説明

液晶レンズ

【課題】好ましい応答速度ならびに好ましい光学焦点合わせ性能を有する液晶レンズを提供し、また、低温環境での操作に適合する液晶レンズを提供する。
【解決手段】複数の電極と基板とを含む液晶レンズが提供される。複数の平行な電界が電極の電位を制御することによって形成され、液晶分子を転倒させるメカニズムをスピードアップさせる。言い換えれば、液晶レンズが高い応答時間を有する。また、複数の能動デバイスが液晶レンズ中の電極の一側に配置され、そのうち、能動デバイスが電極に電気接続される。能動デバイスが駆動される時、電流が電極上に形成されて、液晶レンズの温度を上昇させる。従って、液晶レンズが低温環境下で操作されることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般に液晶レンズに関し、特に、低温環境下での操作に適した好ましい反応速度を有する液晶レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
今日、カメラモジュール技術は、数百万画素および高解析度という高映像品質の方向へ発展しているとともに、軽量小型化という特性を備える。これがモバイルフォン(携帯電話)におけるカメラモジュールの応用をもたらすとともに、消費者の購入意欲を増大させている。また、モバイルフォンカメラにおいて次第に普遍的になっている機能のうち、最も重要なものがオートフォーカス機能である。一般的に言って、もしカメラの解像度が130万画素以上であれば、画像検出器の画素面積が縮小する。また、一般的な固定焦点カメラレンズによって捕捉される画像が遠近距離に対する十分な被写界深度を得ることができず、従って、鮮明な画像品質を獲得するために、カメラがオートフォーカス機能に頼らざるをえない。モバイルカメラが小型かつ薄型でなければならないため、モバイルカメラのオートフォーカスは、一般的なデジタルカメラ用の従来のモータードライブレンズによって実行することができず、目的を達成するために、より細密かつ小型なアクチュエーター(作動器)を採用しなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6,864,951公報
【特許文献2】米国特許第6,577,367公報
【特許文献3】米国特許第6,690,500公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】応用光学国際ジャーナル(Vol.43, No.35, p.6407, December, 2004)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
最近、応用されたモバイルカメラレンズモジュールのアクチュエーターデバイスは、ボイスコイルモーター(voice coil motor = VCM)と圧電アクチュエーター(piezoelectric acutuator)と精密ステップモーターとを含む。また、液体レンズ(liquid lens)が採用され、そのうち、電圧を採用して表面張力を制御し、レンズ曲率および焦点合わせ特性を変化させる。また、液晶レンズ(liquid crystal lens)もまた採用されて、電圧制御により電界分布を変えレンズの曲率および焦点合わせ特性を変化させる。しかし、オートフォーカスを達成するためのこれらの実行は、いずれもその不利な点を有する。例えば、機械的なアクチュエーターデバイスを採用する時、材料コスト、組み立て精度および耐震(anti-shock)特性がキーとなる。他方、静態液体レンズを採用する時、製造テクニックおよび光学画像品質が主要な挑戦となる。加えて、液晶レンズが遅い応答速度を有するとともに、低温操作環境に適していない。従って、重要な研究開発の焦点がオートフォーカスを実行するためにモバイルフォンカメラモジュールに適用できる好ましい技術を見つけ出すことにある。
【0006】
ここ数年、多くの文献が様々なタイプの液晶(liquid crystal)光学デバイス技術を開示しており、外部の印加電圧に関連して屈折率変化を有する液晶材料の光学特性を利用して、レンズの焦点距離を変えるとともに、これらの技術がいろいろな製品領域に応用されている。例えば、特許文献1が非均一性(inhomogeneous)高分子発散型液晶(polymer dispersed liquid crystal =PDCL)を紫外(ultraviolet = UV)光線照射と結合して液晶分子から非均一サイズの顆粒(droplets)を形成し、光学焦点合わせ特性が外部印加電圧の変化によって継続的に変調されることを開示している。また、非特許文献1中の論文が液晶誘電層よりも遙かに厚いガラスの他面に電極を設計し、高電圧を供給するとともに、ガラスを介して電位分布を貫通させ、連続的に湾曲した表面分布を液晶誘電層中に形成することを開示している。従って、液晶屈折率が連続位相分布を有するレンズに良く似た連続分布を有するとともに、液晶レンズが良好な焦点合わせ特性および単純なデバイス構造を有する。しかし、駆動電圧が100Vを必要とし、かつ応答速度が増大される必要がある。特許文献2および特許文献3のような以前に記述された従来の液晶光学デバイス中、回折デバイス(diffraction device)設計がストライプ状ブロックまたはフレネルレンズを採用するため、回折によって発生される各回折ステップが光線ビームの全体的な利用効率を低下させる。他方、特許文献1が高分子発散型液晶(polymer dispersed liquid crystal =PDCL)構造(framework)を採用し、紫外(UV)光線の露光プロセスが厳格であるけれども、回折および高いデバイス駆動電圧により低い媒体透過率のような別な要因のために、応答速度の問題が課題として存続している。
【発明の目的】
【0007】
そこで、この発明の目的は、好ましい応答速度ならびに好ましい光学焦点合わせ性能を有する液晶レンズを提供することにある。また、液晶レンズが低温環境での操作に適合するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の実施形態が液晶レンズを提供し、第1基板と、複数の第1能動デバイスと、複数の第1電極と、第1配向層と、第2基板と、第2能動デバイスと、第2電極と、第2配向層と、液晶層と、偏光子とを含む。第1能動デバイスが第1基板上に配置される。第1電極が第1基板上に配置されるとともに、互いに平行に配列される。第1電極が対応する第1能動デバイスにそれぞれ電気接続される。第1配向層が第1基板上に配置されるとともに、第1電極に被さるものである。第2基板が第1基板に対向して配置される。第2配向層が第2基板上に配置される。第2電極が第2基板上に配置されるとともに、第2能動デバイスに電気接続され、かつ第2電極が開口を有する。第2配向層が第2基板上に配置される。第1基板および第2基板間に配置されるとともに、第1配向層および第2配向層が前記液晶層に配向する。偏光子が第2基板の一側に配置されるとともに、第2基板が第1基板および偏光子間に配置される。
【0009】
この発明の実施形態に従い、液晶レンズが更に第1基板上に配置されるとともに、対応する第1電極にそれぞれ電気接続される複数の第3能動デバイスを含む。第1能動デバイスおよび第3能動デバイスが同時に駆動される時、電流が第1電極上に発生される。第1電極を流通する電流が第1電極の温度を増大させる。
【0010】
この発明の実施形態に従い、各第1能動デバイスがゲートと能動層とソースとドレインとを含む。ドレインが対応する第1電極に電気接続されるとともに、ゲートが駆動される時、ソースおよびドレインが能動層を介して互いに電気接続される。
【0011】
この発明の実施形態に従い、第2能動デバイスが、ゲートと能動層とソースとドレインとを含む。ドレインおよび第2電極が電気接続されるとともに、ゲートが駆動される時、ソースおよびドレインが能動層を介して互いに電気接続される。
【0012】
この発明の実施形態に従い、第1電極上に印加される電位分布が交互に高低電位を繰り返し、それぞれ第1電極間で平行な電界を形成する。
【0013】
この発明の実施形態に従い、第1電極上に印加される電位が互いに同一であり、第2電極に印加される電位が異なるものである。
【0014】
この発明の実施形態に従い、複数の第2能動デバイスが構成される時、液晶レンズが更に開口中に配置される少なくとも1つのリング状電極を含み、第2能動デバイスがそれぞれ第2電極および対応するリング状電極に電気接続される。
【0015】
この発明の実施形態に従い、第2電極が第2基板の一側に配置され、かつ第2配向層が第2基板の別な一側に配置される。
【0016】
この発明の実施形態に従い、第1能動デバイスおよび第2能動デバイスが同一な駆動電源を共有する又は異なる駆動電源がそれぞれ使用されるものである。
【0017】
この発明の実施形態に従い、液晶レンズが更に第1基板および第2基板間に配置されるシーラントを含み、第1配向層および第2配向層間の内包空間を保持し、そのうち、液晶層が内包空間中に配置されるものである。
【0018】
この発明の実施形態が、第1基板と第1電極と第1能動デバイスと第3能動デバイスと第1配向層と第2基板と第2能動デバイスと第2電極と第2配向層と液晶層と偏光子とを含む液晶レンズを提供する。第1能動デバイスが前記第1基板上に配置される。第1電極が第1基板上に配置されるとともに、第1能動デバイスに電気接続される。第3能動デバイスが第1基板上に配置されるとともに、第1電極に電気接続される。第1能動デバイスおよび第3能動デバイスが同時に駆動される時、電流が前記第1電極上に発生される。第1電極を流通する電流が第1電極の温度を増大させる。第1配向層が第1基板上に配置されるとともに、第1電極に被さるものである。第2基板が第1基板に対向して配置される。第2能動デバイスが第2基板上に配置される。第2電極が第2基板上に配置されるとともに、第2電極が開口を有する。第2配向層が第2基板上に配置される。第1基板および第2基板間に配置されるとともに、第1配向層および第2配向層が液晶層に配向する。偏光子が第2基板の一側に配置されるとともに、第2基板が第1基板および偏光子間に配置される。
【0019】
この発明の実施形態に従い、複数の第2能動デバイスが構成される時、液晶レンズが更に開口中に少なくとも1つのリング状電極を含むとともに、第2能動デバイスがそれぞれ第1電極および対応するリング状電極に電気接続される。
【0020】
この発明の実施形態に従い、開口中に配置される少なくとも1つのリング状電極が、同心円サークルとして配列される。
【0021】
この発明の実施形態に従い、第2電極および少なくとも1つのリング状電極に印加される電位が同一である。
【0022】
この発明の実施形態に従い、第2電極および少なくとも1つのリング状電極に印加される電位が異なる。
【0023】
この発明の実施形態に従い、第1配向層の配向方向が第2配向層の配向方向に平行かつ反対である又は第1配向層の配向方向が第2配向層の配向方向に垂直である。
【0024】
つまり、この発明の実施形態にかかる液晶レンズ中、複数の第1電極が第1基板上に配置されるとともに、第1電極上の電位を調整かつ平行な電界を形成することによって液晶を転倒させるメカニズムがスピードアップされる。言い換えれば、液晶レンズが早い応答時間を有する。また、他の能動デバイスがこの発明の実施形態に従って第1基板上に配置されることもできる。これらの能動デバイスが第1電極に電気接続されるとともに、第1電極上の別な能動デバイスに電流を発生させるために適合できる。従って、液晶レンズの温度が増大し、それにより低温環境下で操作することに適したものにできる。
【発明の効果】
【0025】
上記観点から、この発明の実施形態にかかる液晶レンズが少なくとも下記する利点を有する。先ず、第1基板上に複数の第1電極を配置するとともに、複数の能動デバイスを採用することにより、液晶レンズ上の電圧を適切に制御してGRIN(グリン)レンズの屈折率分布を獲得し、それが焦点合わせ/散乱の焦点合わせ機能を凸/凹レンズに類似させる。また、複数の第1電極が配列されて、そのために、第1電極電位を調整するとともに、平行電界を発生させることにより、液晶を転倒させることがスピードアップされる。言い換えれば、液晶レンズが速い応答時間を有する。
【0026】
また、液晶レンズが能動デバイス(例えば、薄膜トランジスター)を採用して液晶層の屈折率を制御するため、液晶レンズの全体サイズを効果的に縮小させるだけでなく、外部ICsの使用もまた低減させ、製造コストを低下させるとともに、液晶レンズの構造を簡略化する。さらに、液晶レンズが開口中に複数のリング状電極を有するので、開口中に配置される電極に印加される電圧を細密に調整し、液晶レンズが好ましい光学性能を有する。
【0027】
また、他の能動デバイスがこの発明の実施形態にかかる液晶レンズに従って液晶レンズの第1基板上に配置される。これらの能動デバイスが第1電極に電気接続され、かつ第1電極上の他の能動デバイスに電流を発生させる。従って、液晶層の温度が増大するとともに、液晶レンズが低温環境での操作に適したものとなることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】この発明の実施形態にかかる液晶レンズの一部を示す概略図である。
【図2A】図1中に描かれた第1基板上に配置された第1能動デバイスおよび第1電極の一部を示す概略図である。
【図2B】図1中に描かれた第2基板上に配置された第2能動デバイスおよび第2電極の一部を示す概略図である。
【図2C】図1中に描かれた第1基板上に配置された第1能動デバイス、または第2基板上に配置された第2能動デバイスの一部を示す概略図である。
【図3】図1中に描かれた液晶レンズが操作される時の電界分布を示す概略図である。
【図4】図1中に描かれた液晶レンズの別な実施(インプリメンテーション)を示す概略図である。
【図5】この発明の他の実施形態にかかる液晶レンズの一部を示す概略図である。
【図6】図5中に描かれた第1基板上に配置された第1能動デバイスおよび第1電極の一部を示す概略図である。
【図7】図1と図5中に描かれた液晶レンズの別な実施(インプリメンテーション)を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、この発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
図1は、この発明の実施形態にかかる液晶レンズの一部を示す概略図である。図2Aは、図1中に描かれた第1基板上に配置された第1能動デバイスおよび第1電極の一部を示す概略図である。図2Bは、図1中に描かれた第2基板上に配置された第2能動デバイスおよび第2電極の一部を示す概略図である。図2Cは、図1中に描かれた第1基板上に配置された第1能動デバイス、または第2基板上に配置された第2能動デバイスの一部を示す概略図である。図1と図2A〜図2Cとにおいて、この発明の実施形態にかかる液晶レンズ1000は、第1基板1010と、複数の第1能動デバイス1101-1110と、複数の第1電極1201-1210と、第1配向層1300と、第2基板1020と、第2能動デバイス1400と、第2電極1500と、第2配向層1600と、液晶層1700と、偏光子1800とを含む。
【0030】
実施形態中、第1基板1010が第1表面S1と第2表面S2とを有するとともに、第1基板1010が例えばガラス基板のような透明基板である。また、図2Aに示すように、第1能動デバイス1101-1110が第1基板1010の第1表面S1上に配置される。この実施形態中、第1能動デバイス1101-1110は、薄膜トランジスターである。より具体的には、図2Cに示すように、各第1能動デバイス1101-1110がゲート1130と能動層1140とソース1150とドレイン1160とを含む。実施形態中、ドレイン1160が対応する第1電極1201-1210にそれぞれ電気接続される。また、ゲート1130が駆動される時、ソース1150およびドレイン1160が能動層1140を介して互いに電気接続される。従って、図2Cに示すように、ソース1150からの電圧信号が順番に能動層1140・ドレイン1160を通過できるとともに、対応する第1電極1201-1210へ伝送される。
【0031】
言い換えれば、第1能動デバイス1101-1110は、第1電極1201-1210用のスイッチとして供される。実施形態中、図2Aおよび図2Cに示すように、第1電極1201-1210もまた蓄電キャパシターC1-C10にそれぞれ電気接続されて、蓄電キャパシターC1-C10を充電および放電する。実施形態中、蓄電キャパシターC1-C10の電極(標示せず)が第1能動デバイス1101-1110中のゲート1130として同一薄膜層にそれぞれ属するとともに、蓄電キャパシターC1-C10の他の電極(標示せず)がソース1150またはドレイン1160として同一薄膜層に属する。
【0032】
また、図1と図2Aとに示すように、第1電極1201-1210が第1基板1010の第1表面S1上に配置されるとともに、互いに平行に配列される。実施形態中、第1電極1201-1210は、図2A中に示したように長片(long strips)として配列され、そのうち、第1電極1201-1210がスペースを入れること(標示せず)によって分離され、かつ互いに電気的に絶縁される。具体的には、図2A中に示すように、第1電極1201-1210が対応する第1能動デバイス1101-1110に電気接続される。言い換えれば、各第1能動デバイス1101-1110が第1電極1201-1210の各対応する1つを独立して制御する。
【0033】
この実施形態中、実例として、第1電極1201-1210の材料は、亜鉛酸化物、インジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、インジウム錫亜鉛酸化物、アルミニウム錫酸化物、アルミニウム亜鉛酸化物、カドミウム錫酸化物、カドミウム亜鉛酸化物、ガリウム亜鉛酸化物またはフッ化錫酸化物のうち少なくとも1つである。
【0034】
引き続き、図1と図2A〜図2Cとにおいて、第2基板1020が第1基板1010に対向して配置されるとともに、第2能動デバイス1400が第2基板1020上に配置される。この実施形態中、第2基板1020が第3表面S3および第4表面S4を有し、かつ第2能動デバイス1400が図2Aと図2Bとに示すように第2基板1020の第4表面S4上に配置される。また、第2基板1020がガラス基板のような透明基板である。
【0035】
図2Bにおいて、第2能動デバイス1400もまた薄膜トランジスターである。より具体的には、図2Cに示すように、第2能動デバイス1400がゲート1430と能動層1440とソース1450とドレイン1460とを含む。実施形態中、第2能動デバイス1400のドレイン1460が第2電極1500に電気接続される。また、第2能動デバイス1400のゲート1430が駆動される時、第2能動デバイス1400のソース1450およびドレイン1460が能動層1440を介して互いに電気接続される。従って、図2Cに示すように、ソース1450からの電圧信号が順番に能動層1440およびドレイン1460を通過できるとともに、第2電極1500へ伝送される。
【0036】
実施形態中、図2Bと図2Cとに示すように、第2電極1500もまた蓄電キャパシターC11に電気接続されて、蓄電キャパシターC11を充電および放電する。実施形態中、第2電極1500中で蓄電キャパシターC11の電極(標示せず)がゲート1430として同一薄膜層に属するとともに、第2電極1500中で別な蓄電キャパシターC11の電極(標示せず)がソース1450またはドレイン1460として同一薄膜層に属する。
【0037】
また、図1と図2Bとに示すように、第2電極1500が第2基板1020の第4表面S4上に配置されるとともに、第2能動デバイス1400に電気接続され、かつ第2電極1500が開口W1を有する。この実施形態中、第2能動デバイス1400が第2電極1500用のスイッチとして適合される。また、第2電極1500が第1電極1201-1210として先に述べた透明導電性材料から作られる。また、第2電極1500の材料がまた好ましい導電特性を有する金属のような不透明導電材料である。
【0038】
引き続き、図1と図2A〜図2Cとにおいて、第1配向層1300が第1基板1010の第1表面S1上に配置されるとともに、第1電極1201-1210に被さっている。第2配向層1600が第2基板1020の第3表面S3上に配置される。実施形態中、第1配向層1300の配向方向が実例として第2配向層1600の配向方向に平行かつ反対である。別な実施形態中、第1配向層1300の配向方向がまた第2配向層1600の配向方向に垂直であるとともに、ユーザーの使用する液晶タイプに従って調整されるので、記載の一例として供されるのに過ぎない。
【0039】
また、図1に示すように、液晶層1700は、第1基板1010および第2基板1020間に配置される。第1および第2配向層1300 & 1600の配向方向が異なるため、配向層1300 & 1600が液晶層1700を整列させる。
【0040】
前記した構造に従って、第1基板1010および第2基板1020間に配置された液晶層1700が第1基板1010上の第1能動デバイス1101-1110を介して第1電極1201-1210を制御できるとともに、第2基板1020上の第2能動デバイス1400を介して第2電極1500を制御できる。また、第1電極1201-1210および第2電極1500間の電圧差が液晶層1700に屈折率変化を発生させる。また、第2電極1500が開口W1を有するので、開口W1中に配置される液晶層1700の全ての屈折率分布が異なる。言い換えれば、第1基板1010および第2基板1020間に形成される電界分布が開口W1のエッジから開口W1のセンターに近づく方向へ次第に減少する。従って、開口W1中に位置する液晶層1700が屈折率分布型レンズ(gradient-index lens = GRIN lens グリンレンズ)を形成するとともに、それによって凸レンズに類似した光線焦点合わせ機能を獲得する。また、この焦点合わせ効果は、第1能動デバイス1101-1110および第2能動デバイス1400に印加される駆動信号の大きさによってそれぞれ制御される。実際上は、液晶レンズ1000は、下記する操作方式で操作される。
【0041】
例えば、第1電極1201-1210上の第1能動デバイス1101-1110によりそれぞれ印加される電位は同一であるとともに、第2電極1500上の第2能動デバイス1400により印加される電位は、第1電極1201-1210上の電位と同一ではない。従って、第1基板1010および第2基板1020間の電界分布が開口W1のエッジから開口W1のセンターに近づく方向へ次第に減少し、それによって前記した効果を達成する。別な実施形態中、第1能動デバイス1101-1110がまた各第1電極1201-1210上の電位を制御するために使用される(例えば、第1電極1201-1210上の電位が互いに異なる又は少なくとも部分的に異なる)。ユーザーは、特定の必要性に従って自由に前記を調整するとともに、それにより微細に全ての屈折率分布を調整して最適化された光学性能を獲得する。
【0042】
また、液晶分子が、特定入射方向の入射ビームの2つの異なる偏光方向について、その屈折率が異常光線(extraordinary ray = E-ray)屈折率(ne)および常光線(ordinary ray = O-ray)屈折率(no)を形成する複屈折材料(birefringent material)である。従って、図1に示すように、入射ビームL1が液晶レンズ1000を通過した後、画像平面S101上に二重焦点現象(double foci phenomenon)を生成することを防止するために、偏光子1800が第2基板1020の一側に配置されるとともに、第2基板1020が第1基板1010および偏光子1800間に配置される。従って、偏光子1800を通過した後、入射ビームL1が画像平面S101上に画像を形成する時、1つの分極方向を有する光線ビームだけが通過できるとともに、別な分極方向を有する光線ビームは遮られる。それにより、二重焦点現象が防止され、かつ好ましい光学画像品質が達成される。
【0043】
また、液晶レンズ1000が操作される時、液晶層1700中の液晶分子を回転させるメカニズムは、一般的に回転させるために液晶分子のしきい値電圧よりも高い電圧を印加する必要があるとともに、印加電圧値が高いほど、回転速度が速い。しかし、液晶レンズ1000を操作する期間、液晶を倒すメカニズムは、一般的に液晶本来の回復力に頼るので、長い時間を要する。従って、液晶の回転速度を増大するために、この実施形態の第1電極1201-1210が異なる電圧を供給するとともに、同時に液晶の配向方向に平行な電界を発生させ、それにより液晶の転倒速度を効果的に増大させる。例えば、図3に示すように、第1電極1201-1210の電位分布が交互に高低レベルを構成する時、平行な電界E1が第1電極1201-1210間に形成されるので、液晶分子の転倒速度が電圧制御により増大される。言い換えれば、この実施形態の液晶レンズ1000が操作期間に好ましい応答速度を有する。
【0044】
さらに、この実施形態の液晶レンズ1000が能動デバイス1101-1110 & 1400を採用して、第1電極1201-1210および第2電極1400の電位をそれぞれ制御しているので、液晶レンズ1000の全体サイズを適切に減少できるだけでなく、好ましい電気性能および外部ICsの使用削減を達成し、製造コストを低下させる。
【0045】
この実施形態中、図1に示すように、液晶レンズ1000が更にシーラント(sealant)1900を含む。シーラント1900が第1基板1010および第2基板1020間に配置されて、それぞれ第1配向層1300および第2配向層1600間の内包空間を保持しており、そのうち、液晶層1700が内包空間H1に配置される。一般的に、通常、接着剤が第1基板1010または第2基板1020上に配置され、第1基板1010または第2基板1020が整合され、かつ取り付けられ、接着剤が硬化した後、前記したシーラント1900が形成される。この実施形態中、シーラント1900が例えば液晶ディスプレイ(LCD)パネルを密封するプラスチックフレーミング技術または他のプラスチックフレーミング技術および材料を採用する。前記は実例として供されるだけであり、この発明は、それに限定されるものではない。この発明の実施形態中、前記したシーラント1900は、スペーサー(spacer)でもある。
【0046】
実施形態中、前記した液晶レンズ1000が低温環境での操作に適したものにするために、図4に示すように、複数の第3能動デバイス2101-2110が更に第1基板1010上に配置され、そのうち、第3能動デバイス2101-2110が対応する第1電極1201-1210にそれぞれ電気接続される。より具体的には、第1能動デバイス1101-1110および第3能動デバイス2101-2110が同時に駆動される時、電流が第1電極1201-1210上にそれぞれ発生される。第1電極1201-1210を流通する電流が第1電極1201-1210の温度を上昇させ、それにより液晶層1700の温度を増大させる。従って、液晶レンズ1000が低温環境で使用できる。
【0047】
図5は、この発明の他の実施形態にかかる液晶レンズの一部を示す概略図である。図6は、図5中に描かれた第1基板上に配置された第1能動デバイスおよび第1電極の一部を示す概略図である。図1と図4と図5と図6とにおいて、この実施形態の液晶レンズ3000は、前記した液晶レンズ1000の構造に類似しているとともに、同一要素には、同一符号を付す。その間の差異は、図5と図6に示すように、液晶レンズ1000の第1基板1010上の第1電極1201-1210と比較して、この実施形態の液晶レンズ3000が第1基板1010上の単一な第1電極3100の電極設計を有することである。
【0048】
実施形態中、ただ1つの第1電極3100があるため、それにより、図6に示すように、ただ1つの第1能動デバイス1101と第3能動デバイス2101と蓄電キャパシターC1が第1電極3100に電気接続される必要がある。言い換えれば、第1能動デバイス1101と第3能動デバイス2101とを同時に駆動することによって、第1電極3100上に電流が発生し、第1電極3100を流通する電流が第1電極3100の温度を上昇させ、それにより、液晶層1700の温度を上昇させる。従って、液晶レンズ3000が低温環境で使用できる。
【0049】
図7は、図1と図5中に描かれた液晶レンズの別な実施(インプリメンテーション)を示す概略図である。図7に示すように、前記した液晶レンズ1000 & 3000中、少なくとも1つのリング状電極4100が更に液晶レンズ1000 &3000中に含まれる。リング状電極4100が第2基板1020上および第2電極1500の開口W1中に配置される。実施形態中、リング状電極4100の数量が例えば4つであるが、この発明がそれに限定されるものではない。従って、複数の第2能動デバイス1400がリング状電極4100に電気接続される。言い換えれば、第2能動デバイス1400が第2電極1500および対応するリング状電極4100に電気接続される。この実施形態中、開口W1中に配置されるリング状電極4100がまた同心円サークルとして配列されるとともに、第2電極1500およびリング状電極4100上に印加される電位の少なくとも一部が同一である。あるいは、第2電極1500およびリング状電極4100に印加される電位が異なる。
【0050】
例えば、一般の正単一軸液晶(ne>no)について言えば、もしも、より低い電位がリング状電極4100の内側サークル近くに印加されるとともに、より高い電位がリング状電極4100の外側サークル近くに印加されれば、内側サークルに近い液晶層1700の位相遅延量が外側サークルに近い液晶層1700の位相遅延量よりも大きい。従って、液晶レンズ1000 &3000全体が正レンズの光学効果を獲得する。反対に、もしより高い電位がリング状電極4100の内側サークル近くに印加されるとともに、より低い電位がリング状電極4100の外側サークル近くに印加されれば、内側サークルに近い液晶層1700の位相遅延量が外側サークルに近い液晶層1700の位相遅延量よりも小さい。従って、液晶レンズ1000 &3000全体が負レンズの光学効果を獲得する。言い換えれば、前記した電圧設計を使用することにより、液晶レンズ1000 &3000が焦点合わせ無しのような焦点合わせ特性を有する(内外サークルが同一電圧を有する)モードと、液晶レンズ1000 & 3000が正レンズの焦点合わせ特性を有する(外側サークル電圧が内側サークル電圧より大きい)ものと、負レンズの焦点合わせ特性を有する(外側サークル電圧が内側サークル電圧より小さい)ものと等異なる焦点合わせで操作されることができ、それにより、この実施形態の液晶レンズ1000 & 3000が好ましい効果のうち1つを達成できる。
【0051】
注意すべきことは、図1と図5中に描かれた液晶レンズが同一駆動電源を共用することにより駆動されることである。しかし、別な実施形態中、異なる駆動電源が発動のために使用される。
【0052】
以上のように、この発明を実施形態により開示したが、もとより、この発明を限定するためのものではなく、当業者であれば容易に理解できるように、この発明の技術思想の範囲内において、適当な変更ならびに修正が当然なされうるものであるから、その特許権保護の範囲は、特許請求の範囲および、それと均等な領域を基準として定めなければならない。
【符号の説明】
【0053】
1000, 3000 液晶レンズ
1010 第1基板
1101-1110 第1能動デバイス
1130 ゲート
1140 能動層
1150 ソース
1160 ドレイン
1201-1210, 310 第1電極
1300 第1配向層
1020 第2基板
1400 第2能動デバイス
1500 第2電極
1600 第2配向層
1700 液晶層
1800 偏光子
1900 シーラント
2101-2110 第3能動デバイス
4100 リング状電極
C1-C11 蓄電キャパシター
S1 第1表面
S101 画像平面
S2 第2表面
S3 第3表面
S4 第4表面
W1 開口
L1 光線ビーム
H1 内包空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1基板と;
前記第1基板上に配置される複数の第1能動デバイスと;
複数の第1電極であり、前記第1基板上に配置されるとともに、互いに平行に配列され、前記第1電極が対応する前記第1能動デバイスにそれぞれ電気接続される、複数の第1電極と;
前記第1基板上に配置されるとともに、前記第1電極に被さる第1配向層と;
前記第1基板に対向して配置される第2基板と;
前記第2基板上に配置される第2能動デバイスと;
前記第2基板上に配置されるとともに、前記第2能動デバイスに電気接続され、かつ開口を有する、第2電極と;
前記第2基板上に配置される第2配向層と;
液晶層であり前記第1基板および前記第2基板間に配置されるとともに、前記第1配向層および前記第2配向層が前記液晶層に配向する、液晶層と;
偏光子であり、前記第2基板の一側に配置されるとともに、前記第2基板が前記第1基板および前記偏光子間に配置される、偏光子と
を備える液晶レンズ。
【請求項2】
更に、前記第1基板上に配置されるとともに、前記対応する第1電極にそれぞれ電気接続される複数の第3能動デバイスを含み、そのうち、前記第1能動デバイスおよび前記第3能動デバイスが同時に駆動される時、電流が前記第1電極上に発生されるとともに、前記第1電極を流通する前記電流が前記第1電極の温度を増大させる請求項1記載の液晶レンズ。
【請求項3】
前記各第1能動デバイスがゲートと能動層とソースと前記対応する第1電極に電気接続されるドレインとを含み、前記ゲートが駆動される時、前記ソースおよび前記ドレインが前記能動層を介して互いに電気接続される請求項1記載の液晶レンズ。
【請求項4】
前記第2能動デバイスが、ゲートと能動層とソースとドレインとを含み、前記ドレインが前記対応する第2電極に電気接続され、前記ゲートが駆動される時、前記ソースおよび前記ドレインが前記能動層を介して互いに電気接続される請求項1記載の液晶レンズ。
【請求項5】
複数の第2能動デバイスが構成される時、前記液晶レンズが更に前記開口中に配置される少なくとも1つのリング状電極を含むとともに、前記第2能動デバイスが前記第1電極および前記対応するリング状電極にそれぞれ電気接続される請求項1記載の液晶レンズ。
【請求項6】
前記開口中に配置される少なくとも1つのリング状電極が、同心円サークルとして配列される請求項5記載の液晶レンズ。
【請求項7】
前記第2電極が、前記第2基板の一側に配置されるとともに、前記第2配向層が前記第2基板の他側に配置される請求項1記載の液晶レンズ。
【請求項8】
第1基板と;
前記第1基板上に配置される第1能動デバイスと;
前記第1基板上に配置されるとともに、前記第1能動デバイスに電気接続される第1電極と;
第3能動デバイスであり、前記第1基板上に配置されるとともに、前記第1電極に電気接続され、前記第1能動デバイスおよび前記第3能動デバイスが同時に駆動される時、電流が前記第1電極上に発生され、かつ前記第1電極を流通する前記電流が前記第1電極の温度を増大させる、第3能動デバイスと;
前記第1基板上に配置されるとともに、前記第1電極に被さる第1配向層と;
前記第1基板に対向して配置される第2基板と;
前記第2基板上に配置される第2能動デバイスと;
前記第2基板上に配置されるとともに、前記第2能動デバイスに電気接続され、かつ開口を有する、第2電極と;
前記第2基板上に配置される第2配向層と;
液晶層であり、前記第1基板および前記第2基板間に配置されるとともに、前記第1配向層および前記第2配向層が前記液晶層に配向する、液晶層と;
偏光子であり、前記第2基板の一側に配置されるとともに、前記第2基板が前記第1基板および前記偏光子間に配置される、偏光子と
を備える液晶レンズ。
【請求項9】
複数の第2能動デバイスが構成される時、前記液晶レンズが更に前記開口中に配置される少なくとも1つのリング状電極を含むとともに、前記第2能動デバイスが前記第1電極および前記対応するリング状電極にそれぞれ電気接続される請求項8記載の液晶レンズ。
【請求項10】
前記開口中に配置される少なくとも1つのリング状電極が、同心円サークルとして配列される請求項9記載の液晶レンズ。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−68607(P2012−68607A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−11777(P2011−11777)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(507352477)點晶科技股▲フン▼有限公司 (5)
【Fターム(参考)】