説明

液体吐出装置

【課題】媒体に吐出された液滴の乾燥効率を向上させ、かつ限られた熱容量で効率よく乾燥させることができる小型で高画像品質を実現した液体吐出装置を提供する。
【解決手段】キャリッジ9の主走査方向両端側のいずれかにメディア4に着弾したインク滴に赤外線を放射して乾燥させる赤外線ヒータ15を備え、当該赤外線ヒータ15は、Y軸ガイド部材10近傍で湾曲形状に連なり当該Y軸ガイド部材10から離れた位置に一対の給電端子部15aが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤外線加熱部を備えた液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体吐出装置の一例であるインクジェット記録装置は、例えば水性顔料インク、ソルベントインク、昇華インクなどのインク滴(液滴)を吐出する吐出ヘッドと、該吐出ヘッドから媒体(メディア)に吐出されたインクに対してヒータ、乾燥ファンなどの定着部を備えている。吐出ヘッドは、主走査方向(媒体の幅方向)に走査されるキャリッジに搭載され、キャリッジを走査しながら吐出ヘッドのノズルから媒体に吐出されたインク滴を定着(乾燥)させて記録を行っている。
【0003】
媒体に吐出されたインクを効率よく乾燥させて定着させるため記録ヘッドを搭載して主走査方向に往復移動するキャリッジの記録媒体搬送方向下流側に乾燥手段を設けたインクジェット記録装置が提案されている。乾燥手段は、直状のカーボンヒータとリフレクタとフィルタとを備え、カーボンヒータをキャリッジの幅と同じ幅サイズにしてキャリッジの往復動作にともなって記録媒体の幅全域を乾燥させるようになっている(特許文献1、段落[0029][0030]参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008‐155485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した乾燥手段は、キャリッジに搭載された記録ヘッドより記録媒体搬送方向下流側に設けられている。即ち、記録媒体に吐出されたインク滴の着弾位置と乾燥装置の加熱位置は記録媒体搬送方向に前後して配置されている。記録媒体に着弾したインク滴の乾燥効率を高めるためには、記録媒体に着弾したインク滴(ノズル位置)の直上若しくはその近傍で行うのが好ましい。上記特許文献1の構成では、インク滴の着弾位置と乾燥装置の加熱位置が離れているためインク滴の乾燥効率が低下するという課題がある。
【0006】
また、インクの種類(水性インク、ソルベントインク等)に応じてインク滴の乾燥状態や必要な熱量も異なることから、熱源であるヒータの限られた熱容量で効率よく乾燥することも求められる。
更に、キャリッジの往復走査をガイドするガイド部材に対して吐出ヘッドをより近くに搭載して装置を小型化しつつキャリッジの往復走査にともなう振動などによる画像品質に対する影響を少なくすることが望ましい。このため、吐出ノズル位置に合わせてヒータも副走査方向にガイド部材に近づけて配置したいというニーズもある。
【0007】
本発明の目的は、媒体に吐出された液滴の乾燥効率を向上させ、かつ限られた熱容量で効率よく乾燥させることができる小型で高画像品質を実現した液体吐出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る液体吐出装置は、以下の構成を備える。即ち、記録媒体に対して液滴を吐出する吐出ノズルが設けられた吐出ヘッドを搭載して主走査方向に沿って設けられたガイド部材に形成されたガイド部に沿って往復移動するキャリッジを備えた液体吐出装置であって、前記キャリッジの主走査方向両端側のいずれかに、前記記録媒体に着弾した液滴に赤外線を放射して乾燥させる赤外線ヒータを備え、当該赤外線ヒータは、前記ガイド部材近傍で湾曲形状に連なり当該ガイド部材から離れた位置に一対の給電端子部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
上記構成によれば、キャリッジの主走査方向両端側のいずれかに赤外線ヒータを備えているので、媒体に着弾した直後の液滴を赤外線ヒータにより乾燥させることができるので乾燥効率を向上させることができる。
また、赤外線ヒータは、ガイド部材近傍で湾曲形状に連なり当該ガイド部材から離れた位置に一対の給電端子部が形成されているので、ガイド部材と赤外線ヒータとの間隔を短縮することができる。従って、吐出ノズルからガイド部材までの間隔を短縮することができるので、吐出ノズルの位置精度を向上させることができ、ひいては、印刷画質の向上並びに装置小型化を実現することができる。
【0010】
また、前記赤外線ヒータは前記吐出ヘッドに設けられた副走査方向のノズル列の媒体搬送方向上流端より下流側に所定ピッチシフトして配置されているのが好ましい。
これにより、赤外線ヒータの小型化を実現しつつ液滴の吐出量に応じて乾燥に必要な熱量を供給して乾燥効率を高めることができる。即ち、キャリッジ走査方向1ライン目の記録動作のように記録媒体への液滴の吐出量が少ない印刷箇所では赤外線ヒータをシフト配置して相対的に乾燥の程度を弱め、キャリッジ走査方向2ライン目以降の記録動作のように記録媒体への液滴の吐出量が増える印刷箇所に赤外線ヒータを配置することで相対的に乾燥の程度を強めることにより赤外線ヒータの小型化を実現しつつ乾燥効率を向上させることができる。
【0011】
前記赤外線ヒータは複数併設されており、互いに所定ピッチだけ副走査方向にシフトして配置されていてもよい。
これにより、記録媒体への液滴の吐出量が少ない媒体搬送方向上流側の印刷箇所では赤外線ヒータから供給する相対的に少ない熱量で乾燥を行い、媒体搬送方向下流側の記録媒体への液滴の吐出量が増えた印刷箇所では赤外線ヒータから供給する熱量を相対的に増やして乾燥を行うことで、記録媒体に吐出された液滴の吐出量に応じて必要な熱量を供給して最適な条件で乾燥させることができる。
また、複数設けた赤外線ヒータどうしを副走査方向にシフト配置することで、液滴が媒体に着弾した位置から媒体搬送方向下流側に向って広く乾燥エリアが取れるので、液滴の定着性がよく画像品位を向上させることができる。
【0012】
前記赤外線ヒータは、一方側が前記吐出ヘッドの媒体搬送方向上流端と一致若しくはそれより下流側にシフトして配置され、他方側がより前記吐出ヘッドの媒体搬送方向下流端より下流側へ延設されていてもよい。
これにより、吐出ヘッドと対向する位置から吐出ヘッドより媒体搬送方向下流側のすでに液滴が着弾した位置にわたって記録媒体に対して赤外線ヒータによる乾燥エリアが広くとれるので、液滴の記録媒体に対する定着性がよく、画像品位を向上させることができる。
【0013】
前記赤外線ヒータは、U字状若しくは環状に形成され、前記一対の給電部は前記ガイド部材に対して直交する向きに媒体搬送方向下流側に離れて配置されているのが好ましい。
これにより、U字状若しくは環状の赤外線ヒータを用いることで、一対の給電端子部の配置がガイド部材より直交する向きに媒体搬送方向下流側へ離れた同一方向に揃うため、ヒータのキャリッジへの組み付けが容易に行える。
【0014】
尚、赤外線ヒータの輻射熱を媒体に向けて反射させるリフレクターが設けられており、当該リフレクターには放熱用の貫通孔が設けられている場合には、赤外線ヒータによって加熱されたリフレクターの貫通孔を通じた放熱により冷却することができる。
また、カバーの上に送風ファンを設けて貫通孔を通じて送風するようにすると、リフレクターの熱放散性が高まるうえに液滴が吐出された媒体に向けて温風を吹き付けるため乾燥効率が向上する。
【0015】
記録媒体に対して液滴を吐出する吐出ノズルが設けられた吐出ヘッドを搭載して主走査方向に沿って設けられたガイド部材に形成されたガイド部に沿って往復移動するキャリッジを備えた液体吐出装置であって、前記キャリッジの主走査方向両端側のいずれかに、前記記録媒体に対して赤外線を放射して乾燥させる赤外線ヒータと、前記キャリッジの走査範囲の一端に配置され、前記吐出ヘッドの吐出ノズルをクリーニングするクリーニング装置と、を具備し、前記赤外線ヒータは、前記吐出ヘッドが前記クリーニング装置と対向するクリーニング位置より前記キャリッジの移動方向手前側となるように設けられていることを特徴とする。
これにより、キャリッジの走査範囲の一端に設けられたクリーニング位置へ主走査方向に移動する際に赤外線ヒータがクリーニング部の直上を横切ることがない。よって、クリーニング装置に設けるヘッドキャップのキャップ面が乾燥するのを防ぐことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、記録媒体に吐出された液滴の乾燥効率を向上させ、かつ限られた熱容量で効率よく乾燥させることができる小型で高画像品質を実現した液体吐出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】インクジェット記録装置のシート搬送に沿った概略構成図である。
【図2】インクジェット記録装置の外観斜視図である。
【図3】キャリッジ部分の拡大斜視図である。
【図4】赤外線ヒータ及び吐出ヘッドを下面側から見た斜視図である。
【図5】他例に係る赤外線ヒータ及び吐出ヘッドの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る液体吐出装置の実施形態について詳細に説明する。以下では、液体吐出装置の一例として、インクジェット記録装置について説明する。また、主走査方向は、キャリッジが往復動する方向(Y軸方向)、副走査方向は主走査方向と直交する媒体(メディア)の搬送方向(X軸方向)を指し示すものとする(図1,2参照)。
【0019】
図1に示すように、インクジェット記録装置1は、記録媒体(メディア)として例えば大判で長尺状のロールシート(ポリエステルシートなど)が用いられる。繰出し軸2に巻かれた繰出しロール3から繰り出されたメディア4は、上流側テンションバー5を経てプラテン6に搬送される。
【0020】
プラテン6には搬送装置7が設けられており、メディア4は搬送装置7によって吐出ヘッド8と対向する記録位置へ副走査方向に搬送される。尚、メディア4を支持しながら搬送をガイドするプラテン6には、インクの定着性を高めるためのヒータが設けられていてもよい。
【0021】
吐出ヘッド8は、キャリッジ9に搭載されており、キャリッジ9は、主走査方向(メディア幅方向)に設けられたY軸方向ガイド部材(Yバー)10に沿って往復動可能に設けられている。またキャリッジ9には、メディア4に着弾したインク滴に赤外線を放射して乾燥させる赤外線ヒータ15が一体に設けられている。
キャリッジ9が主走査方向に移動しながらメディア4に対しインク滴を吐出して記録が行われ赤外線ヒータ15により赤外線が照射されて輻射熱により記録面の乾燥が行なわれる。1ライン分の記録が行われると、搬送装置7によってメディア4は所定量副走査方向に送られてキャリッジ9が主走査方向に走査して次の記録動作が開始される。
【0022】
記録後のメディア4は、テンションローラ11によって下流にたるみなく送られ、下流側テンションバー12を経て、巻取り軸13に巻取りロール14として巻き取られる。テンションローラ11の下流側の搬送路には記録画像の定着を促進する図示しないアフターヒータが設けられている。
【0023】
図2において、装置本体16の上方には、送風ファン17が長手方向(主走査方向)に沿って複数箇所に設けられており、記録位置でメディア4に吐出されたインク滴の乾燥を促進するようになっている。また、装置本体16の上部には、吐出ヘッド8に対してインク液を供給するインクカートリッジ18が設けられている。吐出ヘッド8には、インクカートリッジ18から図示しないインクチューブを介してM(マゼンタ),Y(イエロー),C(シアン),K(ブラック)などの各色水溶性インク、昇華インクなどのインク(液体)が供給され記録信号に応じて吐出ノズル8a(図4参照)からインク滴が吐出される。
【0024】
図3に示すように吐出ヘッド8を搭載したキャリッジ9は、主走査方向に設けられたY軸ガイド部材10(Yバー)に形成されたガイドレール10a(ガイド部)に沿って往復移動する。具体的には、キャリッジ9は図示しない駆動源により正逆回転駆動される無端状のタイミングベルトの一部に連繋して往復移動するようになっている。
【0025】
図3に示すように、キャリッジ9の主走査方向一端側には、第1フレーム9aに隣接して第2フレーム9bが一体に設けられている。第1フレーム9aにはヘッドカバー8bに覆われて吐出ヘッド8(図4参照)が設けられている。図4において、ヘッドカバー8b内には、メディア4に対してインク滴を吐出する吐出ノズル8aを有する複数の吐出ヘッド8がキャリッジ9の第1フレーム9aに搭載されている。各吐出ヘッド8は、第1フレーム9aを貫通する貫通孔9cから吐出ノズル8aが露出するように位置決めされて支持されている。
【0026】
図3において、キャリッジ9の走査方向一端側に設けられた第1フレーム9aに隣接して第2フレーム9bが一体に設けられている。第2フレーム9bには赤外線ヒータ15が設けられている。赤外線ヒータ15は吐出ヘッド8に対してメディア搬送方向下流側にシフトして配置されている。赤外線ヒータ15は、メディア4に着弾したインク滴に赤外線を放射して輻射熱により乾燥させる。尚、赤外線ヒータ15は、キャリッジ9の走査方向他端側に設けてもよい。この場合には、キャリッジ9の移動端に設けられるクリーニング装置19(図3参照)は装置本体16の長手方向反対側に設けられる。赤外線ヒータがクリーニング部の直上を横切ることがないように配置するためである。
【0027】
図4において、赤外線ヒータ15は、例えばU字状或いは環状のカーボンヒータが用いられる。カーボンヒータを用いることで、水溶性のインクを用いた場合に水分の波長吸収特性にあった赤外線を照射することで乾燥効率を高めることができる。尚、本実施形態では赤外線ヒータとしてカーボンヒータを用いているが、ハロゲンヒータを用いても構わない。
また、図4に示すU字状の赤外線ヒータ15は、Y軸ガイド部材10の近傍で湾曲形状に連なり当該Y軸ガイド部材10からメディア搬送方向下流側へ離れた位置に一対の給電端子部15aが形成されている。これにより、Y軸ガイド部材10と赤外線ヒータ15との間隔を短縮することができる、吐出ノズル8aからY軸ガイド部材10までの間隔を短縮することができる。
また、U字状若しくは環状の赤外線ヒータ15を用いることで、一対の給電端子部15aの配置がY軸ガイド部材10に対して直交する向きにメディア搬送方向下流側へ離れた同一方向に揃うため、赤外線ヒータ15のキャリッジ9(第2フレーム9b)への配線等のスペースが確保できるため組み付けが容易に行える。
【0028】
上記構成によれば、キャリッジ9の走査方向一端側に赤外線ヒータ15を備えているので、メディア4に着弾した直後のインク滴を赤外線ヒータ15により乾燥させることができるので乾燥効率を向上させることができる。
また、赤外線ヒータ15は、Y軸ガイド部材10の近傍で湾曲形状に連なり当該Y軸ガイド部材10から離れた位置に一対の給電端子部15aが形成されているので、Y軸ガイド部材10と赤外線ヒータ15との間隔を短縮することができる。従って、吐出ノズル8aからY軸ガイド部材10までの間隔を短縮することができるので、吐出ノズル8aの位置精度を向上させることができ、ひいては、印刷画質の向上を実現することができる。
【0029】
また、図4において、赤外線ヒータ15は、吐出ノズル8aの副走査方向のノズル列のメディア搬送方向上流端より所定ピッチだけ下流側にシフトして配置されている。具体的には、赤外線ヒータ15のU字状に湾曲した湾曲頂部が副走査方向のノズル列のメディア搬送方向上流端から下流側へ1ピッチ搬送分だけシフトしている。尚、赤外線ヒータ15のメディア搬送方向下流側へのシフト量はメディア4の複数ピッチ搬送分だけシフトさせてもよい。
【0030】
これにより、赤外線ヒータ15の小型化を実現しつつインク滴の吐出量に応じて乾燥に必要な熱量を供給して乾燥効率を高めることができる。即ち、キャリッジ走査方向1ライン目の記録動作のようにメディア4へのインク滴の吐出量が少ない印刷箇所では赤外線ヒータ15をシフト配置して相対的に乾燥の程度を弱め、キャリッジ走査方向2ライン目以降の記録動作のようにメディア4へのインク滴の吐出量が増える印刷箇所に赤外線ヒータ15を配置することで相対的に乾燥の程度を強めることにより赤外線ヒータ15の小型化を実現しつつ乾燥効率を向上させることができる。
【0031】
尚、1ライン目の記録動作においては吐出ヘッド8からのインク滴の吐出量が少ないため赤外線ヒータ15を停止したままでも他の乾燥手段(ヒータ、送風ファン等)によりメディア4に着弾したインク滴の乾燥が可能である。実際には可能であるならば1ライン目の記録動作から吐出されたインク滴を乾燥させた方が良い。しかしながら、赤外線ヒータ15の小型化を実現しつつ限られた熱容量で効率よくメディア4に着弾したインク滴を確実に乾燥させる為には、1ライン目以降のインク吐出面により多くの赤外線照射による輻射熱を集中させた方が、より効率の高い乾燥を実現できるからである。
【0032】
また、赤外線ヒータ15は1つのみ設けてもよいが、図4に示すように複数(例えば2つ)併設されていてもよい。この場合、2つの赤外線ヒータ15は互いに所定ピッチ(例えばメディア搬送方向下流側へ1ピッチ搬送分)だけ副走査方向にシフトして配置されていてもよい。尚、赤外線ヒータ15どうしのシフト量はメディア搬送方向下流側へ複数ピッチ搬送分シフトさせてもよい。
これにより、メディア4へのインク滴の吐出量が少ないメディア搬送方向上流側の印刷箇所では赤外線ヒータ15から供給する相対的に少ない熱量で乾燥を行い、メディア搬送方向下流側のメディア4へのインク滴の吐出量が増えた印刷箇所では赤外線ヒータ15から供給する熱量を相対的に増やして乾燥を行うことで、メディア4に吐出されたインク滴の吐出量に応じて必要な熱量を供給して最適な条件で乾燥させることができる。
また、複数設けた赤外線ヒータ15どうしを副走査方向にシフト配置することで、インク滴がメディア4に着弾した位置からメディア搬送方向下流側に向って広く乾燥エリアが取れるので、インク滴の定着性がよく画像品位を向上させることができる。
【0033】
図4において、赤外線ヒータ15の上方にはリフレクター20が設けられており、赤外線ヒータ15の輻射熱をメディア4に向けて反射させるようになっている。リフレクター20には放熱用の貫通孔20aが赤外線ヒータ15の直上でない位置に複数穿孔されている。赤外線ヒータ15によって加熱されたリフレクター20は貫通孔20aを通じた放熱により冷却することができる。
【0034】
また、図3において、リフレクター20の上方には送風ファン21が設けられている。送風ファン21が貫通孔21aを通じて送風するようにすると、リフレクター20の熱放散性が高まるうえにインク滴が吐出されたメディア4に向けて温風を吹き付けるため乾燥効率が向上する。
【0035】
また、図3及び図4に示すように赤外線ヒータ15は、一方側が吐出ヘッド8のメディア搬送方向上流端と一致若しくはそれより下流側にシフトして配置され、他方側がより吐出ヘッド8のメディア搬送方向下流端より下流側へ延設されていてもよい。
これにより、吐出ヘッド8と対向する位置から吐出ヘッド8よりメディア搬送方向下流側のすでにインク滴が着弾した位置にわたってメディア4に対して赤外線ヒータ15による乾燥エリアが広くとれるので、インク滴のメディア4に対する定着性が向上し、画像品位を向上させることができる。
【0036】
また、図5に示すように、複数設けられた赤外線ヒータ15は、吐出ノズル8aのメディア搬送方向上流端に対してはメディア搬送方向下流側に例えば1ピッチ搬送分だけシフト配置されているが、赤外線ヒータ15どうしはU字状に湾曲した湾曲頂部が互いにメディア搬送方向にシフトすることなく配置されていてもよい。例えば国或いは地域によって異なる商用電源電圧(例えば100V〜120V、220V〜240V等)に応じて赤外線ヒータ15を使い分けるようにするためである。
【0037】
また、図2において、キャリッジ10の走査範囲の一端である待機位置には、クリーニング装置19が設けられている。クリーニング装置19は、待機位置にある吐出ヘッド8のインク吐出面8aにヘッドキャップが密着して覆うとともに、各インク吐出面8aのノズルから吸引されたインクを回収する(図3参照)。
【0038】
赤外線ヒータ15は、図3に示すように、吐出ヘッド8がクリーニング装置19と対向するクリーニング位置よりキャリッジ9の移動方向手前側となるように設けられている。これにより、キャリッジ9の走査範囲の一端に設けられたクリーニング位置19へ主走査方向に移動する際に赤外線ヒータ15がクリーニング装置19の直上を横切ることがない。よって、クリーニング装置19に設けるヘッドキャップのキャップ面が乾燥するのを防ぐことができる。
本実施形態の場合、図3に示すように、赤外線ヒータ15はキャリッジ9の第1フレーム9aの左側に配置されているが、第1フレーム9aの右側に配置してもよい。この場合には、クリーニング装置19は本実施例とはY軸方向ガイド部材10の長手方向反対側(図2の左端側)に配置するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 インクジェット記録装置 2 繰出し軸 3 繰出しロール 4 メディア 5 上流側テンションバー 6 プラテン 7 搬送装置 8 吐出ヘッド 8a 吐出ノズル 8b ヘッドカバー 9 キャリッジ 9a 第1フレーム 9b 第2フレーム 9c,20a 貫通孔 10 Y軸方向ガイド部材 10a ガイドレール 11 テンションローラ 12 下流側テンションバー 13 巻取り軸 14 巻取りロール 15 赤外線ヒータ 15a 給電端子部 16 装置本体 17,21 送風ファン 18 インクカートリッジ 19 クリーニング装置 20 リフレクター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に対して液滴を吐出する吐出ノズルが設けられた吐出ヘッドを搭載し主走査方向に沿って設けられたガイド部材に形成されたガイド部に沿って往復移動するキャリッジを備えた液体吐出装置であって、
前記キャリッジの主走査方向両端側のいずれかに、前記記録媒体に着弾した液滴に赤外線を放射して乾燥させる赤外線ヒータを備え、当該赤外線ヒータは、前記ガイド部材近傍で湾曲形状に連なり当該ガイド部材から副走査方向に離れた位置に一対の給電端子部が設けられていることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記赤外線ヒータは前記吐出ヘッドに設けられた副走査方向のノズル列の媒体搬送方向上流端より下流側に所定ピッチシフトして配置されている請求項1記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記赤外線ヒータは複数併設されており、互いに所定ピッチだけ副走査方向にシフトして配置されている請求項1又は請求項2記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記赤外線ヒータは、一方側が前記吐出ヘッドの媒体搬送方向上流端と一致若しくはそれより下流側にシフトして配置され、他方側がより前記吐出ヘッドの媒体搬送方向下流端より下流側へ延設されている請求項1乃至請求項3のいずれか1項記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記赤外線ヒータは、U字状若しくは環状に形成され、前記一対の給電部は前記ガイド部材に対して直交する向きに媒体搬送方向下流側に離れて配置されている請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の液体吐出装置。
【請求項6】
記録媒体に対して液滴を吐出する吐出ノズルが設けられた吐出ヘッドを搭載して主走査方向に沿って設けられたガイド部材に形成されたガイド部に沿って往復移動するキャリッジを備えた液体吐出装置であって、
前記キャリッジの主走査方向両端側のいずれかに、前記記録媒体に対して赤外線を放射して乾燥させる赤外線ヒータと、前記キャリッジの走査範囲の一端に配置され、前記吐出ヘッドの吐出ノズルをクリーニングするクリーニング装置と、を具備し、
前記赤外線ヒータは、前記吐出ヘッドが前記クリーニング装置と対向するクリーニング位置より前記キャリッジの移動方向手前側となるように設けられていることを特徴とする液体吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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