説明

液体希釈装置

【課題】 希釈液の散布は、各種作業で行われるが、容易に液体に他の原液を希釈混合して噴出する事ができれば、使い勝手が良くなる。そこで、簡易かつ安価な装置で、散布ノズルから噴出する液体に他の原液を希釈混合して、噴出する装置を提供する。さらに、計量することなく、原液を自動的かつ連続的に所定濃度に希釈、散布するための装置を提供する。
【解決手段】 加圧されている液体(水)に、別の原液を混入させるには困難が伴う。給水栓から噴出している液体(水)は、静圧が大気圧になっているため大気圧程度の加圧がされている別の原液を混入させる事が可能である。噴出口近傍内側に原液の噴出口を接続する事で、原液の噴出口の周囲を液体が渦巻く状態になる。原液と液体は、合流後に配管の下降で混合するため、希釈混合して噴出する事が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被希釈液を所定の濃度に連続的に希釈する液体希釈装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
洗車若しくは園芸等の用途で給水ホースに接続され、原液を希釈混合して噴出する目的で使用される希釈混合散水装置および希釈混合散水ノズルは、目的を達成するために、給水ホースの内部をチョークさせ、負圧を作り、そこに混入する液体の配管を配置する発明がある。
【0003】
植物用液体肥料を自動的に所定の濃度に希釈して、散水と同時に、散布する事を可能とする散水装置および液体肥料散布装置は、植物の育成を促進する事を目的として、液体肥料を定期的に散布する。液体肥料は、その原液が市販されており、これらは500倍から2000倍に希釈して使用するように指示されている。従来は、原液を計量し、バケツ等の容器で予め水希釈した溶液を、ジョーロ等を利用して2〜6リットル毎に散布する必要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
加圧された状態において、給水ホースの内部に液体を混合する方法は、構造が非常に複雑になり、安価な装置で目的を達成する事は難しい。そこで、請求項1に記載した方法を用いる事で、安価な装置で希釈混合して噴出する事を可能にする。
【0005】
散布する液体肥料の濃度が高すぎると植物に悪影響を及ぼしたり、液体肥料の効果持続時間が短い等の理由から、植物の健全な育成にとっては、低濃度の液体肥料を頻繁に散布する方が効果的である。散水作業は、水道蛇口に連結した専用ホースを用いて頻繁に実施する事も可能である。しかし、液体肥料散布については、従来例のように操作が煩雑で長時間を要するため、頻繁に実施する事が困難でる。また、一般住居であっても、家庭菜園や芝生等、広範囲に散布する場合、上記従来例では、操作を繰り返す必要があるため、極めて不便である。さらに、上記従来例では、希釈溶液の最終的な目的量を正確に調合する事は困難であり、余剰溶液を調合して結果的に、液体肥料を無駄にする事もある。そこで、本発明は、上記従来例の問題点を解決すべく、計量する事なく、より簡便かつ自動的に、より大量の液体肥料、農薬等をより正確に水で希釈するとともに、散水と同時に散布する事を可能とした装置の提供をする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液体希釈装置は、上記課題を鑑みて、以下の構成を有している。
【0007】
給水栓(水道水、井戸水等)から散水ノズルの間の配管は、大気圧以上に加圧されているため、加圧部での原液の混入を実施する場合、構造が非常に複雑になる。そこで、給水栓の噴出口から噴出している水に、大気圧程度に加圧されている原液を混入させれば、構造を簡略化する事が可能となる。理由は、給水栓の噴出口以降では、水流の静圧が大気圧になるためである。噴出口以降の部分において、重力方向の上方にある容器から配管によって供給される原液には、大気圧より少し高い圧力が加わる。従って、原液の混入を実施する事は、容易となる。給水栓の噴出口以降の配管に、原液の導管を接続した場合、原液の噴出口の周囲を噴出した水が、連続的に取り巻く事になる。さらに、原液は配管内の水流に誘起され、噴出量は増加する。その後、原液と水は配管を下降するに従い、充分に混合される。よって、水に原液を希釈混合して、噴出するという目的を達する事が可能となる。
【0008】
水と原液の混合比を、調整する事が可能な構造の方が、さらに、利便性は向上する。水と原液の混合比を任意に変更するためには、給水栓から水流量を調節する装置と、容器から流出する原液の流量を調整する装置が必要である。
【0009】
給水栓と散水ノズル出水部の間の配管に、図1あるいは図2に示すような構造物を設置する。これによって、給水栓から供給される水量に応じて、所定量の原液を吸引し、水と混合する事によって、原液を希釈するとともに、散水ノズルから希釈溶液として、散布する事が可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の液体希釈装置は、非常に簡易な構造になるため、安価に製作する事ができる。そのため、家庭での洗車や園芸用として、あるいは、液体肥料や農薬の散布用等として、この装置を製造する場合も安価に提供する事ができる。
【0011】
原液の希釈混合比の調節を可能にする事で、さらに利便性の良好な液体希釈装置を提供する事ができる。
【0012】
本発明の液体希釈装置は、給水栓(水道水、井戸水等)の流水によって、自動的に所定量の原液を混合後、希釈してから散布する事を可能としたので、煩わしい計量および操作の繰返し等を省略し、正確な濃度の希釈液体を散布する事が可能となる。給水栓の水流の停止と同時に、原液の混合も停止するため、原液を無駄にする事もなくなる。一般住居であっても、広範囲に頻繁に希釈液体を散布する場合においては、特に効果的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
図1は本発明装置の実施例1の断面図であって、図2は実施例2の断面図である。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明の実施例1である。これは、給水栓からの配管、原液を収容する容器および導管等から構成されている。給水栓からの配管の側面には、小さな吸引孔が設けてあり、これに柔軟性のある導管が接続できるようになっている。原液を収容する容器には、空気孔が設けてあり、容器内の原液を吸引した際、容器内が負圧になる事を防ぐ事ができる。導管の他端は、容器の底面内部に接続する。この容器から原液が導管を通り、原液と水を混合させる配管の噴出口に到達する。この部位で、原液は水流によって誘起され、噴出し、配管の下流で、さらに混合される。
【0016】
容器内に原液を入れ、給水栓からの配管と結合し、配管の他端を散水ノズル等に接続する。給水栓(水道水、井戸水等)を開栓し、水圧を上げると、給水栓からの配管内に水流が発生し、容器内の原液は、導管を介して所定量が注入される。注入された原液は、給水栓からの配管内で水と混合される事によって希釈され、散水ノズルに供給される。
【0017】
本発明装置を、給水栓の蛇口近傍の外部に、直接設置する事によっても、液体希釈が可能である。注入混合装置は、配管部が水平であっても、垂直であっても、機能的に支障はない。
【0018】
本発明装置を、水道ホースリールの入口側のノズルに設置する事、本発明装置と水道用ホースリールと一体型とする事によっても、同様に液体希釈が可能である。
【0019】
本発明装置を、散水ノズル、止水弁、水量調整レバー等を具備したグリップタイプの散水装置と一体型とする事も可能である。この場合においても、同様に液体希釈が可能である。
【実施例2】
【0020】
図2は、容器からの原液の流量調整装置を具備した場合の実施例である。図に希釈される原液を収容する容器および導管を示す。原液の容器の導管には、原液の流量を調節する装置を備えている。これにより、容器からに導管に流入する原液の流量を調節する事が可能になる。また、給水栓の水量を変える事で、原液の混合比を変える事ができる。柔軟性のある導管には、内径を変化させるピンチコックを配置して、原液の流出する量を調節する事を可能にする。
【産業上の利用可能性】
【0021】
以上述べたように、本発明の液体希釈装置は、非常に簡易な構造になるため、安価に製作する事ができる。そのため、家庭での洗車や園芸用として、あるいは、液体肥料や農薬の散布用等として、安価で製造する事ができる。原液の希釈混合比の調節を可能にする事で、利便性の良好な液体希釈装置を提供する事ができる。さらに、給水栓の流水によって、所定量の原液を混合後、希釈してから散布する事を可能としたので、正確な濃度の希釈液体を散布する事が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明に係る液体希釈装置の実施例1の断面説明図である。
【図2】図2は、本発明に係る液体希釈装置の実施例2の断面説明図である。
【符号の説明】
【0023】
1 液体希釈装置
2 原液の容器
3 容器のキャップ
4 容器の空気孔
5 容器の吊り下げベルト
6 原液の導管
7 導管の流量調整弁
8 給水栓
9 接続部
10 水の配管
11 配管の水量調節弁
12 原液の導管が配管内側の噴出口近傍に接続され、原液と水を希釈混合させる部位
13 水道のホース
14 散水ノズル
A 水の流れ
B 原液の流れ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
大気圧以上に加圧されている液体の配管の噴出口内側に、大気圧程度に加圧されている原液の導管を接続し、前記液体と前記原液を希釈混合後に、噴出する事を特徴とする液体希釈装置。
【請求項2】
大気圧以上に加圧されている前記液体の流量を調節する装置、前記原液の容器から流出する前記原液の流量を調整する装置、のいずれか若しくは両方を具備する事により、前記液体と前記原液の混合比を変える事を特徴とする液体希釈装置。
【請求項3】
大気圧以上に加圧されている前記液体に、大気圧程度に加圧されている前記原液を希釈混合後に、噴出する目的で、前記液体の噴出口の近傍内側に、1箇所若しくは複数箇所の前記原液の前記導管を接続する事を特徴とする液体希釈装置。

【図1】
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【図2】
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