説明

液体現像剤の製造方法およびその製造方法により得られた液体現像剤

【課題】液体現像剤をコアセルベーション法で製造する際に、溶剤留去時に、顔料などの着色剤が微細に分散された状態を維持したままで樹脂粒子の内部に完全に包埋され、さらに得られた着色樹脂微粒子が小粒径の液体現像剤の製造方法。
【解決手段】無機粒子の表面に有機顔料またはカーボンブラックを被覆したハイブリッド型コアシェル構造を有する顔料、定着性を有する樹脂、前記樹脂を溶解する溶剤(A)、前記樹脂を溶解せず、溶剤(A)より低SP値である炭化水素系の溶剤(B)、溶剤(A)および溶剤(B)の両方に溶解する分散剤(A)の少なくとも1種、必要により、さらに溶剤(A)には溶解するが溶剤(B)には難溶性の分散剤(B)の少なくとも1種を含有する混合液から、溶剤(A)を留去して、溶解状態にあった前記樹脂を析出させることにより、顔料を包埋した着色樹脂粒子を溶剤(B)中に分散させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷機、複写機、プリンター、ファクシミリなどに用いられる電子写真あるいは静電記録用の液体現像剤の製造方法、およびその製造方法により得られた液体現像剤に関する。
【背景技術】
【0002】
液体現像剤としては、一般的に、顔料などの着色剤を含有している着色樹脂粒子が電気絶縁性媒体中に分散された形態のものが使用されている。このような液体現像剤を製造する方法としては、(1)重合法(モノマー成分を着色剤が分散された電気絶縁性媒体中で重合させて着色樹脂粒子を形成する方法)、(2)湿式粉砕法(着色剤と樹脂とを樹脂の融点以上で混練した後乾式粉砕し、この粉砕物を分散剤の存在下に電気絶縁性媒体中で湿式粉砕する方法)、(3)析出法(コアセルベーション法)(着色剤、樹脂、前記樹脂を溶解する溶剤、前記樹脂を溶解しない電気絶縁性媒体からなる混合液から前記溶剤を除去することによって前記樹脂を析出させ、着色樹脂粒子を電気絶縁性媒体中に分散させる方法)などの種々の方法がある。
【0003】
しかしながら、(1)の重合法では、重合後、残存するモノマーを除去する工程を必要とするという問題を有する。また、(2)の湿式粉砕法では、着色剤が樹脂に完全に包埋されないため、着色剤同士の凝集化が起こって着色樹脂粒子の粒径が不均一となり、得られる液体現像剤の分散安定性、光学特性が不十分であるという問題を有する。さらに、(3)の析出法では、樹脂の析出の際に着色樹脂粒子の凝集化がおこり、その結果、粒子が粗大化してしまうなどの問題を有しており、(2)の湿式粉砕法と同様に得られる現像剤の分散安定性や光学特性が不充分であるという問題を有している。
【0004】
そこで、(3)の析出法における上記の問題を解決するために、樹脂を溶解可能な溶媒に溶解させた後、着色剤および分散剤の共存下で電気絶縁性媒体と混合して混合液とし、さらに混合液から溶剤を除去することにより、着色樹脂粒子を電気絶縁性媒体中に分散させる方法(例えば、特許文献1参照)が提案されている。
【0005】
しかしながら、種々の印刷技術が進歩する中、他の方式と競合して優位性を得るために、最近の液体現像剤においては、現像剤自身の高濃度化と印刷物の高解像度化が最も強く求められる性能となりつつある。そして、それらの要求性能を満足するために、着色樹脂粒子をより微細かつ高濃度とする必要があるが、微細な着色樹脂粒子を製造すること、および、高濃度でより安定的に分散させることは、現状では共に極めて困難な技術であり、それらを実現するための新しい液体現像剤の製造方法が求められていた。
【0006】
【特許文献1】特開2003−241439号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、電子写真または静電記録用の液体現像剤をコアセルベーション法で製造する際に、溶剤留去時に、顔料などの着色剤が微細に分散された状態を維持したままで樹脂粒子の内部に完全に包埋され、さらに得られた着色樹脂微粒子が小粒径で、かつ分散安定性に優れ、光学特性に優れる液体現像剤を得ることができる製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、液体現像剤の製造方法について種々検討した結果、着色樹脂粒子を製造するためのコアセルベーション法において、顔料として粒子径が非常に小さくて高い光学特性を有するハイブリッド型コアシェル構造を有するものを用いることにより、前記の課題を全て解決する液体現像剤を製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明はつぎの液体現像剤の製造方法およびそれにより得られた液体現像剤を提供する。
[1]無機粒子の表面に有機顔料またはカーボンブラックを被覆したハイブリッド型コアシェル構造を有する顔料、定着性を有する樹脂、前記樹脂を溶解する溶剤(A)、前記樹脂を溶解せず、溶剤(A)より低SP値である炭化水素系の溶剤(B)、溶剤(A)および溶剤(B)の両方に溶解する分散剤(A)の少なくとも1種を含有する混合液から、溶剤(A)を留去して、溶解状態にあった前記樹脂を析出させることにより、顔料を包埋した着色樹脂粒子を溶剤(B)中に分散させることを特徴とする液体現像剤の製造方法。
[2]無機粒子の表面に有機顔料またはカーボンブラックを被覆したハイブリッド型コアシェル構造を有する顔料、定着性を有する樹脂、前記樹脂を溶解する溶剤(A)、前記樹脂を溶解せず、溶剤(A)より低SP値である炭化水素系の溶剤(B)、溶剤(A)および溶剤(B)の両方に溶解する分散剤(A)の少なくとも1種、ならびに、溶剤(A)には溶解するが溶剤(B)には難溶性の分散剤(B)の少なくとも1種を含有する混合液から、溶剤(A)を留去して、溶解状態にあった前記樹脂を析出させることにより、顔料を包埋した着色樹脂粒子を溶剤(B)中に分散させることを特徴とする液体現像剤の製造方法。
[3]前記溶剤(A)としてSP値が8.5以上であるものを用い、前記溶剤(B)としてSP値が8.5未満のものを用いる前記[1]または[2]項記載の液体現像剤の製造方法。
[4]前記分散剤(A)および分散剤(B)を、液体現像剤中における質量比率が、分散剤(A):分散剤(B)=99:1〜1:99となるように併用する前記[2]または[3]項記載の液体現像剤の製造方法。
[5]前記溶剤(B)として高沸点パラフィン系溶剤を用いる前記[1]〜[4]項のいずれかに記載の液体現像剤の製造方法。
[6]前記[1]〜[5]項のいずれかに記載の製造方法により製造された液体現像剤。
【0010】
ここで、包埋とは、顔料粒子が完全に樹脂で覆われており、樹脂粒子の表面には顔料粒子が存在しないことを意味する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の方法によれば、顔料を微細に分散した状態を維持43したままで樹脂粒子内部に完全に包埋させ、さらにその着色樹脂微粒子を電気絶縁性媒体中に微細に、そしてより安定的に分散させることが可能になる。すなわち、電気絶縁性媒体中に分散された顔料などの着色剤を含有する樹脂粒子が小粒径で、かつ分散安定性に優れ、光学特性に優れる液体現像剤を得ることができる。さらに好ましくは、特定の条件を満足する2種類の分散剤を併用することにより、電気絶縁性媒体中に分散された顔料などの着色剤を含有する樹脂粒子がより小粒径で、かつ分散安定性により優れ、光学特性により優れる液体現像剤を得ることができる。
【0012】
そして、本発明の方法で製造された液体現像剤は、高固形分濃度であっても印刷に適した十分に低い粘度を維持し、さらに高解像度化が図れるという特徴を有するものであり、電子写真または静電記録の分野で、高速で印刷が可能で、速乾燥性を有し、さらに高精細な画像が得られるという効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の液体現像剤の製造方法およびその方法により得られる液体現像剤について詳細に説明する。
【0014】
本発明の液体現像剤の製造方法の一実施態様(以下、第1実施態様という)においては、無機粒子の表面に有機顔料またはカーボンブラックを被覆したハイブリッド型コアシェル構造を有する顔料、定着性を有する樹脂、前記樹脂を溶解する溶剤(A)、前記樹脂を溶解せず、溶剤(A)より低SP値である炭化水素系の溶剤(B)、溶剤(A)および溶剤(B)の両方に溶解する分散剤(A)の少なくとも1種を含有する混合液から、溶剤(A)を留去して、溶解状態にあった前記樹脂を析出させることにより、顔料を包埋した着色樹脂粒子を溶剤(B)中に分散させることを特徴とする。
【0015】
本発明の液体現像剤の製造方法の他の実施態様(以下、第2実施態様という)においては、無機粒子の表面に有機顔料またはカーボンブラックを被覆したハイブリッド型コアシェル構造を有する顔料、定着性を有する樹脂、前記樹脂を溶解する溶剤(A)、前記樹脂を溶解せず、溶剤(A)より低SP値である炭化水素系の溶剤(B)、溶剤(A)および溶剤(B)の両方に溶解する分散剤(A)の少なくとも1種、ならびに、溶剤(A)には溶解するが溶剤(B)には難溶性の分散剤(B)の少なくとも1種を含有する混合液から、溶剤(A)を留去して、溶解状態にあった前記樹脂を析出させることにより、顔料を包埋した着色樹脂粒子を溶剤(B)中に分散させることを特徴とする。
【0016】
本発明において、着色樹脂粒子に含有される顔料は、無機粒子の表面に有機顔料またはカーボンブラックを被覆したハイブリッド型コアシェル構造を有する顔料である。無機粒子がコア部に相当し、有機顔料またはカーボンブラックがシェル層に相当する。
【0017】
コア部の無機粒子として利用される材料としては、二酸化チタン、酸化亜鉛などの白色顔料、雲母チタン、白雲母などのパール顔料、酸化ケイ素、ホワイトカーボン、微粉ケイ酸、珪藻土などのシリカ微粒子、クレー、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナホワイト、タルク、透明性酸化チタンなどの体質顔料が挙げられる。
【0018】
シェル層の顔料としては、アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、レーキ顔料、フタロシアニン系顔料、イソインドリン系顔料、アントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料などの有機顔料、およびカーボンブラックが挙げられる。各種色相の有機顔料としては、マゼンタ系有機顔料として、キナクリドンレッドなどのキナクリドン系顔料、パーマネントレッドなどのアゾ系顔料、縮合アゾレッドなどの縮合アゾ系顔料、ペリレンレッドなどのペリレン系顔料などが挙げられる。シアン系有機顔料として、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルーなどのフタロシアニン系顔料などが挙げられる。イエロー系有機顔料として、ハンザエローなどのモノアゾ系顔料、ベンジジンエロー、パーマネントエローなどのジスアゾ系顔料、縮合アゾイエローなどの縮合アゾ系顔料などが挙げられる。緑色系顔料としては、フタロシアニングリーンなどのフタロシアニン系顔料などが挙げられる。
【0019】
このような材料を用いて、ハイブリッド型コアシェル構造の顔料を製造するには、例えば、特開2002−356625号公報で開示された方法などが利用できる。すなわち、例えば、コア部の無機粒子と接着剤とを混合攪拌して無機粒子の表面に接着剤を被覆させた後、シェル層の有機顔料またはカーボンブラックを添加し、混合攪拌して前記接着剤被覆の表面に有機顔料またはカーボンブラックを付着させることによって製造できる。このような製造方法によれば、得られるハイブリッド型コアシェル構造の顔料の粒子径を数10nm〜100nm程度の微小のものにすることが可能であり、より高い色濃度と鮮明な発色性が得られるという特徴がある。
【0020】
なお、前記ハイブリッド型コアシェル構造の顔料においては、コア部の無機粒子の表面に有機顔料またはカーボンブラックからなるシェル層を複数設けてもよい。例えば、無機粒子の表面が接着剤で被覆され、該被覆に有機顔料またはカーボンブラックが付着している第1シェル層が形成され、さらに、第1シェル層の表面に接着剤が被覆され、当該被覆に有機顔料またはカーボンブラックが付着している第2シェル層が形成されている構造が挙げられる。必要に応じて、同様にして、さらなるシェル層を形成してもよい。
【0021】
コア部の無機粒子は、要求される特性や用途に応じて選択すればよく、隠蔽力が必要とされる用途には白色顔料が好ましく、真珠様の光沢が必要とされる用途にはパール顔料が好ましく、透明性が必要とされる用途にはパール顔料または体質顔料が好ましい。好ましくは、酸化ケイ素、酸化チタンである。無機粒子の粒子形状は、球状、粒状、多面体状、針状、紡錘状、米粒状、フレーク状、鱗片状、板状などのいずれの形状であってもよい。
【0022】
前記接着剤としては、無機粒子の表面へ有機顔料またはカーボンブラックを付着できるものであれば特に限定されない。たとえば、アルコキシシラン、フルオロアルキルシラン、ポリシロキサンなどの有機ケイ素化合物、シラン系、チタネート系、アルミネート系、ジルコネート系などの各種カップリング剤、オリゴマーまたは高分子化合物などが挙げられる。無機粒子の表面への有機顔料またはカーボンブラックの付着強度を考慮すれば、より好ましくはアルコキシシラン、フルオロアルキルシラン、ポリシロキサンなどの有機ケイ素化合物、シラン系、チタネート系、アルミネート系、ジルコネート系などの各種カップリング剤である。このように本明細書における接着剤という用語は、カップリング剤、プライマーなどと称されているものをも含む広い概念である。
【0023】
なお、要求される色相に応じて、異なる色相の有機顔料を混合して使用してもよい。また、要求される色相、特性などに応じて、同系色の顔料であっても2種以上を併用してもよい。
【0024】
また、複数のシェル層を有するハイブリッド型コアシェル構造の顔料において、第1シェル層に付着させる有機顔料と第二シェル層以降に付着させる有機顔料は、同一であっても、同色で異種の有機顔料であっても、異色の有機顔料であってもよい。また、組み合わせる有機顔料として、耐光性などの機能を有するものを選択することにより、複数の機能を有するハイブリッド型コアシェル構造の顔料を得ることが可能となる。
【0025】
本発明の液体現像剤において、ハイブリッド型コアシェル構造の顔料の含有量は、特に限定されるものではないが、画像濃度の点から、最終的な液体現像剤中において1〜20質量%であるのが好ましい。
【0026】
次に、本発明で使用する樹脂としては、紙、プラスチックフィルムなどの被着体に対して定着性を有する熱可塑性樹脂が好ましく、具体的にはポリオレフィン樹脂を変性しカルボキシル基を導入したもの、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体の部分ケン化物、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂などのオレフィン樹脂、熱可塑性飽和ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル系共重合体樹脂、スチレン−アクリル変性ポリエステル樹脂などのスチレン系樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性マレイン樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、(メタ)アクリル酸エステル樹脂などのアクリル系樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、単独または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0027】
本発明においては、液体現像剤中に占める固形分濃度が、10〜50質量%であるのが好ましく、より好ましくは15〜40質量%である。固形分濃度が前記範囲未満では、画像濃度が充分でない傾向があり、一方前記範囲を超えると、粘度が高くなりすぎる傾向がある。
【0028】
次に本発明で使用する溶剤としては、前記樹脂を溶解する溶剤(A)と、前記樹脂を溶解せず、溶剤(A)より低SP値である炭化水素系の溶剤(B)とを併用する。
【0029】
溶剤(A)としては、SP値が8.5以上であるものが好ましく、さらに蒸留により混合物から留去しやすい低沸点溶剤が好ましく、例えば、テトラヒドロフランなどのエーテル類、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチルなどのエステル類を挙げることができ、さらに、樹脂の溶解能力がある場合には、トルエン、ベンゼンなどの芳香族炭化水素類も使用できる。これら溶剤は単独または2種以上を併用できる。
【0030】
一方、溶剤(B)としては、前記樹脂を溶解せず、電気絶縁性を有し、溶剤(A)より低SP値であり(好ましくはSP値8.5未満であるもの)、さらに溶剤(A)の留去時に揮発しないものが好ましく、このような条件を満たす溶剤としては不揮発性ないし低揮発性の炭化水素類があげられ、より好ましくは脂肪族炭化水素類、脂環式炭化水素類である。さらに前記の樹脂を溶解せず、前記SP値を満足する範囲であれば、芳香族炭化水素類やハロゲン化炭化水素類なども使用可能である。その中でも特に、臭気、無害性、コストの点から、ノルマルパラフィン系溶剤、イソパラフィン系溶剤、シクロパラフィン系溶剤、および、これらの2種またはそれ以上の混合物等の高沸点(沸点が150℃以上)パラフィン系溶剤が好ましい。ノルマルパラフィン系溶剤、イソパラフィン系溶剤、シクロパラフィン系溶剤またはそれら混合物等の高沸点パラフィン系溶剤の市販品として、例えば、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM、エクソールD130、エクソールD140(以上いずれもエクソン化学(株)製)、シェルゾール71(シェル石油化学(株)製)、IPソルベント1620、IPソルベント2080、IPソルベント2835(以上いずれも出光石油化学(株)製)、モレスコホワイトP−40、モレスコホワイトP−55、モレスコホワイトP−80(以上いずれも(株)松村石油研究所製の流動パラフィン)、流動パラフィンNo.40−S、流動パラフィンNo.55−S(以上いずれも中央化成(株)製の流動パラフィン)などが挙げられる。
【0031】
次に、本発明で使用する分散剤としては、第1実施態様においては、溶剤(A)および溶剤(B)の両方に溶解する分散剤(A)を単独で使用し、第2実施態様においては、溶剤(A)および溶剤(B)の両方に溶解する分散剤(A)、ならびに、溶剤(A)には溶解するが溶剤(B)には難溶性の分散剤(B)を併用する。分散剤(A)と分散剤(B)を併用する第2実施態様においては、分散剤(A)を単独使用する第1実施態様に比して、電気絶縁性媒体中に分散された顔料などの着色剤を含有する樹脂粒子がより小粒径で、かつ分散安定性により優れ、光学特性により優れる液体現像剤を得ることができる。
【0032】
このような分散剤としては、既知の分散剤が利用でき、それぞれの条件を満足する限り、分散剤(A)と分散剤(B)との組み合わせに特に制限はない。しかしながら、利用する溶剤によって、同じ分散剤であっても、分散剤(A)の条件に相当する場合、分散剤(B)の条件に相当する場合、あるいは分散剤(A)、分散剤(B)のどちらの条件にも相当しない場合と、異なる結果が得られる可能性がある。そこで、溶剤(A)と溶剤(B)を決めた時点で、予備試験的に分散剤(A)としての条件を満足するもの、分散剤(B)としての条件を満足するものに分類し、このように分類したそれぞれの中から適宜の組み合わせを選択することが好ましい。
【0033】
ちなみに、分散剤(A)または分散剤(B)の候補となり得るものは、具体的には、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッソ系界面活性剤などの各種界面活性剤およびその誘導体、ポリウレタン系樹脂、芳香環およびヒドロキシカルボン酸由来のカルボキシル基によるエポキシ基の開環構造を有する変性ノボラック樹脂(特開平9−302259号公報)、芳香環およびヒドロキシカルボン酸由来のカルボキシル基によるエポキシ基の開環構造を有するアクリル系共重合体(特開平9−302259号公報)、ポリ(ヒドロキシカルボン酸エステル)等のポリエステルやその末端に塩基などの極性基をもつ分散剤、(ポリ)アミン化合物のアミノ基および/またはイミノ基にポリエステル基が導入された(ポリ)アミン誘導体、ポリエステル側鎖、ポリエーテル側鎖またはポリアクリル側鎖を有するカルボジイミド化合物(国際公開WO03/07652号パンフレット)、塩基性窒素含有基を有し、かつ側鎖にポリエステル側鎖、ポリエーテル側鎖、またはポリアクリル側鎖を有するカルボジイミド化合物(国際公開WO04/000950号パンフレット)、顔料吸着部を有する側鎖を有するカルボジイミド化合物(国際公開WO04/003085号パンフレット)などの高分子型の顔料分散樹脂などを挙げることができる。市販されているものとしては、例えば、BYK−160、162、164、182(以上、ビックケミー社製)、EFKA−47、4050(以上、EFKA社製)、ソルスパーズ13940、17000、18000、24000、28000(以上、アビシア社製)、アジスパーPB−821(味の素(株)製)などが挙げられる。
【0034】
前記芳香環およびヒドロキシカルボン酸由来のカルボキシル基によるエポキシ基の開環構造を有する変性ノボラック樹脂としては、分子内に、ノボラック樹脂に由来する芳香環と、ヒドロキシカルボン酸由来のカルボキシル基によるエポキシ基の開環による一般式(1)で表される基を少なくとも1つ有する変性ノボラック樹脂が挙げられる。
【0035】
【化1】

【0036】
(式中、左端の酸素原子はノボラック樹脂の芳香族性水酸基に含まれる酸素原子に由来するものであり、W1とX1はそれぞれ独立に炭素数1〜19の2価の炭化水素基を、iとjはそれぞれ独立にi=1〜30、j=0〜30の整数を、R1は水素原子またはメチル基を示す)
前記変性ノボラック樹脂は、分子内に一般式(1)で表わされる基を少なくとも1個有する。分子内における一般式(1)で表される基の数は1〜20であるのが好ましい。核体数の多いノボラック樹脂の分子量制御は非常に難しいことから、変性ノボラック樹脂の持つ芳香族性水酸基の合計(無置換および置換された芳香族性水酸基の合計、以下同様)は20以下であるのが好ましい。変性ノボラック樹脂は、芳香族性水酸基の部分に一般式(1)で表わされる基以外の基(例えば、芳香族性水酸基にエピクロルヒドリンまたはβ−メチルエピクロルヒドリンを反応させ、その後一価のカルボン酸などを反応させた構造の基など)を有していてもよい。
【0037】
一般式(1)において、一般式(2):
【0038】
【化2】

【0039】
(式中、W1およびiは前記と同じ)で表わされる基および一般式(3):
【0040】
【化3】

【0041】
(式中、X1およびjは前記と同じ)で表わされる基は、不飽和結合および/または分岐構造を有してもよい炭素数2〜20の範囲にあるヒドロキシカルボン酸(例えば、12−ヒドロキシステアリン酸など)、これらの混合物、あるいはこれらの重縮合物から誘導することができる。
【0042】
前記芳香環およびヒドロキシカルボン酸由来のカルボキシル基によるエポキシ基の開環構造を有するアクリル系共重合体としては、重量平均分子量3,000〜100,000のアクリル系共重合体であって、当該共重合体中、一般式(4)で表される構成単位を少なくとも10モル%に相当する量と、一般式(5)および一般式(6)で表される構成単位から選ばれる1種以上を少なくとも10モル%に相当する量とを含有する共重合体が挙げられる。
【0043】
【化4】

【0044】
【化5】

【0045】
【化6】

【0046】
(式中、W2とX2はそれぞれ独立に炭素数1〜19の2価の炭化水素基を、pとqはそれぞれ独立にp=1〜30、q=0〜30の整数を、R2、R3およびR4はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を、R5は水素原子またはハロゲン原子を、R6とR7はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5の炭化水素基、炭素数1〜5のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、またはハロゲン原子を、R8は水素原子またはメチル基を、R9は直接結合またはメチレン基を示す)
一般式(4)において、一般式(7):
【0047】
【化7】

【0048】
(式中、W2およびpは前記と同じ)で表される基および一般式(8):
【0049】
【化8】

【0050】
(式中、X2およびqは前記と同じ)で表される基は、不飽和結合および/または分岐構造を有してもよい炭素数が2〜20の範囲にあるヒドロキシカルボン酸(例えば、12−ヒドロキシステアリン酸など)、これらの混合物、あるいはその重縮合物より誘導することができる。
【0051】
本発明の第1実施態様において、分散剤(A)の使用量は、液体現像剤中の顔料(ハイブリッド型コアシェル構造を有する顔料)の量に対して0.1〜200質量%が好ましく、より好ましくは10〜100質量%である。分散剤(A)の使用量が前記範囲未満では、着色樹脂粒子の粗大化が生じる傾向があり、一方前記範囲を超えると、粘度が高くなりすぎる傾向がある。
【0052】
本発明の第2実施態様において、分散剤(A)と分散剤(B)との好ましい使用量比率は、それぞれ分散剤自身の性能の他、溶媒との組み合わせによって異なる傾向があるが、概ね、分散剤(A):分散剤(B)の質量比率=99:1〜1:99程度が好ましく、より好ましくは95:5〜5:95である。分散剤(A)および分散剤(B)の使用量比率が前記範囲を外れると、併用効果が充分に発揮されない傾向がある。また、分散剤(A)および(B)の合計使用量は、液体現像剤中の顔料(ハイブリッド型コアシェル構造を有する顔料)に対して0.1〜200質量%が好ましく、より好ましくは10〜100質量%である。分散剤(A)および(B)の合計使用量が前記範囲未満では、着色樹脂粒子が粗大化する傾向があり、一方前記範囲を超えると、粘度が高くなりすぎる傾向がある。
【0053】
本発明の方法により得られる液体現像剤は、上記の材料の他に、必要に応じてさらに荷電制御剤、その他の添加剤を含んでもよい。
【0054】
荷電制御剤としては、大別して以下に説明する(1)および(2)の2つのタイプがある。
(1)着色樹脂粒子(トナー粒子)の表面をイオン化あるいはイオンの吸着を行い得る物質で被覆するタイプである。このタイプとしては、アマニ油、大豆油などの油脂、アルキッド樹脂、ハロゲン化重合体、芳香族ポリカルボン酸、酸性基含有水溶性染料、芳香族ポリアミンの酸化縮合物などが好適である。
(2)電気絶縁性溶剤に溶解し、着色樹脂粒子(トナー粒子)とイオンの授受を行い得るような物質を共存させるタイプであり、ナフテン酸コバルト、ナフテン酸ニッケル、ナフテン酸鉄、ナフテン酸亜鉛、オクチル酸コバルト、オクチル酸ニッケル、オクチル酸亜鉛、ドデシル酸コバルト、ドデシル酸ニッケル、ドデシル酸亜鉛、2−エチルヘキサン酸コバルトなどの金属石鹸類、石油系スルホン酸金属塩、スルホコハク酸エステルの金属塩などのスルホン酸金属塩類、レシチンなどの燐脂質、t−ブチルサリチル酸金属錯体などのサリチル酸金属塩類、ポリビニルピロリドン樹脂、ポリアミド樹脂、スルホン酸基含有樹脂、ヒドロキシ安息香酸誘導体などが好適である。
【0055】
次に、以上の材料を用いて液体現像剤を製造する方法を説明する。ただし、以下に説明する方法は、本発明の好ましい実施例の一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。
【0056】
まず、本発明における混合液の調製について説明する。例えば、顔料(ハイブリッド型コアシェル構造を有する顔料)、分散剤(A)、必要に応じて分散剤(B)、および溶剤(A)の一部を混合し、アトライター、ボールミル、サンドミル、ビーズミルなどのメディア型分散機、あるいは高速ミキサー、高速ホモジナイザーなどの非メディア型分散機で顔料を分散させた顔料分散液を得る。さらに、この顔料分散液に、樹脂、残りの溶剤(A)を加えた後、高速せん断攪拌装置で攪拌しながら溶剤(B)を添加して、混合液を得ることができる。なお、前記顔料分散液を調製する際に、予め樹脂を添加した後に顔料を分散してもよい。
【0057】
次いで、上記混合液を高速せん断攪拌装置により攪拌を行いながら、溶剤(A)の留去を行うことにより、本発明の液体現像剤を得ることができる。また、得られる液体現像剤中の固形分濃度が高い場合は、要求される固形分濃度となるように溶剤(B)を加えてもよい。さらに必要に応じて荷電制御剤などその他添加剤を加えてもよい。なお、溶剤(A)の留去と溶剤(B)の添加を同時に行って、本発明の液体現像剤を得てもよい。
【0058】
上記高速せん断攪拌装置としては、攪拌・せん断力をかけられるもので、ホモジナイザー、ホモミキサーなどが利用できる。これらには、容量、回転数、型式など、種々のものがあるが、生産様式に応じて適当なものを用いればよい。なお、ホモジナイザーを使用した場合の回転数としては、500回転(rpm)以上が好ましい。
【0059】
上述したような製造方法によって、電気絶縁性溶剤中に分散された顔料を含有する樹脂粒子が小粒径で、かつ分散安定性に優れ、光学特性に優れる液体現像剤が製造できる。このようにして得られた液体現像剤は、印刷機、複写機、プリンター、ファクシミリなどの分野に用いることができ、そして、着色樹脂粒子などの固形分が高濃度であっても印刷に適した十分に低い粘度を維持できることから、高速印刷性と速乾燥性を有し、さらに高解像度化が図れるという特徴を有するものである。
【0060】
高精細画像が得られる点から、本発明における液体現像剤中の着色樹脂粒子は、平均粒子径が0.1〜5.0μmであるのが好ましく、より好ましくは0.1〜3.0μmである。
【実施例】
【0061】
以下、実施例によって、本発明の液体現像剤をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の記述中において「部」および「%」は、それぞれ「質量部」および「質量%」を示す。
【0062】
下記の実施例および比較例で使用した顔料、分散剤、定着性熱可塑性樹脂について説明する。
【0063】
<顔料>
ハイブリッド型コアシェル構造を有する顔料として、戸田工業(株)製のシアン系顔料であるCS−C200Yを使用した。この顔料の平均粒子径は約20nmであった。
【0064】
<分散剤1>
反応容器に、エポキシ変性ノボラック樹脂(油化シェルエポキシ(株)製、エピコート154)30部、12−ヒドロキシステアリン酸の縮重合により得られた酸価30、重量平均分子量4,500のポリエステル75部、ステアリン酸35部、およびテトラエチルアンモニウムブロマイド0.2部の混合物を仕込んだ。次に、窒素気流下に130〜150℃で3時間加熱攪拌した後に減圧濾過により触媒を除去することにより、重量平均分子量8,000の変性ノボラック樹脂を得た。
【0065】
<分散剤2>
市販されているアジスパーPB821(味の素(株)製/アミン価8〜10)を用いた。アジスパーPB821は、(ポリ)アミン化合物のアミノ基および/またはイミノ基にポリエステル基が導入された(ポリ)アミン誘導体に相当するものである。
【0066】
<分散剤3>
市販されているソルスパーズ13940(アビシア(株)製/アミン価80〜90)を用いた。ソルスパーズ13940は、(ポリ)アミン化合物のアミノ基および/またはイミノ基にポリエステル基が導入された(ポリ)アミン誘導体に相当するものである。
【0067】
<熱可塑性樹脂>
エポキシ樹脂(AER6064、旭化成(株)製)を使用した。
【0068】
実施例1
CS−C200Yの10部、分散剤(A)として上記分散剤1の1部、テトラヒドロフラン(SP値9.1、以下「THF」と称する)89部を混合し、直径5mmのスチールビーズを用いてペイントシェーカーで15分間混練後、直径0.05mmのジルコニアビーズを用いて、ウルトラアペックスミル(寿工業(株)製)によりさらに2時間混練した。この混練物の50部に、熱可塑性樹脂14.5部を添加し、さらにTHF35.5部で希釈した。その希釈物をモレスコホワイトP−80((株)松村石油化学研究所製、SP値8.5以下)80部で希釈しながら攪拌し、混合液を得た。次いで、密閉式攪拌槽よりなるホモジナイザーに溶剤留去装置(減圧装置に接続)を接続した装置を用い、混合液をホモジナイザーで高速攪拌(回転数5,000rpm)しながら減圧装置により混合液温が50℃になるように減圧し、THFを密閉式攪拌槽より完全に留去して実施例1の液体現像剤(固形分濃度20%)を得た。
【0069】
実施例2
CS−C200Yの10部、分散剤(A)として上記分散剤3の1部、THF89部を混合し、直径5mmのスチールビーズを用いてペイントシェーカーで15分間混練後、直径0.05mmのジルコニアビーズを用いて、ウルトラアペックスミル(寿工業(株)製)によりさらに2時間混練した。この混練物の50部に、熱可塑性樹脂14.5部を添加し、さらにTHF35.5部で希釈した。その希釈物をモレスコホワイトP−80((株)松村石油化学研究所製、SP値8.5以下)80部で希釈しながら攪拌し、混合液を得た。次いで、密閉式攪拌槽よりなるホモジナイザーに溶剤留去装置(減圧装置に接続)を接続した装置を用い、混合液をホモジナイザーで高速攪拌(回転数5,000rpm)しながら減圧装置により混合液温が50℃になるように減圧し、THFを密閉式攪拌槽より完全に留去して実施例2の液体現像剤(固形分濃度20%)を得た。
【0070】
実施例3
CS−C200Yの10部、分散剤(A)として上記分散剤1の2部、分散剤(B)として上記分散剤2の2部、THF86部を混合し、直径5mmのスチールビーズを用いてペイントシェーカーで15分間混練後、直径0.05mmのジルコニアビーズを用いて、ウルトラアペックスミルによりさらに2時間混練した。この混練物50部に、熱可塑性樹脂13部を添加し、さらにTHF37部で希釈した。その希釈物をモレスコホワイトP−80の80部で希釈しながら攪拌し、混合液を得た。次いで、密閉式攪拌槽よりなるホモジナイザーに溶剤留去装置(減圧装置に接続)を接続した装置を用い、混合液をホモジナイザーで高速攪拌(回転数5,000rpm)しながら減圧装置により混合液温が50℃になるように減圧し、THFを密閉式攪拌槽より完全に留去して実施例3の液体現像剤(固形分濃度20%)を得た。
【0071】
実施例4
CS−C200Yの10部、分散剤(A)として上記分散剤3の2部、分散剤(B)として上記分散剤2の2部、THF86部を混合し、直径5mmのスチールビーズを用いてペイントシェーカーで15分間混練後、直径0.05mmのジルコニアビーズを用いて、ウルトラアペックスミルによりさらに2時間混練した。この混練物50部に、熱可塑性樹脂13部を添加し、さらにTHF37部で希釈した。その希釈物をモレスコホワイトP−80の80部で希釈しながら攪拌し、混合液を得た。次いで、密閉式攪拌槽よりなるホモジナイザーに溶剤留去装置(減圧装置に接続)を接続した装置を用い、混合液をホモジナイザーで高速攪拌(回転数5,000rpm)しながら減圧装置により混合液温が50℃になるように減圧し、THFを密閉式攪拌槽より完全に留去して実施例4の液体現像剤(固形分濃度20%)を得た。
【0072】
実施例5
CS−C200Yの20部、分散剤(A)として上記分散剤1の2部、分散剤(B)として上記分散剤2の2部、THF76部を混合し、直径5mmのスチールビーズを用いてペイントシェーカーで15分間混練後、直径0.05mmのジルコニアビーズを用いて、ウルトラアペックスミルによりさらに2時間混練した。この混練物50部に、熱可塑性樹脂18部を添加し、さらにTHF34部で希釈した。その希釈物をモレスコホワイトP−80の70部で希釈しながら攪拌し、混合液を得た。次いで、密閉式攪拌槽よりなるホモジナイザーに溶剤留去装置(減圧装置に接続)を接続した装置を用い、混合液をホモジナイザーで高速攪拌(回転数5,000rpm)しながら減圧装置により混合液温が50℃になるように減圧し、THFを密閉式攪拌槽より完全に留去して実施例5の液体現像剤(固形分濃度30%)を得た。
【0073】
比較例1
実施例1において、分散剤1に代えて分散剤2を使用した以外は、実施例1と同様な方法により、比較例1の液体現像剤(固形分濃度20%)を得た。
比較例2
実施例3において、分散剤(A)および(B)を使用しない以外は、実施例3と同様な方法により液体現像剤を製造しようとしたが、凝集物が生成したため、液体現像剤が得られなかった。
【0074】
<評価方法>
以下のような評価方法により各液体現像剤を評価した。それらの結果を表1に示す。
【0075】
(粘度)
25℃における粘度をE型粘度計(50rpm)にて60秒後の粘度として測定した。
【0076】
(着色樹脂粒子の平均体積粒子径D50)
粒度分布計マイクロトラックUPA(ハネウェル社製)を用いて測定した。
【0077】
(着色樹脂粒子の状態)
光学顕微鏡BH−2(オリンパス(株)製)を用いて着色樹脂粒子が完全に包埋化されているかどうかの確認を行った。
【0078】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
無機粒子の表面に有機顔料またはカーボンブラックを被覆したハイブリッド型コアシェル構造を有する顔料、定着性を有する樹脂、前記樹脂を溶解する溶剤(A)、前記樹脂を溶解せず、溶剤(A)より低SP値である炭化水素系の溶剤(B)、溶剤(A)および溶剤(B)の両方に溶解する分散剤(A)の少なくとも1種を含有する混合液から、溶剤(A)を留去して、溶解状態にあった前記樹脂を析出させることにより、顔料を包埋した着色樹脂粒子を溶剤(B)中に分散させることを特徴とする液体現像剤の製造方法。
【請求項2】
無機粒子の表面に有機顔料またはカーボンブラックを被覆したハイブリッド型コアシェル構造を有する顔料、定着性を有する樹脂、前記樹脂を溶解する溶剤(A)、前記樹脂を溶解せず、溶剤(A)より低SP値である炭化水素系の溶剤(B)、溶剤(A)および溶剤(B)の両方に溶解する分散剤(A)の少なくとも1種、ならびに、溶剤(A)には溶解するが溶剤(B)には難溶性の分散剤(B)の少なくとも1種を含有する混合液から、溶剤(A)を留去して、溶解状態にあった前記樹脂を析出させることにより、顔料を包埋した着色樹脂粒子を溶剤(B)中に分散させることを特徴とする液体現像剤の製造方法。
【請求項3】
前記溶剤(A)としてSP値が8.5以上であるものを用い、前記溶剤(B)としてSP値が8.5未満のものを用いる請求項1または2記載の液体現像剤の製造方法。
【請求項4】
前記分散剤(A)および分散剤(B)を、液体現像剤中における質量比率が、分散剤(A):分散剤(B)=99:1〜1:99となるように併用する請求項2または3記載の液体現像剤の製造方法。
【請求項5】
前記溶剤(B)として高沸点パラフィン系溶剤を用いる請求項1〜4のいずれかに記載の液体現像剤の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法により製造された液体現像剤。