説明

液晶テレビの解体方法および解体装置

【課題】ネジの取外し作業を行うことなく、分別分離の必要な液晶パネルや蛍光灯を取外すことができ、解体時間の短縮化が可能な液晶テレビの解体方法を得ることである。
【解決手段】液晶ユニットが、バックパネル側に配置している液晶ユニット用ケースに、蛍光灯ホルダに保持された蛍光灯と拡散板類と中間フタと液晶パネルとをこの順に収納し、液晶ユニット用フタで覆い、この液晶ユニット用フタと液晶ユニット用ケースとを液晶ユニット固定ネジで固定して形成されている液晶テレビを、液晶パネルの外周より外側で且つ液晶ユニット用フタにおけるネジ固定部より内側の部分を切断する工程を備えたことである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不要となった液晶テレビの解体方法および解体装置に関し、特に、有価物と有害物質とに確実に分別して解体でき、資源の有効利用が可能な液晶テレビの解体方法および解体装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶テレビの有価物と有害物質とを分別し、有価物を回収する解体方法として、液晶テレビの組み立てに用いられたネジを外すことにより、液晶テレビの部品や材料を、外側から順次取外す方法がある。
例えば、回転手段と傾斜手段とを備え、解体従事者が液晶テレビの配置を作業に最適な状態へと自在に操ることができる解体装置に液晶テレビを固定し、解体従事者がネジを認識しやすい安定した姿勢でネジの取外し作業を行い、液晶テレビの外側の部品から取外していく解体方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−254922号公報(第10−11頁、第13図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の解体装置および解体方法では、解体従事者の作業負荷は低減されるものの、解体従事者がネジを確認し取外す作業に時間を要し、解体作業時間の短縮化が図れないとの問題があった。特に、取付けネジが1台で100本以上ある大型液晶テレビでは、この問題が顕著であった。
また、液晶テレビの解体作業におけるネジの確認を、解体従事者の目視に替えて、画像処理等による位置認識技術で行うことは難しく、ネジの取外し作業の自動化による取外し時間の短縮化も困難であるとの問題もあった。
【0005】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、解体従事者がネジの取外し作業を行うことなく、分別分離の必要な液晶パネルや蛍光灯を取外すことができるとともに、解体の自動化が図れ、解体時間の短縮化が可能な液晶テレビの解体方法および解体装置を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係わる液晶テレビの解体方法は、バックパネルと、バックパネルにフレームを介して取付けられた液晶ユニットと、液晶ユニットの画面を露出させる開口を有し且つ液晶ユニットを覆うとともに、バックパネルにネジで固定されたフロントパネルを備え、液晶ユニットが、バックパネル側に配置している液晶ユニット用ケースに、蛍光灯ホルダに保持された蛍光灯と拡散板類と中間フタと液晶パネルとをこの順に収納し、液晶ユニット用フタで覆い、この液晶ユニット用フタと液晶ユニット用ケースとを、液晶パネルの外周より外側の位置で、液晶ユニット固定ネジで固定して形成されている液晶テレビを、液晶パネルの外周より外側で且つ液晶ユニット用フタにおけるネジ固定部より内側の部分を切断する工程を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係わる液晶テレビの解体方法は、バックパネルと、バックパネルにフレームを介して取付けられた液晶ユニットと、液晶ユニットの画面を露出させる開口を有し且つ液晶ユニットを覆うとともに、バックパネルにネジで固定されたフロントパネルを備え、液晶ユニットが、バックパネル側に配置している液晶ユニット用ケースに、蛍光灯ホルダに保持された蛍光灯と拡散板類と中間フタと液晶パネルとをこの順に収納し、液晶ユニット用フタで覆い、この液晶ユニット用フタと液晶ユニット用ケースとを、液晶パネルの外周より外側の位置で、液晶ユニット固定ネジで固定して形成されている液晶テレビを、液晶パネルの外周より外側で且つ液晶ユニット用フタにおけるネジ固定部より内側の部分を切断する工程を備えたものであり、ネジの取外し作業を行うことなく、分別分離の必要な液晶パネルや蛍光灯を取外すことができるとともに、解体の自動化が図れ、解体時間の短縮化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1に係わる第1例の液晶テレビの解体方法で解体される液晶テレビの構造とこの解体方法における液晶テレビの切断位置とを説明する断面模式図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係わる第1例の液晶テレビの解体方法で解体される液晶テレビの構造とこの解体方法における液晶テレビの切断位置とを説明する正面模式図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係わる第2例の液晶テレビの解体方法で解体される液晶テレビの構造とこの解体方法における液晶テレビの切断位置とを説明する断面模式図である。
【図4】本発明の実施の形態2に係わる液晶テレビの解体装置を示す斜視模式図である。
【図5】本発明の実施の形態3に係わる液晶テレビの解体装置を示す斜視模式図である。
【図6】本発明の実施の形態4に係わる液晶テレビの解体装置を示す斜視模式図である。
【図7】本発明の実施の形態4に係わる液晶テレビの解体装置における押付け機構付固定手段を示す斜視模式図である。
【図8】本発明の実施の形態4に係わる液晶テレビの解体装置における、押上げ手段(a)と、押上げ手段が取付台に配置されている状態(b)とを示す斜視模式図である。
【図9】脚部を有するとともにバックパネルが凸凹している液晶テレビを取付台に直接載置した状態を示す側面模式図である。
【図10】液晶テレビを傾いた姿勢で取付台に固定した場合の、フロントパネルと液晶面との段差部を測距センサで測定する状態(a)と段差検出位置(b)とを示す図である。
【図11】本発明の実施の形態4に係わる液晶テレビの解体装置にバックパネルが凸凹している液晶テレビをセットした状態を示す側面模式図である。
【図12】本発明の実施の形態4に係わる液晶テレビの解体装置において、押上げ手段が取付台面上を移動可能に配置されている状態を示す斜視模式図である。
【図13】本発明の実施の形態4に係わる液晶テレビの解体装置において、フローティングジョイントが設けられた押上げ手段で、液晶テレビを押上げた状態を示す側面模式図である。
【図14】本発明の実施の形態4に係わる液晶テレビの解体装置において、取付台に2個の押付け機構付固定手段を配置した場合の斜視模式図である。
【図15】本発明の実施の形態4に係わる液晶テレビの解体装置における、取付台の上方から保持され、対向する2箇所のフロントパネル部の面を規制する基準部材を示す斜視模式図である。
【図16】本発明の実施の形態4に係わる液晶テレビの解体装置における、取付台の上方から保持され、4箇所のフロントパネル部の面を規制する基準部材を示す斜視模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係わる第1例の液晶テレビの解体方法で解体される液晶テレビの構造とこの解体方法における液晶テレビの切断位置とを説明する断面模式図である。
図2は、本発明の実施の形態1に係わる第1例の液晶テレビの解体方法で解体される液晶テレビの構造とこの解体方法における液晶テレビの切断位置とを説明する正面模式図である。
図1と図2とに示す液晶テレビの構造は、重量が大きく解体が困難な大型液晶テレビ(20型以上)の代表的な構造であり、図1は主要構成部材を分離した状態を示している。
【0010】
次に、図1と図2とを用いて、液晶テレビ1の構造と、液晶テレビ1の主要構成部材について説明する。
図1に示すように、液晶テレビ1は、裏側の意匠部品であるバックパネル5と強度部材であるフレーム2とがねじ7で接合している。そして、フレーム2のバックパネル5との接合面の反対側の面に、制御・駆動用のプリント基板3および表示デバイスである液晶ユニット4が固定されている。
【0011】
また、バックパネル5には、表側の意匠部品であるフロントパネル6がネジ7で固定されている。
フロントパネル6は、開口を有しており、その開口から液晶ユニット4の画面を露出させて、液晶ユニット4を覆っている。
図2に示すように、自立式の液晶テレビではバックパネル5の外側ないし内側に本体を自立させる脚部8がネジ止めで固定されている。
【0012】
液晶ユニット4は、液晶ユニット4の構成部品を収納する金属板金で形成された液晶ユニット用ケース10に、バックライトとなる蛍光灯11と蛍光灯11の光を拡散均一化する樹脂製の拡散板類12と中間フタ13と液晶パネル14とが、この順に装着されており、これらが金属板金で形成された液晶ユニット用フタ15で覆われている。そして、液晶ユニット用ケース10と液晶ユニット用フタ15とは、液晶パネル14の外周より外側の位置で、液晶ユニット固定ネジ16で固定されている。
また、蛍光灯11は、蛍光灯ホルダ11aで液晶ユニット用ケース10に取付けられている。
【0013】
これらの液晶ユニット4の構成部品において、液晶パネル14には有害物であるアンチモンもしくは砒素が含まれている可能性があり、蛍光灯11には有害物である水銀が含まれているので、液晶テレビ1の解体においては、液晶パネル14と蛍光灯11とを、確実に分離し適正に処理する必要がある。
【0014】
このため、従来の液晶テレビの解体では、まず、バックパネル5およびフロントパネル6のネジ7を外して、意匠部品を取外した後、液晶ユニット固定ネジ16を外すことにより液晶ユニット4を分解し、液晶パネル14と蛍光灯11とを取外していた。
【0015】
しかし、液晶テレビの構成部品を固定するために用いられるネジは、大型機種では100本を越える場合があり、従来の解体方法では、液晶テレビのネジ位置を確認し取外す必要があり、解体におけるネジの取外しに膨大な作業時間がかかっていた。
また、液晶テレビは、製品ごとあるいはサイズごとにネジ位置が異なるので、ネジ位置を正確にミス無く検知することは現在の画像処理技術では困難であり、このことが解体を自動化するうえで、ネックとなっていた。
【0016】
本実施の形態の第1例の液晶テレビの解体方法は、液晶テレビ1を、フロントパネル6からバックパネル5までの範囲を、図1および図2に示す切断線A1の位置で切断し、液晶テレビ1の四方の外縁部側を接離する工程を備えたものである。そして、切断線A1は、液晶パネル14の外周より外側で、且つ液晶ユニット用フタ15におけるネジ固定部より内側に位置しており、液晶パネル14の各辺と略平行となっている。
【0017】
すなわち、本実施の形態の第1例の液晶テレビの解体方法は、液晶テレビ1における、液晶パネル14の外周より外側で且つ液晶ユニット用フタ15におけるネジ固定部より内側の部分を切断する工程を備えたものである。
特に、液晶パネル14の外周より外側で且つ液晶ユニット用フタ15におけるネジ固定部より内側の部分で、フロントパネル6からバックパネル5までの範囲を切断し、液晶テレビ1の四方の外縁部側を接離する工程を備えたものである。
【0018】
本実施の形態の第1例の液晶テレビの解体方法は、このような工程を備えているので、ネジ7を外すことなくフロントパネル6を取外すことができる。
また、液晶ユニット用フタ15と中間フタ13と蛍光灯ホルダ11aとが、切断線A1の位置で分離されるので、これらの切断部分の内側は液晶ユニット固定ネジ16を外すことなく取外すことが可能となる。
【0019】
そして、液晶ユニット用フタ15の切断部分の内側を取外すことにより、液晶パネル14を取外すことができ、さらに、中間フタ13の切断部分の内側を取外すことにより、拡散板類12と蛍光灯11とを取外すことができる。
すなわち、膨大な作業時間がかかるネジ取外し作業をすることなく、有害物質を含む液晶パネル14と蛍光灯11とを確実に除去できる。
【0020】
発明者らは、回収された廃家電の液晶テレビの構造を調査し、製造メーカや製造年代、あるいはスピーカ位置の様なデザイン上の特徴により、意匠部品の構造には大きな違いがあるが、しかし、液晶ユニット4の構造はほぼ共通していることを見出した。
発明者らが見出した液晶ユニット4の共通する構造は、液晶パネル14の外形サイズが、画像の表示部分の大きさに対し、左右で各10〜20mm大きくなっており、上下で各2〜10mm大きくなっているというものである。
【0021】
すなわち、液晶パネル14の外周より外側で且つ液晶ユニット用フタ15におけるネジ固定部より内側である切断部分は、スピーカ9等の取付け位置などデザインの異なる液晶テレビでも、その影響を受けることが無く、画像の表示部分である画面の端からの距離として容易に決定できるので、本実施の形態の液晶テレビの解体方法は、自動化が実現できる。
【0022】
また、有害物質を含む液晶パネル14と蛍光灯11とを除去すれば残りの部分は破砕等の様な省人化、自動化の進んだ解体方法を利用することが可能となるため、残りの部分の解体の自動化も容易となる。
【0023】
図3は、本発明の実施の形態1に係わる第2例の液晶テレビの解体方法で解体される液晶テレビの構造とこの解体方法における液晶テレビの切断位置とを説明する断面模式図である。
液晶テレビは、液晶パネル14の外周より外側で、且つ液晶ユニット用フタ15におけるネジ固定部より内側の部分で、フロントパネル6と液晶ユニット用フタ15と中間フタ13と蛍光灯ホルダ11aとを切断できれば、ネジ7や液晶ユニット固定ネジ16を取外すことなく、液晶パネル14と蛍光灯11とを除去できる。
【0024】
そこで、本実施の形態の第2例の液晶テレビの解体方法は、液晶テレビ1をフロントパネル6からバックパネル5までを切断し、液晶テレビ1の四方の外縁部側を接離する替わりに、図3の切断線A2で示すように、液晶パネル14の外周より外側で、且つ液晶ユニット用フタ15におけるネジ固定部より内側の部分で、フロントパネル6側から、蛍光灯ホルダ11aの部分まで切断する切込みを入れる工程を有するものである。
【0025】
この場合は、液晶ユニット用ケース10とフレーム2とバックパネル5とを切断する必要がなく、切断時間を短くできる。
また、切断深さが浅くなるので、例えば、回転砥石を用いた切断では砥石の磨耗を抑制できるとともに、回転砥石の回転モーターの低出力化が可能になるとの利点がある。
【0026】
実施の形態2.
図4は、本発明の実施の形態2に係わる液晶テレビの解体装置を示す斜視模式図である。
図4に示す本実施の形態の液晶テレビの解体装置100は、実施の形態1の液晶テレビの解体方法に用いるものである。
図4に示すように、本実施の形態の液晶テレビの解体装置100は、解体する液晶テレビを載置するとともに、液晶テレビを切断する位置に移動する配置ユニット40と、実施の形態1の液晶テレビの解体方法で示した切断部分で、液晶テレビを切断するのに用いられる切断ユニット50とを備えている。
図4には、本装置で解体される液晶テレビ1も示している。
【0027】
配置ユニット40は、液晶テレビを載置する取付台17と、取付台17の一方の面に設けられた、液晶テレビを取付台17に固定する固定手段18と、取付台17の他方の面に設けられた、この他方の面に対する垂直方向が軸となり、取付台17を矢印Bで示す方向に回転さす取付台回転手段19と、やはり、取付台17の他方の面側に設置され、他方の面と平行であり、矢印Cで示す一軸方向に取付台17を移動さす取付台移動軸20とを備えている。
【0028】
切断ユニット50は、取付台17の一方の面の上方に配置されており、液晶テレビに切込まれる切断手段21と、一端に切断手段21が取付けられ、切断手段21を矢印Dで示す上下方向に移動さす切断手段上下軸23と、切断手段上下軸23の他端を保持し、軸方向が配置ユニット40の取付台移動軸20と直交する方向になるように設置され、切断手段上下軸23を矢印Eで示す一軸方向に移動さす切断手段走行軸22とを備えている。
すなわち、切断手段上下軸23が、切断手段走行軸22にガイドされて移動するので、切断手段21は、切断手段走行軸22の方向に移動することになる。
本実施の形態では、切断手段21には、例えば、回転砥石が用いられる。
【0029】
次に、本実施の形態の液晶テレビの解体装置100の動作機構について説明する。
まず、配置ユニット40の取付台17に液晶テレビ1を載置し、載置された液晶テレビ1は固定手段18で固定される。
次に、取付台回転手段19を動作させるとともに、取付台17を取付台移動軸20に沿って移動させ、液晶テレビ1の液晶パネル14の外周より外側で且つ液晶ユニット用フタ15におけるネジ固定部より内側の部分が、切断手段走行軸22にガイドされて切断手段21が移動する軌跡の下にくるように液晶テレビ1が配置される。
【0030】
次に、切断手段上下軸23を動かし、切断手段21を液晶テレビ1に接触させ、所定の深さまで液晶テレビ1を切断する。次に、切断手段走行軸22に沿って切断手段上下軸23を移動させ、切断手段21で液晶パネルの一辺と平行に液晶テレビ1を切断する。
同様にして、液晶パネル14の他の辺と平行であり、液晶パネル14の外周より外側で且つ液晶ユニット用フタ15におけるネジ固定部より内側の部分を切断する。
【0031】
また、本実施の形態の液晶テレビの解体装置100は、取付台回転手段19を回転させる駆動手段(図示せず)と、取付台17を取付台移動軸20上を移動させる駆動手段(図示せず)と、切断手段上下軸23を上下させる駆動手段(図示せず)と、切断手段上下軸23を切断手段走行軸22に沿って移動させる駆動手段(図示せず)とが、サーボモーター等による位置制御可能な駆動手段であるので、制御システム(図示せず)によりシーケンス制御され、液晶画面の所望の位置を所望の深さで切断できる構造となっている。
【0032】
本実施の形態の液晶テレビの解体装置100は、液晶パネルの四辺の各々と平行であり、液晶パネルの外周より外側で且つ液晶ユニット用フタにおけるネジ固定部より内側の位置の部分を容易に切断できるものであり、ネジの、確認作業や取外し作業を行うことなく、有害物質を含む液晶パネルおよび蛍光灯を取り外すことができる装置である。
【0033】
また、解体従事者が液晶テレビを取付台に固定された液晶テレビの切断位置および切断深さを確認し、その数値を制御システムに入力すれば、制御システムによるシーケンス制御により、液晶テレビの四方の外縁部の適正な位置を切断できるので、液晶テレビの解体の自動化が可能となる。
本実施の形態において、切断手段21は砥石に限るものではなく、レーザ切断装置やバンドソーなど他の切断手段を用いても良い。
【0034】
本実施の形態の液晶テレビの解体装置100では、液晶テレビを、液晶面を上向きにして取付台へ固定しても、液晶面を下向きにして取付台へ固定しても、液晶テレビの解体が可能である。
特に、切断手段にレーザ切断装置を用いると、液晶面を横向きにして液晶テレビを取付台へ固定しても、解体が可能である。
【0035】
本実施の形態の液晶テレビの解体装置100の、液晶テレビを、液晶面を横向きにして取付台17に固定し、レーザ切断装置で切断する場合における、動作機構の一例を説明する。
まず、液晶テレビを、液晶面を横向きにして取付台17に固定する。
次に、切断手段上下軸23および取付台17を動かし、切断手段上下軸23に固定されたレーザ投射部を、液晶パネルの上方角部の外側にある切断位置に配置する。
次に、取付台移動軸20に沿って取付台17を、図4における紙面の後方方向に移動させ、レーザ投射部から投射されたレーザにより、液晶パネルの上方外側の切断部を所定の位置まで切断する。
【0036】
次に、切断手段上下軸23を動作させ、液晶パネルの一方の側方外側の切断部を上方から下方へ所定の位置まで切断する。この時、レーザ投射部と液晶テレビの間隔が変化する(狭くなる)ので、切断手段上下軸23が切断手段走行軸22に沿って移動し、この間隔を一定に保っている。
次に、取付台移動軸20に沿って取付台17を、図4における紙面の前方方向に移動させ、レーザ投射部から投射されたレーザにより、液晶パネルの下方外側の切断部を所定の位置まで切断する。
【0037】
最後に、切断手段上下軸23を動作させ、液晶パネルの他方の側方外側の切断部を下方から上方へ所定の位置まで切断する。この時も、レーザ投射部と液晶テレビの間隔が変化する(広く)なるので、切断手段上下軸23が切断手段走行軸22に沿って移動し、この間隔を一定に保っている。
このように動作させることにより、液晶面を横向きにして取付台17に固定した液晶テレビも、本実施の形態の液晶テレビの解体装置100で解体できる。
【0038】
実施の形態3.
図5は、本発明の実施の形態3に係わる液晶テレビの解体装置を示す斜視模式図である。
図5に示すように、本実施の形態の液晶テレビの解体装置200は、取付台17の一方側の面の上方に非接触式の測距センサ24を設けた以外、実施の形態2の液晶テレビの解体装置100と同様である。
【0039】
本実施の形態の液晶テレビの解体装置200は、測距センサ24を備えているので、液晶面の高さをビームFで測定出来る。
また、取付台17を移動させながら液晶面の高さを連続して測定でき、この場合、液晶面とフロントパネル6の段差のところで、高さの測定値が段差分だけ急に変化するので、この変化位置を認識すると、画面端位置を確認することが可能となる。
本実施の形態の液晶テレビの解体装置200で、液晶面の高さを連続して測定する場合は、液晶面を上向きにして液晶テレビを取付台へ固定する。
【0040】
本実施の形態の液晶テレビの解体装置200は、自動的に画面端部位置および液晶面高さを計測できるので、あらかじめ画面端から切断位置までの距離、切込み深さを制御システムに登録しておけば解体従事者の作業は液晶テレビの固定だけとなるので、解体従事者の作業負荷をさらに低減することが出来る。
本実施の形態においても、切断手段21は砥石に限るものではなく、レーザ切断装置やバンドソーなど他の切断手段を組み合わせても良い。
【0041】
実施の形態4.
図6は、本発明の実施の形態4に係わる液晶テレビの解体装置を示す斜視模式図である。
図6では、切断ユニットは図示していない。
図6に示すように、本実施の形態の液晶テレビの解体装置300は、取付台17の一方の面に液晶テレビ1を押上げる押上げ手段26が設けられ、押上げ手段26により押上げられる液晶テレビ1のフロントパネル6が接触するとともに、フロントパネル6との接触面が取付台17の一方の面と平行になっている基準部材27とが設けられ、液晶テレビ1を取付台17に固定する固定手段が、液晶テレビ1の側面を押圧する押付け機構を有する固定手段(押付け機構付固定手段と記す)28であり、測距センサ24が測距センサ24を取付台17の一方の面と平行に移動さす移動手段25に取り付けられている以外、実施の形態3の液晶テレビの解体装置200と同様である。
【0042】
図7は、本発明の実施の形態4に係わる液晶テレビの解体装置における押付け機構付固定手段を示す斜視模式図である。
図7に示すように、本実施の形態の押付け機構付固定手段28は、取付台17の一方の面に固定される固定部28aと、液晶テレビの側面と接する側面位置規制部28cと、固定部28aと側面位置規制部28cとを繋ぎ且つ側面位置規制部28cを液晶テレビの側面に押付ける側面位置調整部28bとで形成されている。
【0043】
図6に示す、本実施の形態の液晶テレビの解体装置300では、載置される液晶テレビの、上長辺と右短辺と下長辺と左短辺との各辺の外側の位置で、押付け機構付固定手段28が、取付台17に、側面位置規制部28cを液晶テレビの側面と対向するようにして、設けられている。
【0044】
すなわち、載置される液晶テレビの、上長辺の外側にある押付け機構付固定手段(上長辺側の押付け機構付固定手段と記す)28と下長辺の外側にある押付け機構付固定手段(下長辺側の押付け機構付固定手段と記す)28と右短辺の外側にある押付け機構付固定手段(右短辺側の押付け機構付固定手段と記す)28と左短辺の外側にある押付け機構付固定手段(左短辺側の押付け機構付固定手段と記す)28との4個の押付け機構付固定手段28が、取付台17の一方の面に設けられている。
図6では、上長辺側の押付け機構付固定手段28と下長辺側の押付け機構付固定手段28とが対向しており、右短辺側の押付け機構付固定手段28と左短辺側の押付け機構付固定手段28とが対向しているが、辺方向でずれていても良い。
【0045】
図8は、本発明の実施の形態4に係わる液晶テレビの解体装置における、押上げ手段(a)と、押上げ手段が取付台に配置されている状態(b)とを示す斜視模式図である。
図8(a)に示すように、押上げ手段26は、取付台17と接する基台部26aと、バックパネル5と接触する搭載部26cと、基台部26aと搭載部26cとを繋ぎ且つ押上げ手段26の高さを調節する高さ調節部26bとで形成されている。
また、図8(b)に示すように、複数の押上げ手段26が、液晶テレビの大きさに対応した位置にそれぞれ配置されている。
また、押上げ手段26としては、例えば、基台部26aと高さ調節部26bとが、エアシリンダ構造、ネジ構造、レール構造を形成するものが挙げられる。
【0046】
本実施の形態では、図6に示すように、基準部材27は、押付け機構付固定手段28における側面位置規制部28cの上面に取り外し可能に固定されている。
各押付け機構付固定手段28が同サイズであるので、各基準部材27は、取付台17の一方の面と平行な同一面内に配置される。
【0047】
図6では、対向する2箇所の押付け機構付固定手段28にある基準部材27のみを示しているが、上長辺側の押付け機構付固定手段と下長辺側の押付け機構付固定手段と右短辺側の押付け機構付固定手段と左短辺側の押付け機構付固定手段との各押付け機構付固定手段28に設置される。
また、基準部材27は、押付け機構付固定手段28に取り外し可能に固定されているので、液晶テレビの切断時に取り外し、フロントパネル面から退避することができ、切断手段21と干渉しない。
【0048】
本実施の形態では、図6に示すように、移動手段25に取り付けられた測距センサ24は、取付台17の一方の面と平行な、例えば矢印Gで示す方向に移動する。そして、測距センサ24からのビームFが、液晶テレビ1のフロントパネル6の面および液晶面上を走査する。
また、移動手段25には、取付台17の一方の面に対して平行な面内において、任意の角度に回転して固定する手段が設けられていても良い。
【0049】
図2に示すように、自立式の液晶テレビではバックパネル5の外側ないし内側に本体を自立させる脚部8が、ネジ止めで固定される。
また、液晶テレビには、バックパネルに、スピーカ部分の突出部や、ブルーレイディスクドライブまたはDVDの設置部などが設けられた、バックパネル面が凸凹している製品が数多くある。
【0050】
図9は、脚部を有するとともにバックパネルが凸凹している液晶テレビを取付台に直接載置した状態を示す側面模式図である。
図9に示すように、脚部8を有するとともにバックパネル55が凸凹している液晶テレビ51を、取付台17に直接載置すると、液晶テレビ51は傾いた姿勢で固定される。
また、脚部を取外した液晶テレビや脚部の無い液晶テレビであっても、図9に示すように、バックパネル55に、スピーカ部分の突出部30やブルーレイディスクドライブまたはDVDの設置部(ディスク記憶装置部と記す)31などが設けられ、バックパネル55が凸凹していると、液晶テレビは傾いた姿勢で液晶テレビの解体装置に固定される。
【0051】
すなわち、バックパネルが凸凹しており、取付台17に液晶テレビが傾いた姿勢で固定されると、液晶テレビの一方側(例えば脚部側)の取付台17の面からフロントパネル6の面までの高さ(取付高さと記す)と他方側(例えば天井側)の取付高さが異なり、測定範囲の広い測距センサ24を用いる必要がある。また、切断時には液晶テレビの傾きに応じて切断手段上下軸23の位置を補正する必要がある。
【0052】
液晶テレビの、フロントパネル6の面と液晶面とには、2〜10mm程度の段差があるが、フロントパネル6の面と液晶面は概ね平行である。
液晶テレビの解体装置において、測距センサ24で液晶面の高さを連続して測定すると、液晶面とフロントパネル6の段差のところで、高さの測定値が段差分だけ急に変化するので、この変化位置を認識すると、画面端位置を確認することが可能である。
【0053】
図10は、液晶テレビを傾いた姿勢で取付台に固定した場合の、フロントパネルと液晶面との段差部を測距センサで測定する状態(a)と段差検出位置(b)とを示す図である。
図10(b)に示すように、実線で示した液晶テレビを傾いた姿勢で取付台17に固定した場合の、液晶面4aとフロントパネル6の表面との段差D1の検出位置L1は、2点鎖線で示した液晶テレビを平行な姿勢で取付台17に固定した場合の、液晶面4aとフロントパネル6の表面との段差D2の検出位置L2より、液晶面4a側になっている。
【0054】
すなわち、段差検出位置は液晶テレビの画面端位置であるので、液晶テレビを傾いた姿勢で取付台17に固定した場合の画面端位置は、液晶テレビを平行な姿勢で取付台17に固定した場合の画面端位置からずれる。
画面端位置が外側にずれた場合、切込み位置がずれて、液晶ユニット用フタ15におけるネジの中心より外側を切断する可能性があり、液晶ユニット4を分離することができない。
また、画面端位置が内側にずれた場合も、切込み位置がずれて、有害物を含む液晶パネル14や蛍光灯11を切断する可能性がある。
【0055】
図11は、本発明の実施の形態4に係わる液晶テレビの解体装置にバックパネルが凸凹している液晶テレビをセットした状態を示す側面模式図である。
図11では、液晶テレビの解体装置300における、取付台17と押上げ手段26と基準部材27とを示している。
また、図11では、バックパネル55が凸凹している液晶テレビ51を示しているが、脚部を省略している。
【0056】
図11に示すように、本実施の形態の液晶テレビの解体装置300は、押上げ手段26の搭載部26cで、液晶テレビ51のバックパネル55を保持する。そして、押上げ手段26の高さ調節部26bを伸長して、液晶テレビ51を押上げ、液晶テレビ51のフロントパネル6を基準部材27に接触させている。
次に、図示していないが、押付け機構付固定手段28が、側面位置調整部28bで側面位置規制部28cを液晶テレビ51の側面に押付けて、液晶テレビ51を固定する。
【0057】
すなわち、本実施の形態の液晶テレビの解体装置300では、脚部を有していても、あるいはバックパネルが凸凹していても、押上げ手段26の高さ調節部26bの伸長量を調整することにより、液晶テレビ51を、取付台17の一方の面と平行な同一面内に配置されている各基準部材27に、フロントパネル6が接触するまで押上げて、押付け機構付固定手段28で固定するので、液晶テレビ51が、そのフロントパネル面と液晶面との両方を、取付台17の一方の面と平行な状態にして、セットされる。
【0058】
本実施の形態の液晶テレビの解体装置300では、液晶テレビを傾けることなくセットできるので、測距センサ24の測定範囲を、例えば、20mm以下に限定できるので、測定分解能を向上でき、安価な測距センサを使用しても、高精度に画面端位置を計測できる。
また、画面端位置を基準にした、切込み位置のずれが防止できる。
また、切断時に切断手段上下軸23の位置補正が不要となり、切断ユニット50の制御を簡略化できる。
【0059】
また、押付け機構付固定手段28が上記のような構成であるので、液晶テレビの解体装置が、自動的に液晶テレビの固定および画面端位置と液晶面高さとの計測ができるので、あらかじめ画面端位置から切断位置までの距離や切りこみ深さを制御システムに登録しておけば解体従事者の作業は液晶テレビを取付台17に乗せるだけとなるので、解体従事者の作業負荷をさらに低減することが出来る。
また、液晶テレビの脚部などの部品が付いたままで切断解体が可能となるので、事前に液晶テレビの脚部などの部品を取り外す必要がなく、作業時間を短縮できる。
【0060】
また、本実施の形態の液晶テレビの解体装置300では、図示しないが、押付け機構付固定手段28の側面位置調整部28bの移動量を記憶する記憶手段と、液晶テレビのサイズごとの、外形寸法と液晶画面寸法との関係をあらかじめ登録しておく登録手段と、記憶手段に記憶された側面位置調整部28bの移動量を基に求めた液晶テレビの外形寸法と登録手段に登録された液晶テレビの外形寸法とを比較し、おおよその液晶画面寸法を求める判断手段と、この判断手段で求めた液晶画面寸法により測距センサ24の走査を制御する走査制御手段とを設けても良い。
【0061】
上記のような手段を付加すると、液晶テレビの外形寸法は、製品ごと、サイズごと、年式ごとに様々であるが、側面位置調整部28bの移動量から、液晶テレビにおける、液晶画面のおおよその寸法を求めることができるので、測距センサ24の走査を、液晶テレビの画面端位置近辺までは高速に行い、画面端位置近辺から詳細にすることで画面端位置の検出時間を短縮できる。
【0062】
本実施の形態では、測距センサ24は移動手段25に取り付けられており、フロントパネル面の高さと液晶面の高さを連続して測定できる。
すなわち、測距センサ24を走査すると、液晶テレビのフロントパネル面には意匠形状による段差があるので、測距センサ24はその段差位置も検出するが、液晶面は平坦であるので、測距センサ24の高さの測定値はほぼ同じとなる。
【0063】
そこで、測距センサ24の液晶テレビの外側から内側への走査では、測距センサ24の高さの測定値が、急激に変化した位置から走査方向に所定の距離にわたって一定である場合、高さの測定値が急激に変化した位置を画面端位置として検出できる。
測距センサ24を液晶画面上から外側への走査では、最初に高さの測定値が急激に変化した位置が画面端位置なので、液晶テレビの意匠形状に関係なく単純な制御で画面端位置を検出できる。
本実施の形態では、測距センサ24は移動手段25に取り付けられているが、測距センサ24を、取付台17の一方側の面の上方に設置し、取付台17を移動させても良い。
【0064】
図12は、本発明の実施の形態4に係わる液晶テレビの解体装置において、押上げ手段が取付台面上を移動可能に配置されている状態を示す斜視模式図である。
図12では、液晶テレビの解体装置300における、取付台17と押上げ手段26と押付け機構付固定手段28とを示している。
図12に示すように、本実施の形態の液晶テレビの解体装置では、押上げ手段26を取付台17面上に移動可能に配置しても良く、こうすると、液晶テレビの大きさに合わせて押上げ手段26を最適な位置に配置できる。
【0065】
図13は、本発明の実施の形態4に係わる液晶テレビの解体装置において、フローティングジョイントが設けられた押上げ手段で、液晶テレビを押上げた状態を示す側面模式図である。
図13では、液晶テレビの解体装置における、取付台17と押上げ手段36と基準部材27とを示している。
図13に示すように、本実施の形態の液晶テレビの解体装置は、押上げ手段の、搭載部36cと高さ調節部36bとの接続にフローティングジョイントを用いても良い。
フローティングジョイントが設けられた押上げ手段36は、バックパネル65が曲面状の液晶テレビ61であっても、搭載部36cが、曲面状のバックパネル65の接触面の形状にならうので、安定した押上げが可能になる。
【0066】
本実施の形態の液晶テレビの解体装置では、載置される液晶テレビの、上長辺と右短辺と下長辺と左短辺との各辺の外側の位置で、押付け機構付固定手段28が取付台17に設置され、4個の押付け機構付固定手段28が用いられているが、押付け機構付固定手段28は2個であっても良い。
図14は、本発明の実施の形態4に係わる液晶テレビの解体装置において、取付台に2個の押付け機構付固定手段を配置した場合の斜視模式図である。
図14では、液晶テレビの解体装置における、取付台17と押上げ手段26と押付け機構付固定手段28と押付け機構を有さない柱状固定手段29とを示している。
【0067】
図14に示すように、押付け機構付固定手段28が2個の場合では、例えば、2個の押付け機構付固定手段28は、載置される液晶テレビの、上長辺と右短辺との各辺の外側の位置で、取付台17に設置され、液晶テレビの、下長辺と左短辺との各辺の外側の位置には、柱状固定手段29が取付台17に固定される。
【0068】
すなわち、押付け機構付固定手段28が2個の場合は、載置される液晶テレビの、一方の長辺と一方の短辺との各辺の外側の位置で、押付け機構付固定手段28が取付台17に設置され、載置される液晶テレビの、他方の長辺と他方の短辺との各辺の外側の位置で、柱状固定手段29が取付台17に固定されていれば良い。
【0069】
押付け機構付固定手段28が2個の場合は、柱状固定手段29の高さを、押付け機構付固定手段28における側面位置規制部28cの上面までの高さと同じにすることにより、側面位置規制部28cの上面と柱状固定手段29の上面とに取り外し可能に固定する基準部材27は、取付台17の一方の面と平行な同一面内に配置される。
【0070】
また、押付け機構付固定手段28が2個の場合であっても、押上げ手段26で、フロントパネル6の面を基準部材27に接触させた後、各押付け機構付固定手段28の側面位置調整部28bで側面位置規制部28cを液晶テレビの側面に押付けることにより、各押付け機構付固定手段28と対向する柱状固定手段29とで、フロントパネル面と液晶面との両方を取付台17の一方の面と平行な状態にして、液晶テレビが固定される。
【0071】
本実施の形態の液晶テレビの解体装置では、基準部材27は、押付け機構付固定手段28における側面位置規制部28cの上面、あるいは、柱状固定手段29の上面に取り外し可能に固定されているが、基準部材27を取付台17の一方の面と平行な同一面内に配置できるなら、これに限定されない。
【0072】
図15は、本発明の実施の形態4に係わる液晶テレビの解体装置における、取付台の上方から保持され、対向する2箇所のフロントパネル部の面を規制する基準部材を示す斜視模式図である。
図15に示す、取付台17の上方から保持される基準部材37は、取付台17の一方の面と平行に配置される梁部37cと、梁部37cの両端に設けられた同じ長さの柱部37bと、2本の柱部37bの先端に固定された基準部材本体37aと、梁部37cの中心に設けられ回転機構と接続する軸部37dとで構成されている。
【0073】
この基準部材37は、回転し、基準部材本体37aを所定の位置に固定することにより、対向するフロントパネル部の面を規制する構造である。この基準部材37も、液晶テレビの切断時に退避するようになっており、切断手段21と干渉しない。
【0074】
図16は、本発明の実施の形態4に係わる液晶テレビの解体装置における、取付台の上方から保持され、4箇所のフロントパネル部の面を規制する基準部材を示す斜視模式図である。
図16に示す、取付台17の上方から保持される基準部材47は、取付台17の一方の面と平行に配置される直交する2本の梁部47cと、各梁部47cの両端に設けられた同じ長さの柱部47bと、4本の柱部47bの先端に設けられた基準部材本体47aとで構成されており、上部と下部と右部と左部とのフロントパネルの面を規制する構造である。この基準部材47も、液晶テレビの切断時にフロントパネル面から退避するようになっており、切断手段21と干渉しない。
【0075】
取付台の上方から保持される、両基準部材37,47は、ともに、取付台17の一方の面と平行に配置される梁部に同じ長さの柱部を介して基準部材本体が固定されているので、各基準部材本体が、取付台17の一方の面と平行な同一面内に配設されており、押上げ手段26で押上げられた液晶テレビの、フロントパネル面と液晶面との両方を、取付台17の一方の面と平行な状態にできる。
【0076】
本発明は、液晶テレビのみならず、プラズマテレビなどの薄型テレビやパソコンのディスプレイなどの映像表示機器にも適用できる。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明に係わる液晶テレビの解体方法および液晶テレビの解体装置は、ネジの、確認作業や取外し作業を行うことなく、有害物質を含む液晶パネルおよび蛍光灯を取り外すことができるので、解体作業の効率化が要求される液晶テレビの解体に用いられる。
【符号の説明】
【0078】
1 液晶テレビ、2 フレーム、3 プリント基板、4 液晶ユニット、
4a 液晶面、5 バックパネル、6 フロントパネル、7 ネジ、8 脚部、
10 液晶ユニット用ケース、11 蛍光灯、11a 蛍光灯ホルダ、12 拡散板類、
13 中間フタ、14 液晶パネル、15 液晶ユニット用フタ、
16 液晶ユニット固定ネジ、17 取付台、18 固定手段、19 取付台回転手段、
20 取付台移動軸、21 切断手段、22 切断手段走行軸、23 切断手段上下軸、
24 測距センサ、25 移動手段、26 押上げ手段、26a 基台部、
26b 高さ調節部、26c 搭載部、27 基準部材、28 押付け機構付固定手段、
28a 固定部、28b 側面位置調整部、28c 側面位置規制部、
29 柱状固定手段、30 スピーカ部分の突出部、31 ディスク記憶装置部、
36 押上げ手段、36a 基台部、36b 高さ調節部、36c 搭載部、
37 基準部材、37a 基準部材本体、37b 柱部、37c 梁部、37d 軸部、
40 配置ユニット、47 基準部材、47a 基準部材本体、47b 柱部、
47c 梁部、50 切断ユニット、51 液晶テレビ、55 バックパネル、
61 液晶テレビ、65 バックパネル、
100,200,300 液晶テレビの解体装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バックパネルと、上記バックパネルにフレームを介して取付けられた液晶ユニットと、上記液晶ユニットの画面を露出させる開口を有し且つ上記液晶ユニットを覆うとともに、上記バックパネルにネジで固定されたフロントパネルを備え、上記液晶ユニットが、上記バックパネル側に配置している液晶ユニット用ケースに、蛍光灯ホルダに保持された蛍光灯と拡散板類と中間フタと液晶パネルとをこの順に収納し、液晶ユニット用フタで覆い、この液晶ユニット用フタと上記液晶ユニット用ケースとを、上記液晶パネルの外周より外側の位置で、液晶ユニット固定ネジで固定して形成されている液晶テレビを、上記液晶パネルの外周より外側で且つ上記液晶ユニット用フタにおけるネジ固定部より内側の部分を切断する工程を備えた液晶テレビの解体方法。
【請求項2】
上記液晶テレビの切断工程が、液晶パネルの外周より外側で且つ液晶ユニット用フタにおけるネジ固定部より内側の部分で、フロントパネルからバックパネルまでの範囲を切断し、上記液晶テレビの四方の外縁部側を接離することであることを特徴とする請求項1に記載の液晶テレビの解体方法。
【請求項3】
上記液晶テレビの切断工程が、液晶パネルの外周より外側で且つ液晶ユニット用フタにおけるネジ固定部より内側の部分で、フロントパネル側から、蛍光灯ホルダの部分まで切断する切込みを入れることであることを特徴とする請求項1に記載の液晶テレビの解体方法。
【請求項4】
液晶テレビを載置するとともに、上記液晶テレビを切断する位置に移動する配置ユニットと、上記液晶テレビを切断する切断ユニットとを備え、
上記配置ユニットは、上記液晶テレビを載置する取付台と、上記取付台の一方の面に設けられ、上記液晶テレビを上記取付台に固定する固定手段と、上記取付台の他方の面に設けられ、この他方の面に対する垂直方向が軸となり、上記取付台を回転さす取付台回転手段と、上記取付台の他方の面側に設置され、この他方の面と平行であり、一軸方向に上記取付台を移動さす取付台移動軸とで形成され、
上記切断ユニットは、上記取付台の一方の面の上方に配置されており、上記液晶テレビに切込まれる切断手段と、一端に上記切断手段が取付けられ、上記切断手段を上下方向に移動さす切断手段上下軸と、上記切断手段上下軸の他端を保持し、軸方向が上記取付台移動軸と直交する方向になるように設置され、上記切断手段を一軸方向に移動さす切断手段走行軸とで形成されている請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の液晶テレビの解体方法に用いられる液晶テレビの解体装置。
【請求項5】
上記取付台の一方の面の上方に非接触式の測距センサを設けたことを特徴とする請求項4に記載の液晶テレビの解体装置。
【請求項6】
上記取付台の一方の面に液晶テレビを押上げる押上げ手段が設けられており、上記押上げ手段により押上げられる上記液晶テレビのフロントパネルと接触するとともに、上記フロントパネルとの接触面が上記取付台の一方の面と平行になっている基準部材が設けられており、上記固定手段が、上記液晶テレビの側面を押圧する押付け機構を有する押付け機構付固定手段であり、上記測距センサが、上記測距センサを取付台の一方の面と平行に移動さす移動手段に取り付けられており、上記基準部材が、上記液晶テレビの切断時に、上記フロントパネルの面から退避することを特徴とする請求項5に記載の液晶テレビの解体装置。
【請求項7】
上記取付台の一方の面に液晶テレビを押上げる押上げ手段が設けられており、上記押上げ手段により押上げられる上記液晶テレビのフロントパネルと接触するとともに、上記フロントパネルとの接触面が上記取付台の一方の面と平行になっている基準部材が設けられており、載置される上記液晶テレビの、一方の長辺と短辺との各辺の外側の位置で上記取付台に設けられている固定手段が、押付け機構付固定手段であり、載置される上記液晶テレビの、他方の長辺と短辺との各辺の外側の位置で上記取付台に設けられている固定手段が、柱状固定手段であり、測距センサが、上記測距センサを取付台の一方の面と平行に移動さす移動手段に取り付けられており、上記基準部材は上記液晶テレビの切断時に、上記フロントパネルの面から退避することを特徴とする請求項5に記載の液晶テレビの解体装置。
【請求項8】
上記押付け機構付固定手段が、載置される液晶テレビの、上長辺と右短辺と下長辺と左短辺との各辺の外側の位置で、取付台に設けられていることを特徴とする請求項6に記載の液晶テレビの解体装置。
【請求項9】
上記押付け機構付固定手段が、取付台の一方の面に固定される固定部と、液晶テレビの側面と接する側面位置規制部と、上記固定部と上記側面位置規制部とを繋ぎ且つ上記側面位置規制部を上記液晶テレビの側面に押付ける側面位置調整部とで形成されていることを特徴とする請求項6ないし請求項8のいずれか1項に記載の液晶テレビの解体装置。
【請求項10】
上記押上げ手段が、取付台と接する基台部と、押上げる液晶テレビのバックパネルと接触する搭載部と、上記基台部と上記搭載部とを繋ぎ且つ上記押上げ手段の高さを調節する高さ調節部とで形成されていることを特徴とする請求項6ないし請求項9のいずれか1項に記載の液晶テレビの解体装置。
【請求項11】
上記押上げ手段の、搭載部と高さ調節部との接続にフリクションジョイントを用いたことを特徴とする請求項10に記載の液晶テレビの解体装置。
【請求項12】
上記基準部材が、押付け機構付固定手段に取り外し可能に固定されていることを特徴とする請求項6に記載の液晶テレビの解体装置。
【請求項13】
上記基準部材が、押付け機構付固定手段と柱状固定手段との各々に取り外し可能に固定されていることを特徴とする請求項7に記載の液晶テレビの解体装置。
【請求項14】
上記基準部材が、取付台の上方から保持されており、上記取付台の一方の面と平行に配置される梁部と、上記梁部の両端に設けられた同じ長さの柱部と、上記2本の柱部の先端に固定された基準部材本体と、上記梁部の中心に設けられ且つ回転機構と接続する軸部とで形成されていることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の液晶テレビの解体装置。
【請求項15】
上記基準部材が、取付台の上方から保持されており、上記取付台の一方の面と平行に配置される、直交する2本の梁部と、上記各梁部の両端に設けられた同じ長さの柱部と、上記4本の柱部の先端に設けられた基準部材本体とで形成されていることを特徴とする請求項6または請求項7に記載の液晶テレビの解体装置。
【請求項16】
上記押付け機構付固定手段の側面位置調整部の移動量を記憶する記憶手段と、液晶テレビのサイズごとの、外形寸法と液晶画面寸法との関係をあらかじめ登録しておく登録手段と、上記記憶手段に記憶された上記側面位置調整部の移動量を基に求めた液晶テレビの外形寸法と上記登録手段に登録された上記液晶テレビの外形寸法とを比較し、おおよその液晶画面寸法を求める判断手段と、上記判断手段で求めた液晶画面寸法により測距センサの走査を制御する走査制御手段とを備えていることを特徴とする請求項9に記載の液晶テレビの解体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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