説明

液晶表示装置用カラーフィルタ基板およびそれを備えた液晶表示装置

【課題】着色組成物積層スペーサの径が小型化していくなかで、保護層を持たずとも透明電極へのクラックが発生しにくく、且つ、保護層を付加した着色組成物積層スペーサと遜色のない耐押圧性を持つ着色組成物積層スペーサを有するカラーフィルタ基板およびそれを備えた液晶表示装置を提供する。
【解決手段】透明基板上に、ブラックマトリックス層と、複数色の着色組成物からなるそれぞれの着色画素と、アレイ基板との間隙を保つための積層スペーサとを有し、前記積層スペーサが、前記ブラックマトリックス層上の所望の部位に少なくとも1色以上の前記着色組成物を順に積層して形成される着色組成物積層スペーサと、前記着色組成物積層スペーサを上面から覆い該着色組成物積層スペーサを一体化させるための固着保護層が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置のセルギャップを保持するスペーサとして、着色層を複数重ねて形成した積層スペーサを備える液晶表示装置用カラーフィルタ基板およびそれを備えた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
アクティブマトリックス方式の液晶表示装置では、一般に、ガラス基板上に各画素毎に薄膜トランジスタ(TFT)素子を形成したTFT基板と、ガラス基板上に着色層をストライプ状、モザイク状等に表示画面内に配列したカラーフィルタと一様な透明電極を形成したカラーフィルタ基板とが、間に液晶を挟んで対向して配置されている。そして、TFT基板の各TFT素子のスイッチング作用によって各画素の液晶のシャッター作用を制御している。
【0003】
近時、液晶表示装置の大型化、高精細化、広い視野角や高コントラスト化などの高画質化にあわせて、垂直配向と呼称されるVA(Vertical Allignment)型液晶表示装置や、液晶の配向を制御する配向制御用突起を形成したMVA(Multi−domain Vertical Allignment)型液晶表示装置や、画素の横方向に液晶駆動用の電界が印加されるIPS(In Plane Switching)方式の液晶表示装置が採用されるようになってきている。
【0004】
TFTを用いた液晶表示装置は、TFT基板とカラーフィルタ基板を所定の間隔を設けて対向させて配置し、エポキシ樹脂等に補強用の繊維を混合したシール剤によってこれら基板を貼り合わせることにより構成される。カラーフィルタ基板とTFT基板との間には液晶が封入されているが、カラーフィルタ基板とTFT基板との間隔を正確に保持しないと、液晶層の厚みに差異が出て、液晶の旋光特性差による着色を生じたり、あるいは部分的な色むらが生じて、正しく表示されなくなるという現象が生じる。そのため、液晶にスペーサと称する直径2μmないし10μmの樹脂、ガラス、アルミナ等からなる粒子あるいは棒状体を多数混合し、液晶のセルギャップ(挟持間隔)の保持を図っている。
【0005】
このスペーサは透明な粒子であることから、画素内に液晶と一緒にスペーサが入っていると、黒色表示時にスペーサを介して光が漏れてしまう。また、通常の液晶表示装置では、スペーサとして100個/mm程度の大量の粒子を液晶に混合しているので、粘性の高い液晶と混合して、カラーフィルタ基板とTFT基板との挟持間隔内に注入した場合には、均一にスペーサが分散せずに、スペーサが一部に偏るという現象が生じることがある。このような現象が生じると、スペーサが集まった部分の近傍の液晶分子の配列が乱され、この部分で光漏れを生じ、コントラストが低下し表示品質に悪影響を及ぼす問題があった。またセルギャップの正確な保持の面でも問題があった。
【0006】
それに対して、感光性樹脂をフォトリソグラフィ法にてパターン化して突部とした樹脂スペーサは、画面表示内の遮光部すなわちブラックマトリックスの部位に選択的に形成することで、表示画面からは遮蔽される位置にあり、液晶の表示品位を損なわない利点がある。この樹脂スペーサのなかでも、カラーフィルタの着色層を積層した着色組成物積層スペーサはカラーフィルタの着色層を作る過程で同時に造ることができるので、製造工程が増えないという利点がある。すなわち、ブラックマトリックスの開口部およびブラックマトリックスの上の一部に重なるようにR(赤色)、G(緑色)、B(青色)等のそれぞれの着色層を設ける際、同時にブラックマトリックス層上の所望の部位に前記着色層のうち少なくともひとつを積層することにより対向電極との間隙を保つためのスペーサを形成す
る。
【0007】
例えば、特許文献1には、基板上にブラックマトリックス、3色の着色層を積み重ねた部分に、透明電極膜を介してスペーサを形成したカラーフィルタが開示されている。また、特許文献2では、基板上に、複数の色層が積層された突出構造部と、対向電極と、配向膜とが形成され、突出構造部を被覆する部分の対向電極の全域に絶縁層が積層されているカラーフィルタ基板が開示されている。また、特許文献3には、着色層が積層された高さの異なる柱状スペーサが配置された液晶表示装置が開示されている。
【0008】
さらに、近年、画素密度の高精細化の要求や表示画像の明るさ向上の要請から、ブラックマトリックスの画線幅は年々細くなっており、その上に形成されるスペーサの径も小さくなっている。それにつれて、積層タイプのスペーサにあっては、着色層を重ね合わせることにより構成した着色組成物積層スペーサが先細形状に形成され、十分な平坦部を持たない積層スペーサ上面に透明電極を形成することになり対向側基板と接触した際に、透明電極にクラックが入り表示不良の原因となる恐れがあった。
【0009】
また、前記した特許文献1あるいは2のように、透明電極を形成した後に更にスペーサを形成することは、工程が増加することになる。さらに、特許文献1では樹脂スペーサの上部の透明電極の上を覆うように絶縁層を設けており、特許文献2では透明電極を先に形成し、その上にフォトスペーサを形成することで前記の表示不良に対して対策を行っている。着色組成物積層スペーサをそのまま、保護層等を持たない状態で使用した場合は、従来のスペーサよりも復元率が減少し、総変形量、塑性変形量が増加し、スペーサの特性が悪化する恐れがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第3651874号明細書
【特許文献2】特許第4044090号明細書
【特許文献3】特開2005−106856公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、上記した問題点を解決すべくなされたもので、着色組成物積層スペーサの径が小型化していくなかで、保護層を持たずとも透明電極へのクラックが発生しにくく、且つ、保護層を付加した着色組成物積層スペーサと遜色のない耐押圧性を持つ着色組成物積層スペーサを有するカラーフィルタ基板およびそれを備えた液晶表示装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の請求項1に係る発明は、透明基板上に、ブラックマトリックス層と、複数色の着色組成物からなるそれぞれの着色画素と、アレイ基板との間隙を保つための積層スペーサとを有し、前記積層スペーサが、前記ブラックマトリックス層上の所望の部位に少なくとも1色以上の前記着色組成物を順に積層して形成される着色組成物積層スペーサと、前記着色組成物積層スペーサを上面から覆い該着色組成物積層スペーサを一体化させるための固着保護層が設けられている積層スペーサであることを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルタ基板である。
【0013】
また本発明の請求項2に係る発明は、前記固着保護層は前記複数色の着色組成物の後順に入色する1色の着色組成物を用いて、該当する着色画素形成と同時に前記着色組成物積層スペーサの上部から下部までを被包する形で形成されていることを特徴とする請求項1に記載する液晶表示装置用カラーフィルタ基板である。
【0014】
また本発明の請求項3に係る発明は、前記固着保護層の上部(上面部)の平面視直径の値は前記固着保護層の下部(底面部)の平面視直径の値に対する割合が、55%以上100%未満であることを特徴とする請求項1または2に記載する液晶表示装置用カラーフィルタ基板である。
【0015】
次に、本発明の請求項4に係る発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載する液晶表示装置用カラーフィルタ基板を備えたことを特徴とする液晶表示装置である。
【発明の効果】
【0016】
本発明のカラーフィルタ基板における積層スペーサでは、着色組成物積層スペーサを上面から覆い該着色組成物積層スペーサを一体化させるための固着保護層が設けられており、それは画素形成の後順の1色の着色組成物を用いて、該当する着色画素形成と同時に着色組成物積層スペーサの上部から下部までを被包する形で形成されている。そのため、各層の結びつきを強化した結果、積層された各層同士の密着強度が向上して、対向側基板と接触した際の透明電極へのクラックが発生を抑制する効果を持つ。
【0017】
また、下地であるブラックマトリックスの狭幅化によりスペーサの径が小型化していくなかで、固着保護層で被包される着色組成物積層スペーサの最上層を可能な限り大形化することで、積層スペーサ上面の平坦性が向上し、位置合わせ精度の許容範囲を広げる。さらに、固着保護層の上部と下部の径とを規定の割合にすることにより、着色組成物以外の絶縁層をさらに設けた従来のスペーサと比較した場合でも、スペーサ単体の復元率、総変形量、塑性変形量と液晶パネル化した際の耐押圧性、押圧ムラの抑制において同等以上に向上させる効果を併せ持つ。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】従来の着色組成物積層スペーサの構成を断面で示す模式図である。
【図2】本発明に係る積層スペーサで、2色の着色組成物積層スペーサを固着保護層で被包した構成を断面で示す模式図である。
【図3】本発明に係る積層スペーサで、1色の着色組成物積層スペーサを固着保護層で被包した構成を断面で示す模式図である。
【図4】本発明に係る積層スペーサの、一実施形態での弾性特性に関する、復元率の測定結果を示すグラフである。
【図5】本発明に係る積層スペーサの、一実施形態での弾性特性に関する、総変形量の測定結果を示すグラフである。
【図6】本発明に係る積層スペーサの、一実施形態での弾性特性に関する、塑性変形量の測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、本発明のカラーフィルタ基板とそれを備えた液晶表示装置を、その一実施形態
に基づいて詳細に説明する。なお、以下の説明において、図面の符号は、同一の機能を担う構成部分については従来と区別せずに同じ符号を用いて説明する。
【0020】
まず、本発明の液晶表示装置に用いられる積層スペーサについて説明する。本発明の液晶表示装置に用いられる積層スペーサは、2枚の基板間の間隙を一定に保つために液晶表示装置の有効表示領域内に形成されるものである。本発明においては、この積層スペーサは、後述する着色層を構成する着色層形成用の着色組成物が積層されたものであり、複数の高さを有するように形成されているものである。なお、前記有効表示領域とは、液晶表示装置の表示部として用いられる領域である。
【0021】
従来の着色組成物積層スペーサは、後述する着色層を構成する着色層形成用の着色組成物(例えば赤色用の着色組成物、緑色用の着色組成物、および青色用の着色組成物)が図1に示すように積層されたものである。
【0022】
本発明に係る積層スペーサは、例えば図2に示すように、高さの高い積層スペーサは着色層形成用の着色組成物が2色、ブラックマトリックス層上の所望の部位に積層され、後順に入色する1色の着色組成物による固着保護層により一体化される。高さの低い積層スペーサは、図3に示すように、着色層形成用の着色組成物が1色、ブラックマトリックス層上の所望の部位に積層され、後順に入色する1色の着色組成物による固着保護層により一体化されたものである。本発明に係る積層スペーサは、このように、積層された着色層形成用の着色組成物の色数の差によって高さが異なるように形成されるものであっても、各層の厚みの違いによって高さが異なる場合も使用可能である。この場合、前記着色層形成用の着色組成物は、目的とする積層スペーサの高さによっても異なるが、通常1色〜3色を用いて積層されることになる。
【0023】
また、本発明に用いられる複数種類の積層スペーサは、高さの低いものほど個数が多いことが好ましい。これにより、液晶表示装置に微小な荷重がかけられた場合、少ない積層スペーサによってその荷重を支えることとなり、それらの積層スペーサの変形が生じやすいものとすることができる。一方、大きな荷重が液晶表示装置にかけられた場合には、荷重をかければかけるほど、その荷重に対する抗力が大きくなり、積層スペーサの変位を小さいものとすることができる。したがって、荷重が小さい場合には、液晶表示装置の変位が大きく、荷重が大きい場合には液晶表示装置の変位が少ないものとすることができるのである。
【0024】
なお、本発明において形成される積層スペーサの高さは、液晶表示装置の種類等により適宜選択されるものであり、特にその高さは限定されるものではない。
【0025】
また、前記積層スペーサの形成される数は、液晶表示装置の種類等によって適宜選択されるものである。
【0026】
ここで、積層スペーサの形状は、透明基板間の間隙を一定に保つことが可能な形状であれば、特に限定されるものではない。例えば円柱状や角柱状のもの、頂部が切断された円錐状や角錐状のもの等とすることができる。また、前記した、高さの高い積層スペーサと高さの低い積層スペーサの形状は同じであってもよい。後順に入色する1色の着色組成物による固着保護層により、着色組成物積層部を覆うことにより、従来の着色組成物積層スペーサが有していた段差を解消し、液晶表示装置に大きな荷重がかけられた場合、積層スペーサの広い上底面で、その荷重がスペーサ全体で支えられることとなり、荷重が分散することから、積層スペーサ単体の特性を向上することができ、従来の固着保護層に絶縁体を適用したスペーサと同等以上の特性を得ることが可能となる。
【0027】
しかし、前述した特性を得るためには、固着保護層の上面の平面視直径の値は固着保護層の下面の平面視直径の値の55%以上100%未満で設計する必要がある。
【0028】
例えば、図2にしめす積層スペーサの第3色の着色組成物による固着保護層の径を30μmの径とし、着色組成物積層スペーサの最上層の第2色の着色組成物の径が17μmであった時は、従来の絶縁層を有するスペーサと同等以上の特性を得ることが出来る。それに対して、第3色の着色組成物による固着保護層の径は30μm、着色組成物積層スペーサの最上層の第2色の着色組成物の径が15μmの積層スペーサの単体の特性は、前記した着色組成物積層スペーサの最上層の第2色の着色組成物の径が17μmの特性と比べ、150mNの荷圧を加えた場合、復元率では5.8%低下し、液晶パネル状態での耐押圧性は19.6N低下するため、特性は絶縁体を適用したスペーサに及ばない。即ち、本発明のカラーフィルタ基板では、固着保護層の上面平坦部の径は、着色組成物積層スペーサの最上層の第2色の着色組成物の径に略等しくなることを示している。
【0029】
また、本発明に用いられる積層スペーサは、液晶表示装置の有効表示領域内に形成されるものであれば、その形成位置等は特に限定されるものではないが、一般的には、着色画素と着色画素との間に形成されるものであり、例えば着色画素と着色画素との間にブラックマトリクス等の遮光部が形成されている場合には、この遮光部上に形成されることが好ましい。なお、積層スペーサに用いられる着色層形成用の着色組成物の材料や形成方法等については、後述する着色層の項で説明するので、ここでの詳しい説明は省略する。
【0030】
本発明の液晶表示装置用カラーフィルタ基板は、透明基板上に、ブラックマトリックス層と、複数色の着色組成物からなるそれぞれの着色画素と、アレイ基板との間隙を保つための前述した積層スペーサとを有した構成を有している。
【0031】
透明基板上に着色画素やブラックマトリックスを形成する方法としては顔料分散法が主流となっている。顔料分散法は、有機顔料などの色材を分散した感光性着色組成物の塗布層を公知のフォトリソグラフィー法によってパターニングすることにより、カラーフィルタを複数の着色層(赤色、緑色、青色など)の画素に形成する方法である。本発明のカラーフィルタ基板の着色組成物も同様に、フォトリソグラフィー法によってパターニングする。複数の着色組成物の入色順を限定するものでないが、アライメントの都合及び積層スペーサの形成性から、ブラックマトリクス層のパターン形成後に、着色組成物の塗布、露光、現像等により赤色画素、緑色画素、青色画素などを順次形成し、画素形成と同時に所望の高さの積層スペーサをブラックマトリックス上に形成する。
【0032】
通常のカラーフィルタ基板において、ブラックマトリックス層の厚さは0.5〜3μm、幅は3〜30μmの範囲である。また、赤色画素、緑色画素、青色画素のそれぞれの膜厚(厚さ)は0.5〜3μmである。この膜厚は、感光性着色組成物の組成や塗布方法で大きく左右されるが、ブラックマトリックス上に乗り上げ・形成する赤色層、緑色層、青色層の厚さは、平坦部の画素膜厚に対して薄く形成される傾向にある。
【0033】
積層スペーサのいわば土台となるブラックマトリックス層は、黒色樹脂を用いて形成された液晶表示装置のコントラストアップのために各画素間に形成する細い遮光パターンである。ブラックマトリックス層を形成する方法としては、黒色非感光性樹脂を用いフォトリソグラフィー法によって保護レジストを形成し、エッチングによってマトリックス状あるいはストライプ状に形成する方法、或いは黒色感光性樹脂を用いフォトリソグラフィー法によってマトリックス状あるいはストライプ状に形成する方法がある。黒色の色材としては、カーボンブラックや酸化チタン、あるいは複数の有機顔料を用いることができる。
【0034】
本発明に係るブラックマトリックスの形成に用いる黒色感光性樹脂、及び着色画素の形
成に用いる着色組成物は、樹脂バインダと開始剤を主成分として、樹脂バインダが光重合、又は熱重合、或いは光重合及び熱重合を経て、三次元架橋される。ブラックマトリックス及び着色組成物の樹脂バインダを三次元架橋させることによって、パネル組み立て工程における荷重によりブラックマトリックス、着色画素及び積層スペーサの厚みが減じるのを抑制することができる。
【0035】
本発明に係る感光性樹脂組成物は、少なくとも、透明樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤、溶剤、顔料からなる。ブラックマトリックス及び着色画素の形成に用いる黒色感光性樹脂及び感光性着色組成物は、例えば、透明樹脂バインダに顔料成分を、分散剤を用いて分散させ、この分散液に光重合性モノマー、光重合開始剤、増感剤、溶剤などを添加して調製される。
【0036】
本発明のカラーフィルタ基板及び、その積層スペーサを形成する場合には、着色組成物には、赤色、青色、緑色、黄色、紫色のいずれかの着色顔料、又はその混合物を用いることができる。
【0037】
赤色画素を形成するための赤色着色組成物には、例えばC.I.Pigment Red 7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、97、122、123、146、149、168、177、178、179、180、184、185、187、192、200、202、208、210、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、246、254、255、264、272、279等の赤色顔料を用いることができる。赤色着色組成物には、黄色顔料、橙色顔料を併用することができる。
【0038】
黄色顔料としてはC.I. Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、144、146、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、214等が挙げられる。また、橙色顔料としてはC.I. Pigment Orange 36、43、51、55、59、61、71、73等が挙げられる。
【0039】
緑色画素を形成するための緑色着色組成物には、例えばC.I. Pigment Green 7、10、36、37、58等の緑色顔料、を用いることができる。緑色着色組成物には赤色着色組成物と同様の黄色顔料を併用することができる。
【0040】
青色画素を形成するための青色着色組成物には、例えばC.I. Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、80等の青色顔料、好ましくはC.I. Pigment Blue 15:6を用いることができる。また、青色着色組成物には、C.I. Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等の紫色顔料、好ましくはC.I. Pigment Violet 23を併用することができる。
【0041】
また、上記有機顔料と組み合わせて、彩度と明度のバランスを取りつつ良好な塗布性、感度、現像性等を確保するために、無機顔料を組み合わせて用いることも可能である。無機顔料としては、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑等の金属酸化物粉、金属硫化物粉、金属粉等が挙げられる。さらに、調色のため、耐熱性を低下させない範囲内で染料を含有させることができる。
【0042】
遮光層を形成する遮光性着色組成物に用いられる遮光剤には、カーボンブラックや酸化チタンの他に、赤、青、緑、黄、紫色等の着色顔料の混合物を用いることが出来る。遮光剤として用いられるカーボンブラックとしては、三菱化学社製のカーボンブラック#2400、#2350、#2300、#2200、#1000、#980、#970、#960、#950、#900、#850、MCF88、#650、MA600、MA7、MA8、MA11、MA100、MA220、IL30B、IL31B、IL7B、IL11B、IL52B、#4000、#4010、#55、#52、#50、#47、#45、#44、#40、#33、#32、#30、#20、#10、#5、CF9、#3050、#3150、#3250、#3750、#3950、ダイヤブラックA、ダイヤブラックN220M、ダイヤブラックN234、ダイヤブラックI、ダイヤブラックLI、ダイヤブラックII、ダイヤブラック339、ダイヤブラックSH、ダイヤブラックSHA、ダイヤブラックLH、ダイヤブラックH、ダイヤブラックHA、ダイヤブラックSF、ダイヤブラックN550M、ダイヤブラックE、ダイヤブラックG、ダイヤブラックR、ダイヤブラックN760M、ダイヤブラックLR。キャンカーブ社製のカーボンブラックサーマックスN990、N991、N907、N908、N990、N991、N908。旭カーボン社製のカーボンブラック旭#80、旭#70、旭#70L、旭F−200、旭#66、旭#66HN、旭#60H、旭#60U、旭#60、旭#55、旭#50H、旭#51、旭#50U、旭#50、旭#35、旭#15、アサヒサーマル、デグサ社製のカーボンブラックColorBlack Fw200、ColorBlack Fw2、ColorBlack Fw2V、ColorBlack Fw1、ColorBlack
Fw18、ColorBlackS170、ColorBlack S160、SpecialBlack6、SpecialBlack5、SpecialBlack4、SpecialBlack4A、PrintexU、PrintexV、Printex140U、Printex140V等が挙げられる。
【0043】
透明樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および感光性樹脂が含まれる。透明樹脂には、必要に応じて、その前駆体である、放射線照射により硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーを単独で、または2種以上混合して用いることができる。
【0044】
このような樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ノボラック樹脂、ポリビニルフェノール樹脂、およびこれらを変性したもの等が挙げられる。これらの中でも、エポキシ樹脂と不飽和基含有カルボン酸またはその無水物の反応物にさらに多塩基性カルボン酸またはその無水物とを反応させて得られた光重合性不飽和基含有樹脂、あるいはノボラック樹脂、ポリビニルフェノール樹脂等のフェノール性水酸基を有する樹脂またはこれらの変性樹脂が、現像性、パターニング特性、コスト等の点から特に好ましい。
【0045】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。また、熱硬化性
樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
【0046】
感光性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該線状高分子に導入した樹脂が用いられる。また、スチレン-無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
【0047】
用いることのできる多官能重合性モノマーおよびオリゴマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メラミン(メタ)アクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。また、水酸基を有する(メタ)アクリレートに多官能イソシアネートを反応させて得られる(メタ)アクリロイル基を有する多官能ウレタンアクリレートを用いることが好ましい。なお、水酸基を有する(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートとの組み合わせは任意であり、特に限定されるものではない。また、1種の多官能ウレタンアクリレートを単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらは、単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。
【0048】
着色組成物には、該組成物を紫外線照射により硬化する場合には、光重合開始剤等が添加される。光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物、チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ-ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、O−(アセチル)−N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4’−メトキシ-ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物、ボレート系化合物、カルバゾール系化合物、イミダゾール系化合物、チタノセン系化合物等が用いられる。これらの光重合開始剤は1種または2種以上混合して用いることができる。光重合開始剤の使用量は、着色組成物の全固形分量を基準として0.5〜50質量%が好ましく、より好ましくは3〜30質量%である。
【0049】
さらに、増感剤として、α−アシロキシエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4,4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等の化合物、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン系化合物を併用することもできる。これらの増感剤は1種または2種以上混合して用いることができる。増感剤の使用量は、光重合開始剤と増感剤の合計量を基準として0.5〜60質量%が好ましく、より好ましくは3〜40質量%である。 また、重合開始剤と光増感剤とを併用することが好ましい。増感剤として、を併用することもできる。
【0050】
界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物などのカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0051】
さらに、着色組成物には、連鎖移動剤としての働きをする多官能チオールを含有させることができる。多官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物であればよく、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン等が挙げられる。これらの多官能チオールは、1種または2種以上混合して用いることができる。多官能チオールの使用量は、着色組成物の全固形分量を基準として0.1〜30質量%が好ましく、より好ましくは1〜20質量%である。0.1質量%未満では多官能チオールの添加効果が不充分であり、30質量%を越えると感度が高すぎて逆に解像度が低下する。
【0052】
着色組成物には、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。貯蔵安定剤としては、例えばベンジルトリメチルクロライド、ジエチルヒドロキシアミンなどの4級アンモニウムクロライド、乳酸、シュウ酸などの有機酸およびそのメチルエーテル、t−ブチルピロカテコール、トリエチルホスフィン、トリフェニルフォスフィンなどの有機ホスフィン、亜リン酸塩等が挙げられる。貯蔵安定剤は、着色組成物中の顔料100質量部に対して、0.1〜10質量部の量で含有させることができる。
【0053】
また、着色組成物には、基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることもできる。シランカップリング剤としては、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等が挙げられる。シランカップリング剤は、着色組成物中の顔料100質量部に対して、0.01〜100質量部の量で含有させることができる。
【0054】
着色組成物は、必要に応じて有機溶剤を含有することができる。有機溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。溶剤は、着色組成物中の顔料100質量部に対して、800〜4000質量部、好ましく
は1000〜2500質量部の量で用いることができる。
【0055】
着色組成物は、グラビアオフセット用印刷インキ、水無しオフセット印刷インキ、インクジェット用インキ、シルクスクリーン印刷用インキ、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジストの形態で調製することができる。
【0056】
顔料は、着色組成物の全固形分量を基準(100質量%)として5〜70質量%の割合で含有されることが好ましい。より好ましくは、20〜50質量%の割合で含有され、その残部は、顔料担体により提供される樹脂質バインダーから実質的になる。着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子および混入した塵の除去を行うことが好ましい。
【0057】
透明基板としては、ソーダ石灰ガラス、低アルカリ硼珪酸ガラス、無アルカリアルミノ硼珪酸ガラスなどのガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂板が用いられる。また、ガラス板や樹脂板の表面には、液晶パネル化後の液晶駆動のために、酸化インジウム、酸化錫、酸化亜鉛、酸化アンチモンなどの金属酸化物の組み合わせからなる透明電極が形成されていてもよい。
【0058】
透明基板上に着色層を形成する場合はフォトリソグラフィ法適用し、溶剤現像型あるいはアルカリ現像型着色レジストとして調製した着色組成物を、透明基板上に乾燥膜厚が0.2〜10μmとなるように塗布する。塗布する手段はスピンコート、ディップコート、ダイコートなどが通常用いられるが、基板上に均一な膜厚で塗布可能な方法ならばこれらに限定されるものではない。塗布膜を乾燥させる際には、減圧乾燥機、コンベクションオーブン、IRオーブン、ホットプレート等を使用してもよい。プリベークは50〜120℃で1〜20分ほどすることが好ましい。次に、感光性着色組成物を塗布し着色層を形成した基板に接触あるいは非接触状態で設けられた所定のパターンを有するパターンマスクを介して紫外線露光を行う。光源には通常の高圧水銀灯などを用いればよい。マスクとのアライメントマークを確認する際、赤外光(750nm〜1000nm)を使用する。
【0059】
続いて現像を行う。溶剤またはアルカリ現像液に浸漬するかもしくはスプレーなどにより現像液を噴霧して未硬化部を除去して所望のパターンを形成する。現像に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。現像処理方法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。現像後、水洗、乾燥して任意の一色の画素と積層パターンが得られる。さらに、着色レジストの重合を促進するため、必要に応じて加熱を施すこともできる。
【0060】
以上の一連の工程を、着色組成物およびパターンを替え、必要な数だけ繰り返すことで、遮光パターンと、この遮光パターンで区画された必要な色数の着色層が組み合わされた着色パターンすなわち複数色の画素を得ることができる。また、同時にこの着色層の少なくとも2色以上を用いて、積層スペーサが形成される。
【0061】
なお、紫外線露光感度を上げるために、前記した着色レジストを塗布乾燥後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂、例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等を塗布乾燥し酸素による重合阻害を防止する膜を形成した後、紫外線露光を行うこともできる。
【0062】
本発明のカラーフィルタ基板では画素及び積層スペーサの上に、さらに透明保護層を形成しても良い。垂直配向の液晶やOCB(Optically Compensated
Birefringence)と呼ばれる液晶、強誘電性液晶、ECB(Electrical Controlled Birefringence)と呼ばれる液晶など、透明電極による液晶セルギャップの厚み方向の電界駆動が必要な液晶では、画素および積層PSを形成する工程と透明保護層を形成する工程の後に、透明導電膜を形成する工程を入れる事もできる。この場合には積層スペーサ上の透明電極の上か、又は、対向基板のスペーサが接触する部位に絶縁層を形成する。この絶縁層は、視野角や応答性改善などの液晶配向規制(配向制御)を目的とした配向規制突起と同時に形成しても良い。絶縁層は、カラーフィルタ基板として透明導電膜形成が不必要な、たとえばIPS(横電界)方式の液晶表示装置の場合はこれを省く事ができる。
【0063】
液晶が垂直に配向する、たとば、VA方式の液晶表示装置では、あらかじめブラックマトリクス、着色画素層および積層スペーサ上に透明電極を形成し、この透明電極上に、さらに透明樹脂を用いたスペーサや配向制御用の突起を形成しても良い。
【0064】
透明導電膜を形成する方法は、蒸着、イオンプレーティング、スパッタリングと呼ばれる真空成膜の手法が一般的である。透明導電膜には、インジウム、スズ、ガリウム、亜鉛などの金属酸化物の複合酸化物を用いることができる。
【0065】
本発明のカラーフィルタ基板を液晶表示装置の製造に適用する場合、カラーフィルタ基板及びアレイ基板に配向処理を行う必要がある。配向処理は、配向膜を液晶表示装置用基板の液晶に接する面の側に形成し、必要に応じて、液晶表示装置用基板の液晶界面での液晶の方向を一様に揃える処理を実施する。
【0066】
配向膜は、液晶を所定の方向に配向させる性質をもつので、所定の液晶モードに合せて配向膜を選定する必要がある。配向膜の材料としては、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂などの感光性または非感光性のものが好ましく用いられるが、これらに限られるものではない。ただし、配向膜の耐熱性・信頼性の点からポリイミド系樹脂が好ましい。
【0067】
ポリイミド系樹脂を用いた配向膜は、可溶性ポリイミド溶液やポリアミック酸溶液を液晶表示装置用基板上に形成した後に、必要に応じて乾燥、焼成や光照射して得られる。配向膜材料は基板上に、フレキソ印刷、スピンコート、ロールコート、スリットダイコート、シルク印刷、インクジェット印刷等により液晶表示装置用基板上に形成される。配向膜として好ましく用いられるポリイミド系樹脂としては、特に限定されるものではないが、ポリアミック酸を加熱または適当な触媒によってイミド化したものが好適に用いられる。
【0068】
本発明のカラーフィルタ基板を液晶表示装置に適用するに当たって、市販されている配向膜を用いてもよい。例えば、ジェイエスアール社製のAL1000、AL1068、AL1072、AL1077、AL1F00、AL3000、AL4000、AL5000、AL6000、AL7000、AL8000、AL1H659、AL60101、AL60601、JALS−146、JALS−212、JALS−246、JALS−406、JALS−445、JALS−469、JALS−550、JALS−552、JALS−553、JALS−555、JALS−556、JALS−566、JALS−725、JALS−1082、JALS−1085、JALS−1216、チッソ社製のPIA−5140、PIA−5150、PIA−5310、PIA−X322、PIA−2024、PIA−2700、PIA−2800、PIA−2900、日産化学社製のSE−130、SE−150、SE−2110、SE−410、SE−610、SE−1180、SE−2170、SE−1211、SE−1410、SE−3140、SE−3210、SE−3310、SE−3510、SE−5291、SE−5300、SE−6210、SE−7492、SE−7992、SE−7511L、SE−8192L、RN−1322、RN−1332、RN−1349、RN−1358、RN−1386、RN−1417、RN−1436、RN−1450、RN−1477、RN−1486などを単独で用いても良いし、これらの内の2種以上を混合して用いても良いし、また適宜他のポリマー成分を添加しても良いし、これらの製品に含まれる樹脂成分を適宜選択して用いてもよい。
【0069】
配向膜の溶液に使用される溶剤としては、水、エタノール、メタノール、イソブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノールなどのアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、ジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルなどのエーテル類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトンなどのエステル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、2−ピロリドン、N−メチルピロリドンなどのピロリドン類、ブチルセロソルブなどを使用することができる。
【0070】
液晶界面での液晶の方向を一様に揃える処理は、液晶の方向(ダイレクター)を液晶表示装置用基板の水平近くまで配向させる必要のあるTNやIPSといった液晶表示モードで用いられるものであり、レーヨンやコットンといった布で配向膜を擦るラビング処理や偏光を制御した光を照射する光配向処理等が用いられる。
【0071】
液晶表示装置の液晶層厚みは、本発明のカラーフィルタ基板に形成された積層スペーサによって保持される。
【0072】
積層スペーサの高さ測定には、触針式膜厚計のような接触式の膜厚測定機や、光干渉計やレーザー顕微鏡といった非接触膜厚測定機を用いることが可能であるが、基板への汚染性や測定精度を考慮すると非接触式膜厚計を用いることが望ましい。
【0073】
液晶表示装置の製造において、一対の液晶表示装置用基板としてのアレイ基板とカラーフィルタ基板とで、液晶を挟持し固定化する封止剤には、アクリル系樹脂などの光硬化樹脂やエポキシ系樹脂などの熱硬化樹脂を用いることができ、もしくは光硬化樹脂と熱硬化樹脂の両方の樹脂混合物を用いることが出来る。
【0074】
液晶表示装置に使用される液晶材料としては、表示モード、駆動方式に応じて適宜選択することができ特に制限されない。本発明に使用するネマティック液晶としては、表示方式に応じて例えば、誘電異方性△εが正のもの、負のものを適宜用いることができる。
【0075】
本発明の液晶表示装置の構成を実施するために、市販されている液晶を用いてもよい。例えば、TN方式であれば、メルク社製MLC−6222、MLC−6625、MLC−6628、MLC−6880、MLC−6888、MLC−7081、ZLI−4792、ZLI−5091などにカイラル剤を添加して使用することができる。また、MVA方式であれば、メルク社製MLC−6601、MLC−6614、MLC−6686、MLC−6692、MLC−6608、MLC−6609、MLC−6610、MLC−6222、MLC−6252、MLC−6256、MLC−6625、MLC−6628などを使用することが出来る。IPS方式であれば、MLC−2041、MLC−6601、MLC−6614、MLC−6686、MLC−6692などを使用することが出来る。
【0076】
液晶表示装置用基板への液晶材料の滴下には、プランジャポンプ方式のディスペンサが用いられる。液晶材料滴下用ディスペンサは、円筒状の筐体に液晶材料を導入し、細長い棒状のプランジャを鉛直方向に移動させることによって液晶をノズルから滴下する。液晶材料の滴下量の調整は、ポンプコントローラを用いてのプランジャの移動量によって行う。
【0077】
一対のカラーフィルタ基板とアレイ基板を貼り合せる際に行う減圧は、1Pa以下で行うことが好ましい。1Pa以上の圧力で貼り合せを行うと液晶材料が十分に広がらなかったり、貼り合せ後にカラーフィルタ材料や液晶材料等から揮発性ガスが発生して液晶セル内に残存することにより気泡が発生することがある。
【0078】
封止剤を硬化させる工程には、紫外線(UV)照射を用いる。UV照射を行う際には、表示画素部分に光を当てないようにする必要がある。封止剤にUV照射を行った後、通常100〜150℃で30〜90分の加熱処理が行われる。この処理により、封止剤を熱硬化させるとともに、液晶材料の相転移温度以上の熱をかけることによって、液晶材料の再配向を促すことができる。こうして得られた液晶表示用基板を断裁後、駆動用ドライバ、偏光板及びバックライトユニットを装着することによって液晶表示装置として完成する。
【0079】
本発明のカラーフィルタ基板を備えた液晶表示装置は、視野角を拡大するために、光学補償層として位相差フィルムを備えることができる。位相差フィルムとしては、延伸複屈折ポリマーフィルムが従来から使用されているが、延伸複屈折フィルムからなる光学補償シートに代えて透明支持体上に低分子あるいは高分子液晶性化合物から形成された光学異方性層を有する光学補償層を使用すること、又は延伸複屈折フィルムからなる光学補償層に加えて低分子あるいは高分子液晶性化合物から形成された光学異方性層を有する光学補償層を使用してもよい。またこの光学補償層を液晶セルの内部に形成してもよい。
【0080】
位相差フィルムの光学的性質は、液晶セルの光学的性質、具体的には前述した表示モードの違いに応じて決定され、例えばIPSモード用位相差フィルムは、偏光板の視野角依存性を補償して全方位で黒表示の輝度を低くしコントラストの視角特性を向上させることができる。さらに位相差フィルムの光学的性質は、光の波長毎に最適な値に設計することで、色変化の少ない広視野特性を有する液晶表示装置を提供する。特にマルチギャップやマルチドメインと組合せると有効である。また視野角を拡大するのではなく、特定方向のみから表示が観察できるような狭視野角化も可能である。
【0081】
本発明に係る液晶表示装置に利用可能な位相差フィルムとして、シクロオレフィンポリマー(以下、COPと称する)等の管状オレフィン系樹脂や、TAC等のセルロース系樹脂を延伸処理したポリマーやポリマーフィルム等からなる支持体上に、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類等の棒状液晶性分子(季刊化学総説第22巻液晶の化学(1994)日本化学会編の第4章、第7章及び第11章、及び液晶デバイスハンドブック日本学術振興会第142委員会編の第3章などを参照)、ディスコティック液晶性化合物(C.Destrade et al.,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,vol.71,page 111(1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(17)(1994);B.Kohne et al.,Angew. Chem.Soc.Chem.Comm.,page 1794(1985);J.Zhang et al.,J.Am.Chem.Soc., vol.116,page 2655(1994))等などを
参照)等の液晶性化合物を含有する組成物から形成された光学異方性層を有するフィルムが挙げられる。耐熱性、耐薬品性、透明性に優れ、剛性にも富むことから非液晶性ポリマーが好適に用いられる。
【0082】
前記ポリマーとして、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド等のポリマーが例示でき、高配向性、高透明性の点からポリイミドが特に好ましい。また、位相差フィルムとして市販のものを用いることもできる。例えば、日本ゼオン(株)社製(商品名「Zeonor」)、JSR(株)社製(商品名「Arton」)、コニカミノルタ(株)社製N−TACシリーズ、富士写真フィルム(株)社製フジタックシリーズなどが挙げられる。
【実施例】
【0083】
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においてこれに限定されるものではない。なお、以下で部はすべて質量部である。また、顔料の記号はカラーインデックスナンバーを示し、例えば、「PR254」は「C.I.Pigment Red 254」を、「PY150」は「C.I.Pigment Yellow 150」を表す。
【0084】
(硬化性樹脂組成物の調整)
[樹脂溶液(A−1)の合成]
反応容器にシクロヘキサノン800部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら加熱して、下記モノマーおよび熱重合開始剤の混合物を滴下して重合反応を行った。
【0085】
スチレン 60部
メタクリル酸 60部
メチルメタクリレート 65部
ブチルメタクリレート 65部
熱重合開始剤 10部
連鎖移動剤 3部
滴下後十分に加熱した後、熱重合開始剤2.0部をシクロヘキサノン50部で溶解させたものを添加し、さらに反応を続けてアクリル樹脂の溶液を得た。この樹脂溶液に固形分が20質量%になるようにシクロヘキサノンを添加してアクリル樹脂溶液を調製し、樹脂溶液(A−1)とした。アクリル樹脂の質量平均分子量は、約10000であった。
【0086】
[樹脂溶液(A−2)の合成]
反応容器にシクロヘキサノン800部を入れ、容器に窒素ガスを注入しながら加熱して、下記モノマーおよび熱重合開始剤の混合物を滴下して重合反応を行った。
【0087】
スチレン 55部
メタクリル酸 65部
メチルメタクリレート 65部
ベンジルメタクリレート 60部
熱重合開始剤 15部
連鎖移動剤 3部
滴下後十分に加熱した後、熱重合開始剤2.0部をシクロヘキサノン50部で溶解させたものを添加し、さらに反応を続けてアクリル樹脂の溶液を得た。この樹脂溶液に固形分が30質量%になるようにシクロヘキサノンを添加してアクリル樹脂溶液を調製し、樹脂溶液(A−2)とした。アクリル樹脂の質量平均分子量は、約20000であった。
【0088】
(着色組成物の調整)
下記の要領で赤、緑、青の着色組成物およびブラックマトリックス用の黒色組成物の調整を行った。
【0089】
<赤色着色組成物>
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルターで濾過して赤色着色組成物を得た。
【0090】
赤色顔料:C.I. Pigment Red 254 39.99部
赤色顔料:C.I. Pigment Red 177 4.50部
黄色顔料:C.I. Pigment Yellow 150 5.40部
分散剤(ビックケミー社製「Disperbyk−303」) 1.00部
樹脂溶液(A−1) 6.18部
樹脂溶液(A−2) 3.95部
多官能重合性モノマー 1.90部
光重合開始剤(チバガイギー社製「イルガキュア−OXE02」) 0.20部
増感剤 0.29部
シクロヘキサノン 36.59部
<緑色着色組成物>
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルターで濾過して緑色着色組成物を得た。
【0091】
緑色顔料:C.I. Pigment Green58 40.90部
黄色顔料:C.I. Pigment Yellow 150 8.37部
分散剤 1.00部
樹脂溶液(A−1) 4.11部
樹脂溶液(A−2) 4.11部
多官能重合性モノマー 2.00部
光重合開始剤 0.20部
増感剤 0.29部
シクロヘキサノン 39.02部
<青色着色組成物>
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルターで濾過して青色着色組成物を得た。
【0092】
青色顔料:C.I. Pigment Blue 15 20.00部
分散剤 1.00部
樹脂溶液(A−1) 2.82部
樹脂溶液(A−2) 1.72部
多官能重合性モノマー 7.73部
光重合開始剤 0.94部
増感剤 0.46部
シクロヘキサノン 33.76部
<黒色着色組成物>
下記組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルターで濾過して黒色組成物を得た。
【0093】
光重合開始剤 5.30部
アクリル樹脂 10.70部
エチレン性不飽和二重結合を有するモノマー 4.40部
黒色顔料分散液 23.40部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 56.20部
(ブラックマトリックスの形成)
最初に、上記黒色着色組成物をガラス基板上に、スプレーコート法により均一に塗布し、乾燥させる。次いで、フォトリソグラフィ法により、所望の遮光パターンを有するフォトマスクを介して紫外線を照射して露光した。次に、該紫外線未露光部分を炭酸ソーダからなる現像液を用いて、シャワー現像法にて洗い流して所望のパターンを形成した。現像後よく水洗し、さらに乾燥後、230℃で60分加熱処理してパターンを硬化させ、ブラックマトリックスを形成した。
【0094】
(着色層および積層スペーサの形成)
上記のようにしてブラックマトリックスを形成した基板上に、スプレーコート法により、前記赤色着色組成物を均一に塗布し、乾燥させた。次いで、フォトリソグラフィ法により、赤色画素を形成すべき領域および積層スペーサを形成する領域に、所望の遮光パターンを有するフォトマスクを介して紫外線を照射して露光した。次に、該紫外線未露光部分を炭酸ソーダからなる現像液を用いて、シャワー現像法にて洗い流して所望のパターンを形成した。現像後よく水洗し、さらに乾燥後、230℃で20分加熱処理してパターンを硬化させる。
【0095】
次に、前記組成の緑色着色組成物を用いて、赤色のパターン形成と同様の工程で、緑色画素を形成すべき領域、および既に赤色着色組成物が積層されている積層スペーサを形成する領域に緑色のパターンを形成した。
【0096】
次に、前記組成の青色着色組成物を用いて、赤色のパターン形成と同様の工程で、青色画素を形成すべき領域、および積層スペーサを形成する領域に青色のパターンを形成した。このとき、積層スペーサの最上部である青色は、積層1層目の赤色及び、2層目の緑色を覆い、青色着色層による固着保護層により一体化することにより、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色からなる、図2示すような、着色画素および積層スペーサを形成した。当実施例の赤(R)の平面視直径は25μm、緑(G)は17μm、青(B)はこれら2色を覆う大きさの30.0μmとした。このことで、スペーサ径は青色保護層上部と下位部の割合が17:30以上となった。すなわち、固着保護層である青色層の上面の平面視直径の値に対してその底面の平面視直径の値の割合が、55%以上100%未満となる。尚、スペーサ密度は画素サイズと必要とする耐圧力仕様により適宜調整できる。
【0097】
(透明電極の形成)
上記のようにして得られたカラーフィルタ基板の積層スペーサを含む表面に、基板温度200℃で、アルゴンと酸素を放電ガスとし、スパッタリング法によってITOをターゲットとして透明電極膜を膜厚140nmにて形成した。
【0098】
<比較例1>
形成する着色組成物積層スペーサを最上部である青色にて1層目、2層目を覆うことなく図1に示ように、3層の積層とし、更にその上を絶縁層にて膜厚1.2μmにて覆い実施例と同様の工程にてカラーフィルタ基板の作製を行った。
【0099】
<比較例2>
前記組成の青色着色組成物を用いて、積層スペーサを形成した。このとき最上部である青色は、積層1層目の赤色及び、2層目の緑色を覆い着色層による固着保護層により一体化することにより赤(R)、緑(G)、青(B)の3色からなる図2に示すような着色層および積層スペーサを、実施例と同様の工程で形成した。ただし、この比較例2の赤(R)の平面視直径は25μm、緑(G)は15μm、青(B)はこれら2色を覆う大きさの30.0μmとした。このことで、スペーサ径は最上部と下位部の割合が15:30となった。
【0100】
<弾性特性評価>
積層スペーサの高さを実施例、比較例1,2共に3.68μmとして、カラーフィルタ基板を作製した。このカラーフィルタ基板上の積層スペーサについて、弾性特性として、復元率、総変形量、塑性変形量の測定を実施した。荷重の水準は20mN、50mN、100mN、150mNの4水準とし、各水準での保持時間は5秒、圧子は50μmφ円錐台(先端はφ50μm平坦円形)を用いて測定を行った。図4に、加圧に対する復元率のグラフを、表1にその復元率の測定結果を示す。また図5に、加圧に対する総変形量のグラフを、表2にその総変形量の測定結果を示す。また、図6に、加圧に対する塑性変形量のグラフを、表3にその塑性変形量の測定結果を示す。
【0101】
【表1】

【0102】
【表2】

【0103】
【表3】

(押圧ムラ)
実施例、比較例1,2のカラーフィルタ基板の透明電極膜上にポリイミドよりなる配向膜を形成し、TFTを形成したガラス基板上にVA液晶を必要量滴下し、上記カラーフィルタを重ね合わせ、UV硬化性樹脂をシール材として用い、常温で1Pa以下の真空状態で貼り合わせを行い、3.5J/cmの照射量で露光することによりシール材を硬化させセル組みし、液晶表示装置を作製した。
【0104】
前記作製したそれぞれの液晶表示装置に対し、カラーフィルタ側から径1.5mmのデジタルプッシュプルゲージ(アイコーエンジニアリング株式会社製)により3kgfから押し圧ムラが発生するまでまで1kgf刻みで圧力をかけ押し圧ムラの発生状態を確認した。押し圧ムラが発生しない場合を○、押し圧ムラが発生した場合を×とした。表4に、押し圧ムラの測定結果を示す。
【0105】
【表4】

表1.2.3、4及びグラフ1.2.3に示した結果より、本発明に係る、青色着色組成物による固着保護層により、積層1層目の赤色及び、2層目の緑色を覆い一体化し、且つ、固着保護層の上部と下部の径の割合を17:30としたものは、従来の絶縁層を持つ比較例1の積層スペーサと特性的に差が無く、絶縁層を持たなくとも上部と下部の径の割合を上記以上とした場合、性能としては同等以上の性能を持つことが分かる。なお、比較例2に示すように、固着保護層の上部(上面部)の平面視直径の値に対して固着保護層の下部(底面部)の平面視直径の値の割合が、55%以上100%未満の条件を満たさない場合は、弾性特性がやや劣ることがわかった。この結果、本発明のカラーフィルタ基板では、従来の絶縁層の工程を減らし、費用効果をもたらすことが可能となる。
【符号の説明】
【0106】
1・・・ガラス基板 2・・・ブラックマトリクス
3〜8・・・着色層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板上に、ブラックマトリックス層と、複数色の着色組成物からなるそれぞれの着色画素と、アレイ基板との間隙を保つための積層スペーサとを有し、前記積層スペーサが、前記ブラックマトリックス層上の所望の部位に少なくとも1色以上の前記着色組成物を順に積層して形成される着色組成物積層スペーサと、前記着色組成物積層スペーサを上面から覆い該着色組成物積層スペーサを一体化させるための固着保護層が設けられている積層スペーサであることを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルタ基板。
【請求項2】
前記固着保護層は前記複数色の着色組成物の後順に入色する1色の着色組成物を用いて、該当する着色画素形成と同時に前記着色組成物積層スペーサの上部から下部までを被包する形で形成されていることを特徴とする請求項1に記載する液晶表示装置用カラーフィルタ基板。
【請求項3】
前記固着保護層の上部(上面部)の平面視直径の値は前記固着保護層の下部(底面部)の平面視直径の値に対する割合が、55%以上100%未満であることを特徴とする請求項1または2に記載する液晶表示装置用カラーフィルタ基板。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載する液晶表示装置用カラーフィルタ基板を備えたことを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−113037(P2012−113037A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−259983(P2010−259983)
【出願日】平成22年11月22日(2010.11.22)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】