説明

液晶用バックライト

【課題】本発明は、冷陰極管を用いた液晶用バックライトであって、冷陰極管と配線材との接続部を覆う弾性体からなるランプソケットを装着する際に、負荷を確実に抑えることのできるランプソケットを用いた液晶用バックライトを提供することを目的とする。
【解決手段】
冷陰極管1と、その両端それぞれに冷陰極管1の中心軸11に対し略垂直方向に接続された配線材6と、冷陰極管1と配線材6との接続部25を覆い、外形が略L字型で、内部が中空状の、弾性体からなるランプソケット20と、を備える。前記ランプソケット20は、前記冷陰極管側の穴26の口元であって、前記冷陰極管の中心軸11からみて前記配線材6が接続される方向と逆側となる位置から、前記冷陰極管の中心軸11方向に切り込み部23を設けている。そして、切り込み部23は、前記ランプソケット20の装着時に、前記接続部25が露出しない長さに設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷陰極管を用いた液晶用バックライトであって、その冷陰極管と配線材の接続部に被せるランプソケットに特徴がある液晶用バックライトに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶用バックライト、特に、設定メニュー等を表示する小型の液晶表示部の液晶用バックライトとして、冷陰極管(Cold Cathode Fluorescent Lamp、CCFL)が用いられている。この冷陰極管は、フィラメントを使わず、電極の構造が単純なため、管を非常に細くできる特徴があり、図6(A)符号1に示す通り、直径数ミリ程度のものが実用化されている。
【0003】
ここで、冷陰極管は、両端にかかる電圧が1000V程度となるため、両端の端子から冷陰極管外への放電を防止する必要がある。また、このような細い冷陰極管1は、外的ショックにより細かいひび割れが生じ、内部のガスが漏れやすいので、係る外的ショックから保護して寿命が短くなることを防ぐ必要がある。そこで、図6(B)に示すような、両端の端子と配線材との接続部25は、弾性体からなるランプソケット100で保護されている冷陰極管1を用いた液晶用バックライトが実用化されている。そして、そのランプソケット100の装着方法として、図6(A)に示すように、冷陰極管1と配線材6とを半田付け10により接続した後、配線材6の側から、方向21の通り、この弾性体からなるランプソケット100を配線材6に通して、接続部25を覆うようにすることが行われている。
【0004】
一方、ランプ装置、液晶用バックライト装置について、種々の文献が開示されている(特許文献1〜3参照。)。特許文献1では、最小の消費電力、最大の光利用率を有し、量産性が優れたランプ、および上下から挟み込む構造のソケットが開示されている。
【0005】
特許文献2では、着脱可能なソケットとソケットホルダを用いたバックライト装置が開示されている。
【0006】
特許文献3では、金属板ばねを用いて、冷陰極管を容易に交換可能なバックライトが開示されている。
【特許文献1】特開2002−358933号公報
【特許文献2】特開2000−149648号公報
【特許文献3】特開平7−218729号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記ランプソケット装着時に負荷がかかることにより、図6(B)に示すように、ランプソケット100を装着した状態において、細かいひび割れ101が生じ、内部のガスが漏れて規定寿命より寿命が短くなる問題があった(図6(B)右側は、ランプソケット100のみ断面図にした変則断面図を示す。)。また、端子の接続部25において、配線材6のリード線根元部分の損傷102が生じる不具合もあった。
【0008】
一方、前記文献では、前述したような、両端の端子から冷陰極管外への放電を防止しつつ、装着時の負荷を軽減する問題を解決する手段として十分でない。即ち、特許文献1では、ソケットは上下からランプを挟み込む構造であるが、ソケットが電導性であるので、冷陰極管外への放電を防止するための構造とはなっていない。
【0009】
特許文献2では、着脱可能なソケットを採用しているから、着脱時に付加がかかり、接点の確実性について半田付けよりも劣る恐れがある。
【0010】
特許文献3では、前記ひび割れには配慮されているが、前記金属板ばねが大きく露出しており、前記冷陰極管外への放電を最小限に抑えるための構造として十分でない可能性がある。
【0011】
そこで、本発明は、上述の問題に鑑み、弾性体からなるランプソケットを配線材に通して装着する際に、負荷を確実に抑えることのできるランプソケットを用いた液晶用バックライトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。
【0013】
(1)冷陰極管と、その両端それぞれに前記冷陰極管の中心軸に対し略垂直方向に接続された配線材と、前記冷陰極管と配線材との接続部を覆うランプソケットであって、外形が略L字型で、内部が中空状の、弾性体からなるランプソケットと、を備える液晶用バックライトにおいて、
前記ランプソケットは、前記冷陰極管側の穴の口元から、前記冷陰極管の中心軸方向に形成された切り込み部を設けたことを特徴とする。
【0014】
このように構成すれば、前記切り込み部を設けたことにより、前記ランプソケットを前記接続部に装着する際に、弾性体からなるランプソケットの前記冷陰極管側の穴の口元が広がるから、装着時に冷陰極管の損傷が軽減される。
【0015】
(2)前記ランプソケットの前記切り込み部は、その前記中心軸方向の長さが、前記ランプソケットの装着時に、前記接続部が露出しない長さに設定されている。
【0016】
このように構成すれば接続部は前記ランプソケットに覆われているから、金属でできている接続部から冷陰極管外へ放電することはない。
【0017】
(3)前記ランプソケットの前記切り込み部は、前記ランプソケットの装着時に、前記冷陰極管側の穴の口元であって、前記冷陰極管の中心軸からみて前記配線材が接続される方向と逆側となる位置から、前記冷陰極管の中心軸方向に設けられている。
【0018】
このように構成すれば、装着時には、前記冷陰極管の前記L字の外形は、そのLの角度が広がるように圧力がかかるから、「前記冷陰極管の中心軸からみて前記配線材が接続される方向と逆側となる位置」、即ち、L字形状の外側に前記切り込み部を入れれば、前記(1)の構成において、より効果的に、前記穴の口元が広がることができ、装着時における冷陰極管損傷がより効果的に軽減される。また、前記ランプソケットの装着が容易になり、生産効率が向上する。
【0019】
(4)前記ランプソケットの前記切り込み部は、スリット形状、または前記冷陰極管側の穴の口元を底辺とする略3角形に形成されている。
【0020】
前記切り込み部は、スリット形状や、前記3角形に構成できる。このように構成すれば、前記切り込み部の形成が容易になる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、前記切り込み部を設けたことにより、前記ランプソケットを前記接続部に装着する際に、弾性体からなるランプソケットの前記冷陰極管側の穴の口元が広がるから、装着時に冷陰極管の損傷が軽減される。また、前記ランプソケットの装着が容易になり、生産効率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1を用いて、本実施形態のバックライトに係る冷陰極管について説明する。図1(A)は、冷陰極管の変則断面図である。まず、図1(A)を用いて冷陰極管1の構造について説明する。冷陰極管1は、図示の通り全長約50mm、直径2mm程度の、中心軸11を中心とする円柱状のものであり、内周に蛍光塗料が塗布されガスが注入されたガラス管3と、その内部両側に挿入された電極2と、電極2に接続される引き出し電極5とを有している。そして、本実施形態では、絶縁体でできた保護キャップ4を引き出し電極5に被せている。冷陰極管1の機能は、両端の引き出し電極5に約1000V程度の電圧を加えることにより、両端の電極2の間で冷陰極管内で電子が放電し、ガラス管3が光ることである。
【0023】
なお、本実施形態のバックライトに使用できる冷陰極管1としては、全長約50mm、直径2mm程度のものに限られず、全長、直径ともに異なるものであっても良い。また、中心軸11は、本発明の「冷陰極管の中心軸」に相当する。
【0024】
次に図1(B)、(C)を用いて、冷陰極管1に接続する配線材とその接続方法について説明する。図1(B)に示す通り、配線材6は、リード線9と、それを保護する配線皮膜7と、先端が配線皮膜7を剥いたリード線9の先に半田付けがされている直径2mm程度のリング8を有している。図1(C)に示す通り、冷陰極管1と配線材6との接続は、冷陰極管1の引き出し電極5に配線材6のリング8を被せてリング8の外側と内側に半田付け10をすることにより行う。
【0025】
次に、図2を用いて、本実施形態に係るランプソケットについて説明する。図2(A)は、ランプソケットの平面図、図2(B)は図2(A)のA−A断面図、図2(C)は底面図を示す。図2に示す通り、外形が略L字型で、内部が中空状の形状をしている。そして、図示しないが、ランプソケット20は、ゴム等の弾性体であって、絶縁体の素材でできている。図2(B)に示す左側の冷陰極管側の穴26は、冷陰極管1(図1参照。)より若干小さい直径の円筒形の形状をしており、冷陰極管1を覆う。図2(A)(B)に示す通り、冷陰極管側の穴26の口元には、2mm程度のスリット状に形成された切り込み部23が設けられている。一方、図2(C)に示す通り、底面には配線材6を通す直径1.4mmの円筒形の配線材側の穴27が開いている。さらに、図2(A)、(C)に示す通りボス22が突き出ており、液晶用バックライト本体に固定できるようになっている(図5の説明で後述する。)。
【0026】
なお、図2(B)に示す通り、冷陰極管側の穴26の口元の切り込み部23は、冷陰極管の中心軸11(図1(A)参照。)と略同軸となる冷陰極管側の穴の中心軸28からみて、配線材側の穴27の入り口が存在する方向と逆側の位置に配置されている。この位置は本発明の「配線材が接続される方向と逆側となる位置」に相当する。
【0027】
図2に示したランプソケット20の機能は、前述の通り、冷陰極管1に加えられる1000Vの電圧によって、冷陰極管1の管外に放電することを防ぐことである。また、細い冷陰極管1は、外的ショックにより細かいひび割れが生じることにより内部のガスが漏れやすいので、係る外的ショックから保護して規定寿命より寿命が短くなることを防ぐ機能もある。
【0028】
なお、図2では、スリット形状の切り込み部23を入れたが、切り込み部23はスリット上でなくとも、例えば、図3に示すように、冷陰極管側の穴26の口元を底辺とする略3角形の形状でも良い。
【0029】
次に、図4に本実施形態の液晶用バックライトに係るランプソケット20の装着方法を表した図および装着した状態を表す図を示す。図4(A)に示すように、ランプソケット20を配線材6の側から通して、方向21の通り、接続部25を覆うように、ランプソケット20を被せる。図2の通り、切り込み部23を入れたことにより、装着時に切り込み部23の部分が広がり、無理なくランプソケット20を被せることができる。したがって、図6に示したような、ひび割れ101やリード線根元部分の損傷102を抑えることができるので、規定寿命より寿命が短くなることを防ぐことができる。また、ランプソケット20の組み付けにおいて、生産効率も向上する。
【0030】
図4(B)に示すように、ランプソケット20を装着した状態では、ランプソケット20は接続部25を覆うことができる。図4(B)上段のB−B矢視図に示す通り、ランプソケット20の装着時には、弾性体であるランプソケット20は冷陰極管1に被せたことにより膨張して、切り込み部23は、開いた3角形の状態になる。この切り込み部23は、中心軸11方向の長さを、装着時に接続部25が露出しないような長さに設定する。前述の通り、接続部25からの放電を防ぐ必要があるからである。
【0031】
図4(B)下段の図は、図4(B)上段の図の変則C−C断面図(ランプソケット20のみ断面図となっている。)である。図4(B)下段の図の通り、ランプソケット20は、接続部25を覆っている。この図の通り、ランプソケット20の冷陰極管側の穴26は冷陰極管1に被せるものであり、配線材側の穴27には、配線材6が通っている。
【0032】
図5に、本実施形態の液晶用バックライトの構成例を示す。液晶用バックライト本体30には、取り付け部31にボス22をはめることにより、複数本の冷陰極管1を固定できる。冷陰極管1に所定の電圧を加えることにより、図外の液晶表面を照らして、小型の液晶表示部、例えば設定メニュー等を表示するための小型の液晶表示部を構成できる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本実施形態に係る冷陰極管と、この両端を接続する配線材と、配線材が接続された状態を示す。
【図2】本実施形態の液晶用バックライトに係るランプソケットを示す。
【図3】本実施形態の液晶用バックライトに係るランプソケットのスリット形状の一例を示す。
【図4】本実施形態の液晶用バックライトに係るランプソケットの装着方法を表した図および装着した状態を表す図を示す。
【図5】本実施形態の液晶用バックライトの構成例を示す。
【図6】従来構成の液晶用バックライトに係るランプソケットの装着方法を表した図とランプソケットを装着した状態を表す図を示す。
【符号の説明】
【0034】
1−冷陰極管
2−電極
3−ガラス管
4−保護キャップ
5−引き出し電極
6−配線材
7−配線皮膜
8−リング
9−リード線
10−半田付け
11−中心軸
20−ランプソケット
21−方向
22−ボス
23−切り込み部
25−接続部
26−冷陰極管側の穴
27−配線材側の穴
28ー冷陰極管側の穴の中心軸
30−液晶用バックライト本体
31−取り付け部
100−ランプソケット
101−ひび割れ
102−リード線根元部分の損傷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷陰極管と、その両端それぞれに前記冷陰極管の中心軸に対し略垂直方向に接続された配線材と、前記冷陰極管と配線材との接続部を覆うランプソケットであって、外形が略L字型で、内部が中空状の、弾性体からなるランプソケットと、を備える液晶用バックライトにおいて、
前記ランプソケットは、前記ランプソケットの装着時に前記冷陰極管側の穴の口元であって、前記冷陰極管の中心軸からみて前記配線材が接続される方向と逆側となる位置から、前記冷陰極管の中心軸方向に、スリット形状、または前記冷陰極管側の穴の口元を底辺とする略3角形に形成された切り込み部を設け、
前記切り込み部は、その前記中心軸方向の長さが、前記ランプソケットの装着時に、前記接続部が露出しない長さに設定されている液晶用バックライト。
【請求項2】
冷陰極管と、その両端それぞれに前記冷陰極管の中心軸に対し略垂直方向に接続された配線材と、前記冷陰極管と配線材との接続部を覆うランプソケットであって、外形が略L字型で、内部が中空状の、弾性体からなるランプソケットと、を備える液晶用バックライトにおいて、
前記ランプソケットは、前記冷陰極管側の穴の口元から、前記冷陰極管の中心軸方向に形成された切り込み部を設けたことを特徴とする液晶用バックライト。
【請求項3】
前記ランプソケットの前記切り込み部は、その前記中心軸方向の長さが、前記ランプソケットの装着時に、前記接続部が露出しない長さに設定されている請求項2記載の液晶用バックライト。
【請求項4】
前記ランプソケットの前記切り込み部は、前記ランプソケットの装着時に、前記冷陰極管側の穴の口元であって、前記冷陰極管の中心軸からみて前記配線材が接続される方向と逆側となる位置から、前記冷陰極管の中心軸方向に設けられている請求項2または3のいずれかに記載の液晶用バックライト。
【請求項5】
前記ランプソケットの前記切り込み部は、スリット形状、または前記冷陰極管側の穴の口元を底辺とする略3角形に形成されている請求項2〜4のいずれかに記載の液晶用バックライト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−318841(P2006−318841A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−142361(P2005−142361)
【出願日】平成17年5月16日(2005.5.16)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】