説明

液晶表示装置,テレビジョン受像機

【課題】実際の液晶パネルの姿勢に適した表示特性で映像を表示させることのできる液晶表示装置及びテレビジョン受像機を提供すること。
【解決手段】映像を表示する液晶パネルの姿勢を検出し,その検出された液晶パネルの姿勢に対応して予め設定された補正パラメータに基づいて液晶パネルにおける視角依存性のある表示特性(視野角,コントラスト,明るさ,ガンマ特性,色調,色味など)を補正する。例えば,液晶パネルの表示面の水平に対する傾きが大きくなるほど液晶パネルの視野角を徐々に広くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,映像を表示する液晶パネルを備えてなる液晶表示装置及びテレビジョン受像機に関し,特に,液晶パネルにおける表示特性の補正技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は,入力される映像信号に基づいて映像を表示する液晶パネルを備えている。例えば,液晶表示装置の一例には,テレビジョン放送信号に基づいてテレビ番組を表示するテレビジョン受像機がある。また,近年,液晶表示装置は,携帯電話機や携帯型情報通信端末,各種の電化製品などにも搭載されている。
ところで,液晶表示装置の液晶パネルに表示される映像の見え方は,視聴者が液晶パネルを見る角度(視角)によって異なる。例えば,液晶パネルを斜めから見ると,表示映像の明るさの低下や色調の反転などが生じる。また,液晶パネルの表示映像を正常に見ることのできる視角の範囲は,液晶表示装置の性能を示す指標として視野角と称される。なお,視野角は,液晶パネルの表示面の垂線を中心とする角度で表される。この視野角は,液晶パネルに対向配置された視野角変更用液晶パネルにおける液晶分子の配向方向を変更することによって変更可能であることが知られている。
例えば特許文献1には,写真を撮影するカメラモードとオーディオ再生を行うオーディオモードとのいずれであるかに応じて,液晶パネルの表示映像の視野角を変更することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−162707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら,前記特許文献1に記載された技術では,動作モードに応じて液晶パネルの視野角を変更しているに過ぎない。そのため,視野角が実際の液晶パネルの姿勢に適したものでなく,視聴者が正常に映像を見ることができない可能性もある。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,実際の液晶パネルの姿勢に適した表示特性(視野角など)で映像を表示させることのできる液晶表示装置及びテレビジョン受像機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明は,映像を表示する液晶パネルと前記液晶パネルの姿勢を検出する姿勢検出手段とを備えてなる液晶表示装置であって,前記液晶パネルの各画素が視野角特性を個別に変更可能なサブピクセルを有してなり,前記姿勢検出手段により検出された前記液晶パネルの姿勢に対応して予め設定された補正パラメータに基づいて前記サブピクセルの視野角特性を変更することを特徴とする液晶表示装置として構成される。例えば,前記補正パラメータに基づいてコントラスト,明るさ,ガンマ特性,色調,色味のいずれか一つ又は複数が変更されるものである。
本発明によれば,実際の前記液晶パネルの姿勢に適した表示特性(視野角,コントラスト,明るさ,ガンマ特性,色調,色味など)で映像を表示させることが可能となる。
例えば,前記補正パラメータが,前記液晶パネルの表示面が鉛直から水平に近づくほど該液晶パネルの視野角が広くなるように前記サブピクセルの視野角特性を補正するものであることが考えられる。これにより,視角が小さい可能性が高い場合における前記液晶パネルの視野角を必要以上に広げることなく,視角が大きい可能性が高い場合に前記液晶パネルの姿勢に対応して視野角を広げることで視聴者に正常な映像を視聴させることが可能となる。
また,前記補正パラメータが,前記液晶パネルの表示面が鉛直から水平に近づくほど該液晶パネルの表示映像のコントラストや明るさが高くなるように前記サブピクセルの視野角特性を補正するものであることも考えられる。これにより,視角が小さい可能性が高い場合における前記液晶パネルの画質を必要以上に低下させることなく,視角が大きい可能性が高い場合に前記液晶パネルの姿勢に対応してコントラストや明るさを高くすることで視聴者にできるだけ高い画質で映像を視聴させることが可能となる。
ところで,本発明は,上記のように構成された前記液晶表示装置を備えてなるテレビジョン受像機の発明として捉えてもよい。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば,実際の液晶パネルの姿勢に適した表示特性(視野角,コントラスト,明るさ,ガンマ特性,色調,色味など)で映像を表示させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施の形態に係るテレビジョン受像機Xの外観を示す模式図。
【図2】本発明の実施の形態に係るテレビジョン受像機Xの概略構成を表すブロック図。
【図3】本発明の実施の形態に係るテレビジョン受像機Xの液晶パネル161の姿勢を説明するための図。
【図4】視野角特性の変更手法の一例を示す図。
【図5】補正情報の一例を示す図。
【図6】視野角特性の補正結果の一例を説明するための図。
【図7】補正情報の他の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
まず,図1を参照しつつ,本発明の実施の形態に係るテレビジョン受像機Xの外観構成について説明する。
図1に示すように,本発明の実施の形態に係るテレビジョン受像機Xは,映像を表示するモニタ部1(液晶表示装置の一例)と,該モニタ部1が着脱可能なクレードル部2とを備えている。なお,本発明は,例えばパーソナルコンピュータのディスプレイ装置や携帯電話機,携帯型情報通信端末,各種の電化製品などにも適用可能である。
ここに,図1(a)はモニタ部1をクレードル部2にセットした状態,図1(b)はモニタ部1をクレードル部2から取り外した状態を示している。
クレードル部2は,テレビジョン放送局からテレビジョン放送信号を受信するための放送受信アンテナ3に接続されている。そして,クレードル部2は,放送受信アンテナ3から受信したテレビジョン放送信号を有線通信又は電波による無線通信でモニタ部1に入力する。これにより,モニタ部1は,入力されたテレビジョン放送信号に基づいてテレビ番組の映像を表示する。もちろん,モニタ部1が,アンテナから有線又は無線でテレビジョン放送信号を直接受信するものであってもよい。
なお,クレードル部2は,商用交流電源4に接続され,該商用交流電源4から供給される電力によって駆動する。一方,モニタ部1は,商用交流電源に接続されず,該モニタ部1に搭載された二次電池などから供給される電力によって駆動する。前記二次電池は,モニタ部1がクレードル部2に装着されることにより充電される。また,クレードル部2からモニタ部1に対して無線で電力を供給する無線電力伝送技術を採用してもよい。もちろん,モニタ部1が商用交流電源に接続可能である構成も考えられる。
【0009】
続いて,図2を参照しつつモニタ部1及びクレードル部2の詳細構成について説明する。
図2に示すように,クレードル部2は,メイン制御部21,無線送受信部22,有線接続検出部23,映像処理部24,音声処理部25,チューナ26,外部入力部27,信号切換部28,OSD制御部29,有線インターフェース30などを備えている。
メイン制御部21は,CPU,RAM,ROMなどの制御機器を有しており,所定の制御プログラムに従って当該クレードル部2を統括的に制御するものである。なお,メイン制御部21は,ASICなどの電気回路であってもよい。
【0010】
チューナ26は,放送受信アンテナ3から地上デジタル放送やBS・CS放送などの各種テレビジョン放送の複数チャンネル分の映像信号及びその映像と同期した音声信号が重畳された信号(以下,放送信号という)を受信する。そして,チューナ26は,メイン制御部21から指示された放送チャンネルの信号を前記放送信号から抽出(選局)するとともに,その抽出信号の検波によって映像信号及び音声信号を取り出し,その映像信号及び音声信号を信号切換部28に入力する。
また,外部入力部27は,外部から入力されるコンポジット方式の映像信号及び音声信号や,セパレート方式の映像信号及び音声信号(いわゆるS端子の信号)等を信号切換部28に入力するインターフェースである。外部入力部27には,例えばDVDレコーダやブルーレイレコーダ,ハードディスクレコーダなどの映像再生装置Yが接続される。
信号切換部28は,メイン制御部21からの制御指示に従って選択したチューナ26及び外部入力部27のいずれか一方から入力される映像信号及び音声信号を映像処理部24及び音声処理部25に入力する。なお,メイン制御部21によるチューナ26や信号切換部28からの出力映像の選択は,モニタ部1のメイン制御信号11からの制御指示に基づいて行われるものであってもよい。
また,OSD制御部29は,メイン制御部21からの制御指示に従って,メニュー表示や電子番組表,各種のステータス情報(音量,表示チャンネル等)など,モニタ部1で映像に重畳して表示させるOSD情報を映像処理部24に入力する。
映像処理部24は,映像信号から水平同期信号及び垂直同期信号の分離,その同期信号に位相同期したクロック信号の生成,映像信号からの輝度信号及び色信号の分離,所定の表示特性改善処理などの各種映像処理を行い,その処理後の映像信号を出力するものである。また,映像処理部24は,OSD制御部29からOSD情報が入力されている場合,そのOSD情報を表示映像に重畳して表示するための映像信号を生成するOSD表示機能も有している。
音声処理部25は,例えば入力される音声信号に対してイコライズ処理やサラウンド処理等の各種信号処理を施し,その処理後の音声信号を出力するものである。
そして,映像処理部24及び音声処理部25から出力された映像信号及び音声信号は,無線送受信部22及び有線インターフェース30のそれぞれに入力される。
【0011】
無線送受信部22は,アンテナ22aを通じて電波の送受信を行うことによりモニタ部1の無線送受信部12との間で無線データ通信を実現する通信モデム機能を有している。前記通信モデム機能は,例えば無線LAN等にも用いられるIEEE802.11規格などに準拠したOFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing)無線方式による無線通信を実現する。なお,この無線通信の周波数には,例えば2.4GHz帯や5GHz帯などが用いられる。
具体的に,無線送受信部22は,メイン制御部21からの制御指示に応じて,映像処理部24及び音声処理部25から出力される映像信号や音声信号などのデータを無線通信によりモニタ部1に送信する。例えば,映像信号及び音声信号はMPEG2などの映像圧縮フォーマットで伝送される。
【0012】
有線インターフェース30は,モニタ部1がクレードル部2に装着されることにより,モニタ部1の有線インターフェース18に接続される接続端子を有している。また,有線インターフェース30には,接続端子を介してモニタ部1との間で有線データ通信を実現するモデム機能なども含まれる。具体的に,有線インターフェース30は,メイン制御部21からの制御指示に応じて,映像処理部24及び音声処理部25から出力される映像信号や音声信号などのデータを有線通信によりモニタ部1に送信する。
有線接続検出部23は,有線インターフェース30が,モニタ部1の有線インターフェース18に接続されているか否か,即ちモニタ部1及びクレードル部2が有線接続されているか否かを検出する。なお,有線接続検出部23による接続の有無の検出手法は,従来の各種の断線検知技術などを利用することが可能である。そして,有線接続検出部23による検出結果は,メイン制御部21に入力される。前記検出結果は,メイン制御部21において,モニタ部1との間で有線通信及び無線通信のいずれによりデータ通信を行うかなどの判断に利用される。
【0013】
一方,モニタ部1は,メイン制御部11,無線送受信部12,データ処理部13,映像処理部14,音声処理部15,映像表示部16,スピーカ17,有線インターフェース18,傾斜角センサ163(姿勢検出手段の一例)などを備えている。
メイン制御部11は,CPUやRAMなどの制御機器を有しており,ROM11aに記憶された制御プログラムや各種パラメータに従って当該モニタ部1を統括的に制御するものである。なお,メイン制御部11は,ASICなどの電気回路であってもよい。
無線送受信部12は,アンテナ12aを通じて電波の送受信を行うことによりクレードル部2の無線送受信部22との間で無線データ通信を実現する通信モデム機能を有している。前記通信モデム機能は,例えば無線LAN等にも用いられるIEEE802.11規格などに準拠したOFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing)無線方式による無線通信を実現する。なお,この無線通信の周波数には,例えば2.4GHz帯や5GHz帯などが用いられる。具体的に,無線送受信部12は,クレードル部2から送信された映像信号や音声信号などのデータを無線通信により受信し,該データをデータ処理部13に入力する。
データ処理部13は,無線送受信部12から入力されるMPEG2などの映像圧縮フォーマットのデータを復号するデコーダである。そして,データ処理部13で復号された映像信号及び音声信号は,映像処理部14及び音声処理部15に入力される。
【0014】
有線インターフェース18は,モニタ部1がクレードル部2に装着されることにより,クレードル部2の有線インターフェース30に接続される接続端子を有している。また,有線インターフェース18には,接続端子を介してクレードル部2との間で有線データ通信を実現するモデム機能なども含まれる。具体的に,有線インターフェース18は,モニタ部1から送信される映像信号や音声信号などのデータを有線通信により受信し,該映像信号及び音声信号を映像処理部14及び音声処理部15に入力する。
音声処理部15は,データ処理部13又は有線インターフェース18から入力された音声信号に対し,ボリューム調整やイコライズ処理,サラウンド処理などの各種の音声処理を施し,その処理後の音声信号をスピーカ17に入力する。これにより,スピーカ17は,音声処理部15から入力された音声信号に基づいて音声を再生する。
【0015】
映像処理部14は,CPUやMPU等の演算手段を有しており,データ処理部13又は有線インターフェース18から入力される映像信号に対し,例えばスケーリング処理や解像度変換処理などの各種の画像処理を施し,その処理後の映像信号を映像表示部16に入力する。これにより,映像表示部16は,入力された映像信号に基づいて映像を表示する。
映像表示部16は,液晶パネル161及びバックライト162などを有している。
液晶パネル161は,液晶層と該液晶層に走査信号及びデータ信号を印加するための走査電極及びデータ電極とによって形成され,印加電圧により透過率が変化する複数の液晶素子を有する従来周知のアクティブマトリクス型の液晶パネルである。また,映像表示部16には,入力された映像信号,垂直同期信号及び水平同期信号に基づいて液晶パネル161の液晶素子の駆動を制御する液晶駆動回路(不図示)なども設けられている。これにより,液晶パネル161には,映像処理部14から入力される映像信号に基づく映像が表示される。
バックライト162は,液晶パネル161の少なくとも一辺に並設された多数のLEDと,そのLEDから照射された光を液晶パネル161の背面全体に導く導光板とを備えている。即ち,バックライト162は,液晶パネル161のエッジに配置されたLED各々によって液晶パネル161を背面から照明する所謂エッジ型のバックライトである。もちろん,バックライト162は,液晶パネル161の背面に配置されたLED等を有する所謂直下型のバックライトであってもよい。
【0016】
傾斜角センサ163は,液晶パネル161の姿勢を検出するものであって,該液晶パネル161又はバックライト162に設けられている。なお,傾斜角センサ163は,例えば加速度センサやジャイロセンサ等の従来周知の傾斜角センサである。傾斜角センサ163によって検出される液晶パネル161の姿勢はメイン制御部11に入力される。本実施の形態では,傾斜角センサ163は,液晶パネル161の上下方向(短手方向)の水平に対する傾き(水平軸周りの傾き)を検出するものとする。
具体的に,傾斜角センサ163は,図3に示すように,液晶パネル161を机上などに寝かせ置きした場合(表示面が水平方向と平行である場合)の傾斜角を0°として液晶パネル161の傾きを検出する。例えば,モニタ部1がクレードル部2に載置した場合や壁掛けで配置された場合など,液晶パネル161が鉛直方向と平行に立て置きされた場合の傾きは90°であり,同じくモニタ部1が上下反転状態で立て置きされた場合の傾きは−90°である。また,液晶パネル161は,視聴者により任意の角度(例えば45°)だけ傾斜した斜め置き(斜め持ち)の状態で使用されることもある。
【0017】
ところで,液晶パネル161では,図4に示すように,1画素ごとに4つのサブピクセル161a〜161dが含まれている。なお,図4(a)は4つのサブピクセル161a〜161dが左右方向に並べて配置されている構成例を示しており,図4(b)は4つのサブピクセル161a〜161dが上下左右に並べて配置されている構成例を示している。
また,サブピクセル161a〜161d各々はR,G,Bに対応する画素を含むものである。そして,モニタ部1では,液晶パネル161の液晶素子に印加される電圧によって該液晶素子におけるサブピクセル161a〜161d各々の視野角特性が変更される。初期状態において,液晶パネル161では,該液晶パネル161の表示面に垂直な方向から見たときの視認性や画質が最適となるように,サブピクセル161a,161b,161c,161d各々の視野角特性などの表示特性が調整されている。
【0018】
このように構成されたモニタ部1において,液晶パネル161の表示映像の見え方は,視聴者が液晶パネル161の表示面を見るときの該表示面の垂線に対する角度(視角)によって異なる。
そこで,本発明の実施の形態に係るテレビジョン受像機Xでは,モニタ部1のメイン制御部11が,傾斜角センサ163により検出された液晶パネル161の姿勢に応じて,液晶パネル161における視角依存性のある表示特性を補正する。
以下,メイン制御部11によって実行される視野角制御処理の内容について説明する。なお,本実施の形態では,液晶パネル161における視角依存性のある表示特性の一例として視野角特性を例に挙げて説明する。ここに,メイン制御部11は当該視野角制御処理を実行する表示特性補正手段と考えることができ,同処理は他の制御部によって実行されてもよい。
【0019】
メイン制御部11が参照可能なROM11aには,例えば図5に示す補正情報が予め記憶されている。前記補正情報は,液晶パネル161の姿勢と補正パラメータPa〜Peとの対応関係を予め設定したものである。前記補正パラメータPa〜Peは,液晶パネル161の姿勢各々に対応する適切な視野角として予め設定された視野角を実現するために予め設定されたパラメータである。例えば,補正パラメータPa〜Peは,液晶パネル161の姿勢(傾き)を所定範囲ごとに区切り,その所定範囲ごとに対応付けて設定しておけばよい。
ここに,補正パラメータPa〜Peは,液晶パネル161の立て置きの状態で視聴者が該液晶パネル161をその表示面の垂線方向から見たときに画質が最良となる視野角特性を「通常」の視野角特性(以下「通常視野角特性」と称する)として,その通常視野角特性を液晶パネル161の姿勢に対応する視野角特性に補正するためのパラメータである。
具体的に,図5に示す補正情報の補正パラメータPa〜Peは,液晶パネル161の姿勢が立て置き又は上下反転立て置きから寝かせ置きに近づくに連れて,即ち液晶パネル161の表示面が鉛直から水平に近づくほど,液晶パネル161の表示映像の視野角が徐々に広くなるように定められている。従って,液晶パネル161の視野角は,寝かせ置きのときに最大となり,立て置きや上下反転立て置きのときに最小となる。
そして,メイン制御部11は,傾斜角センサ163によって検出された液晶パネル161の姿勢に応じて前記補正情報から補正パラメータPa〜Peのいずれかを抽出し,その補正パラメータに基づいて液晶パネル161の表示映像の視野角を補正する。具体的には,メイン制御部11からの制御指示に応じて,液晶パネルの各液晶素子に印加する電圧値が変更されることにより,液晶パネル161の視野角が変更される。これにより,液晶パネル161の視野角は,該液晶パネル161の姿勢に対応して予め設定された適切な視野角に調整することが可能となる。
【0020】
ここに,図6は,メイン制御部11による液晶パネル161の視野角の一例を示す図である。具体的に,液晶パネル161が立て置き又は上下反転立て置きされた場合の通常視野角特性を示すものである。また,以下では,前記通常視野角特性における液晶パネル161の表示面に垂直な方向から見たときのコントラストを100%としてコントラストを表すものとする。なお,液晶パネル161の映像を正常に見ることのできる視野角をコントラストが60%以上の視角の範囲とする。
この状態では,視角が±45°以内である場合にコントラストが60%以上となり,視野角は90°である。特に,図6に示す視野角特性は,視角が0°のときにコントラストが100%であり,該液晶パネル161の表示面の垂線方向から見たときに最も適した表示特性である。メイン制御部11は,この視野角特性を補正パラメータPa〜Peに基づいて補正することにより,液晶パネル161の姿勢に適した視野角特性を実現する。なお,液晶パネル161が立て置きや上下反転立て置きの場合に対応する補正パラメータPa,Peは「普通」の視野角特性を維持するものである。
【0021】
そして,液晶パネル161が寝かせ置きされた場合(0°),メイン制御部11は,その状態に対応した補正パラメータPcを前記補正情報(図5参照)から抽出する。ここに,補正パラメータPcは,液晶パネル161の視野角を0°の方向から見たときにコントラストが最適となるように,液晶パネル161の各画素におけるサブピクセルを制御するために予め定められたものである。具体的に,液晶パネル161が寝かせ置きされている場合にはサブピクセル161b,161cを0°の方向から見たときにコントラストが最適となるように制御すればよい。なお,サブピクセル161bは液晶パネル161の下方向から,サブピクセル161cは液晶パネル161の上方向から0°の角度で見たときに最適となるように調整すればよい。
これにより,液晶パネル161が寝かせ置きされ,視聴者が斜め方向から該液晶パネル161を視聴する場合であっても,視聴者はその液晶パネル161の映像を正常に視聴することができる。
ところで,液晶パネル161を0°の方向から見たときの他のサブピクセル161a,161dのコントラストや明るさは低下するため,該サブピクセル161a,161dのコントラストや明るさが高くなるように補正することが望ましい。
【0022】
また,液晶パネル161が45°又は−45°の傾斜で斜め置きされた場合,メイン制御部11は,その状態に対応した補正パラメータPbを前記補正情報から抽出する。ここに,補正パラメータPb又はPcは,液晶パネル161の視野角を45°又は−45°の方向から見たときにコントラストが最適となるように,液晶パネル161の各画素におけるサブピクセルを制御するために予め定められたものである。具体的に,液晶パネル161が45°傾斜している場合にはサブピクセル161bを45°の方向から見たときにコントラストが最適となるように制御すればよい。同じく,液晶パネル161が−45°傾斜している場合にはサブピクセル161cを−45°の方向から見たときにコントラストが最適となるように制御すればよい。
これにより,液晶パネル161が45°又は−45°の傾斜で斜め置きされ,視聴者が45°又は−45°の斜め方向から該液晶パネル161を視聴する場合であっても,視聴者はその液晶パネル161の映像を正常に視聴することができる。
この場合にも,液晶パネル161が45°の傾斜で斜め置きされた場合には,その方向に対応するサブピクセル161bを除く残りのサブピクセル161a,161c,161dのコントラストや明るさは低下するため,該サブピクセル161a,161c,161dのコントラストや明るさが高くなるように補正することが望ましい。また,液晶パネル161が−45°の傾斜で斜め置きされた場合には,その方向に対応するサブピクセル161cを除く残りのサブピクセル161a,161b,161dのコントラストや明るさは低下するため,該サブピクセル161a,161b,161dのコントラストや明るさが高くなるように補正することが望ましい。
【0023】
以上説明したように,テレビジョン受像機Xでは,モニタ部1の液晶パネル161の視野角が,実際の液晶パネル161の姿勢に応じて適切に調整されるため,視角が小さい可能性が高い場合における液晶パネル161の視野角を必要以上に広げることなく,視角が大きい可能性が高い場合に液晶パネル161の姿勢に対応して視野角を広げることで視聴者に正常な映像を視聴させることが可能となる。
また,前記通常視野角特性の補正手法としては,液晶パネル161の姿勢ごとに対応付けられた補正パラメータPa〜peに基づく補正に限らず,例えば予め設定した所定の演算式により液晶パネル161の姿勢(傾き)に応じて補正率を算出し,その補正率に従って前記通常視野角特性の変更を行うことも他の実施例として考えられる。
【実施例1】
【0024】
ところで,前記実施の形態では,液晶パネル161における視角依存性のある表示特性の一例として視野角特性を例に挙げて説明した。一方,液晶パネル161による映像表示については,視野角の他にコントラスト,明るさ,ガンマ特性,色調,色味などの表示特性も視聴者の視角によって変化する視角依存性を有する。
そのため,メイン制御部11が,視野角,コントラスト,明るさ,ガンマ特性,色調,色味などの視角依存性のある表示特性のうちいずれか一つ又は複数を,液晶パネル161の姿勢に対応して予め設定された補正パラメータに従って適切に変更することが他の実施例として考えられる。
ここに,図7は液晶パネル161の表示特性の補正に用いられる補正パラメータPa〜Peの内容の他の例を示すものである。図7に示すように,液晶パネル161の表示面が水平に近づくほど明るさやコントラストが徐々に高くなり,且つ視野角が徐々に広くなるように,液晶パネル161の姿勢に対応する補正パラメータPa〜Peの内容を定めておくことが考えられる。
そして,メイン制御部11は,傾斜角センサ163によって検出された液晶パネル161の姿勢に対応する補正パラメータPa〜Peのいずれかを抽出し,映像処理部14を制御することにより,液晶パネル161の表示映像の明るさ,コントラスト,視野角を適切に調整する。
これにより,視角が小さい可能性が高い場合における液晶パネル161の画質を必要以上に低下させることなく,視角が大きい可能性が高い場合に液晶パネル161の姿勢に対応してコントラストや明るさを高くすることで視聴者にできるだけ高い画質で映像を視聴させることが可能となる。また,視角が小さい可能性が高い場合における液晶パネル161の視野角を必要以上に広げることなく,視角が大きい可能性が高い場合に液晶パネル161の姿勢に対応して視野角を広げることで視聴者に正常な映像を視聴させることも可能となる。
【実施例2】
【0025】
また,前記実施の形態では,液晶パネル161の上下方向の傾き(水平軸周りの傾き)に応じてその上下方向の視野角を調整する場合を例に挙げて説明した。一方,液晶パネル161の視野角には,該液晶パネル161の左右方向(長手方向)の視野角もある。そのため,同様の手法により,メイン制御部11が,液晶パネル161の上下方向の視野角に代えて左右方向の視野角を,該液晶パネル161の左右方向の傾き(鉛直軸周りの傾き)に応じて適切に調整することも考えられる。
この場合は,サブピクセル161a,161d各々のコントラストや明るさを,液晶パネル161の傾斜角度に応じて最適に設定し,他のサブピクセル161b,161cのコントラストや明るさを上げるように補正すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明は,液晶表示装置やテレビジョン受像機への利用が可能である。
【符号の説明】
【0027】
1 :モニタ部(液晶表示装置)
2 :クレードル部
3 :放送受信アンテナ
4 :商用交流電源
11:メイン制御部
11a:ROM
12:無線送受信部
12a:アンテナ
13:データ処理部
14:映像処理部
15:音声処理部
16:映像表示部
161:液晶パネル
161a〜161d:サブピクセル
162:バックライト
163:傾斜角センサ
17:スピーカ
18:有線インターフェース
21:メイン制御部
22:無線送受信部
22a:アンテナ
23:有線接続検出部
24:映像処理部
25:音声処理部
26:チューナ
27:外部入力部
28:信号切換部
29:OSD制御部
30:有線インターフェース
X :テレビジョン受像機
Y :映像再生装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像を表示する液晶パネルと前記液晶パネルの姿勢を検出する姿勢検出手段とを備えてなる液晶表示装置であって,
前記液晶パネルの各画素が視野角特性を個別に変更可能なサブピクセルを有してなり,前記姿勢検出手段により検出された前記液晶パネルの姿勢に対応して予め設定された補正パラメータに基づいて前記サブピクセルの視野角特性を変更することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記補正パラメータに基づいてコントラスト,明るさ,ガンマ特性,色調,色味のいずれか一つ又は複数が変更されてなる請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記補正パラメータが,前記液晶パネルの表示面が鉛直から水平に近づくほど該液晶パネルの視野角が広くなるように前記サブピクセルの視野角特性を補正するものである請求項1又は2のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記補正パラメータが,前記液晶パネルの表示面が鉛直から水平に近づくほど該液晶パネルの表示映像のコントラスト及び/又は明るさが高くなるように前記サブピクセルの視野角特性を補正するものである請求項1〜3のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の液晶表示装置を備えてなるテレビジョン受像機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−189803(P2012−189803A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53231(P2011−53231)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】