説明

液晶表示装置

【課題】例えば1mm以下の厚みの薄い導光板を備えた液晶表示装置を得ること。また、光源を導光板に取り付ける取り付け構造の厚みを削減した液晶表示装置を得ること。
【解決手段】本発明に係る液晶表示装置は、光スイッチング部材と、前面または背面の少なくともいずれか一の面の表面に、前記一の面からその外側に突出し、自由表面として形成された第1の盛り上がり面と、該面から前記一の面の内側に進入する第1の光反射面と、該面から前記一の面の外側に突出する第2の光反射面と、該面から前記一の面に連続し、自由表面として形成された第2の盛り上がり面と、からなる複数の表面構造と、その少なくとも一側面に、導光板よりも厚い複数の光導入部分と、前記光導入部分よりも薄い光非導入部分と、を有する導光板と、基板と、光源と、前記光非導入部分に隣接して配置され、前記光非導入部分において導光板と基板とを固定する中間部材と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置が携帯機器の情報表示装置として多用されている。そのような携帯機器を小型化するためには、液晶表示装置全体の厚みを薄くすることが求められる。
【0003】
一方、液晶表示装置は自発光型ではないため、バックライトと呼ばれる面状照明装置を必要とすることが多い。携帯機器に用いられる液晶表示装置では、バックライトの厚さを薄くするため、面状照明装置として導光板の側面に光源を備える形式が知られている。このような面状照明装置では、導光板に、側面から導入された光をその前面に均等に散乱させる適宜の構造が設けられる。また、このような面状照明装置では、余計な光が画面内に写りこまないよう留意しなければならない。
【0004】
例えば、特許文献1には、導光板の表面に、開口部両端にそれぞれ外側に向かって突出する突起を有する複数の溝を備えた液晶表示装置が開示されている。同発明では、かかる突起に入射した光は外方に出射し、反射体で乱反射した後、再度導光板に入光する。
【0005】
また、特許文献2には、導光板の側面に光源を備えた液晶表示装置であって、フレキシブルプリント基板の色が画面内へ写りこまないよう、フレキシブルプリント基板上に遮光材を設けたものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−43710号公報
【特許文献2】特開2005−251687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般に、導光板はポリカーボネートやポリメチルメタクリレート等の透明熱可塑性樹脂を射出成型することにより製造される。しかしながら、かかる方法によっては、樹脂の金型内への充填が不十分となったり、製品の型からの剥離が困難であるなどの理由により、ある程度より薄い、例えば1mm以下の厚みの導光板を得ることが難しかった。
【0008】
また、導光板の側面に光源を備える形式の面状照明装置では、光源を導光板に取り付ける取り付け構造自体が厚いものとなり、液晶表示装置全体の薄型化を妨げることがあった。
【0009】
本発明はかかる観点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、例えば1mm以下の厚みの薄い導光板を備えた液晶表示装置を得ることである。また、本発明の別の目的は、光源を導光板に取り付ける取り付け構造の厚みを削減した液晶表示装置を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本出願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0011】
(1)第1の基板と第2の基板により液晶層を挟み込んだ構造の光スイッチング部材と、前記光スイッチング部材の背面側に配置された熱可塑性材料製の導光板であって、その前面または背面の少なくともいずれか一の面の表面に、前記一の面からその外側に突出し、前記熱可塑性材料の流動による自由表面として形成された第1の盛り上がり面と、前記第1の盛り上がり面に連続し、該面から前記一の面の内側に進入する第1の光反射面と、前記第1の光反射面に連続し、該面から前記一の面の外側に突出する第2の光反射面と、前記第2の光反射面に連続し、該面から前記一の面に連続し、前記熱可塑性材料の流動による自由表面として形成された第2の盛り上がり面と、からなる複数の表面構造と、その少なくとも一側面に、前記導光板よりも厚い複数の光導入部分と、前記光導入部分に挟まれた部分または前記光導入部分と前記導光板の端部に挟まれた、前記光導入部分よりも薄い光非導入部分と、を有する導光板と、前記光導入部分の前面側に配置された基板と、前記基板の背面に固定され、前記光導入部分に対向して配置された光源と、前記光非導入部分に隣接して配置され、一方の面において前記光非導入部分における前記一の面と固定され、他方の面において前記基板と固定される中間部材と、を有する液晶表示装置。
【0012】
(2)(1)において、前記中間部材の厚みは、前記光導入部分の厚みと前記光非導入部分の厚みの差に略等しい液晶表示装置。
【0013】
(3)(1)において、前記中間部材は、両面粘着テープである請求項1記載の液晶表示装置。
【発明の効果】
【0014】
以上の本出願において開示される発明によれば、例えば1mm以下の厚みの薄い導光板を備えた液晶表示装置を得ることができる。また、光源を導光板に取り付ける取り付け構造の厚みを削減した液晶表示装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る液晶表示装置を示す平面図である。
【図2】光源である発光ダイオードの概略図である。
【図3】導光板の概略図である。
【図4】溝で反射する光について説明する図である。
【図5】シートに型が押圧されている状態を示す図である。
【図6】導光板の入射面近傍の斜視図である。
【図7】溝についての導光板の変形例である。
【図8】変形例の溝を形成する様子を示す図である。
【図9】導光板の入射面近傍の斜視図である。
【図10】レンズの形状を例示する図である。
【図11】シートから打ち抜かれた導光板を示す平面図である。
【図12】入光部の変形例を示す図である。
【図13】入光部の変形例を示す図である。
【図14】発光ダイオードを導光板に取り付ける取り付け構造を示す図である。
【図15】液晶表示装置の断面図である。
【図16】延長部を設けない液晶表示装置の参考断面図である。
【図17】遮光部材の種々の形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下本発明の好適な実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0017】
図1は、本実施形態に係る液晶表示装置100を示す平面図である。液晶表示装置100は光スイッチング部材1とバックライト110と制御回路80とで構成される。制御回路80からは液晶表示装置100の表示に必要な信号及び、電源電圧が供給される。制御回路80はフレキシブル基板70に搭載されており、配線71、端子75を介して信号が光スイッチング部材1に伝達される。
【0018】
バックライト110は、導光板120と光源である発光ダイオード150と収納ケース180とから構成されている。バックライト110は光スイッチング部材1に光を照射する目的で設けられる。光スイッチング部材1ではバックライト110から照射された光の透過量を制御して表示を行う。なお、バックライト110は観察者に対して光スイッチング部材1に重ねて設けられるが、図1では解り易くするために、光スイッチング部材1と並べて示している。なお、以後本明細書中では、液晶表示装置100が観察者に向き合う方向を前面側、その反対の方向を背面側と呼び、液晶表示装置100の前面側の面を前面、背面側の面を背面と呼ぶ。バックライト110は、通常光スイッチング部材1の背面側に配置されるが、前面側に配置するものであってもよい。その場合には、光スイッチング部材1はバックライト110から照射された光の反射量を制御することになる。
【0019】
導光板120はほぼ矩形の形状をしており、その一側面である入射面125に対向して発光ダイオード150が設けられる。符号160は、複数の発光ダイオード150の間を電気的に接続するフレキシブル基板である。フレキシブル基板160と制御回路80との間は配線161で電気的に接続されている。
【0020】
入射面125から導光板120に入射した光は、導光板の前面である出射面121から出射する。入射面125と出射面121の間には傾斜面127が形成されており、入射面125から出射面121に光を導いている。入射面125と傾斜面127とは入光部124を形成しており、発光ダイオード150からの光を効率良く出射面121に伝えている。なお、入射面125及び入光部124の詳細については後述する。
【0021】
次に光スイッチング部材1について説明する。光スイッチング部材1はTFT基板2とカラーフィルタ基板3の2枚の基板を有し、重ねた2枚の基板の間には、液晶組成物が挟さまれている。TFT基板2には複数の画素部8が設けられ、それぞれの画素部8には画素電極12が設けられている。そして、複数の画素部8は表示領域9内において格子状に配列されており、各画素部8がバックライト110からの光の透過量を制御する光スイッチング素子として機能することで、液晶表示装置100の画素として機能し、表示領域9に画像を形成する。なお、図が煩雑になることを避けるため、図1では画素部8を1つだけ図示している。
【0022】
図1においては、図中x方向に延在しy方向に並設されるゲート信号線(走査線とも呼ぶ)21と、y方向に延在しx方向に並設されるドレイン信号線(映像信号線とも呼ぶ)22とが設けられており、ゲート信号線21とドレイン信号線22とは交差している。また、画素部8はゲート信号線21とドレイン信号線22とで囲まれる領域に形成されている。
【0023】
画素部8にはTFT(Thin Film Transistor)等のスイッチング素子10が設けられている。ゲート信号線21からは制御信号が供給され、スイッチング素子10のオン・オフが制御される。スイッチング素子10がオン状態となることで、ドレイン信号線22を介して伝送された映像信号が画素電極12に供給される。
【0024】
ドレイン信号線22は駆動回路5に接続されており、駆動回路5から映像信号が出力される。ゲート信号線21は駆動回路6に接続されており、駆動回路6からは制御信号が出力される。なお、ゲート信号線21、ドレイン信号線22及び、駆動回路5及び駆動回路6とは同じTFT基板2上に形成されている。また、駆動回路5と駆動回路6、さらに制御回路80とを1つの半導体チップ上に形成することも可能である。
【0025】
なお、光スイッチング部材1における液晶の駆動方式は特に限定されない。TN(Twisted Nematic)方式、VA(Vertical Alignment)方式、IPS(In Plane Switching)方式等公知のいずれの方式を用いても差し支えない。
【0026】
次に図2に光源である発光ダイオード150の概略図を示す。図2(a)は概略断面図、図2(b)は光出射側正面図を示す。
【0027】
発光ダイオード150は発光部である発光ダイオードチップ151がチップ基板154に搭載された構造をしている。発光ダイオードチップ151はpn接合を有し、pn接合に電圧を印加すると特定の波長で発光する。pn接合を形成するp型半導体層にはp電極(アノード)158と、n型半導体層にはn電極(カソード)159とがそれぞれ設けられる。
【0028】
p電極158と、n電極159にはワイヤ152が接続されている。ワイヤ152は発光ダイオード150を外部と接続するために設けられたチップ端子153とp電極158及びn電極159とを電気的に接続する。
【0029】
発光ダイオードチップ151の出射面側には、蛍光発光部156が設けられる場合もある。蛍光発光部156は発光ダイオードチップ151から発光する光の波長を変換する機能を有している。符号155は反射部で光を前方に反射させる。LED150の正面側には光が出射する出射面157が形成されている。
【0030】
次に、図3に導光板120の概略図を示す。図3(a)は導光板120の概略平面図、図3(b)は概略側面図を示す。導光板120は図3(a)に示すように略矩形をしており、図3(b)に示すように前面である出射面121と背面122とを有している。導光板120はポリカーボネートやポリメチルメタクリレート等の光を透過する熱可塑性材料からなり、シート状である。その厚みは、好適には1.0mmから0.1mmである。なお、ここで導光板210の厚みとは、出射面121と背面122との間隔を指す。
【0031】
図3(b)では、導光板120の断面は略矩形であるが、入射面125から出射面121に向けてなだらかに連続するよう傾斜面127が形成されている。そして、傾斜面127は図3(a)に示されるように、導光板120を平面視した際に、発光ダイオード150からその光軸方向に遠ざかる方向(図中x方向)にハ字状に広がる形状を有している。傾斜面127は導光板120の出射面121における厚さに対して発光ダイオード150の厚さが、厚い場合に有効である。
【0032】
図3では、導光板120、発光ダイオード150、フレキシブル基板160の位置関係が示されている。導光板120の少なくとも一辺には入射面125が設けられており、入射面125の近傍には、複数の発光ダイオード150が設けられている。発光ダイオード150はフレキシブル基板160の下側に入射面125に沿って並べられている。
【0033】
フレキシブル基板160の導光板120側には両面粘着テープなどの中間部材(図示せず)が設けられており、フレキシブル基板160を導光板120に接着、固定することで、入射面125に対して発光ダイオード150の位置を合せている。
【0034】
次に図3(b)を用いて発光ダイオード150から出光する光140について説明する。発光ダイオード150から出射した光140は、入射面125より導光板120に入射する。導光板120の屈折率は空気よりも大きいため、入射面125の垂線方向に対し特定の角度より大きい角度で入射面125に到達した光140は反射され、小さい角度で到達した光140は導光板120内部に侵入する。
【0035】
導光板120の出射面121と背面122とは入射面125に対して略直交しており、導光板120内部に入射した光は、導光板120の出射面121と背面122で全反射を繰り返して導光板120内部を進む。背面122には反射部としてV字型の溝126が設けられている。導光板120を進む光140の一部は、背面122に設けられた溝126で出射面121側に向け反射され、出射面121から出射する。溝126は、発光ダイオード150の光軸方向に対し略直交する向きに設けられている。
【0036】
次に図4を用いて溝126で反射する光140について説明する。同図中には、導光板120の他に、プリズムシート112及び113、拡散板114及び反射シート115が示されている。また、発光ダイオード150は図中左側に配置されているものとする。溝126は、導光板120の背面122上に形成された表面構造であり、発光ダイオード150の光軸方向に向かって順に、背面122からその外側に突出する第1の盛り上がり面128、第1の盛り上がり面から連続し、背面122の内側に進入する第1の光反射面129、第1の光反射面129から連続し、背面122の外側に突出する第2の光反射面130、第2の光反射面から連続し、背面122に連続する第2の盛り上がり面131から成っている。第1の光反射面129及び第2の光反射面130は、背面122に対して1度から35度の角度を有している。本実施形態においては、発光ダイオード150から出射し、導光板120内部を進んできた光140は、主として第1の光反射面129で反射し、出射面121から出射可能な角度にその進行方向を変える。すなわち、前述したように導光板120内では光140は全反射を繰り返し、発光ダイオード150の光軸方向に向かい進むが、主として第1の光反射面129により、光140は出射可能な角度となり導光板120の出射面121から出射する。
【0037】
なお、同図の右側にもさらに光源である発光ダイオード150を配置すると、第2の光反射面130は第1の光反射面129と同様に機能することは言うまでもない。
【0038】
また、本実施形態では、導光板120の出射面121にも背面122の溝126と同様の表面構造である溝132が、溝126と略直交するように設けられている。溝126は、第1の光反射面129により反射された光140を、導光板120の前面側へと屈折させる作用を有する。導光板120から出射した光140は、拡散板114により拡散されたのち、プリズムシート113及び112によりその向きを導光板120の前面側へと向けられる。なお、プリズムシート113及び112は、その表面に三角柱状の表面構造を有する透明シートであり、その三角柱状の表面構造の向きが互いに直交するように配置されている。反射シート115は、導光板120の背面に出射した光140を反射させ、再度導光板120に導入する。なお、プリズムシート113と溝132はその作用効果が類似しているため、不必要であればその何れか片方を省略しても差し支えない。
【0039】
また、本実施形態では導光板120が薄く変形しやすいが、第1の盛り上がり面128と第1の光反射面129あるいは第2の盛り上がり面131と第1の光反射面130により形成される突起133が導光板120と反射シート115との密着を妨げる。それにより、導光板120と反射シート115が密着することにより生じる輝度分布のムラや光漏れを抑える効果がある。
【0040】
次に、溝126の形成方法を説明する。本実施形態では、前述のとおり、導光板120の厚みが1.0mmから0.1mmと薄いため、射出成型により溝126を形成することが困難である。そこで、溝126を次の各工程から成る方法により形成する。
第1の工程:熱可塑性材料製のシート170を加熱して軟化させる(加熱工程)。加熱温度は、シート170がポリカーボネートやポリメチルメタクリレート等の熱可塑性樹脂である場合はその軟化点以上に、シート170がガラスである場合にはそのガラス転移点以上に設定するとよい。
第2の工程:シート170に型171を押圧する(押圧工程)。型171は好適には金属製の金型であり、その表面には三角柱状の畝172が多数形成されている。そして、型171は、その畝172がシート170表面に所定量食い込むように押圧される。図5は、シート170に型171が押圧されている状態を示す図であり、シート170を構成する熱可塑性材料は同図に示すように畝172に押され、矢印173に示すように流動する。その結果、一方ではシート170が型171の畝172と接触する部分には第1の光反射面129及び第2の光反射面130が形成される。他方では、シート170を構成する熱可塑性材料が流動し、型171と接触することなく盛り上がった部分には、自由表面として第1の盛り上がり面128及び第2の盛り上がり面131が形成されることになる。
第3の工程:シート170を型171から剥離する(剥離工程)。この際、必要であればシート170を冷却してもよい。図5から明らかなとおり、本実施形態ではシート170と型171とは型171の畝172においてのみ接触し、その全面が接触するわけではない。そのため、型171からのシート170の剥離は容易である。したがって、かかる方法によれば、厚みが1.0mmから0.1mm程度の薄いシート170から、薄い導光板120を得ることができる。
【0041】
図6は、型171から剥離されたシート170を示す図である。ここで、上記方法による溝126の形成の前後において、シート170の体積は変化しない。したがって、溝126に注目すると、シート170の表面であり、導光板120の背面122となる面の外側に位置する熱可塑性材料、すなわち、図中Aで示す部分の体積と、背面122の内側に位置する空間部分、すなわち、図中Bで示す部分の体積は等しい。
【0042】
図7は、溝126についての導光板120の変形例である。同図に示すように、溝126の第1の光反射面129と背面122とが交わる角度と、第2の光反射面130と背面122とが交わる角度を異なるものとしてもよい。この場合、第1の光反射面129が背面122に浅い角度で交わるようにすると、図中左方から入射した光140は、主として出射面121の鉛直方向に対して図中右側に傾いた方向に出射する。導光板120の上には、拡散板114を介して非対称プリズムシート116が設けられており、光140の向きを導光板120の前面側へと屈折させる。このようにすると、光140が第1の光反射面129に浅い角度で入射する割合が増加するため、光140が前面側へ反射する割合が増加し、したがって光140の利用効率を高めることができる。なお、本変形例においても、先の例同様にプリズムシート113を設けることは一向に差し支えない。
【0043】
図8は、本変形例の溝126を形成する様子を示す図である。同図は、図5とは、型171の畝172が左右非対称である点が異なる。この場合においても、シート170を構成する熱可塑性材料は矢印173に示すように流動し、第1の盛り上がり面128及び第2の盛り上がり面131が自由表面として形成される。また、第1の光反射面129及び第2の光反射面130は型171の畝172と接触して形成される。
【0044】
続いて、導光板120の入射面125近傍の構造について説明する。図9は、導光板120の入射面125近傍の斜視図である。入射面125には、複数の光導入部分134と、光非導入部分135が設けられている。光導入部分134は、その厚みが導光板120の厚みより厚い。そして、光非導入部分は、光導入部分134に挟まれた部分と光導入部分134と導光板120の端部に挟まれた部分に設けられており、その厚みは導光板120の厚みより薄くなっている。そのため、入射面125はその法線方向からみると、導光板120の前面側に凹凸を有する形状となる。その際、光導入部分134が凸部に、光非導入部分135が凹部に該当する。光導入部分134の前面側端辺は、傾斜面127によりなだらかに出射面121に連続するよう接続されている。一方、光非導入部分135の前面側端辺は、凹面136により出射面121に平行に接続されており、その接続部には段差が形成されている。入射面125の光導入部分134には、レンズ123が設けられている。レンズ123は光導入部分134から入射する光を散乱させる働きをする。光導入部分134から入射した光は、傾斜面127を経て出射面121に導かれる。これらの光導入部分134及び光非導入部分135から成る入射面125、傾斜面127及び凹面136により入光部124が形成される。
【0045】
このように、光導入部分134の厚みを導光板120の厚みより厚くすることにより、発光ダイオード150より薄い導光板120を用いることができる。好適には、光導入部分134の厚みは発光ダイオード150の厚みと略等しくされる。
【0046】
レンズ123の形状は種々のものを採用することができるが、導光板120の厚み方向に延伸する形状のものとすることが良い。これは後述するように、導光板120をシート170から打ち抜いて作成するためである。そのため、レンズ123は打ち抜き易い形状がよく、例えば、図10に示すように、その断面が三角形のもの(a)、半円状のシリンドリカルレンズを複数つなぎ合わせた形状のもの(b)等を例示することができる。加工の容易さを考慮すると、レンズの角部に丸みが付いている形状を選択することが好ましいが、一般的なレンチキュラーレンズの形状や鋸歯状の形状としても一向に差し支えない。
【0047】
次に、入光部124の形成方法及び導光板120の製造方法を説明する。入光部124は次の各工程から成る方法により形成される。
第1の工程:熱可塑性材料製のシート170を加熱して軟化させる(加熱工程)。加熱温度は、溝126を形成する方法の場合と同様である。このとき、シート170の大きさは、得られる導光板120より大きいものとすることが好ましい。また、シート170の厚みは、得られる導光板120の厚みと等しい。
第2の工程:シート170に型を押圧する(押圧工程)。この場合の型もまた、好適には金属製の金型である。この型は、シート170の入光部124と相補的な形状をしている。そのため、シート170の凹面136となる部分の熱可塑性材料は押圧され流動し、シート170の傾斜面127となる部分へと流れ込む。その結果、シート170の厚みより厚い光導入部分134となる部分が形成されるのである。なお、この際、溝126及び溝132を同時に形成するようにしてもよいし、別の工程で形成するようにしてもよい。
第3の工程:シート170を型から剥離する(剥離工程)。この際、必要であればシート170を冷却してもよい。
第4の工程:シート170の外周を切り抜き、入光部124を有する導光板120を得る(切り抜き工程)。図11は、シート170から切り抜かれた導光板120を示す平面図である。レンズ123は本工程により形成される。また、本実施形態では切り抜き方法として打ち抜き加工を用いるため、導光板120の角部137には、加工が容易なように、若干の丸みが付けられている。
【0048】
なお、本方法による導光板120の製造にあたっては、1のシート170から1の導光板120を得るようにしてもよいし、1のシート170から多数の導光板120を切り出す、いわゆる多面取りを行ってもよい。また、平板状のシート170からバッチ処理により導光板120を製造してもよいし、原反ロールから帯状のシート170を連続的に巻き出し、連続処理により導光板120を製造してもよい。その場合、型としてエンボスロールを用いることができる。
【0049】
図12、13は、入光部124の変形例を示す図である。図12は、凹面136を出射面121になだらかに接続する傾斜面とした例、図13は、凹面136を出射面と同一平面上に構成し、光非導入部分135の厚みを導光板120の厚みと同じにした例である。図13の例は、シート170の導光板120の外側の部分を押圧し、熱可塑性材料を傾斜面127となる部分へ流動させることにより製作できる。
【0050】
続いて、発光ダイオード150を導光板120に取り付ける取り付け構造を説明する。図14は、本実施形態の発光ダイオード150を導光板120に取り付ける取り付け構造を示す図である。発光ダイオード150は、フレキシブル基板160の背面側に取り付けられ、光導入部分134に対向するよう配置される。フレキシブル基板160は、中間部材162を介して導光板120に固定される。なお、同図では、理解を容易にするため、フレキシブル基板160は破線でその外形のみ示している。
【0051】
中間部材162は、図中示されているように、凹面136と相補的な形状を有しており、その背面で凹面136に固定される。言い換えれば、光非導入部分135に隣接して、導光板120の前面である出射面121に固定される。また、中間部材162の前面はフレキシブル基板160と固定される。中間部材162の厚みは、好適には、光導入部分134の厚みと光非導入部分135の厚みの差に略等しい。このようにすると、フレキシブル基板160と光導入部分134の前面である傾斜面127との間に固定構造を必要としないため、その分取り付け構造の厚みが削減される。
【0052】
なお、本実施形態では、中間部材162は両面粘着テープであるが、これに限定されず、適宜の材質にて中間部材162を作成してよい。また中間部材162の厚みは一定である必要はなく、前述したように凹面136が傾斜面である場合には、それに合わせて厚みが変化する形状としてよい。さらに、フレキシブル基板160を入光部124及び発光ダイオード150を覆う矩形形状のものとして図示したが、これに限定されず、中間部材162を介して発光ダイオード150を固定可能な形状であればどのようなものであってもかまわない。
【0053】
さらに、本実施形態における光源からの光漏れの防止構造を説明する。図15は、液晶表示装置100の断面図である。同図には、光スイッチング部材1と、その前面及び背面に取り付けられた偏光板4及び偏光板7、導光板120とその前面に取り付けられた光学シートであるプリズムシート112,113及び拡散板114、反射シート115、発光ダイオード150とフレキシブル基板160の位置関係が示されている。光スイッチング部材1とフレキシブル基板160は、遮光部材164を介して収納ケース180に取り付けられている。遮光部材164とフレキシブル基板160との間には、必要に応じてスペーサ163が挿入され、表示領域9に対応する位置では、所定の幅の間隙181が設けられる。
【0054】
遮光部材164は、周辺部から表示領域9へ光が進入するのを防ぐ機能を有しており、好適には、黒色の両面粘着テープが用いられる。遮光部材164は平面視でロ字状の形状をしており、光スイッチング部材1及び導光板120をその外周全周にわたり収納ケース180に固定する。本実施形態では、遮光部材164は、その発光ダイオード150に対応する位置から発光ダイオード150の光軸方向に向かって、舌状に延長される延長部165を有している。そして、延長部165は、光スイッチング部材1の背面側に遠ざかる方向に湾曲して垂れ下がり、図示するようにプリズムシート112に固定される。言い換えれば、延長部165は、プリズムシート112,113及び拡散シート113を介して間接的に導光板120に固定される。もちろん、延長部165を直接導光板120に固定するようにしても差し支えない。また、延長部165の反対側の面である前面は、偏光板7に固定されていても、いなくてもかまわない。
【0055】
このような延長部165を設けると、図中示したように、発光ダイオード150から出射され、傾斜面127から前面側に漏れ出た光140は、延長部165に妨げられて表示領域9に到達することがない。
【0056】
この効果の理解を容易にするために、本実施形態に係る液晶表示装置100において、延長部165を設けない場合の参考例を説明する。図16は、延長部165を設けない液晶表示装置100の参考断面図である。同参考例中、本実施形態と同等の部材には本実施形態と同番号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0057】
同図から明らかなように、延長部165を設けないと、発光ダイオード150から出射され、傾斜面127の前面側に漏れ出た光140はスイッチング部材1あるいは偏光板7に入射し、反射を繰り返しながら表示領域9に到達し得る。このため、延長部165を設けないと、表示領域9に輝度むらを生じる恐れがある。
【0058】
図17は、遮光部材164の種々の形状を示す図である。(a)は、ロ字状の遮光部材164の矩形の開口の一辺の両端部に、遮光部材164の外辺に向い切断部166を設け、延長部165を形成した例である。(b)は、ロ字状の遮光部材164の矩形の開口の一辺の両端部に、遮光部材164の外辺に向い所定の幅を持つ切り欠き部167を設け、延長部165を形成した例である。(c)は、ロ字状の外側部材168の内側に矩形の延長部165を別部材として配置して、遮光部材164を形成した例である。(d)は、コ字状の外側部材169の内側に矩形の延長部165を別部材として配置して、遮光部材164を形成した例である。遮光部材164の形状は、光スイッチング部材1及び導光板120をその外周全周にわたり収納ケース180に固定することができ、かつ傾斜面127から前面側に漏れ出た光140を遮ることができる形状であればどのようなものでもあってもよく、ここで例示した(a)〜(d)の形状はもちろん、他の形状であってもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 光スイッチング部材、2 TFT基板、3 カラーフィルタ基板、4 偏光板、5 駆動回路、6 駆動回路、7 偏光板、8 画素部、9 表示領域、10 スイッチング素子、12 画素電極、21 ゲート信号線、22 ドレイン信号線、70 フレキシブル基板、71 配線、75 端子、80 制御回路、100 液晶表示装置、110 バックライト、112 プリズムシート、113 プリズムシート、114 拡散板、115 反射シート、116 非対称プリズムシート、120 導光板、121 出射面、122 背面、123 レンズ、124 入光部、125 入射面、126 溝、127 傾斜面、128 第1の盛り上がり面、129 第1の光反射面、130 第2の光反射面、131 第2の盛り上がり面、132 溝、133 突起、134 光導入部分、135 光非導入部分、136 凹面、137 角部、140 光、150 発光ダイオード、151 発光ダイオードチップ、152 ワイヤ、153 チップ端子、154 チップ基板、155 反射部、156 蛍光発光部、157 出射面、158 p電極、159 n電極、160 フレキシブル基板、161 配線、162 中間部材、163 スペーサ、164 遮光部材、165 延長部、166 切断部、167 切り欠き部、168 外側部材、169 外側部材、170 シート、171 型、172 畝、173 矢印、180 収納ケース、181 間隙。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板と第2の基板により液晶層を挟み込んだ構造の光スイッチング部材と、
前記光スイッチング部材の背面側に配置された熱可塑性材料製の導光板であって、
その前面または背面の少なくともいずれか一の面の表面に、
前記一の面からその外側に突出し、前記熱可塑性材料の流動による自由表面として形成された第1の盛り上がり面と、
前記第1の盛り上がり面に連続し、該面から前記一の面の内側に進入する第1の光反射面と、
前記第1の光反射面に連続し、該面から前記一の面の外側に突出する第2の光反射面と、
前記第2の光反射面に連続し、該面から前記一の面に連続し、前記熱可塑性材料の流動による自由表面として形成された第2の盛り上がり面と、
からなる複数の表面構造と、
その少なくとも一側面に、
前記導光板よりも厚い複数の光導入部分と、
前記光導入部分に挟まれた部分または前記光導入部分と前記導光板の端部に挟まれた、前記光導入部分よりも薄い光非導入部分と、
を有する導光板と、
前記光導入部分の前面側に配置された基板と、
前記基板の背面に固定され、前記光導入部分に対向して配置された光源と、
前記光非導入部分に隣接して配置され、一方の面において前記光非導入部分における前記一の面と固定され、他方の面において前記基板と固定される中間部材と、
を有する液晶表示装置。
【請求項2】
前記中間部材の厚みは、前記光導入部分の厚みと前記光非導入部分の厚みの差に略等しい請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記中間部材は、両面粘着テープである請求項1記載の液晶表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2010−164917(P2010−164917A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−9253(P2009−9253)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【出願人】(503273790)株式会社日立ディスプレイデバイシズ (97)
【Fターム(参考)】