説明

液体注出用容器

【課題】 容器内に収容された液体調味料を、簡単な操作で、且つ確実に、適宜の量を食材に注ぐことができる液体注出用容器を提供すること。
【解決手段】 容器本体に着脱自在に装着される蓋体に、摺動部(10)と、摺動部(10)を操作することにより、液体の注出量を調節する注出体(20)を備えたことを特徴とする。
また摺動部(10)は、蓋体(3)に固定されている筒状の保持部(11)と、保持部(11)内を摺動する内筒体(12)と、内筒体(12)の外周に設置されている外筒体(13)とからなり、注出体(20)は、蓋体に固定されている筒状の注出部(21)と、注出部(21)の内周に設置されている、開孔部(23)を具備した注出筒(22)とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内に収容された液体の注出量を容易に調節することができる液体注出用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、醤油やソース等の液体調味料は、蓋体を着脱自在に装着した容器内に収容されている。前記容器内の液体調味料は、蓋体に具備された注ぎ口から適宜の量を食材に注がれる。
【0003】
一般的に、醤油等の液体調味料には多くの塩分が含まれており、調味料をかけ過ぎた場合、塩分の摂取過多になり糖尿病等の成人病を発症させるという問題がある。そのため以前より、容器の傾斜具合を微妙に調節して調味料のかけ過ぎを防いでいた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
また、醤油等の液体調味料を収容する容器の従来技術として、複雑な機構を用いることなく、不注意で倒してもすぐに転がって注ぎ口及び吸気口が高い位置になる横臥姿勢で静止することで、貯蔵流体がほとんどこぼれない醤油注し等の流体容器がある(例えば特許文献1参照)。
上掲特許文献1の流体容器は、横臥して筒状の側壁を接地して転がる時、その横臥姿勢に応じて注ぎ口及び吸気口の最低高さが変化する流体容器に於いて、側壁の任意の側から横臥しても常に同じ側の側壁が底になる横臥姿勢で転がりを停止して静止するように側壁の一側に錘部を設けたことを特徴としている。
【特許文献1】特開平11−216056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、一般的な液体容器や上掲特許文献1の流体容器においては、収容された容器内の調味料の注出量を調整することができず、必要以上の調味料が食材に注がれてしまうという問題があった。また、容器の傾斜具合を調節して調味料のかけ過ぎを防ぐ方法においては、微妙な調節加減が難しく、食材に思い通りの量の液体調味料をかけることはできなかった。
【0006】
そこで本発明は上記の点に鑑み、容器内に収容された液体調味料を、簡単な操作で、且つ確実に、適宜の量を食材に注ぐことができる液体注出用容器を提供することにある。
【解決を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明の液体注出用容器は、醤油等の液体を容器内に収容し、収容した液体を外部に注出する液体注出用容器であって、該液体注出用容器は、液体を収容する容器本体と、容器本体に着脱自在に装着される蓋体とからなり、かかる蓋体に、摺動部と、摺動部を操作することにより、液体の注出量を調節する注出体を備えたことを特徴とする。
【0008】
また前記摺動部は、蓋体に固定されている筒状の保持部と、保持部内を摺動する内筒体と、内筒体の外周に設置されている外筒体とからなる。
【0009】
また前記注出体は、蓋体に固定されている筒状の注出部と、注出部の内周に設置されている、開孔部を具備した注出筒とからなる。
【0010】
また前記開孔部は、注出筒に少なくとも1箇所以上穿孔されている。
【0011】
また、前記摺動部と注出体との間にバネ部材を介在させた。
【0012】
さらに前記蓋体に、注出筒を蓋体に対して摺動自在に装着する第二注出部を設けるとともに、蓋体の上部に、前記第二注出部を摺動させる操作部を設置してもよい。
【発明の効果】
【0013】
蓋体に、摺動部と、摺動部を操作することにより液体の注出量を調節する注出体を備えたことにより、摺動部のワンタッチの操作で容易に、且つ確実に適宜量の液体調味料を食材に注ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の液体注出用容器の全体図である。
【図2】A−A線断面図における液体注出用容器の拡大断面図である。
【図3】図1における液体注出用容器の使用状態を示す。
【図4】他の好適例である液体注出用容器の全体図である。
【図5】B−B線断面図における液体注出用容器の拡大断面図である。
【図6】図4における液体注出用容器の使用状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の液体注出用容器における実施の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の液体注出用容器は、容器内に収容された液体調味料を、簡単な操作で、且つ確実に、適宜の量を食材に注ぐことができることを特徴とする。
【0016】
本発明の液体注出用容器は、醤油等の液体を容器内に収容し、収容した液体を外部に注出する液体注出用容器であって、 図1乃至図3に示す液体注出用容器1は、液体Aを収容する容器本体2と、容器本体2に着脱自在に装着される蓋体3とからなり、かかる蓋体3に、摺動部10と、摺動部10を操作することにより、液体Aの注出量を調節する注出体20を備えたことを特徴とする。
【0017】
摺動部10は、蓋体3に固定されている筒状の保持部11と、保持部11内を摺動する内筒体12と、内筒体12の外周に設置されている外筒体13とからなる。また前記内筒体12内には軸部14が具備されており、前記軸部14の先には係止板15が装着され、係止板15の先方にはスプリング等のバネ部材16が具備されている。
【0018】
注出体20は、蓋体3に具備された注出部21と、注出部21に設置された注出筒22とからなる。また注出筒22の外周には、前記外筒体13が摺動自在に配置されている。
【0019】
また、前記注出筒22には開孔部23が穿孔されている。開孔部23は前記注出筒22に少なくとも1箇所以上穿孔されている。また図示する開孔部23は、内側(摺動部10側)に大径の開孔部23aが、外側(注出部21側)に小径の開孔部23bが設けられている。なお、前記開孔部23は一つでも二つ以上でもよく、さらに、横に長い楕円形状であってもよい。
【0020】
前記開孔部23a,23bを設けることにより、図3の(a)に示すように、開孔部23a,23bが開孔されている状態では、容器2内の空気が多量に外部に排出され、それに伴い、容器2内の液体Aを多量の注出させることができる。また図3の(b)に示すように、摺動部10を押し込むことで、外筒13で開孔部23a,23bを遮蔽する。そのことにより、容器2内から排出される空気の量が制限され、容器2内から注出される液体Aの量も軽減される。
【0021】
また、前記摺動部10と注出体20との間にはバネ部材16が介在されている。バネ部材16は、注出筒22の基端部と内筒体12の係止板15との間に配置されており、内筒体12の先端の操作部17を押し込み、外筒体13にて注出筒22の開孔部23を遮蔽した後、操作部17の押し込みを解除することで、外筒体13はバネ部材16の付勢力により再び基の位置に戻り、開孔部23の遮蔽状態を解除させることができる。
【0022】
また他の好適例として、図4乃至図6に示すように、前記蓋体3に、注出筒32を蓋体2に対して摺動自在に装着する第二注出部30を設けるとともに、蓋体2の上部に、前記注出筒32を摺動させる操作部40を設置してもよい。
【0023】
第二注出部30は、蓋体3に固定されている筒状部31と、筒状部31内を摺動する注出筒32とで構成されている。注出筒32の先方には保持具33が具備されており、基端には開孔部34を有する蓋部材35が装着されている。また蓋部材35の近傍には開孔部36が穿孔されている。
【0024】
操作部40は、外筒体41と、外筒体41の内部に摺動自在に具備された内筒体42と、内筒体42の先方に収納されバネ部材43とからなる。また、内筒体42の内部には、先端が下方に屈曲されている軸部材44が具備されている。また前記軸部材44の先端は、前記注出筒32の保持具33に連結されている。なお操作部40は、連結部材45により前記筒状部31に一連に連結されている。
【0025】
前記内筒体42を押し込むことにより、図5の(a),(b)に示すように、軸部材44が先方に押し出され、それに伴い、注出筒32が先方に摺動される。そのことにより、開孔部36が筒状部31内に収容される。また内筒体42を押し込む力を解除することで、バネ部材43により元の位置に配置される。
【0026】
次に、本発明における液体注出用容器の使用例の詳細を図3の(a)(b)及び図6の(a)(b)に基づいて説明する。
【0027】
図3の(a)においては、摺動部10を操作せず、通常の状態で容器本体2内の液体Aを食材に注ぐ状態を示す。この際、注出筒22の開孔部23は開いた状態であるため、開孔部23から容器本体2内の多量の空気が排気され、それに伴い、多量の液体Aが注出部21より外部に注がれる。
【0028】
図3の(b)には、摺動部10の操作部17を先方に押し込んだ状態を示す。この際、外筒体13が開孔部23の一部もしくは殆どの部分を遮蔽するため、容器本体2内の空気の排気量が制限され、外部に注がれる液体Aの量も制限される。なお、操作部17の押し込む強さを調整することで、外部に注がれる液体Aの量も微調節することができる。
【0029】
図6の(a)においては、操作部40を操作せず、通常の状態で容器本体2内の液体Aを食材に注ぐ状態を示す。この際、第二注出部30の注出筒32の開孔部36は開いた状態であるため、開孔部36と開孔部34から容器本体2内の多量の空気が排気され、それに伴い、多量の液体Aが注出筒32の先方より外部に注がれる。
【0030】
図6の(b)には、操作部40の内筒体42を先方に押し込んだ状態を示す。この際、軸部材44により注出筒32が筒状部31内を摺動し、開孔部36の一部もしくは殆どの部分を遮蔽する。そのため、容器本体2内の空気は、蓋部材35の開孔部34のみから排気され、外部に注がれる液体Aの量も軽減される。なお、内筒体42の押し込む強さを調整することで、外部に注がれる液体Aの量も微調節することができる。
【0031】
上述の如く、蓋体3に、摺動部10または操作部40と、摺動部10または操作部40を操作する、液体Aの注出量を調節する注出体30または第二注出部30を備えたことにより、ワンタッチの操作で容易に、且つ確実に適宜量の液体調味料を食材に注ぐことができる。
【符号の説明】
【0032】
1 液体注出用容器
2 容器本体
3 蓋体
10 摺動部
11 保持部
12 内筒体
13 外筒体
14 軸部
15 係止板
16 バネ部材
17 操作部
20 注出体
21 注出部
22 注出筒
23 開孔部
30 第二注出部
31 筒状部
32 注出筒
33 保持具
34 開孔部
35 蓋部材
36 開孔部
40 操作部
41 外筒体
42 内筒体
43 バネ部材
44 軸部材
45 転結部
A 液体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
醤油等の液体を容器内に収容し、収容した液体を外部に注出する液体注出用容器であって、該液体注出用容器は、液体を収容する容器本体と、容器本体に着脱自在に装着される蓋体とからなり、かかる蓋体に、摺動部と、摺動部を操作することにより、液体の注出量を調節する注出体を備えたことを特徴とする液体注出用容器。
【請求項2】
前記摺動部は、蓋体に固定されている筒状の保持部と、保持部内を摺動する内筒体と、内筒体の外周に設置されている外筒体とからなる請求項1記載の液体注出用容器。
【請求項3】
前記注出体は、蓋体に固定されている筒状の注出部と、注出部の内周に設置されている、開孔部を具備した注出筒とからなる請求項1記載の液体注出用容器。
【請求項4】
前記開孔部は、注出筒に少なくとも1箇所以上穿孔されている請求項3記載の液体注出用容器。
【請求項5】
前記摺動部と注出体との間にバネ部材を介在させた請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の液体注出用容器。
【請求項6】
前記蓋体に、注出筒を蓋体に対して摺動自在に装着する第二注出部を設けるとともに、蓋体の上部に、前記第二注出部を摺動させる操作部を設置した請求項1記載の液体注出用容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2011−255956(P2011−255956A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−143130(P2010−143130)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(503059633)
【Fターム(参考)】