説明

液体噴霧器及び噴霧ヘッド

【課題】ミストの粒径を切り替えることが可能な噴霧ヘッド乃至噴霧器を提供する。
【解決手段】基盤12の後面外周部から噴霧器への装着筒18を後方突出するとともに、基盤の中央部の後側に液体を勢い良く送り出す第1噴流機構Jを、中央部の前側に第1の噴霧ノズルNをそれぞれ形成したヘッド本体10と、基盤12の前面外周部側に一側を枢着してヘッド本体10の前面を覆い、かつ第1の噴霧ノズルNとは粒径の異なるミストを噴霧可能な第2の噴霧ノズルNを付設した蓋体50と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体噴霧器及び噴霧ヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
トリガー式の液体噴出器の先端に付設した噴出ヘッドに、噴霧機能を付与したものが知られている(特許文献1)。またこうした噴出ヘッドの前端面の一側に、前端面を開閉する蓋(蓋体)を枢着することも行われている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−296807
【特許文献2】特開2001−347193
【特許文献3】特開平09−285746
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の噴霧器は、噴霧ノズルの形状と、噴霧ノズルの直前の流通路の狭隘部(噴流機構)から噴霧ノズルへ入るときの液体の突入速度とで決まるほぼ一定の粒径の霧しか噴出できない。液体の速度が大きいほど運動エネルギーが大きいために、液体は細かく分解され、きめの細かい霧となる。
【0005】
近年においては、例えば除菌・消臭用の薬液をカーテンなどの家具に対して噴霧するだけではなく、空中にして噴霧して、空気の除菌・消臭を行う場合がある。空気を対象とする場合には、空中でのミストの滞留時間を長くするためにミストの粒径を小さくすることが必要である。他方、家具に対して薬液を吹き付けるときには、ある程度の距離から目的面にミストが確実に到達するようにするため、ミストの粒径を大きくすることが必要である。引用文献1をこれの用途に使用する場合には、各用途毎に液体噴出器を製造しなければならない。
【0006】
噴霧器ではないが、噴出ヘッドの前端面を覆うように蓋体を枢着し、この蓋体に一つの発泡孔を穿設して、蓋体の回動により直射噴流と泡とを切り替えるように設けるもの(特許文献3)が知られている。しかしながらこの特許文献ではミストの径を切り替える機構に関しては言及していない。
【0007】
本発明の第1の目的は、ミストの粒径を切り替えることが可能な噴霧ヘッド乃至噴霧器を提供することである。
【0008】
本発明の第2の目的は、簡易な構成によりミストの粒径を切り替えることが可能な噴霧ヘッドを提案することである。
【0009】
本発明の第3の目的は、ミストの粒径を切り替えることができ、切り替えの前後のいずれでも霧の状態が良好な噴霧ヘッドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の手段は、噴霧ヘッドであり、
基盤12の後面外周部から噴霧器への装着筒18を後方突出するとともに、基盤の中央部の後側に液体を勢い良く送り出す第1噴流機構Jを、中央部の前側に第1の噴霧ノズルNをそれぞれ形成したヘッド本体10と、
基盤12の前面外周部側に一側を枢着してヘッド本体10の前面を覆い、かつ第1の噴霧ノズルNとは粒径の異なるミストを噴霧可能な第2の噴霧ノズルNを付設した蓋体50と、を具備する。
【0011】
本手段では、図1又は図8に矢示する如く蓋体を開閉することで、蓋体に付された第2の噴霧ノズルNからの噴霧態様と、噴霧ヘッド本体に設けた第1の噴霧ノズルNからの噴霧態様とを切替え可能とすることを提案する。第2の噴霧ノズルは、第1の噴霧ノズルと粒径の異なるミストを噴出する機能を有する。「粒径を異なるミスト」とは平均粒径の異なるミストという程度の意味である。ミストの平均粒径を大きくするためには、ノズル孔からの噴射速度を抑制する(特に孔径を大とする)とよい。「噴流機構」は、従来公知の如く噴霧ノズルに対して噴流を送り込む機構であり、噴流をスピン回転させることが好適である。
【0012】
第2の手段は、第1の手段を有し、かつ上記第2の噴霧ノズルNの大径ノズル孔Hと第1の噴霧ノズルNの小径ノズル孔Hとを中心軸Oに対して同心状に形成するとともに、
小径ノズル孔Hの前縁から、基盤12に垂直な向きに対して半径方向に所定の拡散角度θを成す方向に大径ノズル孔Hの孔縁面62が位置するように大径ノズル孔Hの孔径を設けている。
【0013】
本手段では、図2に示すように第1の噴霧ノズルNと第2の噴霧ノズルNとを連続させる構成を提案している。この構成では、蓋体で基盤を閉塞した状態では、図6(A)に実線(L)で示すように中心軸Oと平行な方向に対して一定の拡散角度θで小径の高速ミストMが噴出される。一般的に高速ミストは円錐形状の外周部分(LとLとの間の部分)の濃度が大きい。蓋体を基盤から解放すると、図6(B)に示す如く上記高速ミストMの外周部分が第2の噴霧ノズルNの孔縁面に衝突し、孔縁面に沿って流れた後に、比較的低速で大径のミストとして外部へ噴出する。孔縁面を流れる過程で複数の小径のミストが結合し、大径化するものと考えられる。
【0014】
第3の手段は、第1の手段又は第2の手段を有し、かつ大径ノズル孔Hの周りの蓋体部分の後面を、小径ノズル孔Hの周りの基盤部分へ液密に当接している。
【0015】
本手段では、図2に示すように大径ノズル孔の周りの蓋体部分を基盤(第1主板42)に当接させている。第1の噴霧ノズルから噴出される円錐形の流体(高速ミストM)のうち頂角付近の部分が第2の噴霧ノズルの大径ノズル孔に衝突するようにするためである。
【0016】
第4の手段は、第2の手段又は第3の手段を有し、かつ、上記第1の噴霧ノズルN及び第2の噴霧ノズルNを囲むように、上記基盤12前面及び蓋体50の後面の対応箇所に相互に液密に係合する環状シール条22、46を形成し、
環状シール条46内の蓋体部分後面から第2の噴霧ノズルNに至る流路に液体を勢い良く送り出す第2噴流機構Jを設けている。
【0017】
本手段では、図8及び図9に示す如く基盤に設けた噴霧のための仕組みと同等のものを、蓋体に設けることを提案している。第1の噴霧ノズルNから噴出された流体は第2噴流機構Jを介して圧縮され、第2の噴霧ノズルNから噴霧されるから、図2の構成に比べて良好なミストを噴霧することができる。
【0018】
第5の手段は、噴霧器であり、
第1の手段から第4の手段の何れかに記載した噴霧ヘッドBと、この噴霧ヘッドBを先端に装着した射出筒4を含む噴霧器本体Aとを具備している。
【0019】
本手段では、先の手段で述べた噴霧ヘッドを装着した噴霧器を提案している。
【発明の効果】
【0020】
第1の手段又は第5の手段に係る発明によれば、蓋体50の回転操作により小径ミストと大径ミストとを適宜選択して噴霧できる。
【0021】
第2の手段に係る発明によれば、第1の噴霧ノズルNから噴出する霧状流体を第2の噴霧ノズルNの大径ノズル孔Hの孔縁面62に衝突させ、ミストを大径化する構成であり、噴流機構は一つだけで足りるから構造を簡易とすることができる。
【0022】
第3の手段に係る発明によれば、大径ノズル孔Hの周りの蓋体部分の後面を、小径ノズル孔Hの周りの基盤部分(第1主板42)へ液密に当接したから、ミストを第1の噴霧ノズルNから第2の噴霧ノズルNへ効率的に導くことができる。
【0023】
第4の手段に係る発明によれば、第2の噴霧ノズルNに至る流路に液体を勢い良く送り出す第2噴流機構Jを設けたから、大径ミストを噴霧するときに霧の状態が良好となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る液体噴出器及び噴霧ヘッドの側面図である。
【図2】図1の噴霧ヘッドの断面側面図である。
【図3】図2の噴霧ヘッドの正面図である。
【図4】図2の噴霧ヘッドの小径ミスト噴霧状態での側面図である。
【図5】図2の噴霧ヘッドの大径ミスト噴霧状態での側面図である。
【図6】図2の噴霧ヘッドの発明の原理説明図である。
【図7】図2の噴霧ヘッドの変形例の要部拡大図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る液体噴出器及び噴霧ヘッドの側面図である。
【図9】図8の噴霧ヘッドの小径ミスト噴霧状態での側面図である。
【図10】図8の噴霧ヘッドの正面図である。
【図11】図8の噴霧ヘッドの大径ミスト噴霧状態での側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1から図7は、本発明の第1の実施形態に係る噴霧ヘッド付きの噴霧器を示している。
【0026】
噴霧器は、図1に示す如く噴霧器本体Aと、噴霧ヘッドBとで構成される。この噴霧器の各部材は特に断らない限り、合成樹脂で形成することができる。
【0027】
噴霧器本体Aは、従来公知の構成であり、装着筒1と、垂直管2と、ポンプ機構3と、射出筒4と、トリガー5と、カバー6とを具備する。
【0028】
上記装着筒1は、図示しない液体容器の口頸部へ装着することが可能に設ける。
【0029】
上記垂直管2は、装着筒1内から起立する管壁2aの上端に逆止弁Vを有し、かつ管壁下端から吸上げパイプを垂下している。
【0030】
上記ポンプ機構3は、垂直管2の中間部から前方突出するシリンダ筒とシリンダ筒内を前方付勢されたプランジャとで形成され、逆止弁Vの上流側から吸い込んだ液体を逆止弁Vの下流側へ圧送することができるように設ける。
【0031】
上記射出筒4は、垂直管2の上部から前方突出している。なお、図2に示すように射出筒4は、筒壁の先端を閉塞する前壁から内筒4a及び外筒4bを2重筒状に前方突出する。さらに内筒内側から同心状にコイル保持棒4cを前方突出し、コイル保持棒4cと内筒との間の前壁部分に連通孔4dを穿設している。
【0032】
上記トリガー5は、上記射出筒4の中間部から垂下するとともに、上記プランジャに連係させている。
【0033】
上記カバー6は、垂直管2及び射出筒4の外側を覆っている。
【0034】
噴霧ヘッドBは、ヘッド本体10と、弁部材36と、蓋体50とで形成する。
【0035】
上記ヘッド本体10は、図2に示す如く、垂直な基盤12の裏面から小径の弁座筒14、中径のシリンダ筒16、大径の装着筒18を3重筒状に後方突出している。そして弁座筒14と装着筒18との間に射出筒4の外筒4bを嵌挿している。弁座筒14の一部は切り欠いて弁孔15としている。
【0036】
上記基盤12の前面中央部からは、円形の第1流路筒Pと、この第1流路筒との間に僅かの隙間を存して配置する第1軸柱Cとを前方突出しており、かつその間隙と上記弁座筒14の内部とを連通する第1貫通孔20を、弁座筒内方の基盤部分に穿設している。
【0037】
上記基盤12の外周部からは、図3に示す囲成壁26を前方突出する。但し、上方側及び下方側にはそれぞれ第1切欠き部28、及び第2切欠き部30を有し、第1切欠き部28の左右両面からは、一対の枢着軸32を対向方向内側へ突出している。図示例の囲成壁26は略三角筒形であるが、その形状は適宜変更することができる。
【0038】
上記ヘッド部材10の基盤12は、噴霧筒Fを含む。この噴霧筒は、横向きの筒壁の前端面を第1主板42で閉塞し、その筒壁を、上記第1軸柱C外面との間に隙間を存して第1流路筒Pの内面に嵌合している。図示例の第1主板42は、浅く後方へ窪んでいる。
【0039】
上記噴霧筒Fの主板42の中心には、第1の噴霧ノズルNの小径ノズル孔Hを開口する。この小径ノズル孔Hは、空気を噴霧対象とする通常の微小噴霧ノズルのノズル孔とを同程度の孔径とするとよい。
【0040】
上記主板42の後面と上記第1軸柱Cの前面との間には、図3に点線で示す如く、周辺側から小径ノズル孔Hへ渦巻き状に延びる複数本のスピン流路44を形成してなる第1噴流機構Jを設ける。
【0041】
上記弁部材36は、従来公知の部材であり、図2に示す如く、筒壁後部で形成する小径筒状ピストンを上記内筒4a内面に、また筒壁前部で形成する大径筒状ピストンをシリンダ筒16内面にそれぞれ液密にかつ摺動自在に嵌合し、かつ上記筒壁の内側から円盤状の弁体38を延出し、この弁体38と前述の弁孔15とで蓄圧弁Vを形成している。この弁部材36は、前述のコイル保持棒4cに取り付けられたコイルスプリング40で前方付勢されている。
【0042】
上記蓋体50は、軸受け部52と蓋板56と摘み部64とで形成されている。
【0043】
上記軸受け部52は、蓋体50の上部に形成されており、上記第1切欠き部28内に嵌挿されている。軸受け部の左右両側部は、左右側方から見て、図2に点線で示すように断面C字形であり、各枢着軸32に回動自在に嵌着している。
【0044】
図示例では、上記軸受け部52の上部から係止片54を立設させている。この係止片54は、図5に示すように蓋体50を起立状態に反転させたときに、上記第1流路筒Pに係止して、蓋体の起立状態を維持するように設ける。
【0045】
上記蓋板56は、その上端で軸受け部52に連続し、かつ上記囲成壁26内に嵌挿されている。図示の蓋板56は、図3に示すように前方から見て囲成壁26の内周面に対応する形状を有しているが、必ずしもこのように構成する必要はない。
【0046】
上記蓋板56の外周部裏面からは、短い嵌合筒58を後方突出している。この嵌合筒58を上記第1流路筒Pの外面に液密嵌着することで蓋体50の閉状態を保持している。嵌合筒58の内面及び第1流路筒Pの外面は、相互に係合する第1、第2環状シール条22、46に形成している。
【0047】
上記嵌合筒58内側の蓋板分は、後方側へ浅皿状に窪み、その底板相当部分60を上記第1主板42の窪みに液密にフィットさせている。そして上記底板相当部分60の中央部には、上記小径ノズル孔Hに連通するように、第2の噴霧ノズルの大径ノズル孔Hを穿設している。
【0048】
本実施形態の第2の噴霧ノズルNは、それ自身では噴流機構を有していない。この第2の噴霧ノズルNの作用は、第1の噴霧ノズルNから拡散する高速の小径ミストを大径ノズル孔Hの孔縁面で受け、減速させて大径ミストに変えるという受動的な働きである。この作用を実現するために、本実施形態では第2の噴霧ノズルNのノズル孔は第1の噴霧ノズルNのノズル孔より大径でなければならない。
【0049】
上記作用より本実施形態では、蓋体の構造が簡単でよく、かつトリガーを引くときの抵抗が少ないという利点がある。
【0050】
第2の噴霧ノズルの大径ノズル孔Hは、第1の噴霧ノズルの小径ノズルHは中心軸Oに対して同心状に配置する。そして小径ノズルHの孔縁から一定の拡散角度θで噴出されたミストが噴流として大径ノズル孔Hの孔縁面に衝突するように設ける。この衝突により高速ミストMのミスト粒子同士が結合し、大径のミスト粒子となる(図6(B)参照)。
【0051】
第1の噴霧ノズルから離れた箇所に高速ミストを衝突させても、ミスト粒子相互がまばらになっているので、粒子同士が結合しにくい。従って本実施形態では、第1の噴霧ノズルの近傍(図示例では大径ミストの直径以内の範囲程度)で高速ミストが第2の噴霧ノズルの孔縁面62に衝突するようにしている。しかし、その構造は適宜変更することができる。
【0052】
上記摘み部64は、上記蓋板56の下端から垂下され、第2切欠き部30内に嵌挿されている。好適な図示例では、上記摘み部64は舌片状に形成され、かつ摘み易いように第2切欠き部30よりも下方へ延長している。もっとも必ずしもこうした構造とする必要はない。
【0053】
上記構成において、図1の状態からトリガー5を引くと、第1の噴霧ノズルNの小径ノズル孔Hから噴霧された霧が第2の噴霧ノズルNの大径ノズル孔Hに衝突し、霧の粒子が再結合して、大径ミストが外方へ噴霧される。次に図1の状態から蓋体50を上下反転位置へ回動し、トリガー5を引くと、第1の噴霧ノズルNの小径ノズル孔Hから小径ミストが直接外方へ噴霧される。蓋体を元の位置へ回転させると図1の状態に戻る。
【0054】
図7は、本実施形態の変形例である。図6(B)に示す構成との相違点は、大径ノズル孔Hの孔縁面62の前半部分に内リブ66を付設したものである。これにより孔縁面62に当たる高速ミストの範囲を広くすることができる。
【0055】
図7中のLは、内リブを付設していない図6(B)での構成において孔縁面62の前端と小径ノズルHとを結ぶ線であり、Lは内リブ66の前内縁と小径ノズルH1とを結ぶ線である。従って、上記内リブを付与することで、さらにLとLとの間のミストが大径ノズル孔Hと衝突することになる。
【0056】
以下、本発明の他の実施形態を説明する。これらの説明において第1実施形態と同じ構成については同一の符号を付することで解説を省略する。
【0057】
図8から図11は、本発明の第2の実施形態に係る噴霧ヘッド付きの噴霧器を示している。
【0058】
本実施形態では、基盤12が有する噴霧のための機構と対応する構造を、蓋体50にも設ける。すなわち、蓋体50の中央部から第2軸柱Cと第2流路筒Pとを相互に一定の間隔を存して前方へ突出し、第2流路筒Pの内面に第2噴霧筒Fの筒体部分を嵌合する。この第2噴霧筒Fの前面を閉じる第2主板66の中心部に第2の噴霧ノズルNの大径ノズル孔Hを開口し、かつ第2主板と第2軸柱との間には、第2噴流機構Jを形成する。
【0059】
第1流路筒、第1軸柱、第1の噴霧ノズル、及び第1噴流機構について記載したことは、特に断らない限り、第2流路筒、第2軸柱、第2の噴霧ノズル、及び第2噴流機構に援用する。大径ノズル孔Hは、家具などへの噴霧用の通常の大径ミストが噴霧可能な大きさに形成する。また蓋板56の後面と第2軸柱C及び第2流路筒Pの間を連通させる第2貫通孔70を、蓋板56に穿設する。
【0060】
上記嵌合筒58内側の蓋板分は、後方へ張り出す肉厚部に形成して、第1主板42前面及び流路筒前端面に当接(好ましくは密接)させることができるように設ける。そして図9のように基盤を蓋体で覆った状態で、第1の噴霧ノズルNから上記第2貫通孔70へ液体を導く連通溝72を蓋体50の後面又は第1主板42の前面のいずれか一方(図示例では前者)に設ける。
【0061】
図示例では、基盤側(上流側)に小径ノズル孔を、蓋体側(下流側)に大径ノズル孔を配置しているが、本実施形態では、基盤側に大径ノズル孔を、蓋体側に小径ノズル孔を配置しても構わない。
【0062】
上記構成によれば、図8の状態からトリガーを引くと、高圧液体が第1の噴霧ノズルNから上記連通溝72を経て第2噴流機構Jに入り、第2噴出ノズルNから大径ミストとして噴霧される。この過程において液体は第1の噴霧ノズルNを通過するときには霧化されない。蓋体50を図11に示す上下反転位置に回転させると、第1の噴霧ノズルNから小径ミストが噴霧される。
【符号の説明】
【0063】
A…噴霧器本体
1…装着筒 2…垂直管 2a…管壁 3…ポンプ機構
4…射出筒 4a…内筒 4b…外筒
4c…コイル保持棒 4d…連通孔 5…トリガー 6…カバー
B…噴霧ヘッド
10…ヘッド本体 12…基盤 14…弁座筒 15…弁孔 16…シリンダ筒
18…装着筒 20…第1貫通孔 P…第1流路筒 22…第1環状シール条
…第1軸柱 26…囲成壁
28…第1切欠き部 30…第2切欠き部 32…枢着軸
36…弁部材 38…弁体 40…スプリング
…第1噴霧筒 42…第1主板 44…スピン流路 46…第2環状シール条
…第1の噴霧ノズル H…小径ノズル孔 J…第1噴流機構
50…蓋体 52…軸受け部 54…係止片 56…蓋板 58…嵌合筒
60…底板相当部分 62…孔縁面 64…摘み部 66…内リブ
68…第2主板 70…第2貫通孔 72…連通溝
…第2の噴霧ノズル H…大径ノズル孔 J…第2噴流機構
…第2流路筒 C…第2軸柱 F…第2噴霧筒
…逆止弁 V…蓄圧弁 O…中心軸 M…大径ミスト M…小径ミスト



【特許請求の範囲】
【請求項1】
基盤(12)の後面外周部から噴霧器への装着筒(18)を後方突出するとともに、基盤の中央部の後側に液体を勢い良く送り出す第1噴流機構(J)を、中央部の前側に第1の噴霧ノズル(N)をそれぞれ形成したヘッド本体(10)と、
基盤(12)の前面外周部側に一側を枢着してヘッド本体(10)の前面を覆い、かつ第1の噴霧ノズル(N)とは粒径の異なるミストを噴霧可能な第2の噴霧ノズル(N)を付設した蓋体(50)と、を具備する噴霧ヘッド。
【請求項2】
上記第2の噴霧ノズル(N)の大径ノズル孔(H)と第1の噴霧ノズル(N)の小径ノズル孔(H)とを中心軸(O)に対して同心状に形成するとともに、
小径ノズル孔(H)の前縁から、基盤(12)に垂直な向きに対して半径方向に所定の拡散角度(θ)を成す方向に大径ノズル孔(H)の孔縁面(62)が位置するように大径ノズル孔(H)の孔径を設けたことを特徴とする、請求項1記載の噴霧ヘッド。
【請求項3】
大径ノズル孔(H)の周りの蓋体部分の後面を、小径ノズル孔(H)の周りの基盤部分へ液密に当接したことを特徴とする、請求項2記載の噴霧ヘッド。
【請求項4】
上記第1の噴霧ノズル(N)及び第2の噴霧ノズル(N)を囲むように、上記基盤(12)前面及び蓋体(50)の後面の対応箇所に相互に液密に係合する環状シール条(22、46)を形成し、
環状シール条(46)内の蓋体部分後面から第2の噴霧ノズル(N)に至る流路に液体を勢い良く送り出す第2噴流機構(J)を設けたことを特徴とする、請求項1記載の噴霧ヘッド。
【請求項5】
請求項1から請求項4の何れかに記載した噴霧ヘッド(B)と、この噴霧ヘッド(B)を先端に装着した射出筒(4)を含む噴霧器本体(A)とを具備する、噴霧器。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−177636(P2011−177636A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43582(P2010−43582)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】