説明

液晶表示装置の製造方法およびインクジェット塗布装置

【課題】 スペーサ粒子によるムラを効果的に防止することが可能な液晶表示装置の製造方法およびインクジェット塗布装置を提供する。
【解決手段】 透明基板1間に、通常のスペーサ粒子111以外に、直径の大きなスペーサ粒子112、直径の小さなスペーサ粒子113、弾性の大きなスペーサ粒子114、弾性の小さなスペーサ粒子115などが配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、基板間にスペーサ粒子を介在させることにより液晶層封入用のギャップを形成する液晶表示装置の製造方法およびインクジェット塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、2枚の基板の間に、透明電極、カラーフィルターおよびブラックマトリックスが配置され、さらに透明電極間の空間に液晶が封入された構成を有する。このときに、2枚の基板の間隔を規制し、液晶層の厚みを適正にするために、スペーサが形成される。
【0003】
従来、このスペーサは、フォトリソ法を利用して形成されていたが、マスクを使用した工程が必要となり作業工程が煩雑となるばかりではなく、材料の使用効率が悪いという問題がある。このため、基板にインクジェット方式でスペーサ粒子を分散させたスペーサ粒子分散液を吐出することにより、スペーサ粒子でスペーサを形成する液晶表示装置の製造方法が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−4094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような液晶表示装置の製造方法においては、インクジェット塗布装置が使用される。すなわち、多数のインク吐出口を備えたインクジェットヘッドを複数個列設したインクジェットヘッドユニットを、液晶表示装置用の透明基板に対して相対移動させ、それらのインクジェットヘッドから透明基板にスペーサ粒子を分散させたスペーサ粒子分散液を吐出させることにより、透明基板の表面にスペーサ粒子を含むスペーサ領域を形成している。
【0006】
ところで、このようなインクジェット塗布装置においては、各インクジェットヘッドの吐出口から吐出されるスペーサ粒子分散液の液滴量や吐出速度には微妙なバラツキが生ずる。そして、このバラツキが再現性よく繰り返されることから、透明基板間のギャップに規則性のあるバラツキが生じ、最終的に製造された液晶表示装置に、目視により確認されるスペーサ粒子による規則性のあるムラが生じるという問題がある。
【0007】
この発明は上記課題を解決するためになされたものであり、スペーサ粒子によるムラを効果的に防止することが可能な液晶表示装置の製造方法およびインクジェット塗布装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、基板上にインクジェット方式によりスペーサ粒子を分散させたスペーサ粒子分散液を吐出してスペーサ粒子を含むスペーサ領域を形成した後、この基板を乾燥させてスペーサ粒子分散液から揮発成分を蒸発させるとともに、前記スペーサ領域のスペーサ粒子と基板を固着させることにより、基板間にスペーサ粒子を介在させて液晶層封入用のギャップを形成する液晶表示装置の製造方法であって、前記スペーサ粒子分散液が、直径の異なる複数種のスペーサ粒子を有することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記スペーサ粒子分散液は、前記ギャップ形成のための通常直径のスペーサ粒子と、前記通常直径のスペーサ粒子の直径との差が0.2μm以内の平均直径を有する2種以上のスペーサ粒子との、3種以上のスペーサ粒子を有する。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、前記スペーサ粒子分散液は、前記ギャップ形成のための通常直径のスペーサ粒子の割合を45%乃至60%とし、前記通常直径のスペーサ粒子の直径との差が0.2μm以内の平均直径を有する2種以上のスペーサ粒子の割合を、合計で残りの40%乃至55%とした。
【0011】
請求項4に記載の発明は、基板上にインクジェット方式によりスペーサ粒子を分散させたスペーサ粒子分散液を吐出してスペーサ粒子を含むスペーサ領域を形成した後、この基板を乾燥させてスペーサ粒子分散液から揮発成分を蒸発させるとともに、前記スペーサ領域のスペーサ粒子と基板を固着させることにより、基板間にスペーサ粒子を介在させて液晶層封入用のギャップを形成する液晶表示装置の製造方法であって、前記スペーサ粒子分散液が、弾性率の異なる複数種のスペーサ粒子を有することを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の発明において、前記スペーサ粒子分散液は、前記ギャップ形成のための通常弾性率のスペーサ粒子と、前記通常弾性率のスペーサ粒子と弾性率が異なる2種以上のスペーサ粒子との、3種以上のスペーサ粒子を有する。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記スペーサ粒子分散液は、前記ギャップ形成のための通常弾性率のスペーサ粒子の割合を45%乃至60%とし、前記通常弾性率のスペーサ粒子とは直径が異なる2種以上のスペーサ粒子の割合を、合計で残りの40%乃至55%とした。
【0014】
請求項7に記載の発明は、液晶表示装置の製造時に、基板間にスペーサ粒子を介在させることにより液晶層封入用のギャップを形成するため、基板上にインクジェット方式によりスペーサ粒子を分散させたスペーサ粒子分散液を塗布することにより、スペーサ粒子を含むスペーサ領域を形成するインクジェット塗布装置であって、基板を、インクジェットヘッドユニットに対して相対的に一方向に移動する移動機構を備え、前記インクジェットヘッドユニットは、多数のスペーサ粒子分散液の吐出口が、前記移動機構により移動される基板の移動方向に交差する方向に列設されたインクジェットヘッドを、前記基板の移動方向と交差する方向に複数個列設した構成を有し、前記移動機構により移動される基板にスペーサ粒子分散液を吐出して基板の表面にスペーサ粒子分散液を塗布するものであり、直径の異なる複数種のスペーサ粒子を有するスペーサ粒子分散液を貯留するスペーサ粒子分散液貯留部と、前記スペーサ粒子分散液貯留部から前記インクジェットヘッドにスペーサ粒子分散液を送液するスペーサ粒子分散液送液機構とを備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、液晶表示装置の製造時に、基板間にスペーサ粒子を介在させることにより液晶層封入用のギャップを形成するため、基板上にインクジェット方式によりスペーサ粒子を分散させたスペーサ粒子分散液を塗布することにより、スペーサ粒子を含むスペーサ領域を形成するインクジェット塗布装置であって、基板を、インクジェットヘッドユニットに対して相対的に一方向に移動する移動機構を備え、前記インクジェットヘッドユニットは、多数のスペーサ粒子分散液の吐出口が、前記移動機構により移動される基板の移動方向に交差する方向に列設されたインクジェットヘッドを、前記基板の移動方向と交差する方向に複数個列設した構成を有し、前記移動機構により移動される基板にスペーサ粒子分散液を吐出して基板の表面にスペーサ粒子分散液を塗布するものであり、弾性率の異なる複数種のスペーサ粒子を有するスペーサ粒子分散液を貯留するスペーサ粒子分散液貯留部と、前記スペーサ粒子分散液貯留部から前記インクジェットヘッドにスペーサ粒子分散液を送液するスペーサ粒子分散液送液機構とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1乃至請求項8に記載の発明によれば、スペーサ粒子によるムラを効果的に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】表面にスペーサ粒子分散液が吐出された後の透明基板1の一部を示す部分表面図である。
【図2】この発明に係るインクジェット塗布装置の斜視図である。
【図3】ガントリー13をその下面から見た斜視図である。
【図4】インクジェットヘッドユニット12をその下面から見た斜視図である。
【図5】インクジェットヘッド18の一部をその下面から見た斜視図である。
【図6】インクジェットヘッドユニット12の移動機構を示す斜視図である。
【図7】透明基板1におけるブラックマトリックス7のピッチとインクジェットヘッド18におけるスペーサ粒子分散液の吐出口19の配置との関係を示す説明図である。
【図8】スペーサ粒子分散液を送液する構成を示すブロック図である。
【図9】一対の透明基板1間にスペーサ粒子が配置された状態を模式的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。最初に、基板上にインクジェット方式によりスペーサ粒子を分散させたスペーサ粒子分散液を塗布することにより、スペーサ粒子を含むスペーサ領域を形成して、液晶層封入用のギャップを形成する、この発明に係るインクジェット塗布装置を利用した液晶表示装置の製造方法について説明する。
【0019】
図1は、表面にスペーサ粒子分散液が吐出された後の透明基板1の一部を示す部分表面図である。
【0020】
この液晶表示装置の製造方法は、液晶の封入工程等の前工程として実行されるものであり、透明基板間にスペーサ粒子を介在させることにより液晶層封入用のギャップを形成するためのものである。
【0021】
この液晶表示装置の製造方法を実行するときには、最初に、スペーサ領域生成工程を実行する。このスペーサ領域生成工程においては、透明基板上にインクジェット方式によりスペーサ粒子を分散させたスペーサ粒子分散液を吐出することによりスペーサ粒子を含むスペーサ領域を形成する。このときには、多数のインクジェットヘッドを列設したインクジェットヘッドユニットを透明基板1に対して相対的に移動することにより、透明基板の表面にスペーサ粒子分散液を吐出するこの発明に係るインクジェット塗布装置が使用される。
【0022】
この透明基板1の表面には、それぞれ画素領域であるレッドのカラーフィルターの領域Rと、グリーンのカラーフィルターの領域Gと、ブルーのカラーフィルターの領域Bと、これらの画素領域を区画するブラックマトリックス7とが構成される。そして、スペーサ粒子分散液は、ブラックマトリックス7に向けて吐出され、そこにスペーサ領域5が形成される。
【0023】
スペーサ領域生成工程に引き続き、乾燥工程を実行する。この乾燥工程は、透明基板1をホットプレートに搬送し、この透明基板1をホットプレート上で加熱することにより、スペーサ粒子分散液から揮発成分を蒸発させるとともに、スペーサ領域5のスペーサ粒子を透明基板1に固着させる工程である。
【0024】
この工程においては、最初にスペーサ粒子分散液から揮発成分が蒸発することから、表面張力によりスペーサ領域5のスペーサ粒子同士が互いに集まって接触する。そして、それらが焼成されて互いに固着するとともに、透明基板1の表面に対しても強い力で固着する。このため、このスペーサ領域5のスペーサ粒子により、液晶層封入用のギャップを形成することができる。
【0025】
次に、この発明に係るインクジェット塗布装置の構成について説明する。図2は、この発明に係るインクジェット塗布装置の斜視図である。
【0026】
このインクジェット塗布装置は、透明基板1を支持するテーブル11と、12個のインクジェットヘッドユニット12を支持するガントリー13とを備える。テーブル11は、基台14上に配設されたリニアモータ15の駆動を受け、一対のガイド部材16により案内された状態で、ガントリー13におけるインクジェットヘッドユニット12の列設方向と直交する主走査方向に往復移動する。このため、透明基板1を載置したテーブル11を主走査方向に移動させながら12個のインクジェットヘッドユニット12よりスペーサ粒子分散液を吐出することにより、透明基板1にスペーサ粒子を含むスペーサ領域を形成することができる。
【0027】
ガントリー13の両端部には、一対のリニアモータ21が配設されており、ガントリー13はこれらのリニアモータ21を介して基台14に支持されている。このため、ガントリー13は、これらのリニアモータ21を個別に駆動することにより、テーブル11による透明基板1の搬送方向との交差角度を変更することができる構成となっている。
【0028】
基台14の一端には、インクジェットヘッドユニット12を洗浄する洗浄部22が配設されている。この洗浄部22は、テーブル11による透明基板1の搬送方向と直交する方向に往復移動可能となっている。また、この洗浄部22の移動経路に沿って、インクジェットヘッドユニット12の乾燥を防止するための、12個の乾燥防止部23が配設されている。後述する各インクジェットヘッド18は、待機時においては、これらの乾燥防止部23と対向配置される。
【0029】
図3は、ガントリー13をその下面から見た斜視図である。また、図4は、インクジェットヘッドユニット12をその下面から見た斜視図である。さらに、図5は、インクジェットヘッド18の一部をその下面から見た斜視図である。
【0030】
これらの図に示すように、ガントリー13に支持された12個のインクジェットヘッドユニット12には、ヘッド支持板17が配設されており、このヘッド支持板17には、5個のインクジェットヘッド18が配設されている。このインクジェットヘッド18には、図5に示すように、多数のスペーサ粒子分散液の吐出口19が一方向に列設されている。
【0031】
図6は、インクジェットヘッドユニット12の移動機構を示す斜視図である。なお、この図においては、12個のインクジェットヘッドユニット12のうちの1個のみを図示している。
【0032】
ガントリー13における透明基板1の搬送方向の両端部には、リニアガイド24と、リニアスケール25と、リニアモータ26とが、その長手方向を透明基板1の搬送方向と交差する方向に向けて配設されている。そして、インクジェットヘッドユニット12を支持する支持板27の下面には、図示しないリニアモータ26の可動子が配設されている。
【0033】
このため、各支持板27は、その両端をリニアガイド24により案内された状態で、リニアモータ26の駆動により透明基板1の搬送方向と交差する方向に移動する。そして、その移動量は、リニアスケール25により測定される。このため、このインクジェットヘッドユニット12の移動機構により、各インクジェットヘッドユニット12を設定された移動量だけ透明基板1の搬送方向と交差する方向に移動させることにより、インクジェットヘッドユニット12のピッチを変更することが可能となる。
【0034】
上述したように、ガントリー13は、一対のリニアモータ21を個別に駆動することにより、テーブル11による透明基板1の搬送方向との交差角度を変更することができる構成となっている。そして、ガントリー13の角度が変更されることにより、ガントリー13に支持されたインクジェットヘッドユニット12の角度も変更され、これに伴って、インクジェットヘッドユニット12に配設されたインクジェットヘッド18におけるスペーサ粒子分散液の吐出口19の列設方向と透明基板1の搬送方向との交差角度が変更されることになる。
【0035】
なお、上述したように、インクジェットヘッドユニット12のピッチと、インクジェットヘッド18におけるスペーサ粒子分散液の吐出口19の列設方向と透明基板1の搬送方向との交差角度とを変更する構成を採用しているのは、以下のような理由によるものである。
【0036】
図7は、透明基板1におけるブラックマトリックス7のピッチとインクジェットヘッド18におけるスペーサ粒子分散液の吐出口19の配置との関係を示す説明図である。
【0037】
ブラックマトリックス7のピッチは、液晶表示装置の種類やその製造メーカ等によって異なっている。このようなブラックマトリックス7のピッチに対応するには、図7に示すように、インクジェットヘッド18におけるスペーサ粒子分散液の吐出口19の列設方向と透明基板1の搬送方向との交差角度を変更すればよい。そして、複数のインクジェットヘッド18間においてスペーサ粒子分散液の吐出口19のピッチを調整するためには、隣り合うインクジェットヘッドユニット12間において、インクジェットヘッドユニット12同士の距離を変更すればよい。このような理由から、このインクジェット塗布装置においては、インクジェットヘッドユニット12のピッチと、ガントリー13と透明基板1の搬送方向との交差角度とを変更する構成を採用している。
【0038】
図8は、上述したインクジェット塗布装置において、スペーサ粒子分散液を送液する構成を示すブロック図である。
【0039】
スペーサ粒子分散液貯留部51には、透明基板1に塗布されるべきスペーサ粒子分散液が貯留されている。このスペーサ粒子分散液貯留部51に貯留されたスペーサ粒子分散液は、送液ポンプ等を備えたスペーサ粒子分散液送液機構52を利用して、インクジェットヘッドユニット12のインクジェットヘッド18に送液され、そこから透明基板1上に塗布される。
【0040】
この発明の第1実施形態においては、スペーサ粒子分散液貯留部51に貯留されるスペーサ粒子分散液は、直径の異なる複数種のスペーサ粒子を有する。好ましくは、スペーサ粒子分散液貯留部51に貯留されるスペーサ粒子分散液は、透明基板1間にギャップを形成するための通常直径のスペーサ粒子の他に、この通常直径のスペーサ粒子の直径との差が0.2μm以内の平均直径を有する2種以上のスペーサ粒子を含む、3種以上のスペーサ粒子を有する。例えば、スペーサ粒子の通常直径が4μmの場合、平均直径が3.8μm乃至4.2μm程度のスペーサ粒子を2種類以上含めばよいことになる。
【0041】
このとき、好ましくは、スペーサ粒子分散液は、ギャップ形成のための通常直径のスペーサ粒子の割合を45%乃至60%とし、通常直径のスペーサ粒子の直径との差が0.2μm以内の平均直径を有する2種以上のスペーサ粒子の割合を、合計で残りの40%乃至55%とすることが好ましい。
【0042】
また、この発明の第2実施形態においては、スペーサ粒子分散液貯留部51に貯留されるスペーサ粒子分散液は、弾性率の異なる複数種のスペーサ粒子を有する。好ましくは、スペーサ粒子分散液貯留部51に貯留されるスペーサ粒子分散液は、透明基板1間にギャップを形成するための通常弾性率のスペーサ粒子の他に、この通常弾性率のスペーサ粒子と弾性率が異なる2種以上のスペーサ粒子を含む、3種以上のスペーサ粒子を有する。
【0043】
このとき、好ましくは、スペーサ粒子分散液は、ギャップ形成のための通常弾性のスペーサ粒子の割合を45%乃至60%とし、通常弾性のスペーサ粒子と弾性が異なる2種以上のスペーサ粒子の割合を、合計で残りの40%乃至55%とすることが好ましい。
【0044】
さらに、この発明の第3実施形態においては、スペーサ粒子分散液貯留部51に貯留されるスペーサ粒子分散液は、直径と弾性率の異なる複数種のスペーサ粒子を有する。このときの直径と弾性率との値は、上述した第1、第2実施形態と同様である。また、このときには、ギャップ形成のための通常直径、通常弾性のスペーサ粒子の割合を40%乃至55%とし、残りを直径と弾性率の異なる複数種のスペーサ粒子とすればよい。
【0045】
これら第1、第2、第3実施形態のいずれの場合も、複数種のスペーサ粒子を含むスペーサ粒子分散液を、予め貯留部51に貯留しておく。そして、貯留部51に貯留された複数種のスペーサ粒子を含むスペーサ粒子分散液は、送液ポンプ等を備えたスペーサ粒子分散液送液機構52を利用して、インクジェットヘッドユニット12のインクジェットヘッド18に送液され、そこから透明基板1上に塗布される。
【0046】
以上のような構成を有するインクジェット塗布装置を使用して透明基板1にスペーサ粒子分散液を塗布するときには、最初に、透明基板1をテーブル11上に位置決めして固定する。また、透明基板1におけるブラックマトリックス7のピッチに対応させて、インクジェットヘッド18におけるスペーサ粒子分散液の吐出口19の列設方向と透明基板1の搬送方向との交差角度と、インクジェットヘッドユニット12のピッチとを変更する。
【0047】
この状態において、テーブル11を透明基板1とともに主走査方向に移動させながら、12個のインクジェットヘッドユニット12における各インクジェットヘッド18からスペーサ粒子分散液を吐出することにより、透明基板1におけるブラックマトリックス7上にスペーサ粒子を含むスペーサ領域を形成することができる。
【0048】
図9は、一対の透明基板1間にスペーサ粒子が配置された状態を模式的に示す説明図である。
【0049】
図9(a)は、上述した第1実施形態を示している。図9(a)においては、透明基板1間に、通常直径、通常弾性のスペーサ粒子111以外に、直径の大きなスペーサ粒子112と、直径の小さなスペーサ粒子113が配置されている。図9(b)は、上述した第2実施形態を示している。図9(b)においては、透明基板1間に、通常直径、通常弾性のスペーサ粒子111以外に、弾性の大きなスペーサ粒子114と、弾性の小さなスペーサ粒子115が配置されている。図9(c)は、上述した第3実施形態の場合を示している。
【0050】
このような第1、第2、第3実施形態のいずれを採用した場合も、スペーサ粒子により形成される透明基板1間のギャップにランダムなバラツキが生ずる。このため、規則性のあるムラを解消することが可能となる。
【0051】
すなわち、従来より生じていたムラは、各インクジェットヘッド18の吐出口19から吐出されるスペーサ粒子分散液の液滴量や吐出速度による微妙なバラツキが再現性よく繰り返されることから生じていたものである。これに対して、上述した第1、第2、第3実施形態のいずれを採用した場合においても、複数種のスペーサ粒子の作用により、透明基板1間のギャップのムラのバラツキが、透明基板1全体において拡散される。このため、目視のよってムラを認識することがなくなる。
【0052】
すなわち、この発明においては、液晶基板1全体において透明基板1間のギャップを均一化するのではなく、透明基板1間のギャップの不均一を誤差拡散させるという考え方により、透明基板1を観察したときにその全体が平均化され、目視により生ずるムラの発生を防止することを可能とするものである。
【0053】
なお、上述した実施形態では、透明基板1を載置したテーブル11を主走査方向に移動させながら、12個のインクジェットヘッドユニット12によりスペーサ粒子分散液を吐出することにより、透明基板1にスペーサ粒子を含むスペーサ領域を形成したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、透明基板1を載置したテーブル11を静止させ、12個のインクジェットヘッドユニット12を支持するガントリー13を主走査方向に移動させながらインクジェットヘッドユニット12によりスペーサ粒子分散液を吐出することにより、透明基板1にスペーサ粒子を含むスペーサ領域を形成する構成を採用してもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 透明基板
5 スペーサ領域
7 ブラックマトリックス
11 テーブル
12 インクジェットヘッドユニット
13 ガントリー
14 基台
15 リニアモータ
16 ガイド部材
17 ヘッド支持板
18 インクジェットヘッド
19 吐出口
21 リニアモータ
22 洗浄部
23 乾燥防止部
24 リニアガイド
25 リニアスケール
26 リニアモータ
111 スペーサ粒子
112 スペーサ粒子
113 スペーサ粒子
114 スペーサ粒子
115 スペーサ粒子


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にインクジェット方式によりスペーサ粒子を分散させたスペーサ粒子分散液を吐出してスペーサ粒子を含むスペーサ領域を形成した後、この基板を乾燥させてスペーサ粒子分散液から揮発成分を蒸発させるとともに、前記スペーサ領域のスペーサ粒子と基板を固着させることにより、基板間にスペーサ粒子を介在させて液晶層封入用のギャップを形成する液晶表示装置の製造方法であって、
前記スペーサ粒子分散液が、直径の異なる複数種のスペーサ粒子を有することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の液晶表示装置の製造方法において、
前記スペーサ粒子分散液は、前記ギャップ形成のための通常直径のスペーサ粒子と、前記通常直径のスペーサ粒子の直径との差が0.2μm以内の平均直径を有する2種以上のスペーサ粒子との、3種以上のスペーサ粒子を有する液晶表示装置の製造方法。
【請求項3】
請求項2に記載の液晶表示装置の製造方法において、
前記スペーサ粒子分散液は、前記ギャップ形成のための通常直径のスペーサ粒子の割合を45%乃至60%とし、前記通常直径のスペーサ粒子の直径との差が0.2μm以内の平均直径を有する2種以上のスペーサ粒子の割合を、合計で残りの40%乃至55%とした液晶表示装置の製造方法。
【請求項4】
基板上にインクジェット方式によりスペーサ粒子を分散させたスペーサ粒子分散液を吐出してスペーサ粒子を含むスペーサ領域を形成した後、この基板を乾燥させてスペーサ粒子分散液から揮発成分を蒸発させるとともに、前記スペーサ領域のスペーサ粒子と基板を固着させることにより、基板間にスペーサ粒子を介在させて液晶層封入用のギャップを形成する液晶表示装置の製造方法であって、
前記スペーサ粒子分散液が、弾性率の異なる複数種のスペーサ粒子を有することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の液晶表示装置の製造方法において、
前記スペーサ粒子分散液は、前記ギャップ形成のための通常弾性率のスペーサ粒子と、前記通常弾性率のスペーサ粒子と弾性率が異なる2種以上のスペーサ粒子との、3種以上のスペーサ粒子を有する液晶表示装置の製造方法。
【請求項6】
請求項5に記載の液晶表示装置の製造方法において、
前記スペーサ粒子分散液は、前記ギャップ形成のための通常弾性率のスペーサ粒子の割合を45%乃至60%とし、前記通常弾性率のスペーサ粒子とは直径が異なる2種以上のスペーサ粒子の割合を、合計で残りの40%乃至55%とした液晶表示装置の製造方法。
【請求項7】
液晶表示装置の製造時に、基板間にスペーサ粒子を介在させることにより液晶層封入用のギャップを形成するため、基板上にインクジェット方式によりスペーサ粒子を分散させたスペーサ粒子分散液を塗布することにより、スペーサ粒子を含むスペーサ領域を形成するインクジェット塗布装置であって、
基板を、インクジェットヘッドユニットに対して相対的に一方向に移動する移動機構を備え、
前記インクジェットヘッドユニットは、多数のスペーサ粒子分散液の吐出口が、前記移動機構により移動される基板の移動方向に交差する方向に列設されたインクジェットヘッドを、前記基板の移動方向と交差する方向に複数個列設した構成を有し、前記移動機構により移動される基板にスペーサ粒子分散液を吐出して基板の表面にスペーサ粒子分散液を塗布するものであり、
直径の異なる複数種のスペーサ粒子を有するスペーサ粒子分散液を貯留するスペーサ粒子分散液貯留部と、
前記スペーサ粒子分散液貯留部から前記インクジェットヘッドにスペーサ粒子分散液を送液するスペーサ粒子分散液送液機構と、
を備えたことを特徴とするインクジェット塗布装置。
【請求項8】
液晶表示装置の製造時に、基板間にスペーサ粒子を介在させることにより液晶層封入用のギャップを形成するため、基板上にインクジェット方式によりスペーサ粒子を分散させたスペーサ粒子分散液を塗布することにより、スペーサ粒子を含むスペーサ領域を形成するインクジェット塗布装置であって、
基板を、インクジェットヘッドユニットに対して相対的に一方向に移動する移動機構を備え、
前記インクジェットヘッドユニットは、多数のスペーサ粒子分散液の吐出口が、前記移動機構により移動される基板の移動方向に交差する方向に列設されたインクジェットヘッドを、前記基板の移動方向と交差する方向に複数個列設した構成を有し、前記移動機構により移動される基板にスペーサ粒子分散液を吐出して基板の表面にスペーサ粒子分散液を塗布するものであり、
弾性率の異なる複数種のスペーサ粒子を有するスペーサ粒子分散液を貯留するスペーサ粒子分散液貯留部と、
前記スペーサ粒子分散液貯留部から前記インクジェットヘッドにスペーサ粒子分散液を送液するスペーサ粒子分散液送液機構と、
を備えたことを特徴とするインクジェット塗布装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−217669(P2010−217669A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−65938(P2009−65938)
【出願日】平成21年3月18日(2009.3.18)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【出願人】(392007566)ナトコ株式会社 (42)
【出願人】(000214272)長瀬産業株式会社 (137)
【Fターム(参考)】