説明

液晶ディスプレイ駆動装置

【課題】上記画質の劣化を抑制して、液晶ディスプレイに対してインターレース表示方式が行える液晶ディスプレイ駆動装置を提供する。
【解決手段】本発明の液晶ディスプレイ駆動装置は、液晶ディスプレイの1フレームを奇数フィールドと、偶数フィールドに分割し、各フィールドの走査線を順番に駆動させるインターレース表示方式の装置であり、画素データを走査線の表示素子数分蓄積するバッファと、バッファの画素データを表示素子のデータ線に出力する画素データ出力部と、奇数または偶数フィールドで走査線を駆動する走査線駆動部と、走査線駆動部に走査線を駆動させる画像処理部とを有し、走査線駆動部が、偶数フィールドまたは奇数フィールドのいずれか一方が駆動対象である場合、一方のフィールドにて駆動される走査線に隣接する他方のフィールドの走査線を、一方の走査線の駆動時間に対して短い時間幅で駆動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ディスプレイに画像を表示させる液晶ディスプレイ駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液晶ディスプレイの駆動方法は、画面上部に位置するラインから順番に、1ラインずつ画像データを上記液晶ディスプレイに出力し、この液晶表示素子における表示素子を制御していく、順次操作の処理(プログレッシブ方式)により行っている(例えば、特許文献1)。
一方、動画像を表示する際、高速に画像を表示する方法としてはインターレース駆動があり、TV(Television)方式あるいはCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイにおいて使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−304205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記インターレース駆動を液晶ディスプレイに対して適用させると、液晶の表示素子が直前の画素のデータを保持するホールド型表示を行うために、インターレースの場合、奇数ラインと偶数ラインとの画像データが交互に更新されていく。
このため、図1に示すように矢印方向(右方向)に白抜きの画像が移動する動画を液晶ディスプレイにインターレース方式により表示する場合、1フレームを偶数走査線を駆動する偶数フィールドと、奇数走査線を駆動する奇数フィールドに分割されて駆動されるため、図2に示すように、偶数ラインに新たな画像データが表示されても、奇数ラインに1つまえの画像データが表示されたままであるので、画像の移動方向における輪郭がギザギザとなり、画質が劣化することになる。
この画質の劣化の発生のため、液晶ディスプレイに対しては、TV方式あるいはCRTディスプレイに多用されているインターレース方式を用いることができない。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、上記画質の劣化を抑制して、液晶ディスプレイに対してインターレース表示方式が行える液晶ディスプレイ駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、本発明の一態様による液晶ディスプレイ駆動装置は、液晶ディスプレイの1フレームを、表示画面における奇数番目の奇数走査線からなる奇数フィールドと、偶数番目のラインからなる偶数フィールドとにグループ化し、それぞれのグループの走査線の順番に画像を表示させるインターレース表示方式にて前記液晶ディスプレイを駆動する液晶ディスプレイ駆動装置であり、入力された画像の画素データを、走査線における表示素子数分蓄積するバッファと、前記バッファに蓄積された画素データ各々を、液晶ディスプレイにおける前記表示素子のデータ線に対応させて出力する画素データ出力部と、前記奇数フィールドまたは偶数フィールド単位にて、各走査線を順番に駆動する走査線駆動部と、前記バッファに蓄積された画素データを画素データ制御部に転送させた後、前記走査線駆動部に走査線を駆動させる画像処理部とを有し、前記走査線駆動部が、前記偶数フィールドまたは奇数フィールドのいずれか一方が駆動対象となっている場合、この一方のフィールドにて順次駆動される走査線に隣接する他方のフィールドの走査線を、前記一方の走査線の駆動時間に対して短い時間幅により駆動させることを特徴とする。
ここで、偶数フィールドあるいは奇数フィールドのいずれの一方のフィールドにおける表示素子の行に対応する走査線を順次駆動する際、この一方のフィールドにおいて駆動する(実施形態においては画素選択信号が走査線駆動部から出力されている)走査線(以下、駆動走査線)に隣接する、他方のフィールドの走査線(以下、非駆動走査線)を、駆動走査線の駆動時間に対して短い時間幅にて駆動させている。
これにより、本発明によれば、駆動走査線に対応する表示素子の画素データにより、この駆動走査線の表示素子の上下に隣接する駆動対象でない非駆動走査線の表示素子を、駆動走査線の駆動時間に対して短い時間にて駆動させるため、表示される画像に対して垂直方向の低域透過フィルタ処理を行うこととなる。
この結果、インターレース駆動時に発生する画像のギザギザを上下に隣接する画素のデータによりぼかし、画像の輪郭を滑らかに表示することにより、インターレース駆動時における画像の画質劣化を抑制する。
【0007】
[2]本発明の一態様による液晶ディスプレイ駆動装置は、前記駆動制御部が、前記一方のフィールドの走査線の駆動時間内において、当該一方のフィールドの走査線の上下に隣接する前記他方のフィールドの走査線を、前記駆動時間に対して短い時間幅にて駆動させることを特徴とする。
ここで、駆動走査線の駆動時間内において非駆動走査線を、この駆動時間より短い時間幅にて駆動するため、駆動走査線の各表示素子に供給される画素データと、各表示素子に隣接する非駆動走査線の表示素子における画素データとが、駆動時間と時間幅との比により合成され、結果的に低域通過フィルタを透過させる処理を行うこととなり、インターレース駆動時に発生する画像の輪郭のギザギザをぼかし、より輪郭を滑らかに表示することができる。
【0008】
[3]本発明の一態様による液晶ディスプレイ駆動装置は、前記駆動制御部が、前記一方のフィールドの走査線を駆動させるタイミングに同期して、当該一方のフィールドの走査線に隣接する前記他方のフィールドの走査線を駆動し、前記一方のフィールドの走査線の駆動時間に対して短い時間幅にて当該他方のフィールドの走査線の駆動を停止させることを特徴とする。
ここで、駆動走査線に対して非駆動走査線を同期して立ち上げるため、非駆動走査線を駆動する時間幅の制御のみを行えば良いため、非駆動走査線を駆動させる際の回路を用意とすることができる。
【0009】
[4]本発明の一態様による液晶ディスプレイ駆動装置は、前記駆動制御部が、一方のフィールドにおける駆動される走査線の上下に隣接した両側の前記他方のフィールドの走査線を、当該一方のフィールドの走査線の駆動時間に対して短い時間幅により駆動することを特徴とする。
ここで、駆動走査線に隣接する上下の非駆動走査線の双方を、駆動走査線に対応させて駆動させることにより、上下いずれか一方の非駆動走査線のみを駆動させる場合に比較して、非駆動走査線に対応する表示画素の画素データが隣接する2つの駆動走査線の画素データと合成されることとなり、より低域通過フィルタ処理によるぼかしの効果を大きくすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、駆動される駆動走査線に対応する表示素子の画素データにより、この駆動走査線の表示素子の上下に隣接する、異なるフィールドの駆動対象でない非駆動走査線を、駆動走査線の駆動時間に対して短い時間にて駆動させるため、表示される画像に対して垂直方向の低域透過フィルター処理を行い、インターレース駆動時に発生する画像のギザギザを上下に隣接する表示素子の画素データによりぼかして表示することで、インターレース駆動時における画像の画質劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の概要を説明する液晶ディスプレイにおける表示画面の概念図である。
【図2】本発明の概要を説明する液晶ディスプレイにおける表示画面の概念図である。
【図3】液晶ディスプレイにおける表示素子の構成を示す概念図である。
【図4】本発明の一実施形態による液晶ディスプレイ駆動装置の構成例を示すブロック図である。
【図5】図4における液晶ディスプレイ200における表示素子の配置を示す概念図である。
【図6】インターレース駆動における走査線の駆動を説明するタイミングチャートである。
【図7】本実施形態におけるインターレース駆動時の走査線の駆動を説明する波形図である。
【図8】本実施形態における走査線駆動部5の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図9】本実施形態による表示処理を説明する液晶ディスプレイにおける表示画面の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
まず、本発明のインターレース駆動における表示画像の処理を説明するにあたり、理解を容易とするため、液晶ディスプレイに対してインターレース駆動を行った場合に起こる画質劣化の概要を説明する。インターレース駆動においては、表示画面における奇数番目の奇数走査線からなる奇数フィールドと、偶数番目のラインからなる偶数フィールドとにグループ化し、それぞれのグループの走査線を順番に駆動していくものである。
【0013】
図1は、黒の背景に配置された白抜きの画像パターン(高さN画素、幅M画素)の画像を示している。以下、この白抜きの画像がx軸方向に1フレームにおいて画素S個分移動する場合を考える。図2において、偶数フィールドが終了した時点の状態を示しており、偶数フィールドにて駆動された偶数走査線に対応する表示素子の画像データのみが変化している。一方、奇数フィールドにおいて走査される奇数走査線に対応する表示素子は、直前のフレームにおける画像データを表示している。
【0014】
各表示素子における画素データを示すため、表示画面における表示素子(表示画面の画素に対応)の位置を(i(走査線の行番号),j(データ線の列番号))により示し、フレーム番号をtとして、白抜きの画像パターンの画像データを「1」とし、背景の黒地の画像データを「0」とすると、下記の(1)式により各表示素子の画像データを表すことができる。また、下記の(1)式において、(N0,M0)はt=0における白抜きの画像パターンにおける左上の点の座標である。ここで、iは行の位置、jは列の位置であり、このi行(走査線の座標に対応)、j列(データ線の座標)により表示素子の位置座標が設定されることになる。
【0015】
【数1】

【0016】
(1)式は、プログレッシブ駆動の場合において、順次、画面の上部から順番に走査線の駆動を行っていることを前提としている。
しかしながら、インターレース駆動の場合、tが偶数の場合に偶数フィールドであり、行番号iが偶数の表示素子の画素データが書き換えられ、一方、tが奇数の場合に奇数フィールドであり、行番号iが奇数の表示素子の画素データが書き換えられるため、以下の(2)式により、各表示素子の画素データを表すことができる。
【0017】
【数2】

【0018】
インターレースを用いるのであれば、1フィールドの期間において送信可能な画素データが、1フレームに比較して1/2となるため、各フィールドにて同じ数の表示素子を駆動する場合、1フィールドの時間幅を1フレームの半分に短縮させる、すなわちプログレッシブの2倍のフレーム周波数(実際にはフィールド周波数)に対応させることができ、動画の再生に適している。
しかしながら、インターレース駆動により液晶ディスプレイを駆動した場合、駆動されない走査線に対応する行における表示素子が直前のフレームにおける画素データを保持して表示しているため、図2に示すように白抜きの画像パターンの輪郭において、左端及び右端の部分がギザギザとなり、画質劣化の要因となっている。
【0019】
上記図2は、フレームにおいて偶数フィールド、奇数フィールドの順に対応する走査線が駆動される場合を示す概念図であり、偶数フィールドの走査線の駆動が終了し、奇数フィールドの走査線の駆動が開始される前の表示画像の状態を示す概念図である。
このように、液晶ディスプレイにおいて、インターレース表示を行う場合、表示される画像パターンの速い動きに対応しているため、動画像の各画像パターンの輪郭のギザギザに起因するボケが減少して観察されるが、全体の画質自体は改善されない。
【0020】
本実施形態においては、上記画像パターンの輪郭における左端及び右端のギザギザを抑制し、表示画像全体の画質の改善を行うものである。この本発明の実施形態における駆動の理解を容易とするため、以下に、液晶ディスプレイにおける表示素子の駆動について説明する。
液晶ディスプレイにおいては、表示素子が走査線とデータ線とに対応してマトリクス状に配置されている。液晶の画素1つに対応、すなわち液晶素子1つを駆動するため、図3に示す表示素子が配置されている。図3は、表示素子の構成を示す概念図である。データ線(j)に入力される画素データが、スイッチSWを介して画素データの信号レベル(画素データの例えば階調度に対応する電圧レベル)の保持を行う信号レベル保持用コンデンサCへ転送され、信号レベル保持用コンデンサCに保持される。
【0021】
ここで、スイッチSWは、選択信号線としての走査線(i)が駆動されてオン状態(自身が選択された状態)となると、データ線(j)に入力される画素データを上記信号レベル保持用コンデンサCに出力し、走査線(i)が非駆動にされてオフ状態となると、データ線(j)に入力される画素データを信号レベル保持用コンデンサCに出力しない。ここで、スイッチSWには、例えばTFT(Thin Film Transistor)が用いられる。そして、画素駆動回路DRは、信号レベル保持用コンデンサCに保持された電圧レベルにより液晶素子を駆動することになる。
【0022】
上述したように、液晶素子の表示状態を変更するために、信号レベル保持用コンデンサCに保持されている画素データの電圧レベルを変更する必要がある。
信号レベル保持用コンデンサCに保持されている画素データを書き換えるため、すなわち蓄積されている信号レベルの電化量を変化させるため、電流を流し込むあるいは電流を流し出す処理が必要となる。そのため、スイッチSWを介して流し込むあるいは流し出す電流量により、信号レベル保持用コンデンサCの電圧レベルが、データ線における画素データの電圧レベルに達するためには十分な時間(通常は数μ秒)にわたって、スイッチSWがオン状態である必要、すなわち走査線が駆動されている(駆動状態にある)必要がある。後述する画素選択信号の駆動時間としての時間幅は、上記十分な時間に対応して設定されている。
【0023】
次に、上述した液晶ディスプレイを駆動する、本実施形態における液晶ディスプレイ駆動装置を図4を用いて説明する。図4は、本実施形態における液晶ディスプレイ駆動装置100の構成例を示すブロック図である。
液晶ディスプレイ駆動装置100は、画素データ入力部1と、バッファ2、3と画像処理部4と、走査線駆動部5と、画像データ保持部6とを有している。
バッファ2及び3各々は、それぞれ1走査線に対応する画素データを蓄積するラインメモリである。ここで、バッファ2またはバッファ3のいずれか一方から画素データが読み出されている際、他方に対して画素データの書き込みが行われている。
画素データ入力部1は、外部装置から液晶ディスプレイ200へ表示する画素データを入力し、1本の走査線に対応する画素数が入力される毎に、バッファ2及びバッファ3に順番に入力されるデータを書き込む。
【0024】
画像処理部4は、画素データ入力部1から1本の走査線(i)に対応する画素数が入力された検出信号が入力されると、この書き込みが終了したバッファから画素データを読み出し、画素データ保持部6に対して読み出したデータを書き込む。また、画像処理部4は、バッファに対する書き込みが終了すると走査線駆動部5に対して終了信号を出力する。
これにより、画素データ保持部6には、1本の走査線(i)に対応する表示素子の数の画素データが保持される。
また、画素データ保持部6は、バッファ2またはバッファ3のいずれかから直列に入力された画素データを、液晶ディスプレイ200の各データ線(j)に対して並列に出力する。
【0025】
走査線駆動部5は、上記終了信号が入力される毎に、偶数フィールドの場合、液晶ディスプレイ200の偶数番目の走査線(i)を、表示画面の上部から順番に1本ずつ駆動し、奇数フィールドの場合、液晶ディスプレイ200の奇数番目の走査線を、表示画面の上部か順番に1本ずつ駆動する。これにより、対応する走査線の各表示素子に、この表示素子に接続されているデータ線(j)に入力されている画素データが表示される。
また、走査線駆動部5は、偶数フィールド及び奇数フィールドのいずれにおいても、表示画面のそれぞれの最後の走査線(i)の処理が終了した後、次の終了信号において、それぞれのフィールドの最初の走査線(i)に戻り、上記処理を繰り返す。
【0026】
次に、液晶ディスプレイ駆動装置により駆動される液晶ディスプレイ200の構成を、図5を用いて説明する。図5は液晶ディスプレイ200における表示素子の配置を説明する概念図である。
液晶ディスプレイには、走査線とデータ線とが格子状に配置されており、格子点の画素単位に上述した表示素子(液晶素子含む)が1つずつ配置されている。
図5は、表示素子の配置の列方向(x軸方向)にデータ線D、D、D、D、…、D、…が並列に配置され、表示素子の配置の行方向(y軸方向)に走査線L,L、L、L、…、L、…が並列に配置された液晶ディスプレイの概念図を示している。この図4においては、液晶ディスプレイに対し、各表示素子の信号レベル保持用コンデンサCに供給する映像信号としての画素データが、図示しない画像処理装置から図において垂直方向(y軸方向)延びる各データ線に供給され、水平方向(x軸方向)に延びる各表示素子のスイッチSWのオンオフ制御を行う画素選択信号を供給する走査線が配置されている。各表示素子には、表示素子(i,j)の座標を付与している。ここで、すでに述べたように、iはy軸における座標、jはx軸における座標を示す。
【0027】
図5において、データ線1列目(データ線D)は、表示素子(0,0)、(1,0)、(2,0)、(3,0)、…に対し、信号レベル保持用コンデンサCに保持させる画素データを伝送する。一方、走査線1行目(走査線L)は、表示素子(0,0)、(0,1)、(0,2)、(0,3)、…に対する表示素子におけるスイッチSWをON/OFF駆動する、すなわち画素データの表示素子への書き込みを制御する画素選択信号を伝送する。この画素選択信号は、走査線駆動部5より各走査線に対して出力される。
【0028】
以下、データ線1列目(データ線D)を例として、インターレース駆動の際のデータ線Dと、走査線L,L、L,…との動作例を図6により説明する。図6は、インターレース駆動の際のデータ線Dと、走査線L,L、L,…とを示すタイミングチャートであり、縦軸が走査線L,L、L,…の信号レベルと、データ線Dの画素データとを示し、横軸が時間を示している。
インターレース表示においては、表示画面における走査信号を上から1行おき、すなわち、偶数フィールドにおいては偶数番目の走査線(L,L,…)に対応する表示素子に対して、画像データ保持部6から画素データが入力され、奇数フィールドおいては奇数番目の走査線(L,L,…)に対応する表示素子に対して、画像データ保持部6から画素データが入力される。
【0029】
このため、例えば、奇数フィールドにおいて、走査線駆動部5が走査線Lを駆動する時点において、表示素子(1,0)の画素データがデータ線Dに入力されており、走査線駆動部5が走査線Lを駆動する時点において、表示素子(3,0)の画素データがデータ線Dに入力されており、走査線駆動部5が走査線Lを駆動する時点において、表示素子(5,0)の画素データが画素データ保持部6からデータ線Dに入力されている。このように、各フィールドにおいて、偶数番目あるいは奇数番目の走査線に対応する表示素子の画素データが、これら走査線の駆動する順番に対応して入力されている。図においては、画素選択信号がHレベルの場合に走査線が駆動された状態であり、Lレベルの場合に非駆動状態である。
そして、すでに述べたように、画像データ保持部6からデータ線D(全データ線)に画素データが入力されたタイミングに同期して、画像処理部4の制御により走査線駆動部5は対応する走査線を駆動させる。
【0030】
例えば、画像データ保持部6から表示素子(1,0)に表示する画素データがデータ線Dに入力されているとき、走査線駆動部5は走査線Lを駆動する。走査線Lが駆動されることにより、表示素子(1,0)におけるスイッチSWがオフ(非導通状態)からオン(導通状態)となり、データ線Dから信号レベル保持用コンデンサCに画素データの信号レベルが蓄積され、液晶素子がこの信号レベルにより、画素駆動回路DRを介して制御される。
上述したように、インターレース駆動においては、偶数フィールド及び奇数フィールドに表示画面の走査線を2分割して表示制御するため、各フィールド期間に1フレームの半分の表示素子が表示制御される。
【0031】
次に、表示素子(1,0)に表示する画素データの信号レベルが、上記信号レベル保持用コンデンサCに蓄積される状態を図7により説明する。図7は、本実施形態における走査線の駆動を説明する波形図であり、縦軸が信号レベルであり、横軸が時間である。この図において、画像データ保持部6からデータ線Dに信号レベルE(t)の画素データが入力されたタイミングに同期して、走査線Lが走査線駆動部5によって駆動された(時刻tの奇数フィールド)に場合を示している。ここで、前回(時刻t−2の奇数フィールド)の信号レベル保持用コンデンサCに信号レベルE(t-2)が保持されていた場合を示す。ここで、時刻t−2は、時刻tのフィールドに対して2フィールド前の時刻を示している。
【0032】
図7(b)において走査線Lが駆動されることにより、スイッチSWがオンとなり、図7(a)に示すように、表示素子(1,0)の信号レベル保持用コンデンサCに保持される信号レベルがE(t-2)からE(t)へ徐々に変化し、最終的に現在データ線Dに入力されている信号レベルE(t)となる。次の走査線Lが駆動される時刻t+2の奇数フィールドまで、表示素子(1,0)の信号レベル保持用コンデンサCにこの信号レベルE(t)が保持されることになる。また、時刻t+2は、時刻tのフィールドに対して2フィールド後の時刻を示している。上述したように、スイッチSWがオンとなることにより、信号レベル保持用コンデンサCに蓄積される信号レベルが、保持されていた信号レベルから、新たにデータ線Dから供給される信号レベルに変化することになる。
【0033】
ここで、本実施形態において、図8に示すように、走査線駆動部5は、画素データを表示するために駆動する走査線の上下に隣接する走査線に対し、駆動する走査線に与える画素選択信号の時間幅(信号レベル保持用コンデンサCに蓄積された信号レベルを変更するために必要な時間幅)に比較し、短い(例えば、画素選択信号の時間幅の半分程度の)時間幅の疑似画素選択信号を出力する。ここで、図8は、本実施形態における走査線駆動部5の動作を説明するためのタイミングチャートである。
すなわち、走査線駆動部5は、奇数フィールドの走査線Lに対して画素選択信号を出力して駆動する場合、偶数フィールドの走査線L及びLに対して疑似画素選択信号を出力する。
【0034】
例えば、走査線駆動部5は、走査線Lに対して画素選択信号を出力するとともに、走査線Lに隣接する走査線L及びLに、図7(b)に示す走査線Lに対して与えられる画素選択信号に比較し、図7(d)に示す時間幅の短い疑似画素選択信号を出力する。
これにより、時刻tのフィールドにおいて、図7(c)に示すように、例えば、走査線Lに接続された表示素子(2,0)に対して、表示素子(1,0)の電圧レベルE(t)が供給され、信号レベル保持用コンデンサCに蓄積されている時刻t−2のフィールドの時点の信号レベルE(t-2)が、疑似画素選択信号の時間幅に対応したレベル分変化する。すなわち、疑似画素選択信号の時間幅が、信号レベル保持用コンデンサCに蓄積された信号レベルを変更するために必要な時間幅に満たないため、時刻tの信号レベルへ到達することができず、時刻t−2と時刻tとのそれぞれの信号レベルの間の数値が信号レベル保持用コンデンサCに保持されることになる。この信号処理は、ギザギザな画像パターンの左端及び右端の輪郭を滑らかとする低域通過型フィルタと同様の処理である。
【0035】
すなわち、図5に示すように、各フィールドの走査線のみを処理すると、1フィールド毎に、それぞれの走査線を駆動し表示素子の画像データを書き換えることになる。このため、書き換え対象となっていないフィールドの表示素子は2フィールドの間同一の画度データを表示素子が表示するため、図2に示すように画像パターンの左端及び右端の輪郭がギザギザとなり、画質が低下してしまう。
一方、図8に示すように、走査線駆動部5が駆動対象の走査線に画素選択信号を出力し、この駆動対象の走査線の上下に隣接する走査線に対し、画素選択信号の時間幅内において、画素選択信号より短い幅の画素選択信号を出力することにより、画質を向上させることができる。
【0036】
ここで、図1の白抜きの画像パターンを、偶数フィールドにおいてx軸方向に画素S個分移動する場合を考える。このとき、図9に示すように、上記走査線駆動部5により、走査線L2i+2に画素選択信号が出力されると、走査線L2i+2に隣接する走査線L2i+1及び走査線L2i+3に対して疑似画素選択信号が出力され、表示素子(2i+2,j)の画素データが表示素子(2i+1、j)及び表示素子(2i+3,j)各々の信号レベル保持用コンデンサCに与えられることになる。図9は、本実施形態による表示処理を説明する液晶ディスプレイにおける表示画面の概念図である。
また、上記走査線駆動部5により、走査線L2i+4に画素選択信号が出力されると、走査線L2i+4に隣接する走査線L2i+3及び走査線L2i+5に対して疑似画素選択信号が出力され、表示素子(2i+4,j)の画素データが、表示素子(2i+3,j)及び表示素子(2i+5,j)各々の信号レベル保持用コンデンサCに与えられることになる。
【0037】
これにより、駆動対象でないフィールドの走査線に対応する表示素子の信号レベル保持用コンデンサCの信号レベルが、この走査線に隣接する駆動対象の走査線に対応する画素データの信号レベルに近い数値に変更されるため、上下の表示素子の画素データにより低域通過型フィルタにて画像処理した結果と同様となる。ここで、画素選択信号が入力されている表示素子と同一のデータ線(j)に接続された表示素子であり、かつ疑似画素選択信号により選択された表示素子に対して、信号レベル保持用コンデンサCの信号レベルを変更する画素データが与えられる。
上述した低域通過型フィルタ処理により、図1の白抜きの画像パターンが図2と同様に移動しても、図2の表示画像に比較して、図形の左右両端のギザギザが図9のようにぼやけて視覚的に改善され、液晶ディスプレイにおけるインターレース表示での画質劣化が低減され、画質を向上させるとともに、表示画像の早い動きに対応することができる。
【0038】
また、図4における画像処理部4、走査線駆動部5の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより液晶ディスプレイの駆動制御を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0039】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【0040】
以上、この発明の実施形態を図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0041】
1…画素データ入力部
2,3…バッファ
4…画像処理部
5…走査線駆動部
6…画素データ保持部
100…液晶ディスプレイ駆動装置
200…液晶ディスプレイ
,D,D,D…データ線
,L,L,L…走査線
DR…画素駆動回路
SW…スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶ディスプレイの1フレームを、表示画面における奇数番目の奇数走査線からなる奇数フィールドと、偶数番目のラインからなる偶数フィールドとにグループ化し、それぞれのグループの走査線の順番に画像を表示させるインターレース表示方式にて前記液晶ディスプレイを駆動する液晶ディスプレイ駆動装置であり、
入力された画像の画素データを、走査線における表示素子数分蓄積するバッファと、
前記バッファに蓄積された画素データ各々を、液晶ディスプレイにおける前記表示素子のデータ線に対応させて出力する画素データ出力部と、
前記奇数フィールドまたは偶数フィールド単位にて、各走査線を順番に駆動する走査線駆動部と、
前記バッファに蓄積された画素データを画素データ制御部に転送させた後、前記走査線駆動部に走査線を駆動させる画像処理部と
を有し、
前記走査線駆動部が、前記偶数フィールドまたは奇数フィールドのいずれか一方が駆動対象となっている場合、この一方のフィールドにて順次駆動される走査線に隣接する他方のフィールドの走査線を、前記一方の走査線の駆動時間に対して短い時間幅により駆動させることを特徴とする液晶ディスプレイ駆動装置。
【請求項2】
前記走査線駆動部が、前記一方のフィールドの走査線の駆動時間内において、当該一方のフィールドの走査線に隣接する前記他方のフィールドの走査線を、前記駆動時間に対して短い時間幅にて駆動させることを特徴とする請求項1に記載の液晶ディスプレイ駆動装置。
【請求項3】
前記走査線駆動部が、前記一方のフィールドの走査線を駆動させるタイミングに同期して、当該一方のフィールドの走査線に隣接する前記他方のフィールドの走査線を駆動し、前記一方のフィールドの走査線の駆動時間に対して短い時間幅にて当該他方のフィールドの走査線の駆動を停止させることを特徴とする請求項2に記載の液晶ディスプレイ駆動装置。
【請求項4】
前記走査線駆動部が、一方のフィールドにおける駆動される走査線の上下に隣接した両側の前記他方のフィールドの走査線を、当該一方のフィールドの走査線の駆動時間に対して短い時間幅により駆動することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の液晶ディスプレイ駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−256540(P2010−256540A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−105193(P2009−105193)
【出願日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】