説明

液晶表示装置

【課題】静電気による誤表示が生じにくい静電気防止構造を備えた液晶表示装置を提供する。
【解決手段】液晶表示パネル1と、この液晶表示パネル1が保持されるセルケース4と、液晶表示パネル1の背後に配置された回路基板5と、液晶表示パネル1と回路基板5とを繋ぐ導電性の端子7(接続部材)と、液晶表示パネル1の周縁部を覆う表示板8(前面板)とを備えた液晶表示装置に於いて、表示板8に接触すると共に端子7のアース端子71(アース部)に接触する導通部材9を表示板8と液晶表示パネル1との間に配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両に備えられる液晶表示装置に関し、特に静電気防止構造を備えた液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルを備えた液晶表示装置としては、例えば下記特許文献1がある。この特許文献1に記載の液晶表示装置は、液晶表示パネル1が保持されるホルダー3と、液晶表示パネル1の周縁部を抑える合成樹脂製のパネル抑え7と、液晶表示パネル1の前方側に配置された合成樹脂製の上ケース9などを備えており、液晶表示パネル1に設けられた電極部に外部測定量に応じた信号(電圧)が印加されると、例えば車両のエンジン回転数や燃料残量などが表示されるようになっている。
【特許文献1】特開2007−121486号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1の様な液晶表示装置に於いては、パネル抑え7や上ケース9などに帯電した静電気の影響を受けて液晶表示パネルの表示に誤表示が生じる虞がある。
【0004】
本発明はこの様な点に鑑みなされたもので、静電気による誤表示が生じにくい静電気防止構造を備えた液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は前記目的を達成するため、液晶表示パネルと、この液晶表示パネルが保持されるセルケースと、前記液晶表示パネルの背後に配置された回路基板と、前記液晶表示パネルと前記回路基板とを繋ぐ導電性の接続部材と、前記液晶表示パネルの周縁部を覆う前面板とを備えた液晶表示装置に於いて、前記前面板に接触すると共に前記接続部材のアース部に接触する導通部材を前記前面板と前記液晶表示パネルとの間に配置したものである。
【0006】
また、前記導通部材を前記前面板と部分的に接触させるようにしたものである。
【0007】
また、前記導通部材に前記アース部と接触する弾性を有する接触片を設けたものである。
【0008】
また、前記導通部材を前記セルケースに装着したものである。
【0009】
また、前記導通部材を前記前面板に装着したものである。
【0010】
また、液晶表示パネルと、この液晶表示パネルが保持されるセルケースと、前記液晶表示パネルの背後に配置された回路基板と、前記液晶表示パネルと前記回路基板とを繋ぐ導電性の接続部材と、前記液晶表示パネルの周縁部を覆う前面板とを備えた液晶表示装置に於いて、前記前面板と前記接続部材のアース部とを接触させるようにしたものである。
【0011】
また、前記前面板または前記アース部の何れか一方に他方に接触する弾性を有する接触片を設けたものである。
【発明の効果】
【0012】
静電気による誤表示が生じにくい静電気防止構造を備えた液晶表示装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本発明の第1実施形態を示す液晶表示装置の正面図である。図2は液晶表示装置の断面図(図1に於けるA−A断面)であり、図3は液晶表示装置の部分断面図(図1に於けるB−B断面)である。図4は液晶表示装置に用いられる導通部材の正面図である。
【0014】
液晶表示装置は、矩形で透過型の液晶表示パネル1と、この液晶表示パネル1の裏面側に配置された導光部材2と、液晶表示パネル1と導光部材2との間に配置された拡散シートやプリズムシートなどの光学フィルム3と、液晶表示パネル1,光学フィルム3および導光部材2が保持されるセルケース4と、このセルケース4の背後(液晶表示パネル1の背後でもある)に配置された硬質の回路基板5と、この回路基板5上に実装され液晶表示パネル1を照明する光源としての発光ダイオード6と、液晶表示パネル1と回路基板5とを繋ぐ導電性の接続部材としての端子7を備えている。
【0015】
また、液晶表示パネル1の周縁部を覆う前面板としての表示板8と、この表示板8と液晶表示パネル1との間に配置された導通部材9と、表示板8に設けられ車両の作動状態などを表示する報知表示部8Aと、回路基板5上に実装され報知表示部8Aを照明する光源としての報知表示部用発光ダイオード10と、表示板8およびセルケース4の周縁部を覆う見返し部材11などを備えている。
【0016】
液晶表示パネル1は、詳細は図示しないが周知の如く、前側ガラス基板1Aと後側ガラス基板1Bとの間に液晶分子を封入し、各々のガラス基板1A,1Bに偏光膜を貼ったものである。また、液晶表示パネル1には複数の端子7が固着してある。端子7の一端は各ガラス基板1A,1Bから引き回された図示しない透明な電極部と電気的に接続され、他端は回路基板5に形成されている回路と電気的に接続されるようになっている。そして、端子7を通して電極部に外部測定量に応じた信号(電圧)が印加されると、車両の作動状態(例えば車両の速度)などが表示される液晶表示部1Cが黒色で現れるようになっている。液晶表示部1C以外の背景部1Dは、回路基板5に実装してある発光ダイオード6の点灯によって透過照明されるようになっている。
【0017】
端子7は、例えばリン青銅やステンレスなどからなる金属製であり、断面が略コ字状の挟持部7Aとリード部7Bとを有している。挟持部7Aに液晶表示素子1の後側ガラス基板1Bの端縁が挟み込まれ、前述した様に電極部と電気的に接続され、リード部7Bの下端は回路基板5に形成されている回路に半田付され(繋がれ)る。本実施形態に於ける端子7は8本であり、形状は全て同一であるが、その内の1本はアース端子71(アース部)である。
【0018】
セルケース4は例えば白色の合成樹脂からなり、導光部材2,光学フィルム3および液晶表示パネル1が載置される載置部4Aと、導光部材2や液晶表示パネル1の外周に沿って設けられた周壁4Bと、表示板8に設けられた各報知表示部8Aにそれぞれ対応した灯室4Cなどを有している。
【0019】
回路基板5には、前述した様に液晶表示パネル1を照明する発光ダイオード6や報知表示部8Aを照明する報知表示部用発光ダイオード10の他に、図示しないが電源回路や液晶を駆動させる駆動回路などの制御手段が実装されている。また、端子7のリード部7Bに対応した箇所に貫通孔5Aが設けられており、リード部7Bの下端側が貫通孔5Aに挿入されて半田付される。
【0020】
表示板8は、液晶表示パネル1の可視領域を視認可能とする開口窓8Bを有し、液晶表示パネル1の周縁部を覆うようにセルケース4の周壁4B上に配置されている。この表示板8は、詳細は図示しないが、合成樹脂製の無色透明な基板の少なくともターンシグナル表示部8AAやアッパービーム表示部8ABなどの報知表示部8Aに対応した領域の表面側に薄いスモーク層を印刷し、ターンシグナルマークおよびアッパービームマークを除いて地部となる例えば黒色(不透過性)の地色層を印刷形成したものである。そして、報知表示部用発光ダイオード10が点灯すると、報知表示部用発光ダイオード10の発光色で報知表示部8Aが点滅または点灯し、車両運転者に車両の作動状態などを知らせるようになっている。
【0021】
導光部材2は、無色透明な合成樹脂からなる略平板であり、図2に示す様に、受光部2Aと反射面2Bを有している。そして、発光ダイオード6が点灯すると、発光ダイオード6からの光は受光部2Aに入射して反射面2Bで反射して導光部材2の面方向に導かれる。この光が光学フィルム3を透過して液晶表示部1C以外の背景部1Dを透過照明するようになっている。なお、導光部材2の端部側に受光部2Aを設けて発光ダイオード6からの光を入射するようにしたが、導光部材2の背面側に発光ダイオード6を配置して光を導き入れるようにしても良い。
【0022】
導通部材9は、例えばメッキ鋼板やステンレス鋼板などからなる金属製であり、表示板8の裏面に接触する平面部9Aと、平面部9Aの両端に設けられセルケース4の周壁4Bに装着される折り曲げ部9Bと、液晶表示素子1の後側ガラス基板1Bに固着されたアース端子71に接触する接触片9Cとを有しており、表示板8と液晶表示パネル1との間に配置されている。また、平面部9Aには表示板8側に突き出した半球状の突部9Dが複数形成され、この突部9Dと表示板8の裏面とが接触するようになっている。また、折り曲げ部9Bには突出部9Eが設けられている。
【0023】
見返し部材11は、剛性のある例えば黒色の合成樹脂からなり、表示板8あるいは液晶表示パネル1の可視領域を定める開口部11Aを有している。図示しないが、この見返し部材11はフックなどによってセルケース4に固定される。
【0024】
本実施形態に於ける液晶表示装置の組み付け方法を説明する。先ず、セルケース4の背面側に発光ダイオード6や制御手段などが実装された回路基板5をビスやフックなど(図示せず)によって組み付ける。その後、導光部材2,光学フィルム3,予め端子7が固着された液晶表示パネル1を順次セルケース4の載置部4A上に載置する。この際、前述した様に、端子7のリード部7Bの下端は回路基板5に設けられた貫通孔5Aに挿入されて半田付される。なお、半田付けは見返し部材11が組み付けられた後であっても良い。また、図示しないが、液晶表示パネル1の端縁はセルケース4に設けられた係止片によって係止される。
【0025】
次に、導通部材9を端子7が固着された液晶表示パネル1の縁部に沿うように載置してセルケース4に組み付ける(装着する)。例えば図3に示す様に、周壁4Bに突設した係止部4Dに導通部材9の折り曲げ部9Bに設けられた突出部9Eを係止させる。導通部材9をセルケース4に組み付けることによって、導通部材9の接触片9Cがアース端子71の挟持部7Aに接触するようになる。
【0026】
次に、表示板8をセルケース4の周壁4B上に配置する。これによって、本実施形態に於いては表示板8の裏面と導通部材9の平面部9Aに設けられた突部9Dとが接触するようになる。その後、見返し部材11をセルケース4に組み付ける(装着する)。見返し部材11をセルケース4に装着することによって、表示板8が浮き上がろうとすることがあっても、表示板8の周縁部が押さえられて浮き上がりを防ぐことができ、表示板8の裏面と導通部材9の突部9Dとが確実に接触される。
【0027】
この様に、液晶表示パネル1と、この液晶表示パネル1が保持されるセルケース4と、液晶表示パネル1の背後に配置された回路基板5と、液晶表示パネル1と回路基板5とを繋ぐ導電性の端子7(接続部材)と、液晶表示パネル1の周縁部を覆う表示板8(前面板)とを備えた液晶表示装置に於いて、表示板8に接触すると共に端子7のアース端子71(アース部)に接触する導通部材9を表示板8と液晶表示パネル1との間に配置したことにより、表示板8などに帯電しようとする静電気をアース端子71を通して回路基板5のアース回路へ逃がしてやることが可能となり、液晶表示パネル1に静電気による誤表示が生じにくい静電気防止構造を備えた液晶表示装置を得ることができる。
【0028】
また、導通部材9に半球状の突部9Dを複数形成し、この突部9Dと表示板8の裏面とを接触させるようにしたことにより、導通部材9と表示板8との接触が部分的となる。従って、導通部材9あるいは表示板8に僅かな変形が有ったとしても導通部材9と表示板8とが確実に接触するようになる。
【0029】
また、導通部材9をセルケース4に装着するようにしたことにより、液晶表示パネル1と導通部材9とを同一のセルケース4に保持(装着)させることとなり、液晶表示パネル1に固着されたアース端子71の位置と導通部材9の接触片9Cとの位置寸法に差が生じにくく、導通部材9とアース端子71とが確実に接触するようになる。
【0030】
なお、図示しないが、本実施形態の変形例として以下のことが考えられる。導通部材9の平面部9Aに設けた接触片9Cを弾性を有するものとし、挟持部7Aにテンションが加わった状態で接触させるようにする。この様に構成することによって、接触片9Cを確実に挟持部7A(アース端子71)に接触させることができる。
【0031】
図5は、本発明の第2実施形態を示す液晶表示装置の断面図(図1に於けるA−A断面に相当)である。図6は、導通部材を前面板に装着した状態を示す裏面図である。本実施形態に於ける液晶表示装置は表示板を備えていない。従って、本実施形態に於ける見返し部材が本発明に於ける前面板となる。なお、前記第1実施形態と同一もしくは相当箇所については同一符号を付して詳細説明は省略する。
【0032】
液晶表示装置は、液晶表示パネル1と、この液晶表示パネル1の裏面側に配置された導光部材2と、液晶表示パネル1と導光部材2との間に配置された光学フィルム3と、これらが保持されるセルケース4と、このセルケース4の背後に配置された回路基板5と、この回路基板5上に実装された発光ダイオード6と、液晶表示パネル1と回路基板5とを繋ぐ導電性の接続部材としての端子7と、液晶表示パネル1の周縁部を覆う前面板としての見返し部材11と、この見返し部材11と液晶表示パネル1との間に配置された導通部材9などを備えている。
【0033】
セルケース4は例えば白色の合成樹脂からなり、導光部材2,光学フィルム3および液晶表示パネル1が載置される載置部4Aと、導光部材2や液晶表示パネル1の外周に沿って設けられた周壁4Bなどを有している。
【0034】
導通部材9は、例えばメッキ鋼板やステンレス鋼板などからなる金属製であり、見返し部材11の裏面に接触する平面部9Aと、液晶表示素子1の後側ガラス基板1Bに固着されたアース端子71に接触する接触片9Cとを有しており、見返し部材11と液晶表示パネル1との間に配置されている。この接触片9Cは弾性を有するようになっている。また、平面部9Aの両端側には丸孔9Fが設けてある。
【0035】
見返し部材11は、剛性のある例えば黒色の合成樹脂からなり、液晶表示パネル1の可視領域を定める開口部11Aを有している。また、導通部材9に設けられた丸孔9Fに対応した箇所に丸ピン11Bが突設してある。この見返し部材11に導通部材9が装着されて、見返し部材11と導通部材9とが接触するようになる。丸ピン11Bと導通部材9に設けられた丸孔9Fとを嵌合させた後、丸ピン11Bの先端部に熱を加えて溶かして(熱溶着)導通部材9を見返し部材11の裏面に固定すれば良い。
【0036】
本実施形態に於ける液晶表示装置の組み付け方法を説明する。前記第1実施形態と同様に、セルケース4の背面側に回路基板5を組み付ける。その後、導光部材2,光学フィルム3,端子7が固着された液晶表示パネル1を順次セルケース4の載置部4A上に載置する。図示しないが、液晶表示パネル1の端縁はセルケース4に設けられた係止片によって係止される。
【0037】
次に、導通部材9が予め装着された見返し部材11をフックなど(図示せず)によってセルケース4に組み付ける(装着する)。これによって、導通部材9の接触片9Cがアース端子71の挟持部7Aに接触するようになる。この際、接触片9Cが弾性を有しているために挟持部7Aにテンションが加わった状態となる。
【0038】
この様に構成したことにより、見返し部材11などに帯電しようとする静電気をアース端子71を通して回路基板5のアース回路へ逃がしてやることが可能となり、前記第1実施形態と同様に、液晶表示パネル1に静電気による誤表示が生じにくい静電気防止構造を備えた液晶表示装置を得ることができる。
【0039】
また、導通部材9を見返し部材11に丸孔9Fと丸ピン11Bとの嵌合によって固定するようにしたことにより、セルケース4側に導通部材9を装着するスペースが無い場合でも、単純かつコンパクトな構造で導通部材9を見返し部材11と液晶表示パネル1との間に配置できる。更に、導通部材9の平面部9Aに設けた接触片9Cを弾性を有するものとし、アース端子71の挟持部7Aにテンションが加わった状態で接触させるようにしたことによって、接触片9Cを確実に挟持部7A(アース端子71)に接触させることができる。
【0040】
図7は、本発明の第3実施形態を示す液晶表示装置の部分断面図(図1に於けるA−A断面に相当)である。本実施形態に於ける液晶表示装置は導通部材を備えていない。なお、前記第1実施形態と同一もしくは相当箇所については同一符号を付して詳細説明は省略する。
【0041】
液晶表示装置は、液晶表示パネル1と、導光部材2と、液晶表示パネル1と導光部材2との間に配置された光学フィルム3と、これらが保持されるセルケース4と、このセルケース4の背後に配置され発光ダイオード6などが実装された回路基板5と、液晶表示パネル1と回路基板5とを繋ぐ導電性の接続部材としての端子7と、液晶表示パネル1の周縁部を覆う前面板としての表示板8と、見返し部材11などを備えている。
【0042】
端子7は、例えばリン青銅やステンレスなどからなる金属製であり、断面が略コ字状の挟持部7Aとリード部7Bとを有している。挟持部7Aに液晶表示素子1の後側ガラス基板1Bの端縁が挟み込まれ、前述した様に電極部と電気的に接続され、リード部7Bの下端は回路基板5に形成されている回路に半田付され(繋がれ)る。端子7は全部で8本であるが、その内の1本はアース端子71(アース部)であり、他の7本の端子7とは形状が異なる。アース端子71の挟持部7Aには、図7に示す様に、液晶表示パネル1の中央側に延びる弾性を有する接触片としての端子接触片7AAが設けてある。この端子接触片7AAは表示板8側へ僅かに曲げられている。
【0043】
本実施形態に於ける液晶表示装置の組み付け方法を説明する。前記第1実施形態と同様に、セルケース4の背面側に回路基板5を組み付ける。その後、導光部材2,光学フィルム3,端子7が固着された液晶表示パネル1を順次セルケース4の載置部4A上に載置し、液晶表示パネル1の端縁をセルケース4に設けられた図示しない係止片に係止させる。なお、液晶表示パネル1に固着された端子の内、アース端子71は上述した様に端子接触片7AAが設けてある。
【0044】
次に、表示板8をセルケース4の周壁4B上に配置する。これによって、本実施形態に於いては表示板8の裏面とアース端子71の端子接触片7AAとが接触するようになる。この際、端子接触片7AAが弾性を有しているために表示板8にテンションが加わった状態となる。その後、見返し部材11をフックなど(図示せず)によってセルケース4に組み付ける(装着する)。見返し部材11をセルケース4に装着することによって、表示板8が浮き上がろうとすることがあっても、表示板8の周縁部が押さえられて浮き上がりを防ぐことができ、表示板8の裏面とアース端子71の端子接触片7AAとが確実に接触される。
【0045】
この様に構成したことにより、表示板8などに帯電しようとする静電気をアース端子71を通して回路基板5のアース回路へ逃がしてやることが可能となり、前記第1実施形態と同様に、液晶表示パネル1に静電気による誤表示が生じにくい静電気防止構造を備えた液晶表示装置を得ることができる。また、前記各実施形態の様な導通部材を用いず、表示板8とアース端子71とを直接接触させるようにしたことにより、コスト低減となる。
【0046】
また、アース端子71に弾性を有する端子接触片7AAを設けて、表示板8に常にテンションが加わった状態で接触させるようにしたことによって、表示板8と端子接触片7AA(アース端子71)とを確実に接触させることができる。
【0047】
なお、本実施形態に於いては表示板を備えた液晶表示装置としたが、表示板を備えていない液晶表示装置であっても良く、その場合は見返し部材11とアース端子71の端子接触片7AAとを接触させるようにすれば良い。
【0048】
図8は、本発明の第4実施形態を示す液晶表示装置の部分断面図(図1に於けるA−A断面に相当)である。本実施形態に於ける液晶表示装置は導通部材を備えていない。なお、前記各実施形態と同一もしくは相当箇所については同一符号を付して詳細説明は省略する。
【0049】
液晶表示装置は、液晶表示パネル1と、導光部材2と、液晶表示パネル1と導光部材2との間に配置された光学フィルム3と、これらが保持されるセルケース4と、このセルケース4の背後に配置され発光ダイオード6などが実装された回路基板5と、液晶表示パネル1と回路基板5とを繋ぐ導電性の接続部材としての端子7と、液晶表示パネル1の周縁部を覆う前面板としての表示板8と、見返し部材11などを備えている。
【0050】
端子7は、例えばリン青銅やステンレスなどからなる金属製であり、断面が略コ字状の挟持部7Aとリード部7Bとを有している。端子7は全部で8本であり、形状は全て同一であるが、その内の1本はアース端子71(アース部)である。
【0051】
表示板8は、図への記載は省略するが、液晶表示パネル1の可視領域を視認可能とする開口窓8Bと、報知表示部8Aを有し、液晶表示パネル1の周縁部を覆うようにセルケース4の周壁4B上に配置されている。また、表示板8には、図8に示す様に、アース端子71の挟持部7A方向に延びる弾性を有する接触片としての表示板接触片8Cが設けてある。この表示板接触片8Cはアース端子71の挟持部7A側へ僅かに曲げられている。
【0052】
本実施形態に於ける液晶表示装置の組み付け方法を説明する。前記第1実施形態と同様に、セルケース4の背面側に回路基板5を組み付ける。その後、導光部材2,光学フィルム3,端子7が固着された液晶表示パネル1を順次セルケース4の載置部4A上に載置し、液晶表示パネル1の端縁をセルケース4に設けられた図示しない係止片に係止させる。
【0053】
次に、表示板8をセルケース4の周壁4B上に配置する。これによって、本実施形態に於いては表示板8の表示板接触片8Cとアース端子71の挟持部7Aとが接触するようになる。この際、表示板接触片8Cが弾性を有しているために挟持部7Aにテンションが加わった状態となる。その後、見返し部材11をフックなどによってセルケース4に組み付ける(装着する)。見返し部材11をセルケース4に装着することによって、表示板8が浮き上がろうとすることがあっても、表示板8の周縁部が押さえられて浮き上がりを防ぐことができる。
【0054】
この様に構成したことにより、表示板8などに帯電しようとする静電気をアース端子71を通して回路基板5のアース回路へ逃がしてやることが可能となり、前記各実施形態と同様に、液晶表示パネル1に静電気による誤表示が生じにくい静電気防止構造を備えた液晶表示装置を得ることができる。また、導通部材を用いず、表示板8とアース端子71とを直接接触させるようにしたことにより、コスト低減が図れる。
【0055】
また、表示板8に弾性を有する表示板接触片8Cを設けて、アース端子71の挟持部7Aに常にテンションが加わった状態で接触させるようにしたことによって、表示板8と挟持部7A(アース端子71)とを確実に接触させることができる。
【0056】
なお、本実施形態に於いては表示板を備えた液晶表示装置としたが、表示板を備えていない液晶表示装置であっても良く、その場合は見返し部材11に弾性を有する接触片を設け、この接触片とアース端子71の挟持部7Aとを接触させるようにすれば良い。
【0057】
なお、前述した第1,第2,第4実施形態では、端子7の構造を全て同一構造とし、その内の一本をアース端子71(アース部)とたが、アース端子71(アース部)は、他の端子7とは配置位置や構造,材質が異なる専用の接続部材を用いることができる。同様に前記第3実施形態に適用したアース端子71(アース部)にしても、必ずしも他の端子7との共通部分を設ける必要はなく、液晶パネル1と表示板8等の前面板の双方に接触する接続部材であれば、任意の構造や材質を選択することができる。
【0058】
また、前記各実施形態に於いては、接続部材として金属製の端子7を用いたが、例えばFPCであっても良い。その際には、前記各実施形態で説明した導通部材9あるいは表示板8をFPCに形成されたアース回路(アース部)に接触させるように構成すれば良い。或いはアース端子71(アース部)のみ金属製とし、他の端子は任意の構造や材質としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の第1実施形態を示す液晶表示装置の正面図。
【図2】同液晶表示装置の断面図(図1に於けるA−A断面)。
【図3】同液晶表示装置の部分断面図(図1に於けるB−B断面)。
【図4】同液晶表示装置に用いられる導通部材の正面図。
【図5】本発明の第2実施形態を示す液晶表示装置の断面図(図1に於けるA−A断面に相当)。
【図6】同液晶表示装置に用いられる導通部材を前面板に装着した状態を示す裏面図。
【図7】本発明の第3実施形態を示す液晶表示装置の部分断面図(図1に於けるA−A断面に相当)。
【図8】本発明の第4実施形態を示す液晶表示装置の部分断面図(図1に於けるA−A断面に相当)。
【符号の説明】
【0060】
1 液晶表示パネル
4 セルケース
5 回路基板
6 発光ダイオード(光源)
7 端子(接続部材)
7A 挟持部
7AA 端子接触片
71 アース端子(アース部)
8 表示板(前面板)
8C 表示板接触片
9 導通部材
9C 接触片
11 見返し部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶表示パネルと、この液晶表示パネルが保持されるセルケースと、前記液晶表示パネルの背後に配置された回路基板と、前記液晶表示パネルと前記回路基板とを繋ぐ導電性の接続部材と、前記液晶表示パネルの周縁部を覆う前面板とを備えた液晶表示装置に於いて、前記前面板に接触すると共に前記接続部材のアース部に接触する導通部材を前記前面板と前記液晶表示パネルとの間に配置したことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記導通部材を前記前面板と部分的に接触させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記導通部材に前記アース部と接触する弾性を有する接触片を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記導通部材を前記セルケースに装着したことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記導通部材を前記前面板に装着したことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の液晶表示装置。
【請求項6】
液晶表示パネルと、この液晶表示パネルが保持されるセルケースと、前記液晶表示パネルの背後に配置された回路基板と、前記液晶表示パネルと前記回路基板とを繋ぐ導電性の接続部材と、前記液晶表示パネルの周縁部を覆う前面板とを備えた液晶表示装置に於いて、前記前面板と前記接続部材のアース部とを接触させるようにしたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項7】
前記前面板または前記アース部の何れか一方に他方に接触する弾性を有する接触片を設けたことを特徴とする請求項6に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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