説明

液体噴射装置

【課題】液体の吐出特性に差が生じることを抑制した循環式の液体噴射装置を提供する。
【解決手段】インクを吐出するノズルが列設されたノズル列、該ノズルに連通する圧力発生室を有する個別流路、該個別流路に連通するマニホールド101、該圧力発生室に圧力変化を生じさせる圧電素子、及びマニホールド101のインクの温度を調節可能なヒーター22を有するヘッドと、マニホールド101に外部からの液体を供給する供給路及びマニホールド101からインクを外部に回収する回収路を含む循環流路と、マニホールド101のインクに、マニホールド101の前記供給路側から前記回収路側に向かって上昇した温度勾配が付与されるようにヒーター22を設定する制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴射装置に関し、特に液体としてインクを吐出するインクジェット式記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体噴射装置の一例であるインクジェット式記録装置として、インクタンクをインクジェット式記録ヘッドから離間して設け、このインクタンクとインクジェット式記録ヘッド間でインクを循環させる循環式のインクジェット式記録装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
インクジェット式記録ヘッドは、複数のノズルからなるノズル列、各ノズルにインクを供給する個別流路(圧力発生室等)、個別流路に共通した共通流路を有している。循環式のインクジェット式記録装置では、インクタンクから共通流路の一端部側(入口側)にインクが供給される。共通流路の入口側から供給されたインクは他端部側(出口側)に流通するとともに、一部が個別流路に流入して、ノズルからインク滴として吐出される。そして、個別流路に流入しなかったインクは、共通流路の出口側からインクタンクに回収される。
【0004】
このようにインクを循環させることで、インク中の顔料などの成分が沈降することを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−23289号公報(図3等参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
共通流路の入口側から出口側にインクが流通する途中で、個別流路にインクの一部が流入するので、共通流路の入口側から出口側に向けてインクの圧力が徐々に低下する。このように共通流路の入口側から出口側にわたりインクの圧力勾配が生じるため、ノズルから吐出されたインク滴の特性、例えば重量や形状、速度は、共通流路の入口側と出口側とで異なる。
【0007】
このような圧力勾配によりインクの吐出特性に差が生じると、共通流路の出口側に近い個別流路・ノズルから吐出されたインクほど、インク滴の形状が小さくなり、紙面に印刷されたインクの濃度にムラが生じてしまう。また、共通流路の入口側と出口側で、吐出されたインク滴の形状や速度がばらつくため、インクの着弾精度にもばらつきが生じてしまう。
【0008】
なお、このような問題はインクジェット式記録ヘッドを用いたインクジェット式記録装置だけではなく、インク以外の液体を噴射する液体噴射ヘッドを用いた液体噴射装置においても同様に存在する。
【0009】
本発明はこのような事情に鑑み、液体の吐出特性に差が生じることを抑制した循環式の液体噴射装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決する本発明の態様は、液体を吐出するノズルが列設されたノズル列、該ノズルに連通する圧力発生室を有する個別流路、該個別流路に連通する共通流路、該圧力発生室に圧力変化を生じさせる圧力発生手段、及び前記共通流路の液体の温度を調節可能な温度調節手段を有する液体噴射ヘッドと、前記共通流路に外部からの液体を供給する供給路及び前記共通流路から液体を外部に回収する回収路を含む循環流路と、前記共通流路の液体に、前記共通流路の前記供給路側から前記回収路側に向かって上昇した温度勾配が付与されるように前記温度調節手段を設定する制御手段とを備えることを特徴とする液体噴射装置にある。
かかる態様では、共通流路の供給管側から回収管側に向けて、液体の温度が上昇するように温度勾配を付与し、液体の粘度を回収管側に向けて低下させる。これにより、共通流路の供給管側から回収管側に向けて流路抵抗が増大するが、共通流路の供給管側から回収管側に向けて液体の粘度が減少するので、流路抵抗の増大を抑制することができる。これにより、共通流路内の流路抵抗はほぼ一定となり、液体の圧力もほぼ一定となるので、各ノズルから吐出された液滴の大きさや速度など吐出特性も均等化される。この結果、バラツキのない液滴が吐出され、濃度ムラの無い吐出を行うことができる。このようにして、循環流路により液体を循環させるとともに、液体の濃度ムラを防止して高品質な印刷を行うことができる液体噴射装置が提供される。
【0011】
ここで、前記温度調節手段は、前記共通流路の前記供給路側の液体を冷却する冷却手段又は前記共通流路の前記回収路側の液体を加熱する加熱手段の少なくとも一方を含むことが好ましい。これによれば、加熱手段又は冷却手段により共通流路の液体に温度勾配を付与することができる。
【0012】
また、前記共通流路に流入する液体の温度を検出する温度検出手段を備え、前記制御手段は、前記温度検出手段により検出された液体の温度に基づいて、前記温度調節手段を設定することが好ましい。これによれば、液体の温度に適した温度勾配を付与することができる。
【0013】
また、前記共通流路に流入する液体の温度及び前記共通流路の前記供給路側から前記回収側に向かって減少する液体の圧力勾配と、当該温度及び当該圧力勾配に対応して設定される温度勾配との関係を表した情報である補正テーブルが記憶された記憶手段を備え、前記制御手段は、前記温度検出手段により検出された液体の温度及び前記共通流路の圧力勾配に対応する温度勾配を前記補正テーブルから読み出し、当該温度勾配が前記共通流路の液体に付与されるように前記温度調節手段を設定することが好ましい。これによれば、予め設定した補正テーブルに基づいて、液体の温度に適した温度勾配を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】インクジェット式記録装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】ヘッドの断面模式図である。
【図3】ヘッドの概略構成を示す分解斜視図である。
【図4】ヘッドの平面図及び断面図である。
【図5】循環流路の構成を示す模式図である。
【図6】本実施形態に係る制御部を示すブロック図である。
【図7】マニホールドの圧力勾配及びインク滴を説明する模式図である。
【図8】インクの温度とインク重量との関係を表したグラフである。
【図9】本実施形態に係る補正テーブルを表したグラフである。
【図10】制御部による制御のフローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〈実施形態1〉
以下に本発明を実施形態に基づいて詳細に説明する。以下、インクジェット式記録ヘッドは液体噴射ヘッドの一例であり、単にヘッドとも言う。また、インクジェット式記録装置は液体噴射装置の一例である。
【0016】
図1は、インクジェット式記録装置の概略構成を示す斜視図である。インクジェット式記録装置Iは、複数のヘッド1を有するヘッドユニットIIを装置本体2に固定し、搬送方向に記録シートS等の被噴射媒体を搬送することで印刷を行う、いわゆるライン式のインクジェット式記録装置である。
【0017】
ヘッドユニットIIは、ベースプレート18と、ベースプレート18に保持された複数のヘッド1とから構成されている。各ヘッド1のインクの吐出面となるノズルプレート20(図3参照)は、ベースプレート18の一方面側に現れている。このようなベースプレート18は、フレーム部材19を介して装置本体2に固定されている。
【0018】
装置本体2には給紙ローラー3が設けられている。給紙ローラー3は、装置本体2に給紙された紙等の記録シートSを第1方向とは直交する第2方向に搬送し、記録シートSをヘッド1のインクの吐出面側を通過させる。ここで、第1方向とは、後述するヘッド1のノズルが並設された方向であり、第2方向とは、第1方向に直交する方向である(図2〜4参照。)。なお、本実施形態では、第2方向は、記録シートSとヘッド1との相対的な移動方向でもある。また、ヘッドユニットIIには、4つのヘッド1が第1方向に並設されている。
【0019】
制御部4は、記録シートSに印字される画像を表した印刷データに基づいて、給紙ローラー3に信号を送信して記録シートSの搬送をさせるとともに、図示しない配線を介して各ヘッド1に駆動信号を送信してインクを吐出させる。また、詳細は後述するが、制御部4は、ヘッド1に供給されたインクの温度を制御する機能を有している。
【0020】
装置本体2には、インクが貯留されたインクタンク5が設けられている。インクタンク5には、ヘッド1に供給されるインク及びヘッド1から回収されるインクの流路となる循環流路8が設けられている。
【0021】
循環流路8は、インクをインクタンク5から各ヘッド1に供給する流路(供給路)である供給管6と、各ヘッド1からインクタンク5へインクを回収する流路(回収路)である回収管7とから構成されている。詳細は後述するが、循環流路8により、インクは、インクタンク5から供給管6を介して各ヘッド1のマニホールド(共通流路)に供給され、ノズル開口から噴射されなかったインクは回収管7を介してインクタンク5に回収される。
【0022】
図2に基づいて、本実施形態に係るヘッドについて説明する。図示するように、ヘッド1は、インクを吐出させるヘッド本体100と、ヘッド本体100と循環流路8との間に介在したインクの流路を有する流路部材170とから構成されている。
【0023】
流路部材170は、その上面に設けられた開口であるインク導入口110と、インク導入口110に連通する上部供給路120と、上部供給路120に設けられ、上部供給路120よりもその内径が拡幅されて形成されたフィルター室130と、フィルター室130の下流側に設けられた下部供給路160とを有する。
【0024】
インク導入口110には、循環流路8(図1参照)の一部を構成する供給枝管62が接続され、循環流路8からのインクが上部供給路120に供給される。さらに下部供給路160は、ヘッド本体100の共通流路であるマニホールド101に連通しており、下部供給路160からインクがマニホールド101に供給される。
【0025】
これらの上部供給路120と下部供給路160との間に設けられたフィルター室130には、フィルター131が設けられている。
【0026】
フィルター131は、フィルター孔132を有するシート状のものであればよく、例えば、金属を細かく編み込むことで複数の微細孔が形成されたシート状のものや、金属板に微細工を形成したものを用いることができる。フィルター131により、インク内の気泡やゴミ等がフィルター131よりも下流側、すなわちマニホールド101に流入することが抑制されている。これにより、気泡等によるドット抜けや、インク中のゴミによるノズル詰まり等の吐出不良が抑制される。
【0027】
流路部材170は、その上面に別の開口であるインク排出口150と、インク排出口150に連通する回収路140とを備えている。回収路140は、マニホールド101に連通し、インク排出口150には、循環流路8(図1参照)の一部を構成する回収枝管72が接続されている。回収路140には、ノズル21から吐出されなかったインクがマニホールド101から流入し、インク排出口150を介して回収枝管72に排出される。
【0028】
また、流路部材170に接続された供給枝管62には、マニホールド101に流入するインクの温度を検出する温度検出手段の一例である温度センサー29が設けられている。温度センサー29は、供給枝管62の管壁に対して接触するように配置されており、この管壁を介して伝達される熱量に基づいて、供給枝管62からマニホールド101に流入するインクの温度を計測する。また、温度センサー29が計測した温度は、制御部4に送信される。
【0029】
図3及び図4を用いて、ヘッド本体100を詳細に説明する。図3は、ヘッド本体の分解斜視図であり、図4は、ヘッド本体の平面図及びそのA−A′線断面図である。
【0030】
図示するように、流路形成基板10は、シリコン単結晶基板からなり、その一方の面には例えば二酸化シリコンからなる弾性膜50が形成されている。この流路形成基板10には、その他方面側から異方性エッチングすることにより、複数の隔壁11によって区画された複数の圧力発生室12が第1方向(圧力発生室12の幅方向(短手方向))に並設されている。また、流路形成基板10の圧力発生室12の長手方向一端部側には、インク供給路14と連通路15とが隔壁11によって区画されている。また、連通路15の一端には、各圧力発生室12の共通のインク室(共通流路)となるマニホールド101の一部を構成する連通部13が形成されている。本実施形態では、請求項の個別流路は、圧力発生室12、連通部13、インク供給路14及び連通路15から構成されている。
【0031】
流路形成基板10の開口面側には、各圧力発生室12のインク供給路14とは反対側の端部近傍に連通するノズル21が穿設されたノズルプレート20が接着剤や熱溶着フィルム等の接着剤層によって固着されている。なお、ノズルプレート20は、ガラスセラミックス、シリコン単結晶基板又はステンレス鋼などからなる。
【0032】
ノズル21は、第1方向に並設されており、並設された複数のノズル21からノズル列21Aが構成されている。
【0033】
流路形成基板10の開口面とは反対側には、上述した弾性膜50上に、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO)等からなる絶縁体膜55が積層形成されている。また、絶縁体膜55上には、圧力発生手段として、第1電極60と、圧電体層70と、第2電極80とからなる圧電素子300が形成されている。ここで、圧電素子300は、第1電極60、圧電体層70及び第2電極80を含む部分をいう。一般的には、圧電素子300の何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極及び圧電体層70を圧力発生室12毎にパターニングして構成する。そして、ここではパターニングされた何れか一方の電極及び圧電体層70から構成され、両電極への電圧の印加により圧電歪みが生じる部分を圧電体能動部という。本実施形態では、第1電極60を圧電素子300の共通電極とし、第2電極80を圧電素子300の個別電極としているが、駆動回路や配線の都合でこれを逆にしても支障はない。何れの場合においても、圧力発生室12毎に圧電体能動部が形成されていることになる。また、上述した例では、弾性膜50、絶縁体膜55及び第1電極60が振動板として作用するが、勿論これに限定されるものではなく、例えば、弾性膜50及び絶縁体膜55を設けずに、第1電極60のみが振動板として作用するようにしてもよい。
【0034】
そして、このような各圧電素子300の第2電極80には、例えば、金(Au)等からなるリード電極90がそれぞれ接続され、このリード電極90を介して各圧電素子300に選択的に電圧が印加されるようになっている。
【0035】
流路形成基板10の圧電素子300側には、保護基板30が接着剤35を介して接合されている。保護基板30には、連通部13に対向する領域にマニホールド部31が設けられており、このマニホールド部31は、上述したように、流路形成基板10の連通部13と連通されて各圧力発生室12の共通のインク室(共通流路)となるマニホールド101を構成している。また、保護基板30の圧電素子保持部32とマニホールド部31との間の領域には、保護基板30を厚さ方向に貫通する貫通孔33が設けられ、この貫通孔33内に絶縁体膜55、第1電極60の一部及びリード電極90の先端部が露出され、これらの先端部に導電性ワイヤー121を介して圧電素子300を駆動するための駆動回路250が電気的に接続されている。
【0036】
保護基板30としては、流路形成基板10の熱膨張率と略同一の材料、例えば、ガラス、セラミック材料等を用いることが好ましく、本実施形態では、流路形成基板10と同一材料、すなわち、表面の結晶面方位が(110)面のシリコン単結晶基板を用いた。
【0037】
保護基板30上には、封止膜41及び固定板42とからなるコンプライアンス基板40が接合されている。封止膜41は、剛性が低く可撓性を有する材料(例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)フィルム)からなり、この封止膜41によってマニホールド部31の一方面が封止されている。また、固定板42は、金属等の硬質の材料(例えば、ステンレス鋼(SUS)等)で形成される。この固定板42のマニホールド101に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部43となっているため、マニホールド101の一方面は可撓性を有する封止膜41のみで封止されている。
【0038】
このコンプライアンス基板40には、第1開口44及び第2開口45(図2参照)が設けられており、上述したように、第1開口44には下部供給路160(図2参照)が連通し、第2開口45には回収路140(図2参照)が連通している。
【0039】
このような本実施形態のヘッド本体100では、インクタンク5(図1参照)から循環流路8(供給枝管62)や流路部材170の下部供給路160等を介してマニホールド101にインクが供給され、インクはマニホールド101内を第1開口44から第2開口45側に向かい流通する。マニホールド101内のインクの一部は、個別流路である連通路15、インク供給路14、圧力発生室12に流入する。そして、図示しない駆動回路からの記録信号に従い、圧力発生室12に対応するそれぞれの第1電極60と第2電極80との間に電圧を印加し、弾性膜50、絶縁体膜55、第1電極60及び圧電体層70をたわみ変形させることにより、各圧力発生室12内の圧力が高まりノズル21からインク滴が吐出する。
【0040】
一方、圧力発生室12等の個別流路に流入しなかったインクは、第2開口45、流路部材170の回収路140、循環流路8(回収枝管72)を介してインクタンク5に回収される。このように共通流路を含む流路全体でインクが流通しているので、インクに含まれる顔料などの成分が沈降することが防止されている。
【0041】
また、ヘッド1のマニホールド101では、個別流路(圧力発生室12等)に流入しないインクは、第1開口44から第2開口45に向かう方向に沿って流れる。以下、マニホールド101においてインクの流れる方向を流通方向という。本実施形態では、流通方向は、第1方向と平行としてある。
【0042】
さらに、ヘッド本体100には、マニホールド101のインクの温度を調節する温度調節手段の一例であるヒーター22が設けられている。ヒーター22は、平板状に形成され、セラミックや電熱線などの発熱体である。また、ヒーター22は、リード線(図示せず)を介して上述した制御部4に接続されており、制御部4で設定された温度となるように所定の電流が流れるように構成されている。
【0043】
ノズルプレート20の流路形成基板10との接合面には、その表面から窪んだ凹部23が形成されており、この凹部23にヒーター22が収容されている。凹部23は、マニホールド101内に露出するようにノズルプレート20に設けられており、圧力発生室12の列設方向(第1方向)に沿って所定の間隔を空けて複数個設けられている。本実施形態では、一つの圧力発生室12に対して1つの凹部23が設けられている。
【0044】
このようにマニホールド101内に設けられたヒーター22は、制御部4からリード線(図示せず)を介して電流が流されることで発熱する。このようなヒーター22の発熱により、マニホールド101内に流れるインクが加熱される。なお、詳細は後述するが、各ヒーター22に流される電流値を適宜設定することで、マニホールド101内のインクに温度勾配を与えることができる。
【0045】
図5を用いて循環流路について詳細に説明する。図5のハッチは循環流路やヘッドのマニホールド101(共通流路)等に流通するインクを表し、矢印はインクの流れる方向(流通方向)を表している。
【0046】
本実施形態に係るインクジェット式記録装置Iは、上述したようにヘッド1が第1方向に4つ並設されている。
【0047】
循環流路8は、供給管6と回収管7とから構成されている。本実施形態では、4つのヘッド1に対して1つの循環流路8が設けられている。
【0048】
供給管6は、インクタンク5に接続された一本の供給幹管61と、供給幹管61とヘッド1のインク導入口110とを接続する供給枝管62とから構成されている。回収管7は、インクタンク5に接続された一本の回収幹管71と、回収幹管71とインク排出口150とを接続する回収枝管72とから構成されている。回収幹管71とインクタンク5との間にはポンプPが介設されており、このポンプPによる負圧により、各ヘッド1のインクがヘッド1から回収管7を経てインクタンク5へ回収され、インクがインクタンク5から供給管6を経てヘッド1に供給されることでインクが循環する構成となっている。
【0049】
次に、図6を用いて本実施形態に係る制御手段である制御部4について説明する。図6は、本実施形態に係る制御部を示すブロック図である。本実施形態に係る制御手段は、例えば、CPU(中央演算装置)とメモリを備えた汎用コンピューターをベースに実装された制御部4であり、記録シートSの位置、インクの吐出等を制御する機能や、ヒーター22の加熱を制御する機能など、インクジェット式記録装置Iの各機能を実現する回路やプログラムから構成されている。各機能は、当該機能を記述したプログラムをCPUに実行させることや、ハードウェア回路により実現される。
【0050】
制御部4は、印刷制御手段24、記録ヘッド駆動回路25、印刷位置制御手段26及びヒーター制御手段27を具備する。
【0051】
印刷制御手段24は、ヘッド1の印刷動作を制御する。例えば、印刷データの入力に伴って記録ヘッド駆動回路25を介して圧電素子300に駆動パルスを印加して、ヘッド1からインクを吐出させる。記録ヘッド駆動回路25は、印刷データに基づいて、ノズル21毎にインクの吐出回数、タイミングを決定して圧電素子300に駆動パルスを出力する回路である。
【0052】
印刷位置制御手段26は、ヘッド1の印刷時に、記録シートSとヘッド1(ヘッドユニットII)との位置決めを行う。詳しくは、印刷位置制御手段26は、給紙ローラー3を駆動して記録シートSを第2方向に移動させ、ヘッド1対する記録シートSの第2方向の位置決めを行っている。
【0053】
ヒーター制御手段27は、各ヘッド1のヒーター22の温度を所定温度に設定する。具体的には、各ヒーター22にリード線(図示せず)を介して、電流を流す。これによりヒーター22が発熱し、マニホールド101(図3、図4参照)内のインクが加熱される。詳細は後述するが、ヒーター制御手段27は、マニホールド101の出口側(第2開口45)に設けられたヒーター22に、入口側(第1開口44)に設けられたヒーター22よりも大きい電流を流すことが可能となっている。このようにマニホールド101の入口側と出口側とで異なる電流を流すことで、マニホールド101内のインクに温度勾配を持たせることができる。
【0054】
マニホールド101内のインクの温度勾配とは、マニホールド101の供給管6側(第1開口44)から、マニホールド101の回収管7側(第2開口45)までのインク温度の変化量である。
【0055】
また、印刷制御手段24には、温度センサー29が検出したマニホールド101に流入するインクの温度を読み取り可能となっている。
【0056】
さらに、制御部4は、不揮発メモリなどの記憶手段28を備えており、印刷制御手段24は、記憶手段28に情報を読み込み・書き込み可能になっている。記憶手段28には、マニホールド101に流入するインクの温度及びマニホールド101の圧力勾配と、当該温度及び当該圧力勾配に対応して設定される温度勾配との関係を表した情報である補正テーブルが記憶されている。
【0057】
ここで、マニホールド101のインクの圧力勾配について説明する。図7(a)は、マニホールドのインクの圧量勾配を説明する模式図であり、図7(b)、(c)はインク滴の模式図である。
【0058】
図7(a)に示すように、ヘッド1のマニホールド101には、連通路15等の個別流路(図3、図4参照)が第1方向に沿って複数設けられている。ここで、マニホールド101の第1開口44から、各個別流路の入口(連通路15)までの流路抵抗Riは、次のように定義される。
【0059】
【数1】

【0060】
ηはインクの粘度[Pa・S]、dは流路半径[m]、Lは流路長[m]、Uは流量[m/s]を示す。iは1からNまでの整数(Nは連通路15の数)である。流路抵抗Riは、マニホールド101の第1開口44から、第1開口44に近い順から数えてi番目の連通路15までの流路抵抗を表す。
【0061】
第1開口44から遠い個別流路ほど、流路長Lが長くなるので流路抵抗Riは高い。このため、マニホールド101の上流側(第1開口44側)ほどインクの圧力Piは高く、下流側(第2開口45側)ほどインクの圧力Piが低い。すなわち、上流側から下流側に向かい、インクの圧力が小さくなるように圧力勾配が生じている。なお、圧力Piは、マニホールド101の第1開口44から近い順から数えてi番目の連通路15でのインクの圧力を表す。
【0062】
仮に、マニホールド101内のインクの圧力勾配を補正しないまま、ヘッド1から記録シートSにインクを吐出したとすると、図7(b)のようにインク滴が吐出される。同図のインク滴Ai(iは、1〜Nまでの整数)は、ヘッド1の左から数えてi番目の連通路15に連通したノズル21(図3、4参照)から吐出されたインク滴を表している。すなわち、インク滴Aiは、マニホールド101の上流側(第1開口44側)に近い連通路15を介してノズル21から吐出されたものほど大きい。このようなインク滴Aiの大きさの差は、上流側ほどインクが濃く、下流側ほどインクが薄くなった濃度勾配として現れる。なお、同図では、インク滴の大きさの差を分かりやすくするために、敢えて差を顕著に表現してあり、実際には図中のインク滴ほど大きさに差はない。
【0063】
ここで、上述した流路抵抗Riにおいて、流路半径dと流量Uは略一定である。したがってインクの粘度ηを流路長Lに反比例して小さくすれば、各流路抵抗Riを、ほぼ一定の大きさにすることができる。
【0064】
つまり、マニホールド101の入口側から出口側に向けてインクの温度を上昇させるような温度勾配を付与すれば、マニホールド101の入口側から出口側に向けてインクの粘度が低下する。この結果、マニホールド101の入口側から出口側に向けて増大する流路長Lに伴い流路抵抗Riも増大するが、マニホールド101の入口側から出口側に向けてインク粘度が減少するので、流路抵抗Riの増大が抑制される。したがって、各流路抵抗Ri、各圧力Piはほぼ一定となり、図7(c)に示すように、各ノズル21から吐出されたインク滴の大きさや速度など吐出特性も均等化される。これにより、バラツキのないインク滴が吐出され、濃度ムラの無い印刷を行うことができる。
【0065】
ここで、図8及び図9を用いて、マニホールド101のインクの圧力勾配を補正する具体例を示す。図8は、インクの温度とインク重量との関係を表したグラフである。図9は、マニホールド101の圧力勾配及びインク温度と、これらに対応する温度勾配との関係を表した補正テーブルである。
【0066】
図8の横軸は、温度センサー29が検出したインクの温度、すなわち、マニホールド101に流入するインクの温度を表している。縦軸は、インクの温度において単位温度(ΔT1℃)変化したとき、ノズル21から吐出されたインク滴の重量(Iw)の変化率を表している。
【0067】
例えば、インクの温度が27℃のときは、ΔT1℃の温度変化により、インク滴重量が約3%変化することを表している。また、グラフは、27℃、35℃、40℃について、それぞれインクの粘度が15mPa・s、11mPa・s、8mPa・sであることを表している。
【0068】
全体的な傾向としては、インクの温度が高いほどインクの粘度が低下している。また、インク滴の重量(Iw)の変化率は、温度の上昇に対して直線的ではなく、緩やかに低下している。換言すれば、インクの温度が低いほど、少しの温度変化でインク滴の重量(Iw)を大きく変化させることができる。
【0069】
したがって、図7(a)に示したマニホールド101のインクに温度勾配を付与する際には、インクの温度に応じて温度勾配を設定することが望ましい。例えば、マニホールド101に流入するインクの温度が低ければ、僅かな温度勾配を設けるだけで、インク滴の重量に大きく変化させることができる。
【0070】
図9に、このようなインクの特性に鑑みて設定した補正テーブルを例示する。横軸は、マニホールド101の第1開口44から第2開口45までの圧力勾配を表し、縦軸は、温度勾配を表している。図示するように、補正テーブルは、インクの温度が27℃、インクの温度が35℃、インクの温度が40℃のときの圧力勾配と温度勾配との関係を表している。
【0071】
図8で説明したように、インクの温度が低いほど、インクの重量の変化率が大きいため、温度勾配を小さく(傾きを小さく)設定してある。例えば、マニホールド101の圧力勾配が100Paであれば、インクの温度が27℃、35℃、40℃のとき、温度勾配はそれぞれ約0.2℃、約0.3℃、約0.5℃である。
【0072】
このような補正テーブルは、マニホールド101の形状から予め圧力勾配を求め、当該圧力勾配に伴う流路抵抗Riの増大を抑制するような温度勾配を、インクの温度ごとに設定することにより作製する。
【0073】
このように作製した補正テーブルを用いた制御部4の制御のフローを説明する。図10は、制御部4による制御のフローを示す図である。
【0074】
まず、印刷制御手段24は、温度センサー29が検出したマニホールド101に流入するインクの温度を読み取る(ステップS1)。そして、この温度に対応する温度勾配を補正テーブルから読み取る(ステップS2)。すなわち、図9に示した補正テーブルから、マニホールドに流入するインクの温度と、予め求めておいたマニホールド101の圧力勾配とから温度勾配を読み取る。
【0075】
そして、印刷制御手段24は、マニホールド101のインクの温度が補正テーブルから読み取った温度勾配となるように、ヒーター制御手段27にヒーター22の発熱を制御させる(ステップS3)。具体的には、マニホールド101の第1開口44側に近いヒーター22ほど、流す電流値を低くする。
【0076】
このようにヒーター22を発熱させてマニホールド101のインクに温度勾配を付与することで、上述したように、各流路抵抗Riをほぼ一定とすることができる。
【0077】
以降、印刷データに基づいてインクをノズル21から吐出させて印刷する(ステップS4)。
【0078】
以上に説明したように、本実施形態に係るインクジェット式記録装置Iでは、マニホールド101の入口側から出口側に向けて、インクの温度が上昇するように温度勾配を付与し、インクの粘度を出口側に向けて低下させた。これにより、マニホールド101の入口側から出口側に向けて流路抵抗Riが増大するが、マニホールド101の入口側から出口側に向けてインク粘度が減少するので、流路抵抗Riの増大を抑制することができる。
【0079】
これにより、各流路抵抗Riはほぼ一定となり、各圧力Piもほぼ一定となるので、図7(c)に示したように、各ノズル21から吐出されたインク滴の大きさや速度など吐出特性も均等化される。この結果、バラツキのないインク滴が吐出され、濃度ムラの無い印刷を行うことができる。このようにして、本実施形態に係るインクジェット式記録装置Iでは、循環流路8により、インクを循環させるとともに、インクの濃度ムラを防止して高品質な印刷を行うことができる。
【0080】
また、インクの温度勾配の決定に際しては、マニホールド101に流入するインクの温度に対応した温度勾配を用いた。これにより、インクの温度によりインク滴の重量の変化率が異なるというインクの特性に適した温度勾配をインクに付与することができる。
【0081】
なお、本実施形態では、複数のヒーター22に電流値を適宜設定することで、マニホールド101に温度勾配をつける温度調節手段としたが、このような態様に限定されない。例えば、第1方向に延設された一つのヒーター22をノズルプレート20に設け、マニホールド101に現れる面積を調節することで、温度勾配を付けられるようにしてもよい。例えば、ヒーター22は、マニホールド101の第1開口44側では、比較的小さな面積とし、マニホールド101の第2開口45側では、比較的大きな面積とする。このような態様であっても、マニホールド101の第1開口44側から第2開口45側に向けて上昇するような温度勾配をインクに付与できる。
【0082】
また、ヒーター22は、マニホールド101内に露出している必要はない。例えば、ヒーター22は、ノズルプレート20の内部に埋設されていてもよい。また、ヒーター22は、ノズルプレート20に設けられている場合に限定されない。例えば、流路形成基板10に設けられていてもよい。いずれにせよ、マニホールド101内のインクに温度勾配を付与できるならば、ヒーター22が設けられる部位に限定はない。
【0083】
また、温度調節手段の一例として加熱手段であるヒーター22を採用したが、ヒーター22に限らず、他の加熱手段であってもよい。例えば、流路形成基板10やノズルプレート20の内部に流路を設け、当該流路に熱媒を流通させた構成を加熱手段としてもよい。このような流路を、マニホールド101の第1方向に沿って、流路形成基板10やノズルプレート20に設け、第2開口45側から第1開口44側に熱媒を流通させる。これにより、第2開口45側のインクの温度は、第1開口44側のインクの温度よりも高くなるため、上述したような温度勾配をインクに付与することができる。
【0084】
さらに、温度調節手段としては、ヒーター22に限定されず、例えばペルチェ素子などの冷却手段であってもよい。この場合、マニホールド101の第1開口44側のインクの温度が第2開口45側のインクの温度よりも低くなるように冷却手段を構成する。この場合でも、マニホールド101の第1開口44側から第2開口45側に向けて上昇するような温度勾配がインクに付与される。
【0085】
また、上述した例では、補正テーブルには、インクの温度ごとにインクの圧力勾配と温度勾配との関係が設定されているが、必ずしもインクの温度ごとに設定する必要はない。例えば、或る一つの温度におけるインクの圧力勾配と温度勾配とから補正テーブルを作製してもよい。
【0086】
〈他の実施形態〉
上述した実施形態では、第1方向にヘッド1が4つ並設されていたが、このような態様に限らない。ヘッド1の個数、配置に限定はない。
【0087】
また、インクタンク5に、貯留されているインクを加熱するための加熱手段を設けてもよい。インクを加熱することにより、インクの粘度が低下し、インクを良好に循環させることができる。
【0088】
さらに、圧力発生手段として、第1電極60、圧電材料からなる圧電体層70及び第2電極80を成膜及びリソグラフィー法によって形成した薄膜型の圧電素子300を用いたが、これに限定されない。
【0089】
例えば、圧電材料と電極形成材料とを交互に積層させて軸方向に伸縮させる縦振動型の圧電素子であってもよい。また、圧電材料と電極形成材料とを交互に積層させて積層方向の一端部を振動板に当接させる横振動型の圧電素子を用いるようにしてもよい。さらに、グリーンシートを貼付する等の方法により形成される厚膜型の圧電素子を使用することもできる。また、圧力発生手段として、圧力発生室内に発熱素子を配置して、発熱素子の発熱で発生するバブルによってノズル開口から液滴を吐出するものや、振動板と電極との間に静電気を発生させて、静電気力によって振動板を変形させてノズル開口から液滴を吐出させるものなども使用することができる。
【0090】
また、上述した実施形態では、各ヘッドが固定されたライン式のインクジェット式記録装置を示したが、いわゆるシリアル式のインクジェット式記録装置に用いることも可能である。なお、シリアル式のインクジェット式記録装置とは、液体噴射ヘッドを被記録媒体の搬送方向とは交差する方向に移動させながら印刷を行うものをいう。
【0091】
さらに、上述の実施形態では、インク滴を吐出するヘッド1を例示して本発明を説明したが、本発明は、広く液体噴射ヘッド全般を対象としたものである。液体噴射ヘッドとしては、例えば、プリンター等の画像記録装置に用いられる記録ヘッド、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、バイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッド等を挙げることができる。
【符号の説明】
【0092】
I インクジェット式記録装置(液体噴射装置)、 II ヘッドユニット、 1 ヘッド(液体噴射ヘッド)、 4 制御部、 5 インクタンク、 6 供給管、 7 回収管、 8 循環流路、 12 圧力発生室、 20 ノズルプレート、 21 ノズル、 21A ノズル列、 22 ヒーター、 29 温度センサー、 44 第1開口、 45 第2開口、 61 供給幹管、 62 供給枝管、 71 回収幹管、 72 回収枝管、 100 ヘッド本体、 101 マニホールド(共通流路)、 170 流路部材、 300 圧電素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するノズルが列設されたノズル列、該ノズルに連通する圧力発生室を有する個別流路、該個別流路に連通する共通流路、該圧力発生室に圧力変化を生じさせる圧力発生手段、及び前記共通流路の液体の温度を調節可能な温度調節手段を有する液体噴射ヘッドと、
前記共通流路に外部からの液体を供給する供給路及び前記共通流路から液体を外部に回収する回収路を含む循環流路と、
前記共通流路の液体に、前記共通流路の前記供給路側から前記回収路側に向かって上昇した温度勾配が付与されるように前記温度調節手段を設定する制御手段とを備える
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項2】
請求項1に記載する液体噴射装置において、
前記温度調節手段は、前記共通流路の前記供給路側の液体を冷却する冷却手段又は前記共通流路の前記回収路側の液体を加熱する加熱手段の少なくとも一方を含む
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載する液体噴射装置において、
前記共通流路に流入する液体の温度を検出する温度検出手段を備え、
前記制御手段は、前記温度検出手段により検出された液体の温度に基づいて、前記温度調節手段を設定する
ことを特徴とする液体噴射装置。
【請求項4】
請求項3に記載する液体噴射装置において、
前記共通流路に流入する液体の温度及び前記共通流路の前記供給路側から前記回収側に向かって減少する液体の圧力勾配と、当該温度及び当該圧力勾配に対応して設定される温度勾配との関係を表した情報である補正テーブルが記憶された記憶手段を備え、
前記制御手段は、前記温度検出手段により検出された液体の温度及び前記共通流路の圧力勾配に対応する温度勾配を前記補正テーブルから読み出し、当該温度勾配が前記共通流路の液体に付与されるように前記温度調節手段を設定する
ことを特徴とする液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−14058(P2013−14058A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148001(P2011−148001)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】