液圧成形方法及びその液圧成形品
【課題】装置の簡単化と生産コストの低減とを図りつつ、液圧成形品の角部の板厚を増加することができる液圧成形方法及びその液圧成形品を提供する。
【解決手段】液体が封入された管部材Wを径方向内側へ押圧する可動型5bと、管部材Wを可動型5bと異なる方向から径方向内側へ押圧する左右1対のカム型4とにより管部材Wを押圧して液圧を作用させながら角部を備えた形状に成形する液圧成形方法において、可動型5bの押圧動作に先行して左右1対のカム型4が管部材Wを径方向内側へ押圧する先行押圧工程と、左右1対のカム型4と可動型5bが管部材Wに接触した後、管部材W内部の液圧Pを接触後液圧P1に保持する液圧保持工程と、前記カム型4と可動型5bが下死点に到達する前において、管部材W内部の液圧Pを接触後液圧P1よりも低く設定された下死点前液圧P2まで低下させる液圧低下工程と、を有する。
【解決手段】液体が封入された管部材Wを径方向内側へ押圧する可動型5bと、管部材Wを可動型5bと異なる方向から径方向内側へ押圧する左右1対のカム型4とにより管部材Wを押圧して液圧を作用させながら角部を備えた形状に成形する液圧成形方法において、可動型5bの押圧動作に先行して左右1対のカム型4が管部材Wを径方向内側へ押圧する先行押圧工程と、左右1対のカム型4と可動型5bが管部材Wに接触した後、管部材W内部の液圧Pを接触後液圧P1に保持する液圧保持工程と、前記カム型4と可動型5bが下死点に到達する前において、管部材W内部の液圧Pを接触後液圧P1よりも低く設定された下死点前液圧P2まで低下させる液圧低下工程と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体が封入された管部材を径方向内側へ押圧して液圧を作用させながら角部を備えた形状に成形する液圧成形方法及びその液圧成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フロントロアアームやトーションビーム等の閉断面を備えた車両用部材の液圧成形方法の1つとして、例えば、複数の成形型内に管部材をセットし、このセットされた管部材の内部に加工液を封入して液圧を作用させることにより、円形断面の管部材を塑性変形させて角部を備えた車両用部材を成形する液封成形(リキッドシーリング成形)が知られている。
【0003】
特許文献1に記載された液圧成形方法について、図12に基づいて説明する。
図12(a),(b)に示すように、特許文献1の液圧成形装置50は、管部材WOの両端にシール状態で装着され管部材WOの内部に加工液を注入するノズル51と、内部に液圧が与えられた管部材WOを左右両側から挟み込んで径方向内側に押圧する1対の第1成形型52と、これら1対の成形型52の押圧動作に先行して管部材WOを上下方向から挟み込む1対の第2成形型53と、先行して管部材WOを上下方向から押圧している1対の第2成形型53と接触して型開き方向の移動を阻止するストッパ54等を備えている。
【0004】
通常、このような液圧成形方法では、図13に示すような成形時間と管部材内圧との関係になるように管部材内部の液圧が制御され、管部材を所望の製品形状に加工している。
まず、管部材の内部に加工液を封入後、先行して管部材を挟み込む先行成形型が管部材に接触したT1から管部材内圧が急激に上昇し、所定の管部材内圧に達したとき、管部材の内部から加工液を排出し、先行成形型の押圧動作に拘わらず管部材内圧を一定に維持している。尚、先行成形型の挟み込み動作に引き続き後続成形型の挟み込み動作が開始される。後続成形型は、T2において管部材に接触する。T2以降は、先行成形型と後続成形型との挟み込み動作に応じて管部材内圧が一定になるよう加工液の排出が制御される。
先行成形型と後続成形型とが下死点に到達したT3から所定時間経過後のT4まで管部材内圧が一定に維持され、その後、管部材の内部から加工液が排出される。
【0005】
液圧成形品では、管部材の金属材料を周方向へ流動させることによりその形状を成形している。それ故、角部を備えた液圧成形品は、角部の変形量が大きいため、角部から角部以外の部位へ流動する金属材料が多くなり、角部の板厚が角部以外の部位の板厚に比べて薄くなるという問題があった。そこで、角部の板厚の減少を抑えて液圧成形品の肉厚の均等化を図る技術が提案されている。
【0006】
特許文献2に記載された液圧成形方法は、成形型が、液圧成形品の角部を成形する複数の固定ダイと、成形空間に向けてスライド可能な複数の可動ダイとに分割され、固定ダイと可動ダイとの分割位置を、角部相当部位であって、分割位置において成形面に対して引いた接線が成形空間内を横切ることがない位置に設定し、型締めした後、成形空間内の管部材に所定の液圧を作用させながら可動ダイを管部材の径方向内側に押し出し作動させている。これにより、角部以外の管部材の金属材料を角部へ積極的に流動させて液圧成形品の角部断面を減少させることなく形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−181477号公報
【特許文献2】特開2000−343141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2の液圧成形方法は、液圧成形品の角部の板厚をコントロールすることができ、角部の板厚の減少を抑えて液圧成形品の肉厚の均等化を図ることが可能である。
しかし、この液圧成形方法では、液圧成形品の各角部に夫々対応した固定ダイを複数設ける必要が生じるため、成形装置が複雑化し、生産コストが高くなる虞がある。しかも、角部に夫々対応した固定ダイの増加に伴って、固定ダイと可動ダイとの分割線が増加するため、液圧成形品に転写された分割線の手直しが必要になり、更に生産コストの上昇を招く虞もある。
【0009】
本発明の目的は、装置の簡単化と生産コストの低減とを図りつつ、液圧成形品の角部の板厚を増加できる液圧成形方法及びその液圧成形品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の液圧成形方法は、液体が封入された管部材を径方向内側へ押圧する第1成形型と、前記管部材を前記第1成形型と異なる方向から径方向内側へ押圧する1又は複数の第2成形型とにより前記管部材を押圧して液圧を作用させながら角部を備えた形状に成形する液圧成形方法において、前記第1,第2成形型が前記管部材に接触した後、前記管部材内部の液圧を接触後液圧に保持する液圧保持工程と、前記第1,第2成形型が下死点に到達する前において、前記管部材内部の液圧を前記接触後液圧よりも低く設定された下死点前液圧まで低下させる液圧低下工程と、を有することを特徴としている。
【0011】
この液圧成形方法では、第1,第2成形型が下死点に到達する前において、管部材内部の液圧を接触後液圧よりも低く設定された下死点前液圧まで低下させる液圧低下工程を備えているため、第1,第2成形型が下死点に到達する前の管部材内部の液圧を低下することができ、第1,第2成形型による下死点到達前の押圧動作を、管部材の金属材料を角部以外の部位から角部へ流動させる流動促進動作として利用することができる。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記第1成形型の押圧動作に先行して前記第2成形型が前記管部材を前記径方向内側へ押圧する先行押圧工程を有することを特徴としている。
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記第2成形型が下死点近傍位置のとき、前記第1成形型が前記管部材に接触することを特徴としている。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1〜3の何れか1項の発明において、前記液圧保持工程において、接触後液圧をP1(MPa)、管部材の板厚をL(mm)、管部材の降伏強度をA(MPa)、管部材外径をD(mm)としたとき、P1≧L×(A/D)×3.25を満たすことを特徴としている。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1〜4の何れか1項の発明において、前記液圧低下工程において、下死点前液圧をP2(MPa)、管部材の板厚をL(mm)、管部材の引張強度をB(MPa)、管部材外径をD(mm)としたとき、L×B/108≦P2≦L×B/36を満たすことを特徴としている。
【0015】
請求項6の液圧成形品は、請求項1に記載の液圧成形方法によって成形されたことを特徴としている。
請求項7の発明は、請求項6の発明において、 前記液圧成形品が車両用部材であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、第1,第2成形型が下死点に到達する前の管部材内部の液圧を低下できると共に第1,第2成形型による下死点到達前の押圧動作を、管部材の金属材料を角部以外の部位から角部へ流動させる流動促進動作として利用できるため、管部材の角部の板厚の減少を抑えると共に角部専用の成形型の省略及び成形型による分割線の手直し工程の省略が可能になる。それ故、装置の簡単化と生産コストの低減とを図りつつ、液圧成形品の角部の板厚を増加することができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、角部へ流動させるための管部材の金属材料を第1成形型による押圧部分に集めることができる。
請求項3の発明によれば、第1成形型による押圧部分に集められた角部へ流動させるための管部材の金属材料を増すことができる。
【0018】
請求項4の発明によれば、管部材の拡管が可能且つ管部材が破損しない接触後液圧の圧力範囲を得ることができる。
請求項5の発明によれば、液圧成形品の形状を成形できる下死点前液圧の下限値と、型締めしつつ管部材の金属材料を流動可能な下死点前液圧の上限値とを得ることができる。
【0019】
請求項6の発明によれば、成形装置の簡単化と生産コストの低減とを図りつつ、角部の板厚を増加した液圧成形品を得ることができる。
請求項7の発明によれば、成形装置の簡単化と生産コストの低減とを図りつつ、角部の板厚を増加した車両用部材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例に係る液圧成形装置の右側平面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】液圧成形方法に係る工程図であって、(a)は先行押圧工程の初期状態を示し、(b)は先行押圧工程の後期状態を示し、(c)は液圧保持工程の初期状態を示し、(d)液圧保持工程の後期状態を示している。
【図4】実施例に係る液圧成形方法の管部材内圧のタイムチャートである。
【図5】第1の検証実験に係る液圧成形品の斜視図である。
【図6】第1の検証実験に係る実験結果である。
【図7】第1の実験結果のグラフである。
【図8】第2の検証実験に係る実験結果である。
【図9】第2の実験結果のグラフである。
【図10】第3の検証実験に係る実験結果である。
【図11】第3の実験結果のグラフである。
【図12】従来の液圧成形装置であって、(a)は側面図を示し、(b)は縦断面図を示している。
【図13】従来の液圧成形方法に係る管部材内圧のタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。尚、本実施例では、閉断面を備えた車両用トーションビームの成形に適用した例を示し、カム型が移動する方向を左右方向、固定型に配置された管部材の軸心方向を前後方向として説明する。また、以下の説明は、液圧成形方法により成形された液圧成形品の説明を含むものとする。
【実施例1】
【0022】
本発明の実施例1について図1〜図11に基づいて説明する。
図1,図2に示すように、この液圧成形方法に用いられる液圧成形装置1は、床上に固定された下型2と、この下型2に対して上下方向に近接離隔可能な上型3と、断面円形状の金属製管部材Wの軸心に直交した左右側部分の形状を形成する先行成形型としての左右1対のカム型4(第2成形型)と、管部材Wの左右側部分に直交した上下側部分の形状を形成する後続成形型としての固定型5a及び可動型5b(第1成形型)と、管部材Wの前後両端部にシール状態で装着された前後1対のノズル部材6等を備えている。尚、液圧成形装置1は、左右対称の構造であるため、以下、左側部分の説明を省略し、主に、右側部分の説明を行う。
【0023】
下型2は、管部材Wを位置決め載置すると共に成形部を備えた固定型5aと、この固定型5aを挟んで左右両側に配置され夫々に成形部を備えた左右1対のカム型4と、これら左右1対のカム型4の夫々が装着され下型2の上部を左右方向にスライド自在に形成された左右1対のスライド部材7等により構成されている。右側スライド部材7の右端部には、右側程下方に移行する傾斜部が形成されている。
【0024】
上型3は、上下方向に往復動可能な駆動装置(図示略)に連結されると共に、成形部を備えた可動型5bと、この可動型5bを挟んで左右両側に配置された左右1対のカム部材8等により構成されている。右側カム部材8の左端部には、右側程下方に移行する傾斜部が形成され、右側スライド部材7の傾斜部に対して摺動自在に形成されている。
【0025】
前後1対のノズル部材6は、管部材Wの前後両端部に対して密封状に装着され、少なくとも一方のノズル部材6は、管部材Wの内部に水又は加工油等の加工液を充填すると共に管部材W内部の液圧を調整するために管部材Wの内部から加工液を調整排出可能に構成されている。これにより、加工液を管部材W内部に封入後、上型3が下降動作したとき、左右1対のカム部材8の下降動作に同期して左右1対のスライド部材7が管部材Wに接近移動し、左右1対のカム型4が管部材Wを左右両側から径方向内側へ押圧する。左右1対のカム型4による押圧開始後、可動型5bが管部材Wを上側から径方向内側へ押圧し、左右1対のカム型4と可動型5bとが同時に押圧動作における下死点位置に到達するように設定されている。
【0026】
次に、図3の工程図及び図4の管部材W内圧のタイムチャートに基づき、本液圧成形方法における処理手順について説明する。尚、本液圧成形方法によって成形される液圧成形品は、軸心方向に延びる角部を4箇所備えた断面矩形状の閉断面を有する車両用部材である。また、これらの角部は、固定型5aとカム型4、或いは可動型5bとカム型4との境界(分割)部分で形成されている。
【0027】
まず、加工開始前の準備工程として、管部材Wを固定型5a上の加工位置に位置決め固定し、管部材Wの両端部に対して前後1対のノズル部材6の装着及び加工液の封入が予め行なわれる。
【0028】
次に、上型3が初期位置から下降し、先行押圧工程を開始する。
図3(a)に示すように、上型3の下降動作に伴い、左右1対のカム型4が左右両側から管部材Wの径方向内側へ向かって移動され、同様に、可動型5bが上側から管部材Wの径方向内側へ向かって移動される。図4に示すように、先行押圧工程の開始時、T1の時点で左右1対のカム型4が可動型5bに先行して管部材Wの左右側部分に接触し、管部材Wの左右側部分の挟み込みを開始する。両カム型4の押圧動作により、管部材Wが径方向内側に塑性変形し、管部材W内部の液圧Pが急激に上昇する。
【0029】
図3(b)に示すように、先行押圧工程の後期には、左右1対のカム型4が管部材Wの左右側部分を更に押圧しているため、管部材Wが断面楕円形状に変形する。管部材W内部の液圧Pの増加に伴い、両カム型4の成形部と管部材Wとの接触面積が成形開始からの経過時間に応じて増加する。図4に示すように、管部材W内部の液圧Pは、管部材Wの拡管が可能で且つ管部材Wが破損しないように設定された接触後液圧P1、例えば、70MPaを保持するように、ノズル部材6を介して排出される加工液が調整されている。
【0030】
先行押圧工程の終了後、液圧保持工程を行う。
図3(c)に示すように、両カム型4の成形部の略全面と管部材Wの左右側部分とが面接触する位置、所謂左右1対のカム型4が下死点近傍に位置するT2(図4参照)の時点において、可動型5bが上側へ断面円弧状に湾曲した管部材Wの上側部分に接触し、液圧保持工程が開始される。図4に示すように、液圧保持工程では、左右1対のカム型4と可動型5bとの押圧動作に応じて、管部材W内部の液圧Pが前記同様、70MPaを保持するように調整されている。
【0031】
図3(d)に示すように、可動型5bが管部材Wの上側部分に接触後、左右1対のカム型4と可動型5bとが管部材Wを径方向内側に押圧し、管部材Wが矩形状に塑性変形される。先行押圧工程のとき、管部材Wの上側湾曲部長さ(面積)が可動型5bの成形部長さ(面積)よりも大きく形成されているため、液圧保持工程では、上側湾曲部長さと成形部長さとの差分相当の長さ(面積)が、液圧成形品の角部を形成するために固定型5aとカム型4、或いは可動型5bとカム型4との境界(分割)部分へ供給されている。
【0032】
次に、左右1対のカム型4と可動型5bとが下死点位置に到達する前において、液圧低下工程を行う。図4に示すように、左右1対のカム型4と可動型5bとが下死点に到達するT3の直前において、管部材W内部の液圧Pを接触後液圧P1(70MPa)から接触後液圧P1よりも低く設定された下死点前液圧P2まで低下させている。下死点前液圧P2は、液圧成形品の形状を成形できる下限値と型締めしつつ管部材Wの金属材料を流動可能な上限値との間において設定された圧力値、例えば、10MPaに設定されている。
液圧低下工程では、管部材W内部の液圧Pが低下されているため、左右1対のカム型4と可動型5bとの押圧動作によって、管部材W内部の金属材料を角部以外の部位から角部へ流動させることができる。
【0033】
液圧低下工程の後、管部材W内部の液圧Pを、下死点前液圧P2に所定時間保持する第2液圧保持工程を行う。この第2液圧保持工程では、成形された液圧成形品の形状を安定化させている。図4に示すように、T4の時点で管部材W内部からノズル部材6を介して加工液を排出した後、上型3を上昇させて左右1対のカム型4と可動型5bとを型開きすることにより本液圧成形処理を終了する。
【0034】
次に、3種類の検証実験により実証された本液圧成形方法の効果について、図5〜図11に基づいて説明する。
まず、図5〜図7に基づき、第1の検証実験について説明する。
第1の検証実験では、従来の液圧成形方法において管部材内部の接触後液圧P1に相当する液圧を異ならせて成形した断面矩形状の液圧成形品(比較例Y1〜Y3)と、本実施例の液圧成形方法により成形した断面矩形状の液圧成形品との角部の板厚を比較している。
【0035】
第1の検証実験の実験条件を説明する。
図5に示すように、材料:SUS429(ステンレス鋼板をシーム溶接により形成した鋼管)、材料強度:540MPa、板厚:2mmの管部材を、本実施例の液圧成形方法と液圧低下工程を有していない従来の液圧成形方法によって、同一形状の液圧成形品を夫々成形し、各液圧成形品の角部X1〜X4の板厚を比較した。尚、成型機の型締力は400tである。
【0036】
比較例Y1〜Y3は、本実施例と同様の液圧成形装置1が使用され、本実施例と同様に、左右1対のカム型4が管部材を押圧した後に、可動型5bによる管部材の押圧が開始され、1対のカム型と可動型とが下死点に到達した以降も管部材内圧の保持は加工液の排出時点まで継続される(図4参照)。比較例Y1〜Y3において液圧保持期間の液圧は、夫々、40MPa,50MPa,70MPaに設定されている。尚、本実施例の液圧成形方法は、前述したように、左右1対のカム型と可動型が下死点に到達する直前において、管部材内部の接触後液圧P1(70MPa)から下死点前液圧P2(10MPa)まで低下させる仕様である。
【0037】
図6,図7に示すように、比較例Y1〜Y3の角部X1〜X4の板厚では、全ての角部が管部材の元の板厚2mmを超えるものは存在しなかった。しかし、本実施例の液圧成形方法による液圧成形品は、全ての角部X1〜4が管部材の元の板厚2mmを超えた板厚に成形され、特に、可動型側の角部X1,4の板厚は元の板厚よりも10%以上厚さが増加している。
【0038】
図8,図9に基づき、第2の実験結果について説明する。
第2の実験は、接触後液圧P1と管部材の周長増加率との相関関係を検出し、接触後液圧P1と管部材の成形性との関連性を判定している。この第2の実験の実験条件は、外径65mm、初期周長204.2mmの管部材を本実施例の液圧成形方法によって成形するに当たり、接触後液圧P1を0〜70MPaまで10MPa毎に異ならせて成形している。
【0039】
一般に、液圧成形方法による成形性を確保するためには、少なくとも、2%程度の周長増加率が必要とされる。それ故、図9に示すように、液圧保持工程において、接触後液圧をP1(MPa)、管部材の板厚をL(mm)、管部材の降伏強度をA(MPa)、管部材外径をD(mm)としたとき、次式(1)に示す関係式を満たすことにより、管部材の拡管が可能で且つ管部材が破損しない接触後液圧P1の下限値を得ることができ、最適な接触後液圧P1の圧力範囲を設定できる。
P1≧L×(A/D)×3.25 …(1)
【0040】
図10,図11に基づき、第3の実験について説明する。
第3の実験は、下死点前液圧P2と管部材の角部板厚との相関関係を検出し、下死点前液圧P2と角部板厚の増加傾向との関連性を判定している。この第3の実験の実験条件は、第1の実験における本実施例の液圧成形方法と同様の条件とされ、成形に当たり、下死点前液圧P2を0〜70MPaまで10MPa毎に異ならせている。
【0041】
図11に示すように、下死点前液圧P2が10MPa未満では、液圧成形品に形状崩れが発生し、下死点前液圧P2が30MPa超では、角部の板厚増加が不十分であった。
それ故、液圧低下工程において、下死点前液圧をP2(MPa)、管部材の板厚をL(mm)、管部材の引張強度をB(MPa)、管部材外径をD(mm)としたとき、次式(2)に示す関係式を満たすことで、液圧成形品の形状を成形できる下死点前液圧P2の下限値と、型締めしつつ管部材の金属材料を流動可能な下死点前液圧P2の上限値とを得ることができる。
L×B/108≦P2≦L×B/36 …(2)
尚、より好ましい下死点前液圧P2の範囲は、次式(3)で表すことができる。
L×B/108≦P2≦L×B/54 …(3)
【0042】
次に、実施例1に係る液圧成形方法の作用・効果について説明する。
この液圧成形方法では、左右1対のカム型4と可動型5bが下死点に到達する前において、管部材W内部の液圧Pを接触後液圧P1よりも低く設定された下死点前液圧P2まで低下させる液圧低下工程を備えているため、左右1対のカム型4と可動型5bが下死点に到達する前の管部材W内部の液圧Pを低下することができ、左右1対のカム型4と可動型5bによる下死点到達前の押圧動作を、管部材Wの金属材料を角部以外の部位から角部へ流動させる流動促進動作として利用することができる。それ故、管部材Wの角部の板厚の減少を抑えると共に角部専用の成形型の省略及び成形型による分割線の手直し工程の省略が可能になり、装置の簡単化と生産コストの低減とを図りつつ、液圧成形品の角部の板厚を増加することができる。
【0043】
可動型5bの押圧動作に先行して左右1対のカム型4が管部材Wを径方向内側へ押圧する先行押圧工程を有しているため、角部へ流動させるための管部材Wの金属材料を可動型5bの成形部に対向する押圧部分に集めることができる。
左右1対のカム型4が下死点近傍位置のとき、可動型5bが管部材Wに接触するため、可動型5bによる押圧部分に集められた角部へ流動させるための管部材の金属材料を増すことができる。
【0044】
液圧保持工程において、接触後液圧をP1(MPa)、管部材の板厚をL(mm)、管部材の降伏強度をA(MPa)、管部材外径をD(mm)としたとき、P1≧L×(A/D)×3.25を満たすため、管部材Wの拡管が可能な接触後液圧P1の圧力範囲を得ることができる。
【0045】
液圧低下工程において、下死点前液圧をP2(MPa)、管部材の板厚をL(mm)、管部材の引張強度をB(MPa)、管部材外径をD(mm)としたとき、L×B/108≦P2≦L×B/36を満たすため、液圧成形品の形状を成形できる下死点前液圧P2の下限値と、型締めしつつ管部材の金属材料を流動可能な下死点前液圧P2の上限値とを得ることができる。
【0046】
液圧成形品が請求項1に記載の液圧成形方法によって成形されているため、また、この液圧成形品が車両用部材であるため、装置の簡単化と生産コストの低減とを図りつつ、角部の板厚を増加した車両用部材を得ることができる。
【0047】
次に、前記実施例を部分的に変更した変形例について説明する。
1〕前記実施例においては、車両用トーションビームの成形方法に適用した例を説明したが、フロントロアアーム、リヤクロスメンバ、排気管、フロントピラーレインフォースメント及びルーフサイドレール等、閉断面を備えた部材であれば何れの部材であっても良く、車両以外の部材に適用しても良い。
【0048】
2〕前記実施例においては、左右方向に移動する1対のカム型(第2成形型)と上下方向に移動する可動型(第1成形型)の例を説明したが、成形方向は2方向に限られず、3方向以上の成形方向で成形するために3つ以上の成形型を用いて複雑な液圧成形品を成形することも可能である。この場合、最後の成形型が管部材に接触した後で且つ全ての成形型が下死点に到達する前に液圧低下工程を行う。
【0049】
3〕また、本発明では、下死点到達時の固定型と可動型との位置を制御することで、剪断中心が図心から所定量偏心した液圧成形品の形状を成形することが可能である。偏心を行うことで、ロール剛性が変化するため、車種に応じて偏心量を制御することで、操安性の向上が期待できる。偏心させる場合の設備構成としては、例えば、下辺を固定型として上辺と左辺と右辺を可動型とする組合せ、下辺と左辺を固定型として上辺と右辺を可動型とする組合せ、全辺を可動型とする組合せにすることも可能であり、液圧成形品を偏心させるには下辺と左辺を固定型として上辺と右辺を可動型とする組合せが有効である。
【0050】
具体的な偏芯方法としては、下死点到達時の各型の停止位置により形成される液圧成形品の断面形状の中心軸と初期位置における管部材の図心とが異なるように各型が動作するように設定することで、液圧成形品を偏心させることができる。また、単一図心の管部材を予め予備曲げ加工した後、液圧成形加工を一部施すことで、容易に偏心させることができる。
4〕液圧成形品に短辺と長辺とが存在する場合、長辺を成形する型が固定型(又は先行成形型)になるように設定し、短辺を後続成形型としての可動型により成形することで、一層板厚を厚くすることができる。
【0051】
5〕前記実施例においては、液圧成形品の角部が略直角形状の例を説明したが、上辺(下辺)と側辺とが緩やかな湾曲状に連なる成形品形状であっても良い。この場合、湾曲部に型割り位置が設定されても、後続成形型の下死点前において液圧が低下されるため、型割り部分のエッジにより管部材が損傷することを防止することができる。
6〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、液体が封入された管部材を径方向内側へ押圧して液圧を作用させながら角部を備えた形状に成形する液圧成形方法及びその液圧成形品において、第1,第2成形型が下死点に到達する前に管部材内部の液圧を低下させることにより、装置の簡単化と生産コストの低減とを図りつつ、液圧成形品の角部の板厚を増加することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 液圧成形装置
4 カム型
5a 固定型
5b 可動型
P 液圧
P1 接触後液圧
P2 下死点前液圧
W 管部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体が封入された管部材を径方向内側へ押圧して液圧を作用させながら角部を備えた形状に成形する液圧成形方法及びその液圧成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、フロントロアアームやトーションビーム等の閉断面を備えた車両用部材の液圧成形方法の1つとして、例えば、複数の成形型内に管部材をセットし、このセットされた管部材の内部に加工液を封入して液圧を作用させることにより、円形断面の管部材を塑性変形させて角部を備えた車両用部材を成形する液封成形(リキッドシーリング成形)が知られている。
【0003】
特許文献1に記載された液圧成形方法について、図12に基づいて説明する。
図12(a),(b)に示すように、特許文献1の液圧成形装置50は、管部材WOの両端にシール状態で装着され管部材WOの内部に加工液を注入するノズル51と、内部に液圧が与えられた管部材WOを左右両側から挟み込んで径方向内側に押圧する1対の第1成形型52と、これら1対の成形型52の押圧動作に先行して管部材WOを上下方向から挟み込む1対の第2成形型53と、先行して管部材WOを上下方向から押圧している1対の第2成形型53と接触して型開き方向の移動を阻止するストッパ54等を備えている。
【0004】
通常、このような液圧成形方法では、図13に示すような成形時間と管部材内圧との関係になるように管部材内部の液圧が制御され、管部材を所望の製品形状に加工している。
まず、管部材の内部に加工液を封入後、先行して管部材を挟み込む先行成形型が管部材に接触したT1から管部材内圧が急激に上昇し、所定の管部材内圧に達したとき、管部材の内部から加工液を排出し、先行成形型の押圧動作に拘わらず管部材内圧を一定に維持している。尚、先行成形型の挟み込み動作に引き続き後続成形型の挟み込み動作が開始される。後続成形型は、T2において管部材に接触する。T2以降は、先行成形型と後続成形型との挟み込み動作に応じて管部材内圧が一定になるよう加工液の排出が制御される。
先行成形型と後続成形型とが下死点に到達したT3から所定時間経過後のT4まで管部材内圧が一定に維持され、その後、管部材の内部から加工液が排出される。
【0005】
液圧成形品では、管部材の金属材料を周方向へ流動させることによりその形状を成形している。それ故、角部を備えた液圧成形品は、角部の変形量が大きいため、角部から角部以外の部位へ流動する金属材料が多くなり、角部の板厚が角部以外の部位の板厚に比べて薄くなるという問題があった。そこで、角部の板厚の減少を抑えて液圧成形品の肉厚の均等化を図る技術が提案されている。
【0006】
特許文献2に記載された液圧成形方法は、成形型が、液圧成形品の角部を成形する複数の固定ダイと、成形空間に向けてスライド可能な複数の可動ダイとに分割され、固定ダイと可動ダイとの分割位置を、角部相当部位であって、分割位置において成形面に対して引いた接線が成形空間内を横切ることがない位置に設定し、型締めした後、成形空間内の管部材に所定の液圧を作用させながら可動ダイを管部材の径方向内側に押し出し作動させている。これにより、角部以外の管部材の金属材料を角部へ積極的に流動させて液圧成形品の角部断面を減少させることなく形成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−181477号公報
【特許文献2】特開2000−343141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2の液圧成形方法は、液圧成形品の角部の板厚をコントロールすることができ、角部の板厚の減少を抑えて液圧成形品の肉厚の均等化を図ることが可能である。
しかし、この液圧成形方法では、液圧成形品の各角部に夫々対応した固定ダイを複数設ける必要が生じるため、成形装置が複雑化し、生産コストが高くなる虞がある。しかも、角部に夫々対応した固定ダイの増加に伴って、固定ダイと可動ダイとの分割線が増加するため、液圧成形品に転写された分割線の手直しが必要になり、更に生産コストの上昇を招く虞もある。
【0009】
本発明の目的は、装置の簡単化と生産コストの低減とを図りつつ、液圧成形品の角部の板厚を増加できる液圧成形方法及びその液圧成形品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の液圧成形方法は、液体が封入された管部材を径方向内側へ押圧する第1成形型と、前記管部材を前記第1成形型と異なる方向から径方向内側へ押圧する1又は複数の第2成形型とにより前記管部材を押圧して液圧を作用させながら角部を備えた形状に成形する液圧成形方法において、前記第1,第2成形型が前記管部材に接触した後、前記管部材内部の液圧を接触後液圧に保持する液圧保持工程と、前記第1,第2成形型が下死点に到達する前において、前記管部材内部の液圧を前記接触後液圧よりも低く設定された下死点前液圧まで低下させる液圧低下工程と、を有することを特徴としている。
【0011】
この液圧成形方法では、第1,第2成形型が下死点に到達する前において、管部材内部の液圧を接触後液圧よりも低く設定された下死点前液圧まで低下させる液圧低下工程を備えているため、第1,第2成形型が下死点に到達する前の管部材内部の液圧を低下することができ、第1,第2成形型による下死点到達前の押圧動作を、管部材の金属材料を角部以外の部位から角部へ流動させる流動促進動作として利用することができる。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記第1成形型の押圧動作に先行して前記第2成形型が前記管部材を前記径方向内側へ押圧する先行押圧工程を有することを特徴としている。
請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記第2成形型が下死点近傍位置のとき、前記第1成形型が前記管部材に接触することを特徴としている。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1〜3の何れか1項の発明において、前記液圧保持工程において、接触後液圧をP1(MPa)、管部材の板厚をL(mm)、管部材の降伏強度をA(MPa)、管部材外径をD(mm)としたとき、P1≧L×(A/D)×3.25を満たすことを特徴としている。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1〜4の何れか1項の発明において、前記液圧低下工程において、下死点前液圧をP2(MPa)、管部材の板厚をL(mm)、管部材の引張強度をB(MPa)、管部材外径をD(mm)としたとき、L×B/108≦P2≦L×B/36を満たすことを特徴としている。
【0015】
請求項6の液圧成形品は、請求項1に記載の液圧成形方法によって成形されたことを特徴としている。
請求項7の発明は、請求項6の発明において、 前記液圧成形品が車両用部材であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、第1,第2成形型が下死点に到達する前の管部材内部の液圧を低下できると共に第1,第2成形型による下死点到達前の押圧動作を、管部材の金属材料を角部以外の部位から角部へ流動させる流動促進動作として利用できるため、管部材の角部の板厚の減少を抑えると共に角部専用の成形型の省略及び成形型による分割線の手直し工程の省略が可能になる。それ故、装置の簡単化と生産コストの低減とを図りつつ、液圧成形品の角部の板厚を増加することができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、角部へ流動させるための管部材の金属材料を第1成形型による押圧部分に集めることができる。
請求項3の発明によれば、第1成形型による押圧部分に集められた角部へ流動させるための管部材の金属材料を増すことができる。
【0018】
請求項4の発明によれば、管部材の拡管が可能且つ管部材が破損しない接触後液圧の圧力範囲を得ることができる。
請求項5の発明によれば、液圧成形品の形状を成形できる下死点前液圧の下限値と、型締めしつつ管部材の金属材料を流動可能な下死点前液圧の上限値とを得ることができる。
【0019】
請求項6の発明によれば、成形装置の簡単化と生産コストの低減とを図りつつ、角部の板厚を増加した液圧成形品を得ることができる。
請求項7の発明によれば、成形装置の簡単化と生産コストの低減とを図りつつ、角部の板厚を増加した車両用部材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施例に係る液圧成形装置の右側平面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】液圧成形方法に係る工程図であって、(a)は先行押圧工程の初期状態を示し、(b)は先行押圧工程の後期状態を示し、(c)は液圧保持工程の初期状態を示し、(d)液圧保持工程の後期状態を示している。
【図4】実施例に係る液圧成形方法の管部材内圧のタイムチャートである。
【図5】第1の検証実験に係る液圧成形品の斜視図である。
【図6】第1の検証実験に係る実験結果である。
【図7】第1の実験結果のグラフである。
【図8】第2の検証実験に係る実験結果である。
【図9】第2の実験結果のグラフである。
【図10】第3の検証実験に係る実験結果である。
【図11】第3の実験結果のグラフである。
【図12】従来の液圧成形装置であって、(a)は側面図を示し、(b)は縦断面図を示している。
【図13】従来の液圧成形方法に係る管部材内圧のタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。尚、本実施例では、閉断面を備えた車両用トーションビームの成形に適用した例を示し、カム型が移動する方向を左右方向、固定型に配置された管部材の軸心方向を前後方向として説明する。また、以下の説明は、液圧成形方法により成形された液圧成形品の説明を含むものとする。
【実施例1】
【0022】
本発明の実施例1について図1〜図11に基づいて説明する。
図1,図2に示すように、この液圧成形方法に用いられる液圧成形装置1は、床上に固定された下型2と、この下型2に対して上下方向に近接離隔可能な上型3と、断面円形状の金属製管部材Wの軸心に直交した左右側部分の形状を形成する先行成形型としての左右1対のカム型4(第2成形型)と、管部材Wの左右側部分に直交した上下側部分の形状を形成する後続成形型としての固定型5a及び可動型5b(第1成形型)と、管部材Wの前後両端部にシール状態で装着された前後1対のノズル部材6等を備えている。尚、液圧成形装置1は、左右対称の構造であるため、以下、左側部分の説明を省略し、主に、右側部分の説明を行う。
【0023】
下型2は、管部材Wを位置決め載置すると共に成形部を備えた固定型5aと、この固定型5aを挟んで左右両側に配置され夫々に成形部を備えた左右1対のカム型4と、これら左右1対のカム型4の夫々が装着され下型2の上部を左右方向にスライド自在に形成された左右1対のスライド部材7等により構成されている。右側スライド部材7の右端部には、右側程下方に移行する傾斜部が形成されている。
【0024】
上型3は、上下方向に往復動可能な駆動装置(図示略)に連結されると共に、成形部を備えた可動型5bと、この可動型5bを挟んで左右両側に配置された左右1対のカム部材8等により構成されている。右側カム部材8の左端部には、右側程下方に移行する傾斜部が形成され、右側スライド部材7の傾斜部に対して摺動自在に形成されている。
【0025】
前後1対のノズル部材6は、管部材Wの前後両端部に対して密封状に装着され、少なくとも一方のノズル部材6は、管部材Wの内部に水又は加工油等の加工液を充填すると共に管部材W内部の液圧を調整するために管部材Wの内部から加工液を調整排出可能に構成されている。これにより、加工液を管部材W内部に封入後、上型3が下降動作したとき、左右1対のカム部材8の下降動作に同期して左右1対のスライド部材7が管部材Wに接近移動し、左右1対のカム型4が管部材Wを左右両側から径方向内側へ押圧する。左右1対のカム型4による押圧開始後、可動型5bが管部材Wを上側から径方向内側へ押圧し、左右1対のカム型4と可動型5bとが同時に押圧動作における下死点位置に到達するように設定されている。
【0026】
次に、図3の工程図及び図4の管部材W内圧のタイムチャートに基づき、本液圧成形方法における処理手順について説明する。尚、本液圧成形方法によって成形される液圧成形品は、軸心方向に延びる角部を4箇所備えた断面矩形状の閉断面を有する車両用部材である。また、これらの角部は、固定型5aとカム型4、或いは可動型5bとカム型4との境界(分割)部分で形成されている。
【0027】
まず、加工開始前の準備工程として、管部材Wを固定型5a上の加工位置に位置決め固定し、管部材Wの両端部に対して前後1対のノズル部材6の装着及び加工液の封入が予め行なわれる。
【0028】
次に、上型3が初期位置から下降し、先行押圧工程を開始する。
図3(a)に示すように、上型3の下降動作に伴い、左右1対のカム型4が左右両側から管部材Wの径方向内側へ向かって移動され、同様に、可動型5bが上側から管部材Wの径方向内側へ向かって移動される。図4に示すように、先行押圧工程の開始時、T1の時点で左右1対のカム型4が可動型5bに先行して管部材Wの左右側部分に接触し、管部材Wの左右側部分の挟み込みを開始する。両カム型4の押圧動作により、管部材Wが径方向内側に塑性変形し、管部材W内部の液圧Pが急激に上昇する。
【0029】
図3(b)に示すように、先行押圧工程の後期には、左右1対のカム型4が管部材Wの左右側部分を更に押圧しているため、管部材Wが断面楕円形状に変形する。管部材W内部の液圧Pの増加に伴い、両カム型4の成形部と管部材Wとの接触面積が成形開始からの経過時間に応じて増加する。図4に示すように、管部材W内部の液圧Pは、管部材Wの拡管が可能で且つ管部材Wが破損しないように設定された接触後液圧P1、例えば、70MPaを保持するように、ノズル部材6を介して排出される加工液が調整されている。
【0030】
先行押圧工程の終了後、液圧保持工程を行う。
図3(c)に示すように、両カム型4の成形部の略全面と管部材Wの左右側部分とが面接触する位置、所謂左右1対のカム型4が下死点近傍に位置するT2(図4参照)の時点において、可動型5bが上側へ断面円弧状に湾曲した管部材Wの上側部分に接触し、液圧保持工程が開始される。図4に示すように、液圧保持工程では、左右1対のカム型4と可動型5bとの押圧動作に応じて、管部材W内部の液圧Pが前記同様、70MPaを保持するように調整されている。
【0031】
図3(d)に示すように、可動型5bが管部材Wの上側部分に接触後、左右1対のカム型4と可動型5bとが管部材Wを径方向内側に押圧し、管部材Wが矩形状に塑性変形される。先行押圧工程のとき、管部材Wの上側湾曲部長さ(面積)が可動型5bの成形部長さ(面積)よりも大きく形成されているため、液圧保持工程では、上側湾曲部長さと成形部長さとの差分相当の長さ(面積)が、液圧成形品の角部を形成するために固定型5aとカム型4、或いは可動型5bとカム型4との境界(分割)部分へ供給されている。
【0032】
次に、左右1対のカム型4と可動型5bとが下死点位置に到達する前において、液圧低下工程を行う。図4に示すように、左右1対のカム型4と可動型5bとが下死点に到達するT3の直前において、管部材W内部の液圧Pを接触後液圧P1(70MPa)から接触後液圧P1よりも低く設定された下死点前液圧P2まで低下させている。下死点前液圧P2は、液圧成形品の形状を成形できる下限値と型締めしつつ管部材Wの金属材料を流動可能な上限値との間において設定された圧力値、例えば、10MPaに設定されている。
液圧低下工程では、管部材W内部の液圧Pが低下されているため、左右1対のカム型4と可動型5bとの押圧動作によって、管部材W内部の金属材料を角部以外の部位から角部へ流動させることができる。
【0033】
液圧低下工程の後、管部材W内部の液圧Pを、下死点前液圧P2に所定時間保持する第2液圧保持工程を行う。この第2液圧保持工程では、成形された液圧成形品の形状を安定化させている。図4に示すように、T4の時点で管部材W内部からノズル部材6を介して加工液を排出した後、上型3を上昇させて左右1対のカム型4と可動型5bとを型開きすることにより本液圧成形処理を終了する。
【0034】
次に、3種類の検証実験により実証された本液圧成形方法の効果について、図5〜図11に基づいて説明する。
まず、図5〜図7に基づき、第1の検証実験について説明する。
第1の検証実験では、従来の液圧成形方法において管部材内部の接触後液圧P1に相当する液圧を異ならせて成形した断面矩形状の液圧成形品(比較例Y1〜Y3)と、本実施例の液圧成形方法により成形した断面矩形状の液圧成形品との角部の板厚を比較している。
【0035】
第1の検証実験の実験条件を説明する。
図5に示すように、材料:SUS429(ステンレス鋼板をシーム溶接により形成した鋼管)、材料強度:540MPa、板厚:2mmの管部材を、本実施例の液圧成形方法と液圧低下工程を有していない従来の液圧成形方法によって、同一形状の液圧成形品を夫々成形し、各液圧成形品の角部X1〜X4の板厚を比較した。尚、成型機の型締力は400tである。
【0036】
比較例Y1〜Y3は、本実施例と同様の液圧成形装置1が使用され、本実施例と同様に、左右1対のカム型4が管部材を押圧した後に、可動型5bによる管部材の押圧が開始され、1対のカム型と可動型とが下死点に到達した以降も管部材内圧の保持は加工液の排出時点まで継続される(図4参照)。比較例Y1〜Y3において液圧保持期間の液圧は、夫々、40MPa,50MPa,70MPaに設定されている。尚、本実施例の液圧成形方法は、前述したように、左右1対のカム型と可動型が下死点に到達する直前において、管部材内部の接触後液圧P1(70MPa)から下死点前液圧P2(10MPa)まで低下させる仕様である。
【0037】
図6,図7に示すように、比較例Y1〜Y3の角部X1〜X4の板厚では、全ての角部が管部材の元の板厚2mmを超えるものは存在しなかった。しかし、本実施例の液圧成形方法による液圧成形品は、全ての角部X1〜4が管部材の元の板厚2mmを超えた板厚に成形され、特に、可動型側の角部X1,4の板厚は元の板厚よりも10%以上厚さが増加している。
【0038】
図8,図9に基づき、第2の実験結果について説明する。
第2の実験は、接触後液圧P1と管部材の周長増加率との相関関係を検出し、接触後液圧P1と管部材の成形性との関連性を判定している。この第2の実験の実験条件は、外径65mm、初期周長204.2mmの管部材を本実施例の液圧成形方法によって成形するに当たり、接触後液圧P1を0〜70MPaまで10MPa毎に異ならせて成形している。
【0039】
一般に、液圧成形方法による成形性を確保するためには、少なくとも、2%程度の周長増加率が必要とされる。それ故、図9に示すように、液圧保持工程において、接触後液圧をP1(MPa)、管部材の板厚をL(mm)、管部材の降伏強度をA(MPa)、管部材外径をD(mm)としたとき、次式(1)に示す関係式を満たすことにより、管部材の拡管が可能で且つ管部材が破損しない接触後液圧P1の下限値を得ることができ、最適な接触後液圧P1の圧力範囲を設定できる。
P1≧L×(A/D)×3.25 …(1)
【0040】
図10,図11に基づき、第3の実験について説明する。
第3の実験は、下死点前液圧P2と管部材の角部板厚との相関関係を検出し、下死点前液圧P2と角部板厚の増加傾向との関連性を判定している。この第3の実験の実験条件は、第1の実験における本実施例の液圧成形方法と同様の条件とされ、成形に当たり、下死点前液圧P2を0〜70MPaまで10MPa毎に異ならせている。
【0041】
図11に示すように、下死点前液圧P2が10MPa未満では、液圧成形品に形状崩れが発生し、下死点前液圧P2が30MPa超では、角部の板厚増加が不十分であった。
それ故、液圧低下工程において、下死点前液圧をP2(MPa)、管部材の板厚をL(mm)、管部材の引張強度をB(MPa)、管部材外径をD(mm)としたとき、次式(2)に示す関係式を満たすことで、液圧成形品の形状を成形できる下死点前液圧P2の下限値と、型締めしつつ管部材の金属材料を流動可能な下死点前液圧P2の上限値とを得ることができる。
L×B/108≦P2≦L×B/36 …(2)
尚、より好ましい下死点前液圧P2の範囲は、次式(3)で表すことができる。
L×B/108≦P2≦L×B/54 …(3)
【0042】
次に、実施例1に係る液圧成形方法の作用・効果について説明する。
この液圧成形方法では、左右1対のカム型4と可動型5bが下死点に到達する前において、管部材W内部の液圧Pを接触後液圧P1よりも低く設定された下死点前液圧P2まで低下させる液圧低下工程を備えているため、左右1対のカム型4と可動型5bが下死点に到達する前の管部材W内部の液圧Pを低下することができ、左右1対のカム型4と可動型5bによる下死点到達前の押圧動作を、管部材Wの金属材料を角部以外の部位から角部へ流動させる流動促進動作として利用することができる。それ故、管部材Wの角部の板厚の減少を抑えると共に角部専用の成形型の省略及び成形型による分割線の手直し工程の省略が可能になり、装置の簡単化と生産コストの低減とを図りつつ、液圧成形品の角部の板厚を増加することができる。
【0043】
可動型5bの押圧動作に先行して左右1対のカム型4が管部材Wを径方向内側へ押圧する先行押圧工程を有しているため、角部へ流動させるための管部材Wの金属材料を可動型5bの成形部に対向する押圧部分に集めることができる。
左右1対のカム型4が下死点近傍位置のとき、可動型5bが管部材Wに接触するため、可動型5bによる押圧部分に集められた角部へ流動させるための管部材の金属材料を増すことができる。
【0044】
液圧保持工程において、接触後液圧をP1(MPa)、管部材の板厚をL(mm)、管部材の降伏強度をA(MPa)、管部材外径をD(mm)としたとき、P1≧L×(A/D)×3.25を満たすため、管部材Wの拡管が可能な接触後液圧P1の圧力範囲を得ることができる。
【0045】
液圧低下工程において、下死点前液圧をP2(MPa)、管部材の板厚をL(mm)、管部材の引張強度をB(MPa)、管部材外径をD(mm)としたとき、L×B/108≦P2≦L×B/36を満たすため、液圧成形品の形状を成形できる下死点前液圧P2の下限値と、型締めしつつ管部材の金属材料を流動可能な下死点前液圧P2の上限値とを得ることができる。
【0046】
液圧成形品が請求項1に記載の液圧成形方法によって成形されているため、また、この液圧成形品が車両用部材であるため、装置の簡単化と生産コストの低減とを図りつつ、角部の板厚を増加した車両用部材を得ることができる。
【0047】
次に、前記実施例を部分的に変更した変形例について説明する。
1〕前記実施例においては、車両用トーションビームの成形方法に適用した例を説明したが、フロントロアアーム、リヤクロスメンバ、排気管、フロントピラーレインフォースメント及びルーフサイドレール等、閉断面を備えた部材であれば何れの部材であっても良く、車両以外の部材に適用しても良い。
【0048】
2〕前記実施例においては、左右方向に移動する1対のカム型(第2成形型)と上下方向に移動する可動型(第1成形型)の例を説明したが、成形方向は2方向に限られず、3方向以上の成形方向で成形するために3つ以上の成形型を用いて複雑な液圧成形品を成形することも可能である。この場合、最後の成形型が管部材に接触した後で且つ全ての成形型が下死点に到達する前に液圧低下工程を行う。
【0049】
3〕また、本発明では、下死点到達時の固定型と可動型との位置を制御することで、剪断中心が図心から所定量偏心した液圧成形品の形状を成形することが可能である。偏心を行うことで、ロール剛性が変化するため、車種に応じて偏心量を制御することで、操安性の向上が期待できる。偏心させる場合の設備構成としては、例えば、下辺を固定型として上辺と左辺と右辺を可動型とする組合せ、下辺と左辺を固定型として上辺と右辺を可動型とする組合せ、全辺を可動型とする組合せにすることも可能であり、液圧成形品を偏心させるには下辺と左辺を固定型として上辺と右辺を可動型とする組合せが有効である。
【0050】
具体的な偏芯方法としては、下死点到達時の各型の停止位置により形成される液圧成形品の断面形状の中心軸と初期位置における管部材の図心とが異なるように各型が動作するように設定することで、液圧成形品を偏心させることができる。また、単一図心の管部材を予め予備曲げ加工した後、液圧成形加工を一部施すことで、容易に偏心させることができる。
4〕液圧成形品に短辺と長辺とが存在する場合、長辺を成形する型が固定型(又は先行成形型)になるように設定し、短辺を後続成形型としての可動型により成形することで、一層板厚を厚くすることができる。
【0051】
5〕前記実施例においては、液圧成形品の角部が略直角形状の例を説明したが、上辺(下辺)と側辺とが緩やかな湾曲状に連なる成形品形状であっても良い。この場合、湾曲部に型割り位置が設定されても、後続成形型の下死点前において液圧が低下されるため、型割り部分のエッジにより管部材が損傷することを防止することができる。
6〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態も包含するものである。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、液体が封入された管部材を径方向内側へ押圧して液圧を作用させながら角部を備えた形状に成形する液圧成形方法及びその液圧成形品において、第1,第2成形型が下死点に到達する前に管部材内部の液圧を低下させることにより、装置の簡単化と生産コストの低減とを図りつつ、液圧成形品の角部の板厚を増加することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 液圧成形装置
4 カム型
5a 固定型
5b 可動型
P 液圧
P1 接触後液圧
P2 下死点前液圧
W 管部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が封入された管部材を径方向内側へ押圧する第1成形型と、前記管部材を前記第1成形型と異なる方向から径方向内側へ押圧する1又は複数の第2成形型とにより前記管部材を押圧して液圧を作用させながら角部を備えた形状に成形する液圧成形方法において、
前記第1,第2成形型が前記管部材に接触した後、前記管部材内部の液圧を接触後液圧に保持する液圧保持工程と、
前記第1,第2成形型が下死点に到達する前において、前記管部材内部の液圧を前記接触後液圧よりも低く設定された下死点前液圧まで低下させる液圧低下工程と、
を有することを特徴とする液圧成形方法。
【請求項2】
前記第1成形型の押圧動作に先行して前記第2成形型が前記管部材を前記径方向内側へ押圧する先行押圧工程を有することを特徴とする請求項1に記載の液圧成形方法。
【請求項3】
前記第2成形型が下死点近傍位置のとき、前記第1成形型が前記管部材に接触することを特徴とする請求項2に記載の液圧成形方法。
【請求項4】
前記液圧保持工程において、接触後液圧をP1(MPa)、管部材の板厚をL(mm)、管部材の降伏強度をA(MPa)、管部材外径をD(mm)としたとき、
P1≧L×(A/D)×3.25
を満たすことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の液圧成形方法。
【請求項5】
前記液圧低下工程において、下死点前液圧をP2(MPa)、管部材の板厚をL(mm)、管部材の引張強度をB(MPa)、管部材外径をD(mm)としたとき、
L×B/108≦P2≦L×B/36
を満たすことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の液圧成形方法。
【請求項6】
請求項1に記載の液圧成形方法によって成形されたことを特徴とする液圧成形品。
【請求項7】
前記液圧成形品が車両用部材であることを特徴とする請求項6に記載の液圧成形品。
【請求項1】
液体が封入された管部材を径方向内側へ押圧する第1成形型と、前記管部材を前記第1成形型と異なる方向から径方向内側へ押圧する1又は複数の第2成形型とにより前記管部材を押圧して液圧を作用させながら角部を備えた形状に成形する液圧成形方法において、
前記第1,第2成形型が前記管部材に接触した後、前記管部材内部の液圧を接触後液圧に保持する液圧保持工程と、
前記第1,第2成形型が下死点に到達する前において、前記管部材内部の液圧を前記接触後液圧よりも低く設定された下死点前液圧まで低下させる液圧低下工程と、
を有することを特徴とする液圧成形方法。
【請求項2】
前記第1成形型の押圧動作に先行して前記第2成形型が前記管部材を前記径方向内側へ押圧する先行押圧工程を有することを特徴とする請求項1に記載の液圧成形方法。
【請求項3】
前記第2成形型が下死点近傍位置のとき、前記第1成形型が前記管部材に接触することを特徴とする請求項2に記載の液圧成形方法。
【請求項4】
前記液圧保持工程において、接触後液圧をP1(MPa)、管部材の板厚をL(mm)、管部材の降伏強度をA(MPa)、管部材外径をD(mm)としたとき、
P1≧L×(A/D)×3.25
を満たすことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の液圧成形方法。
【請求項5】
前記液圧低下工程において、下死点前液圧をP2(MPa)、管部材の板厚をL(mm)、管部材の引張強度をB(MPa)、管部材外径をD(mm)としたとき、
L×B/108≦P2≦L×B/36
を満たすことを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の液圧成形方法。
【請求項6】
請求項1に記載の液圧成形方法によって成形されたことを特徴とする液圧成形品。
【請求項7】
前記液圧成形品が車両用部材であることを特徴とする請求項6に記載の液圧成形品。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−103253(P2013−103253A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249234(P2011−249234)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【出願人】(000135999)株式会社ヒロテック (62)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【出願人】(000135999)株式会社ヒロテック (62)
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