説明

液晶ディスプレイ用バックライト装置

光拡散板、この光拡散板の背面側に配置される光源、および、この光源からの光を反射する反射板を具備するとともに、前記光拡散板の前面側に液晶パネルが配置され、前記光源からの直射光および前記反射板からの反射光が前記光拡散板を拡散透過し、前記液晶パネルを背面側から照らす液晶ディスプレイ用バックライト装置において、光源が可視光と共に紫外線と熱とを放射する形式であり、その光源の光量の増加に伴う紫外線の量が増加しても該拡散板の反り、黄変の少ないバックライト装置を提供する。
光拡散板を用いる直下型液晶ディスプレイ用バックライト装置において、JIS K7350-2に規定された人工光源試験に用いる人工光に500時間曝露された後のJIS K 7105に規定された色差(ΔE)が2.0以下、該光拡散板の飽和吸水率が0.9%以下である光拡散板を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶パネルを背面側から照らす液晶ディスプレイ用バックライト装置に関するものである。
本発明は、より詳しくは優れた光拡散性を有するとともに、バックライト装置表面に位置する拡散板の反りやたわみ等の変形を起こし難く、また優れた耐久性を有し、透過光の黄色味が抑制された液晶ディスプレイ用バックライト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶ディスプレイの分野では、テレビ用途を中心として大画面化、高輝度化・薄型かつ輝度均一性が求められている。そこで、冷陰極管を複数本用いる光源と、背面に設けられた反射板と、発光面をなす拡散板を組み合わせた構成である直下型バックライト装置が使用されている。該装置は、光源から放射される光束の有効利用効率(ランプから放射される光束のうち発光面から放射される割合)が高く、かつ使用する光源の数を増やす事ができるため発光面の高輝度化が容易である一方、光源の真上で輝度が高くなるため、発光面の輝度均一性が悪いという問題点がある。特に、バックライト装置を薄型化した時に、この問題が顕著になる。
【0003】
従来、光の利用効率が高く、かつ光源のランプイメージを消すという相反する性能を兼ね備える上記バックライト装置を得る為に、それに使用される光拡散板を得る方法として、無機微粒子や架橋有機微粒子を光拡散剤として、例えば、メタクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂等を基材樹脂として配合する方法(例えば、特許文献1参照)が検討されている。
【0004】
たとえば、透明性、紫外線に対する耐久性の観点から基材樹脂にメタクリル樹脂を用いる方法(例えば、特許文献2参照)が検討されている。しかしながら、メタクリル系樹脂からなる光拡散板は、吸湿による寸法変化、反りが発生しやすい問題がある。光源と反射板と拡散板で構成される空間は、近年液晶ディスプレイの薄型化の要求から反射板と拡散板の距離が例えば15mm以下と短くなる方向であり、その単位表示面積あたりの体積が小さくなる傾向にある。その結果として光源点灯後の温度上昇カーブは益々急激になる傾向に有り、例えば拡散板の光源側の温度上昇カーブも点灯後1時間以内に50℃以上に達するようになっており、拡散板の反りやたわみへの影響も大きくなってきている。バックライト装置では、拡散シートなど各種光学フィルムを複数枚光拡散板の上面に配置される場合があるため、光拡散板の反りやたわみが、光拡散板の上面に配置された各種光学フィルムに対しても反りやたわみ、更には、しわを生じさせてしまう。その結果、しわの生じた部位では、表示面の欠点として不具合が生じる。また、光拡散板の寸法が安定しないと、バックライト装置の組み立てに支障がでるほか、製造後の品質にも悪影響を与える。
【0005】
一方、反り、たわみの発生を抑制する観点から、メタクリル系樹脂よりも低吸湿である基材樹脂として、ポリカーボネート系樹脂を用いる方法(例えば、特許文献3参照)、スチレン系樹脂を用いる方法(例えば、特許文献4参照)などが提案されている。
【0006】
直下型バックライト装置に主に用いられる冷陰極管の発光原理は、水銀に加えて、発光効率を改善するためにアルゴンなどの希ガスが封入された管内に、(i)電極に印加された高電界により陰極から電子が放出され、(ii)その電子が高電界により加速されて水銀原子と衝突することにより水銀原子を励起し、(iii)励起状態の水銀原子は不安定であるため速やかに安定状態に戻り、その余剰エネルギーを紫外線(主に253.7nm)の形で放出し、(iv)蛍光体がこの紫外線を吸収し励起する事によって、紫外線を可視光にエネルギー交換して発光するものである。その結果ランプからは、本来必要としない水銀の発する波長254nmの紫外線や、それ以外でも365nmなどの紫外線が放出されることが知られている(例えば非特許文献1参照)。上述の通り大画面化、高輝度化要求から蛍光管の本数の増加、1本当たりの輝度上昇に伴い、放出される紫外線の量も益々増加傾向にある。それに加えて薄型化の要求から、拡散板と光源との距離が短くなり、管の直上で拡散板に照射される紫外線エネルギー量は更に増加する傾向にあり、これらの光源の下に使用される光拡散板に対しては、紫外線に対する耐性が以前にも増して求められている。
【特許文献1】特開昭54−155244号公報
【特許文献2】特開平1−172801号公報
【特許文献3】特開平03−143950号公報
【特許文献4】特開平6−345925号公報
【非特許文献1】日経BP社刊、日経マイクロデバイス、2003年6月号73頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、本発明は紫外線と熱を可視光と共に放射する光源、前記光源の背面に有りその光を反射する反射板、前記光源からの直射光および前記反射板からの反射光を拡散透過する透明性樹脂を主体とする光拡散板を少なくとも用いる液晶ディスプレイ用バックライト装置において、該光拡散板が反りやたわみ等の変形を起こし難く、また優れた耐紫外線性を有することを特徴とする液晶ディスプレイ用バックライト装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討する中で、反りやたわみに関する改善に加え、透過光の黄色味につながる、紫外線による光拡散板の色度の劣化の問題に着目し、この問題を解決するためにさらに研究を進めた結果、一定以下の飽和吸水率および一定以下の色差(ΔE)を有する材料が、バックライト装置の光拡散板の成分として優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
1)光拡散板、この光拡散板の背面側に配置される光源、および、この光源からの光を反射する反射板を具備するとともに、前記光拡散板の前面側に液晶パネルが配置され、前記光源からの直射光および前記反射板からの反射光が前記光拡散板を拡散透過し、前記液晶パネルを背面側から照らす液晶ディスプレイ用バックライト装置において、
前記光源が可視光と共に紫外線と熱とを放射し、
前記光拡散板はその少なくとも1辺が拘束されるとともに、飽和吸水率が0.9%以下でかつ、JIS K7350-2に規定された人工光源試験に用いる人工光に500時間曝露された後の、JIS K 7105に規定された色差(ΔE)が2.0以下であることを特徴とする液晶ディスプレイ用バックライト装置。
また、本発明は、
2)上記1)記載の液晶ディスプレイ用バックライト装置において、光拡散板が、光拡散性(メタ)アクリルスチレン系共重合樹脂からなる光拡散板である、前記液晶ディスプレイ用バックライト装置である。
また、本発明は、
3)上記1)または2)記載の液晶ディスプレイ用バックライト装置において、光拡散板が、透明性樹脂を主体とする光拡散性樹脂100質量部に対して紫外線吸収剤0.005〜2質量部を含有する、前記液晶ディスプレイ用バックライト装置である。
4)上記1)〜3)記載の液晶ディスプレイ用バックライト装置において、光拡散板が、透明性樹脂を主体とする光拡散性樹脂100質量部に対して粒子径1〜30μmの微粒子を0.1〜20質量部含有する、前記液晶ディスプレイ用バックライト装置である。
また、本発明は、
5) 上記1)〜4)記載の液晶ディスプレイ用バックライト装置において、光拡散板の光源側の表面における波長300〜400nmの光エネルギーの最大値が、20μW/cm以上である、前記液晶ディスプレイ用バックライト装置である。
6)上記1)〜5)記載の液晶ディスプレイ用バックライト装置において、光拡散板の光源側の表面における波長300nm以下の光エネルギーの最大値が、50μW/cm以上である、前記液晶ディスプレイ用バックライト装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の液晶ディスプレイ用バックライト装置は、透明な樹脂板である光拡散板、この光拡散板の背面側に配置される光源、および、この光源からの光を反射する反射板を具備するとともに、前記光拡散板の前面側に液晶パネルが配置され、前記光源からの直射光および前記反射板からの反射光が前記光拡散板を拡散透過し、前記液晶パネルを背面側から照らす液晶ディスプレイ用バックライト装置において、優れた光拡散性を有するとともに、該拡散板が反りやたわみ等の変形を起こし難く、また優れた耐紫外線性を有し、透過光の黄色味が抑制される点で極めて優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】反り評価において使用した評価用液晶TV装置の概略図である。
【図2】基材のメタクリル酸メチル単量体比率と飽和吸水率および反り評価との関係を示すグラフである。
【図3】基材のメタクリル酸メチル単量体比率と色差および耐紫外線性との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
【0011】
A・・・評価用液晶TV装置
B・・・成形試験片(光拡散板)
C・・・冷陰極管
D・・・反射板
E・・・透明ガラス
F・・・レーザー変位計
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のバックライト装置は少なくとも、紫外線と熱を可視光と共に放射する光源、前記光源からの光を反射する反射板、前記光源からの直射光および前記反射板からの反射光を拡散透過する透明性樹脂を主体とする光拡散板により構成される。
【0013】
本発明のバックライト装置に用いられる光源は、一般的に紫外線と熱を可視光と共に照射する蛍光管が用いられる。発熱量を下げる点から、冷陰極管を用いることが好ましい。また蛍光管の形状については特に限定されるものではなく、直線状、L字状、コの字状等の形状が設計の必要性に応じて適時選択される。
【0014】
本発明のバックライト装置に用いられる反射板は特に限定されるものではないが、その反射率が高いことが好ましい。また形状については平面であっても、蛍光管の間が凸形状になっていても良い。
【0015】
本発明のバックライト装置で用いられる光拡散板は、一板のみで構成されていることも可能であるし、また、光拡散板を複数枚重ねることも可能である。
【0016】
本発明のバックライト装置に用いられる光拡散板の飽和吸水率は、0.9%以下であり、好ましくは0.8%以下であり、さらに好ましくは0.7%以下である。その飽和吸水率が、0.9%より大きいと、得られる光拡散板が吸水による寸法変化のため大きく反りやたわみを生じやすく、バックライト装置として使用した際、画像の欠点を招きやすくなる。
なお、本明細書でいう飽和吸水率とは、後述する測定により得られた実測値である。
【0017】
本発明のバックライト装置で用いられる光拡散板は、耐紫外線性に優れたものであることが要求される。具体的にはJIS K7350-2-1995(ISO 4892-2:1994)に規定された人工光源試験に用いる人工光に500時間曝露された後に、拡散板樹脂基体の光学特性、特に色度が著しく劣化していないことが要求される。なお、本拡散板の光学特性、特に色度が著しく劣化しないとは、曝露後におけるJIS K 7105-1981に規定された色差(ΔE:CIE 1976L***系の色差式から求めた値)は2.0以下であり、好ましくは1.5以下である事を意味する。その色差(ΔE)が、2.0より大きいと、耐紫外線性に劣り、長時間の安定した使用が困難となる。なお上記人工光曝露試験にいて推薦される人工光とは以下のとおりである。まず、光源としてキセノンアーク光源を用い、この放射エネルギーがCIE No.85:1989で規定される地表上の日光の分光分布に近似した分光特性となるようにフィルタをかける。そして、波長340nmにおける分光放射照度が0.50W/(m・nm)となるように設定する。このとき、290〜800nmの波長域における全放射照度は、約550W/mとなる。この条件で放射される光が、上記人工光である。
【0018】
上述の拡散板を用いることにより、紫外線と熱を可視光と共に放射する光源、前記光源からの光を反射する反射板、前記光源からの直射光および前記反射板からの反射光を拡散透過する透明性樹脂を主体とする光拡散板を少なくとも有するバックライト装置において、該拡散板が反りやたわみ等の変形を起こし難く、また優れた耐紫外線性を有し、透過光の黄色味が抑制されるメカニズムは、必ずしも明らかではないが、以下の要因が考えられる。 紫外線と熱を可視光と共に放射する光源と、前記光源からの光を反射する反射板、前記光源からの直射光および前記反射板からの反射光を拡散透過する光拡散板を少なくとも有するバックライト装置における該拡散板の反りは、発生要因別に、(i)光源の点灯により光拡散板の片側の面である光源側が、反対側より熱せられ温度差が生じることによる反り、(ii)その後、光拡散板表裏で温度差が生じたことにより、光源側が反対側に比べてより脱水し、光拡散板表裏の吸水率に差が生じることによる反り、と考えられている。そして、光拡散板はその周縁部がフレームなどに取り付けられ拘束されているため、光源側が縮むと、光拡散板の中央部が液晶パネル側に反り液晶パネルに接触するおそれがある。
近年のバックライト装置は、薄型化、密閉性が増してきており、特に(ii)の光拡散板表裏の吸水率差による反りの影響が大きいことが分かってきた。従って、飽和吸水率の小さい樹脂を基材として用いた光拡散板が好ましいことが分かった。一方、低吸水性である基材としては、(メタ)アクリルスチレン系共重合樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が好適に用いられるが、一般に耐紫外線性に劣り、長時間の安定した使用が困難となることが知られている。 本発明の液晶ディスプレイ用バックライト装置の光拡散板に用いられる基材樹脂としては、耐紫外線性として後述に述べるJIS K7350-2-1995に規定された人工光源試験に用いる人工光に500時間曝露された後の色差(ΔE)が小さいものが好適であることが分かった。
以上のことから、本発明の液晶ディスプレイ用バックライト装置に用いられる光拡散板としては、JIS K7350-2-1995に規定された人工光源試験に用いる人工光に500時間曝露された後のJIS K 7105-1981に規定された色差(ΔE)が2.0以下であり、かつ、該光拡散板の飽和吸水率が0.9%以下であることが必要であることが分かった。
【0019】
本発明のバックライト装置における拡散板に用いる透明性樹脂は、光線透過率が80%以上の透明性を有している熱可塑性樹脂が好ましい。具体的には、(メタ)アクリル系樹脂、(メタ)アクリルスチレン系共重合樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、環状オレフィン系樹脂、エチレン酢酸ビニル系共重合樹脂等である。更に、耐紫外線性、低吸水性の観点から(メタ)アクリル系樹脂、(メタ)アクリルスチレン系共重合樹脂、スチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、環状オレフィン系樹脂を用いることが好ましく、特に、(メタ)アクリルスチレン系共重合樹脂を用いることがより好ましい。
【0020】
本発明のバックライト装置における拡散板に好適に用いられる(メタ)アクリルスチレン系共重合樹脂を構成する(メタ)アクリル酸エステル系単量体とは、炭素数1〜12のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルおよび/またはメタクリル酸アルキルエステルであることが好ましい。該単量体の具体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチルおよびこれらの四級化物、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸およびそのナトリウム塩などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらのうち、炭素数1〜8のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステル、炭素数1〜8のアルキル基を有するメタクリル酸アルキルエステルあるいはこれらの混合物がより好ましく、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、あるいはこれらの混合物がさらに好ましく用いられる。
【0021】
また、スチレン系単量体とは、スチレン、α−メチルスチレン、p−スチレンスルホン酸またはそのナトリウム塩、カリウム塩、またはベンゼン核の一部がアルキル基で置換されたスチレンなどが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらのうち特に、スチレン、α―メチルスチレンあるいはこれらの混合物が好ましく用いられる。
【0022】
そして、他の共重合性単量体としては(メタ)アクリル酸エステル系単量体及びスチレン系単量体と共重合可能な単量体であれば、特に限定されず、例えば、他のエチレン性不飽和単量体を挙げることができ、より具体的には、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類;塩化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン化オレフィン類;ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類;マレイン酸、イタコン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のラジカル重合性多塩基酸及びその無水物;マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド等のマレイミド系単量体;アクリル酸、メタクリル酸あるいはN−ビニルピロリドン等を挙げることができる。これらの他の単量体は、単独で用いることもできるし、2種以上を併用することもできる。上記他の単量体は、本発明に用いる(メタ)アクリルスチレン系共重合樹脂において必須の成分ではないが、用いる単量体の総量に対して、通常0〜40質量%の範囲で用いられ、好ましくは0〜20質量%の範囲、より好ましくは0〜10質量%の範囲で用いられる。
【0023】
本発明において好適に用いられる(メタ)アクリルスチレン系共重合樹脂は、好ましくは(メタ)アクリル酸エステル系単量体30〜70質量%、スチレン系単量体70〜30質量%、さらに好ましくは、(メタ)アクリル酸エステル単量体40〜60質量%、スチレン系単量体60〜40質量%、特に好ましくは、(メタ)アクリル酸エステル単量体45〜60質量%、スチレン系単量体55〜40質量%からなる単量体混合物を共重合してなるものである。(メタ)アクリル酸エステル単量体単位が30質量%未満では、剛性、表面硬さ、及び耐紫外線性等に劣り、長時間の安定した使用が困難となり、70質量%より大きい場合には、得られる光拡散板が吸水による寸法変化のため大きく反りやたわみを生じやすく、バックライト装置として使用した際、画像の欠点を招きやすくなる。スチレン系単量体単位が30質量%未満では、結果的に(メタ)アクリル酸エステル単量体単位が増加することにより、得られる光拡散板が吸水による寸法変化のため大きく反りやたわみを生じやすく、バックライト装置として使用した際、画像の欠点を招きやすくなり、また、70質量%より大きい場合には、耐紫外線性に劣り、長時間の安定した使用が困難となる。なおメカニズムは、必ずしも明らかでないが、上記に記述した(メタ)アクリル酸エステル単量体とスチレン系単量体の特定範囲は、メタクリル酸メチルとスチレンの共重合アゼオトロープ組成であるメタクリル酸メチル57mol%/スチレン43mol%をほぼ中心とした範囲であり、メタクリル酸メチルとスチレンの共重合連鎖がランダムになり、その高分子鎖の絡まりあいにおいて吸水に関係する自由体積が小さくなっているためではないかと推測している。
【0024】
本発明のバックライト装置で用いられる光拡散板として、好適に用いられる(メタ)アクリルスチレン系共重合樹脂を製造する方法としては、特に制限されないが、具体的には、重合発熱の除去が容易で、高転化率領域まで重合が可能なため、未反応単量体やスチレン2量体、スチレン3量体を効果的に抑制することができる懸濁重合や、溶液重合、特公昭62−13968号公報記載の塊状重合法により重合させた後、得られた部分重合体をキャスト重合法や懸濁重合法により重合させる方法や、連続的塊状重合法により重合させた後、未反応単量体を回収除去する方法などがある。好ましくは懸濁重合や塊状重合が用いられる。また重合に際して、必要に応じて水溶性高分子、界面活性剤、連鎖移動剤、重合禁止剤等を重合阻害しない範囲で添加してもよい。
【0025】
本発明のバックライト装置で用いられる光拡散板に用いられる透明性樹脂には、紫外線吸収剤を透明性樹脂100質量部に対して0.005〜2質量部含有することができ、これにより本発明のバックライト装置で用いられる光拡散板の耐紫外線性をより向上することができる。上記、紫外線吸収剤としては特に限定されるものではないが、耐紫外線性を改良する目的からヒンダードアミン類、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類、サリチル酸フェニル類、2−(1−アリールアルキリデン)マロン酸エステル類、オキサルアニリド類または安息香酸フェニル系などから誘導される化合物で、その最大吸収波長が240〜380nmの範囲にある化合物が好ましい。これらの紫外線吸収剤は単独で用いても良いし、2種以上を併用しても良い。
【0026】
この紫外線吸収剤の配合量は、透明性樹脂100質量部に対して0.005〜2質量部、好ましくは0.1〜1質量部である。その配合割合が0.005質量部未満では耐紫外線性の向上が十分でなく、2質量部を超える場合には押出成形時ポリシングロール表面を汚すため曇り、汚れが発生しやすく、またスリップなど運転上のトラブルが起こりやすくなり好ましくない。
【0027】
本発明のバックライト装置で用いられる光拡散板は、透明性樹脂100質量部に対し、光拡散剤を0.1〜20質量部、好ましくは0.3〜15質量部、さらに好ましくは1〜10質量部含有することができ、その含有量が、透明性樹脂100質量部に対して0.1質量部未満であると、光拡散性が十分でなく、また、20質量部を超えると、十分な全光線透過率が得ることが出来なくなり、また、強度も十分でない。
【0028】
また、光拡散剤の粒子径は、その平均粒子径が1〜30μmの範囲であることが好ましく、2〜20μmの範囲であることがより好ましい。光拡散剤の平均粒子径が1μmより小さい場合には、これを透明性樹脂中に分散させて得られる光拡散性樹脂組成物は、短波長の光を選択的に散乱するため、透過光が黄色を帯びやすく好ましくない。一方、光拡散剤の平均粒子径が30μmを超えると、透明性樹脂中に分散させて得られる光拡散性樹脂組成物は、光拡散性が低下したり、光が樹脂を透過したときに光拡散剤が異物として目視されやすくなったりする場合があり好ましくない。光拡散剤の形状としては、楕円球状ないし球状にわたる形態であることが好ましく、球状であることがより好ましい。
なお、本明細書でいう平均粒子径とは、後述するように電子顕微鏡観察により得られた写真を用いた実測によって得られる平均粒子径を意味する。
【0029】
光拡散剤としては、通常、基材の透明性樹脂と屈折率の異なる無機系および/または有機系の透明微粒子が用いられる。光拡散剤の屈折率と基材の屈折率との差については、その絶対値が、0.02以上であるのが光拡散性の観点から好ましく、また、0.15以下であるのが光透過性の観点から好ましい。なお、本発明においては、上記のように光拡散剤と基材との屈折率差を設けることにより、いわゆる内部拡散性を付与することができるが、光拡散剤を基材表面に浮き出させて表面凹凸を形成させることにより、いわゆる外部拡散性を付与することもできる。
【0030】
無機系の光拡散剤としては、例えば、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、シリカ、ガラス、タルク、マイカ、ホワイトカーボン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等が挙げられ、これらは脂肪酸等で表面処理が施されたものであっても良い。また、有機系光拡散剤としては、例えば、スチレン系重合体粒子、アクリル系重合体粒子、シロキサン系重合体粒子、フッ素系重合体粒子等が挙げられ、空気中での3質量%減少温度が250℃以上である高耐熱光拡散剤や、アセトンに溶解させたときのゲル分率が10%以上の架橋重合体粒子が好適に用いられる。これらの光拡散剤の内、シリカ、ガラス、アクリル系重合体粒子、シロキサン系重合体粒子を用いることが好ましく、アクリル系重合体粒子、シロキサン系重合体粒子を用いることがより好ましい。また、これらの光拡散剤は、必要に応じてその2種類以上を用いることができる。
【0031】
本発明のバックライト装置で用いられる光拡散板に用いられる光拡散性樹脂組成物を調整する方法としては、特に限定されず、例えば、透明性樹脂ペレットに予め光拡散剤を混合してこれを押出成形または射出成形してペレットなどの形態で光拡散性樹脂組成物とする方法;透明性樹脂を押出成形または射出成形する際に光拡散剤を添加し成形してペレットなどの形態で光拡散性樹脂組成物とする方法;一度透明性樹脂と光拡散剤とをマスターバッチ化した後に再度所望の配合量とするべく透明性樹脂とマスターバッチ品とを押出成形または射出成形してペレットなどの形態で光拡散性樹脂組成物とする方法を採用することができる。
【0032】
本発明のバックライト装置に用いる光拡散板の光源側における波長300〜400nmの最大エネルギー量は、20μW/cm以上であっても透過光の経時変化による拡散板の黄変が抑制されることが好ましい。より好ましくは、同エネルギーが30μW/cm以上であっても透過光の経時変化による拡散板の黄変が抑制されることである。また波長300nm以下である水銀の主発光エネルギーの漏れ量は、50μW/cm以上であっても透過光の経時変化による拡散板の黄変が抑制されることが好ましい。より好ましくは、同エネルギーが75μW/cm以上であっても透過光の経時変化による拡散板の黄変が抑制されることである。これにより光源の輝度を上げることによる紫外線量の増加に対応することが可能になる。
【0033】
このようにして得られた本発明のバックライト装置における光拡散板に用いられる光拡散性樹脂組成物は、通常の熱可塑性樹脂に適用されるような各種の成形方法に供することができ、それによって任意の形状・寸法の光拡散板を製造することができる。かかる成形方法としては、特に制限されず、例えば、押出成形、射出成形、ブロー成形、カレンダー成形、プレス成形などの各種の成形法が採用可能である。また、本発明に用いる光拡散剤を直接キャスト成形時に基材樹脂形成モノマーに添加混合し、板、フィルム、他の成形体などに重合・成形することもできる。また、2台以上の押出機を用いて、上記組成物と他の材料とをフィードブロックやマルチマニホールドダイ、ロールユニットを介して押出すことにより、上記組成物の層を有する板状の積層拡散板を得ることができる。また、積層拡散板とした時には、表層、好ましくは光源側の表層に、帯電防止性の樹脂組成物を用いることができる。
【0034】
本発明のバックライト装置における光拡散板のシート厚みは、好ましくは0.8〜10mm、より好ましくは1〜5mmである。シート厚みは薄い方が明るくでき、軽量化でき、かつ経済的であるが、0.8mm未満では、光拡散板の機械的強度が不足となりたわみなどが生じ、一方、10mmを超えると製造が困難となる場合がある。
【0035】
また、得られるバックライト装置の製品としての商品価値を高めるために、本発明の目的を達成する範囲内で該拡散板に他の添加剤、例えば帯電防止剤、無機顔料や各種安定剤等を少量添加することができる。さらに製品であるバックライト装置の輝度調整等を目的として、該拡散板の成形と同時にまたは別個に成形体の表面をマット、プリズム、光学パターン状等にすることも可能である。
【実施例】
【0036】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0037】
本発明のバックライト装置に用いる光拡散板の作製に使用した押出装置の構成は、以下の通りである。
押出機:スクリュー径65mm(L/D=28)、単軸、ベント付き(SE65CVA;東芝機械(株)製)。
ダイ:Tダイ、リップ幅1000mm、リップ間隔5mm。
ロール:ポリシングロール3本、縦型。
【0038】
また、実施例中の測定方法および諸物性の評価方法を以下に示す。
(1)光拡散剤の平均粒子径および変動係数(CV値)
実施例および比較例に用いた光拡散剤は、走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、得られた写真を用いて粒子数200個の粒子径を実測することにより、数平均粒子径、数平均粒子径に対する標準偏差を算出した。
また、粒子径分布の指標として、百分率(%)で示される変動係数(CV値)は次式により求めた。
CV=(平均粒子径に対する標準偏差/平均粒子径)×100
【0039】
(2)一般光学特性(全光線透過率およびヘイズ値)
成形試験片の一般光学特性(全光線透過率及びヘイズ値)は、上述の押出成形によって得られた厚さ2mmの光拡散板を測定に適当な任意の大きさに切断して得た試験片をヘイズメータ(DIGITAL HAZE COMPUTER;スガ試験機(株)製)を用いて測定した。
【0040】
(3)拡散板の光源側における紫外線量の測定とランプ〜拡散板間の距離
まず初めに、図1を用いて、試験装置である評価用液晶TV装置Aの説明を行う。市販の20インチ液晶TV(LC−20C3、シャープ(株)製)の拡散板および液晶パネルを取り外し、試験する拡散板(試験片)Bおよび透明ガラスEを取り付ける。なお、図1において、Cは冷陰極管、Dは反射板、Fはレーザー変位計(LK−035、(株)KEYENCE製)であり、冷陰極管C、反射板Dおよび拡散板Bがバックライト装置を構成する。冷陰極管Cおよび反射板Dは拡散板Bの背面側に配置され、また、透明ガラスE(液晶パネル)は拡散板Bの前面側に配置される。試験片である拡散板Bはその周縁部が拘束されて取り付けられる。
そして、上述の押出成形によって得られた厚さ2mmの光拡散板を縦325mm、横420mmに切断し成形試験片Bを作成する。この成形試験片Bを評価用液晶TV装置Aに組み込み、紫外線強度計(UVR−2、(株)トプコン製、受光部には波長300〜400nm用のUD36および波長300nm以下用のUD25)を用いて、拡散板の光源側の表面位置における紫外線のエネルギー量を測定した。この時のランプ(冷陰極管C)直上における波長300〜400nmの紫外線照度は33μW/cmであった。また波長300nm以下の紫外線照度は82μW/cmであった。この時のランプ〜拡散板表面までの距離は11.7mmであった。
【0041】
(4)飽和吸水率の測定
上述の押出成形によって得られた厚さ2mmの光拡散板を縦100mm、横290mmに切断し成形試験片を得た。50℃、5mmHg下において3日間成形試験片を真空乾燥させ、絶乾時の成形試験片の質量を測定した。その後、絶乾した成形試験片を60℃、湿度90%下で200時間調湿した後、成形試験片の質量を測定して、60℃、湿度90%下における吸水した成形試験片の質量とした。以下、次式により百分率(%)で示される飽和吸水率(%)を求めた。
飽和吸水率={(吸水した成形試験片の質量)−(絶乾時の成形試験片の質量)}/(絶乾時の成形試験片の質量)×100
【0042】
(5)寸法変化率の測定
上述の押出成形によって得られた厚さ2mmの光拡散板を縦100mm、横290mmに切断し成形試験片を得た。50℃、5mmHg下において3日間成形試験片を真空乾燥させ、絶乾時の成形試験片の横寸法を測定した。その後、絶乾した成形試験片を60℃、湿度90%下で200時間調湿した後、成形試験片の横寸法を測定して、60℃、湿度90%下における吸水した成形試験片の横寸法とした。以下、次式により百分率(%)で示される寸法変化率(%)を求めた。
寸法変化率={(吸水した成形試験片の横寸法)−(絶乾時の成形試験片の横寸法)}/(絶乾時の成形試験片の横寸法)×100
【0043】
(6)反りの評価
上述の押出成形によって得られた厚さ2mmの光拡散板を縦325mm、横420mmに切断し成形試験片を得た。該成形試験片を45℃、湿度95%下で200時間調湿した後、図1の評価用液晶TV装置Aに組み込んで、冷陰極管Cを点灯し、レーザー変位計Fを用いて透明ガラスE側への変位を測定した。そして、下記基準で反りの評価とした。
○ 透明ガラスE側への最大変位が基準値以下のもの:反りが小さいと判断。
× 透明ガラスE側への最大変位が基準値より大きいもの:反りが大きいと判断。
【0044】
(7)耐紫外線性の評価
上述の押出成形によって得られた厚さ2mmの光拡散板を縦50mm、横50mmに切断し成形試験片を得た。耐紫外線性評価試験として、該成形試験片をキセノンウェザオメーター(アトラスCI−65型、東洋精機製作所製)を用いて500時間曝露させた。曝露後の成形試験片をカラーコンピューター(SM−4−2、スガ試験機(株)製)を用いて色差(ΔE)を測定し、下記基準で耐紫外線性の評価とした。
○ ΔEが2.0以下のもの :耐紫外線性が良好と判断。
× ΔEが2.0より大きいもの:耐紫外線性が不良と判断。
【0045】
実施例1
(1)以下の成分を混合してモノマー相液を調製した。
モノマー成分:
メタクリル酸メチル 180kg
スチレン 120kg
n−オクチルメルカプタン 0.600kg
重合開始剤:
パーオクタO(日本油脂(株)製) 1.20kg
(2)次いで、以下の成分を溶解混合して水相液を調整した。
蒸留水 600kg
ポリビニルアルコール 3.91kg
(PVA−217;(株)クラレ製)
ラウリル硫酸ナトリウム 0.200kg
炭酸水素ナトリウム 0.306kg
亜硝酸ナトリウム 0.392kg
容量1mの重合槽にモノマー相液及び水相液を投入した後に、窒素雰囲気下において回転数70rpmで懸濁液を攪拌しながら、温度75℃で8時間にわたり重合を行った。この時点における収率(モノマー仕込み量に対するポリマー収量)は98%であった。更に温度を132℃で6時間保持し、重合を完結させた。重合して得られた分散液を洗浄、脱水、乾燥した後、押出機を用いてペレット形状のメタクリルスチレン系共重合樹脂を得た。
上述の重合により得られたメタクリルスチレン系共重合樹脂ペレットと、シロキサン系重合体粒子(トスパール2000B:GE東芝シリコーン(株)製、数平均粒子径5μm、CV値8%)2.3質量%と紫外線吸収剤である2−(5−メチルー2ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール0.1質量%とをヘンシェルミキサーで混合後、押出機を用いて溶融混練し、押出樹脂温度235℃にて、幅1000mm、厚み2mmの光拡散板を作製した。得られた光拡散板の評価結果を表1に示す。
【0046】
実施例2
実施例1記載の重合により得られたメタクリルスチレン系共重合樹脂ペレットと、シロキサン系重合体粒子(トスパール2000B:GE東芝シリコーン(株)製、数平均粒子径5μm、CV値8%)2.3質量%をヘンシェルミキサーで混合後、押出機を用いて溶融混練し、押出樹脂温度235℃にて、幅1000mm、厚み2mmの光拡散板を作製した。得られた光拡散板の評価結果を表1に示す。
【0047】
実施例3
(1)以下の成分を混合してモノマー相液を調製した。
モノマー成分:
メタクリル酸メチル 135kg
スチレン 165kg
n−オクチルメルカプタン 0.600kg
重合開始剤:
パーオクタO(日本油脂(株)製) 1.20kg
(2)次いで、以下の成分を溶解混合して水相液を調整した。
蒸留水 600kg
ポリビニルアルコール 3.91kg
(PVA−217;(株)クラレ製)
ラウリル硫酸ナトリウム 0.200kg
炭酸水素ナトリウム 0.306kg
亜硝酸ナトリウム 0.392kg
容量1mの重合槽にモノマー相液及び水相液を投入した後に、窒素雰囲気下において回転数70rpmで懸濁液を攪拌しながら、温度75℃で8時間にわたり重合を行った。この時点における収率(モノマー仕込み量に対するポリマー収量)は97%であった。更に温度を132℃で6時間保持し、重合を完結させた。重合して得られた分散液を洗浄、脱水、乾燥した後、押出機を用いてペレット形状のメタクリルスチレン系共重合樹脂を得た。
上述の重合により得られたメタクリルスチレン系共重合樹脂ペレットと、シロキサン系重合体粒子(トスパール2000B:GE東芝シリコーン(株)製、数平均粒子径5μm、CV値8%)1.9質量%とをヘンシェルミキサーで混合後、押出機を用いて溶融混練し、押出樹脂温度200℃にて、幅1000mm、厚み2mmの光拡散板を作製した。得られた光拡散板の評価結果を表1に示す。
【0048】
比較例1
メタクリル酸メチル樹脂(パラペットEH:(株)クラレ製)と、シロキサン系重合体粒子(トスパール2000B:GE東芝シリコーン(株)製、数平均粒子径5μm、CV値8%)5.2質量%をヘンシェルミキサーで混合後、押出機を用いて溶融混練し、押出樹脂温度255℃にて、幅1000mm、厚み2mmの光拡散板を作製した。得られた光拡散板の評価結果を表1に示す。
【0049】
比較例2
スチレン系樹脂(GPPS−HH102:A&Mスチレン(株)製)と、ポリメタクリル酸メチル系架橋重合体粒子(MBXR−8N:積水化成品工業(株)製、数平均粒子径8μm、CV値42%)3質量%をヘンシェルミキサーで混合後、押出機を用いて溶融混練し、押出樹脂温度200℃にて、幅1000mm、厚み2mmの光拡散板を作製した。得られた光拡散板の評価結果を表1に示す。
【0050】
比較例3
(1)以下の成分を混合してモノマー相液を調製した。
モノマー成分:
メタクリル酸メチル 240kg
スチレン 60kg
n−オクチルメルカプタン 0.600kg
重合開始剤:
パーオクタO(日本油脂(株)製) 1.20kg
(2)次いで、以下の成分を溶解混合して水相液を調整した。
蒸留水 600kg
ポリビニルアルコール 3.91kg
(PVA−217;(株)クラレ製)
ラウリル硫酸ナトリウム 0.200kg
炭酸水素ナトリウム 0.306kg
亜硝酸ナトリウム 0.392kg
容量1mの重合槽にモノマー相液及び水相液を投入した後に、窒素雰囲気下において回転数70rpmで懸濁液を攪拌しながら、温度75℃で8時間にわたり重合を行った。この時点における収率(モノマー仕込み量に対するポリマー収量)は99%であった。更に温度を132℃で6時間保持し、重合を完結させた。重合して得られた分散液を洗浄、脱水、乾燥した後、押出機を用いてペレット形状のメタクリルスチレン系共重合樹脂を得た。
上述の重合により得られたメタクリルスチレン系共重合樹脂ペレットと、シロキサン系重合体粒子(トスパール2000B:GE東芝シリコーン(株)製、数平均粒子径5μm、CV値8%)3.7質量%をヘンシェルミキサーで混合後、押出機を用いて溶融混練し、押出樹脂温度240℃にて、幅1000mm、厚み2mmの光拡散板を作製した。得られた光拡散板の評価結果を表1に示す。
【0051】
比較例4
ポリカーボネート樹脂(パンライトK−1330Y:帝人化成(株)製)と、シロキサン系重合体粒子(トスパール120:GE東芝シリコーン(株)製、数平均粒子径2μm、CV値3%)3質量%をヘンシェルミキサーで混合後、押出機を用いて溶融混練し、押出樹脂温度300℃にて、幅1000mm、厚み2mmの光拡散板を作製した。得られた光拡散板の評価結果を表1に示す。該光拡散板は、飽和吸水率が低く、液晶TVでの反り評価も良好であるが、耐紫外線性は不良であることが分かる。
【0052】
そして、表1に基づいてグラフを作成した。図2は、基材のメタクリル酸メチル単量体比率(MMA比率)と飽和吸水率および反り評価との関係を示すグラフである。また、図3は、基材のメタクリル酸メチル単量体比率と色差および耐紫外線性との関係を示すグラフである。
【0053】
表1および図3に記載した実施例1〜3および比較例1〜3における内部層を構成するメタクリル酸メチル単量体比率(言い換えればスチレン比率になる)と耐紫外線性評価の関係を見ると、メタクリル酸メチル単量体比率が大きいほど優れた耐紫外線性を有することが分かる。
【0054】
また、表1および図2に記載した実施例1〜3および比較例1〜3における内部層を構成するメタクリル酸メチル単量体比率(言い換えればスチレン比率になる)と飽和吸水率、寸法変化率および反り評価の関係を見ると、メタクリル酸メチル単量体比率が小さいほど飽和吸水率及び寸法変化率が低く、液晶TV実装での反りも小さくなることが分かる。
【0055】
また、表1および図3に記載した実施例1の結果から、光拡散板に紫外線吸収剤を含有させることにより、より耐紫外線性が良好となることが分かる。
【0056】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0057】
以上から明らかなように、本発明の液晶ディスプレイ用バックライト装置は、光拡散板、この光拡散板の背面側に配置される光源、および、この光源からの光を反射する反射板を具備するとともに、前記光拡散板の前面側に液晶パネルが配置され、前記光源からの直射光および前記反射板からの反射光が前記光拡散板を拡散透過し、前記液晶パネルを背面側から照らす液晶ディスプレイ用バックライト装置において、優れた光拡散性を有するとともに、光出射面である光拡散板の反りやたわみ等の変形を起こし難く、また優れた耐紫外線性を有し、透過光の黄色味が抑制される点で極めて優れたものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光拡散板、この光拡散板の背面側に配置される光源、および、この光源からの光を反射する反射板を少なくとも具備するとともに、前記光拡散板の前面側に液晶パネルが配置され、前記光源からの直射光および前記反射板からの反射光が前記光拡散板を拡散透過し、前記液晶パネルを背面側から照らす液晶ディスプレイ用バックライト装置において、
前記光源が可視光と共に紫外線と熱とを放射し、
前記光拡散板はその少なくとも1辺が拘束されるとともに、飽和吸水率が0.9%以下でかつ、JIS K7350-2に規定された人工光源試験に用いる人工光に500時間曝露された後の、JIS K 7105に規定された色差(ΔE)が2.0以下である、前記液晶ディスプレイ用バックライト装置。
【請求項2】
光拡散板が、光拡散性(メタ)アクリルスチレン系共重合樹脂からなる、請求項1記載の液晶ディスプレイ用バックライト装置。
【請求項3】
光拡散板が、該光拡散板を構成する樹脂100質量部に対して紫外線吸収剤0.005〜2質量部を含有する、請求項1または2記載の液晶ディスプレイ用バックライト装置。
【請求項4】
光拡散板が、該光拡散板を構成する樹脂100質量部に対して粒子径1〜30μmの微粒子を0.1〜20質量部含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の液晶ディスプレイ用バックライト装置。
【請求項5】
光拡散板の光源側の表面における波長300〜400nmの光エネルギーの最大値が、20μW/cm以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の液晶ディスプレイ用バックライト装置。
【請求項6】
光拡散板の光源側の表面における波長300nm以下の光エネルギーの最大値が、50μW/cm以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の液晶ディスプレイ用バックライト装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【国際公開番号】WO2005/076058
【国際公開日】平成17年8月18日(2005.8.18)
【発行日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−517764(P2005−517764)
【国際出願番号】PCT/JP2005/001751
【国際出願日】平成17年2月7日(2005.2.7)
【出願人】(000001085)株式会社クラレ (1,607)
【Fターム(参考)】