説明

液化石油ガス噴射エンジン車両用熱交換器

【課題】エアコンシステムを循環する冷媒と、ボンベに還流されるLPG燃料と、を熱交換させることによって、LPG燃料の温度を低くした後、ボンベに流入させ、ボンベの内部圧力が上昇するのを防止するLPI車両用熱交換器を提供する。
【解決手段】本発明のLPI車両用熱交換器は、エアコンシステムの冷媒配管上に設けられ、三重管構造に形成され、中央に配置され冷媒が移動する冷媒パイプと、冷媒パイプの外側に配置され、前記冷媒パイプの外周面との間にLPG燃料が移動する燃料パイプと、燃料パイプの外側に配置されLPG燃料がバイパスして流されるバイパス流路が形成されるバイパスパイプと、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化石油ガス噴射エンジン車両用熱交換器に係り、より詳しくは、エアコンシステムの冷媒配管上に装着して、エアコンシステムを循環する冷媒と液化石油ガスとを熱交換させる液化石油ガス噴射エンジン車両用熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、液化石油ガス噴射エンジン(Liquefied Petroleum Injection Engine、以下[LPI]と記す)は、液化石油ガス(Liquefied Petroleum Gas、以下「LPG」と記す)ボンベの圧力に依存した機械式LPG燃料噴射方式とは異なって、ボンベ内に燃料ポンプを設け、燃料ポンプによってLPG燃料を高圧(5乃至15bar)で液状化させる。液状燃料は、インジェクタ(Injector)を用いて気筒に噴射されることによって、エンジンが駆動される。
【0003】
このようなLPIは液状の燃料を噴射するため、ベポライザー(Vaporizer)やミキサー(Mixer)等の構成部品は必要としない。その代わりに、高圧インジェクタ、及びボンベに設けられる燃料ポンプ、燃料供給ライン、LPI専用電子制御装置(ECU)及び燃料圧力を調節するレギュレータユニットを追加して装備する必要がある。
【0004】
このようなLPIの電子制御装置は、各種センサの入力信号を受信してエンジンの状態を判断し、最適の空燃比及びエンジン性能を達成するために燃料ポンプ、インジェクタ、及び点火コイルを制御する。
そして、エンジンが要求する燃料量に応じて燃料ポンプを制御し、液状燃料をエンジンに供給し、LPIインジェクタはエンジンのシリンダに順次に燃料を噴射して、最適の空燃比による運転を実施する。
【0005】
ところが、従来のLPIシステムが適用された車両は、エンジンから高温の燃料がボンベに還流されることによって、ボンベ内のLPG燃料の温度が上昇し、これによってボンベの内部圧力が高まる現象が発生した(例えば特許文献1を参照)。特に、ボンベの内部圧力がLPG燃料充填所の充填圧力よりも高い場合には、LPG燃料がボンベ内に充填できないという問題がある。
【0006】
エンジンから還流される燃料の温度を低くするためには、別途の燃料冷却装置をリターンライン上に設けなければならないため、製作及び設置費用が上昇し、狭いエンジンルームの内部に設置空間を確保するに制約が発生するなどの問題点も有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−196534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであって、エアコンシステムの冷媒配管上に装着して、エアコンシステムを循環する冷媒と、ボンベに還流されるLPG燃料と、を熱交換させることによって、LPG燃料の温度を低くした後、ボンベに流入させ、ボンベの内部圧力が上昇するのを防止するLPI車両用熱交換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するための本発明のLPI車両用熱交換器は、LPG燃料を用いるLPI車両で、エンジンから還流される高温のLPG燃料を冷却するためのLPI車両用熱交換器であって、
エアコンシステムの圧縮器と蒸発器とを連結する冷媒配管上に設けられ、中心に冷媒が流れ、外側にエンジンから還流されるLPG燃料が流れ、冷媒とLPGとが熱交換されるパイプユニットと、パイプユニットの一端に装着され、圧縮器に連結された冷媒配管とパイプユニットとを連結し、LPG燃料が流入される流入ポートが形成された第1連結部材と、パイプユニットの他端に装着され、蒸発器に連結された冷媒配管とパイプユニットとを連結し、パイプユニットを通過したLPG燃料が排出される排出ポートが形成された第2連結部材と、を有することを特徴とする。
【0010】
また本発明のパイプユニットは、三重管構造に形成され、冷媒が、パイプユニットの中央に形成された一つの管を流れ、LPG燃料が、一つの管の外側に形成された二つの管に分かれて流れるようになっていることを特徴とする。
【0011】
また本発明のパイプユニットは、冷媒配管を介して蒸発器から供給される低温、低圧の気体冷媒が移動する冷媒流路を有し、中央に配置される冷媒パイプと、冷媒パイプの外側に配置され、冷媒パイプの外周面との間にLPG燃料が移動する燃料流路が形成される燃料パイプと、燃料パイプの外側に配置され、燃料パイプの外周面との間にLPG燃料がバイパスして流されるバイパス流路が形成されるバイパスパイプと、を有することを特徴とする。
【0012】
また本発明のパイプユニットは、冷媒パイプとバイパスパイプとの間に、長さ方向に形成され、冷媒パイプに対して燃料パイプとバイパスパイプとを固定し、燃料流路とバイパス流路とを複数の部分に区画する1以上の隔壁を更に有することを特徴とする。
【0013】
また本発明は、隔壁が、冷媒パイプと燃料パイプとを連結する第1隔壁と、燃料パイプとバイパスパイプとを連結する第2隔壁と、を有し、第1隔壁と第2隔壁とが、冷媒パイプの中心を基準に同一線上に形成されたことを特徴とする。
【0014】
また本発明の第1連結部材は、一端が冷媒配管と連結され、他端が冷媒パイプの一端と連結される第1内側パイプと、外周面に流入ポートが形成され、一端が第1内側パイプの一端と一体に形成され、他端がバイパスパイプの一端の外周面を囲む形状で取り付けられる第1外側パイプと、を有することを特徴とする。
【0015】
また本発明の第2連結部材は、一端が冷媒配管と連結され、他端が冷媒パイプの他端と連結される第2内側パイプと、外周面に排出ポートが形成され、一端が第2内側パイプの一端と一体に形成され、他端がバイパスパイプの他端の外周面を囲む形状で取り付けられる第2外側パイプと、を有することを特徴とする。
【0016】
また本発明は、LPG燃料と冷媒とは、互いに反対方向に流されることを特徴とする
また本発明は、冷媒パイプ、燃料パイプ、及びバイパスパイプが、圧出成形によって一体に形成されたことを特徴とする。
【0017】
また本発明は、冷媒パイプと燃料パイプとが、圧出成形によって一体に形成された後、別途に形成されたバイパスパイプに挿入されたことを特徴とする。
また本発明の隔壁は、冷媒パイプと燃料パイプとを連結する第1隔壁と、燃料パイプの外周面で半径外側に突出する第2隔壁と、を有することを特徴とする。
また本発明は、バイパスパイプの内周面に、第2隔壁に対応して、第2隔壁が挿入される挿入溝が形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明のLPI車両用熱交換器は、エンジンから還流される高温のLPG燃料を冷却してボンベに排出することによって、ボンベの内部圧力が上昇するのを防止することができる。
また、ボンベ5の内部圧力が上昇するのを防止することによって、ボンベの充填時に燃料の注入を円滑にし、車両の商品性を向上させることができる。
【0019】
また、本発明のLPI車両用熱交換器は、三重管構造に形成され、冷媒がパイプユニットの中央に形成された冷媒流路を流れ、LPG燃料が冷媒流路外側に形成されたバイパス流路を流れ、燃料流路とバイパス流路を通過したLPG燃料が混合されることによって、LPG燃料は適正水準の温度とされ、LPG燃料が過冷却されることが防止され、冷媒と燃料流路を通過するLPG燃料がエンジンルームの熱気によって熱交換されることによって冷媒の温度が上昇するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明のLPI車両用熱交換器が適用されたエアコンシステムの構成図である。
【図2】本発明のLPI車両用熱交換器の斜視図である。
【図3】図2のA−A線に沿った断面図である。。
【図4】図2のB−B線に沿った断面図である。
【図5】本発明のLPI車両用熱交換器に適用される連結部材の斜視図である。
【図6】本発明のLPI車両用熱交換器の作動を示す断面図である。
【図7】本発明の他の実施例によるLPI車両用熱交換器に適用されるパイプユニットの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明の好ましい実施例について添付した図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明によるLPI車両用熱交換器が適用されたエアコンシステムの構成図であり、図2は、本発明のLPI車両用熱交換器の斜視図であり、図3は、図2のA−A線に沿った断面図であり、図4は、図2のB−B線に沿った断面図であり、図5は、本発明のLPI車両用熱交換器に適用される連結部材の斜視図である。
【0022】
図1〜5に示すように、本発明のLPI車両用熱交換器100は、エアコンシステムの冷媒配管7上に装着され、エアコンシステムを循環する冷媒とボンベ5に還流されるLPG燃料とを相互熱交換させることによって、LPG燃料の温度を低くした後、ボンベに流入させる。これにより、熱交換器100は、ボンベの内部圧力が上昇するのを防止することができる。
【0023】
ここで、本発明のLPI車両用熱交換器100は、図1に示すように、冷媒を圧縮する圧縮器10と、圧縮器10から圧縮された冷媒が供給されて凝縮をする凝縮器20と、凝縮器20によって凝縮された液体冷媒を膨張させる膨張バルブ30と、膨張バルブ30によって膨張した冷媒を空気との熱交換を通じて蒸発させる蒸発器40とを有するエアコンシステムに連結して用いられる。
【0024】
ここで、熱交換器100は、圧縮器10と蒸発器40とを連結する冷媒配管7上に装着され、LPG燃料を用いるLPI車両のエンジン3から還流される高温のLPG燃料を冷媒との熱交換によって冷却する。
【0025】
このために、本発明のLPI車両用熱交換器100は、図2、3に示すように、パイプユニット110と、第1連結部材120と、第2連結部材130と、を含んで構成される。
【0026】
パイプユニット110は、圧縮器10と蒸発器40とを連結する冷媒配管7上に設けられ、三重管構造に形成される。
パイプユニット110は、その中心に冷媒が流され、その外側には、冷媒との混入が防止された状態で、エンジン3から還流される高温のLPG燃料が流されながら冷媒と熱交換され、更にその外側にはLPG燃料がバイパスされて流される。
【0027】
ここで、パイプユニット110は、図3、4に示すように、冷媒パイプ111、燃料パイプ113、バイパスパイプ115、及び隔壁117から構成される。これを各構成要素別に更に詳しく説明する。
冷媒パイプ111は、その内部に冷媒配管7を介して蒸発器40から供給される低温、低圧の気体冷媒が移動する冷媒流路112が形成され、パイプユニット110の中央部に配置される。
【0028】
本実施例において、燃料パイプ113は、冷媒パイプ111の外側を囲んで形成され、燃料パイプ113の内周面と冷媒パイプ111の外周面との間にLPG燃料が流れる燃料流路114が形成される。
バイパスパイプ115は、燃料パイプ113の外側を囲んで形成され、バイパスパイプ115の内周面と燃料パイプ113の外周面との間にはLPG燃料がバイパスされるバイパス流路116が形成される。
【0029】
バイパス流路116に、パイプユニット110に流入されたLPG燃料の一部を通過させることによって、燃料流路114を通過するLPG燃料と冷媒流路112を通過する冷媒とがエンジンルームの熱気と熱交換して冷媒の温度が上昇するのを防止する。
【0030】
本実施例において、隔壁117が、冷媒パイプ111とバイパスパイプ115との間に形成されており、冷媒パイプ111に対して、燃料パイプ113とバイパスパイプ115とを固定する。
少なくとも一つ以上の隔壁117が、パイプユニット110の長さ方向に形成され、燃料流路114とバイパス流路116とを複数の部分に区画する。
【0031】
ここで、複数の隔壁117は円周方向に沿って離隔するように形成される。隔壁117は、冷媒パイプ111と燃料パイプ113とを連結する第1隔壁118と、燃料パイプ113とバイパスパイプ115とを連結する第2隔壁119とを有する。
【0032】
第1隔壁118と第2隔壁119とは、冷媒パイプ111の中心を基準に同一線上に形成されてもよい。
隣り合う第1隔壁118と第2隔壁119との間の角度は45°であってもよく、冷媒パイプ111の円周方向に沿って8個の第1隔壁118及び第2隔壁119が形成されてもよい。
【0033】
このような第1隔壁118及び第2隔壁119は、燃料流路114とバイパス流路116とを複数の部分に区画する。
ここで、第1隔壁118及び第2隔壁119によって区画された燃料流路114とバイパス流路116とは、各パイプ111、113、115の直径の差によってそれぞれ異なる断面積を有する。
これにより、パイプユニット110に流入されたLPG燃料は、別途のバルブがなくても流量が配分される。
【0034】
即ち、エンジン3から還流されたLPG燃料が、パイプユニット110の内部で、第1隔壁118及び第2隔壁119によって区画された燃料流路114とバイパス流路116とに流入するとき、燃料流路114とバイパス流路116との断面積差によって、LPG燃料の一定量が燃料流路114に流入し残部のLPG燃料が断面積が最も大きいバイパス流路116に流入する。
【0035】
これにより、冷媒流路112を通過する低温、低圧の気体冷媒と燃料流路114を通過するLPG燃料とが熱交換する。
この際、バイパス流路116を通過するLPG燃料は、エンジンルームの熱気と冷媒とが熱交換するのを防止するヒートプロテクターの機能を果たす。
【0036】
また、燃料流路114を通過しながら冷媒によって温度が下げられたLPG燃料が、パイプユニット110から排出されるとき、バイパス流路116を通過したLPG燃料と混合される。これによって、LPG燃料が過冷却されることが防止される。
【0037】
冷媒パイプ111、燃料パイプ113、及びバイパスパイプ115は、圧出成形によって一体に形成されてもよく、この過程で隔壁117も一体に圧出成形によって形成されてもよい。
【0038】
上記では、8個の第1隔壁118及び第2隔壁119が形成されることを一実施例として説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、第1隔壁118と第2隔壁119との個数及び位置は変更されてもよい。
また、第1隔壁118及び第2隔壁119が同一線上に形成されることを例として説明しているが、これに限定されるものではなく、第1隔壁118及び第2隔壁119は同一線上に形成されないこともある。
【0039】
本実施例において、第1連結部材120は、パイプユニット110の一端に装着され、圧縮器10に連結された冷媒配管7とパイプユニット110とを連結する。第1連結部材120の一側には、LPG燃料が流入される流入ポート126が形成される。
【0040】
また、第2連結部材130は、パイプユニット110の他端に装着され、蒸発器40に連結された冷媒配管7とパイプユニット110とを連結する。第2連結部材130の一側には、パイプユニット110を通過したLPG燃料が排出される排出ポート136が形成される。
【0041】
ここで、第1連結部材120は、図5に示すように、第1内側パイプ122と第1外側パイプ124とから構成される。
第1内側パイプ122は、一端が冷媒配管7と連結され、他端が冷媒パイプ111の一端と連結される。
第1外側パイプ124は、外周面に流入ポート126が形成され、一端が第1内側パイプ122の一端と一体に形成され、他端がバイパスパイプ115の一端の外周面を囲む形状で取り付けられる。第1外側パイプ124の他端の直径は、第1内側パイプ122の直径よりも更に大きく形成される。
【0042】
第2連結部材130は第2内側パイプ132と第2外側パイプ134とから構成される。
第2内側パイプ132は、一端が冷媒配管7と連結され、他端が冷媒パイプ111の他端と連結される。
【0043】
第2外側パイプ134は、外周面に排出ポート136が形成され、一端が第2内側パイプ132の一端と一体に形成され、他端がバイパスパイプ115の他端の外周面を囲む形状で取り付けられる。第2外側パイプ134の他端の直径は、第2内側パイプ132の直径よりも更に大きく形成される。
【0044】
第1連結部材120は、エンジン3から還流されるLPG燃料を、流入ポート126を介して燃料流路114とバイパス流路116とに流入させる。
第2連結部材130は、パイプユニット110の燃料流路114を通過しながら冷却されたLPG燃料と、バイパス流路116を通過したLPG燃料と、を第2内側パイプ132と第2外側パイプ134との間に形成される空間で混合した後、混合されたLPG燃料を排出ポート136を介してボンベ5に排出する。
【0045】
以下に、本発明の実施例によるLPI車両用熱交換器100の作動及び作用について詳しく説明する。
図6は、本発明の実施例によるLPI車両用熱交換器の作動を示す断面図である。
図6に示すように、本発明のLPI車両用熱交換器100は、エンジン3から還流されたLPG燃料を流入ポート126を介して第1連結部材120の内部に流入させる。
流入されたLPG燃料は、第1隔壁118及び第2隔壁119により区画された燃料流路114とバイパス流路116とに分かれて流入される。
【0046】
この際、燃料流路114の断面積はバイパス流路116の断面積よりも小さく形成されることによって、一定量のLPG燃料のみが燃料流路114に流入され、残部のLPG燃料はバイパス流路116に流入される。
冷媒は、蒸発器40から冷媒配管7を介して流入され、冷媒流路112内で燃料の流動方向とは反対方向に移動する。この過程で、燃料流路114を通過するLPG燃料は冷媒と熱交換を通じて冷却される。
【0047】
そしてバイパス流路116を通過するLPG燃料は、エンジンルームの熱気が冷媒に伝達されないように防止することによって、冷媒の温度上昇を防止すると同時に、燃料流路114を通過するLPG燃料と相互熱交換する。
熱交換によって冷却されたLPG燃料は、第2連結部材130の第2内側パイプ132と第2外側パイプ134との間の空間に流入され、混合され、適正水準の温度とされる。
【0048】
LPG燃料は、排出ポート136を介してボンベ5に排出される。
したがって、熱交換器100は、エンジン3から還流された高温のLPG燃料を冷媒との熱交換によって冷却した後、バイパスされるLPG燃料と混合して、適正水準の温度にする。その後、熱交換器100は、LPG燃料をボンベ5に排出させることによって、高温状態のLPG燃料の流入によるボンベ5の内部圧力が上昇するのを防止する。
【0049】
したがって、本発明のLPI車両用熱交換器100は、エアコンシステムを循環する冷媒とボンベ5に還流されるLPG燃料とを熱交換させることによって、LPG燃料の温度を低下させた後、ボンベ5に流入させる。これによってボンベ5の内部圧力が上昇するのを防止することができる。
また、ボンベ5の内部圧力が上昇するのを防止することによって、ボンベ5の充填時に燃料の注入を円滑にし、商品性を向上させることができる。
【0050】
本発明は、パイプユニット110を構成する冷媒流路112、燃料流路114、及びバイパス流路116を半径の内側から外側に向けて順次に配置し、冷媒流路112に冷媒が流れるようにし、燃料流路114とバイパス流路116とには燃料が流れるようにする。したがって、エンジンルームの内部に配置された冷媒配管7を移動する冷媒が、エンジンルームの熱気と直接熱交換するのを防止し、熱損失を低減し、エアコンシステムの性能低下を最小化することができる。
【0051】
また、パイプユニット110を通過する燃料の一部のみを冷媒と熱交換させ、残部の燃料は冷媒と熱交換しないようにした後、冷却した一部の燃料と残部の燃料とを混合して、ボンベ5に排出させる。これによって、LPG燃料を適正水準に冷却することができる。
一方、図7は、本発明の他の実施例によるLPI車両用熱交換器に適用されるパイプユニットの分解斜視図である。
【0052】
図7に示すように、本発明の他の実施例によるLPI車両用熱交換器100は、パイプユニット220の内部構造を除いては、本発明の実施例によるLPI車両用熱交換器100と同一である。
即ち、本発明の他の実施例による冷媒パイプ211と燃料パイプ213とは圧出成形によって一体に形成される。冷媒パイプ211と燃料パイプ213とは、別途に形成されたバイパスパイプ215に挿入されてもよい。
【0053】
ここで、隔壁217は、冷媒パイプ211と燃料パイプ113とを連結する第1隔壁218と、燃料パイプ213の外周面で半径外側に突出する第2隔壁219と、を含む。
また、バイパスパイプ215の内周面には、第2隔壁219に対応して挿入溝221が形成される。第2隔壁219は挿入溝221に挿入される。
【0054】
つまり、圧出成形によって、冷媒パイプ211、燃料パイプ213、第1隔壁218、及び第2隔壁219は一体に成形され、第2隔壁219がバイパスパイプ215に形成された挿入溝221に挿入されて、冷媒パイプ211と燃料パイプ213とがバイパスパイプ215に組み立てられる。
【0055】
以上、本発明に関する好ましい実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の属する技術範囲を逸脱しない範囲での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0056】
3 エンジン
5 ボンベ
7 冷媒配管
10 圧縮器
20 凝縮器
30 膨脹バルブ
40 蒸発器
100 LPI車両用熱交換器
110、220 パイプユニット
111、211 冷媒パイプ
112 冷媒流路
113、213 燃料パイプ
114 燃料流路
115、215 バイパスパイプ
116 バイパス流路
117、217 隔壁
118、218 第1隔壁
119、219 第2隔壁
120 第1連結部材
122 第1内側パイプ
124 第1外側パイプ
126 流入ポート
130 第2連結部材
132 第2内側パイプ
134 第2外側パイプ
136 排出ポート


【特許請求の範囲】
【請求項1】
液化石油ガス(以下LPGと記す)燃料を用いる液化石油ガス噴射エンジン(以下LPIと記す)車両で、エンジンから還流される高温のLPG燃料を冷却するためのLPI車両用熱交換器であって、
エアコンシステムの圧縮器と蒸発器とを連結する冷媒配管上に設けられ、中心に冷媒が流れ、外側に前記エンジンから還流される前記LPG燃料が流れ、前記冷媒と前記LPGとが熱交換されるパイプユニットと、
前記パイプユニットの一端に装着され、前記圧縮器に連結された前記冷媒配管と前記パイプユニットとを連結し、前記LPG燃料が流入される流入ポートが形成された第1連結部材と、
前記パイプユニットの他端に装着され、前記蒸発器に連結された前記冷媒配管と前記パイプユニットとを連結し、前記パイプユニットを通過した前記LPG燃料が排出される排出ポートが形成された第2連結部材と、
を有することを特徴とするLPI車両用熱交換器。
【請求項2】
前記パイプユニットは、三重管構造に形成され、前記冷媒が、前記パイプユニットの中央に形成された一つの管を流れ、前記LPG燃料が、前記一つの管の外側に形成された二つの管に分かれて流れるようになっていることを特徴とする請求項1に記載のLPI車両用熱交換器。
【請求項3】
前記パイプユニットは、
前記冷媒配管を介して前記蒸発器から供給される低温、低圧の気体冷媒が移動する冷媒流路を有し、中央に配置される冷媒パイプと、
前記冷媒パイプの外側に配置され、前記冷媒パイプの外周面との間にLPG燃料が移動する燃料流路が形成される燃料パイプと、
前記燃料パイプの外側に配置され、前記燃料パイプの外周面との間にLPG燃料がバイパスして流されるバイパス流路が形成されるバイパスパイプと、
を有することを特徴とする請求項1に記載のLPI車両用熱交換器。
【請求項4】
前記パイプユニットは、前記冷媒パイプと前記バイパスパイプとの間に、長さ方向に形成され、前記冷媒パイプに対して前記燃料パイプと前記バイパスパイプとを固定し、前記燃料流路と前記バイパス流路とを複数の部分に区画する1以上の隔壁を更に有することを特徴とする請求項3に記載のLPI車両用熱交換器。
【請求項5】
前記隔壁は、前記冷媒パイプと前記燃料パイプとを連結する第1隔壁と、前記燃料パイプと前記バイパスパイプとを連結する第2隔壁と、を有することを特徴とする請求項4に記載のLPI車両用熱交換器。
【請求項6】
前記第1隔壁と第2隔壁とは、前記冷媒パイプの中心を基準に同一線上に形成されたことを特徴とする請求項5に記載のLPI車両用熱交換器。
【請求項7】
前記第1連結部材は、一端が前記冷媒配管と連結され、他端が前記冷媒パイプの一端と連結される第1内側パイプと、外周面に前記流入ポートが形成され、一端が前記第1内側パイプの一端と一体に形成され、他端が前記バイパスパイプの一端の外周面を囲む形状で取り付けられる第1外側パイプと、を有することを特徴とする請求項3に記載のLPI車両用熱交換器。
【請求項8】
前記第2連結部材は、一端が前記冷媒配管と連結され、他端が前記冷媒パイプの他端と連結される第2内側パイプと、外周面に前記排出ポートが形成され、一端が前記第2内側パイプの一端と一体に形成され、他端が前記バイパスパイプの他端の外周面を囲む形状で取り付けられる第2外側パイプと、を有することを特徴とする請求項3に記載のLPI車両用熱交換器。
【請求項9】
前記LPG燃料と前記冷媒とは、互いに反対方向に流されることを特徴とする請求項1に記載のLPI車両用熱交換器。
【請求項10】
前記冷媒パイプ、前記燃料パイプ、及び前記バイパスパイプは、圧出成形によって一体に形成されたことを特徴とする請求項3に記載のLPI車両用熱交換器。
【請求項11】
冷媒パイプと燃料パイプとが、圧出成形によって一体に形成された後、別途に形成されたバイパスパイプに挿入されたことを特徴とする請求項3に記載のLPI車両用熱交換器。
【請求項12】
前記隔壁は、前記冷媒パイプと前記燃料パイプとを連結する第1隔壁と、前記燃料パイプの外周面で半径外側に突出する第2隔壁と、を有することを特徴とする請求項11に記載のLPI車両用熱交換器。
【請求項13】
前記バイパスパイプの内周面に、前記第2隔壁に対応して、前記第2隔壁が挿入される挿入溝が形成されたことを特徴とする請求項12に記載のLPI車両用熱交換器。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−113296(P2013−113296A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−131251(P2012−131251)
【出願日】平成24年6月8日(2012.6.8)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)