説明

液体現像剤、現像装置、及び画像形成装置

【課題】定着時に熱エネルギー等のエネルギーを消費することなく、着色粒子像を記録媒体へ充分に定着させることができる液体現像剤を提供することを目的とする。
【解決手段】電気絶縁性のキャリア液と、前記キャリア液中に分散された着色粒子とを有し、前記着色粒子が、樹脂と顔料と炭素数が3〜6のトリオール化合物とを含有することを特徴とする液体現像剤を用いる。その際、前記樹脂が、水溶性樹脂であることが好ましく、前記着色粒子の導電率が1×10−8〜1×10−1S/cmであることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体現像剤、前記液体現像剤を用いる現像装置、及び前記現像装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プリンタ、複写機、ファクシミリ装置、及びこれらの機能を併せ持つ複合機等の電子写真方式の画像形成装置としては、種々の現像方式の現像装置が備えられたものが挙げられる。具体的には、例えば、使用する現像剤の形態により、乾式現像方式と湿式現像方式とに大別される。そのうち、湿式現像方式の現像装置では、電気絶縁性のキャリア液中にトナー粒子等の着色粒子や分散安定剤等を分散させた液体現像剤が用いられる。そして、湿式現像方式の現像装置は、液体現像剤中で帯電した着色粒子が、電気泳動の原理により現像ローラ表面から感光体ドラム表面に移動し、そのことによって、感光体ドラムの表面に形成された静電潜像を着色粒子像として顕像化させるものである。
【0003】
また、電子写真方式を利用した画像形成装置では、粒子径の比較的小さな着色粒子を含む現像剤を用いると、高解像度で階調性に優れた高画質な画像を形成することが考えられるが、乾式現像剤では着色粒子が現像装置から大気中に飛散しやすくなる傾向があった。これに対して、液体現像剤は、着色粒子がキャリア液中に分散しているので、着色粒子の大気中への飛散が充分に抑制することができると考えられる。このことにより、乾式現像剤では、着色粒子の飛散が充分に抑制できないような平均粒子径の比較的小さな着色粒子、例えば、平均粒子径がサブミクロンサイズの微細な着色粒子であっても使用することができる。よって、湿式現像方式の現像装置を備える画像形成装置は、このような平均粒子径の比較的小さな着色粒子を含む液体現像剤を用いることができるので、高解像度で階調性に優れた高画質な画像を形成することが期待できる。
【0004】
このような液体現像剤としては、例えば、特許文献1〜3に記載のものが挙げられる。
【0005】
特許文献1には、絶縁性担体液(キャリア液)に着色剤と樹脂とを主成分とするトナーを分散してなる電子写真用液体現像剤において、前記樹脂が前記担体液に可溶性の樹脂と前記担体液に不溶性の樹脂粒子との組合せからなり、また、前記着色剤が前記担体液に不溶性の樹脂で被覆された顔料及び染料の1種以上からなり、かつ、電荷調整剤としてチタネートカップリング剤を含有する電子写真用液体現像剤が記載されている。
【0006】
特許文献1によれば、絶縁性担体液の存在下でも着色剤の電荷を極めて安定に保持させることができ、極めて良好な画像を得ることができることが開示されている。
【0007】
また、特許文献2には、感光体上に形成された静電荷像を現像するための液体現像剤であって、高絶縁性低誘電率キャリア液と、該キャリア液中に分散せしめられた、着色剤及び結着樹脂を主成分とするトナーとを含んでなり、その際、前記着色剤が、アルキルセルロース又はその誘導体及びロジン又はその誘導体からなる群から選ばれた少なくとも1種類の被覆材料が前記結着樹脂と共有的に結合している静電荷像現像用液体現像剤が記載されている。
【0008】
特許文献2によれば、画像濃度が高く、低カブリの、印刷特性に優れた印刷画像を永く形成し続けることが可能である液体現像剤を提供することができることが開示されている。
【0009】
また、特許文献3には、主として樹脂材料で構成されたトナー粒子と、絶縁性液体とを有し、前記絶縁性液体は、脂肪酸トリグリセリドと脂肪酸モノエステルとを含み、前記脂肪酸トリグリセリド及び前記脂肪酸モノエステルは、脂肪酸成分として、不飽和脂肪酸を含むものであり、前記脂肪酸モノエステルを構成するアルコール成分は、炭素数が1〜8のアルキル基を有するものである液体現像剤が記載されている。
【0010】
特許文献3によれば、トナー粒子の記録媒体への定着性を向上させることができることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平6−138712号公報
【特許文献2】特開平10−260558号公報
【特許文献3】特開2008−158484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
また、湿式現像方式の現像装置を備える画像形成装置において、着色粒子像を記録媒体に定着させる方式としては、例えば、熱定着方式及び光定着方式等が挙げられる。熱定着方式は、着色粒子が顔料と結着樹脂とを含有するトナー粒子である場合に、結着樹脂を熱で溶融させることによって、トナー粒子を記録媒体に定着させる方式である。また、光定着方式は、液体現像剤中に光硬化型樹脂と光重合開始剤とを配合しておき、記録媒体に着色粒子像を転写した後、光を照射することによって、光硬化型樹脂を光重合させ、形成された硬化被膜で着色粒子を記録媒体に定着させる方式である。
【0013】
従来の液体現像剤を用いた場合、一般的に、上記のような熱定着方式及び光定着方式による定着方式が採用されていた。具体的には、例えば、特許文献1〜3に記載の液体現像剤を用いた場合には、熱定着方式による定着、すなわち加熱定着によって、画像が記録媒体に定着されていた。
【0014】
このような場合、着色粒子を記録媒体に定着させるためには、熱エネルギーや光エネルギー等のエネルギーが必要であった。そして、省エネルギーの観点等から、前記エネルギーを用いずに定着できる液体現像剤の開発が望まれていた。
【0015】
本発明は、定着時に熱エネルギー等のエネルギーを消費することなく、着色粒子像を記録媒体へ充分に定着させることができる液体現像剤を提供することを目的とする。また、前記液体現像剤を用いる現像装置、及び前記現像装置を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者は、液体現像剤の成分、特に着色粒子の成分を検討することによって、液体現像剤中で着色粒子に含まれる樹脂が膨潤している場合に、その液体現像剤を用いると、熱エネルギー等のエネルギーを用いずに着色粒子像を記録媒体に定着させても、定着性が高くなる傾向があることを見出した。
【0017】
そして、本発明者の検討によれば、特許文献1〜3に記載の液体現像剤を用いた画像形成において、熱エネルギー等のエネルギーを用いずに着色粒子像を記録媒体に定着させようとした場合、定着性が不充分になる傾向があった。このことは、液体現像剤中で着色粒子に含まれる樹脂が充分に膨潤していないことによると考えた。
【0018】
そこで、本発明者は、着色粒子に含まれる樹脂の膨潤に着目することによって、熱エネルギー等のエネルギーを用いなくても、着色粒子像が記録媒体に充分に定着させることができる、以下のような本発明に係る液体現像剤に到った。
【0019】
本発明の一態様に係る液体現像剤は、電気絶縁性のキャリア液と、前記キャリア液中に分散された着色粒子とを有し、前記着色粒子が、樹脂と顔料と炭素数が3〜6のトリオール化合物とを含有することを特徴とする。
【0020】
このような構成によれば、熱エネルギー等のエネルギーを消費することなく、着色粒子を記録媒体へ充分に定着させることができる液体現像剤を提供することができる。
【0021】
このことは、以下のことによると考えられる。
【0022】
まず、着色粒子に樹脂とともに、前記トリオール化合物が含有されることによって、着色粒子に含まれる樹脂が、キャリア液によって膨潤されると考えられる。
【0023】
そして、像担持体上に形成される着色粒子像は、樹脂がキャリア液によって膨潤された着色粒子からなると考えられる。その着色粒子像が、記録媒体に転写されると、記録媒体にキャリア液が吸収されて、固化すると考えられる。その際、着色粒子同士が結合し、優れた定着性を示すと考えられる。
【0024】
よって、定着時に熱エネルギー等のエネルギーを消費することなく、着色粒子像の記録媒体への定着性が充分に高くなると考えられる。
【0025】
また、前記液体現像剤において、前記樹脂が、水溶性樹脂であることが好ましい。
【0026】
このような構成によれば、定着時に熱エネルギー等のエネルギーを消費することなく、着色粒子像の記録媒体への定着性をより高めることができる。
【0027】
また、前記液体現像剤において、前記着色粒子の導電率が1×10−8〜1×10−1S/cmであることが好ましい。
【0028】
このような構成によれば、定着時に熱エネルギー等のエネルギーを消費することなく、着色粒子像の記録媒体への定着性を高め、さらに、画像濃度の高い画像が得られる。
【0029】
このことは、以下のことによると考えられる。
【0030】
まず、前記着色粒子の導電率が、着色粒子の成分、特に前記トリオール化合物の含有量に大きく依存すると考えられる。すなわち、前記液体現像剤において、前記トリオール化合物の含有量が、前記着色粒子の導電率が1×10−8〜1×10−1S/cmとなるような含有量であることが好ましいと考えられる。
【0031】
このことから、前記着色粒子の導電率が上記範囲内であると、前記トリオール化合物の含有量が、前記トリオール化合物を含有させることによる、着色粒子に含まれる樹脂を膨潤させる効果を充分に発揮しつつ、前記トリオール化合物を含有させすぎることによる不具合の発生を抑制することができる含有量になると考えられる。具体的には、定着性を高めつつ、前記トリオール化合物を含有させすぎることによって、現像性が低下し、画像濃度が低下すること等を抑制することができると考えられる。
【0032】
よって、着色粒子像の記録媒体への定着性を高め、さらに、画像濃度の高い画像が得られると考えられる。
【0033】
また、前記液体現像剤において、前記キャリア液が、脂肪族炭化水素であることが好ましい。
【0034】
このような構成によれば、定着時に熱エネルギー等のエネルギーを消費することなく、着色粒子像の記録媒体への定着性をより高めることができる。
【0035】
また、本発明の他の一態様に係る現像装置は、像担持体の表面に形成された静電潜像を現像する現像装置であって、液体現像剤を表面上に担持しつつ、前記像担持体に前記液体現像剤を供給して、前記液体現像剤中の着色粒子により前記静電潜像を顕像化した着色粒子像を前記像担持体上に形成する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に前記液体現像剤を供給する現像剤供給部とを備え、前記液体現像剤として、前記液体現像剤を用いることを特徴とする。
【0036】
このような構成によれば、定着時に熱エネルギー等のエネルギーを消費することなく、記録媒体へ充分に定着される着色粒子像を像担持体上に形成することができる。よって、この現像装置によって、像担持体上に形成された着色粒子像を記録媒体に転写及び定着することによって、定着時に熱エネルギー等のエネルギーを消費することなく、定着性に優れた画像を形成することができる。
【0037】
また、本発明の他の一態様に係る画像形成装置は、表面に静電潜像が形成される像担持体と、前記静電潜像を現像する現像装置とを備え、前記現像装置が、前記現像装置であることを特徴とする。
【0038】
このような構成によれば、定着時に熱エネルギー等のエネルギーを消費することなく、定着性に優れた画像を形成することができる。このことから、画像形成装置全体のエネルギー消費量が少ないにもかかわらず、定着性に優れた画像を形成することができる画像形成装置を提供することができる。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、定着時に熱エネルギー等のエネルギーを消費することなく、着色粒子像を記録媒体へ充分に定着させることができる液体現像剤を提供することができる。また、前記液体現像剤を用いる現像装置、及び前記現像装置を備える画像形成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本実施形態に係る液体現像剤を適用する画像形成装置の全体構成を示す概略断面図である。
【図2】図1に示す画像形成装置に備えられる現像装置の周辺を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、本発明に係る実施形態について説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【0042】
[液体現像剤]
本実施形態に係る液体現像剤は、電気絶縁性のキャリア液と、前記キャリア液中に分散された着色粒子とを有し、前記着色粒子が、樹脂と顔料と炭素数が3〜6のトリオール化合物とを含有するものである。そうすることによって、熱エネルギー等のエネルギーを消費することなく、着色粒子を記録媒体へ充分に定着させることができる液体現像剤が得られる。
【0043】
このことは、以下のことによると考えられる。
【0044】
まず、着色粒子に樹脂とともに、前記トリオール化合物が含有されることによって、着色粒子に含まれる樹脂が、キャリア液によって膨潤されると考えられる。そして、像担持体上に形成される着色粒子像は、樹脂がキャリア液によって膨潤された着色粒子からなると考えられる。その着色粒子像が、記録媒体に転写されると、記録媒体にキャリア液が吸収されて、固化すると考えられる。その際、着色粒子同士が結合し、優れた定着性を示すと考えられる。よって、上記液体現像剤は、定着時に熱エネルギー等のエネルギーを消費しなくても、着色粒子像の記録媒体への定着性が充分に高くなると考えられる。
【0045】
(キャリア液)
前記キャリア液は、液体キャリアの役割を果たし、得られる液体現像剤の電気絶縁性を高めることを目的として用いられる。前記キャリア液としては、電気絶縁性を有するものであって、液体現像剤のキャリア液として用いられるものであれば、特に限定されない。具体的には、例えば、25℃における体積抵抗率が1010Ω・cm以上、すなわち電気伝導度が100pS/cm以下の有機溶媒等が挙げられる。前記キャリア液としては、特に限定されないが、例えば、流動パラフィン等の、常温で液体の脂肪族炭化水素が好ましく用いられる。脂肪族炭化水素としては、具体的には、例えば、n−パラフィン系炭化水素やiso−パラフィン系炭化水素等のパラフィン系炭化水素、及びハロゲン化脂肪族炭化水素等が挙げられる。パラフィン系炭化水素としては、具体的には、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、シクロヘキサン等が挙げられる。また、ハロゲン化脂肪族炭化水素としては、具体的には、例えば、パークロロエチレン、トリクロロエタン等が挙げられる。前記キャリア液としては、例示した各キャリア液を構成する有機溶媒を単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。前記キャリア液としては、上述したように、流動パラフィン等の、常温で液体の脂肪族炭化水素を含むものが好ましく、分岐鎖を有する脂肪族炭化水素を含むものがより好ましい。
【0046】
また、前記キャリア液としては、市販のものも用いることができる。具体的には、例えば、エクソンモービル社製のアイソパーG、アイソパーH、アイソパーK、アイソパーL、アイソパーM、アイソパーV、株式会社MORESCO製の流動パラフィン「モレスコホワイトP−40」、「モレスコホワイトP−70」、「モレスコホワイトP−200」、コスモ石油株式会社製の流動パラフィン「コスモホワイトP−60」、「コスモホワイトP−70」、「コスモホワイトP−120」等が挙げられる。
【0047】
[着色粒子]
前記着色粒子は、樹脂と顔料と炭素数が3〜6のトリオール化合物とを含有した粒子状のものであり、前記キャリア液に溶解されたり、前記キャリア液によって損傷を受けたりすることなく、前記キャリア液中に分散されるものあれば、特に限定されない。具体的には、例えば、前記トリオール化合物を含有する樹脂中に顔料が分散されたトナー粒子であってもよいし、前記トリオール化合物を含有する樹脂を粒子状の顔料に被覆した粒子であってもよい。
【0048】
また、前記着色粒子の導電率が1×10−8〜1×10−1S/cmであることが好ましい。そうすることによって、定着時に熱エネルギー等のエネルギーを消費することなく、着色粒子像の記録媒体への定着性を高め、さらに、画像濃度の高い画像が得られる。
【0049】
このことは、以下のことによると考えられる。
【0050】
まず、前記着色粒子の導電率が、着色粒子の成分、特に前記トリオール化合物の含有量に大きく依存すると考えられる。すなわち、前記液体現像剤において、前記トリオール化合物の含有量が、前記着色粒子の導電率が1×10−8〜1×10−1S/cmとなるような含有量であることが好ましいと考えられる。
【0051】
このことから、まず、前記着色粒子の導電率が低すぎる場合、前記トリオール化合物の含有量が少なすぎることになり、前記トリオール化合物を含有させることによる、着色粒子に含まれる樹脂を膨潤させる効果を充分に発揮できない可能性がある。また、前記着色粒子の導電率が高すぎる場合、前記トリオール化合物の含有量が多すぎることになり、前記トリオール化合物を含有させすぎることによる不具合、例えば、現像性が低下し、画像濃度が低下する等の不具合の発生を充分に抑制できない可能性がある。よって、前記着色粒子の導電率が上記範囲内であると、前記トリオール化合物の含有量が、前記トリオール化合物を含有させることによる、着色粒子に含まれる樹脂を膨潤させる効果を充分に発揮しつつ、前記トリオール化合物を含有させすぎることによる不具合の発生を抑制することができる含有量になると考えられる。具体的には、定着性を高めつつ、前記トリオール化合物を含有させすぎることによって、現像性が低下し、画像濃度が低下すること等を抑制することができると考えられる。これらのことから、着色粒子像の記録媒体への定着性を高め、さらに、画像濃度の高い画像が得られると考えられる。
【0052】
また、前記着色粒子の導電率は、上述したように、1×10−8〜1×10−1S/cmであることが好ましいが、さらに以下のような範囲であれば、より好ましい。具体的には、例えば、1×10−8〜1×10−2S/cmであることがより好ましく、1×10−6〜1×10−3S/cmであることがさらに好ましい。
【0053】
なお、ここでの導電率は、前記着色粒子の導電率であり、前記キャリア液の存在しない状態の、固体としての着色粒子の導電率である。また、着色粒子の導電率は、例えば、以下のような測定方法等によって測定することができる。
【0054】
まず、着色粒子を、錠剤成形器により、所定の大きさの、円板状等の成形体に成形する。得られた成形体を挟むように電極を貼り付け、LCRメータ等を用いて、電極間の導電率を測定する。その際、電極間の導電率の測定は、交流ブリッジ法を用いることができる。測定された導電率、電極面積、及び電極間距離によって、着色粒子の導電率を算出する。
【0055】
また、前記着色粒子の粒子径が、乾式現像剤に含有されるトナー粒子よりも小さくても、着色粒子の大気中への飛散を充分に抑制できる。また、前記着色粒子の粒子径が小さいほど、高解像度で階調性に優れた高画質な画像を形成できる傾向がある。よって、前記着色粒子の粒子径としては、具体的には、例えば、体積基準の中位径(D50)で、1μm以下であることが好ましく、0.1〜0.5μmであることがより好ましい。前記着色粒子が大きすぎると、形成される画像の解像度や階調性等の画質が低下する傾向があり、液体現像剤に用いる利点が損なわれる傾向がある。また、前記着色粒子は、小さいほど好ましいが、あまりにも小さい場合には、液体現像剤中で凝集しやすい傾向がある
なお、体積基準の中位径(D50)とは、粒度分布が求められている一群の粒子の全体積を100%として累積カーブを求めたときの累積カーブが50%となる点の粒子径をいう。そして、着色粒子の、体積基準の中位径(D50)は、一般的な粒度分布測定装置等を用いて測定することができる。前記粒度分布測定装置としては、例えば、レーザ回折式粒度分布測定装置等が挙げられる。
【0056】
(樹脂)
前記樹脂としては、特に制限なく用いることができ、例えば、従来からトナー粒子の結着樹脂として用いられるもの等を用いることができる。より具体的には、例えば、スチレン−アクリル系樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂等のポリスチレン系樹脂;アクリル系樹脂;ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂等のオレフィン系樹脂;塩化ビニル系樹脂;ポリエステル系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリウレタン系樹脂;ポリビニルアルコール系樹脂;ビニルエーテル系樹脂;N−ビニル系樹脂等の熱可塑性樹脂が挙げられる。また、前記樹脂としては、上記各樹脂を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0057】
前記樹脂としては、定着性の観点から、上記のような熱可塑性樹脂を用いることが好ましいが、熱可塑性樹脂のみである必要はなく、架橋剤や熱硬化性樹脂を熱可塑性樹脂に組み合わせて用いてもよい。このように結着樹脂内に一部架橋構造を導入することにより、定着性の低下を抑制しつつ、耐オフセット性を向上させることができる。
【0058】
前記熱硬化性樹脂としては、具体的には、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリアルキレンエーテル型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂等のエポキシ系樹脂、シアネート樹脂等のシアネート系樹脂等が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0059】
また、前記樹脂としては、水溶性樹脂であることが好ましく、好適な樹脂としては、具体的には、例えば、スチレン−アクリル系樹脂等が挙げられる。
【0060】
また、前記樹脂の、酸価、重量平均分子量、及び軟化点等は、樹脂の種類によって異なり、特に限定されない。具体的には、酸価が、50〜300mgKOH/gであることが好ましく、200以上であることがより好ましい。また、重量平均分子量が、5000〜20000であることが好ましく、10000以上であることがより好ましい。また、軟化点が、100〜200℃であることが好ましく、150℃以上がより好ましい。
【0061】
(顔料)
前記顔料としては、所望の色の画像を形成できるものであれば、特に限定されず、公知の有機顔料や無機顔料を用いることができる。具体的には、例えば、色に応じて、以下のような顔料が挙げられる。黒色顔料としては、例えば、アセチレンブラック、ランプブラック、アニリンブラック等のカーボンブラック等が挙げられる。黄色顔料としては、例えば、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルスイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー180等が挙げられる。橙色顔料としては、例えば、赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGK等が挙げられる。赤色顔料として、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウオッチングレッドカルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド238等が挙げられる。紫色顔料としては、例えば、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等が挙げられる。青色顔料(シアン顔料)としては、例えば、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBC、C.I.ピグメントブルー15:3(銅フタロシアニンブルー顔料)等が挙げられる。緑色顔料としては、例えば、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファナルイエローグリーンG等が挙げられる。白色顔料としては、例えば、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等が挙げられる。
【0062】
前記顔料の含有量としては、顔料の種類によっても異なり、好適な画像濃度を達成することができれば、特に限定されない。具体的には、例えば、樹脂100質量部に対して、20〜180質量部であることが好ましく、80〜120質量部であることがより好ましい。
【0063】
(炭素数が3〜6のトリオール化合物)
前記トリオール化合物としては、炭素数が3〜6のトリオール化合物であれば、特に限定されない。具体的には、例えば、炭素数が3〜6の炭素鎖と3つの水酸基とを分子内に有する化合物であり、より具体的には、例えば、グリセリン等のプロパントリオール、1,2,4−ブタントリオール等のブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール等のペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール等のヘキサントリオール等が挙げられる。この中でも、グリセリン、1,2,4−ブタントリオール及び1,2,6−ヘキサントリオールが好ましい。
【0064】
前記トリオール化合物の含有量としては、上述したように、得られた着色粒子の導電率が1×10−8〜1×10−1S/cmとなるような含有量であることが好ましい。前記トリオール化合物の含有量は、樹脂、顔料やトリオール化合物等の種類や組成等によって異なるが、具体的には、例えば、樹脂100質量部に対して、50〜200質量部であることが好ましく、70〜150質量部であることがより好ましい。
【0065】
(着色粒子の添加剤)
前記着色粒子は、前記樹脂と前記顔料と前記トリオール化合物とを含有していればよいが、本発明の目的を阻害しない範囲で、これら以外の成分を添加してもよい。
【0066】
(着色粒子の製造方法)
前記着色粒子の製造方法としては、前記樹脂と前記顔料と前記トリオール化合物とを含有した粒子状のものを製造できれば、特に限定されない。具体的には、例えば、以下のようにして製造することができる。
【0067】
まず、前記樹脂、前記顔料、及び前記トリオール化合物等の着色粒子を構成する各成分を混合する。その際、水等の溶媒とともに混合することが好ましい。前記混合機としては、公知のものを使用でき、例えば、ヘンシェルミキサ、スーパーミキサ、メカノミル等のヘンシェルタイプの混合装置、オングミル、ハイブリダイゼーションシステム、コスモシステム等が挙げられる。
【0068】
次に、得られた混合物を混練機等で混練する。そうすることによって、着色粒子が得られる。前記混練機としては、公知のものを使用でき、例えば、メディア型分散機等の湿式分散機、2軸押出機等の押出機、三本ロールミル、ラボブラストミル等が挙げられる。また、水等の溶媒とともに混合する場合は、メディア型分散機等の湿式分散機が好ましく用いられる。その際、使用するメディアとしては、特に限定されないが、具体的には、例えば、粒子径が0.2〜1mmのジルコニアビーズ等が挙げられる。なお、水等の溶媒とともに混合し、混練する場合は、混練した後に得られた混練物である分散液は、減圧することによって、溶媒を除去する必要がある。そうすることによって、着色粒子が得られる。
【0069】
また、前記湿式分散機としては、市販のものを用いることができる。具体的には、例えば、浅田鉄工株式会社製のグレンミル、日本コークス工業株式会社製のMSCミル、株式会社シンマルエンタープライゼス製のダイノミル等が挙げられる。
【0070】
上記混練条件としては、実際に得られる着色粒子の粒子径は、組成等に影響されて異なるが、最終的に得られる着色粒子の粒子径が、体積基準の中位径(D50)で、
1μm以下となるような条件であることが好ましく、0.1〜0.5μmとなる条件であることがより好ましい。より具体的には、最終的に得られる着色粒子の粒子径が、体積基準の中位径(D50)で0.2μm程度となる条件等が挙げられる。
【0071】
また、得られた着色粒子を、必要に応じて、粉砕及び分級してもよい。前記粉砕機としては、公知のものを使用でき、例えば、超音速ジェット気流を利用して粉砕するジェット式粉砕機(ジェットミル)等の気流式粉砕機、ターボミル等の機械式粉砕機や衝撃式粉砕機等が挙げられる。また、前記分級機としては、公知のものを使用でき、例えば、エルボージェット分級機等の旋回式風力分級機(ロータリー式風力分級機)等の風力分級機や遠心力分級機等が挙げられる。
【0072】
[液体現像剤の添加剤]
前記液体現像剤としては、前記キャリア液と、前記キャリア液中に分散された前記着色粒子とを含有していればよいが、本発明の目的を阻害しない範囲で、これら以外の成分を添加してもよい。このような液体現像剤に添加する添加剤としては、例えば、分散安定剤等が挙げられる。前記液体現像剤に分散安定剤を含有させることによって、前記着色粒子の分散性が良好となり、前記着色粒子が凝集しにくくなる。
【0073】
前記分散安定剤としては、液体現像剤の分散安定剤として用いられるものであれば、特に限定されず、市販のものを用いることができる。具体的には、例えば、ビックケミー社製のBYK−116、ルーブリゾール社製のソルスパース9000、11200、13940、16000、17000、18000、ISP社製のAntaron(登録商標)V−216、V−220等が挙げられる。
【0074】
[液体現像剤の製造方法]
前記液体現像剤の製造方法としては、前記キャリア液と、前記キャリア液中に分散された前記着色粒子とを含有する液体現像剤を製造できれば、特に限定されない。具体的には、例えば、前記キャリア液、前記着色粒子、及び必要に応じて、前記分散安定剤等の添加剤を、分散機等を用いて混合させることによって、前記液体現像剤を製造することができる。
【0075】
また、前記分散機としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、着色粒子の製造する際にも用いる湿式分散機と同様のもの、ボールミルやサンドグラインダー等が挙げられる。より具体的には、例えば、浅田鉄工株式会社製のグレンミル、日本コークス工業株式会社製のMSCミル、株式会社シンマルエンタープライゼス製のダイノミル等が挙げられる。
【0076】
また、前記分散機による混合時間としては、前記着色粒子が前記キャリア液中に充分に分散されれば、特に限定されないが、具体的には、例えば、数時間から10数時間程度であることが好ましい。
【0077】
また、前記キャリア液と前記着色粒子との配合割合は、前記キャリア液や前記着色粒子の組成等によっても異なるが、具体的には、例えば、前記キャリア液の配合量が、前記着色粒子100質量部に対して、80〜1000質量部であることが好ましく、200〜400質量部であることがより好ましい。また、前記分散安定剤を含有させる場合、前記分散安定剤の配合量が、前記着色粒子100質量部に対して、0.01〜90質量部であることが好ましく、1〜40質量部であることがより好ましい。
【0078】
本実施形態に係る液体現像剤は、例えば、後述の現像装置及び画像形成装置で使用することができる。そうすることによって、定着時に熱エネルギー等のエネルギーを消費することなく、定着性に優れた画像を形成することができる。
【0079】
[現像装置・画像形成装置]
前記液体現像剤を用いる現像装置及び画像形成装置としては、電子写真方式であって、現像剤として液体現像剤を用いることができる現像装置及び画像形成装置であれば、特に限定されない。すなわち、いわゆる液体現像装置及び湿式画像形成装置であれば、特に限定されない。
【0080】
本実施形態に係る液体現像剤を用いる現像装置としては、具体的には、像担持体の表面に形成された静電潜像を現像する現像装置であって、液体現像剤を表面上に担持しつつ、前記像担持体に前記液体現像剤を供給して、前記液体現像剤中の着色粒子により前記静電潜像を顕像化した着色粒子像を前記像担持体上に形成する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に前記液体現像剤を供給する現像剤供給部とを備え、前記液体現像剤として、前記液体現像剤を用いるもの等が挙げられる。
【0081】
また、本実施形態に係る液体現像剤を用いる画像形成装置としては、表面に静電潜像が形成される像担持体と、前記静電潜像を現像する現像装置とを備え、前記現像装置が、前記現像装置であるもの等が挙げられる。
【0082】
そして、前記液体現像剤は、定着時に熱エネルギー等のエネルギーを消費することなく、定着性に優れた画像を形成することができるものであるので、前記液体現像剤を用いる現像装置及び画像形成装置としては、加熱定着等を行う定着装置(定着部)を備えないものであってもよく、省エネルギーの観点からも、定着装置を備えないものが好ましい。
【0083】
また、後述するような、複数色の液体現像剤を用いるタンデム方式のカラー画像形成装置が好ましい。具体的には、例えば、後述するような、複数色の液体現像剤を用いるタンデム方式のカラー画像形成装置が挙げられる。ここでは、タンデム方式のカラー画像形成装置について説明する。
【0084】
以下、図面を参照して、本実施形態に係る現像装置(液体現像装置)及び画像形成装置(湿式画像形成装置)について説明する。なお、以下の説明で用いられる「上」、「下」、「左」、「右」等の方向を表す用語は、単に説明の明瞭化を目的とするものであり、何ら本発明を限定するものではない。また、以下の説明で用いられる「シート」との用語は、例えば、コピー用紙、トレーシングペーパ、厚紙、OHPシート、画像を形成することが可能なその他の記録媒体を意味する。
【0085】
図1は、本実施形態に係る液体現像剤を適用する画像形成装置の全体構成を示す概略断面図であり、図2は、図1に示す画像形成装置に備えられる現像装置及びその周辺を示す概略断面図である。なお、本実施形態に係る湿式画像形成装置は、カラープリンタであるが、例えば、モノクロプリンタ、複写機、ファクシミリ装置、これらの機能を併せ持つ複合機等、シート、すなわち記録媒体上に画像を形成することができるその他のあらゆる湿式画像形成装置であってもよい。
【0086】
図1に示されるように、本実施形態に係る湿式画像形成装置1Aは、画像形成のための様々なユニットや部品を収納している。湿式画像形成装置1Aは、図1に示された部分の下部に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の各色用の液体現像剤循環装置をさらに収納しているが、ここではその図示を省略している。
【0087】
湿式画像形成装置1Aは、画像データに基づいて着色粒子像を形成するタンデム式の画像形成部2と、シートを収容するシート収容部3と、画像形成部2で形成された着色粒子像をシート上に転写する二次転写部4と、着色粒子像が転写されたシートを機外に排出する排出部6と、シート収容部3から排出部6までシートを搬送するシート搬送部7とを備えている。
【0088】
一般に、湿式画像形成装置は、通常は、二次転写部4と排出部6との間に、転写された着色粒子像をシートに定着させるための定着部5、具体的には、例えば、シートを挟んで対向配置された加熱ローラ51及び加圧ローラ52を備える定着部5等が配置される。しかし、本実施形態に係る湿式画像形成装置1Aでは、そのような定着部5がなく、代わりに、単なるシート搬送用のローラ8,8が備えられているだけである。つまり、本実施形態に係る湿式画像形成装置1Aでは、定着部5を必要とすることなく、シートに転写された着色粒子像をシートに定着させることができる。すなわち、本実施形態においては、従来から用いられてきた熱や光のエネルギーを用いた定着部5を削減することができ、湿式画像形成装置1Aの簡素化やコストダウンを行うことができる。
【0089】
画像形成部2は、中間転写ベルト21と、中間転写ベルト21のクリーニング部22と、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の各色にそれぞれ対応した画像形成ユニットFY、FM、FC、FBとを備える。
【0090】
中間転写ベルト21は、導電性を有する、幅広の、無端状のベルト部材であり、図1において時計回りに循環駆動される。中間転写ベルト21の循環駆動において外側を向く面を「表面」と記し、内側を向く面を「裏面」と記す。
【0091】
画像形成ユニットFY、FM、FC、FBは、中間転写ベルト21の下側走行面に沿って並べて配置されている。なお、画像形成ユニットFY、FM、FC、FBの配置の順番は図示された限りではないが、図1に示された配置は、各色の混色による完成画像への影響を少なくする観点から好ましい配置の1つである。
【0092】
画像形成ユニットFY、FM、FC、FBは、像担持体である感光体ドラム10と、帯電装置11と、LED露光装置12と、液体現像装置14と、一次転写ローラ20と、クリーニング装置26と、除電装置13と、キャリア液除去ローラ30とを備える。なお、画像形成ユニットのうち、最も二次転写部4に近接して位置するブラックの画像形成ユニットFBには、キャリア液除去ローラ30が設けられていないが、その他の構成は同じである。
【0093】
感光体ドラム10は、円柱状であり、その表面(周面)には帯電(本実施形態ではプラス極性に帯電)された着色粒子像を担持可能な像担持体である。図示される感光体ドラム10は、反時計回りに回転可能である。
【0094】
帯電装置11は、感光体ドラム10の表面を一様に帯電させる。
【0095】
LED露光装置12は、LEDを光源として有し、外部の機器から入力された画像データに基づいて、一様に帯電された感光体ドラム10の表面に光を照射する。これにより、感光体ドラム10の表面に、画像データに基づいた静電潜像を形成する。
【0096】
液体現像装置14は、電気絶縁性のキャリア液とキャリア液中に分散された着色粒子とを有する液体現像剤を、感光体ドラム10の表面に形成された静電潜像に対向するように保持する。これにより、静電潜像に着色粒子を付着させ、静電潜像を着色粒子像として現像する。
【0097】
図2に示されるように、液体現像装置14は、現像容器140、現像ローラ141、供給ローラ(アニロックスローラ)142、支持ローラ143、供給ローラブレード144、現像クリーニングブレード145、現像剤回収装置146及び現像ローラ帯電装置147を含む。
【0098】
現像容器140は、その内部に、液体現像剤が供給され、液体現像剤を貯留する。液体現像剤は、着色粒子とキャリア液との濃度調整が予め行われた後、供給ノズル278から現像容器140の内部へ供給される。その場合、液体現像剤は、供給ローラ142と支持ローラ143とのニップ部へ向けて供給され、余剰分は支持ローラ143の下方へ落下し、現像容器140の底部に貯留される。貯留された液体現像剤は、パイプ82を通して回収された後、再生・再利用される。
【0099】
支持ローラ143は現像容器140の略中央に配置され、供給ローラ142に下方から当接されてニップ部を形成する。供給ローラ142は、支持ローラ143の直上ではなく、供給ノズル278から離れる方向にずれて配置される。供給ローラ142の周面には液体現像剤を保持するための溝が設けられる。図中に点線矢印で示すように、支持ローラ143は反時計方向に、供給ローラ142は時計方向に回転する。
【0100】
供給ノズル278から供給される液体現像剤は、供給ローラ142と支持ローラ143とのニップ部の支持ローラ143の回転方向上流側で一時的に滞留され、両ローラ142,143の回転に伴って、供給ローラ142の溝に保持された状態で上方へ運ばれる。供給ローラブレード144は、供給ローラ142の周面に圧接され、供給ローラ142の溝に保持される液体現像剤の量が所定量になるように規制する。供給ローラブレード144により掻き落とされた余剰の液体現像剤は、現像容器140の底部に貯留される。
【0101】
現像ローラ141は、現像容器140の上部開口部に、供給ローラ142と接するように配置される。現像ローラ141は供給ローラ142と同方向に回転される。この結果、現像ローラ141と供給ローラ142とが当接するニップ部では、現像ローラ141の表面は供給ローラ142の表面と逆方向に移動する。これにより、現像ローラ141の周面には、供給ローラ142の周面に保持された液体現像剤が受け渡される。供給ローラ142の溝に保持される液体現像剤の量(液体現像剤の薄層の厚み)が所定値に規制されているので、現像ローラ141の表面に担持される液体現像剤の量(液体現像剤の薄層の厚み)もまた所定値に保たれる。
【0102】
現像ローラ帯電装置147は、着色粒子の帯電極性と同極性のバイアス電位(本実施形態ではプラス極性のバイアス電位)を現像ローラ141に外表面側から与えること(現像コロナチャージ)により、現像ローラ141の表面に担持された液体現像剤の薄層中の着色粒子を現像ローラ141の表面側に移動させる。この結果、液体現像剤の薄層中の着色粒子が電界的作用により現像ローラ141側に集合・圧縮され(コンパクション処理)、現像ローラ141側に高濃度の着色粒子の層が形成される。この後、液体現像剤の薄層は、感光体ドラム10に供給されて、感光体ドラム10上の静電潜像が現像される。これにより、現像効率が向上された、精細な着色粒子像が形成される。現像ローラ帯電装置147は、現像ローラ141と供給ローラ142との間の接触部よりも現像ローラ141の回転方向下流側であって、現像ローラ141と感光体ドラム10との間の接触部よりも現像ローラ141の回転方向上流側において、現像ローラ141の周面に対向するように設けられる。つまり、現像ローラ帯電装置147は、現像コロナチャージによって電界を発生させる。これにより、現像ローラ141上の液体現像剤の薄層が、現像ローラ141表面上の着色粒子層と、着色粒子層上のキャリア液層とに2層化する。現像領域(現像ローラ141と感光体ドラム10との対接領域及びその周辺領域)においては、現像ローラ141上の液体現像剤の薄層がこのように2層化した状態で感光体ドラム10表面に接触する。このとき、現像ローラ141側に集合・圧縮された着色粒子が電気泳動の原理により現像ローラ141表面から感光体ドラム10表面に移動し、感光体ドラム10表面の静電潜像を着色粒子像として顕像化する。現像ローラ帯電装置147による現像コロナチャージによって、現像前に、現像ローラ141上の液体現像剤の薄層内の着色粒子が現像ローラ141の表面上に圧縮されているので、感光体ドラム10上の非画像域においては、着色粒子が接触しないため、かぶりを抑制することができる。また、現像コロナチャージによる電界形成によって、現像ローラ141上の液体現像剤の薄層内の着色粒子に電荷が注入されるので、現像電界によって着色粒子が感光体ドラム10上の静電潜像上に反応よく現像されるとともに、感光体ドラム10の表面上に着色粒子が静電気的に強固に付着する。
【0103】
現像ローラ141は、感光体ドラム10と接し、感光体ドラム10の表面の静電潜像の電位と現像ローラ141に印加される現像電界との電位差によって、画像データに基づいた着色粒子像が感光体ドラム10の表面に形成される。
【0104】
現像クリーニングブレード145は、現像ローラ141の感光体ドラム10との接触部の回転方向下流側に接触するように配置され、感光体ドラム10への現像動作を終えた現像ローラ141の表面の液体現像剤を除去する。
【0105】
なお、現像ローラ141は、上述したように、現像クリーニングブレード145及び現像ローラ帯電装置147等によって、像担持体である感光体ドラム10に液体現像剤を供給するものであり、現像剤担持体に相当する。また、供給ローラ142は、上述したように、支持ローラ143、供給ローラブレード144、及び供給ノズル278等によって、現像剤担持体である現像ローラ141に液体現像剤を供給するものであり、現像剤供給部に相当する。
【0106】
現像剤回収装置146は、現像クリーニングブレード145で除去された液体現像剤を
回収して、液体現像剤循環装置のパイプ81へ液体現像剤を送り出す。液体現像剤は現像クリーニングブレード145の表面に沿って流下するが、液体現像剤の粘度が高いことから、現像剤回収装置146には液体現像剤の送り出しを補助する送り出しローラが備えられている。
【0107】
一次転写ローラ20は、中間転写ベルト21の裏面に、感光体ドラム10と対向して配置される。一次転写ローラ20には、電源(図示せず)から着色粒子像を構成する着色粒子とは逆極性(本実施形態ではマイナス)の電圧を印加される。一次転写ローラ20は、中間転写ベルト21と接触している位置で、中間転写ベルト21に着色粒子と逆極性の電圧を印加する。中間転写ベルト21は導電性を有するので、この印加電圧によって、中間転写ベルト21の表面側及びその周辺に着色粒子が引き付けられる。中間転写ベルト21は、着色粒子像を担持して、シートまで搬送する像担持体として機能する。
【0108】
クリーニング装置26は、感光体ドラム10から中間転写ベルト21に転写されずに残留した液体現像剤をクリーニングするための装置である。クリーニング装置26は、残留現像剤搬送スクリュー261と、クリーニングブレード262とを備える。クリーニング装置26内に配置される残留現像剤搬送スクリュー261は、クリーニングブレード262によって掻き取られ、クリーニング装置26内に収納された残留現像剤をクリーニング装置26の外部に搬送する。
【0109】
板状のクリーニングブレード262は、感光体ドラム10の表面に残留した液体現像剤を掻き取るように、感光体ドラム10の回転軸方向に延びる。クリーニングブレード262の一端部は、感光体ドラム10の表面に摺接し、感光体ドラム10の回転に伴って感光体ドラム10上に残留した液体現像剤を掻き取る。
【0110】
除電装置13は、除電用の光源を有し、次の周回による画像形成に備えて、クリーニングブレード262による液体現像剤の除去後、感光体ドラム10の表面を光源からの光によって除電する。
【0111】
略円柱状のキャリア液除去ローラ30は、感光体ドラム10の回転軸と平行な回転軸を中心として感光体ドラム10と同方向に回転可能である。キャリア液除去ローラ30は、感光体ドラム10と中間転写ベルト21とが接触する位置よりも二次転写部4が配置されている側に配置されており、中間転写ベルト21の表面からキャリア液を除去する。
【0112】
図1に示されるシート収容部3は、着色粒子像を定着させるシートを収容する。シート収容部3は、湿式画像形成装置1Aの下部に配置される。また、シート収容部3は、シートを収容可能に形成された給紙カセット(図示せず)を含む。
【0113】
二次転写部4は、中間転写ベルト21上に形成された着色粒子像をシートに転写する。二次転写部4は、中間転写ベルト21を支持する支持ローラ41と、支持ローラ41に対向して配置された二次転写ローラ42とを有する。
【0114】
二次転写部4の上側には、前述したように、定着部5に代えて、搬送ローラ8,8が備えられている。
【0115】
湿式画像形成装置1Aの上面に設けられた排出部6には、定着部5で着色粒子像が定着されたシートが排出される。シート搬送部7は、複数の搬送ローラ対を備え、シート収容部3から、二次転写部4及び定着部5を経て、排出部6までシートを搬送する。
【0116】
前記画像形成装置は、上記動作によって、定着性に優れた画像をシート上に形成することができる。
【実施例】
【0117】
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
【0118】
(着色粒子A)
顔料として、シアン顔料(大日本精化工業株式会社製のPB15−3)10質量部、樹脂として、BASF社製のジョンクリル683(酸価:160mgKOH/g、重量平均分子量Mw:8000、軟化点:138℃、主成分:スチレンアクリルポリマー)を、水酸化カリウム(KOH)で中和溶解させたもの10質量部、トリオール化合物として、グリセリン10質量部、イオン交換水70質量部を混合した。次に、得られた混合物を、メディア型分散機(浅田鉄工株式会社製のグレンミル)を用いて混練した。その際、粒子径が0.2〜1mmのジルコニアビーズをメディアとして用いた。また、混練条件としては、実際に得られる着色粒子の粒子径は、組成等に影響されて異なるが、最終的に得られる着色粒子の粒子径が、体積基準の中位径(D50)で、0.2μm程度になるような条件に調整した。その後、減圧蒸留により、上記混練によって得られた分散液から水分を除去した。そうすることによって、着色粒子Aが得られた。
【0119】
得られた着色粒子Aの導電率は、4.0×10−4S/cmであった。
【0120】
なお、着色粒子の導電率は、以下のようにして測定した。
【0121】
まず、着色粒子を、錠剤成形器により、直径17mm、厚さ0.500〜0.600mmの、円板状の成形体に成形した。得られた成形体を挟むように、粉体用電極装置(安藤電気株式会社製のSE43型)の電極を貼り付け、LCRメータ(安藤電気株式会社製のAG4311型)を用いて、電極間の導電率を測定した。その際、電極間の導電率の測定は、正弦波Vpp=1V、100kHzの交流ブリッジ法によって行った。そして、測定された導電率、電極面積、及び電極間距離を用いて、着色粒子の導電率を算出した。
【0122】
(着色粒子B)
樹脂として、BASF社製のジョンクリル683を、水酸化カリウム(KOH)で中和溶解させたものの代わりに、BASF社製のジョンクリル611(酸価:53mgKOH/g、重量平均分子量Mw:8100、軟化点:112℃、主成分:スチレンアクリルポリマー)を、水酸化カリウム(KOH)で中和溶解させたものを用い、トリオール化合物として、グリセリンの代わりに、1,2,4−ブタントリオールを用いたこと以外、着色粒子Aと同様の方法で調製した。得られた着色粒子Bの導電率は、7.7×10−4S/cmであった。
【0123】
(着色粒子C)
樹脂として、BASF社製のジョンクリル683を、水酸化カリウム(KOH)で中和溶解させたものの代わりに、BASF社製のジョンクリル690(酸価:240mgKOH/g、重量平均分子量Mw:16500、軟化点:155℃、主成分:スチレンアクリルポリマー)を、水酸化カリウム(KOH)で中和溶解させたものを用い、トリオール化合物として、グリセリンの代わりに、1,2,6−ヘキサントリオールを用いたこと以外、着色粒子Aと同様の方法で調製した。得られた着色粒子Cの導電率は、3.6×10−4S/cmであった。
【0124】
(着色粒子D)
グリセリンを5質量部、イオン交換水75質量部用いたこと以外、着色粒子Aと同様の方法で調製した。得られた着色粒子Dの導電率は、1.2×10−8S/cmであった。
【0125】
(着色粒子E)
グリセリンを15質量部、イオン交換水65質量部用いたこと以外、着色粒子Aと同様の方法で調製した。得られた着色粒子Eの導電率は、8.2×10−2S/cmであった。
【0126】
(着色粒子F)
グリセリンを20質量部、イオン交換水60質量部用いたこと以外、着色粒子Aと同様の方法で調製した。得られた着色粒子Fの導電率は、1.0×10−1S/cmであった。
【0127】
(着色粒子G)
樹脂として、BASF社製のジョンクリル683を、水酸化カリウム(KOH)で中和溶解させたものの代わりに、スチレン−アクリル系樹脂(三井化学株式会社製のCPR300)を用い、グリセリンを10質量部、イオン交換水70質量部用いたこと以外、着色粒子Aと同様の方法で調製した。得られた着色粒子Gの導電率は、3.9×10−4S/cmであった。
【0128】
(着色粒子H)
トリオール化合物を用いず、イオン交換水80質量部用いたこと以外、着色粒子Aと同様の方法で調製した。得られた着色粒子Hの導電率は、9.8×10−9S/cmであった。
【0129】
(着色粒子I)
樹脂として、BASF社製のジョンクリル683を、水酸化カリウム(KOH)で中和溶解させたものの代わりに、スチレン−アクリル系樹脂(三井化学株式会社製のCPR300)を用い、トリオール化合物(グリセリン)の代わりに、乳酸ナトリウムを用いたこと以外、着色粒子Aと同様の方法で調製した。得られた着色粒子Iの導電率は、4.1×10−4S/cmであった。
【0130】
(着色粒子J)
樹脂として、BASF社製のジョンクリル683を、水酸化カリウム(KOH)で中和溶解させたものの代わりに、スチレン−アクリル系樹脂(三井化学株式会社製のCPR300)を用い、グリセリンの代わりに、1,3,7−オクタントリオールを用いたこと以外、着色粒子Aと同様の方法で調製した。得られた着色粒子Jの導電率は、5.8×10−4S/cmであった。
【0131】
上記各条件を表1にまとめて示す。
【0132】
【表1】

【0133】
[実施例1]
上記の方法により得られた着色粒子A20質量部、分散安定剤(ルーブリゾール社製のソルスパース13940)4質量部、キャリア液として、流動パラフィン(コスモ石油株式会社製のコスモホワイトP−60)76質量部を、ボールミル(ヤマト科学株式会社製のUB32)を用いて、12時間混合させた。そうすることによって、液体現像剤が得られた。
【0134】
そして、得られた液体現像剤に含まれている着色粒子の粒子径は、D50で0.24μmであった。
【0135】
なお、着色粒子の粒子径(D50)は、以下のように測定した。
【0136】
まず、得られた液体現像剤を、液体現像剤に含まれているキャリア液と同じ液体で、体積基準で100倍に希釈した。その希釈した液体を、マルバーン(MALVERN)社製のレーザ回折式粒度分布測定装置「マスターサイザー(MASTERSIZER)2000」を用いて、フロー方式により測定した。
【0137】
[実施例2]
着色粒子Aの代わりに、着色粒子Bを用い、分散安定剤として、ソルスパース13940の代わりに、ルーブリゾール社製のソルスパース11200を用いたこと以外、実施例1と同様の方法で調製した。得られた液体現像剤に含まれている着色粒子の粒子径は、D50で0.25μmであった。
【0138】
[実施例3]
着色粒子Aの代わりに、着色粒子Cを用い、分散安定剤として、ソルスパース13940の代わりに、ISP社製のAntaron(登録商標)V−220を用いたこと以外、実施例1と同様の方法で調製した。得られた液体現像剤に含まれている着色粒子の粒子径は、D50で0.21μmであった。
【0139】
[実施例4]
着色粒子Aの代わりに、着色粒子Dを用いたこと以外、実施例1と同様の方法で調製した。得られた液体現像剤に含まれている着色粒子の粒子径は、D50で0.27μmであった。
【0140】
[実施例5]
着色粒子Aの代わりに、着色粒子Eを用いたこと以外、実施例1と同様の方法で調製した。得られた液体現像剤に含まれている着色粒子の粒子径は、D50で0.19μmであった。
【0141】
[実施例6]
着色粒子Aの代わりに、着色粒子Fを用いたこと以外、実施例1と同様の方法で調製した。得られた液体現像剤に含まれている着色粒子の粒子径は、D50で0.22μmであった。
【0142】
[実施例7]
着色粒子Aの代わりに、着色粒子Gを用いたこと以外、実施例1と同様の方法で調製した。得られた液体現像剤に含まれている着色粒子の粒子径は、D50で0.25μmであった。
【0143】
[比較例1]
着色粒子Aの代わりに、着色粒子Hを用いたこと以外、実施例1と同様の方法で調製した。得られた液体現像剤に含まれている着色粒子の粒子径は、D50で0.2μmであった。
【0144】
[比較例2]
着色粒子Aの代わりに、着色粒子Iを用いたこと以外、実施例1と同様の方法で調製した。得られた液体現像剤に含まれている着色粒子の粒子径は、D50で0.26μmであった。
【0145】
[比較例3]
着色粒子Aの代わりに、着色粒子Jを用いたこと以外、実施例1と同様の方法で調製した。得られた液体現像剤に含まれている着色粒子の粒子径は、D50で0.3μmであった。
【0146】
[評価]
上記の方法により得られた各液体現像剤については、以下の方法で評価した。
【0147】
まず、図1に示すような、定着部を備えていない湿式画像形成装置(カラープリンタ)1A(京セラミタ株式会社製の湿式画像形成装置の実験機)を用いて、シアン(C)の画像形成ユニットFCにシアン(C)の上記液体現像剤を仕込んで、シートとしての上質普通紙(王子製紙株式会社製のC2紙、坪量90g/m)上に、顔料載り量で0.026mg/cm相当の均一塗りつぶしの正方形のソリッド画像(5cm×5cm)を形成させた。その際、現像ローラ141の周面上における液体現像剤層の厚みを5μm程度になるように設定した。また、画像データに基づいた着色粒子像を感光体ドラム10の表面に形成するときに現像ローラ141に印加する現像電界を400Vに設定した。
【0148】
上述のようにして、ソリッド画像が形成されたシート、すなわち、二次転写部4により、着色粒子像がシートに転写及び定着され、排出部6に排出されたシートを、後述する、画像濃度評価及び定着性評価に供した。
【0149】
(画像濃度)
シート上に形成されたソリッド画像の画像濃度を、反射濃度計(Gretag Macbeth社製のSpectroEyeLT)を用いて測定した。測定した画像濃度が、1.2を超えるのであれば、「○」と評価し、1.0を超え1.2以下であれば、「△」と評価し、1.0以下であれば、「×」と評価した。
【0150】
(定着性)
ソリッド画像が形成されたシート上に、綿布(さらし)で包んだ、500gの分銅を載置した。その後、前記分銅の自重を前記シートにかけたまま、前記分銅で前記ソリッド画像を左右に横切って画像の外まで移動するように前記分銅で5往復擦った。この操作の前後のソリッド画像の画像濃度を、それぞれ反射濃度計(Gretag Macbeth社製のSpectroEyeLT)を用いて測定した。そして、下記式(I)から濃度残存率を算出し、定着性の評価とした。
【0151】
濃度残存率(%) = 前記操作後の画像濃度 / 前記操作前の画像濃度 × 100 (I)
そして、濃度残存率が95%以上であれば、「◎」と評価し、濃度残存率が90%以上95%未満であれば、「○」と評価し、濃度残存率が80%を超え90%未満であれば、「△」と評価し、濃度残存率が80%以下であれば、「×」と評価した。
【0152】
以上の結果を、液体現像剤の組成とともに、表2に示す。
【0153】
【表2】

【0154】
表1及び表2からわかるように、キャリア液中に分散させる着色粒子として、樹脂と顔料と炭素数が3〜6のトリオール化合物とを含有する着色粒子を用いた場合(実施例1〜7)は、前記トリオール化合物を含有させていない着色粒子を用いた場合(比較例1)、前記トリオール化合物の代わりに乳酸ナトリウムを含有する着色粒子を用いた場合(比較例2)、及び炭素数が6を超えるトリオール化合物を含有する着色粒子を用いた場合(比較例3)と比較して、画像濃度が高いにもかかわらず、定着性に優れていた。このことから、実施例1〜7に係る液体現像剤は、定着時に熱エネルギー等のエネルギーを消費することなく、着色粒子像を記録媒体へ充分に定着させることができることがわかった。また、実施例1〜7に係る液体現像剤に含まれる着色粒子の導電率は、1×10−8〜1×10−1S/cmであることから、着色粒子の導電率が上記範囲内になるように前記トリオール化合物を含有させることが好ましいことがわかる。
【0155】
さらに、導電率が1×10−8〜1×10−2S/cmである着色粒子を用いた場合(実施例1〜5、及び実施例7)は、導電率が1×10−2S/cmを超える着色粒子を用いた場合(実施例6)よりも、画像濃度が高いにもかかわらず、定着性に優れていることがわかった。
【0156】
また、導電率が1×10−6〜1×10−3S/cmである着色粒子を用いた場合(実施例1)は、着色粒子の導電率以外は同様の実施例4〜6、具体的には、導電率が1×10−6S/cm未満の着色粒子を用いた場合(実施例4)や導電率が1×10−3S/cmを超える着色粒子を用いた場合(実施例5及び実施例6)よりも、画像濃度及び定着性に優れていることがわかった。
【0157】
これらのことから、着色粒子の導電率は、1×10−8〜1×10−2S/cmであることがより好ましく、1×10−6〜1×10−3S/cmであることがさらに好ましいことがわかった。
【符号の説明】
【0158】
1A 湿式画像形成装置
2 画像形成部
3 シート収容部
4 二次転写部
6 排出部
7 シート搬送部
8 搬送ローラ
10 感光体ドラム
11 帯電装置
12 露光装置
13 除電装置
14 液体現像装置
20 一次転写ローラ
21 中間転写ベルト
22 クリーニング部
26 クリーニング装置
30 キャリア液除去ローラ
41 支持ローラ
42 二次転写ローラ
51 加熱ローラ
52 加圧ローラ
81 パイプ
82 パイプ
140 現像容器
141 現像ローラ
142 供給ローラ
143 支持ローラ
144 供給ローラブレード
145 現像クリーニングブレード
146 現像剤回収装置
147 現像ローラ帯電装置
261 残留現像剤搬送スクリュー
262 クリーニングブレード
278 供給ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気絶縁性のキャリア液と、
前記キャリア液中に分散された着色粒子とを有し、
前記着色粒子が、樹脂と顔料と炭素数が3〜6のトリオール化合物とを含有することを特徴とする液体現像剤。
【請求項2】
前記樹脂が、水溶性樹脂である請求項1に記載の液体現像剤。
【請求項3】
前記着色粒子の導電率が1×10−8〜1×10−1S/cmである請求項1又は請求項2に記載の液体現像剤。
【請求項4】
前記キャリア液が、脂肪族炭化水素である請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体現像剤。
【請求項5】
像担持体の表面に形成された静電潜像を現像する現像装置であって、
液体現像剤を表面上に担持しつつ、前記像担持体に前記液体現像剤を供給して、前記液体現像剤中の着色粒子により前記静電潜像を顕像化した着色粒子像を前記像担持体上に形成する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体に前記液体現像剤を供給する現像剤供給部とを備え、
前記液体現像剤として、請求項1〜4のいずれか1項に記載の液体現像剤を用いることを特徴とする現像装置。
【請求項6】
表面に静電潜像が形成される像担持体と、
前記静電潜像を現像する現像装置とを備え、
前記現像装置が、請求項5に記載の現像装置であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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