説明

液晶モジュール

【課題】液晶モジュールに、薄型の拡散板を採用し、輝度ムラの発生を抑制されるとともに、軽量化、低コスト化された液晶モジュールを提供する。
【解決手段】ランプ3から液晶セル5に照射される光の輝度を均一化する光拡散部材4を備え、光拡散部材4が可撓性を有する長方形シート状の拡散板41と、拡散板41と重ねて用いられ、拡散板41よりも薄い長方形シート状の拡散シート42と、拡散板41及び拡散シート42の辺縁部のすくなくとも一部を固定するシートフレーム44と、拡散板41及び拡散シート42の辺縁部とシートフレーム44とを押え、リヤフレーム1及びランプフレーム31に固定されたセルガイド43とを有している液晶モジュール。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄型の拡散板を用いた液晶モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
液晶モジュールは、薄型、軽量、低消費電力であるという特徴を有するものであり、ノートPC、PC用モニタ、TV受像機等の映像を表示する表示装置として広く用いられている。前記液晶モジュールは、バックライトより出射された光が液晶セルを透過することで、映像を形成するものである。
【0003】
前記液晶セルは前記バックライトを出射された光を拡散させる拡散板及び拡散シート(以下、両者を光学部材という)を有している。前記バックライトより出射された光が光学部材を通過するときに拡散され、前記光学部材の各部で輝度が均一になる。
【0004】
前記液晶モジュールはたとえば、PCのモニターやTV受像機で用いられるときのように、液晶セルが水平面に対して起立した状態で使用されることが多い。前記光学部材はその面積に対して薄い板状部材であり、前記液晶モジュールの映像表示部の大きさが大きくなると、自重によって形状が変形してしまうことがありえる。また、映像表示部が大きくなったことで、映像の輝度を高く保つために前記バックライトからの光の照射量を増やしている。これにより、前記バックライトより発散される熱が多くなり、この熱によっても、前記光学部材は変形してしまうことがありえる。
【0005】
もし、前記光学部材がたわんでしまった場合、前記液晶パネルに入射される光の輝度ムラが生じ、映像の品質が低下する。そこで、自重により前記光学部材がたわむのを防ぐために、厚く形成された拡散シートを2枚準備し、プリズムシートを前記2枚の拡散シートで挟み込むことで、変形を抑制しているもの(特開2000−10095号公報参照)が提案されている。また、熱による変形を抑制するために、光拡散板の両面にフィルムを貼り合わせるもの(特開2005−275015号公報参照)も提案されている。
【0006】
従来の液晶モジュールでは、上述したように前記拡散板を厚く形成することで、変形を抑制していたが、前記拡散板を自重及び(又は)熱による変形を抑制できる厚さで形成すると、液晶モジュール自体の重量が重くなる。また、前記拡散板を形成する材料は高価なものが多く、厚く製造することで、製造にコストがかかる。
【0007】
軽量化、低コスト化のために、前記拡散板を薄くするとともに自重及び熱によるたわみを抑制す提案がなされている。たとえば、薄型の拡散板のたわみを抑えるために、前記拡散板を支持する枠体に所定のピッチで透明なテグスを格子状に配置し、その上に、拡散板、拡散シートを有する光学部材を配置するものが提案されている。また、拡散板の四辺を折り曲げておき、前記枠体に形成されている溝に、折り曲げられた部分を挿入するものも考えられている。
【0008】
【特許文献1】特開2000−10095号公報
【特許文献2】特開2005−275015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特開2000−10095号公報に記載の発明のように、拡散板を2枚用いるものに薄型の拡散板を用いる場合、2枚の薄型拡散板では変形に対する十分な強度を得ることが難しいことがありえる。また、変形を抑制する十分な強度を備えるために多くの薄型拡散板を用いると、コストが高くなるとともに、前記薄型拡散板の間に隙間ができそれが輝度ムラになってしまう場合もありえる。
【0010】
また、拡散板の両面にフィルムを貼り合わせるものの場合、貼り付けるためのフィルムを別途要しなくてはならず、部材が余分に必要となる。また、貼り付けのための作業が必要であり、それだけ、製造コストがアップする。
【0011】
さらに、前記枠体に前記テグスを格子状に配置するものの場合、前記光学部材のたわみは抑えられるが、テグスの影が映像に映ってしまう場合があり、それだけ、映像の品質が低下してしまう可能性がある。また、拡散板の四辺を折り曲げて溝に挿入するものの場合、おりまげによる、変形、しわ、たわみが発生する場合があり、映像の品質を低下させてしまう可能性がある。また、前記枠体への固定が不十分となる可能性があり、たわみ等の変形を十分に抑制することが困難であると考えられる。
【0012】
そこで本発明は、簡単な構成で薄型の拡散板を採用することができ、輝度ムラの発生が抑制された液晶モジュールを提供することを目的とする。
【0013】
さらに本発明は、映像の品質を落とすことなく液晶モジュールの軽量化及び低コスト化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために本発明は、ランプから液晶セルに照射される光の輝度を均一化する光拡散部材を備えた液晶モジュールであって、前記光拡散部材が可撓性を有する長方形シート状の拡散板と、前記拡散板と重ねて用いられ、拡散板よりも薄い長方形シート状の拡散シートと、重ねて配置された前記拡散板及び前記拡散シートの辺縁部のすくなくとも一部を固定するシートフレームと、前記重ねて配置された前記拡散板及び前記拡散シートの辺縁部と前記シートフレームとを押え、前記液晶モジュールのリヤフレーム及び前記ランプを保持するランプフレームに固定されたセルガイドとを有している。
【0015】
この構成によると、拡散板及び拡散シートの辺縁部の少なくとも一部がシートフレームにて固定されるので、たわみ等の変形がおきにくい。これにより、表示される映像に輝度ムラが発生させることなく、従来用いられてきた板状の拡散板より薄いシート状の拡散板を用いることが可能である。
【0016】
このことは、拡散板が薄型化することで、軽量化することができるとともに、液晶モジュールの構成を全体的に小さくすることができ、前記液晶モジュールの軽量化、低コスト化が可能である。
【0017】
上記構成において、前記拡散板及び前記拡散シートには貫通孔が形成されており、前記シートフレームは、長尺の第1部材と、前記第1部材と対をなすように形成された長尺の第2部材とを有しており、前記第1部材は一面より立設された係合凸部を有しており、前記第2部材は前記係合凸部が係合する係合孔を有しており、前記係合凸部は前記拡散板及び前記拡散シートが張るように前記貫通孔を保持しつつ貫通し、前記貫通孔を貫通した先端部が前記係合孔と係合されているものであってもよい。
【0018】
この構成によると、拡散板及び拡散シートは前記シートフレームの貫通孔が前記シートフレームの係合凸部に保持されているので、前記拡散板及び前記拡散シートのたわみ等の変形を抑制することが可能である。
【0019】
上記構成において、前記係合孔は前記第2部材を貫通して形成された孔であり、前記係合凸部は前記係合孔を貫通するとともに、前記係合凸部の前記係合孔より突出した先端部が前記セルガイドに形成された押え孔と遊嵌しているものであってもよい。
【0020】
この構成によると、前記セルガイドと前記シートフレームとの間で熱膨張或いは熱収縮による変形量の差が発生した場合であっても、前記セルガイドの押え孔が前記係合凸部と接触しない又は強く接触しないので、前記拡散板及び前記拡散シートに熱変形差による応力が作用しにくい。
【0021】
上記構成において、前記係合孔が前記第2部材を貫通して形成された孔であり、前記係合凸部は前記係合孔を貫通するとともに、前記係合凸部の前記係合孔より突出した先端部が前記リヤフレーム又は前記ランプフレームに形成された押え孔と遊嵌しているものであってもよい。
【0022】
この構成によると、前記リヤフレーム又は前記ランプフレームと前記シートフレームとの間で熱膨張或いは熱収縮による変形量の差が発生した場合であっても、前記セルガイドの押え孔が前記係合凸部と接触しない又は強く接触しないので、前記拡散板及び前記拡散シートに熱変形差による応力が作用しにくい。
【0023】
上記構成において、前記シートフレームが前記重ねられて配置された拡散板及び拡散シートの長辺の少なくとも一方又は短辺の少なくとも一方に取り付けられているものであってもよい。
【0024】
上記構成において、前記液晶セル及び前記光拡散部材は起立した状態で用いられるものであり、前記シートフレームが前記光拡散部材の上側に設けられているものであってもよい。
【0025】
この構成によると、前記光拡散部材の自重を上部で支持することができるので、自重による変形(たわみ、座屈等)の発生を抑制することが可能である。
【0026】
上記構成において、前記シートフレームが前記拡散板及び前記拡散シートが前記ランプから放射された熱で膨張或いは収縮した場合に、前記熱による変形量の差によって前記拡散板及び前記拡散シートいずれにも、ひずみ或いは応力が発生しない線膨張係数を有する材料で形成されているものであってもよい。
【0027】
線膨張係数を適切に決定することで、熱変形差によるひずみ或いは応力の発生を抑制することができ、前記拡散板及び前記拡散シートの変形を抑制することができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によると、簡単な構成で薄型の拡散板を採用することができ、輝度ムラの発生が抑制された液晶モジュールを提供することができる。
【0029】
さらに本発明によると、薄型の拡散板を用いることで、軽量化されるとともに、低コスト化された液晶モジュールを提供するとことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1は本発明にかかる液晶モジュールの分解斜視図である。図1に示すように、液晶モジュールAは少なくとも、リヤフレーム1、反射シート2、ランプ3、ランプフレーム31、光拡散部材4、液晶セル5、ベゼル6、基板7を有している。
【0031】
リヤフレーム1は金属板を折り曲げて形成されたものであり、長方形状の背面部11と、背面部11の一対の長辺に立設された立ち上がり部12とを有している。立ち上がり部12は背面部11より立ち上がる接続部121と、接続部121と連結され、液晶パネル4の長辺を支持する支持部122と、支持部122と連結され、接続部121と対向する外枠部123とを有している。また、リヤフレーム1の背面側には、基板7をねじ止めにて固定されている。
【0032】
反射シート2はリヤフレーム1の正面側に配置されるものであり、リヤフレーム1の背面部11及び接続部121と密接して取り付けられている。リヤフレーム1の正面側には反射シート2を配置した後、ランプ3が配置される。ランプ3はU字状に形成された陰極管であり、その両端部にはランプホルダ30が取り付けられている。ランプホルダ30には図示を省略した電線が接続されており、この電線よりランプ3を駆動するための電力が供給される。また、反射シート2を貫通するとともにリヤフレーム1に固定され、ランプ3を支持するライト支持部材32も備えられている。
【0033】
リヤフレーム1の短辺には正面側より取り付けられ、ランプ3のランプホルダ30及び折り返し部を保持するためのランプフレーム31が備えられている。ランプフレーム31は台状に形成されており、リヤフレーム1の背面部11及び接続部121と接触して配置されている。また、ランプフレーム31はリヤフレーム1の短辺に配置された状態でリヤフレーム1の支持部122と同一平面上に配置された支持部311を備えている。
【0034】
光拡散部材4はランプ3より出射された光及び反射シート2で反射された光を拡散するための拡散板41及び拡散シート42と、セルガイド43とを有している。拡散板41はリヤフレーム1の支持部122及びランプフレーム31の支持部311に外周部を支持されており、その正面側に2枚の拡散シート42が配置されている。セルガイド43は、拡散板41、拡散シート42の四辺を上面側よりリヤフレーム1の支持部122及びランプフレーム31の支持部311に向けて押える長方形状の枠体である。光拡散部材4の詳細については後述する。
【0035】
セルガイド43の正面側には液晶セル5が配置されている。液晶セル5はセルガイド43に四辺を保持されている。液晶セル5は、平行に配置された2枚のガラス基板51と、2枚のガラス基板51の間に充填された液晶層と、ガラス基板51に接続されたソースドライバ52と、ゲートドライバ53とを有している。一方のガラス基板51には映像が形成される映像領域に形成された透明電極(共通電極:図示省略)が備えられている。また、他方のガラス基板51には、画素ごとに独立して形成された透明電極(画素電極:図示省略)が備えられており、画素電極にはスイッチング素子(トランジスタ:図示省略)が取り付けられている。
【0036】
ソースドライバ52は画素電極に備えられたトランジスタのソースに接続されており、画素電極に液晶駆動用の電力を供給するものである。ゲートドライバ53はトランジスタのゲートに接続されており、スイッチング信号を出力するものである。また、トランジスタのドレインは画素電極に接続されている。ソースドライバ52からの電力とゲートドライバ53からのスイッチング信号の出力タイミングを調整することで、所望の画素の画素電極に電力を供給することができる。これにより、各画素の色、輝度を調整することができ、液晶セル5で映像を表示することができる。
【0037】
ベゼル6はリヤフレーム1及びランプフレーム31を覆うことができる金属製の枠体であり、正面側に液晶セル5の映像表示部を外部より視認することができる開口60を有している。また、ベゼル6は断面L字状を有しており、リヤフレーム1の支持部122及びランプフレーム31の支持部311と平行に形成された正面部61と、リヤフレーム1の外枠部123と当接する側面部62とを有している。ベゼル6はねじ止めにてリヤフレーム1及びランプフレーム31と固定されている。
【0038】
本発明の要部である光拡散部材4について説明する。図2は図1に示す液晶モジュールに用いられている光拡散部材の分解斜視図であり、図3は図2に示す光拡散部材の平面図であり、図4は図2に示す光拡散部材に用いられたシートフレームを分解した状態の平面図であり、図5は図4に示すシートフレームの分解した状態の側面図であり、図6は図2に示す光拡散部材の積層状態を示す断面図である。図2に示す光拡散部材4に用いられている拡散板41は薄型の可撓性を有する樹脂製のシート状の部材であり、ここでは、ポリカーボネイト(Poly-carbonate)で形成された長方形シート状の部材である。
【0039】
拡散シート42は、拡散板41よりもさらに薄い樹脂製のシート状の部材であり、ここでは、PET(Polyethylene Terephthalate)で形成された長方形シート状の部材である。拡散シート42は拡散板41の光拡散効果を補助するものであり、液晶モジュールAに用いられる光拡散部材4では、2枚の拡散シート42が用いられている。2枚の拡散シート42は、拡散シート42同士を重ねあわせ、拡散板41の一方の面(液晶モジュールAにおいては液晶セル5と対向する側の面)に重ねて配置される。拡散板41と拡散シート42とはそれには限定されないが、ここでは、同面積、同形状の長方形状を有するものである。なお、以下の説明では、便宜上、拡散板41と拡散シート42とを重ねた部材を積層シート部材40と呼ぶ。
【0040】
従来の液晶モジュールに対して本発明にかかる液晶モジュールAでは拡散板41が薄く形成されているので、液晶モジュールAを起立した状態で使用するときに、拡散板41及び拡散シート42が自重で変形しやすい。また、拡散板41が薄く形成されているので、熱による変形も発生しやすい。
【0041】
そこで、図2、図3に示すように、積層シート部材40を安定的に保持するためのシートフレーム44が、積層シート部材40の長方形状の長辺401に互いに独立して備えられている。図2に示すように、シートフレーム44は、拡散板41及び拡散シート42を挟み、拡散板41及び拡散シート42にたわんだり、ゆがんだり等の変形がおこらないように固定するものであり、拡散板41側に配置され、拡散板41を押える第1フレーム441と、拡散シート42側に配置され、拡散シート42を押える第2フレーム442とを有している。なお、積層シート部材40では、短辺402にもシートフレーム45が取り付けられている。シートフレーム45は長さが異なる以外シートフレーム44と同じ構造を有するものであり、ここでは、シートフレーム44の詳細について説明し、シートフレーム45の詳細な説明については省略する。
【0042】
図4、図5に示すように、シートフレーム44の第1フレーム441は長尺状の部材であり、長手方向両端部の近傍より突出した一対の直方体形状の係合凸部443を備えている。第2フレーム442は第1フレーム441とあわせたときに、係合凸部443が挿入された一対の直方体形状の係合孔444が備えられている。なお、液晶モジュールAにおいて、シートフレーム44の第1フレーム441及び第2フレーム442とはABS樹脂で形成されている。
【0043】
図5に示すように、係合凸部443の先端部はかぎ状に形成されているとともに、先端が細く形成された引っ掛け部4431を有している。係合凸部443では引っ掛け部4431のかぎ状部は反対向きになるように形成されているが、かぎ状部が向かい合うように形成されていてもかまわない。係合凸部443を係合孔444に挿入し係合凸部443の引っ掛け部4431を係合孔444と係合させることで、第1フレーム441と第2フレーム442とが連結される。係合凸部443の長手方向外側の壁面が係合孔444の内壁と接触するように形成されることで、第1フレーム441と第2フレーム442とが長尺方向にずれるのを抑制することができる。
【0044】
積層シート部材40の固定について説明する。図5に示すように光拡散部材4において、拡散板41及び拡散シート42には、重ねて配置したときに、上下に重なるように、長方形状の貫通孔411及び貫通孔421が形成されている。貫通孔411及び貫通孔421は第1フレーム441の係合凸部443が貫通する孔であり、それぞれ対をなすように形成された長方形状の孔である。
【0045】
第1フレーム441の係合凸部443を積層シート部材40の拡散板41側より挿入する。貫通孔411及び貫通孔421の各シートの長辺の中心から遠い側の辺と、係合凸部443の引っ掛け部4431のかぎ状部が形成されている側の面とが接触している。このように、係合凸部443と貫通孔411及び貫通孔421とが接触していることで、貫通孔411及び貫通孔421と係合凸部443とのずれが抑制される。これにより、拡散板41及び拡散シート42とシートフレーム44とが互いにずれないように配置されている。
【0046】
この状態で、係合凸部443の拡散シート42側より突出した部分を第2フレーム442の係合孔444に挿入し、引っ掛け部4431を第2フレーム442の係合孔444の辺縁部と係合させて、第1フレーム441と第2フレーム442とを連結させる。このとき、第1フレーム441は拡散板41を第2フレーム442は拡散シート42をそれぞれ押えている。拡散板41及び拡散シート42はシートフレーム44にて挟まれて固定される。
【0047】
このように、シートフレーム44を用いて拡散板41及び拡散シート42を固定することで、拡散板41及び拡散シート42の辺の一部にたわみ、ずれ等の変形が発生するのを抑制することが可能である。積層シート部材40においては、シートフレーム44を長方形状の両方の長辺401に取り付け固定している。このとき、シートフレーム44は対向する長辺401同士の対向する位置(ここでは、中央)に取り付けられている。このように、対向する位置にシートフレーム44を取り付けることで、拡散板41及び拡散シート42の辺縁部が変形しにくくなるとともに、シートフレーム44で固定されている辺をつないだ部分(図3参照)は拡散板41及び拡散シート42に張力が付勢しており、それだけ、自重による変形、熱収縮或いは熱膨張による変形を抑制することが可能である。
【0048】
また、図3に示すように積層シート部材40では、対向する長辺401をシートフレーム44で、対向する短辺402がシートフレーム45で固定されている。これにより、シートフレーム44、45で固定されている辺をつないだ部分の重なり部は、長辺方向及び短辺方向の両方に張力が付勢するので、より効果的に変形を抑制することが可能である。
【0049】
シートフレーム44、45の長手方向の長さは、拡散板41及び拡散シート42の変形を抑制することのできる長さが必要であり、取り付けられる辺の1/3以上の長さを有していることが好ましい。すなわち、シートフレーム44は積層シート部材40の長辺401の1/3以上の長さ、シートフレーム45は積層シート部材40の短辺402の1/3以上の長さを有していることが好ましい。
【0050】
図1、図3に示すように積層シート部材40は、シートフレーム44で長辺401を、シートフレーム45で短辺402をそれぞれ固定した状態で、長辺401がリヤフレーム1の支持部122に、短辺402がランプフレーム31の支持部311に載置される。
【0051】
図6に示すように、セルガイド43には、シートフレーム44の係合凸部443の先端部が遊嵌する挿入凹孔431が形成されている。また、シートフレーム45の係合凸部453の先端部が遊嵌する挿入凹部432も形成されている。また、リヤフレーム1の支持部122及びランプフレーム31の支持部311には、図示を省略しているが、積層シート部材40の各辺の縁部と外側から接触する立設部が形成されている。シートフレーム44、45にて支持された積層シート部材40の長辺401及び短辺402をそれぞれ対応した立設部に接触させて取り付けられている。
【0052】
これによって、積層シート部材40の長辺401はリヤフレーム1の支持部122に、短辺402はランプフレーム31の支持部311に載置される。また、このことにより、拡散板41及び拡散シート42が、拡散板41及び拡散シート42の液晶セル5側から見た中央と、リヤフレーム1の背面部11の液晶セル側から見た中央とが、重なるように配置される。
【0053】
セルガイド43はリヤフレーム1の支持部122及びランプフレーム31の支持部311との間にシートフレーム44、45を挟むことで、拡散板41及び拡散シート42を保持している。セルガイド43には上述のとおり、挿入凹部431、432が形成されており、挿入凹部431に係合凸部443の先端部が、挿入凹部432の係合凸部453がそれぞれ遊嵌されている。セルガイド43とシートフレーム44、45との間に熱による収縮差、膨張差が発生した場合でも、その収縮差或いは膨張差によって挿入凹部431(432)と係合凸部443(453)とが接触しない又は強く接触しない。これにより、拡散板41及び拡散シート42に熱変形差による応力が作用するのを抑制し、拡散板41及び拡散シート42が変形するのを抑制することができる。
【0054】
上記実施例では、シートフレーム44の係合凸部443の引っ掛け部4431のかぎ状部が外側に向いているものを例に説明しているが、両方とも内側に向いている(互いに対向して配置されている)ものであってもよい。この場合、第2フレーム442に形成されている係合孔444のかぎ状部側(第2フレーム442において中心側)の内壁が係合凸部443と接触するように形成されている。シートフレーム45の場合も同様である。
【0055】
本発明の液晶モジュールの他の例について説明する。図7は本発明にかかる液晶モジュールに用いられる光拡散部材の要部の断面図である。図7に示すように、光拡散部材4bはシートフレーム44の第1フレーム441を拡散シート42側に、第2フレーム442を拡散板41側に配置されている。これに伴いリヤフレーム1の支持部122及びランプフレーム31の支持部311に挿入凹部124及び挿入凹部312が形成されている。挿入凹部124及び挿入凹部312が形成されているので、リヤフレーム1及びランプフレーム31に積層シート部材40の辺縁部と接触する立設部を形成しなくてもよい。これにより、製造コストを低減することが可能である。
【0056】
係合凸部443の先端が挿入凹部124に遊嵌されており、係合凸部453の先端が挿入凹部312に遊嵌されている。シートフレーム44は樹脂製であり、リヤフレーム1は金属製であるので熱膨張、熱収縮に大きな差が出るが、上述のように遊嵌して接続しているので、熱膨張差或いは熱収縮差によってシートフレーム44が変形したり、シートフレーム44に応力が発生したりすることを抑制することができる。シートフレーム44の変形或いは応力の発生を抑制することで、シートフレーム44に固定されている拡散板41及び拡散シート42の変形を抑制することができる。
【0057】
本発明の液晶モジュールのさらに他の例について説明する。図8は本発明にかかる液晶モジュールに用いられる光拡散部材の平面図である。図8に示す光拡散部材40cには、便宜上、セルガイド43の図示を省略している。図8に示す光拡散部材40cは長辺401c及び短辺402c両方に共通のシートフレーム46が取り付けられている。さらに説明すると、長辺401cは3個のシートフレーム46で、短辺402cは2個のシートフレーム46でそれぞれ固定されている。
【0058】
このように、シートフレーム46を複数個取り付けることで、一辺を固定するものの場合、すべての辺を共通の長さ、形状のシートフレーム46で固定することができるので、パーツを共通化することができ、それだけ、組み立ての手間を省くことができるとともに、製造コストを低減することが可能である。
【0059】
上記実施例では、積層シート部材40の各辺にシートフレームを取り付けて固定しているものを例示していたが、それには限定されず、使用状態、たとえば、液晶セル、光拡散部材が起立した状態で用いられる場合、少なくとも上部にシートフレームが取り付けられているものであればよい。しかしながら、対向する辺に設けられているものの方が、変形を抑制する効果が高い。
【0060】
シートフレームとしてABS樹脂を用いたものを例に説明しているが、それに限定されるものではなく、液晶モジュールを駆動しているときに与えられる熱で変形する変形量と、拡散板及び拡散シートの熱による変形量との差が、拡散板及び拡散シートの応力の発生を抑制し、変形を抑制することができる線膨張係数を有するものを広く採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、液晶モジュールに採用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明にかかる液晶モジュールの分解斜視図である。
【図2】図1に示す液晶モジュールに用いられている光拡散部材の分解斜視図である。
【図3】図2に示す光拡散部材の平面図である。
【図4】図2に示す光拡散部材に用いられたシートフレームの分解した状態の平面図である。
【図5】図5に示すシートフレームの分解した状態の側面図である。
【図6】本発明にかかる液晶モジュールに用いられる光拡散部材の要部の断面図である。
【図7】本発明にかかる液晶モジュールに用いられる光拡散部材の要部の断面図である。
【図8】本発明にかかる液晶モジュールに用いられる光拡散部材の平面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 リヤフレーム
11 底面部
12 立ち上がり部
121 接続部
122 支持部
123 外枠部
13 支持台部
2 反射シート
3 ランプ
31 ランプフレーム
4 光拡散部材
41 拡散板
42 拡散シート
43 セルガイド
44 シートフレーム
5 液晶セル
6 ベゼル
7 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ランプから液晶セルに照射される光の輝度を均一化する光拡散部材を備えた液晶モジュールであって、
前記光拡散部材が可撓性を有する長方形シート状の拡散板と、前記拡散板と重ねて用いられ、拡散板よりも薄い長方形シート状の拡散シートと、重ねて配置された前記拡散板及び前記拡散シートの辺縁部のすくなくとも一部を固定するシートフレームと、前記重ねて配置された前記拡散板及び前記拡散シートの辺縁部と前記シートフレームとを押え、前記液晶モジュールのリヤフレーム及び前記ランプを保持するランプフレームに固定されたセルガイドとを有していることを特徴とする液晶モジュール。
【請求項2】
前記拡散板及び前記拡散シートには貫通孔が形成されており、
前記シートフレームは、長尺の第1部材と、前記第1部材と対をなすように形成された長尺の第2部材とを有しており、
前記第1部材は一面より立設された係合凸部を有しており、
前記第2部材は前記係合凸部が係合する係合孔を有しており、
前記係合凸部は前記拡散板及び前記拡散シートが張るように前記貫通孔を保持しつつ貫通し、前記貫通孔を貫通した先端部が前記係合孔と係合されている請求項1に記載の液晶モジュール。
【請求項3】
前記係合孔は前記第2部材を貫通して形成された孔であり、前記係合凸部は前記係合孔を貫通するとともに、前記係合凸部の前記係合孔より突出した先端部が前記セルガイドに形成された押え孔と遊嵌している請求項2に記載の液晶モジュール。
【請求項4】
前記係合孔が前記第2部材を貫通して形成された孔であり、前記係合凸部は前記係合孔を貫通するとともに、前記係合凸部の前記係合孔より突出した先端部が前記リヤフレーム又は前記ランプフレームに形成された押え孔と遊嵌している請求項2に記載の液晶モジュール。
【請求項5】
前記シートフレームが前記重ねられて配置された拡散板及び拡散シートの長辺の少なくとも一方に取り付けられている請求項1から請求項4のいずれかに記載の液晶モジュール。
【請求項6】
前記シートフレームが前記重ねられて配置された拡散板及び拡散シートの短辺の少なくとも一方に設けられている請求項1から請求項4のいずれかに記載の液晶モジュール。
【請求項7】
前記液晶セル及び前記光拡散部材は起立した状態で用いられるものであり、
前記シートフレームが前記光拡散部材の上側に設けられている請求項1から請求項4のいずれかに記載の液晶モジュール。
【請求項8】
前記シートフレームが前記拡散板及び前記拡散シートが前記ランプから放射された熱で膨張或いは収縮した場合に、前記熱による変形量の差によって前記拡散板及び前記拡散シートいずれにも、ひずみ或いは応力が発生しない線膨張係数を有する材料で形成されている請求項1から請求項7のいずれかに記載の液晶モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−31487(P2009−31487A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−194538(P2007−194538)
【出願日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】