説明

液体現像装置

【課題】 高濃度の液体現像剤であっても、均一な膜厚の液体現像剤の薄層を現像ローラ上に形成し、濃度ムラやトナーかぶりのない画像を形成することができる液体現像装置を提供することを第1の目的とし、前記液体現像装置がコンパクトで、配置自由度が大きい低コストな液体現像装置を提供することを第2の目的とする。
【解決手段】 現像ローラの表面に液体現像剤を供給する液体現像剤吐出口を有する液体現像剤供給ヘッドが、前記現像ローラの周方向に、前記吐出口とは別に前記現像ローラの表面に液体を吐出する吐出口を少なくとも1つ有する液体現像装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体現像剤を用いた電子写真方式によりトナー画像を形成する複写機、ファクシミリ、プリンタ等に用いる液体現像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、高速の画像出力機としては、主に印刷機が用いられている。しかし、印刷機は、版を作る必要があり、また、少ない部数しか印刷しない場合はコストが高くなる。そのため、少い部数でかつ高速の画像出力を低価格で実現できる方式として、電子写真方式が提案されている。電子写真方式には乾式電子写真方式と湿式電子写真方式があるが、画質の点で湿式電子写真方式が優れている。
【0003】
湿式電子写真方式は、絶縁性液体の中にトナーを分散した液体現像剤を用いるが、高速現像を可能とする、現像機をコンパクトにできるといった観点から、高濃度の液体現像剤を用いている。しかし、高濃度の液体現像剤を用いる場合、現像ローラ上に形成される液体現像剤の薄層の膜厚が不均一になり画像上に濃度ムラが発生するという問題や、像担持体上の非画像部にもトナーが付着し白地部におけるトナーかぶりが発生するという問題がある。このような問題に対し、現像ローラ上に高濃度の液体現像剤の薄層を形成する方法として、複数のローラを用いて液体現像剤を現像ローラ上に供給する方法が一般的である。しかし、現像装置の部品点数が増加し駆動モータのトルクが高くなるため、コスト高となると共に、現像装置自体が大きくなり、現像装置の配置自由度が低下するという問題が発生した。
【0004】
上記の問題に対し、現像ローラの軸方向に沿ってスリット状の液体現像剤吐出口を設けた液体現像剤供給ヘッドを備えた液体現像装置が提案されている。この液体現像装置は、現像ローラの軸方向への液体現像剤の供給量を一定にするものであり、部品点数が少なく駆動モータのトルクを低くできるのでコスト高とならず、現像装置自体を小型にすることができる(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−258520号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の液体現像装置は、高濃度の液体現像剤を用いた場合、液体現像剤の粘度が高くなり、液体現像剤供給ヘッドの吐出口と現像ローラとの間で、液体現像剤に空気が混入したり、吐出口からの液体現像剤の吐出量が断続的に増減するので、均一な液体現像剤の薄層を現像ローラ上に形成することできず、濃度ムラやトナーかぶりを十分には解消することができない、という問題がある。
【0006】
本発明は係る問題を解決するためになされたものであり、粘度の高い、すなわち高濃度の液体現像剤を用いた場合であっても、均一な膜厚の液体現像剤の薄層を現像ローラ上に形成することができ、画像上に濃度ムラの発生がなく、白地部におけるトナーかぶりのない画像を形成することができる液体現像装置を提供することを第1の目的とする。
【0007】
コンパクトで、配置自由度が大きく、低コストの液体現像装置を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、鋭意研究を重ねたところ、以下の記載の何れかの構成により、前記課題を解決できることを見出した。
【0009】
請求項1に係る液体現像装置は、静電潜像が形成された像担持体と対向する位置に配置され、その表面に形成されたトナーとキャリア液とを含有する液体現像剤の薄層により前記静電潜像の現像を行う現像ローラと、前記現像ローラの軸方向に沿って形成され、前記現像ローラの表面に前記液体現像剤を吐出する吐出口を有する液体現像剤供給ヘッドとを備えてなる液体現像装置において、
前記液体現像剤供給ヘッドは、前記現像ローラの周方向に、前記吐出口とは別に前記現像ローラの表面に液体を吐出する吐出口を少なくとも1つ有することを特徴とするものである。
【0010】
請求項2に係る液体現像装置は、請求項1に記載の液体現像装置において、前記現像ローラが回転する方向に対して最下流側にある吐出口から吐出される液体の粘度は、前記液体現像剤の粘度よりも低い液体であることを特徴とするものである。
【0011】
請求項3に係る液体現像装置は、請求項2に記載の液体現像装置において、前記液体は、前記液体現像剤のキャリア液であることを特徴とするものである。
【0012】
請求項4に係る液体現像装置は、請求項2又は3に記載の液体現像装置において、前記液体現像剤の粘度が、25℃において、0.1Pa・s以上100Pa・s以下であることを特徴とするものである。
【0013】
請求項5に係る液体現像装置は、請求項1乃至4の何れか1項に記載の液体現像装置において、前記現像ローラが回転する方向に対して最下流側にある吐出口の下流側に位置する前記液体現像剤供給ヘッドの部位と前記現像ローラとの最近接距離(L1)が下記の式を満たすことを特徴とするものである。
【0014】
Q×0.5≦L1×V×H1≦Q
式中、Qは単位時間当たりの前記液体現像剤供給ヘッドに供給される前記液体現像剤及び前記液体の量(体積)であり、H1は前記現像ローラが回転する方向に対して最下流側にある吐出口の軸方向の長さ、Vは前記現像ローラの表面の回転速度である。
【0015】
すなわち、本発明者は、液体現像装置が備える液体現像剤供給ヘッドを、現像ローラの軸方向に沿って形成され、現像ローラの表面に液体現像剤を吐出する吐出口及びこの吐出口とは別に現像ローラの表面に液体を吐出する吐出口を少なくとも1つ有する構造とすることにより、現像ローラが回転する方向に対して最下流にある吐出口から吐出される液体の粘度を液体現像剤の粘度よりも低い液体としたときに、粘度の高い液体現像剤の薄層を現像ローラの表面に形成するに先立ち、液体現像剤よりも粘度の低い液体の薄層を形成することができ、粘度の高い、すなわち、高濃度の液体現像剤の薄層をムラが発生することなく均一に形成することができる、と考え本発明を成すに至ったのである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の液体現像装置によれば、画像上に濃度ムラの発生がなく、白地部におけるトナーかぶりのない良好な画像を形成することができる。また、コンパクトな構成を取ることができ、液体現像装置の配置自由度を大きくすることができる
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明の好適な実施形態である液体現像装置を備えた画像形成装置の概略構成を示す図である。ドラム状の像担持体1の周囲には、矢印で示す回転方向に順に、帯電装置2、露光装置3、液体現像装置4、転写ローラ5、クリーニングブレード6、除電ランプ7がそれぞれ配設されている。像担持体1の表面を帯電装置2により、所定の表面電位に一様に帯電し、その後、露光装置3により画像情報の露光を行い、像担持体1の表面に静電潜像を形成する。次いで、像担持体1の静電潜像は、液体現像剤よりも粘度の低い液体901と液体現像剤902をそれぞれ貯蔵した貯蔵タンク471、472を内蔵する液体現像装置4により現像され像担持体1の表面にトナー像が形成される。
【0019】
像担持体1に形成されたトナー像は、所定の電圧が印加された転写ローラ5により転写紙8上に転写される。その後、所定の温度に保持された定着ローラ91、92を通過することにより、トナー像は転写紙8上に固定的に定着される。また、トナー像の転写後の像担持体1上に残存する液体901及び液体現像剤902は、クリーニングブレード6により除去される。上記の工程を繰り返し、転写紙8上への画像形成を連続して行う。
【0020】
液体現像装置4は、現像ローラ41と液体現像剤供給ヘッド42を備えている。液体現像剤供給ヘッド42には、ポンプ461により貯蔵タンク471に貯蔵されている液体901の一定量(Q1とする)が供給され、また、ポンプ462により貯蔵タンク472に貯蔵されている液体現像剤902の一定量(Q2とする)が供給される。
【0021】
液体現像剤は、キャリア液である絶縁性液体、静電潜像を現像する帯電したトナー及び前記トナーを分散させる分散剤を主要成分としている。
【0022】
キャリア液としては、一般に電子写真用液体現像剤に用いるものであれば、特に制限することなく使用することができる。例えば、鎖状あるいは分岐鎖状脂肪族系炭化水素、芳香族系炭化水素などが挙げられる。具体的には、n−ペンタン、シクロヘキサン、イソパラフィン、塩素化パラフィン、ナフサ、ケロシン軽油などである。例えば、松村石油研究所(株)のモレスコホワイトなどを用いることができる。
【0023】
トナーとしては、一般に電子写真用液体現像剤に用いるものであれば、特に制限することなく使用することができる。トナーは着色剤及びバインダーとしての結着樹脂からなる。結着樹脂としては、例えばポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂を用いることができる。また、これらの樹脂を複数、混合して用いても良い。また、着色剤として用いられる顔料及び染料も一般に市販されている。例えば、顔料としては、カーボンブラック、ベンガラ、酸化チタン、シリカ、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、スカイブルー、ベンジジンイエロー、レーキレッドD等を用いることができる。染料としては、ソルベントレッド27やアシッドブルー9等を用いることができる。
【0024】
液体現像剤の調製方法としては、一般に用いられる方法で調製することができる。例えば、結着樹脂と顔料とを所定の配合比で、例えば加圧ニーダ、ロールミル等を用いて溶融混練して均一に分散し、得られた分散体をジェットミル等を用いて微細に粉砕する。得られた微粉末を例えば風力分級機等を用いて分級することで、所望の粒径のトナーを得ることができる。
【0025】
続いて、得られたトナーをキャリア液である絶縁性液体と所定の配合比で混合する。この混合物をボールミル等の分散手段を用いて均一に分散し、液体現像剤を得ることができる。
【0026】
本発明の液体現像装置に用いる液体現像剤のトナー濃度は、5〜40質量%、好ましくは15〜30質量%である。
【0027】
液体現像剤の粘度は概ねトナー濃度に依存するが、液体現像剤の粘度は、25℃において0.1Pa・s以上100Pa・s以下が好ましく、より好ましくは0.2Pa・s以上20Pa・s以下である。0.1Pa・sより低粘度の場合、トナー濃度が低くなると共にトナーの分散性が悪くなるので、液体現像剤を薄層にすることが困難である。また、100Pa・sより高粘度になると、キャリア液とトナーとの攪拌が難しくなる傾向にあり、均一な液体現像剤を作製するための装置が大がかりとなる。液体現像剤の粘度は、TAインスツルメント社製の粘度測定装置アレス(品番:FR−100)で測定することができる。液体現像剤の粘度を上記のような範囲とすることで、現像ローラ上に形成される液体現像剤薄層の層厚を規制することが容易となる。また、トナー濃度を高くすることができるので、従来の粘度の低い(例えば0.1Pa・s未満)液体現像剤を用いる場合と比べて、使用する液体現像剤の総量を減らすことができるので、液体現像装置自体をコンパクトにすることが可能となる。
【0028】
本発明の液体現像装置は、液体現像剤を吐出する吐出口とは別に液体を吐出する吐出口を少なくとも1つ有するものであるが、現像ローラが回転する方向に対して最下流側にある吐出口から吐出される液体の粘度は、液体現像剤の粘度よりも低い液体であることが好ましい。具体的には、0.5Pa・s以下であることが好ましい。
【0029】
液体現像剤よりも粘度の低い液体としては、絶縁性液体であれば任意の液体を用いることができる。例えば、液体現像装置に用いる液体現像剤のキャリア液と同じ液体を用いることにより、現像後に現像ローラをクリーニングすることにより除去された液体現像剤を回収し、回収した液から固形分を分離して、再度キャリア液として利用することができるので、廃棄物を減少できると共に、経済的であるというメリットがある。
【0030】
次に、図2を参照して、液体現像剤供給ヘッド42について説明する。図2は、本発明の液体現像装置に係る液体現像剤供給ヘッドの一実施の形態を示す概略構成図である。
【0031】
図2(a)に液体現像剤供給ヘッド42の断面の模式図を示す。図2(b)は、液体901を吐出するスリット状の吐出口421及び液体現像剤902を吐出する吐出口422を有する液体現像剤供給ヘッド42を吐出口側から見た図である。本発明の液体現像装置に係る液体現像剤供給ヘッドが有する吐出口はスリット状の他にノズル上の穴を多数並べて吐出口としたものでも良い。図2(c)は、ノズル状の穴を多数並べて吐出口としたものを示している。吐出口421と吐出口422とは、どちらの形状でも良いが、ノズル状の穴を多数並べて吐出口としたものが、液体現像剤供給ヘッド42の剛性が強くなり、寸法精度を出しやすくなるので好ましい。吐出口422の長手方向の幅は、像担持体1の表面を一様に帯電する帯電幅よりも短く、像担持体1の表面に潜像を形成するための画像露光を行う露光幅又は現像ローラで現像可能な現像幅よりも長くなるように設定することが好ましい。このように設定することにより、液体現像剤供給ヘッド42の長手方向の両端部で生じる現像ローラ41上での液体現像剤薄層の層厚ムラの影響(例えば、像担持体1のクリーニングムラや転写部における転写ムラなど)を防ぐことができる。
【0032】
ポンプ462(図1参照)で液体現像剤902を吐出口422から現像ローラ41上に一定量(Q2)供給し、その後、ポンプ461(図1参照)で液体901を吐出口421から、現像ローラ41上に形成した液体現像剤902の上に一定量(Q1)供給している。
【0033】
吐出口422から吐出した一定量の液体現像剤902は、側板426と現像ローラ41との最近接距離L2により、液体現像剤薄層は一定の層厚に規制される。最近接距離L2の設定値としては、概ね0.1μm〜10,000μm程度であればよく、好ましくは2μm〜1,000μmである。また、最近接距離L2は、液体現像剤中のトナーがスムーズに通過できるように、トナーの粒径より大きく設定する。また、最近接距離L2の設定値が大きすぎると、現像ローラ41上の液体現像剤薄層の層厚が大きくなり、現像時のトナー移動に長時間を要するため、現像速度が遅くなるという問題が生じる。
【0034】
本実施形態においては、側板426で規制された余剰液体現像剤を上流側側板427と現像ローラ41との間からオーバーフローさせている。別の形態としては、側板426の現像ローラ41の軸方向両端部に流出口(図示せず)を設け、余剰液体現像剤を流出させて、現像剤受け43(図1参照)に貯めても良い。また、現像ローラ41の周速をV、吐出口422の現像ローラ軸方向の長さをH1とした時、液体現像剤の供給量(Q2)を、Q2=L1×V×H1とすることで、余剰液現像剤が無くなるというメリットがある。
【0035】
現像ローラ41上で、吐出口422から吐出され一定の層厚に規制された液体現像剤902の薄層の表面に、吐出口421から液体901を一定量(Q1)吐出させる。その後、下流側側板425と現像ローラ41との最近接距離L1により、一定の層厚に規制する。この時生じる液体901の余剰液は、下流側側板425の現像ローラ軸方向両端部から流出させる。流出した余剰現像液は、現像剤受け43(図1を参照)に貯めても良いが、別の図示していない余剰液受けに貯め、図示していないポンプにより、貯蔵タンク471(図1を参照)に戻しても良い。
【0036】
最近接距離L1は、L2より0.1μm〜1,000μm程度大きくすることが好ましい。
【0037】
上記で説明したような機構により、現像ローラ41の表面に、トナー濃度の高い液体現像剤薄層Bとその上にトナー濃度の低い低粘度の液体薄層Aとで構成される現像剤薄層100が形成される。この現像剤薄層100により、像担持体1上の静電潜像を現像することでトナーかぶりや濃度ムラのない画像を形成することができる。
【0038】
最近接距離L1がL2+0.1μmよりも小さいと、液体901の薄層を均一に形成することが難しくなり、部分的に液体901の薄層のないところが生じる。この場合、液体現像剤902の薄層が最表面に露出することとなり、最近接距離L1のところで現像剤薄層の層厚が乱される。
【0039】
また、最近接距離L1がL2+1,000μmより大きいと、液体901で形成される液体の薄層の層厚が厚くなり、現像時のトナー移動に長時間を要するため、現像速度が遅くなるという問題が生じる。
【0040】
また、現像ローラ41の周速をV、吐出口421の現像ローラ軸方向の長さをH1とするとき、ポンプ461から供給される液体901の供給量(Q1)(体積)とポンプ462から供給される液体現像剤の供給量(Q2)との合計量Q(Q1+Q2)をQ×0.5≦L1×V×H1≦Qとすることで、液体901と液体現像剤902で形成される現像剤薄層を現像ローラ41に、安定して形成することができる。液体901の供給量(Q1)と液体現像剤の供給量(Q2)との合計量Qが、Q×0.5>L1×V×H1の場合、余剰液及び余剰現像剤が多くなり、経済的に無駄が多くなる。また、L1×V×H1>Qの場合、L1部分での液体901で形成される液体の薄層の層厚を規制できず、不安定な層厚となり、画像上の濃度ムラの発生、白地部におけるトナーかぶり、画像欠損の原因となる。
【0041】
このように液体現像剤供給ヘッド42が、現像ローラ41の周方向に、少なくとも液体901を吐出する吐出口421と液体現像剤902を吐出する吐出口422とを有し、吐出口421を現像ローラ41の回転方向に対して最下流側に設け、液体901の粘度を、液体現像剤902の粘度よりも低くすることで、従来のような複数ローラで構成される薄層形成機構が不要となり、非常にコンパクトで配置自由度が大きく、低コストの液体現像装置を提供できる。
【0042】
このようにして形成した現像ローラ41上の液体901と液体現像剤902とからなる現像剤薄層100により、像担持体1上の静電潜像を現像する。現像後、現像ローラ41上に残る現像剤薄層100は、現像ローラクリーニングブレード44により、現像ローラ表面から掻き取られる。掻き取られた現像剤薄層100は、現像剤受け43(図1を参照)に貯められる。
【0043】
現像剤受け43(図1を参照)に貯められた液体901と液体現像剤902とは、ポンプ45により、貯蔵タンク472に戻され、図示していない高濃度液タンクから高濃度液を補給することで、貯蔵タンク472に貯蔵されている液体現像剤902の濃度を調整する。
【0044】
液体現像剤供給ヘッド42の製造方法としては、樹脂材料からの成型(押し出し成形方法、型抜き成形方法等)や機械加工、レーザ加工などにより作製することができる。また、板材を貼り合わせて作製することもできる。
【0045】
液体現像剤供給ヘッド42を構成する材料としては、特に制限なく各種の材料を用いることができる樹脂材料としては、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂等を挙げることができる。
【0046】
液体現像剤供給ヘッド42が有する吐出口の数は、3つ以上であっても良い。図3(a)、(b)に吐出口が3つの場合の液体現像剤供給ヘッド42の断面図と吐出口側から見た図との模式図を示す。ここで3番目の吐出口423には、図示していないポンプで液体901を一定量(Q3)供給する。また、図3(a)において、L1>L2>L3の関係に設定することが好ましい。ここでL3は、側板428と現像ローラ41との最近接距離である。このように設定にすることで、上流側で形成された薄層が下流側で乱されることがなく、ほぼ供給された粘度を有する液体現像剤乃至は液体で形成されるそれぞれの薄層が供給された順に積層して現像剤薄層が形成される。
【0047】
また、現像ローラ41の周速をV、吐出口421の現像ローラ軸方向の長さをH1とするとき、ポンプ461(図1参照)から供給される液体901の供給量(Q1)とポンプ462(図1参照)から供給される液体現像剤902の供給量(Q2)と図示しないポンプから供給される液体901の供給量(Q3)の合計量Q(Q1+Q2+Q3)をQ×0.5≦L1×V×H1≦Qとすることで、液体現像剤902の薄層を液体901の薄層で挟んだ3層構造の現像剤層100を現像ローラ41に、安定して形成することができる。
【0048】
このような構造の現像剤層100を形成することで、トナー濃度の低い低粘度の液体901と現像ローラ41とが接触するため、現像ローラ41表面に液体現像剤902のトナーが固着し難くなる。このような液体現像装置を用いて、画像形成を行うことにより長期にわたって、品質の高い画像、すなわち、画像上に濃度ムラの発生がなく、白地部におけるトナーかぶりのない画像を形成することができる。
【0049】
次に本発明の実験例について詳細に説明する。
【0050】
(実験例1)
キャリア液(モレスコホワイトP−120(村松石油研究所(株)製))と粒径3μmのトナーをトナー濃度20質量%となるように混合し、15Pa・s(25℃)の粘度とした液体現像剤902を調製した。この液体現像剤902のトナーの帯電量は、−50μC/gであった。液体901としては、モレスコホワイトP−120を使用した。図1に示すような画像形成装置を用い、図2(a)に示すような液体現像剤供給ヘッド42(吐出口は図2(b)に示すようなスリットの形状のものとした)を用いた。
【0051】
液体901を貯蔵タンク471に貯蔵し、液体現像剤902を貯蔵タンク472に貯蔵した。
【0052】
像担持体1としては、φ80mmのアルミドラムに有機感光体膜を形成したものを用い、周速200mm/secで回転させた。帯電装置2としては、スコロトロンチャージャーを用い、像担持体1の表面を表面電位−700Vになるように帯電した。露光装置3としては、半導体レーザを用い画像部分を露光し像担持体1の表面電位を−100Vとした。
【0053】
液体現像装置4の現像ローラ41としては下記に記載のものを用いた。作動条件は下記の通りに設定した。
【0054】
径:φ40mm
材料:NBR+カーボンブラック
表面導電率:1×107Ω・cm
ゴム硬度:50°
周速:200mm/sec
バイアス電圧:−400V
液体現像剤供給ヘッド42は、図2(b)に示すスリット型のものを使用し、以下のような条件に設定した。
【0055】
L1:10μm
L2:8μm
H1:300mm
ポンプ461から吐出口421に供給する液体901の供給量Q1:0.2×10-63/sec
ポンプ462から吐出口422に供給する液体現像剤902の供給量Q2:0.7×10-63/sec
以上の条件で10000枚の耐刷テストを行い、目視観察したところ、画像濃度のムラやかぶりなどのない良好な画像を形成することができた。
【0056】
(実験例2)
実験例1において、トナー濃度を30質量%とし、液体現像剤供給ヘッド42を図3に示す構成にし、設定条件を下記のようにした以外は、実験例1と同様な方法で実験を行った。
【0057】
L1:10μm
L2:8μm
L3:3μm
H1:300mm
ポンプ461から吐出口421に供給する液体901の供給量Q1:0.2×10-63/sec
ポンプ462から吐出口422に供給する液体現像剤902の供給量Q2:0.6×10-63/sec
ポンプ463(図示せず)から吐出口423に供給する液体901の供給量Q3:0.2×10-63/sec
以上の条件で10000枚の耐刷テストを行い、目視観察したところ、画像濃度のムラやかぶりなどのない良好な画像を形成することができた。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施形態である液体現像装置を備えた画像形成装置の概略構成図である。
【図2】(a)は、本発明の一実施形態である液体現像装置における液体現像剤供給ヘッドの概略構成図である。(b)は、本発明の一実施形態である液体現像装置におけるスリット状の吐出口を有する液体現像剤供給ヘッドの吐出口側から見た概略構成図である。(c)は、本発明の一実施形態である液体現像装置におけるノズル状の吐出口を複数有する液体現像剤供給ヘッドの吐出口側から見た概略構成図である。
【図3】(a)は、本発明の一実施形態である液体現像装置における液体現像剤供給ヘッドの概略構成図である。(b)は、本発明の一実施形態である液体現像装置におけるスリット状の吐出口を有する液体現像剤供給ヘッドの吐出口側から見た概略構成図である。
【符号の説明】
【0059】
L1 下流側側板と現像ローラとの最近接距離
L2、L3 側板と現像ローラとの最近接距離
1 像担持体
2 帯電装置
3 露光装置
4 液体現像装置
5 転写ローラ
6 クリーニングブレード
7 除電ランプ
8 転写紙
901 液体
902 液体現像剤
91、92 定着ローラ
41 現像ローラ
42 液体現像剤供給ヘッド
43、431 現像剤受け
44 現像ローラクリーニングブレード
45、461、462 ポンプ
471、472 貯蔵タンク
421、422、423、4211、4221 吐出口
425 下流側側板
426、428 側板
427 上流側側板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像が形成された像担持体と対向する位置に配置され、その表面に形成されたトナーとキャリア液とを含有する液体現像剤の薄層により前記静電潜像の現像を行う現像ローラと、前記現像ローラの軸方向に沿って形成され、前記現像ローラの表面に前記液体現像剤を吐出する吐出口を有する液体現像剤供給ヘッドとを備えてなる液体現像装置において、
前記液体現像剤供給ヘッドは、前記現像ローラの周方向に、前記吐出口とは別に前記現像ローラの表面に液体を吐出する吐出口を少なくとも1つ有することを特徴とする液体現像装置。
【請求項2】
前記現像ローラが回転する方向に対して最下流側にある吐出口から吐出される液体の粘度は、前記液体現像剤の粘度よりも低い液体であることを特徴とする請求項1に記載の液体現像装置。
【請求項3】
前記液体は、前記液体現像剤のキャリア液であることを特徴とする請求項2に記載の液体現像装置。
【請求項4】
前記液体現像剤の粘度が、25℃において、0.1Pa・s以上100Pa・s以下であることを特徴とする請求項2又は3に記載の液体現像装置。
【請求項5】
前記現像ローラが回転する方向に対して最下流側にある吐出口の下流側に位置する前記液体現像剤供給ヘッドの部位と前記現像ローラとの最近接距離(L1)が下記の式を満たすことを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の液体現像装置。
Q×0.5≦L1×V×H1≦Q
(式中、Qは単位時間当たりの前記液体現像剤供給ヘッドに供給される前記液体現像剤及び前記液体の量(体積)であり、H1は前記現像ローラが回転する方向に対して最下流側にある吐出口の軸方向の長さ、Vは前記現像ローラの表面の回転速度である。)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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