説明

液体循環による頭皮および頭髪のケア方法および用具

【課題】 近年、高濃度炭酸温水による頭皮および頭髪のケアが注目を浴びているが、高濃度炭酸温水を頭部にシャワーなどで掛けながらマッサージする方法が一般的であり、その効果を最大限に上げるためには、5分から10分間行うことが好ましい。しかしながら、それだけの時間行おうとすると、施術者への負担が大きいばかりか、お湯や炭酸ガスの消費量が増えて非経済的である。
【解決手段】シャンプーボウルなどに溜めた高濃度炭酸温水をポンプなどにより吸い上げて額近傍から頭頂部に向けて静かに流し、再びシャンプーボウルに戻すような循環を行うことにより、施術者への負担を減らすとともに、お湯や炭酸ガスの消費を抑えることができる。本発明においては、その方法と用具を具体的に提案している。これにより、施術者の負担とお湯や炭酸ガスの消費を軽減するだけではなく、頭皮や頭髪全体を長時間炭酸温水に漬けることができ大きな効果が期待できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度が35℃以上で炭酸ガスの含有濃度が500ppm以上の炭酸温水を頭皮および頭髪に長時間接触させることにより頭皮および頭髪をケアする技術に関するものである。
【0002】
また、本発明は、トリートメント剤を含有する液体を頭皮および頭髪に長時間接触させることにより頭髪をケアする技術に関するものである。
【0003】
さらに、本発明は炭酸温水やトリートメント剤を含有する液体を頭皮や頭髪に接触させる際、桶などに入れた炭酸温水や液体に頭を下にして浸けるのではなく、仰向けになった姿勢で楽に行うことができる頭皮および頭髪のケア技術に関するものである。
【背景技術】
【0004】
最近、理美容室やエステで高濃度炭酸温水で頭皮や頭髪のケアを行う施術が増えている。方法としては給湯器から供給されるお湯に炭酸ガスを溶かし、出来上がった炭酸温水をシャワーや専用のノズルで頭部にシャワーリングしながらマッサージなどを行う方法が一般的である。
【0005】
また、炭酸温水をシャンプーボウルなどに溜めて、そこに髪を漬けるとともにその炭酸温水を手や容器を使って定期的に額の上から頭部に掛けて頭皮や頭髪への炭酸温水の接触時間を増やす方法も行われている。
【0006】
炭酸温水による頭皮や頭髪のケアにおいては、短時間の接触では炭酸温水の効果が十分得られないため、炭酸温水を少なくとも5分以上、できれば10分程度、頭皮や頭髪に接触させておくことが望ましい。
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
炭酸温水をシャワーや専用ノズルで頭皮や頭髪に掛ける場合、少なくとも5分以上、好ましくは10分以上頭皮や頭髪に掛ける必要があるが、その間連続的に炭酸温水を生成してシャワーすることになり、お湯と炭酸ガスの消費量が多くなり非経済的であるとともに、施術者への負担が非常に大きくなる。
【0008】
また、炭酸温水をシャンプーボウルなどに溜めて、その炭酸温水を定期的に頭皮や頭部に手や容器を使って掛ける方法もあるが、これは、前記のシャワーする場合も同様で、その間施術者が拘束されてしまう。
【0009】
さらに、シャンプーボウルなどに溜めた高濃度炭酸温水を容器で額の上部から頭部に掛ける場合、掛けた炭酸温水がシャンプーボウル内に落ちる際に滝のように落ち込むため、炭酸温水に衝撃を与えてしまい、炭酸温水から炭酸ガスが大量に抜け出し、急激に含有炭酸ガス濃度が下がってしまい効果が期待できなくなるという問題がある。
【0010】
手で炭酸温水を頭皮や頭髪に掛ける場合も、手で炭酸温水をかき回すことになり、やはり炭酸ガスが急激に抜け出し、含有炭酸ガス濃度が下がってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明では、給湯器から供給される温水に炭酸ガスを高濃度に溶かした炭酸温水をシャワーヘッドなどから頭皮や頭髪にシャワーしながら頭皮のマッサージなどを行った後、シャワーヘッドから出る高濃度炭酸温水をシャンプーボウルなどに静かに溜め、その炭酸温水を後述の用具を用いて静かに頭皮や頭髪全体に流し再びシャンプーボウルに戻す方法と用具を提案している。
【0012】
本発明の提案する用具は、シャンプーボウルなどに溜めた高濃度炭酸温水を吸い上げるポンプを有し、そのポンプの出口に中空流路を接続し、その中空流路の側面には複数の穴があけてあり、ポンプにより送水された炭酸温水はその穴から排出される。
【0013】
前記の中空流路が半円状の形状を保つ弾性を持っているか、半円状の樹脂や金属で作られた弾性を有する補助板が結合されており、半円状の形状を維持するようになされている。これにより、額から両側のこめかみを通って耳の上部近傍に前記中空流路を固定することができる。
【0014】
前記中空流路自体が弾性を有するが、前記補助板が弾性を有し、軽く頭部を挟み込むようにして額から両側のこめかみを通って耳の上部近傍辺りまでのライン上に前記中空流路を容易に固定できるものである。
【0015】
また、前記中空流路の側面に設けられた複数の穴は、頭頂部の方向に配置されており、ポンプから送水された高濃度炭酸温水は頭皮や頭髪を伝って流れ落ち、再びシャンプーボウルに戻される。その際、中空流路から排出される高濃度炭酸温水の量を適度な量にすることにより、排出された炭酸温水は静かに頭皮や頭髪を伝ってシャンプーボウル内に戻され、炭酸ガスが抜け出す量を極力抑えている。
【0016】
さらに、シャンプーボウルに溜める液体は高濃度炭酸温水だけではなく、トリートメント剤を含有する液体であっても良いし、高濃度炭酸温水にトリートメント剤を混ぜたものであっても良く、その他の頭皮や頭髪ケアに役立つ薬剤であっても良い。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明における代表的な実施例を示す。シャンプーボウル1の排水管2を栓で塞ぎ高濃度炭酸温水4を溜め、頭髪をその高濃度炭酸温水に浸かるようにする。もちろん、髪が短い場合には浸かるようにする必要はない。次に、装着用具7を額から両耳の上部に渡って装着し、装着用具につながっているポンプ5を炭酸温水4に沈める。その際、装着用具7に設けられている吐水穴(図示せず)が頭頂部の方向になるように装着する。
【0018】
次に、ポンプ5のスイッチ(図示せず)を入れてポンプを作動させる。これにより炭酸温水4がポンプ5により中空流路6を通って装着用具7に送られ、装着用具7に設けられた吐水穴(図示せず)から出た炭酸温水8が頭皮および頭髪を伝って静かに流れ落ちてシャンプーポウル1に溜められている炭酸温水4に戻される。
【0019】
この循環を少なくとも5分間行うことにより、高濃度炭酸温水が常に頭皮と頭髪に接触し、高濃度炭酸温水の効果を十分に得ることができるだけではなく、施術者が付いている必要もない。
【0020】
また、ポンプから送られる炭酸温水の量を適用にする(ポンプの出口などの径を小さくする)ことにより、大量の炭酸温水が頭皮や頭髪を伝って滝のように流れ落ちるのではなく、少量の炭酸温水が静かに頭皮や頭髪を伝って流れ落ち、高濃度炭酸温水に衝撃を与えることが無く、含有している炭酸ガスが大量に抜け出すことを防ぐことができる。
【0021】
したがって、最初にシャンプーボウル1に溜める炭酸温水の含有炭酸ガス濃度を1200ppm以上の高濃度にしておくことにより、5分間前記の循環を行っても、ほぼ1000ppm程度の濃度に保っておくことができ、高濃度炭酸温水の効果を持続させることができる。
【0022】
次に、図2に本発明の装着用具7の詳細を示す。水中に沈められるポンプ11に柔軟性のある中空流路9が接続され多端は液蜜に閉じられている。ポンプ11には、電源プラグ13と途中にスイッチ12が接続されている。スイッチ12は必ずしも必要ないが、少なくとも感電防止の観点からトランスと整流器が設けられており、低電圧のDC電源がポンプに供給されるものであることが望ましい。
【0023】
そして、前記中空流路6の側面には複数の吐水穴14が設けられており、中空流路6の形状を保つために半円状の補助板10が中空流路6に結合されている。これにより、装着用具7を頭部に装着する際に補助板10の弾力により頭部を挟み込むように固定できる。補助板10の円弧の大きさや弾性は装着用具を頭部に装着した際に圧迫感を伴わない程度にすることが望ましい。
【0024】
また、中空流路6自体に補助板10と同様の形状および弾性を持たせることができる場合は、補助板10は無くても良いし、図3に示すように補助板15をもう一枚設けて中空流路6の外側に接合して中空流路6を挟み込むようなものであっても良い。
【0025】
上述の実施例では、中空流路6の一端は液蜜に閉じられているがポンプ11の出口から中空流路6の両端に炭酸温水を送り込むようになされていても良い。
また、補助板10は中空流路6の内側あるいは両側に配置されているが、中空流路6の外側だけに配置されていても良いし、中空流路6の内部に配置されていても良い。
【0026】
さらに、炭酸温水はシャンプーボウル1に溜めるようになされているが、液体を溜められる容器であれば特に限定はしない。
【0027】
そして、上述の実施例では、高濃度炭酸温水を例に挙げているが、低濃度の炭酸温水であっても良いし、トリートメント剤を含有する水や温水であっても良いし、頭皮や頭髪のケアになるその他の液体であっても良い。
【発明の効果】
【0028】
高濃度炭酸温水による頭皮および頭髪ケアは、高濃度炭酸温水を頭皮や頭髪に掛けながらマッサージを行うのが一般的であるが、その場合長時間行うことは施術者への負担が大きく、またお湯や炭酸ガスの消費が多くなり非経済的である。本発明の方法によれば、5分から10分放置しておくことができ、お湯や炭酸ガスを消費することも無く経済的で、なにより施術者が付き切りにならないので施術者の負担が軽減され、さらに他の人の施術を行うこともできる。
【0029】
また、従来の方法で髪を高濃度炭酸温水に漬けておく場合、頭部が浸かっていないため、その部分のケアができないことと、冷えて寒くなるため定期的に溜めてある炭酸温水を頭部に掛けることが多いが、その際、炭酸温水に衝撃が加わることになり、大量の炭酸ガスがお湯から抜け、炭酸濃度が急激に下がってしまい効果が期待できなくなる。
【0030】
しかし、本発明の方法によれば、静かに少量の炭酸温水を頭部に流すため、頭皮や頭髪全体が長時間高濃度炭酸温水に接触しており全体のケアができ、さらに、炭酸温水に衝撃を与えないため、炭酸ガスが抜けにくく、5分から10分行っても、炭酸ガス濃度を高濃度に保っておくことができ効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】:本発明の代表的な実施例を示す
【図2】:本発明の装着用具を示す
【図3】:本発明の別の装着用具を示す
【符号の説明】
【0032】
1 シャンプーボウル 、 2 配水管 、 3 栓
4 高濃度炭酸温水 、 5 ポンプ 、 6 中空流路
7 装着用具 8 炭酸温水 、
10 補助板 、 12 スイッチ
13 電源プラグ 、 14 吐水穴 、 15 補助板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
人の顔がほぼ上向きになるように仰向けになった状態で、液体を収容できる容器を頭部の下側に配置し、該容器に頭皮や頭髪ケアに有効な液体を満たし、額からこめかみを通って両側の耳の上部近傍まで達するほぼ半円上の中空流路を装着し、該流路に前記容器内の液体をポンプで送水し、前記流路の側面で、かつ、頭部上部方向に設けられた複数の穴から前記ポンプにより送水された液体を頭部上部に向かって排出することにより、ポンプにより送水された液体が頭部全体をほぼ均等に流れて前記容器に再び戻るようになされた、頭皮および頭髪のケア方法
【請求項2】
前記液体が、お湯に炭酸ガスが500ppm以上の濃度で溶けた炭酸含有温水であることを特徴とする請求項1に記載の頭皮および頭髪のケア方法
【請求項3】
前記液体がトリートメント剤を含有する液体であることを特徴とする請求項1に記載の頭皮および頭髪のケア方法
【請求項4】
液体を収容する容器が美容室等で使用しているシャンプーボウルであることを特徴とする請求項1に記載の頭皮および頭髪のケア方法
【請求項5】
人の顔がほぼ上向きになるように仰向けになった状態で、液体を収容できる容器を頭部の下側に有し、額からこめかみを通って少なくとも両側の耳の上部近傍まで達するほぼ半円状の形状を有するの中空流路を有し、該中空流路の一端が閉じていてもう一端がポンプに接続され、あるいは、前記流路の両端がポンプに接続され、前記中空流路が半円状の形状を保持する弾性を有し、さらに前記中空流路の側面に複数の穴を有することを特徴とする頭皮および頭髪のケア用具
【請求項6】
人の顔がほぼ上向きになるように仰向けになった状態で、液体を収容できる容器を頭部の下側に有し、額からこめかみを通って少なくとも両側の耳の上部近傍まで達するほぼ半円状の形状を有するの中空流路を有し、該中空流路の一端が閉じていてもう一端がポンプに接続され、あるいは、前記流路の両端がポンプに接続され、さらに前記中空流路の側面に複数の穴を有し、該中空流路にほぼ半円状の形状を有する樹脂または金属を両者が容易に離脱しないように装着または接着されていることを特徴とする頭皮および頭髪のケア用具
【請求項7】
液体を収容できる容器にヒーターなどの保温装置が設けられていることを特徴とする請求項5および6に記載の頭皮および頭髪のケア用具
【請求項8】
液体を収容できる容器が美容室等で使われているシャンプーボウルであることを特徴とする請求項5および6に記載の頭皮および頭髪のケア用具

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−87896(P2011−87896A)
【公開日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261336(P2009−261336)
【出願日】平成21年10月26日(2009.10.26)
【出願人】(500235386)ヴィータ株式会社 (29)
【Fターム(参考)】