すると共に、周壁12下面を閉塞する底壁13の中央部に吸込み孔14を形成して、吸込み孔14の上面周縁から短筒15を起立させて弁座となし、また吸込み孔14下面周縁から吸上げパイプ嵌合筒16を垂下させる。
【0018】
20はステム抜止め筒で、シリンダ周壁12の上部へ嵌合させた嵌合筒21上部内から上方小径のテーパ筒22を介して小径筒を起立して小内径部23に形成すると共に、嵌合筒21上端の鍔部24を外向きフランジ11上へ係合させ、さらに小内径部23の内面下端からステム規制手段を構成する弾性片25を周方向に等間隔をおいて複数垂下させている。該弾性片25はステムのテーパ筒42上面へ係合することにより外方へ拡開可能になっている。
【0019】
30は筒状ピストンで、ステム抜止め筒20より下方のシリンダ周壁12部分内へ筒壁外面の上下両端部を上下動自在に嵌合させると共に、筒壁の上下両面に凹溝31を周設させる。
【0020】
40はステムで、ステム抜止め筒20の小内径部23へ上下動自在に挿通させた長筒部41の下部を上方小径のテーパ筒42を介して大内径部43に形成して、該大内径部43を嵌合筒21内へ上下動自在に嵌合させると共に、大内径部43下部を筒状ピストン30の凹溝31内周面へ上下動自在に嵌合させている。
【0021】
50は弁座部で、ステム40の長筒部41下部内へ、上部を嵌着させて垂下する下面閉塞の垂下筒51下端部に設けた外向きフランジ状部52で構成されている。該外向きフランジ状部52は垂下筒51下端部に下方大径のテーパ筒部53を付設すると共に、該テーパ筒部53下端部から短筒54を垂下し、さらに該短筒54に鍔55を設けて、鍔55に複数の透孔56を形成すると共に、短筒54上端に突条57を周設して、該突条57を筒状ピストン30下面の凹溝内周面へ水密に係合させている。58は垂下筒51下部に設けた流入孔である。
【0022】
60は装着筒で、容器体口頸部2外面へ螺合させた周壁61上端から内向きフランジを介して案内筒62を起立させている。
【0023】
70はノズルヘッドで、頂壁71から内外二重筒72、73を垂下して、内筒72をステム40上部へ嵌合させると共に、外筒73を案内筒62内へ上下動自在に嵌合させ、さらに内外筒へノズル74を貫設させてステム40へ連通させている。
【0024】
80はコイルバネで、下端部をステム抜止め筒20の小内径部へ嵌合させると共に、上端部を内筒下部へ嵌合させることで、ノズルヘッド70を上方へ付勢している。
【0025】
90は吸込み弁で、シリンダ10底部内へ上下動自在に嵌合させた有頂周壁91内に弁板92を設けて、弁板92の中央部を短筒15上へ載置させると共に、弁板92周縁部に透孔を設けている。筒状ピストン30が上昇すると、吸込み弁90が上昇して、弁板92が短筒15から離間し、後述の吸上げパイプ100を介して吸上げられた液体がシリンダ内面に設けられた縦溝を介してシリンダ内に流入する。
【0026】
100は吸上げパイプで、吸上げパイプ嵌合筒16へ上部を嵌合させて容器体内へ垂下する。
【0027】
次に作用について説明する。
ノズルヘッド70をバネ80の付勢力に抗して押下げると、ステム40と共に弁座部50が下降して筒状ピストン30から下方へ離間する一方、ステム40は筒状ピストン30の凹溝31内を下降し凹溝下面に当接して筒状ピストンを押下げる。これによりシリンダ内液体が加圧されて透孔56から流入孔58を介してステム40内へ流入して、ノズル74から吐出される。
【0028】
ノズルヘッド70の押下げを解除すると、ノズルヘッドがバネの付勢力で上昇し、これと共にステム40と弁座部50が上昇して、ステム40が筒状ピストン30の凹溝31下面から離脱すると共に、弁座部50が筒状ピストン30下面の凹溝へ水密に当接して、筒状ピストン30を押上げる。
【0029】
筒状ピストン30は弁座部50の押上げ力により勢いよく上昇するが、ステム抜止め筒20下端へ当接する直前で、ステム40のテーパ筒42が弾性片25に当たることによりステムの上昇速度が減速されるため、筒状ピストン30も減速されることとなってステム抜止め筒20下端へは減速された状態で当接するため、当接に起因して変形することが防止されるか、あるいは変形が極力抑制される。したがって、再度ノズルヘッド70を押下げる際にいわゆるブロック現象が回避されるか、あるいは緩和されるため、ノズルヘッドの押下げが軽い操作力で行える。
【0030】
なお、上記では、弾性片25はステム抜止め筒20の小径筒部23から垂下させたが、これに限らずステム40のテーパ筒42上端から起立させても同一の作用効果が得られる。
【0031】
図3および図4は他の実施形態を示す。本実施形態ではステム規制手段が第1実施形態と相違する。すなわち、本実施形態では、ステム抜止め筒20の小内径部23へ上下動自在に挿通させた長筒部41の下部を上向き段部42Aを介して大内径部43に形成して、該大内径部上に環状の緩衝材25Aを固着させることによりステム規制手段を構成する。
【0032】
このようにすることにより、筒状ピストン30がステム抜止め筒20下端へ当接する直前で、緩衝材25Aがステム抜止め筒20のテーパ筒22下面へ当接して変形することでステム40の上昇速度が減速されるから、上記同様に筒状ピストン30の変形が防止ないし極力抑制される。なお、緩衝材25Aの材質としては発泡性合成樹脂が好ましい。その他の構成は第1実施形態と同一であるから、説明を省略する。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、液体吐出ポンプを備えた容器の分野に利用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 容器体
2 口頸部
10 シリンダ
20 ステム抜止め筒
21 嵌合筒
22 テーパ筒
23 小内径部
25 弾性片
30 筒状ピストン
31 凹溝
40 ステム
42 テーパ筒
50 弁座部
70 ノズルヘッド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器体内へ垂下するシリンダ10上部内へステム抜止め筒20を嵌合させ、
前記シリンダ内へ筒状ピストン30を上下動自在に嵌合させ、
前記ステム抜止め筒内へステム40を上方付勢状態で上下動自在に挿通させて、該ステム下端を前記筒状ピストンへ当接可能に設け、
前記ステム40の押下げで、前記筒状ピストンから離間すると共に、前記ステムの上昇で前記筒状ピストン下端へ水密に当接して該筒状ピストンを押上げる弁座部50を設け、
前記ステムの上昇限度で前記筒状ピストンが前記ステム抜止め筒下端へ水密に当接可能に設け、
前記筒状ピストンが前記ステム抜止め筒下端へ当接する直前に、前記ステムを介して前記筒状ピストンの上昇速度を減速させるステム規制手段25、25Aを設けた
ことを特徴とする液体吐出ポンプ。
【請求項2】
前記弁座部50を、前記ステム下部内から垂下する下面閉塞の垂下筒51下端部に設けた外向きフランジ状部で構成し、該外向きフランジ状部を前記筒状ピストン下面へ水密に当接させたことを特徴とする請求項1記載の液体吐出ポンプ。
【請求項3】
前記筒状ピストン30上面に凹溝31を周設して、該凹溝内へ前記ステム40下端部を上下動自在に嵌合させ、
前記ステムの押下げで前記垂下筒51が下降して、前記弁座部50が前記筒状ピストン30から下方へ離間した後、前記ステム下端が前記凹溝31下面へ当接して前記筒状ピストンを押下げ可能に設け、
前記ステム40が付勢力で上昇することで、該ステム下端が前記筒状ピストンの凹溝下面から上方へ離間すると共に、前記弁座部50が上昇して前記筒状ピストンへ当接して該筒状ピストンを押し上げ可能に設けた
ことを特徴とする請求項2記載の液体吐出ポンプ。
【請求項4】
前記ステム抜止め筒20と前記ステム40とのそれぞれの上部を上方小径のテーパ筒22、42を介して小内径部23、41に形成し、
前記ステム抜止め筒20のテーパ筒22下面と前記ステム40のテーパ筒42上面とのいずれか一方に外方へ拡開可能な弾性片25を一体に設けることにより前記ステム規制手段を構成した
ことを特徴とする請求項1、2又は3記載の液体吐出ポンプ。
【請求項5】
前記弾性片25を前記ステム抜止め筒20の小内径部23下端から周方向に任意の間隔をおいて複数垂下し、
前記筒状ピストン30が前記ステム抜止め筒20下端へ当接する直前に、前記弾性片25が前記ステムのテーパ筒42上面へ係合して外方へ拡開することで前記ステムの上昇速度を減速可能に設けた
ことを特徴とする請求項4記載の液体吐出ポンプ。
【請求項6】
前記ステム抜止め筒20の上部を上方小径のテーパ筒22を介して小内径部23に形成すると共に、前記ステム40の上部を上向き段部42Aを介して小内径部に形成し、該小内径部上に緩衝材25Aを固着させることにより前記ステム規制手段を構成した
ことを特徴とする請求項1、2又は3記載の液体吐出ポンプ。
【請求項7】
前記緩衝材25Aは発泡性合成樹脂からなり、前記筒状ピストン30が前記ステム抜止め筒20下端へ当接する直前に、前記緩衝材25Aが前記ステム抜止め筒20のテーパ筒22下面へ当接して弾性変形することで前記ステムの上昇速度を減速可能に設けた
ことを特徴とする請求項6記載の液体吐出ポンプ。
【請求項1】
容器体内へ垂下するシリンダ10上部内へステム抜止め筒20を嵌合させ、
前記シリンダ内へ筒状ピストン30を上下動自在に嵌合させ、
前記ステム抜止め筒内へステム40を上方付勢状態で上下動自在に挿通させて、該ステム下端を前記筒状ピストンへ当接可能に設け、
前記ステム40の押下げで、前記筒状ピストンから離間すると共に、前記ステムの上昇で前記筒状ピストン下端へ水密に当接して該筒状ピストンを押上げる弁座部50を設け、
前記ステムの上昇限度で前記筒状ピストンが前記ステム抜止め筒下端へ水密に当接可能に設け、
前記筒状ピストンが前記ステム抜止め筒下端へ当接する直前に、前記ステムを介して前記筒状ピストンの上昇速度を減速させるステム規制手段25、25Aを設けた
ことを特徴とする液体吐出ポンプ。
【請求項2】
前記弁座部50を、前記ステム下部内から垂下する下面閉塞の垂下筒51下端部に設けた外向きフランジ状部で構成し、該外向きフランジ状部を前記筒状ピストン下面へ水密に当接させたことを特徴とする請求項1記載の液体吐出ポンプ。
【請求項3】
前記筒状ピストン30上面に凹溝31を周設して、該凹溝内へ前記ステム40下端部を上下動自在に嵌合させ、
前記ステムの押下げで前記垂下筒51が下降して、前記弁座部50が前記筒状ピストン30から下方へ離間した後、前記ステム下端が前記凹溝31下面へ当接して前記筒状ピストンを押下げ可能に設け、
前記ステム40が付勢力で上昇することで、該ステム下端が前記筒状ピストンの凹溝下面から上方へ離間すると共に、前記弁座部50が上昇して前記筒状ピストンへ当接して該筒状ピストンを押し上げ可能に設けた
ことを特徴とする請求項2記載の液体吐出ポンプ。
【請求項4】
前記ステム抜止め筒20と前記ステム40とのそれぞれの上部を上方小径のテーパ筒22、42を介して小内径部23、41に形成し、
前記ステム抜止め筒20のテーパ筒22下面と前記ステム40のテーパ筒42上面とのいずれか一方に外方へ拡開可能な弾性片25を一体に設けることにより前記ステム規制手段を構成した
ことを特徴とする請求項1、2又は3記載の液体吐出ポンプ。
【請求項5】
前記弾性片25を前記ステム抜止め筒20の小内径部23下端から周方向に任意の間隔をおいて複数垂下し、
前記筒状ピストン30が前記ステム抜止め筒20下端へ当接する直前に、前記弾性片25が前記ステムのテーパ筒42上面へ係合して外方へ拡開することで前記ステムの上昇速度を減速可能に設けた
ことを特徴とする請求項4記載の液体吐出ポンプ。
【請求項6】
前記ステム抜止め筒20の上部を上方小径のテーパ筒22を介して小内径部23に形成すると共に、前記ステム40の上部を上向き段部42Aを介して小内径部に形成し、該小内径部上に緩衝材25Aを固着させることにより前記ステム規制手段を構成した
ことを特徴とする請求項1、2又は3記載の液体吐出ポンプ。
【請求項7】
前記緩衝材25Aは発泡性合成樹脂からなり、前記筒状ピストン30が前記ステム抜止め筒20下端へ当接する直前に、前記緩衝材25Aが前記ステム抜止め筒20のテーパ筒22下面へ当接して弾性変形することで前記ステムの上昇速度を減速可能に設けた
ことを特徴とする請求項6記載の液体吐出ポンプ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2011−31952(P2011−31952A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−180006(P2009−180006)
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月31日(2009.7.31)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】
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