説明

液晶表示装置

【課題】例えば1mm以下の厚みの薄い導光板を備え、製造コストの低い液晶表示装置を得ること。
【解決手段】本発明に係る液晶表示装置は第1の基板と第2の基板により液晶層を挟み込んだ構造の光スイッチング部材1と、光スイッチング部材1の背面側に配置された熱可塑性材料製の導光板120であって、その前面または背面の少なくともいずれか一の面の表面に形成された光を反射する光反射構造と、その少なくとも一側面に形成された前記導光板よりも厚い少なくとも一の光導入部分と、その少なくとも一の外周縁に形成され、前記導光板の厚み方向に突出する壁部分137と、を有する導光板120と、導光板120の少なくとも一の側面に配置された光源と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置が携帯機器の情報表示装置として多用されている。そのような携帯機器を小型化するためには、液晶表示装置全体の厚みを薄くすることが求められる。
【0003】
一方、液晶表示装置は自発光型ではないため、バックライトと呼ばれる面状照明装置を必要とすることが多い。携帯機器に用いられる液晶表示装置では、バックライトの厚さを薄くするため、面状照明装置として導光板の側面に光源を備える形式が知られている。このような面状照明装置では、導光板に、側面から導入された光をその前面に均等に散乱させる適宜の構造が設けられる。また、このような面状照明装置では、余計な光が画面内に写りこまないよう留意しなければならない。
【0004】
例えば、特許文献1には、導光板の表面に、開口部両端にそれぞれ外側に向かって突出する突起を有する複数の溝を備えた液晶表示装置が開示されている。同発明では、かかる突起に入射した光は外方に出射し、反射体で乱反射した後、再度導光板に入光する。
【0005】
また、特許文献2には、導光板の側面に光源を備えた液晶表示装置であって、フレキシブルプリント基板の色が画面内へ写りこまないよう、フレキシブルプリント基板上に遮光材を設けたものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平7−43710号公報
【特許文献2】特開2005−251687号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般に、導光板はポリカーボネートやポリメチルメタクリレート等の透明熱可塑性樹脂を射出成型することにより製造される。しかしながら、かかる方法によっては、樹脂の金型内への充填が不十分となったり、製品の型からの剥離が困難であるなどの理由により、ある程度より薄い、例えば1mm以下の厚みの導光板を得ることが難しかった。
【0008】
また、導光板を薄くすると撓みやすくなるため、液晶表示装置の枠を頑丈なものにする必要があり、コスト増となる懸念がある。
【0009】
本発明はかかる観点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、例えば1mm以下の厚みの薄い導光板を備え、製造コストの低い液晶表示装置を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本出願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0011】
(1)第1の基板と第2の基板により液晶層を挟み込んだ構造の光スイッチング部材と、前記光スイッチング部材の背面側に配置された熱可塑性材料製の導光板であって、その前面または背面の少なくともいずれか一の面の表面に形成された光を反射する光反射構造と、その少なくとも一側面に形成された前記導光板よりも厚い少なくとも一の光導入部分と、その少なくとも一の外周縁に形成され、前記導光板の厚み方向に突出する壁部分と、を有する導光板と、前記導光板の少なくとも一の側面に配置された光源と、を備えた液晶表示装置。
【0012】
(2)(1)において、さらに、前記導光板の背面及び少なくとも一側面に、光を反射する反射部材を有する液晶表示装置。
【0013】
(3)(2)において、前記反射部材は、前記導光板を収容する金属ケースである液晶表示装置。
【0014】
(4)(2)において、前記反射部材は、前記導光板に貼付された反射シートである液晶表示装置。
【0015】
(5)(2)において、前記反射部材は、前記導光板表面に施された表面処理層である液晶表示装置。
【発明の効果】
【0016】
以上の本出願において開示される発明によれば、例えば1mm以下の厚みの薄い導光板を備え、製造コストの低い液晶表示装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る液晶表示装置を示す平面図である。
【図2】光源である発光ダイオードの概略図である。
【図3】バックライトの概略図である。
【図4】溝で反射する光について説明する図である。
【図5】導光板の斜視図である。
【図6】導光板の入射面近傍の斜視図である。
【図7】レンズの形状を例示する図である。
【図8】図3のB−B線における断面図である。
【図9】導光板の製造方法を説明する図である。
【図10】光導入部分を有する導光板の形状を模式的に示した図である。
【図11】光導入部分を有する導光板を作成する各種方法を示す図である。
【図12】補助導光板又は遮光部材を用いた導光板における光の経路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下本発明の好適な実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0019】
図1は、本実施形態に係る液晶表示装置100を示す平面図である。液晶表示装置100は光スイッチング部材1とバックライト110と制御回路80とで構成される。制御回路80からは液晶表示装置100の表示に必要な信号及び、電源電圧が供給される。制御回路80はフレキシブル基板70に搭載されており、配線71、端子75を介して信号が光スイッチング部材1に伝達される。
【0020】
バックライト110は、導光板120と光源である発光ダイオード150と金属ケース180とから構成されている。バックライト110は光スイッチング部材1に光を照射する目的で設けられる。光スイッチング部材1ではバックライト110から照射された光の透過量を制御して表示を行う。なお、バックライト110は観察者に対して光スイッチング部材1に重ねて設けられるが、図1では解り易くするために、光スイッチング部材1と並べて示している。なお、以後本明細書中では、液晶表示装置100が観察者に向き合う方向を前面側、その反対の方向を背面側と呼び、液晶表示装置100の前面側の面を前面、背面側の面を背面と呼ぶ。バックライト110は、通常光スイッチング部材1の背面側に配置されるが、前面側に配置するものであってもよい。その場合には、光スイッチング部材1はバックライト110から照射された光の反射量を制御することになる。
【0021】
導光板120はほぼ矩形の形状をしており、その一側面である入射面125に対向して発光ダイオード150が設けられる。符号160は、複数の発光ダイオード150の間を電気的に接続するフレキシブル基板である。フレキシブル基板160と制御回路80との間は配線161で電気的に接続されている。
【0022】
入射面125から導光板120に入射した光は、導光板の前面である出射面121から出射する。入射面125と出射面121の間には傾斜面127が形成されており、入射面125から出射面121に光を導いている。入射面125と傾斜面127とは入光部124を形成しており、発光ダイオード150からの光を効率良く出射面121に伝えている。なお、入射面125及び入光部124の詳細については後述する。
【0023】
次に光スイッチング部材1について説明する。光スイッチング部材1はTFT基板2とカラーフィルタ基板3の2枚の基板を有し、重ねた2枚の基板の間には、液晶組成物が挟さまれている。TFT基板2には複数の画素部8が設けられ、それぞれの画素部8には画素電極12が設けられている。そして、複数の画素部8は表示領域9内において格子状に配列されており、各画素部8がバックライト110からの光の透過量を制御する光スイッチング素子として機能することで、液晶表示装置100の画素として機能し、表示領域9に画像を形成する。なお、図が煩雑になることを避けるため、図1では画素部8を1つだけ図示している。
【0024】
図1においては、図中x方向に延在しy方向に並設されるゲート信号線(走査線とも呼ぶ)21と、y方向に延在しx方向に並設されるドレイン信号線(映像信号線とも呼ぶ)22とが設けられており、ゲート信号線21とドレイン信号線22とは交差している。また、画素部8はゲート信号線21とドレイン信号線22とで囲まれる領域に形成されている。
【0025】
画素部8にはTFT(Thin Film Transistor)等のスイッチング素子10が設けられている。ゲート信号線21からは制御信号が供給され、スイッチング素子10のオン・オフが制御される。スイッチング素子10がオン状態となることで、ドレイン信号線22を介して伝送された映像信号が画素電極12に供給される。
【0026】
ドレイン信号線22は駆動回路5に接続されており、駆動回路5から映像信号が出力される。ゲート信号線21は駆動回路6に接続されており、駆動回路6からは制御信号が出力される。なお、ゲート信号線21、ドレイン信号線22及び、駆動回路5及び駆動回路6とは同じTFT基板2上に形成されている。また、駆動回路5と駆動回路6、さらに制御回路80とを1つの半導体チップ上に形成することも可能である。
【0027】
なお、光スイッチング部材1における液晶の駆動方式は特に限定されない。TN(Twisted Nematic)方式、VA(Vertical Alignment)方式、IPS(In Plane Switching)方式等公知のいずれの方式を用いても差し支えない。
【0028】
次に図2に光源である発光ダイオード150の概略図を示す。図2(a)は概略断面図、図2(b)は光出射側正面図を示す。
【0029】
発光ダイオード150は発光部である発光ダイオードチップ151がチップ基板154に搭載された構造をしている。発光ダイオードチップ151はpn接合を有し、pn接合に電圧を印加すると特定の波長で発光する。pn接合を形成するp型半導体層にはp電極(アノード)158と、n型半導体層にはn電極(カソード)159とがそれぞれ設けられる。
【0030】
p電極158と、n電極159にはワイヤ152が接続されている。ワイヤ152は発光ダイオード150を外部と接続するために設けられたチップ端子153とp電極158及びn電極159とを電気的に接続する。
【0031】
発光ダイオードチップ151の出射面側には、蛍光発光部156が設けられる場合もある。蛍光発光部156は発光ダイオードチップ151から発光する光の波長を変換する機能を有している。符号155は反射部で光を前方に反射させる。LED150の正面側には光が出射する出射面157が形成されている。
【0032】
次に、図3にバックライト110の概略図を示す。図3(a)はバックライト110の概略平面図、図3(b)はA−A線における断面図を示す。導光板120は図3(a)に示すように略矩形をしており、図3(b)に示すように前面である出射面121と背面122とを有している。導光板120はポリカーボネートやポリメチルメタクリレート等の光を透過する熱可塑性材料からなり、シート状である。その厚みは、好適には1.0mmから0.1mmである。なお、ここで導光板210の厚みとは、出射面121と背面122との間隔を指す。また、導光板120外周縁である3辺には、図示するように、後述する壁部分137が設けられている。
【0033】
図3(b)では、導光板120の断面は略矩形であるが、入射面125から出射面121に向けてなだらかに連続するよう傾斜面127が形成されている。そして、傾斜面127は図3(a)に示されるように、導光板120を平面視した際に、発光ダイオード150からその光軸方向に遠ざかる方向(図中x方向)にハ字状に広がる形状を有している。傾斜面127は導光板120の出射面121における厚さに対して発光ダイオード150の厚さが、厚い場合に有効である。
【0034】
図3(b)では、導光板120、発光ダイオード150、フレキシブル基板160、金属ケース180の位置関係が示されている。導光板120の少なくとも一辺には入射面125が設けられており、入射面125の近傍には、複数の発光ダイオード150が設けられている。発光ダイオード150はフレキシブル基板160の下側に入射面125に沿って並べられている。そして金属ケース180は導光板120、発光ダイオード150を収容している。
【0035】
フレキシブル基板160の導光板120側には両面粘着テープなどの中間部材(図示せず)が設けられており、フレキシブル基板160を導光板120に接着、固定することで、入射面125に対して発光ダイオード150の位置を合わせている。
【0036】
次に図3(b)を用いて発光ダイオード150から出光する光140について説明する。発光ダイオード150から出射した光140は、入射面125より導光板120に入射する。導光板120の屈折率は空気よりも大きいため、入射面125の垂線方向に対し特定の角度より大きい角度で入射面125に到達した光140は反射され、小さい角度で到達した光140は導光板120内部に侵入する。
【0037】
導光板120の出射面121と背面122とは入射面125に対して略直交しており、導光板120内部に入射した光は、導光板120の出射面121と背面122で全反射を繰り返して導光板120内部を進む。背面122には反射部としてV字型の溝126が設けられている。導光板120を進む光140の一部は、背面122に設けられた溝126で出射面121側に向け反射され、出射面121から出射する。溝126は、発光ダイオード150の光軸方向に対し略直交する向きに設けられている。
【0038】
次に図4を用いて溝126で反射する光140について説明する。同図中には、導光板120の他に、プリズムシート112及び113、拡散板114及び金属ケース180が示されている。また、発光ダイオード150は図中左側に配置されているものとする。溝126は、導光板120の背面122上に形成された光反射構造であり、発光ダイオード150の光軸方向に向かって順に、背面122からその外側に突出する第1の盛り上がり面128、第1の盛り上がり面から連続し、背面122の内側に進入する第1の光反射面129、第1の光反射面129から連続し、背面122の外側に突出する第2の光反射面130、第2の光反射面から連続し、背面122に連続する第2の盛り上がり面131から成っている。第1の光反射面129及び第2の光反射面130は、背面122に対して1度から35度の角度を有している。本実施形態においては、発光ダイオード150から出射し、導光板120内部を進んできた光140は、主として第1の光反射面129で反射し、出射面121から出射可能な角度にその進行方向を変える。すなわち、前述したように導光板120内では光140は全反射を繰り返し、発光ダイオード150の光軸方向に向かい進むが、主として第1の光反射面129により、光140は出射可能な角度となり導光板120の出射面121から出射する。このように、盛り上がり面128,131を設けると、導光板120が薄くとも光反射面129,130の大きさを十分なものとすることができる。
【0039】
なお、同図の右側にもさらに光源である発光ダイオード150を配置すると、第2の光反射面130は第1の光反射面129と同様に機能することは言うまでもない。
【0040】
また、本実施形態では、導光板120の出射面121にも背面122の溝126と同様の表面構造である溝132が、溝126と略直交するように設けられている。溝126は、第1の光反射面129により反射された光140を、導光板120の前面側へと屈折させる作用を有する。導光板120から出射した光140は、拡散板114により拡散されたのち、プリズムシート113及び112によりその向きを導光板120の前面側へと向けられる。なお、プリズムシート113及び112は、その表面に三角柱状の表面構造を有する透明シートであり、その三角柱状の表面構造の向きが互いに直交するように配置されている。金属ケース180は、導光板120の背面に出射した光140を反射させ、再度導光板120に導入する。なお、プリズムシート113と溝132はその作用効果が類似しているため、不必要であればその何れか片方を省略しても差し支えない。
【0041】
また、本実施形態では導光板120が薄く変形しやすいが、第1の盛り上がり面128と第1の光反射面129あるいは第2の盛り上がり面131と第2の光反射面130により形成される突起133が導光板120と金属ケース180との密着を妨げる。それにより、導光板120と反射シート115が密着することにより生じる輝度分布のムラや光漏れを抑える効果がある。
【0042】
図5は、導光板120の斜視図である。同図に明瞭に示されるように、本実施形態に係る導光板120は、入射面125近傍に設けられた少なくとも一の(本実施形態では3)光導入部分134と、三辺の外周縁に設けられた壁部分137を有している。
【0043】
図6は、導光板120の入射面125近傍の斜視図である。入射面125には、複数の光導入部分134と、光非導入部分135が設けられている。光導入部分134は、その厚みが導光板120の厚みより厚い。そして、光非導入部分は、光導入部分134に挟まれた部分と光導入部分134と導光板120の端部に挟まれた部分に設けられており、その厚みは導光板120の厚みより薄くなっている。そのため、入射面125はその法線方向からみると、導光板120の前面側に凹凸を有する形状となる。その際、光導入部分134が凸部に、光非導入部分135が凹部に該当する。光導入部分134の前面側端辺は、傾斜面127によりなだらかに出射面121に連続するよう接続されている。一方、光非導入部分135の前面側端辺は、凹面136により出射面121に平行に接続されており、その接続部には段差が形成されている。入射面125の光導入部分134には、レンズ123が設けられている。レンズ123は光導入部分134から入射する光を散乱させる働きをする。光導入部分134から入射した光は、傾斜面127を経て出射面121に導かれる。これらの光導入部分134及び光非導入部分135から成る入射面125、傾斜面127及び凹面136により入光部124が形成される。
【0044】
このように、光導入部分134の厚みを導光板120の厚みより厚くすることにより、発光ダイオード150より薄い導光板120を用いることができる。好適には、光導入部分134の厚みは発光ダイオード150の厚みと略等しくされる。
【0045】
レンズ123の形状は種々のものを採用することができるが、導光板120の厚み方向に延伸する形状のものとすることが良い。これは後述するように、導光板120をプレス加工で形成する際、型から剥離しやすいためである。レンズ123の形状としては、例えば、図10に示すように、その断面が三角形のもの(a)、半円状のシリンドリカルレンズを複数つなぎ合わせた形状のもの(b)等を例示することができる。加工の容易さを考慮すると、レンズの角部に丸みが付いている形状を選択することが好ましいが、一般的なレンチキュラーレンズの形状や鋸歯状の形状としても一向に差し支えない。もちろん、導光板120の成形上問題がなければ、レンズ123をどのような形状としても良いことは言うまでもない。
【0046】
図8は、図3のB−B線における断面図である。図示するように、導光板120の厚み方向に突出する壁部分137は、光学シート類、すなわち、プリズムシート112,113及び拡散板114を収容し、その位置ずれを防ぐと同時に、導光板120の剛性を高める役割を果たす。これにより、本実施形態の液晶表示装置100は、枠を不要とし、部品点数を削減できるため、製造コストを低減できる。なお、本実施形態では、壁部分137は導光板120の周縁部の3辺に跨り連続するコ字状の形状としたが、各辺ごとに独立して、すなわち、連続させずに設けてもよい。また、3辺でなく、相対する2辺に設けてもよい。また、各辺の壁部分を、複数に分割して設けることもできる。
【0047】
金属ケース180は、導光板120の側面をも覆う箱型の形状であり、導光板120の背面及び側面から外部に漏れ出た光を反射させる反射部材として機能し、再度導光板120に入光させることにより、光利用効率を高めると同時に、導光板120の剛性をさらに高める役割を果たす。金属ケース180は、好適には、アルミ製である。なお、導光板120が単独で十分な剛性を確保できる場合には、金属ケース180に換えて、アルミ蒸着フィルムなどの可撓性の反射シートを導光板120に貼り付けるようにしても良い。その際、導光板120の側面において、反射シートを導光板120に貼付けるようにすると、導光板120の側面から外部への光の漏れを防止できるため好ましい。もちろん、導光板120の底面であって、発光領域の外側において貼付けても良い。貼付方法は、両面粘着テープや粘着剤など公知の種々の方法を用いることができる。あるいは、導光板120の背面及び側面に、光を反射する表面処理を施すようにしても良い。そのような表面処理としては、例えば、めっきまたは蒸着などの方法による金属反射膜のコーティング処理、光を反射する塗料の塗布などを挙げることができる。
【0048】
遮光テープ181は、黒色の両面粘着テープであり、バックライト110と光スイッチング部材とを接着固定するためのものである。遮光テープ181は、液晶表示装置100の画像表示領域の外側において、バックライト110と光スイッチング部材とを固定し、かつ光漏れを防ぐことができるものであればどのような手段により代替してもかまわない。
【0049】
次に、導光板120の製造方法を図9を参照して説明する。導光板120は次の各工程から成る方法により形成される。
第1の工程:熱可塑性材料製のシート170を加熱して軟化させる(加熱工程)。加熱温度は、シート170がポリカーボネートやポリメチルメタクリレート等の熱可塑性樹脂である場合はその軟化点以上に、シート170がガラスである場合にはそのガラス転移点以上に設定するとよい。
第2の工程:シート170を型171内に収容し、押圧する(押圧工程)。型171は好適には金属製の金型であり、その内面には、完成後の導光板120と相補的な形状の凹凸が形成されている。図9(a)に示すようにシート170を型171内に載置し、同図(b)に示すように四方から押圧し、シート170に圧力を加え、押しつぶす。このようにすると、図中矢印172に示すようにシート170を構成する熱可塑性材料は同図に示すように流動し、導光板120の出射面121に対応する部分では熱可塑性材料が流出してその厚みを減じるのに対し、導光板120の光導入部分134に対応する部分では熱可塑性材料が流入してその厚みが増す。このようにすれば、厚みが1.0mmから0.1mm程度の薄いシート170を、いずれの部分も欠けることなく導光板120へと成形できる。本実施形態では、厚みが0.3mmのポリメチルメタクリレートのシートを厚みが0.25mmとなるまでプレスした。
第3の工程:シート170を型から剥離する(剥離工程)。この際、必要であればシート170を冷却してもよい。
【0050】
なお、本方法による導光板120の製造にあたっては、1のシート170から1の導光板120を得るようにしてもよいし、1のシート170から多数の導光板120を切り出す、いわゆる多面取りを行ってもよい。その場合には、第4の工程として、シート170の外周を切り抜き、入光部124を有する導光板120を得る切り抜き工程が追加されることになる。切り抜きは、スライサーなどを用いた切断加工によって行っても良いし、ポンチを用いた打ち抜き加工によって行っても良い。
【0051】
ところで、発光ダイオード150より薄い導光板120を使用するためには、本実施形態のように、導光板120の端部に、導光板120より厚い一以上の光導入部分134を設ける必要がある。図10は、そのような光導入部分134を有する導光板120の形状を模式的に示した図である。そして、本実施形態では、前述したように、光導入部分134をプレス加工により成形した。そのようにすると、光導入部分134内部での光の反射や屈折を生じる不連続面がなく、光を導く性能において優れた導光板120が得られる。しかし、光導入部分134を有する導光板120を作成する方法はプレス加工に限られない。
【0052】
図11は、光導入部分134を有する導光板120を作成する各種方法を示す図である。同図(a)は、略平板状の導光板シート190に楔形状の補助導光板191を取り付ける方法を示している。導光板シート190は、その表面に光を反射する溝126,132(図示せず)が形成されている。そして、補助導光板191は、導光板シート190の端部に何らかの方法、例えば、両面テープ又は接着剤による接着や熱融着により固定される。導光板シート190と補助導光板191との境界面はできる限り光の反射や屈折を起こさないことが好ましいので、導光板シート190と補助導光板191とは同じ材質とするか、屈折率の近い材質とすることが好ましい。また、固定の方法は、透明な接着剤による全面接着や熱融着が好ましい。このようにすると、導光板シート190として略平面状の部材を使用できるので、加工が容易である。また、同図(b)は、補助導光板191として、平板形状のものを使用した場合を示す。このようにすると、同図(a)の場合に比して光を導く性能においてやや劣るものの、補助導光板191に単純な平板形状のものを用いることができるので、加工が容易である利点がある。
【0053】
図12(a)は、補助導光板191を用いた導光板120における光の経路を示す図である。図中矢印で示すように、発光ダイオード150を出た光は、導光板シート190内へと導かれる。
【0054】
図11に戻り、同図(c)は、補助導光板191に換え、遮光部材192を使用した場合を示す。遮光部材は、平板状の樹脂を黒色に着色したものなど光を吸収又は反射する性質を有する材料からなり、好ましくは、平板形状である。遮光部材192を導光板シート190の端部に取り付けると、図12(b)に示すように、導光板シート190の上側の外部において発光ダイオード150を出た光は、遮光部材192に遮られ又は反射させられ、導光板シート190上部へ漏れることはない。このようにすると、発光ダイオード150を出た光の一部を遮り又は反射するため、光の利用効率という点では前述の図11(a)又は(b)の場合に比べ劣るが、簡易かつ安価に光漏れのない導光板120を得られるという利点がある。
【0055】
なお、図10〜12では、光導入部分134が単一である形状の導光板120を示したが、図1〜9を用いて説明した実施形態のように、光導入部分134を複数設けるようにしても良い。その場合、補助導光板191の形状を、平面視において、発光ダイオード150からその光軸方向に遠ざかる方向にハ字状に広がる形状とすることが好ましい。
【符号の説明】
【0056】
1 光スイッチング部材、2 TFT基板、3 カラーフィルタ基板、4 偏光板、5 駆動回路、6 駆動回路、7 偏光板、8 画素部、9 表示領域、10 スイッチング素子、12 画素電極、21 ゲート信号線、22 ドレイン信号線、70 フレキシブル基板、71 配線、75 端子、80 制御回路、100 液晶表示装置、110 バックライト、112 プリズムシート、113 プリズムシート、114 拡散板、115 反射シート、116 非対称プリズムシート、120 導光板、121 出射面、122 背面、123 レンズ、124 入光部、125 入射面、126 溝、127 傾斜面、128 第1の盛り上がり面、129 第1の光反射面、130 第2の光反射面、131 第2の盛り上がり面、132 溝、133 突起、134 光導入部分、135 光非導入部分、136 凹面、137 壁部分、140 光、150 発光ダイオード、151 発光ダイオードチップ、152 ワイヤ、153 チップ端子、154 チップ基板、155 反射部、156 蛍光発光部、157 出射面、158 p電極、159 n電極、160 フレキシブル基板、161 配線、162 中間部材、163 スペーサ、170 シート、171 型、172 矢印、180 金属ケース、181 遮光テープ、190 導光板シート、191 補助導光板、192 遮光部材。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板と第2の基板により液晶層を挟み込んだ構造の光スイッチング部材と、
前記光スイッチング部材の背面側に配置された熱可塑性材料製の導光板であって、
その前面または背面の少なくともいずれか一の面の表面に形成された光を反射する光反射構造と、
その少なくとも一側面に形成された前記導光板よりも厚い少なくとも一の光導入部分と、
その少なくとも一の外周縁に形成され、前記導光板の厚み方向に突出する壁部分と、
を有する導光板と、
前記導光板の少なくとも一の側面に配置された光源と、
を備えた液晶表示装置。
【請求項2】
さらに、前記導光板の背面及び少なくとも一側面に、光を反射する反射部材を有する請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記反射部材は、前記導光板を収容する金属ケースである請求項2記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記反射部材は、前記導光板に貼付された反射シートである請求項2記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記反射部材は、前記導光板表面に施された表面処理層である請求項2記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−204390(P2010−204390A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−49897(P2009−49897)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【出願人】(503273790)株式会社日立ディスプレイデバイシズ (97)
【Fターム(参考)】