説明

液晶表示照明装置

【課題】ライトガイドを、ファインダユニットとして構成でき、しかも、小型化が図れるようにする。
【解決手段】光ガイド装置40は、照明用のLED301から表示パネル10に光を導く装置であり、ライトガイド401,402を備えており、このライトガイド401,402は、光源の光を表示パネル10の表示面に直交する方向に導く導光部と、表示パネルの入射部に光を出射する射出部401d,402dと、導光部で導かれた光を出射部に反射する反射部401c,402cとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的な像の上に必要な情報を重ね合わせて表示させることのできる透過型の液晶パネルを照明する液晶表示照明装置に関し、特に、カメラのファインダ装置のスーパーインポーズ表示等に好適に使用できる液晶表示照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルは、光学的な像の上に必要な情報を重ね合わせて表示させることのできる透過型の表示装置であり、例えば、高分子分散型液晶を用いたものがカメラのファインダ装置に用いられている。この液晶パネルは、2枚の透明電極付き透明基板間に、高分子分散型液晶を封入した液晶層を有する複数の表示セグメントからなるパネルである。この高分子分散型液晶は、その液晶層にかける電界を制御することによって、光を透過する透過状態と、光を拡散する拡散状態の2つのモードを使い分けて表示するものである。
【0003】
この液晶パネルを駆動すると、電界をかけた表示セグメントは、光を透過させ、電界をかけていない表示セグメントは、光を拡散(散乱)させる。これにより、外景などの光学的な像が明るいときには、表示セグメントが暗く見え、一方、像が暗いときには、液晶層を照明することによって、表示セグメントが明るく見えるようにすることができる。
【0004】
一方、ペンタプリズムと焦点板との間にゲストホスト型液晶表示板を配置するファインダ装置の構造が特許文献1に開示されている。この公報には、ファインダ画像に重ねて表示を行う表示体を、ファインダ光学系の光路中に設けるカメラのファインダ装置において、上記表示体を保持する第一支持体と、上記第一支持体と結合するとともに、ペンタプリズムを保持する第二支持体とを備え、第一支持体及び第二支持体は、結合状態で互いの間のスペースに、表示体を保持する構造が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平4−345150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記公報の構造を利用して、高分子分散型液晶の表示パネルを照明するための装置を配置しようすると、第一支持体の外に照明装置が飛び出してしまう。第一支持体は、カメラの前ボディに保持されるのが通常であるので、照明装置がカメラの前ボディと干渉してしまって、組み込みが困難となる。
【0007】
この問題を解決するために、組み込み順序の工夫により、カメラの前ボディへ第一支持体を組み込んだ後に、照明装置を組み込むことも考えられるが、照明装置がファインダユニットと一体でなくなるために、組立性の観点から好ましくない。
【0008】
本発明の目的は、上記課題を解決して、小型でファインダユニットと一体化が可能な液晶表示照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、請求項1の発明は、光を拡散する拡散状態と光を透過する透過状態とを切り替える液晶層を封入した複数の表示セグメントを有する表示パネルと、前記表示パネルの複数の表示セグメントのうちの少なくとも1つの表示セグメントを選択する選択部と、前記選択部により選択された表示セグメントを前記拡散状態にするとともに、選択されていない表示セグメントを前記透過状態に駆動する駆動回路と、前記表示パネルを照明する光を発光部から発生する光源と、前記光源からの光をガイドする光ガイド部材を有し、前記光源からの光を前記液晶パネルに導く光ガイド装置と、を備える液晶表示照明装置において、前記光ガイド部材は、前記光源の光を前記表示パネルの表示面に直交する方向に導く導光部と、前記表示パネルの入射部に光を出射する射出部と、前記導光部で導かれた光を前記出射部に反射する反射部とを備えたこと、を特徴とする液晶表示照明装置である。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の液晶表示照明装置において、前記光ガイド部材は、前記導光部の光の進行方向の両端面が放物線面形状であること、を特徴とする液晶表示照明装置である。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1に記載の液晶表示照明装置において、前記光ガイド部材は、前記射出部が前記表示パネルの厚さと略同一の寸法であること、を特徴とする液晶表示照明装置である。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1に記載の液晶表示照明装置において、前記表示パネルは、その入射部の端面に電極が設けられ、前記光ガイド部材は、前記出射部の実質的な光を射出する範囲が、前記表示パネルの電極と回路基板とを接続する電導部材により制限されること、を特徴とする液晶表示照明装置である。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1に記載の液晶表示照明装置において、前記表示パネルは、光学的な像を結像するレンズ光軸に平行に配置されており、その入射部は、前記光ガイド部材の出射部から射出した光を、前記レンズ光軸と平行な方向の端面から入射すること、を特徴とする液晶表示照明装置である。
請求項6の発明は、請求項1に記載の液晶表示照明装置において、前記表示パネルは、光学的な像を結像するレンズ光軸に平行に配置されており、前記光ガイド部材は、前記表示パネルの前記レンズ光軸と平行な方向の端面の近傍に配置されること、を特徴とする液晶表示照明装置である。
請求項7の発明は、請求項1に記載の液晶表示照明装置において、前記表示パネルは、光の入射しない端面に遮光部が形成されていること、を特徴とする液晶表示照明装置である。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、表示パネルのセグメントを照明する装置において、光源からの光を案内するライトガイド部材に反射面を設けて、光源からの光を反射面で反射させて、表示パネルの端面から入射させるようにしたので、ライトガイドを、ファインダユニットとして構成でき、しかも、小型化が図れる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態による液晶表示照明装置を組み込んだ一眼レフカメラの構造を概念的に説明する図である。
【図2】本実施形態による一眼レフカメラを示す斜視図である。
【図3】本実施形態による一眼レフカメラのペンタプリズムを光軸に直交する面でそのほぼ中央を切断した斜視図である。
【図4】図1の光源30からの光を表示パネル10の端面10aに導く光ガイド装置40とその保持構造を示す斜視図である。
【図5】ペンタプリズム5を光軸に直交する面でそのほぼ中央を切断して示す断面図である。
【図6】図5におけるライトガイド401周辺の拡大図である。
【図7】図5におけるライトガイド402周辺の拡大図である。
【図8】本実施形態による液晶表示照明装置のセレクタ50を示す図である。
【図9】図8に示したフォーカスエリアセレクタ501によって、中央のセグメント101が選択された状態を示したものである。
【図10】本実施形態による液晶表示照明装置のCPU8の動作(メインルーチン)を示すフローチャートである。
【図11】本実施形態による液晶表示照明装置のCPU8の動作(選択エリア判定のサブルーチン)を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面などを参照しながら、本発明の実施の形態をあげて、さらに詳しく説明する。図1は、本発明の実施形態による液晶表示照明装置を組み込んだ一眼レフカメラの構造を概念的に説明する図である。このカメラ1は、図1に示すように、被写体の像をフィルム上に結像させる撮影レンズ2と、撮影レンズ2からの光路を切り換える光跳ね上げ式の反射ミラー3と、フィルムに共役な面に配置されるスクリーン4と、このスクリーン4に近接して配置される高分子分散型液晶の表示パネル10と、スクリーン4及び表示パネル10を透過した光を観察のために曲げるペンタプリズム5と、スクリーン4上に投影された像を観察する接眼レンズ6等とを備えている。ここで、表示パネル10は、ホルダ20により保持されてカメラに固定されている。
【0017】
また、このカメラ1は、表示装置として、表示パネル10のほかに、LED等からなる光源30と、光源30からの光を表示パネル10の端面10aに導く光ガイド装置40と、表示パネル10を駆動する駆動回路7と、CPU8と、表示パネル10のセグメントを選択するためのセレクタ50等とを備えている。
【0018】
表示パネル10は、後述する図4に示すように、セグメント101〜105の5つのセグメントを備え、セレクタ50により、セグメント101〜105の1つが選択される。また、表示パネル10は、セグメント101〜105以外のバックグランド(背景領域、すなわち、大半の面積を占め、スクリーン4上に投影された像をそのまま透過させる部分)にもセグメントであり、常時、透明となるように駆動されている。なお、表示パネル10上では、実際に接眼レンズ6を通して観察する場合に対して、ペンタプリズム5で左右反転していないので、左セグメント104と右セグメント105の位置は反転している。
【0019】
セレクタ50は、例えば、図8に示すように、4つのスイッチ51〜54から構成されて、上下左右4方向に押し込まれたことを検出するフォーカスエリアセレクタ501を使用することができる。図9は、図8に示したフォーカスエリアセレクタ501によって、中央のセグメント101が選択された状態を示したものである。
【0020】
CPU8は、図示を省略するAE装置やAF装置等からの信号に基づいて、カメラ1の動作を統括的に制御する中央処理装置であり、この実施形態では、さらに、セレクタ50からの信号に基づいて、駆動回路7を介して、表示パネル10の表示状態を制御する。駆動回路7は、CPU8からの指示に基づいて動作する回路である。
【0021】
図1に示すカメラ1は、以上説明した構成のように、表示パネル10をスクリーン4に近接して配置したので、撮影レンズ2によってスクリーン4に結像した像光は、この表示パネル10のバックグランド(背景領域)をそのまま通過する。また、表示パネル10のバックグランド以外の部分(つまり、表示セグメント101から105の部分)のいずれかが拡散状態になったときは、この部分に入射する光は拡散され、全ての方向に散乱されることから、目の方向に進む光は、ごく一部となる。したがって、この部分の光量が下がって表示される部分がバックグランドに比べて暗くなる。つまり、この表示パネル10によって、背景と表示パターンとが、光学的にスーパーインポーズされることになる。
【0022】
また、スクリーン4に十分な光が到達しない場合には、光源30を点灯して、表示パネル10の端面10aから適当な光量の照明光を入射させることにより、暗い背景中に明るい表示パターンをスーパーインポーズして表示させることができる。この場合には、表示されるセグメント(セグメント101から105のいずれか)の部分で光が拡散されるので、照明光の一部が観測者の目の方向にも拡散されることになり、表示されるセグメントが明るく見える。ただし、被写体の輝度が十分に明るい場合には、光源30を点灯して照明光を表示パネル10の端面10aから入射させても、照明光が被写体の輝度と比較して暗すぎるために、明るい表示パターンとはならずに、明るい背景に暗い表示パターンがスーパーインポーズされる。
【0023】
図2は、本実施形態による一眼レフカメラ1を示す斜視図、図3は、ペンタプリズム5を光軸に直交する面でそのほぼ中央を切断した斜視図である。ペンタプリズム5の右側には、不図示のパトローネを装填する後ボディ1000のパトローネ室1001が配置され、左側には、ミラー駆動機構や内蔵ストロボ用の電装基板やコンデンサやDC−DCコンバータ等の内蔵部品4000が配置される。前ボディ2000は、撮影レンズ2の鏡筒後端に配設される不図示のレンズマウントと結合するバヨネットマウント3000や、後述するファインダユニットを装着する部分である。
【0024】
次に、本実施形態によるファインダユニットと一体化した液晶表示照明装置の細部の構造を説明する。図4は、図1の光源30からの光を表示パネル10の端面10aに導く光ガイド装置40とその保持構造を示す斜視図、図5は、ペンタプリズム5を光軸に直交する面でそのほぼ中央を切断して示す断面図、図6は、図5におけるライトガイド401周辺の拡大図、図7は、図5におけるライトガイド402周辺の拡大図である。なお、図1〜図7においては、同一の部材には同一の番号を付している。
【0025】
図1に示したホルダ20は、図4,5に示すように、下ホルダ201と上ホルダ202の2部材から構成され、表示パネル10を挟み込んで保持している。上下ホルダ201,202の間に表示パネル10が確実に挟み込まれて固定されるように、押しつけ部材203(図5,図6,図7)が上ホルダ202と表示パネル10との間に挿入されている。この押しつけ部材203は、ゴムやネオプレン(登録商標)スポンジや植毛紙のような弾性体からなり、表示パネル10の上下方向の位置を固定するとともに、その表示平面方向の位置も動かないように固定する。下ホルダ201と上ホルダ202とは、ほぼ箱形状をしており、上ホルダ202が下ホルダ201内に入り込めるようになっている。
【0026】
図1に示した表示パネル10は、上ガラス106と下ガラス107から構成され、この上下2つのガラス106,107の間に、液晶材を封入して表示を行うように構成している。さらに、下ガラス107には、図4に示すように、複数の電極107aが配置されており、その部分は、上ガラス106が短くなっている。そして、これらの電極107aは、表示パネル10のセグメント101から105及びバックグランドに接続されて、これらのセグメントの表示状態を制御する電力を供給する。
【0027】
図1に示した光ガイド装置40は、左右2つのライトガイド401,402から構成されており、表示パネル10の撮影レンズ2の光軸と平行な方向の端面の近傍に配置されている。従って、ライトガイド401,402の出射面401d,402dから出射した光は、表示パネル10の撮影レンズ2の光軸と平行な方向の端面から入射される。ライトガイド401は、透明のポリカーボネートやアクリルからなり、導光部の両端面に相当する光の反射する端面401a,401bは放物線面形状となっている。反射面401cは、アルミニウムや銀等の反射率の高い金属で蒸着されるのが好ましいが、ライトガイド401の屈折率の値がポリカーボネートのように比較的大きい材料では、平行光に近い光束は反射しやすいので、費用対効果を考慮すると、必ずしも蒸着を必要としない。
【0028】
なお、この反射面401cを設けたために、ライトガイド401が下ホルダ201の横方向の幅寸法内に収まっている。この反射面401cがないと、図5の反射面401cより上側の寸法分だけライトガイド401が反射面401cから図5の左側に突出するので、下ホルダ201から突出してしまう。また、ライトガイド401には、図4に示すように、入射光の射出面401dが形成されている。この射出面401dの部分のライトガイド401の厚さは、表示パネル10の厚さとほぼ同一となっている。
【0029】
ライトガイド402は、ライトガイド401と同様に、透明のポリカーボネートやアクリルからなり、導光部の両端面に相当する光の反射する端面402a,402bは放物線面形状となっている。反射面402cは、アルミニウムや銀等の反射率の高い金属で蒸着されるのが好ましいが、ライトガイド402の屈折率の値がポリカーボネートのように比較的大きい材料では平行光に近い光束は反射しやすいので、費用対効果を考慮すると、必ずしも蒸着を必要としない。
【0030】
なお、この反射面402cを設けたために、ライトガイド402が下ホルダ201の横方向寸法内に収まっている。この反射面402cがないと、図5の反射面402cより上側の寸法分だけライトガイド402が反射面402cから図5の右側に突出するので、下ホルダ201から突出してしまう。なお、402dは入射光の射出面である。
【0031】
また、ライトガイド402には、図5,図7に示すように、射出面402dの部分が反射面402cの図5,図7の上下方向の長さとほぼ同一となっている。ただし、後述のように、ゼブラゴム110を用いて下ガラス107の電極107aとフレキシブルプリント板120との接続を可能とするために、ゼブラゴム110を配置する部分の上ガラス106を切り欠いている。こうした構造のために、ライトガイド402の射出面402dの実質的な射出部分の寸法は、表示パネル10の下ガラス107の厚さとほぼ同一となる。
【0032】
図1に示した光源30は、2個のLED301とその駆動回路(不図示)とから構成されている。そして、この2個のLED301は、その発光部分がライトガイド401,402のそれぞれの放物線面形状401a,b、402a,bの焦点位置となるように、それぞれの切り欠き部401e,402e(図5)に入り込むような配置となるように、フレキシブルプリント板120に実装されている(図6,図7)。
【0033】
このように、2個のLED301の発光部分がライトガイド401,402のそれぞれの放物線面形状401a,b、402a,bの焦点位置となるように、それぞれの切り欠き部401e,402eに入り込むよう配置されると、放物線面鏡の原理に基づいて、LED光は、それぞれのライトガイド401,402の端面401d,402dに垂直な平行光となって出力される。そのため、放物線面鏡の原理に基づいた均一な明るい光がライトガイド401,402の端面401d,402dから出力されることになる。したがって、ライトガイド401,402に対して、それぞれ1個ずつのLEDを配置するだけで、ライトガイド401,402の端面401d,402dの実質的な幅、すなわちライトガイド401では、表示パネル10の厚さ、ライトガイド402では、下ガラス107の厚さの範囲内で明るく均一な照明ができる。このため、フォーカスエリア101〜105のいずれに対しても、明るく均一な照明をすることができる。
【0034】
なお、ライトガイド402の射出面402dの実質的な射出寸法は、ライトガイド401の射出面401dの射出寸法の約1/2となる。このため、表示パネル10に入射するLED光の量は、LED光がライトガイド内に入射する部分の寸法で決定されるが、寸法大のほうが寸法小よりも多くなる。しかし、本発明のように、ライトガイド401,402の光の反射する端面401a,b、402a,bが放物線面形状となっていると、放物線面鏡の原理により、ライトガイド401,402の射出面401d,402dの実質的な射出部から出てくる光は、遠くまで到達するので、若干の光量の差は、セグメント101〜105の照明される明るさにはほとんど影響しない。また、同様の理由で、2個のLED301の輝度差が数倍程度あっても、セグメント101〜105の照明される明るさにはほとんど影響しない。
【0035】
一方、液晶層内にLED光が入射したときに、液晶層内の透明部であっても、若干の散乱度を有するので、LED光が液晶層の透明部を通過すると、背景が暗い場合には、透明部がLED光により光ってしまう。そこで、表示パネル10の端面10aと、ライトガイド401との間に、図5,図6に示すように、偏光板91を挿入して、液晶層の透明部でLEDの光が表示パネル10の表示面へ出て行きにくい構造としている。これにより、表示パネル10の透明部が光ってしまう現象が大幅に低減される。
【0036】
なお、偏光板91の挿入により、2個のLED301の光量は低下してしまうが、上述したように、ライトガイド401の反射面401a,401bが放物線面となって、LED301の光量が有効に使われるために、偏光板91の挿入による光量低下の影響はない。
【0037】
また、ライトガイド401,402の射出面401d,402dの実質的な射出部の厚さの差がセグメント101〜105の照明される明るさに、若干の影響があるために、ライトガイド402と表示パネル10との間には、偏光板92を挿入していない。このため、ライトガイド402から出力されるLED光は、減衰せずに表示パネル10内に入射する。一方、ライトガイド401側から出力される大光量が減衰した光量とより近づいて、セグメント101〜105の照明される明るさは、ほぼ均一の明るさになる。
【0038】
さらに、表示パネル10の別の2箇所の端面10b(図4)には、黒色の墨み塗り(遮光部)がなされている。これにより、LED301の光が液晶層での散乱により、表示パネル10の端面10bに到達しても、ここで反射されずに吸収されるので、やはり表示パネル10の透明部が光ってしまう現象が大幅に低減される。
【0039】
表示パネル10の下ガラス107には、電極107aが設けられており、セグメント101〜105の透明状態と拡散状態との切替、及び、セグメント101〜105以外のバックグランドの透明状態の保持のために、図1のCPU8へ接続するためにゼブラゴム110を介して、電極107aとフレキシブルプリント板120と電気的に接続されているる。さらに、2個のLED301も不図示の駆動回路とから光源30を構成し、図1のCPU8へフレキシブルプリント基板120を介して電気的に接続されている。以上のように構成されたファインダユニットは、前ボディ2000に、はめ込まれて、不図示のネジで固定される。
【0040】
次に、本実施形態による液晶表示照明装置の動作について簡単に説明する。図10,11は、本実施形態による液晶表示照明装置のCPU8の動作を示すフローチャートである。電池が装填されると動作を開始しS1が実行される。S1では、パラメータAに0を入れる。このパラメータAは、選択されたセグメントを示すものであり、0が中央、1が右、2が左、3が上、4が下を示す。前述したように、カメラに電池を最初に装填したときには、駆動回路7は、中央セグメント101を拡散状態とするためにパラメータAに0を入れる。
【0041】
S2では、フォーカスエリアセレクタ501が上下左右のいずれの方向に押されたかを判定する。詳細は、図11を用いて説明する。図11において、S201では、フラグFに1を入れる。このフラグFは、フォーカスエリアセレクタ501が上下左右のいずれの方向にも押されない場合に0が入れられ、フォーカスエリアセレクタ501が操作されたか否かを示すものである。
【0042】
S202〜S208では、スイッチ51が押された場合に、その前にどのセグメントが拡散状態であったかにより、次にどのセグメントを拡散状態にするかを決定する。現状で中央、上、下のセグメントのいずれかが拡散状態の場合(Aが0又は3又は4)には、右のセグメントが拡散状態になるように、Aに1を入れる。現状で左のセグメントが拡散状態の場合(A=2)には、中央のセグメントが拡散状態になるように、Aに0を入れる。現状で右のセグメントが拡散状態の場合(A=1)には、右セグメントの拡散状態を保持すればよいので、パラメータAの値を変更しない。
【0043】
S209〜S215では、上記と同様に、左側への変更処理を行なう。S216〜S222では、上記と同様に、上側への変更処理を行なう。S223〜S229では、上記と同様に、下側への変更処理を行なう。
【0044】
S230では、スイッチ51〜54のいずれも押されず、フォーカスエリアセレクタ501が操作されない場合には、フラグFに0を入れる。以上を終了すると、図10のS3へ戻る。
【0045】
図10において、S3では、フラグFの判定を行なう。F=0の場合は、フォーカスエリアセレクタ501が操作されていないのでS2へ戻る。F=1の場合は、フォーカスエリアセレクタ501が操作されたのでS4へ進む。
【0046】
S4では、上述したS2によって選択されたセグメントを、表示パネル10に拡散状態で表示するように駆動回路7に、更新信号を出力する。これを受けた駆動回路7は、表示パネル10上の現在拡散状態のセグメントを、透過状態にするとともに、選択セグメントを拡散状態にする信号を出力する。
【0047】
S5では、光源30の不図示の駆動回路により、2個のLED301を所定時間(約300msec)だけ発光して、表示パネル10の拡散状態のセグメントを明るく照明して、前述したS2へ戻る。
【0048】
以上説明したように、本実施形態によれば、照明用のLED301から表示パネル10に光を導く光ガイド装置40に、ライトガイド401,402を備えている。このライトガイド401,402は、その反射面401a,402aが放物線面形状をしており、ほぼその焦点位置401b,402bに、LED301が配置されている。このため、表示パネル10によって選択された拡散状態のセグメントがいずれの位置であっても、明るく均一に照明することができる。
【0049】
また、ライトガイド401,402のそれぞれに反射面401c,402cを設けて光学系を折り曲げている。このため、下ホルダ201の横幅内に、ライトガイド401,402を配置でき、しかも、ファインダユニットとして組み込むことができた。もし、ライトガイド401,402の反射面401c,402cを設けない場合には、それを伸ばした場合と同じだけの光路長が必要となるので、それだけ横方向に突出するため、下ホルダ201からその横部分の厚さを減少した寸法だけそれぞれ左右に突出してしまうことになる。これでは、前ボディ2000の横方向の寸法よりも大となるので、カメラの横方向の寸法が大きくなってしまい、カメラが大型化するだけでなく、ファインダユニットとして前ボディ2000に上方向から挿入すらできなくなって組み込み性も悪くなってしまうことになる。
【0050】
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。本実施形態では、ライトガイドの形状が放物線面となっていたが、これに限定することなく、ライトガイド内の光が放物線面で反射されるようになっていれば、上述した効果が発揮される。
【0051】
また、表示パネル10用の液晶として、高分子分散型液晶を例としたが、これに限らず、光散乱タイプの液晶であればよく、例えば、最近実用化されたポリマーネットワーク型液晶であってもよい。
【符号の説明】
【0052】
1 カメラ,2 撮影レンズ,3 反射ミラー,4 スクリーン,5 ペンタプリズム,6 接眼レンズ,7 駆動回路,8 CPU,9 測光素子,10 表示パネル,20 ホルダ,30 光源,40 光ガイド装置,50 セレクタ,51〜54 スイッチ,91 偏光板,101〜105 セグメント,106 上ガラス,107 下ガラス,107a 電極,301 LED,401,402 ライトガイド,401a,402a 端面,401b,402b 焦点位置,401c,402c 端面,401d,402d 反射面,110 ゼブラゴム,120 フレキシブルプリント板,501 フォーカスエリアセレクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を拡散する拡散状態と光を透過する透過状態とを切り替える液晶層を封入した複数の表示セグメントを有する表示パネルと、
前記表示パネルの複数の表示セグメントのうちの少なくとも1つの表示セグメントを選択する選択部と、
前記選択部により選択された表示セグメントを前記拡散状態にするとともに、選択されていない表示セグメントを前記透過状態に駆動する駆動回路と、
前記表示パネルを照明する光を発光部から発生する光源と、
前記光源からの光をガイドする光ガイド部材を有し、前記光源からの光を前記液晶パネルに導く光ガイド装置と、
を備える液晶表示照明装置において、
前記光ガイド部材は、前記光源の光を前記表示パネルの表示面に直交する方向に導く導光部と、
前記表示パネルの入射部に光を出射する射出部と、
前記導光部で導かれた光を前記出射部に反射する反射部とを備えたこと、
を特徴とする液晶表示照明装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液晶表示照明装置において、
前記光ガイド部材は、前記導光部の光の進行方向の両端面が放物線面形状であること、
を特徴とする液晶表示照明装置。
【請求項3】
請求項1に記載の液晶表示照明装置において、
前記光ガイド部材は、前記射出部が前記表示パネルの厚さと略同一の寸法であること、
を特徴とする液晶表示照明装置。
【請求項4】
請求項1に記載の液晶表示照明装置において、
前記表示パネルは、その入射部の端面に電極が設けられ、
前記光ガイド部材は、前記出射部の実質的な光を射出する範囲が、前記表示パネルの電極と回路基板とを接続する電導部材により制限されること、
を特徴とする液晶表示照明装置。
【請求項5】
請求項1に記載の液晶表示照明装置において、
前記表示パネルは、光学的な像を結像するレンズ光軸に平行に配置されており、その入射部は、前記光ガイド部材の出射部から射出した光を、前記レンズ光軸と平行な方向の端面から入射すること、
を特徴とする液晶表示照明装置。
【請求項6】
請求項1に記載の液晶表示照明装置において、
前記表示パネルは、光学的な像を結像するレンズ光軸に平行に配置されており、前記光ガイド部材は、前記表示パネルの前記レンズ光軸と平行な方向の端面の近傍に配置されること、
を特徴とする液晶表示照明装置。
【請求項7】
請求項1に記載の液晶表示照明装置において、
前記表示パネルは、光の入射しない端面に遮光部が形成されていること、
を特徴とする液晶表示照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−14544(P2011−14544A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188189(P2010−188189)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【分割の表示】特願2000−119060(P2000−119060)の分割
【原出願日】平成12年4月20日(2000.4.20)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】