説明

液体吐出装置および液体吐出方法

【課題】着弾精度を向上させることができる液体吐出装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る液体吐出装置100は、液体を吐出するためのノズル孔12を有するノズル板10と、ノズル孔12と連通する液体供給路30と、液体供給路30から、ノズル孔12に液体を供給する液体供給機構140と、液体供給路30に設けられた開閉機構150と、ノズル孔12の側壁に噴射口20aを有する気体供給路20と、を含み、ノズル孔12に供給された液体の一部は、ノズル孔12から気体とともに吐出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置および液体吐出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェット技術は、家庭用のプリンタのみならず、工業用、産業用など様々な分野に用いられている。これらの分野に応じて、インクジェット技術では、様々な組成のインクを吐出する必要がある。そのなかでも、特に高分子ポリマーなどからなる高粘度インクは、ノズル孔から吐出されたインク液柱が切れ難いため、吐出した液滴の直進性が悪化し、着弾精度が低下する。
【0003】
例えば、特許文献1には、ノズル孔から吐出されたインクに光エネルギー、熱エネルギー等のエネルギーを与えることで、インク液柱を切断する方法が記載されている。
【特許文献1】特開2004−181448号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された方法では、インクにエネルギーを与えるため、インクの劣化が問題となる場合がある。
【0005】
本発明の目的の1つは、着弾精度を向上させることができる液体吐出装置および液体吐出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る液体吐出装置は、
液体を吐出するためのノズル孔を有するノズル板と、
前記ノズル孔と連通する液体供給路と、
前記液体供給路から、前記ノズル孔に前記液体を供給する液体供給機構と、
前記液体供給路に設けられた開閉機構と、
前記ノズル孔の側壁に噴射口を有する気体供給路と、を含み、
前記ノズル孔に供給された前記液体の一部は、前記ノズル孔から前記気体とともに吐出される。
【0007】
本発明に係る液体吐出装置は、ノズル孔の側壁に噴射口を有することができる。これにより、ノズル孔の液体を、ノズル孔内で、吐出される液体と吐出されない液体とに分断することができる。したがって、本発明に係る液体吐出装置は、高粘度の液体を用いた場合でも、液柱を短くすることができるため、着弾精度を向上させることができる。
【0008】
本発明に係る液体吐出装置において、
前記気体供給路は、気体制御バルブを有することができる。
【0009】
本発明に係る液体吐出装置において、
前記気体は、窒素、またはドライエアーであることができる。
【0010】
本発明に係る液体吐出装置において、
前記液体供給路は、
前記ノズル孔と連通する圧力室と、
前記圧力室と連通する液体流路と、を有することができる。
【0011】
本発明に係る液体吐出装置において、
前記液体供給機構は、加圧機構であり、
前記加圧機構は、前記液体流路に接続されることができる。
【0012】
本発明に係る液体吐出装置において、
前記開閉機構は、液体制御バルブであり、
前記液体流路に設けられることができる。
【0013】
本発明に係る液体吐出装置において、
前記液体供給機構は、
前記圧力室の容積を可変するピストン部と、
前記ピストン部を動作させる駆動部と、を有し、
前記ピストン部の動作は、前記開閉機構を兼ねることができる。
【0014】
本発明に係る液体吐出装置において、
前記駆動部は、圧電素子または電磁ソレノイドを含むことができる。
【0015】
本発明に係る液体吐出方法は、
ノズル板に設けられた液体を吐出するためのノズル孔に、前記ノズル孔と連通する液体供給路から、液体供給機構によって、前記液体を供給する液体供給工程と、
前記液体供給路を、開閉機構によって、閉塞する閉塞工程と、
前記ノズル孔の側壁に設けられた、気体供給路の噴射口から、気体を噴射する気体噴射工程と、を含み、
前記ノズル孔に供給された前記液体の一部は、前記ノズル孔から前記気体とともに吐出される。
【0016】
本発明に係る液体吐出方法は、気体供給路の噴射口からノズル孔内に、気体を噴射する工程を有することができる。これにより、ノズル孔の液体を、ノズル孔内で、吐出される液体と吐出されない液体とに分断することができる。したがって、本実施形態に係る液体吐出方法によれば、高粘度の液体を用いた場合でも、液柱を短くすることができため、着弾精度を向上させることができる。
【0017】
本発明に係る液体吐出方法において、
前記閉塞工程は、前記気体噴射工程の前に行われることができる。
【0018】
本発明に係る液体吐出方法において、
前記液体供給路は、
前記ノズル孔と連通する圧力室と、
前記圧力室と連通する液体流路と、を有することができる。
【0019】
本発明に係る液体吐出方法において、
前記液体供給機構は、加圧機構であり、
前記加圧機構は、前記液体流路に接続され、
前記液体供給工程では、前記加圧機構によって、前記ノズル孔に前記液体を供給することができる
本発明に係る液体吐出方法において、
前記開閉機構は、液体制御バルブであり、
前記液体制御バルブは、前記液体流路に設けられ、
前記閉塞工程では、前記液体制御バルブが前記液体流路を閉塞することができる。
【0020】
本発明に係る液体吐出方法において、
前記液体供給機構は、
前記圧力室の容積を可変するピストン部と、
前記ピストン部を動作させる駆動部と、を有し、
前記液体供給工程は、前記ピストン部が、前記圧力室の容積を大きくする方向に動くことにより、前記液体流路から、前記圧力室に前記液体が供給される工程と、
前記ピストン部が、前記圧力室の容積を小さくする方向に動くことにより、前記圧力室から、前記ノズル孔に前記液体が供給される工程と、を有し、
前記ピストン部が、前記圧力室の容積を小さくする方向に動く工程は、前記閉塞工程を兼ねることができる。
【0021】
本発明に係る液体吐出方法において、
前記駆動部は、圧電素子または電磁ソレノイドを含むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
1. 第1の実施形態
1.1. まず、第1の実施形態に係る液体吐出装置100について説明する。
【0023】
図1は、液体吐出装置100を模式的に示す断面図である。
【0024】
液体吐出装置100は、図1に示すように、ノズル孔12を有するノズル板10と、気体供給路20と、液体供給路30と、液体供給機構140と、開閉機構150と、を含む。液体吐出装置100は、更に、例えば、圧力室基板160、蓋部170を含む。
【0025】
ノズル板10は、例えば、ステンレス鋼(SUS)、シリコンからなる。ノズル板10は、液体を吐出するためのノズル孔12を有する。ノズル孔12は、ノズル板10の厚み方向に貫通している。ノズル孔12は、液体供給路30と連通している。ノズル孔12には、液体供給路30から液体が供給される。ノズル孔12の側壁には、気体を噴射するための噴射口20aが設けられる。
【0026】
気体供給路20は、所定の圧力を持った気体をノズル孔12に供給するための管である。気体供給路20は、噴射口20aを有する。気体供給路20は、噴射口20aから気体を噴射することができる。噴射される気体としては、例えば、窒素、ドライエアーを用いることができる。気体供給路20は、例えば、図示しない高圧ボンベ等と連通する。ノズル孔12の液体は、噴射口20aから噴射された気体により、ノズル孔12内で、吐出される液体と吐出されない液体とに分断される。これにより、吐出される液体は、吐出前に分断されるため、高粘度の液体を用いた場合でも、容易に液柱を短くすることができる。また、吐出される液体は、噴射口20aから噴射された気体によって押し出されることにより、ノズル孔12から吐出される。したがって、吐出される液体の速度は、噴射口20aから噴射される気体の圧力の大きさに対応する。すなわち、噴射口20aから噴射される気体の圧力を高くすることで、容易に吐出される液体の速度を速くすることができる。これにより、吐出された液体が、媒体に着弾するまでの間に受ける気流の影響を、軽減することができる。吐出される液体の体積は、ノズル孔12内の噴射口20aの位置によって、決めることができる。
【0027】
気体供給路20は、気体制御バルブ22を有することができる。気体制御バルブ22は、例えば、気体供給路20を閉塞または開放することにより、所定の圧力を持った気体を供給、遮断などを制御できる電磁弁からなる。電磁弁は、外部駆動回路(図示しない)に接続され電気的に制御されることができる。また、ノズル板10が、シリコンで形成される場合、気体制御バルブ22は、ノズル板10と一体的に、MEMS(Micro Electro Mechanical System)技術で形成されたマイクロバルブであってもよい。
【0028】
液体供給路30は、圧力室32と、液体流路34と、を有する。液体供給路30は、ノズル孔12に液体を供給することができる。
【0029】
圧力室32は、ノズル孔12と連通している。圧力室32は、1つの面が後述するピストン部142によって区画され、他の面が、圧力室基板160によって区画されている。圧力室32は、ピストン部142が移動することにより、容積が可変する。これにより、圧力室32は、加圧および減圧されることができる。圧力室32が、ピストン部142によって、加圧および減圧されることで、液体流路34から圧力室32に液体が供給され、圧力室32からノズル孔12に液体が供給される。
【0030】
液体流路34は、圧力室32に液体を供給するための管である。液体流路34は、圧力室32と連通している。液体流路34は、例えば、図示しないリザーバ、インクカートリッジ等の液体貯留容器と接続し、貯留された液体を圧力室32に供給することができる。液体流路34は、液体によって劣化しないシリコンチューブ等によって、インク貯留容器と接続されてもよい。液体流路34の圧力室160側の開口34aは、ピストン部142が圧力室32の容積を小さくする方向に動いた際に、ピストン部142の側面によって、塞がれる位置に形成されている。
【0031】
液体供給機構140は、ピストン部142と、駆動部144と、を有する。液体供給機構140は、液体供給路30からノズル孔12に液体を供給するための機構である。
【0032】
ピストン部142は、圧力室基板160の内部に移動可能に設けられる。ピストン部142は、圧力室32の1つの面を区画する。ピストン部142は、駆動部144の駆動によって、圧力室基板160の内部を移動することができる。具体的には、ピストン部142は、圧力室32の容積を小さくする方向(図示の例ではノズル板10側の方向、以下、「下方向」ともいう)、および圧力室32の容積を大きくする方向(図示の例では、蓋部170側の方向、以下、「上方向」ともいう)に移動することができる。すなわち、ピストン部142は、圧力室32の容積を可変させることができる。これにより、ピストン部142は、圧力室32を加圧および減圧することができる。ピストン部142の周面は、圧力室基板160の内面と密接されている。ピストン部142の周面が、圧力室基板160の内面と密接するように、ピストン部142の周面にシールリング(図示しない)を有していてもよい。シールリングの材質は、例えば、樹脂材料である。ピストン部142は、例えば、ステンレス鋼(SUS)、シリコン、または強磁性材料からなる。
【0033】
駆動部144は、圧力室基板160の内部に設けられる。駆動部144の一端は、ピストン部142に連結され、駆動部144の他端は、蓋部170に固定される。駆動部144が駆動することにより、ピストン部142を上下方向に往復運動させることができる。駆動部144は、ケーブル(図示しない)によって、駆動部144を制御する外部駆動回路(図示しない)と接続されていてもよい。駆動部144としては、例えば、上下に電極を有する圧電素子、上下にコイルへの電流接続を行った電磁ソレノイドを用いることができる。圧電素子は、電圧が印加されることで、伸縮し、ピストン部142を動作させることができる。圧電素子としては、変位量の大きいd33モードの圧電素子を用いることが望ましい。
【0034】
開閉機構150は、液体供給路30を開放または閉塞する機構である。図示の例では、閉塞機構150は、ピストン部142が、圧力室基板160の内部を上下方向に移動することで、液体流路34と圧力室32の間を、開放および閉塞することができる。具体的には、ピストン部142が、下方向に動くことで、液体流路34を閉塞し、ピストン部142が、上方向に動くことで、液体流路34を開放する。液体流路34の閉塞は、ピストン部142の側面によって、液体流路34の開口34aが閉塞されることによって行われる。開閉機構150は、噴射口20aから気体が噴射される際に、液体流路34を閉塞することができる。これにより、噴射口20aから噴射された気体が、圧力室32方向に向かわず、ノズル孔12から液体とともに吐出されることができる。上述の通り、ピストン部142の動作は、液体供給機構140と開閉機構150を兼ねることができる。
【0035】
圧力室基板160は、圧力室32を区画する。圧力室基板160の内部には、図示の例では、圧力室32、ピストン部142および駆動部144が設けられる。圧力室基板160は、例えば、ステンレス鋼(SUS)またはシリコンからなる。圧力室基板160は、例えば、円筒形である。
【0036】
蓋部170は、圧力室基板160の上方に設けられる。蓋部170は、図示の例では、駆動部144が固定される。蓋部170は、例えば、ステンレス剛(SUS)、シリコンまたは強磁性材料からなる。蓋部170は、圧力室基板160と一体的に設けられてもよい。
【0037】
本実施形態に係る液体吐出装置100は、例えば、以下の特徴を有する。
【0038】
液体吐出装置100では、ノズル孔12の側壁に噴射口20aを有することができる。これにより、ノズル孔12内の液体を、ノズル孔12内で、吐出される液体と吐出されない液体とに分断することができる。したがって、液体吐出装置100は、高粘度の液体を用いた場合でも、液柱を短くすることができるため、着弾精度を向上させることができる。
【0039】
液体吐出装置100では、ノズル孔12から吐出される液体は、噴射口20aから噴射された気体とともに、ノズル孔12から吐出されることができる。これにより、噴射口20aから噴射される気体の圧力を高くすることで、容易に吐出される液体の速度を速くすることができる。したがって、液体吐出装置100は、吐出された液体が、媒体に着弾するまでの間に受ける気流の影響を軽減することができるため、より着弾精度を向上させることができる。
【0040】
液体吐出装置100は、圧力室32の容積を可変するピストン部142を有することができる。ピストン部142の動作は、液体供給機構140と開閉機構150とを、兼ねることができる。したがって、液体吐出装置100は、構成部品を少なくし、構造を単純にすることができる。
【0041】
1.2. 次に、第1の実施形態に係る液体吐出方法について、説明する。
【0042】
本実施形態に係る液体吐出方法では、本実施形態に係る液体吐出装置を用いることができる。以下、上述した液体吐出装置100を用いた例について説明する。図2から図5は、本実施形態に係る液体吐出方法を説明するための断面図である。
【0043】
図2に示すように、液体流路34から圧力室32に、液体1を供給する。具体的には、駆動部144によって、ピストン部142を上方向に移動させることにより、圧力室32を減圧する。これにより、液体1が、液体流路34から圧力室32に供給される。なお、気体制御バルブ22は、閉じられている。
【0044】
図3に示すように、圧力室32からノズル孔12に、液体1を供給する。具体的には、駆動部144によって、ピストン部142を下方向に移動させることにより、圧力室32を加圧する。これにより、液体1が、圧力室32からノズル孔12に、供給される。また、ピストン部142が下方向に移動することで、液体流路34の開口34aが、ピストン部142の側面により、閉塞される。なお、気体制御バルブ22は閉じられている。
【0045】
図4に示すように、噴射口20aからノズル孔12内に、気体2を噴射する。具体的には、気体制御バルブ22を開くことにより行われる。これにより、液体1は、気体2によって、吐出される液体1aと吐出されない液体とに分断される。したがって、高粘度の液体を用いた場合でも、液柱を短くすることができる。
【0046】
図5に示すように、ノズル孔12から、液体1aを気体2とともに吐出する。図示の工程では、図3の工程で示したように、液体流路34の開口34aが閉塞されている。したがって、気体2が、圧力室32方向に向かわず、ノズル孔12から液体1aとともに吐出されることができる。液体1aは、気体2の圧力によって吐出されるため、噴射される気体2の圧力を高くすることで、容易に吐出される液体1aの速度を速くすることができる。したがって、吐出された液体1aが、媒体に着弾するまでの間に受ける気流の影響を軽減することができる。
【0047】
図5に示す工程から、ピストン部142を上方向に移動させることにより、図2に示す工程に戻ることができる。したがって、本実施形態に係る液体吐出方法によれば、ピストン部142の動作によって、繰り返し液体1aを吐出することができる。
【0048】
本実施形態に係る液体吐出方法は、例えば、以下の特徴を有する。
【0049】
本実施形態に係る液体吐出方法では、噴射口20aからノズル孔12に、気体2を噴射する工程を有することができる。これにより、ノズル孔12の液体1を、ノズル孔12内で、吐出される液体1aと吐出されない液体とに分断することができる。したがって、本実施形態に係る液体吐出方法によれば、高粘度の液体を用いた場合でも、液柱を短くすることができるため、着弾精度を向上させることができる。
【0050】
本実施形態に係る液体吐出方法では、吐出される液体1aは、噴射口20aから噴射された気体2とともに、ノズル孔12から吐出されることができる。これにより、噴射口20aから噴射される気体2の圧力を高くすることで、容易に吐出される液体1aの速度を速くすることができる。したがって、本実施形態に係る液体吐出方法によれば、吐出された液体1aが、媒体に着弾するまでの間に受ける気流の影響を軽減することができるため、より着弾精度を向上させることができる。
【0051】
本実施形態に係る液体吐出方法では、ピストン部142を用いて、液体1のノズル孔12への供給および液体流路34の閉塞を行うことができる。したがって、本実施形態に係る液体吐出方法では、本実施形態に係る液体吐出装置の構成部品を少なくし、構造を単純にすることができる。
【0052】
1.3. 次に、第1の実施形態に係る液体吐出装置100の製造方法について、説明するが以下の工程に限定されるわけではない。
【0053】
ノズル板10にノズル孔12を形成する工程は、例えば、機械的なポンチによる方法、イオンエッチング法またはドライエッチング法をフォトリソグラフィ法などと組み合わせる方法を用いることができる。
【0054】
ノズル板10に気体供給路20となる部分を形成する工程は、上述したノズル孔12を形成する工程と同様の方法を用いることができる。また、ノズル板10を構成する一方の板に、気体供給路20に相当する溝をエッチング等で形成し、他方の板を貼り合わせることでノズル板10に気体供給路20となる部分を形成してもよい。気体制御バルブ22としては、公知の電磁弁が用いられ、気体供給路20に接続される。
【0055】
圧力室基板160に圧力室32、ピストン部142および駆動部144が設けられる領域を形成する工程は、機械的なポンチによる方法、イオンエッチング法、電鋳法を用いることができる。圧力室基板160に液体流路34を形成する工程は、上述したノズル孔12を形成する工程と同様の方法を用いることができる。
【0056】
ピストン部142の形成する工程は、例えば、機械的なポンチによる打ち抜くことで形成される。または、イオンエッチング法、ドライエッチング法をフォトリソグラフィ法などと組み合わせる方法を用いることができる。駆動部144が、圧電素子であった場合は、例えば、圧電素子を公知の方法で形成した後、蓋部170およびピストン部142と接着剤で接着される。
【0057】
上述の方法で形成されたノズル板10、圧力室基板160、および蓋部170を、例えば、接着剤で接着する。
【0058】
以上の方法により、液体吐出装置100を製造することができる。
【0059】
2. 第2の実施形態
2.1. 次に、第2の実施形態に係る液体吐出装置200について説明する。
【0060】
図6は、液体吐出装置200を模式的に示す断面図である。なお、第2の実施形態に係る液体吐出装置200において、上述した第1の実施形態に係る液体吐出装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0061】
液体吐出装置200は、図6に示すように、ノズル孔12を有するノズル板10と、気体供給路20と、液体供給路30と、液体供給機構240と、開閉機構250と、を含む。液体吐出装置200は、更に、例えば、圧力室基板160、蓋部170を含む。
【0062】
圧力室32は、圧力室基板160によって区画されている。圧力室32は、液体供給機構240が液体流路34から液体を圧送することにより、加圧される。すなわち、圧力室32は、液体供給機構240が所定の圧力を作用させながら、液体を液体流路34から送り出すことにより、加圧される。これにより、圧力室32の液体は、ノズル孔12に供給される。
【0063】
液体流路34は、圧力室32に液体を供給するための管である。液体流路34には、液体供給機構240が接続されている。液体流路34の圧力室基板160の外部に設けられた部分は、例えば、液体によって劣化しないシリコンチューブからなる。液体流路34の圧力室32側の開口34aは、圧力室32に液体を供給することができれば、その位置は特に限定されない。液体流路34は、液体流路34を開放および閉塞できる開閉機構250を有する。
【0064】
液体供給機構240は、液体供給路30から、ノズル孔12に液体を供給する加圧機構242である。加圧機構242は、例えば、液体貯留容器を空気袋で覆い、空気袋に空気を圧送し、液体貯留容器を押し潰すことで、液体を供給する機構である。また、加圧機構242は、例えば、公知のダイヤフラムポンプ、ピストンポンプである。加圧機構242は、液体を液体流路34から圧力室32に圧送することで、圧力室32を加圧し、ノズル孔12に液体を供給することができる。
【0065】
開閉機構250は、液体制御バルブ252であることができる。液体制御バルブ252は、例えば、液体流路34を閉塞または開放することにより、所定の圧力を持った液体の供給、遮断などを制御できる電磁弁からなる。電磁弁は、外部駆動回路(図示しない)に接続され電気的に制御されることができる。
【0066】
本実施形態に係る液体吐出装置200によれば、上述した第1の実施形態と同様に、着弾精度を向上させることができる。
【0067】
2.2. 次に、第2の実施形態に係る液体吐出方法について、説明する。
【0068】
本実施形態に係る液体吐出方法では、本実施形態に係る液体吐出装置を用いる。以下、上述した液体吐出装置200を用いた例について説明する。図7から図9は、本実施形態に係る液体吐出方法を説明するための断面図である。
【0069】
図7に示すように、液体流路34から圧力室32に、液体1を供給する。さらに、圧力室32の液体1を、ノズル孔12に供給する。具体的には、加圧機構242によって、液体1を液体流路34から圧力室32に圧送する。さらに、圧送された液体1により圧力室32が加圧され、ノズル孔12に液体1が供給される。液体制御バルブ252は、開かれ、液体流路34は、開放されている。なお、気体制御バルブ22は閉じられている。
【0070】
図8に示すように、まず、液体制御バルブ252を閉じることにより、液体流路34を閉塞する。次に、噴射口20aからノズル孔12に、気体2を噴射する。具体的には、気体制御バルブ22を開くことにより行われる。これにより、ノズル孔12の液体は、気体2によって、吐出される液体1aと吐出されない液体とに分断される。したがって、高粘度の液体を用いた場合でも、液柱を短くすることができる。
【0071】
図9に示すように、ノズル孔12から、液体1aを気体2とともに吐出する。図示の工程では、図8の工程で示したように、液体流路34が、液体制御バルブ252によって、閉塞されている。したがって、気体2が、圧力室32方向に向かわず、ノズル孔12から液体1aとともに吐出されることができる。液体1aは、気体2の圧力によって吐出されるため、噴射される気体2の圧力を高くすることで、液体1aの速度を速くすることができる。したがって、吐出された液体1aが、媒体に着弾するまでの間に受ける気流の影響を軽減することができる。
【0072】
図9に示す工程から、加圧機構242により、液体1を圧力室32に供給することで、図7に示す工程に戻ることができる。したがって、本実施形態に係る液体吐出方法によれば、繰り返し液体1aを吐出することができる。
【0073】
本実施形態に係る液体吐出方法によれば、上述した第1の実施形態と同様に、着弾精度を向上させることができる。
【0074】
2.3. 次に、第2の実施形態に係る液体吐出装置の製造方法について、説明するが以下の工程に限定されるわけではない。なお、上述した第1の実施形態に係る液体吐出装置100の製造方法と異なる点について説明し、同様の点については詳細な説明を省略する。
【0075】
圧力室基板160に圧力室32を形成する工程は、機械的なポンチによる方法、イオンエッチング法またはドライエッチング法をフォトリソグラフィ法などと組み合わせる方法を用いることができる。液体流路34に、液体制御バルブ252となる電磁弁を設け、加圧機構242を接続する。
【0076】
3. 本発明の実施形態に係る液体吐出装置は、工業的な液体吐出装置またはディスペンサーとして用いられることができる。また、本発明の実施形態に係る液体吐出装置を複数用いてユニットとすることで、ライン型の液体吐出装置として用いることができる。
【0077】
上記のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できよう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】第1の実施形態に係る液体吐出装置を模式的に示す断面図。
【図2】第1の実施形態に係る液体吐出方法を模式的に示す断面図。
【図3】第1の実施形態に係る液体吐出方法を模式的に示す断面図。
【図4】第1の実施形態に係る液体吐出方法を模式的に示す断面図。
【図5】第2の実施形態に係る液体吐出方法を模式的に示す断面図。
【図6】第2の実施形態に係る液体吐出装置を模式的に示す断面図。
【図7】第2の実施形態に係る液体吐出方法を模式的に示す断面図。
【図8】第2の実施形態に係る液体吐出方法を模式的に示す断面図。
【図9】第2の実施形態に係る液体吐出方法を模式的に示す断面図。
【符号の説明】
【0079】
1 液体、2 気体、10 ノズル板、12 ノズル孔、20 気体供給路、20a 噴射口、22 気体制御バルブ、30 液体供給路、32 圧力室、34 液体流路、100 液体吐出装置、140 液体供給機構、142 ピストン部、144 駆動部、150 開閉機構、160 圧力室基板、170 蓋部、200 液体吐出装置、240 液体供給機構、242 加圧機構、250 開閉機構、252 液体制御バルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するためのノズル孔を有するノズル板と、
前記ノズル孔と連通する液体供給路と、
前記液体供給路から、前記ノズル孔に前記液体を供給する液体供給機構と、
前記液体供給路に設けられた開閉機構と、
前記ノズル孔の側壁に噴射口を有する気体供給路と、を含み、
前記ノズル孔に供給された前記液体の一部は、前記ノズル孔から前記気体とともに吐出される、液体吐出装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記気体供給路は、気体制御バルブを有する、液体吐出装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記気体は、窒素、またはドライエアーである、液体吐出装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかにおいて、
前記液体供給路は、
前記ノズル孔と連通する圧力室と、
前記圧力室と連通する液体流路と、を有する、液体吐出装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記液体供給機構は、加圧機構であり、
前記加圧機構は、前記液体流路に接続される、液体吐出装置。
【請求項6】
請求項4または5において、
前記開閉機構は、液体制御バルブであり、
前記液体流路に設けられる、液体吐出装置。
【請求項7】
請求項4において、
前記液体供給機構は、
前記圧力室の容積を可変するピストン部と、
前記ピストン部を動作させる駆動部と、を有し、
前記ピストン部の動作は、前記開閉機構を兼ねる、液体吐出装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記駆動部は、圧電素子または電磁ソレノイドを含む、液体吐出装置。
【請求項9】
ノズル板に設けられた液体を吐出するためのノズル孔に、前記ノズル孔と連通する液体供給路から、液体供給機構によって、前記液体を供給する液体供給工程と、
前記液体供給路を、開閉機構によって、閉塞する閉塞工程と、
前記ノズル孔の側壁に設けられた、気体供給路の噴射口から、気体を噴射する気体噴射工程と、を含み、
前記ノズル孔に供給された前記液体の一部は、前記ノズル孔から前記気体とともに吐出される、液体吐出方法。
【請求項10】
請求項9において、
前記閉塞工程は、前記気体噴射工程の前に行われる、液体吐出方法。
【請求項11】
請求項9または10において、
前記液体供給路は、
前記ノズル孔と連通する圧力室と、
前記圧力室と連通する液体流路と、を有する、液体吐出方法。
【請求項12】
請求項11において、
前記液体供給機構は、加圧機構であり、
前記加圧機構は、前記液体流路に接続され、
前記液体供給工程では、前記加圧機構によって、前記ノズル孔に前記液体を供給する、液体吐出方法。
【請求項13】
請求項11または12において、
前記開閉機構は、液体制御バルブであり、
前記液体制御バルブは、前記液体流路に設けられ、
前記閉塞工程では、前記液体制御バルブが前記液体流路を閉塞する、液体吐出方法。
【請求項14】
請求項11において、
前記液体供給機構は、
前記圧力室の容積を可変するピストン部と、
前記ピストン部を動作させる駆動部と、を有し、
前記液体供給工程は、前記ピストン部が、前記圧力室の容積を大きくする方向に動くことにより、前記液体流路から、前記圧力室に前記液体が供給される工程と、
前記ピストン部が、前記圧力室の容積を小さくする方向に動くことにより、前記圧力室から、前記ノズル孔に前記液体が供給される工程と、を有し、
前記ピストン部が、前記圧力室の容積を小さくする方向に動く工程は、前記閉塞工程を兼ねる、液体吐出方法。
【請求項15】
請求項14において、
前記駆動部は、圧電素子または電磁ソレノイドを含む、液体吐出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−131820(P2010−131820A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−308773(P2008−308773)
【出願日】平成20年12月3日(2008.12.3)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】