説明

液晶表示装置

【課題】良好な表示特性と低消費電力化とを実現する液晶表示装置を提供する。
【解決手段】表示パネルPNLと、表示パネルPNLを照明する照明手段BLと、を備え、照明手段BLは、第1照明手段BLAと、第2照明手段BLBと、第1照明手段BLAと第2照明手段BLBとを独立に点灯および消灯を行なう照明ドライバDA、DBと、を備え、第1照明手段BLAは、ゲート線GLの走査方向に対し走査開始側に配置される第1光源52Aと、第1光源52Aから入射した光を表示パネルPNLへ出射する第1導光体53Aとを有し、第2照明手段BLBは、ゲート線GLの走査方向に対し走査終了側に配置される第2光源52Bと、第2光源52Bから入射した光を表示パネルPNLへ出射する第2導光体53Bとを有し、照明ドライバDA、DBは、第1照明手段BLAを点灯した後に第2照明手段BLBを点灯すると共に、第1照明手段BLAを消灯した後に第2照明手段BLBを消灯する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、軽量、薄型、低消費電力などの特徴を生かして、パーソナルコンピュータ、情報携帯端末、テレビ受像機、あるいはカーナビゲーションシステム等の表示装置として広く利用されている。
【0003】
近年、立体表示、あるいは同一画面で利用者の見る方向によって同時に異なる画面表示が可能な液晶表示装置の研究がなされている。例えば、車載用で運転席と助手席とで見える映像が異なる2画面表示装置や、右目用の映像と左目用の映像とをそれぞれ表示することによって立体表示を行う3次元(3D)表示装置などが提案されている。
【0004】
このような表示を可能とする技術として、例えば視差バリア方式が知られている。
【0005】
視差バリア方式を採用した液晶表示パネルには、右方向用の画素と、左方向用の画素とが個別に形成されている。そして、斜め方向からは、その各々の画素を透過して出射する光の一方の光を観測できるように、視差バリア層を形成する。なお、その視差バリア層としてレンチキュラーレンズを設けて指向性を高めることもできる。
【0006】
しかしながら、上記のような視差バリア方式では、右方向用の画素と左方向用の画素とを異ならしめる必要があることから、表示画像の空間解像度は実際の表示パネルの画素数の1/2に低下してしまう。
【0007】
一方、時分割駆動によって左右それぞれの方向にバックライトから光を出射するように光の指向性を切り替える方式も提案されている。この方式によれば、空間解像度、もしくは開口率を減少させることなく複数の画面を表示することや、立体画像を表示することができる。
【0008】
1フレーム期間を時分割して異なる映像を表示するためには、例えば、動画表示に必要とされる高速な液晶応答性を有すると共に、広視野角の表示を実現可能なOCB(Optically Compensated Bend)モード液晶等の、応答速度の速い液晶を使用することが望ましい。OCBモード液晶を採用した液晶表示装置では、液晶層に周期的に画像信号および逆転移防止信号を印加して液晶分子がベンド配向からスプレイ配向へ逆転移することが防止される。
【0009】
従来、OCBモード液晶を採用する液晶表示装置で、逆転移防止信号として黒表示に対応する信号を書き込み、逆転移の防止と動画像等の表示品位を向上させる黒挿入駆動を行なう技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平5−107663号公報
【特許文献2】特開平10−161061号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、バックライトの指向性を切り替える時分割立体表示を行う液晶表示装置で2次元(2D)表示をした際には、輝度の均一性が低くなる場合、電力効率が悪い場合、明るさが不足する場合があった。
【0012】
例えば、OCBモード液晶を採用した液晶表示装置において、指向性を切り替えるバックライトを常時点灯させた場合、輝度の均一性は高いが、液晶表示パネルで黒表示を行なっている期間にもバックライトが点灯されているため電力効率を改善することが困難であった。
【0013】
また、画像信号書き込みが全画面終了してからバックライトを点灯すると、黒表示を行っている期間は消灯しているため電力効率は高くなるが、液晶の応答時間に起因する輝度傾斜が発生することがあった。例えば、最初に白画像信号が書き込まれた画素では、液晶が応答してから所定時間が経過してからバックライトが点灯するため比較的明るくなるが、最後に白画像信号が書き込まれた画素では液晶が応答後すぐにバックライトが点灯するため、液晶の応答が完了せずに暗くなることになる。
【0014】
もし、画素信号の書き込みがパネルの途中まで終了したタイミングでバックライトを点灯すると、先の液晶の応答時間に起因する輝度傾斜に加え、黒を表示していることに起因する輝度傾斜も重畳され、大きな輝度傾斜が発生する。
【0015】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、2D表示をした際にも、良好な表示特性と低消費電力化とを実現する液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
実施形態に係る液晶表示装置は、アレイ基板と、対向基板と、前記アレイ基板と前記対向基板との間に挟持された液晶層と、マトリクス状に配置された複数の画素と、を備えた表示パネルと、前記表示パネルを照明する照明手段と、を備え、前記アレイ基板は、前記複数の画素が配列する列に沿って延びて配置された複数のゲート線と、前記複数の画素が配列する行に沿って延びて配置された複数のソース線と、前記複数のゲート線を順次駆動する駆動手段と、を備え、前記照明手段は、第1照明手段と、第2照明手段と、前記第1照明手段と前記第2照明手段とを独立に点灯および消灯を行なう照明ドライバと、を備え、前記第1照明手段は、前記複数のゲート線の走査方向に対し走査開始側に配置される第1光源と、この第1光源からの光が入射され、前記表示パネルに光を出射する第1導光体とを有し、前記第2照明手段は、前記複数のゲート線の走査方向に対し走査終了側に配置される第2光源と、この第2光源からの光が入射され、前記表示パネルに光を出射する第2導光体とを有し、前記照明ドライバは、前記複数の画素への第1信号の書き込みを開始した後、第2信号の書き込みが終了するまでの期間において、前記第1照明手段を点灯した後に前記第2照明手段を点灯すると共に、前記第1照明手段を消灯した後に前記第2照明手段を消灯するように構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施形態に係る液晶表示装置の一構成例を概略的に示す図である。
【図2】図1に示す液晶表示装置のバックライトの一構成例を説明するための図である。
【図3】図2に示すバックライトから出射される光の光強度の特性の一例を説明するための図である。
【図4】実施形態に係る液晶表示装置において3D表示を行なう際の液晶表示パネルおよびバックライトの駆動タイミングの一例を説明するための図である。
【図5】実施形態に係る液晶表示装置において2D表示を行なう際の液晶表示パネルおよびバックライトの駆動タイミングの一例を説明するための図である。
【図6】実施形態に係る液晶表示装置において3D表示を行なう際の液晶表示パネルおよびバックライトの駆動タイミングの他の例を説明するための図である。
【図7】実施形態に係る液晶表示装置において2D表示を行なう際の液晶表示パネルおよびバックライトの駆動タイミングの他の例を説明するための図である。
【図8】第1比較例に係る液晶表示装置において2D表示を行なう際の液晶表示パネルおよびバックライトの駆動タイミングの一例を説明するための図である。
【図9】第2比較例に係る液晶表示装置において2D表示を行なう際の液晶表示パネルおよびバックライトの駆動タイミングの一例を説明するための図である。
【図10】実施形態に係る液晶表示装置において、光源から入射したが導光体から出射する方向の一例を説明するための図である。
【図11】実施形態に係る液晶表示装置において、バックライトから出射される光の光強度の特性の他の例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施形態に係る液晶表示装置について、図面を参照して説明する。以下の実施形態では3次元(3D)表示と2次元(2D)表示とを行う場合を例として説明するが、これに限るものではない。画面に向かって右側と左側とで見える映像が異なる2画面表示装置として使用可能な液晶表示装置であってもよい。
【0019】
図1に、第1実施形態に係る液晶表示装置の一構成例を概略的に示す。本実施形態に係る液晶表示装置は、液晶表示パネルPNLと、液晶表示パネルPNLを照明するバックライトBLと、を備えている。
【0020】
液晶表示パネルPNLは、アレイ基板10と、アレイ基板10と対向するように配置された対向基板20と、アレイ基板10と対向基板20との間に挟持された液晶層と、マトリクス状に配置された画素PXからなる表示部DYPと、アレイ基板10の端部に電気的に接続された配線基板30と、を備えている。本実施形態に係る液晶表示装置は、例えば、4インチのWVGA液晶表示装置である。
【0021】
アレイ基板10は、各画素PXに対応してマトリクス状に配置された複数の画素電極(図示せず)と、画素電極が配列する列に沿って配置された複数のゲート線GLと、画素電極が配列する行に沿って配置された複数のソース線SLと、ゲート線GLとソース線SLとが交差する位置近傍に配置された画素スイッチSWと、駆動手段と、を備えている。駆動手段は、複数のゲート線GLを駆動するゲートドライバGD、複数のソース線SLを駆動するソースドライバSD、および、図示しない補助容量線を駆動する補助容量線ドライバCDを備えている。画素電極は、例えばITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電体により形成されている。
【0022】
ソースドライバSDには、ソースドライバSD、ゲートドライバGD、および、補助容量線ドライバCDの動作を制御するコントローラが搭載されている。コントローラは配線基板30を介して受信する外部信号源からの制御信号により制御される。
【0023】
画素スイッチSWは、例えばポリシリコン薄膜トランジスタ(TFT)であって、ゲート電極が対応するゲート線GLと電気的に接続され(あるいは一体に形成され)、ソース電極が対応するソース線SLと電気的に接続され(あるいは一体に形成され)、ドレイン電極が対応する画素電極と電気的に接続され(あるいは一体に形成され)ている。
【0024】
ゲートドライバGDは、複数のゲート線GLを、L側に配置されたゲート線GLからR側に配置されたゲート線GLへ順次駆動して対応する画素スイッチSWを導通させる。ソースドライバSDは、複数のソース線SLに対応する信号を印加して、画素スイッチSWを介して画素電極に印加する。補助容量線ドライバCDは、補助容量線に補助容量電圧を印加して、所定の大きさの補助容量を液晶容量と結合させる。
【0025】
本実施形態に係る液晶表示装置はゲート線GLを800本、ソース線SLは480×3本(RGB)とした。また、本実施形態では、ポリシリコンTFTを備え、ゲートドライバGDと補助容量線ドライバCDをアレイ基板10に内蔵させている。
【0026】
対向基板20は、複数の画素電極と対向するように配置された対向電極を備えている。対向電極は、例えばITO等の透明導電体により形成されている。対向電極は図示しない対向電極駆動回路から対向電圧が印加される。
【0027】
複数の画素電極および対向電極上には、一対の配向膜(図示せず)が配置されている。一対の配向膜の表面は所定の配向処理が成されている。本実施形態では、互いに略平行な方向にラビング処理がなされている。
【0028】
液晶層に含まれる液晶分子は、配向膜のラビング方向により初期の配向方向が規定され、画素電極と対向電極とに供給される電圧により、配向状態が制御される。
【0029】
なお、1フレーム期間を時分割して異なる映像を表示するためには、応答速度の速い液晶を使用することが望ましい。本実施形態では、動画表示に必要とされる高速な液晶応答性を有すると共に、広視野角の表示を実現可能なOCB(Optically Compensated Bend)モード液晶を採用している。ゲートドライバGDおよびソースドライバSDは、ソースドライバSDに搭載されたコントローラにより制御され、液晶層に周期的に比較的高電圧である逆転移防止信号を印加して液晶分子がベンド配向からスプレイ配向へ逆転移することを防止している。本実施形態に係る液晶表示装置では、逆転移防止信号として黒表示に対応した電圧を液晶層に印加(黒挿入)して、逆転移を防止するとともに動画像等の表示品位を向上させている。
【0030】
図2に、バックライトBLの構成例を概略的に示す。バックライトBLは、第1方向Aへ光を出射する第1バックライトBLAと、第2方向Bへ光を出射する第2バックライトBLBと、照明ドライバと、を備えている。第1バックライトBLAは、第1光源52Aと、第1導光体53Aと、を備えている。第2バックライトBLBは、第2光源52Bと、第2導光体53Bとを備えている。照明ドライバは、第1光源52Aを駆動する第1ドライバDAと、第2光源52Bを駆動する第2ドライバDBと、を備えている。なお、第1導光体53Aと第2導光体53Bとを図1のように1枚の導光体で兼用させてもかまわない。また、このバックライトの制御は、前述したコントローラから行った。ここで、第1光源は、複数のゲート線GLの走査方向(LR方向)に対し、走査の開始側に形成される光源であり、第2光源は、走査の終端側に形成される光源である。
【0031】
第1バックライトBLAが複数のゲート線GLの走査方向(LR方向)に対し走査終了側(R側)を照明するように光を出射し、第2バックライトBLBが複数のゲート線GLの走査方向(LR方向)に対し走査開始側(L側)を照明するように光を出射する、ように液晶表示パネルPNLの背面側(アレイ基板10側)に配置される。
【0032】
第1導光体53Aは光入射面A1と光出射面A2とを備えた略直方体形状である。なお光入光面の厚みを広げ、入光効率を高くする場合もある。第1光源52Aは、例えば発光ダイオードであって、複数の第1光源52Aは光入射面A1に向かって光を出射するように光入射面A1に沿って並んで配置されている。第1導光体53Aの光入射面A1から第1導光体53Aに入射した光は、光出射面A2へ導かれて第1方向Aに向かって光出射面A2から出射される。
【0033】
第2導光体53Bは光入射面B1と光出射面B2とを備えた略直方体形状である。第2光源52Bは、例えば発光ダイオードであって、複数の第2光源52Bは光入射面B1に向かって光を出射するように光入射面B1に沿って並んで配置されている。第2導光体53Bの光入射面B1から第2導光体53Bに入射した光は、光出射面B2へ導かれて第2方向Bに向かって光出射面B2から出射される。なお、導光体設計と導光体上に配置するプリズムシートの設計により、図10のように、光源側に出向する場合も可能である。
【0034】
第1方向Aは、液晶表示パネルPNLの厚さ方向(方向D1と方向D2とに略直交する方向)から右(R)方向に向かって回転した方向であって、第2方向Bは液晶表示パネルPNLの厚さ方向からに左(L)方向に向かって回転した方向である。
【0035】
第1光源52Aが液晶表示パネルPNLの左側(複数のゲート線GLの走査方向に対し走査開始側であって、ソース線SLが延びる方向D1におけるL側)においてゲート線GLが延びる方向D2に並ぶように配置され、第2光源52Bが液晶表示パネルPNLの右側(複数のゲート線GLの走査方向に対し走査終了側であって、ソース線SLが延びる方向D1におけるR側)においてゲート線GLが延びる方向D2に並ぶように配置されように、バックライトBLと液晶表示パネルPNLとが位置あわせされる。
【0036】
利用者が液晶表示パネルPNLに向かって表示部DYPを見たときに、第1バックライトBLAから出射され、液晶表示パネルPNLを透過した光が利用者の右目に視認され、第2バックライトBLBから出射され、液晶表示パネルPNLを透過した光が利用者の左目に視認される。
【0037】
なお、図2には液晶表示装置の概略の構成例を示している。液晶表示パネルPNLとバックライトBLとの間に、さらにコリメートレンズ、プリズムフィルム等の光の指向性を調整する光学素子を適宜設けることができる。散乱シートは3D特性を低下させる場合があるため、原則としては使わない。
【0038】
本実施形態では、バックライトBLの光強度を左右方向(ソース線SLが延びる方向D1)に傾斜させている。図3に第1バックライトBLAおよび第2バックライトBLBの光強度の一例を示す。第1バックライトBLAは、液晶表示パネルPNLの左側、すなわち入光側の光強度が強く、右側の光強度が左側の1/3以上1/2以下となるように光強度が徐々に弱くなるように構成されている。第2バックライトBLBは、液晶表示パネルPNLの右側、同じく入光側の光強度が強く、左側の光強度が右側の1/3以上1/2以下となるように光強度が徐々に弱くなるように構成されている。なお、バックライトBLの光強度とは、パネル法線方向から±4°方向の輝度で定義した。ここで入射側で輝度が高く反対側で低くなるのが特徴である。
【0039】
上記のように光強度を傾斜させると、第1バックライトBLAから出射された光が右側の端部で反射されることが抑制される。同様に、第2バックライトBLBから出射された光が左側の端部で反射されることが抑制される。例えば、第1バックライトBLAから出射された光が右側の端部で反射されると、第2バックライトBLBが点灯しているときと同じように液晶表示パネルPNLの右側が照明され、3D表示の品位が低下することがある。これに対し、本実施形態では、第1バックライトBLAおよび第2バックライトBLBの光強度が傾斜するように構成されているため、3D表示の品位が低下することを抑制することができる。
【0040】
上記液晶表示装置において3D表示を行なう際には、液晶表示パネルPNLに右目用の画像を表示する期間で第1光源52Aを点灯し、液晶表示パネルPNLに左目用の画像を表示する期間で第2光源52Bを点灯する。
【0041】
このように時分割で液晶表示パネルPNLに左右視差像を順次表示し、これと同期して照明する光源の指向性を切替えることによって、左右の視差画像をそれぞれ左右の眼に導くことができる。
【0042】
本実施形態にかかる液晶表示装置は上述のように3D表示可能なものであるが、第1バックライトBLAと第2バックライトBLBとを点灯して、液晶表示パネルPNLに画像を表示すると2D表示をすることができる。多くの3D表示デバイスは、常時3D表示をするのではなく、通常は2D表示をしておきながら、3Dの映像を表示する特殊なときだけ3Dモードに切り替えるものである。
【0043】
照明ドライバは、複数の画素PXへの2次元表示用の画像信号の書き込みを開始した後、黒挿入が終了するまでの期間において、第1バックライトBLAを点灯した後に第2バックライトBLBを点灯するとともに、第1バックライトBLAを消灯した後に第2バックライトBLBを消灯するように構成されている。この2D表示の場合のバックライトの点灯順が、ゲートの走査方向と一致していることが特徴である。
【0044】
2D表示を行なう場合、ゲートドライバGDの駆動周波数は60Hzであってもそれ以上の高周波であってもかまわない。60Hzでは黒挿入起因のフリッカが生じる場合があるため、本実施形態ではゲートドライバGDの駆動周波数を80Hzとして2D表示を行なった。なお、ゲートドライバGDの駆動周波数は、75Hz、90Hz、120Hzのいずれかでもかまわない。なお、本実施形態に係る液晶表示装置では、2D表示であっても3D表示であっても解像度が変わらないため、2D表示と3D表示との両方の表示品位を低下させることがない。
【0045】
図4に、上記液晶表示装置において3D表示を行なうときの画像表示とバックライトBLの点灯タイミングの一例を示す。ここでは、WVGAの表示部DYPへの映像信号の書き込みに4.16msを要し、逆転移防止信号の書き込み(黒挿入)にも同じ期間(4.16ms)必要であるとした。
【0046】
図4に示す場合では、液晶表示パネルPNLは8.33msのフレーム期間の最初に左目用画像信号を画素電極へ書き込んで左目用画像を表示し、続いて黒表示に対応する信号を画素電極へ書き込んで黒表示を行なう。このとき、第2バックライトBLBは、3.0ms乃至6.6msの期間に点灯するように駆動される。
【0047】
続いて、液晶表示パネルPNLは次のフレーム期間の最初に右目用画像信号を画素電極へ書き込んで右目用画像を表示し、続いて黒表示に対応する信号を画素電極へ書き込んで黒表示を行なう。このとき第1バックライトBLAは、10.9ms乃至14.5msの期間に点灯するように駆動される。
【0048】
なお、図4に示す場合では、画像信号書き込みと黒挿入とを行なうために、駆動周波数120Hzでの1フレーム期間である8.3msを要するので、保持期間を確保することは困難であった。
【0049】
上記のように3D表示時に第1バックライトBLAと第2バックライトBLBとを交互に点灯させると、中央部が明るく、表示部DYPの左右端(図4中では上下)が暗くなるような輝度傾斜を略30%に抑えることができた。すなわち、明るい部分の輝度を略100%としたときに暗くなる部分の輝度が略70%となった。なお、各バックライトBLA、BLBの点灯期間を上記期間より広げると輝度傾斜が大きくなるが明るくなった。各バックライトBLA、BLBの点灯期間を上記期間より小さくすると暗くなるが均一性はよくなる(輝度傾斜が小さくなった)。
【0050】
図5に、上記液晶表示装置において2D表示を行なうときの画像表示とバックライトBLの点灯タイミングの一例を示す。2D表示時、ゲートドライバGDの駆動周波数は80Hzであるとき、黒の書き込み、画面の書き込みにそれぞれ4.16msを要するとしても、略4ms程度の保持時間を確保することができた。
【0051】
図5に示すように、本実施形態に係る液晶表示装置では、第1バックライトBLAと第2バックライトBLBとの点灯タイミングをずらしている。ここで、ゲート線GLの走査方向を表示部DYPの左右方向(方向D1)に設定しているため、図5において上下方向の表示位置は表示部DYPの左右方向(方向D1)に対応している。
【0052】
まず、液晶表示パネルPNLは、12.5msの1フレーム期間において、最初の4.16msで画像信号を画素電極へ書き込んで画像を表示させ、略4ms間画像を保持した後、4.16msで黒表示に対応する信号を画素電極へ書き込んで黒表示を行なう。
【0053】
バックライトBLは、1フレーム期間において、第1バックライトBLAを3.5ms乃至8.5msの期間に点灯させ、第2バックライトBLBを5.5ms乃至10.5msの期間に点灯させる。
【0054】
上記のように本実施形態では、第1バックライトBLAと第2バックライトBLBとの点灯タイミングをずらすことで電力効率の向上と輝度傾斜の低減とを実現している。
【0055】
上記のように第1バックライトBLAと第2バックライトBLBとの点灯タイミングをずらすと、輝度傾斜の低減を抑制することができる。さらに、本実施形態では、第1バックライトBLAと第2バックライトBLBとの光強度を予め傾斜させることにより、さらに、輝度傾斜を低減させることを可能としている。
【0056】
上記のように、本実施形態に係る液晶表示装置によれば、2D表示をした際にも、良好な表示特性と低消費電力化とを実現する液晶表示装置を提供することができる。
【0057】
次に、第2実施形態に係る液晶表示装置について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、上述の第1実施形態に係る液晶表示装置と同様の構成については同じ符号を付して説明を省略する。本実施形態に係る液晶表示装置では、右目用画像信号、左目用画像信号、および、黒表示に対応する信号の書き込みに4.16msよりも長い期間を要している。
【0058】
図6に、本実施形態に係る液晶表示装置において3D表示を行なうときの画像表示とバックライトBLの点灯タイミングの一例を示す。3D表示を行なうときには、液晶表示パネルPNLは8.33msのフレーム期間の最初に左目用画像信号を画素電極へ書き込んで左目用画像を表示し、続いて黒表示に対応する信号を画素電極へ書き込んで黒表示を行なう。このとき、第2バックライトBLBは、5.1ms乃至9.6msの期間に点灯するように駆動される。
【0059】
続いて、液晶表示パネルPNLは次のフレーム期間の最初に右目用画像信号を画素電極へ書き込んで右目用画像を表示し、続いて黒表示に対応する信号を画素電極へ書き込んで黒表示を行なう。このとき第1バックライトBLAは、13.2ms乃至17.7msの期間に点灯するように駆動される。
【0060】
図7に、本実施形態に係る液晶表示装置において2D表示を行なうときの画像表示とバックライトBLの点灯タイミングの一例を示す。図7に示すように、本実施形態に係る液晶表示装置では、第1バックライトBLAと第2バックライトBLBとの点灯タイミングをずらしている。
【0061】
まず、液晶表示パネルPNLは、12.5msの1フレーム期間において、最初に画像信号を画素電極へ書き込んで画像を表示させ、所定期間画像を保持した後、黒表示に対応する信号を画素電極へ書き込んで黒表示を行なう。
【0062】
バックライトBLは、1フレーム期間において、第2バックライトBLBを4.4ms乃至9.6msの期間に点灯させ、第1バックライトBLAを6.5ms乃至11.7msの期間に点灯させる。
【0063】
上記のように本実施形態では、第1バックライトBLAと第2バックライトBLBとの点灯タイミングをずらすことで電力効率の向上と輝度傾斜の低減とを実現している。
【0064】
上記のように第1バックライトBLAと第2バックライトBLBとの点灯タイミングをずらすと、輝度傾斜の低減を抑制することができる。さらに、本実施形態では、第1バックライトBLAと第2バックライトBLBとの光強度を予め傾斜させることにより、さらに、輝度傾斜を低減させることを可能としている。
【0065】
上記のように、本実施形態に係る液晶表示装置によれば、2D表示をした際にも、良好な表示特性と低消費電力化とを実現する液晶表示装置を提供することができる。
【0066】
次に、第1比較例に係る液晶表示装置について説明する。
【0067】
図8に、第1比較例に係る液晶表示装置において、2D表示を行なうときの画像表示とバックライトBLの点灯タイミングの一例を示す。
【0068】
本比較例では、液晶表示パネルPNLの画像信号書き込みおよび黒挿入の動作は、上述の第1実施形態に係る液晶表示装置と同様である。本比較例では、バックライトBLが、第1バックライトBLAおよび第2バックライトBLBを常時点灯させている。この場合、輝度傾斜は発生しないが、液晶表示パネルPNLが黒表示を行なっている期間にもバックライトBLが点灯されているため、消費電力を低減させることが困難であった。
【0069】
次に、第2比較例に係る表示装置について説明する。
【0070】
図9に、第2比較例に係る液晶表示装置において、2D表示を行なうときの画像表示とバックライトBLの点灯タイミングの一例を示す。
【0071】
本比較例では、液晶表示パネルPNLの画像信号書き込みおよび黒挿入の動作は、上述の第1実施形態に係る液晶表示装置と同様である。本比較例では、バックライトBLが、画像信号の保持期間において、第1バックライトBLAおよび第2バックライトBLBを同時に点灯させる。この場合、液晶表示パネルPNLが黒表示を行なっている期間はバックライトBLが消灯しているため、消費電力を低く抑えることができるが、発光ダイオードの実装数には限りがあるため明るさが不足する。
【0072】
また、液晶表示パネルPNLが黒表示を行なっている期間はバックライトBLが消灯しているため輝度傾斜は小さく抑えることができるが、前述した液晶応答に依存する輝度傾斜が発生した。
【0073】
上記第1比較例および第2比較例のように、第1バックライトBLAと第2バックライトBLBとを同じタイミングで点灯させると、輝度傾斜と電力効率とのトレードオフとなり、一方の特性が良好なときには他方の特性が低下してしまう。
【0074】
これに対し、上述の第1実施形態および第2実施形態によれば、2D表示をした際にも、良好な表示特性と低消費電力化とを実現することのできる液晶表示装置を提供することができる。
【0075】
なお、上述の第1、第2実施形態における2D表示にあっては、ゲートの走査方向と光源の配置場所、光源の輝度の減衰傾向の関係を定めたものであり、走査方向の順に光源を点灯させることが基本である。よって、バックライトの出光方向には関与せず、図2の出向方向であろうが、図10の出向方向であろうが、点灯タイミングは同じである。ただし、減衰傾向を、図11のように逆転させ、光源側が暗く、終端側が明るい構成にした場合には、走査方向に対する点灯順は逆転させるほうが望ましい。もちろん、走査方向が逆転すれば、点灯順も逆転するのが望ましく、同一パネルで走査方向を逆転させる機能がついていれば、点灯順も逆転させる処置を付加する事が望ましい。
【0076】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0077】
BL…バックライト(照明手段)、GL…ゲート線、SL…ソース線、SW…画素スイッチ、GD…ゲートドライバ、SD…ソースドライバ、CD…補助容量線ドライバ、BLA…第1バックライト(第1照明手段)、BLB…第2バックライト(第2照明手段)、DA…第1ドライバ、DB…第2ドライバ、A1…第1光入射面、A2…第1光出射面、B1…第2光入射面、B2…第2光出射面、PNL…液晶表示パネル、DYP…表示部、10…アレイ基板、20…対向基板、30…配線基板、52A…第1光源、52B…第2光源、53A…第1導光体、53B…第2導光体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレイ基板と、対向基板と、前記アレイ基板と前記対向基板との間に挟持された液晶層と、マトリクス状に配置された複数の画素と、を備えた表示パネルと、
前記表示パネルを照明する照明手段と、を備え、
前記アレイ基板は、前記複数の画素が配列する列に沿って延びて配置された複数のゲート線と、前記複数の画素が配列する行に沿って延びて配置された複数のソース線と、前記複数のゲート線を順次駆動する駆動手段と、を備え、
前記照明手段は、第1照明手段と、第2照明手段と、前記第1照明手段と前記第2照明手段とを独立に点灯および消灯を行なう照明ドライバと、を備え、
前記第1照明手段は、前記複数のゲート線の走査方向に対し走査開始側に配置される第1光源と、この第1光源からの光が入射され、前記表示パネルに光を出射する第1導光体とを有し、
前記第2照明手段は、前記複数のゲート線の走査方向に対し走査終了側に配置される第2光源と、この第2光源からの光が入射され、前記表示パネルに光を出射する第2導光体とを有し、
前記照明ドライバは、前記複数の画素への第1信号の書き込みを開始した後、第2信号の書き込みが終了するまでの期間において、前記第1照明手段を点灯した後に前記第2照明手段を点灯すると共に、前記第1照明手段を消灯した後に前記第2照明手段を消灯するように構成された液晶表示装置。
【請求項2】
前記第1照明手段は、前記複数のゲート線の走査方向に対して走査開始側から走査終了側に向かって光強度が弱くなるように構成され、
前記第2照明手段は、前記複数のゲート線が走査方向に対して走査終了側から走査開始側に向かって光強度が弱くなるように構成されている請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記第1光源及び前記第2光源は、前記複数のゲート線の延びる方向に沿って配置された複数の発光ダイオードを備える請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記液晶層は、OCBモード液晶であって、
前記第1信号は2次元表示用の画像信号であって、前記第2信号は逆転移防止信号である請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記第1照明手段は、前記複数のゲート線の走査方向に対して走査終了側に光を出射し、前記第2照明手段は、前記複数のゲート線の走査方向に対して走査開始側に向かって光を出射するように構成されている請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記第1照明手段は、前記複数のゲート線の走査方向に対して走査開始側に光を出射し、前記第2照明手段は、前記複数のゲート線の走査方向に対して走査終了側に向かって光を出射するように構成されている請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項7】
第1照明手段中の導光体と第2照明手段中の導光体は、1枚の導光体で兼用されていることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−78821(P2012−78821A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195880(P2011−195880)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(302020207)東芝モバイルディスプレイ株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】