説明

液体吐出装置、及び、液体吐出方法

【課題】部品点数を減らしつつ、画像及びカットライン形成処理に要する時間を短縮することにある。
【解決手段】媒体を搬送方向に搬送する搬送ローラーと、前記搬送方向と交差する交差方向に移動し、媒体に液体を吐出するヘッドと、前記搬送方向及び前記交差方向に移動し、前記搬送方向における第一位置から第二位置までの所定範囲に位置する媒体の部位のみカット可能なカッターと、前記搬送ローラーを制御して前記媒体を前記搬送方向に搬送させる搬送動作と前記交差方向に移動する前記ヘッドに前記液体を吐出させる液体吐出動作とを交互に繰り返し行うことにより前記媒体に画像を形成する画像形成処理を実行するとともに、前記画像形成処理中の前記搬送動作により前記所定範囲に至った前記媒体の部位を前記カッターにカットさせるカット動作を、前記液体吐出動作と並行して行うことにより、前記媒体にカットラインを形成するカットライン形成処理を実行するコントローラーと、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置、及び、液体吐出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット式プリンター等の液体吐出装置は既によく知られている。
【0003】
かかる液体吐出装置の中には、媒体を搬送方向に搬送する搬送ローラーと、前記搬送方向と交差する交差方向に移動し、媒体に液体を吐出するヘッドと、前記搬送方向及び前記交差方向に移動し、前記搬送方向における第一位置から第二位置までの所定範囲に位置する媒体の部位のみカット可能なカッターと、を有するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−281684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記液体吐出装置においては、カッターによるカット動作をヘッドによる液体吐出動作と並行して実行させるために、ステーションがカットステーションと印刷ステーションに分けられ、このことに起因して、部品点数の増加を招いてしまう場合があった。
【0006】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、部品点数を減らしつつ、画像及びカットライン形成処理に要する時間を短縮することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
主たる本発明は、媒体を搬送方向に搬送する搬送ローラーと、
前記搬送方向と交差する交差方向に移動し、媒体に液体を吐出するヘッドと、
前記搬送方向及び前記交差方向に移動し、前記搬送方向における第一位置から第二位置までの所定範囲に位置する媒体の部位のみカット可能なカッターと、
前記搬送ローラーを制御して前記媒体を前記搬送方向に搬送させる搬送動作と前記交差方向に移動する前記ヘッドに前記液体を吐出させる液体吐出動作とを交互に繰り返し行うことにより前記媒体に画像を形成する画像形成処理を実行するとともに、
前記画像形成処理中の前記搬送動作により前記所定範囲に至った前記媒体の部位を前記カッターにカットさせるカット動作を、前記液体吐出動作と並行して行うことにより、前記媒体にカットラインを形成するカットライン形成処理を実行するコントローラーと、
を有することを特徴とする液体吐出装置である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】液体吐出装置1のブロック図である。
【図2】液体吐出装置1の構成を示す概略図である。
【図3】図3A乃至図3Jは、ロール紙Sに形成される画像及びカットラインの様子を示した模式図である。
【図4】菱形画像の各ブロックを説明するための説明図である。
【図5】バンド印刷を説明するための説明模式図である。
【図6】比較例に係る液体吐出装置1を説明するための説明模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。
【0010】
媒体を搬送方向に搬送する搬送ローラーと、
前記搬送方向と交差する交差方向に移動し、媒体に液体を吐出するヘッドと、
前記搬送方向及び前記交差方向に移動し、前記搬送方向における第一位置から第二位置までの所定範囲に位置する媒体の部位のみカット可能なカッターと、
前記搬送ローラーを制御して前記媒体を前記搬送方向に搬送させる搬送動作と前記交差方向に移動する前記ヘッドに前記液体を吐出させる液体吐出動作とを交互に繰り返し行うことにより前記媒体に画像を形成する画像形成処理を実行するとともに、
前記画像形成処理中の前記搬送動作により前記所定範囲に至った前記媒体の部位を前記カッターにカットさせるカット動作を、前記液体吐出動作と並行して行うことにより、前記媒体にカットラインを形成するカットライン形成処理を実行するコントローラーと、
を有することを特徴とする液体吐出装置。
かかる場合には、部品点数を減らしつつ、画像及びカットライン形成処理に要する時間を短縮することが可能となる。
【0011】
また、前記コントローラーは、前記画像形成処理を実行するとともに、
前記画像形成処理中の前記搬送動作により前記所定範囲に至った前記媒体の部位を前記カッターにカットさせるカット動作を、複数回の前記液体吐出動作と並行して複数回行うことにより、
前記搬送方向における長さが前記第一位置から前記第二位置までの前記搬送方向における距離より長いカットラインを形成するカットライン形成処理を実行することとしてもよい。
かかる場合には、ユニットをコンパクトにするために前記所定範囲(前記第一位置から前記第二位置までの前記搬送方向における距離)を小さくした場合であっても、長いカットラインを形成することが可能となる。
【0012】
また、前記第一位置から前記第二位置までの前記搬送方向における距離は、前記画像形成処理中の前記搬送動作において前記媒体が搬送される最大搬送量と等しくなるように設定されていることとしてもよい。
かかる場合には、確実なカットを実現しつつ、ユニットを最大限コンパクトにすることが可能となる。
【0013】
また、前記コントローラーは、前記画像形成処理を実行するとともに、
前記カット動作を、前記液体吐出動作が実行される毎に該液体吐出動作と並行して行うことにより、前記媒体にカットラインを形成するカットライン形成処理を実行することとしてもよい。
かかる場合には、制御が簡易になる。
【0014】
また、前記コントローラーは、前記画像形成処理を実行するとともに、
繰り返し行われる前記搬送動作のうちのある搬送動作により前記所定範囲に至った前記媒体の部位と該ある搬送動作よりも前に行われた前搬送動作により前記所定範囲に至った前記媒体の部位の双方を前記カッターにカットさせるカット動作を、該ある搬送動作に引き続いて行われる前記液体吐出動作と並行して行うことにより、前記媒体にカットラインを形成するカットライン形成処理を実行することとしてもよい。
かかる場合には、搬送動作における搬送量が小さい場合に効率良くカットを行える。
【0015】
次に、媒体を搬送方向に搬送する搬送ローラーを制御して前記媒体を前記搬送方向に搬送させる搬送動作と前記搬送方向と交差する交差方向に移動するヘッドに液体を吐出させる液体吐出動作とを交互に繰り返し行うことにより、
前記媒体に画像を形成する画像形成処理を実行することと、
前記搬送方向及び前記交差方向に移動し、前記搬送方向における第一位置から第二位置までの所定範囲に位置する媒体の部位のみカット可能なカッターに、
前記画像形成処理中の前記搬送動作により前記所定範囲に至った前記媒体の部位をカットさせるカット動作を、
前記液体吐出動作と並行して行うことにより、前記媒体にカットラインを形成するカットライン形成処理を実行することと、
を有することを特徴とする液体吐出方法。
かかる場合には、部品点数を減らしつつ、画像及びカットライン形成処理に要する時間を短縮することが可能となる。
【0016】
===液体吐出装置1の構成例について===
インクジェットプリンター等の液体吐出装置1の構成例について、図1及び図2を用いて説明する。図1は、液体吐出装置1のブロック図である。図2は、液体吐出装置1の構成を示す概略図である。
【0017】
なお、本実施の形態においては、液体吐出装置1が画像を記録する媒体として、ロール状に巻かれた用紙(以下、ロール紙(連続紙)という)を用いて説明する。
【0018】
本実施形態の液体吐出装置1は、図1に示すように、搬送ユニット20と、第一キャリッジユニット30と、印刷を行うためのヘッドユニット40と、第二キャリッジユニット70と、カットを行うためのカッターユニット80と、検出器群50と、これらのユニット等を制御し液体吐出装置1としての動作を司るコントローラー60と、を有している。
【0019】
このため、液体吐出装置1は、外部装置であるコンピューター110から印刷データ及びカットデータを受信すると、コントローラー60によって各ユニットを制御することができる。すなわち、コントローラー60は、コンピューター110から受信した印刷データ(ロール紙の上に形成されるドットに関するデータ)に基づいて各ユニットを制御してロール紙に画像を印刷(形成)すること(画像形成処理の実行)ができる。また、コントローラー60は、コンピューター110から受信したカットデータ(ロール紙上に形成されるカットラインに関するデータ)に基づいて各ユニットを制御してロール紙をカットすること(カットライン形成処理の実行)もできる。そして、液体吐出装置1内の状況は、検出器群50によって監視されており、検出器群50は、検出結果をコントローラー60に出力する。コントローラー60は、検出器群50から出力された検出結果に基づいて、各ユニットを制御することが可能となる。
【0020】
=搬送ユニット20=
搬送ユニット20は、ロール紙Sが連続する所定の方向(以下、搬送方向と呼び、当該搬送方向のうちのロール紙Sが実際に搬送される方向をy方向と呼ぶ。図2参照)にロール紙Sを搬送させるためのものである。この搬送ユニット20は、図2に示すように、給送ローラー21と、搬送ローラー22と、従動ローラー23と、プラテン24と、巻き取りローラー25と、を有している。
【0021】
給送ローラー21は、ロール紙Sが巻かれ回転可能に支持される巻軸を有しており、当該巻軸からロール紙Sを繰り出してプラテン24側へ給送するためのローラーである。
搬送ローラー22は、給送ローラー21によって給送されたロール紙Sを搬送方向に搬送するローラーであり、不図示の搬送モーター(PFモーター)によって駆動される。本実施形態における搬送ローラー22は、図2に示すように、給送ローラー21と巻き取りローラー25との間に設けられている。
従動ローラー23は、搬送ローラー22の回転駆動に伴って回転するローラーである。本実施形態における従動ローラー23は、搬送ローラー22に対してロール紙Sを挟んで対向するように配置されている。
プラテン24は、画像形成処理実行時及びカットライン形成処理実行時において、支持面に対向するロール紙Sの部位を支持するものである。
巻き取りローラー25は、搬送ローラー22によって送られたロール紙S(カット及び印刷済みのロール紙)を巻き取るためのローラーであり、不図示の巻き取りモーターによって駆動される。
【0022】
=第一キャリッジユニット30=
第一キャリッジユニット30は、印刷動作の際に、ヘッド41を前記搬送方向と交差する交差方向(以下、移動方向と呼び、当該移動方向のうちのHP1からHP2へ向かう方向をx方向と呼ぶ。図2参照)に移動させるためのものである。この第一キャリッジユニット30は、図2に示すように、ヘッド41が取り付けられた第一キャリッジ31と、移動方向に延びるガイドレール32と、不図示のプリントキャリッジモーターと、を有している。第一キャリッジ31は、ガイドレール32に沿って移動方向に往復移動可能であり、プリントキャリッジモーターによって駆動される。なお、プリントキャリッジモーターの回転力の第一キャリッジ31への伝達は、ギア、プーリー、ベルト等から構成される公知の伝達機構により実現される。
【0023】
=ヘッドユニット40=
ヘッドユニット40は、搬送ユニット20によりプラテン24上に送り込まれたロール紙Sの部位に、液体の一例であるインクを吐出するためのものである。このヘッドユニット40は、ヘッド41(吐出ヘッド)を有している。
ヘッド41は、前記移動方向に移動し、ロール紙Sにインクを吐出する。このヘッド41は、その下面に、イエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)等の色ごとにそれぞれ複数のノズル♯1〜♯Nからなるノズル列を有している。
【0024】
各ノズル列は、ヘッド41の移動方向に沿って相互に間隔をあけて平行に配置されている。各ノズル列の各ノズル♯1〜♯Nは、ロール紙Sの搬送方向に沿って直線状に配列されている。各ノズル♯1〜♯Nには、インク滴を吐出するための駆動素子としてピエゾ素子(不図示)が設けられている。ピエゾ素子は、その両端に設けられた電極間に所定時間幅の電圧を印加すると、電圧の印加時間に応じて伸張し、インクの流路の側壁を変形させる。これによって、インクの流路の体積がピエゾ素子の伸縮に応じて収縮し、この収縮分に相当するインクが、インク滴となって各色の各ノズル♯1〜♯Nから吐出される。
【0025】
そして、このヘッド41は第一キャリッジ31に設けられているため、第一キャリッジ31が移動方向に移動すると、ヘッド41も移動方向に移動する。そして、ヘッド41が移動方向に移動しながらインクを断続的に吐出することによって、移動方向に沿ったドットライン(ラスタライン)がロール紙Sに形成されることになる。
【0026】
なお、ヘッド41によるインクの吐出に起因してヘッドユニット40内のインクの量が減った際には、インクの色ごとに設けられたインク補給ユニット(不図示)がインク供給チューブを介してヘッドユニット40(ヘッド41)に接続されているため、このインク補給ユニットによりヘッドユニット40に各インクを補給することができる。
【0027】
また、ヘッド41(第一キャリッジ31)は、図2に示すように、印刷動作を行わないときに、ホームポジションHP1で待機するようになっている。そして、このホームポジションHP1には、不図示のクリーニングユニットが設けられている。このクリーニングユニットは、キャップと、吸引ポンプ等とを有している。このため、第一キャリッジ31がホームポジションHP1に位置すると、ヘッド41の下面(ノズル面)に不図示のキャップが密着し、この密着した状態で吸引ポンプ(不図示)が作動すると、ヘッド41内のインクが、増粘したインクや紙粉と共に吸引される。このようにして、目詰まりしたノズルが不吐出状態から回復することによってヘッドのクリーニングが完了する。
【0028】
=第二キャリッジユニット70=
第二キャリッジユニット70は、カット動作の際に、カッター81を前記搬送方向及び前記移動方向に移動させるためのものである。この第二キャリッジユニット70は、図2に示すように、カッター81が取り付けられた第二キャリッジ71と、移動方向に延び、かつ、搬送方向に動くことができる可動ガイドレール72と、不図示の第一カットキャリッジモーター及び第二カットキャリッジモーターと、を有している。
【0029】
第二キャリッジ71は、可動ガイドレール72に沿って移動方向に往復移動可能であり、第一カットキャリッジモーターによって駆動される。また、可動ガイドレール72は、搬送方向に往復移動可能であり、第二カットキャリッジモーターによって駆動される。なお、第一カットキャリッジモーターの回転力の第二キャリッジ71への伝達及び第二カットキャリッジモーターの回転力の可動ガイドレール72への伝達は、ギア、プーリー、ベルト等から構成される公知の伝達機構により実現される。
【0030】
=カッターユニット80=
カッターユニット80は、搬送ユニット20によりプラテン24上に送り込まれたロール紙Sの部位をカットするためのものである。このカッターユニット80は、カッター81と、不図示のムービングコイルと、を有している。
【0031】
カッター81は、ロール紙S上に印刷される画像をその周囲等に沿ってカットするものであり、先端部に刃を有している。そして、このカッター81は可動ガイドレール72に係合する第二キャリッジ71に設けられているため、第二キャリッジ71が移動方向に、可動ガイドレール72が搬送方向に、それぞれ移動すると、カッター81も移動方向や搬送方向に移動する。
【0032】
ムービングコイルは、カッター81の後端部にコイルを巻きつけてなり、このコイルへの通電がなされると、カッター81が不図示の固定磁石に引き込まれて下方向へ移動し、コイルへの通電が停止されると、カッター81が不図示のコイルバネの付勢力によって上方向へ移動するようになっている。
【0033】
したがって、コントローラー60がムービングコイルへの通電を行った状態で第二キャリッジ71及び可動ガイドレール72を移動方向や搬送方向へ移動させることによって、ロール紙Sに接するカッター81の刃が移動方向や搬送方向に移動することになるため、カットラインがロール紙Sに形成される。
【0034】
なお、可動ガイドレール72は、前述したとおり、搬送方向に移動可能となっているが、当該移動は所定の範囲に限定されている(当該範囲を、図2において、実線の可動ガイドレール72と破線の可動ガイドレール72によって示している)。そのため、カッター81の搬送方向における移動も所定範囲に限定されていることとなる(つまり、プラテン24上の全てのロール紙Sの部位をカッター81がカットできるようにはなっていない)。すなわち、カッター81は、搬送方向(及び移動方向)に移動し、搬送方向における第一位置(図2参照)から第二位置(図2参照)までの所定範囲(以下、カット可能範囲とも呼ぶ)に位置するロール紙Sの部位のみカット可能となっている。
【0035】
また、本実施形態におけるカッター81の刃は、ロール紙Sが剥離紙の場合、基材をカットせずに表面シートだけをカットする(ハーフカット)ものであるが、先端にある刃を異なる種類の刃に交換することにより、基材をもカットする(フルカット)ように変更することもできる。
【0036】
また、カッター81(第二キャリッジ71)は、図2に示すように、カット動作を行わないときに、ホームポジションHP2で待機するようになっている。
【0037】
=検出器群50=
検出器群50は、液体吐出装置1内の状況を監視するものであり、例えば、搬送ローラー22の回転量を検出し媒体の搬送などの制御に利用されるロータリー式エンコーダー、搬送される媒体の有無を検出する用紙検出センサー、第一キャリッジ31(ヘッド41)の移動方向の位置、第二キャリッジ71(カッター81)の移動方向の位置、可動ガイドレール72の搬送方向の位置、を検出するためのリニア式エンコーダーなどがある。
【0038】
=コントローラー60=
コントローラー60は、液体吐出装置1の制御を行うための制御ユニットである。このコントローラー60は、図1に示すように、インターフェース部61と、CPU62と、メモリー63と、ユニット制御回路64と、を有している。インターフェース部61は、外部装置であるホストコンピューター110と液体吐出装置1との間でデータの送受信を行うためのものである。CPU62は、液体吐出装置1全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー63は、CPU62のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものである。CPU62は、メモリー63に格納されているプログラムに従ったユニット制御回路64により各ユニットを制御する。
【0039】
===液体吐出装置1の動作例について===
次に、液体吐出装置1の動作例として画像形成処理例及びカットライン形成処理例について、図3A乃至図5を用いて説明する。図3A乃至図3Jは、ロール紙Sに形成される画像及びカットラインの様子を示した模式図であり、ここでは、菱形画像を形成し該菱形画像の周囲に沿ってカットラインを形成する動作例が表されている。図3A乃至図3Jは、それぞれ、N回目の搬送動作後の様子、N回目の搬送動作に引き続いて行われるインク吐出動作後の様子、N+1回目の搬送動作後の様子、N+1回目の搬送動作に引き続いて行われるインク吐出動作後の様子、N+2回目の搬送動作後の様子、N+2回目の搬送動作に引き続いて行われるインク吐出動作後の様子、N+3回目の搬送動作後の様子、N+3回目の搬送動作に引き続いて行われるインク吐出動作及びカット動作後の様子、N+4回目の搬送動作後の様子、N+4回目の搬送動作に引き続いて行われるインク吐出動作及びカット動作後の様子を表している。図4は、菱形画像の各ブロックを説明するための説明図である。図5は、バンド印刷を説明するための説明模式図である。
【0040】
液体吐出装置1の各種動作は、主として、コントローラー60により実現される。特に、本実施の形態においては、メモリー63に格納されたプログラムをCPU62が処理することにより実現される。そして、このプログラムは、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。
【0041】
当該各種動作は、コントローラー60が、インターフェース部61を介してコンピューター110から印刷データ及びカットデータを受信したときから始まる。コントローラー60は、受信した印刷データ及びカットデータを解析して、各ユニットを用いて以下の処理を行う。
【0042】
すなわち、コントローラー60は、搬送ローラー22を制御してロール紙Sを搬送方向に搬送させる搬送動作と移動方向に移動するヘッド41にインクを吐出させるインク吐出動作とを交互に繰り返し行うことによりロール紙Sに画像を形成する画像形成処理を実行する。また、当該画像形成処理の実行とともに、画像形成処理中の前記搬送動作により前述したカット可能範囲に至ったロール紙Sの部位をカッター81にカットさせるカット動作を、インク吐出動作と並行して行うことにより、ロール紙Sにカットラインを形成するカットライン形成処理を実行する。
【0043】
上記事項について、具体例として菱形画像を形成し該菱形画像の周囲に沿ってカットラインを形成する動作を挙げて、図3A乃至図3Jを用いて説明する。
【0044】
先ず、図3Aに着目する。図3Aは、前述したとおり、N回目の搬送動作後の様子を表した模式図である。ここで、図3Aにおいては、菱形が点線で描かれているが、この点線は、図3Aの時点では、未だ菱形画像が形成されておらず該菱形画像の周囲に沿ったカットラインも形成されていないことを表している(点線が、N回目の搬送動作以降に菱形画像及びカットラインが形成されるロール紙S上の位置を、表しているとも言える)。つまり、図3Aの時点では、ロール紙Sには、菱形画像もカットラインも形成されていない。
【0045】
次に、コントローラー60は、第一キャリッジユニット30、ヘッドユニット40を制御し、ヘッド41に以下の動作を実行させる(図3A→図3B)。すなわち、ヘッド41は、図3A及び図3Bに示すように、移動方向に移動しながら(図3Aの下方向矢印参照)、各ノズル♯1〜♯Nからインクを吐出することにより、移動方向に複数のドットが並ぶラスタライン(ドット列)をロール紙Sに形成する。そして、当該ヘッド41の動作により、菱形画像の第一ブロック(菱形画像の各ブロックについては、図4参照)が形成されることとなる(図3Bにおいては、当該第一ブロックに太字網掛けが施されているが、当該太字網掛けは、図3Bのインク吐出動作により第一ブロック(菱形画像の一部)が形成されたことを表している)。
【0046】
次に、コントローラー60は、搬送ユニット20を制御し、搬送ローラー22に以下の動作を実行させる(図3B→図3C)。すなわち、搬送ローラー22は、図3B及び図3Cに示すように、ロール紙Sを搬送方向に搬送させる(図3Bの右方向矢印参照)。このことにより、N+1回目の搬送動作が実行される。
【0047】
なお、ロール紙Sを搬送方向に搬送させる搬送量は、ヘッド41の搬送方向における幅と略同じ量となる。すなわち、本実施の形態においては、画像形成方法として公知のバンド印刷が実行される。ここで、バンド印刷について説明すると、図5に示すように、当該バンド印刷においては、1回のパス(図5のパスnやパスn+1)で、ノズル♯1〜♯Nからインクが吐出されることによりN個のラスタラインが形成され、また、パス間(例えば、パスnとパスn+1の間)のロール紙Sの搬送方向への搬送量Fは、ヘッド41の搬送方向における幅と略同じ量(正確には、N(ノズル数)×d(ノズル間距離))となる。そして、N個のラスタラインの形成と搬送量F=N×dのロール紙Sの搬送とが交互に繰り返し行われて、画像形成処理が実行されることとなる。
【0048】
次に、コントローラー60は、第一キャリッジユニット30、ヘッドユニット40を制御し、ヘッド41に以下の動作を実行させる(図3C→図3D)。すなわち、ヘッド41は、図3C及び図3Dに示すように、移動方向に移動しながら(図3Cの上方向矢印参照)、各ノズル♯1〜♯Nからインクを吐出することにより、移動方向に複数のドットが並ぶラスタライン(ドット列)をロール紙Sに形成する。そして、当該ヘッド41の動作により、菱形画像の第二ブロックが形成されることとなる(図3Dにおいては、当該第二ブロックに太字網掛けが施されているが、当該太字網掛けは、図3Dのインク吐出動作により第二ブロックが形成されたことを表している。一方、第一ブロックは、形成済みであるが、図3Dのインク吐出動作により形成されたものではないため、細字網掛けにより表している(図3Cにおける第一ブロックについても同様))。なお、図3Aの下方向矢印と図3Cの上方向矢印から理解されるように、本実施の形態においては、所謂双方向印刷が行なわれている。
【0049】
次に、コントローラー60は、搬送ローラー22を制御してロール紙Sを搬送方向に搬送させるN+2回目の搬送動作(図3D→図3E)と移動方向に移動するヘッド41にインクを吐出させるN+2回目の搬送動作に引き続いたインク吐出動作(図3E→図3F)を行って、菱形画像の第三ブロックを形成する。
【0050】
次に、コントローラー60は、搬送ローラー22を制御してロール紙Sを搬送方向に搬送させるN+3回目の搬送動作(図3F→図3G)を行うが、かかる搬送動作により、菱形画像(具体的には、第一ブロック)が、前述したカット可能範囲に至ることとなる(図3G参照)。そして、このことにより、当該第一ブロックの周囲に沿ってカットラインを形成することが可能となる。
【0051】
次に、コントローラー60は、第一キャリッジユニット30、ヘッドユニット40を制御し、ヘッド41に以下の動作を実行させるとともに、第二キャリッジユニット70、カッターユニット80を制御し、カッター81に以下の動作を実行させる(図3G→図3H)。すなわち、ヘッド41は、図3G及び図3Hに示すように、移動方向に移動しながら(図3Gの上方向矢印参照)、各ノズル♯1〜♯Nからインクを吐出することにより、移動方向に複数のドットが並ぶラスタライン(ドット列)をロール紙Sに形成する。そして、当該ヘッド41の動作により、菱形画像の第四ブロックが形成されることとなる。
【0052】
また、カッター81は、上記インク吐出動作(第四ブロック形成動作)と並行して、図3G及び図3Hに示すように、移動方向及び搬送方向に移動しながら(図3Gの右上方向矢印参照)、N+3回目の搬送動作によりカット可能範囲に至ったロール紙の部位(すなわち、第一ブロックの周囲)をカットする。そして、当該カッター81の動作により、第一ブロックの周囲に沿ったカットラインが形成されることとなる(図3Hにおいては、当該第一ブロックの周囲が点線ではなく太字実線で描かれているが、当該太字実線は、図3Hのカット動作により第一ブロックの周囲がカットされたことを表している)。
【0053】
次に、コントローラー60は、搬送ローラー22を制御してロール紙Sを搬送方向に搬送させるN+4回目の搬送動作(図3H→図3I)を行う。そして、かかる搬送動作により、今度は、第二ブロックがカット可能範囲に至ることとなり(図3I参照)、当該第二ブロックの周囲に沿ってカットラインを形成することが可能となる。
【0054】
次に、コントローラー60は、移動方向に移動するヘッド41にインクを吐出させるN+4回目の搬送動作に引き続いたインク吐出動作(図3I→図3J)を行って、菱形画像の第五ブロックを形成するとともに、N+4回目の搬送動作によりカット可能範囲に至ったロール紙の部位(すなわち、第二ブロックの周囲)をカッター81にカットさせるカット動作を、上記インク吐出動作(第五ブロック形成動作)と並行して行うことにより、ロール紙Sに第二ブロックの周囲に沿ったカットラインを形成する(図3Jにおいては、当該第二ブロックの周囲が太字実線で描かれているが、当該太字実線は、図3Jのカット動作により第二ブロックの周囲がカットされたことを表している。一方、第一ブロックのカットラインは、形成済みであるが、図3Jのカット動作により形成されたものではないため、細字実線により表している(図3Iにおける第一ブロックについても同様))。
【0055】
以降、コントローラー60は、N+5回目以降の搬送動作とこれに引き続くインク吐出動作及びカット動作を行うことにより、菱形画像と当該菱形画像の周囲に沿ったカットラインの形成を完了させる。
【0056】
===本実施の形態に係る液体吐出装置1の有効性について===
上述したとおり、本実施の形態に係る液体吐出装置1は、ロール紙Sを搬送方向に搬送する搬送ローラー22と、移動方向に移動し、ロール紙Sにインクを吐出するヘッド41と、搬送方向及び移動方向に移動し、搬送方向における第一位置から第二位置までのカット可能範囲に位置するロール紙Sの部位のみカット可能なカッター81と、搬送ローラー22を制御してロール紙Sを搬送方向に搬送させる搬送動作と移動方向に移動するヘッド41にインクを吐出させるインク吐出動作とを交互に繰り返し行うことによりロール紙Sに画像を形成する画像形成処理を実行するとともに、画像形成処理中の前記搬送動作によりカット可能範囲に至ったロール紙Sの部位をカッター81にカットさせるカット動作を、インク吐出動作と並行して行うことにより、ロール紙Sにカットラインを形成するカットライン形成処理を実行するコントローラー(当該コントローラー60の処理については、例えば、図3G及び図3H参照)と、を有している。このことにより、部品点数を減らしつつ、画像及びカットライン形成処理に要する時間を短縮することが可能となる。
【0057】
上記につき、本実施の形態に係る液体吐出装置1と比較例に係る液体吐出装置1とを比較しながら、図6を用いて説明する。図6は、比較例に係る液体吐出装置1を説明するための説明模式図である。
【0058】
比較例に係る液体吐出装置1においては、本実施の形態に係る液体吐出装置1と同様、画像及びカットライン形成処理に要する時間を短縮するために、カット動作(カットライン形成処理)をインク吐出動作(画像形成処理)と並行して実行させる(つまり、インク吐出動作が終了して画像を形成し終えた後にカット動作を開始するのではなく、インク吐出動作とカット動作を同時進行させる)ことができるようになっている。そして、このことを実現するために、比較例に係る液体吐出装置1には、図6に示すように、インク吐出動作を行う印刷ステーション200とカット動作を行うカットステーション220とが設けられており、双方のステーションは、完全に分かれた状態で連係することなく、各々の機能を発揮するようになっている(また、双方のステーションが連係することなく双方の機能が確実に発揮されるように、双方のステーションの間でロール紙Sを弛ませている)。すなわち、印刷ステーション200には、第一キャリッジ31、ヘッド41、第一プラテン202、印刷用搬送ローラー204等が設けられており、これらの部材が制御されて、カット動作とは無関係にインク吐出動作が行われる。一方、カットステーション220には、第二キャリッジ71、カッター81、第二プラテン222、カット用搬送ローラー224等が設けられており、これらの部材が制御されて、インク吐出動作とは無関係にカット動作が行われる。
【0059】
このように比較例に係る液体吐出装置1においては、ステーションを印刷ステーション200とカットステーション220に分割することにより、カット動作をインク吐出動作と並行して行うことを実現していたが、かかる液体吐出装置1には、以下の不都合が生じていた。すなわち、搬送ローラーとして印刷用搬送ローラー204とカット用搬送ローラー224を準備しなければならない等の部品点数の増加を招いていた。
【0060】
これに対し、本実施の形態に係る液体吐出装置1においては、画像形成処理中の搬送動作(すなわち、搬送ローラー22を制御してロール紙Sを搬送方向に搬送させる搬送動作)によりカット可能範囲に至ったロール紙Sの部位をカッター81にカットさせるカット動作を、インク吐出動作と並行して行うこととしたため、搬送ローラー22によるロール紙Sの搬送動作とカット動作とが連係することとなる。さらに、当該搬送動作とインク吐出動作とは連係しているため、これらの3つの動作が連係し、このことにより、印刷用とカット用に分けて搬送ローラーを用意する必要がなくなる。すなわち、本実施の形態においては、比較例のように、カット動作をインク吐出動作と並行して行うために複数の搬送ローラーを準備する必要はなく、したがって、部品点数を減らしつつ、インク吐出動作とカット動作を同時進行させて画像及びカットライン形成処理に要する時間を短縮することが可能となる。また、上述した3つの動作の連係により、カット可能範囲を、画像形成処理中(インク吐出動作間)の搬送動作によるロール紙Sの搬送量分とすることができるため、カット可能範囲を小さくすることが可能となり、この場合には、第二キャリッジユニット70等のユニットをコンパクトにすることができる。
【0061】
また、上記実施の形態において、コントローラー60は、前記画像形成処理を実行するとともに、当該画像形成処理中の前記搬送動作によりカット可能範囲に至ったロール紙Sの部位をカッター81にカットさせるカット動作を、複数回のインク吐出動作(例えば、図3Hにおけるインク吐出動作と図3Jにおけるインク吐出動作)と並行して複数回行う(例えば、図3Hにおけるカット動作と図3Jにおけるカット動作)ことにより、前記搬送方向における長さ(例えば、図3Jにおけるy2)が前記第一位置から前記第二位置までの前記搬送方向における距離(例えば、図3I等におけるy1)より長いカットライン(例えば、図3JにおけるラインAB)を形成するカットライン形成処理を実行することとした。そのため、前記ユニットをコンパクトにするためにカット可能範囲(前記第一位置から前記第二位置までの前記搬送方向における距離)を小さくした場合であっても、カットラインを複数回に分けて形成することにより長いカットラインを形成することが可能となる。
【0062】
===その他の実施の形態===
上記の実施の形態は、主として液体吐出装置について記載されているが、液体吐出方法等の開示も含まれている。また、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0063】
上記実施の形態においては、液体吐出装置(液体噴射装置)をインクジェット式プリンターに具体化したが、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置を採用してもよく、微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状態、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルタの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用してもよい。そして、これらのうち何れか一種の噴射装置に本発明を適用することができる。
【0064】
また、上記実施の形態においては、媒体としてロール紙Sを例に挙げて説明したが、これに限定されるものではなく、カット紙であってもよい。また、媒体は、必ずしも紙である必要は無く、例えば、フィルム、布であってもよい。
【0065】
また、前記第一位置から前記第二位置までの前記搬送方向における距離は、前記画像形成処理中の前記搬送動作において前記媒体が搬送される最大搬送量と等しくなるように設定されていることとしてもよい。例えば、液体吐出装置において複数種類の画像形成方法が実行されるようになっており、各々の方法における前記搬送量が異なっている場合に、前記第一位置から前記第二位置までの前記搬送方向における距離が、それらのうちの最大の搬送量と等しくなるように設定されていることとしてもよい。
【0066】
前記第一位置から前記第二位置までの前記搬送方向における距離を前記最大搬送量以上とすれば、搬送量が最大搬送量以下のどのような大きさであっても、搬送動作によりカット可能範囲に至ったロール紙の部位をカッターに確実にカットさせることができる。そして、当該距離を最大搬送量と等しくなるように設定した場合には、かかる確実なカットを担保しつつ、当該距離を最も小さくしたこと(換言すれば、ユニットを最大限コンパクトしたこと)となる。すなわち、当該距離を最大搬送量と等しくなるように設定することにより、確実なカットを実現しつつ、ユニットを最大限コンパクトにすることが可能となる。
【0067】
また、上記実施の形態においては、コントローラー60は、前記画像形成処理を実行するとともに、カット動作を、インク吐出動作が実行される毎に該インク吐出動作と並行して行うことにより、ロール紙Sにカットラインを形成するカットライン形成処理を実行することとした。すなわち、コントローラー60は、カットデータがあれば、インク吐出動作が実行される場合には必ずカット動作も実行することとし(例えば、図3H及び図3J参照。上記実施の形態においては、図3J以降の手順においても、カットデータがあれば毎回インク吐出動作と並行してカット動作が行われる)、繰り返し行われる前記搬送動作のうちのある搬送動作によりカット可能範囲に至ったロール紙Sの全ての部位が、該ある搬送動作に引き続いて行われる(該ある搬送動作の直後の)インク吐出動作と並行して行われるカット動作においてカットされることとした(図3H及び図3J参照)。
【0068】
しかしながら、これに限定されるものではなく、例えば、コントローラー60は、前記画像形成処理を実行するとともに、繰り返し行われる前記搬送動作のうちのある搬送動作によりカット可能範囲に至ったロール紙Sの部位と該ある搬送動作よりも前に行われた前搬送動作によりカット可能範囲に至ったロール紙Sの部位の双方をカッター81にカットさせるカット動作を、該ある搬送動作に引き続いて行われる(該ある搬送動作の直後の)インク吐出動作と並行して行うことにより、ロール紙Sにカットラインを形成するカットライン形成処理を実行することとしてもよい。
【0069】
一例を挙げると、1〜M−1回目(Mは2以上の数)の搬送動作によりカット可能範囲に至ったロール紙Sの部位をカッター81にカットさせるカット動作は、当該1〜M−1回目の搬送動作に引き続いて行われる(当該1〜M−1回目の搬送動作の直後の)インク吐出動作と並行して行われずに、M回目の搬送動作によりカット可能範囲に至ったロール紙Sの部位と共に、M回目の搬送動作に引き続いて行われる(当該M回目の搬送動作の直後の)インク吐出動作と並行して行われることとしてもよい(すなわち、カットデータがあってもコントローラー60がインク吐出動作と並行してカット動作を行わないときがあってもよい)。
【0070】
そして、双方を比較した場合に、前者は、インク吐出動作が実行される毎に該インク吐出動作と並行してカット動作が行われることからコントローラー60による制御が簡易になるという優位性を有しており、一方、後者は、複数回の搬送動作の各々によりカット可能範囲に至ったロール紙Sの部位を纏めてカットするため、搬送動作における搬送量が小さい場合(例えば、画像形成方法が所謂インターレース印刷である場合等)に効率良くカットを行えるという優位性を有している。
【符号の説明】
【0071】
1 液体吐出装置、20 搬送ユニット、21 給送ローラー、22 搬送ローラー、23 従動ローラー、24 プラテン、25 巻き取りローラー、30 第一キャリッジユニット、31 第一キャリッジ、32 ガイドレール、40 ヘッドユニット、41 ヘッド、50 検出器群、60 コントローラー、61 インターフェース部、62 CPU、63 メモリー、64 ユニット制御回路、70 第二キャリッジユニット、71 第二キャリッジ、72 可動ガイドレール、80 カッターユニット、81 カッター、110 コンピューター、200 印刷ステーション、202 第一プラテン、204 印刷用搬送ローラー、220 カットステーション、222 第二プラテン、224 カット用搬送ローラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を搬送方向に搬送する搬送ローラーと、
前記搬送方向と交差する交差方向に移動し、媒体に液体を吐出するヘッドと、
前記搬送方向及び前記交差方向に移動し、前記搬送方向における第一位置から第二位置までの所定範囲に位置する媒体の部位のみカット可能なカッターと、
前記搬送ローラーを制御して前記媒体を前記搬送方向に搬送させる搬送動作と前記交差方向に移動する前記ヘッドに前記液体を吐出させる液体吐出動作とを交互に繰り返し行うことにより前記媒体に画像を形成する画像形成処理を実行するとともに、
前記画像形成処理中の前記搬送動作により前記所定範囲に至った前記媒体の部位を前記カッターにカットさせるカット動作を、前記液体吐出動作と並行して行うことにより、前記媒体にカットラインを形成するカットライン形成処理を実行するコントローラーと、
を有することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液体吐出装置において、
前記コントローラーは、前記画像形成処理を実行するとともに、
前記画像形成処理中の前記搬送動作により前記所定範囲に至った前記媒体の部位を前記カッターにカットさせるカット動作を、複数回の前記液体吐出動作と並行して複数回行うことにより、
前記搬送方向における長さが前記第一位置から前記第二位置までの前記搬送方向における距離より長いカットラインを形成するカットライン形成処理を実行することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の液体吐出装置において、
前記第一位置から前記第二位置までの前記搬送方向における距離は、前記画像形成処理中の前記搬送動作において前記媒体が搬送される最大搬送量と等しくなるように設定されていることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の液体吐出装置において、
前記コントローラーは、前記画像形成処理を実行するとともに、
前記カット動作を、前記液体吐出動作が実行される毎に該液体吐出動作と並行して行うことにより、前記媒体にカットラインを形成するカットライン形成処理を実行することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の液体吐出装置において、
前記コントローラーは、前記画像形成処理を実行するとともに、
繰り返し行われる前記搬送動作のうちのある搬送動作により前記所定範囲に至った前記媒体の部位と該ある搬送動作よりも前に行われた前搬送動作により前記所定範囲に至った前記媒体の部位の双方を前記カッターにカットさせるカット動作を、該ある搬送動作に引き続いて行われる前記液体吐出動作と並行して行うことにより、前記媒体にカットラインを形成するカットライン形成処理を実行することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項6】
媒体を搬送方向に搬送する搬送ローラーを制御して前記媒体を前記搬送方向に搬送させる搬送動作と前記搬送方向と交差する交差方向に移動するヘッドに液体を吐出させる液体吐出動作とを交互に繰り返し行うことにより、
前記媒体に画像を形成する画像形成処理を実行することと、
前記搬送方向及び前記交差方向に移動し、前記搬送方向における第一位置から第二位置までの所定範囲に位置する媒体の部位のみカット可能なカッターに、
前記画像形成処理中の前記搬送動作により前記所定範囲に至った前記媒体の部位をカットさせるカット動作を、
前記液体吐出動作と並行して行うことにより、前記媒体にカットラインを形成するカットライン形成処理を実行することと、
を有することを特徴とする液体吐出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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