説明

液体用輸送兼貯蔵容器

【課題】
液体用輸送兼貯蔵容器を提供する。
【解決手段】
液体用輸送兼貯蔵容器1の主構成部品は、合成樹脂製内側容器2と、金属格子または金属薄板からなる外壁14と、パレット状の支台17である。この支台はフォークリフトの掴みアームを下方に挿入可能である、脚20〜23、24〜27で支えられた底板29を備えている。傾斜流出底板として形成された内側容器2の底板7に合わせて形成された支台の底板29は、2つの底板部分29a、29bに分割され、この底板部分はそれぞれ、底板の後側端から前側端の方へおよび底板の両側方端から底板中心軸線の方へ小さな傾斜角度で傾斜している。輸送兼貯蔵容器は外形寸法が同じである場合、市販されている標準容器よりも大きな定格容積を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂製内側容器と、金属格子または金属薄板からなる外壁と、フォークリフト、棚操作装置または類似の輸送手段による取扱操作に合わせて形成されたパレット状の支台とを具備し、この支台がコーナー脚と中間脚で支えられた、内側容器を支持するための金属薄板製底板を有し、この内側容器が閉鎖可能な注入短管と、排出栓を接続するための流出短管とを備え、内側容器が中央に浅い傾斜流出条溝(Ablaufrinne)を有する傾斜流出底板(Ablaufboden)を有し、この傾斜流出条溝が容器後壁から、容器の前壁に設けられた、排出栓を接続するための出口短管へゆるやかに傾斜して延在し、内側容器の底板に合わせて形成された支台の底板が2つの底板部分に分割され、この底板部分が底板の両縦方向端から底板中心軸線の方へおよび底板の後側端から前側端の方へ傾斜し、両底板部分が補強ウェブ(Versteifungssicke)を備え、この補強ウェブの底が共通の水平平面内に位置している、液体用輸送兼貯蔵容器に関する(特許文献1)。
【背景技術】
【0002】
規格化されたこの種の市販の輸送兼貯蔵容器は、640リットル、820リットル、1000リットルおよび1250リットルの定格容積を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許第0509228B1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の根底をなす課題は、容器の外形寸法を変更せずに定格容積を増大させ、かつ支台の底板を補強するように、冒頭に述べた種類の輸送兼貯蔵容器の構造を改良することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は本発明に従い、請求項1の特徴を有する液体用輸送兼貯蔵容器によって解決される。
【0006】
従属請求項は本発明の有利で合目的な発展形態を含んでいる。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る輸送兼貯蔵容器は次の利点がある。
【0008】
いろいろな容積を有するように製作された新しい容器は、外形寸法が同じである場合に、市販の標準容器と比べて定格容積が増大する。この定格容積の増大は、合成樹脂製内側容器を支持する働きをするパレット状支台の底板を下げてゆるやかに傾斜させたことによって達成され、その際、輸送手段による輸送兼貯蔵容器の取扱操作のために必要である、輸送兼貯蔵容器の内側容器のための支台の支持底板の最低地上高を損なうことがない。輸送兼貯蔵容器の支台の支持底板を新しく形成することにより、公知の標準容器と比べて、定格容積に応じて、10リットルまでの容積増大が達成される。さらに、新しい形状に基づいて支持底板の安定性が高まるので、支持底板を製作するための金属薄板の材料厚さを薄くすることができ、それに伴い製作コストが低減される。支台底板が絞り加工技術の観点から最適に形成されるので、市販の輸送兼貯蔵容器と比べて、支台底板のために安価な製作材料を使用することができる。
【0009】
次に、図に基づいて本発明に係る液体用輸送兼貯蔵容器を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】輸送兼貯蔵容器の斜視図である。
【図2】輸送容器の内側容器を支持するための支台の底板の拡大斜視図である。
【図3】図2の支台底板の平面図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿った支台底板の簡略化した拡大縦断面図である。
【図5】図3のV−V線に沿った支台底板の簡略化した拡大縦断面図である。
【図6】図3のVI−VI線に沿った支台底板の簡略化した拡大縦断面図である。
【図7】図3のVII−VII線に沿った支台底板の簡略化した拡大横断面図である。
【図8】図3のVIII−VIII線に沿った支台底板の簡略化した拡大横断面図である。
【図9】図3のIX−IX線に沿った支台底板の簡略化した拡大横断面図である。
【図10】図3のX−X線に沿った支台底板の簡略化した拡大横断面図である。
【図11】図3のXI−XI線に沿った支台底板の簡略化した拡大横断面図である。
【図12】図3のXII−XII線に沿った支台底板の簡略化した拡大横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
使い捨て容器および何回も使える容器として使用可能である図1に示した液体用輸送兼貯蔵容器1は、その主構成部品として、交換可能な直方体の合成樹脂製内側容器2を備えている。この内側容器は前壁3と、後壁4と、2つの側壁5、6と、底板7と、天板8と、この天板8に成形され蓋10によって閉鎖可能な注入短管9と、前壁3の下側部分の湾曲窪み11に成形された、排出栓13を接続するための出口短管12とを備えている。液体用輸送兼貯蔵容器1は、その主構成部品としてさらに、互いに交叉する水平な金属製格子棒15および垂直な金属製格子棒16を有する格子壁として形成された、内側容器2を収容するための外壁14と、ISO規格の長さ寸法と幅寸法を有するパレット状の支台17とを備えている。
【0012】
傾斜流出板として形成された内側容器2の底板7は、底板中心軸線18−18に関して対称に配置された2つの底板部分7a、7bに分割されている。この底板部分は0〜2°の範囲内の小さな傾斜角度αをなして容器2の後壁4から前壁3の方へ傾斜し、かつ1〜3°の範囲内の小さな傾斜角度βをなして容器の両側壁5、6から底板中心線18−18の方へ傾斜している。
【0013】
内側容器2の底板7は中央の浅い傾斜流出条溝19を有する。この傾斜流出条溝は、容器後壁4から、容器の前壁3に設けられた、排出栓13を接続するための出口短管12の方へやや傾斜して延在している。
【0014】
フォークリフト、棚操作装置または類似の輸送手段による取扱操作に合わせて設計された、図2、3に示した輸送兼貯蔵容器1の支台17は、コーナー脚20〜23および中間脚24〜27と下枠28に載っている、内側容器2を支持するための金属薄板製底板29を備えている。内側容器2の底板7に適合する支台17の底板29は、底板中心軸線30−30線に関して対称に配置された2つの底板部分29a、29bに分割されている。この底板部分は内側容器2の両底板部分7a、7bのように、0〜2°の範囲内の傾斜角度αをなして底板後側端31から底板前側端32の方へゆるやかに傾斜し、かつ1〜3°の範囲内の傾斜角度βをなして底板29の両側方端33、34から底板中心軸線30−30の方へゆるやかに傾斜している。
【0015】
内側容器2の底板7に適合した支台17の底板29には、内側容器2の底板7の傾斜流出条溝19を収容するための条溝状凹部35が形成されている。この凹部は底板後側端31から底板前側端32の方へゆるやかに傾斜している。
【0016】
支台17の両底板部分29a、29bの上面36には、底板の縦方向および横方向に延在する補強ウェブ37、38がプレス成形されている。この補強ウェブは底板部分の下面39から下方に突出し、そのウェブ底40は共通の水平平面41−41内に位置している。従って、輸送兼貯蔵容器1のパレット状支台17の底板29は、その下に挿入されるフォークリフトまたは棚操作装置の図示していない掴みアーム上に水平に、ひいては傾動しないように載置される。
【0017】
支台底板29の両底板部分29a、29bの中間領域の下面39には、側方の中間脚26、27と一体に形成された横材状の金属製補強薄板42が固定されている。この中間領域において、両底板部分29a、29bの下面39には、補強ウェブ43がプレス成形されている。この補強ウェブは両底板部分29a、29bの上面36から上方に突出し、支台底板29の横方向に延在している。補強ウェブ43の頂部44は内側容器2の底板7の両底板部分7a、7bを支持する働きをする。
【0018】
支台底板29の両底板部分29a、29bの上面36には、底板をさらに補強するために、鉢状の凹部45がプレス成形されている。この凹部は底板部分29a、29bの下面39から下方に突出し、そしてそこから他の補強ウェブ46が放射状に分岐している。
【符号の説明】
【0019】
1 輸送兼貯蔵容器
2 内側容器
3 内側容器2の前壁
4 内側容器2の後壁
5 内側容器2の側壁
6 内側容器2の側壁
7 内側容器2の底板
7a 底板7の底板部分
7b 底板7の底板部分
8 内側容器2の天板
9 天板8の注入短管
10 注入短管9の蓋
11 前壁3の湾曲窪み
12 湾曲窪み11の出口短管
13 排出栓
14 外壁
15 外壁14の水平な格子棒
16 外壁14の垂直な格子棒
17 パレット状支台
18−18 底板7の中心軸線
19 底板7の傾斜流出条溝
20 支台17のコーナー脚
21 支台17のコーナー脚
22 支台17のコーナー脚
23 支台17のコーナー脚
24 支台17の中間脚
25 支台17の中間脚
26 支台17の中間脚
27 支台17の中間脚
28 支台17の下枠
29 支台17の底板
29a 底板29の底板部分
29b 底板29の底板部分
29c 底板29の中間領域
30−30 底板29の中心軸線
31 底板29の後側端
32 底板29の前側端
33 底板29の側方端
34 底板29の側方端
35 底板29の条溝状凹部
36 底板部分29a、29bの上面
37 底板部分29a、29bの縦方向の補強ウェブ
38 底板部分29a、29bの横方向の補強ウェブ
39 底板部分29a、29bの下面
40 補強ウェブ37、38の底
41−41 ウェブ底40の水平平面
42 下面39の金属製補強薄板
43 中間領域29cの補強ウェブ
44 補強ウェブ43の頂部
45 上面36の鉢状凹部
46 凹部45の補強ウェブ
α 底板部分29a、29bの傾斜角度
β 底板部分29a、29bの傾斜角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂製内側容器と、金属格子または金属薄板からなる外壁と、フォークリフト、棚操作装置または類似の輸送手段による取扱操作に合わせて形成されたパレット状の支台とを具備し、この支台がコーナー脚と中間脚で支えられた、内側容器を支持するための金属薄板製底板を有し、この内側容器が閉鎖可能な注入短管と、排出栓を接続するための流出短管とを備え、内側容器が中央に浅い傾斜流出条溝を有する傾斜流出底板を有し、この傾斜流出条溝が容器後壁から、容器の前壁に設けられた、排出栓を接続するための出口短管へゆるやかに傾斜して延在し、内側容器の底板に合わせて形成された支台の底板が2つの底板部分に分割され、この底板部分が底板の両縦方向端から底板中心軸線の方へおよび底板の後側端から前側端の方へ傾斜し、両底板部分が補強ウェブを備え、この補強ウェブの底が共通の水平平面内に位置している、液体用輸送兼貯蔵容器において、
底板後側端(31)から底板前側端(32)の方へゆるやかに傾斜する支台(17)の底板(29)の両底板部分(29a、29b)の傾斜角度(α)が、0〜2°の範囲であり、両底板側方端(33、34)から底板中心軸線(30−30)の方へゆるやかに傾斜する支台(17)の底板(29)の両底板部分(29a、29b)の傾斜角度(β)が、1〜3°であることを特徴とする容器。
【請求項2】
支台底板(29)の両底板部分(29a、29b)の上面(36)に補強ウェブ(37、38)がプレス成形され、この補強ウェブが底板部分の下面(39)から下方に突出し、かつ底体(29)の縦方向と横方向および/または底板中心軸線(30−30)に対して斜めに延在し、補強ウェブの底(40)が共通の水平平面(41−41)内に位置していることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
支台底板(29)の中央領域(29c)において両底板部分(29a、29b)の下面(39)に、内側容器(2)の底板(7)用の補強兼支持ウェブ(43)がプレス成形され、この補強兼支持ウェブが両底板部分の上面(36)から上方に突出し、かつ底板(29)の下面(39)に取付けられた横材状の金属製補強薄板(43)にわたって底板(29)の横方向に延在していることを特徴とする請求項1または2に記載の容器。
【請求項4】
支台底板(29)を補強するために、支台底板の両底板部分(29a、29b)の上面(36)に鉢状の凹部(45)がプレス成形され、この凹部が両底板部分(29a、29b)の下面(39)から下方に突出し、凹部(45)から他の補強ウェブ(46)が放射状に分岐していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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