説明

液晶装置および電子機器

【課題】液晶注入時に外部から持ち込まれる不純物によって液晶層が汚染されることを防止することができる液晶装置を提供する。
【解決手段】第1無機配向膜16が形成された第1基板10と、第2無機配向膜22が形成された第2基板20と、第1基板10と第2基板20との間に挟持された液晶層50と、液晶層50の周囲を囲み且つ一部に液晶注入口51aが形成されたシール材51と、液晶注入口51aを封止する封止剤52と、を備え、第1基板10は、第2基板20の一端部よりも外側に張り出す張り出し部10aを有し、張り出し部10aに面する位置に液晶注入口51aが配置され、第1基板10の最表面には、封止剤52の液晶層側から液晶注入口51aを超えて張り出し部10a上に露出した封止剤52の外側まで連続して第1有機膜54が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶装置および電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶層への不純物の混入を防止する方法として、特許文献1〜5に記載の方法が知られている。特許文献1,2,5の方法は、シール材から溶出する不純物をシール材近傍に設けた有機配向膜で吸着するものである。特許文献3の方法は、シール材近傍の有機配向膜に紫外線を照射し、その照射部位に不純物の吸着機能を持たせるものである。特許文献4の方法は、シール材近傍の配向膜の表面を凹凸にし、その凹凸部位に不純物の吸着機能を持たせるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−214616号公報
【特許文献2】特開2005−300735号公報
【特許文献3】特開平10−260406号公報
【特許文献4】特開2005−283693号公報
【特許文献5】特開平10−170922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液晶層を汚染する不純物としては、液晶注入時に液晶注入口を介して外部から持ち込まれる不純物と、封止時に封止剤から溶出する不純物とがある。特許文献1〜5は、シール材又は封止剤から溶出する不純物を吸着することはできるものの、液晶注入時に外部から持ち込まれる不純物を吸着することはできない。
【0005】
本発明の目的は、液晶注入時に外部から持ち込まれる不純物によって液晶層が汚染されることを防止することができる液晶装置および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液晶装置は、第1無機配向膜が形成された第1基板と、第2無機配向膜が形成された第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に挟持された液晶層と、前記液晶層の周囲を囲み且つ一部に液晶注入口が形成されたシール材と、前記液晶注入口を封止する封止剤と、を備え、前記第1基板は、前記第2基板の一端部よりも外側に張り出す張り出し部を有し、前記張り出し部に面する位置に前記液晶注入口が配置され、前記第1基板の最表面には、前記封止剤の液晶層側から前記液晶注入口を超えて前記張り出し部上に露出した前記封止剤の外側まで連続して第1有機膜が形成されていることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、液晶注入口の近傍に、不純物を吸着し易い第1有機膜が設けられているため、液晶注入口を介して外部から持ち込まれる不純物を第1有機膜によって効率的に吸着することができる。液晶注入プロセスでは、液晶注入口の外側の基板部分(張り出し部)に液晶や封止剤を接触させ、毛細管現象によって液晶や封止剤を液晶注入口の内部に注入する。そのため、液晶注入口の外側の基板部分に付着している不純物が、液晶や封止剤の流動に伴って液晶注入口の内部に侵入しやすい。しかし、本発明の液晶装置では、液晶注入口を挟んで封止剤の内側(表示領域側)から外側(表示領域とは反対側)までの広い範囲にわたって第1有機膜が形成されているので、液晶や封止剤の流動に伴って液晶注入口の外部から流入する不純物を効率よく吸着することができる。
【0008】
前記第2基板の最表面には、前記封止剤の液晶層側から前記液晶注入口を超えて前記第2基板の端部まで連続して第2有機膜が形成されていてもよい。
【0009】
この構成によれば、第1有機膜のみで不純物を吸着する構成に比べて、効率よく不純物を吸着することができる。
【0010】
前記第1有機膜は、前記封止剤の液晶層側から前記液晶注入口を超えて前記張り出し部の端部まで連続して形成されていてもよい。
【0011】
この構成によれば、液晶注入口の外側の広い範囲にわたって第1有機膜が形成されているため、液晶注入プロセスにおいて液晶注入口の外部から侵入する不純物を効率的に吸着することができる。
【0012】
前記第1有機膜は、前記第1無機配向膜と同じ方向に前記液晶層を配向させる有機配向膜であり、前記第2有機膜は、前記第2無機配向膜と同じ方向に前記液晶層を配向させる有機配向膜であってもよい。
【0013】
この構成によれば、第1有機膜及び第2有機膜の形成された部分において液晶の配向が乱れることを抑制することができる。有機配向膜である第1有機膜及び第2有機膜には不純物が吸着するが、有機配向膜は無機配向膜に比べて配向力に優れるため、不純物が吸着しても配向が大きく乱れることはない。
【0014】
前記第1有機膜は、前記第1無機配向膜上に形成され、前記第2有機膜は、前記第2無機配向膜上に形成されていてもよい。
【0015】
この構成によれば、第1無機配向膜及び第2無機配向膜によって液晶層の配向が制御される領域と第1有機膜及び第2有機膜(有機配向膜)によって液晶層の配向が制御される領域との間に隙間が形成されない。そのため、液晶層の配向の乱れが少ない液晶装置を提供することができる。
【0016】
前記第1有機膜と前記第2有機膜との間に、ギャップ材を含む前記シール材の端部が配置されていてもよい。
【0017】
液晶注入口にはシール材が配置されないため、ギャップが狭くなりやすい。シール材の下に第1有機膜及び第2有機膜を配置してギャップの減少分を補うようにすれば、液晶注入口においても均一なギャップが得られるようになる。この場合、第1有機膜及び第2有機膜の厚みが大きいと、液晶注入口のギャップが大きくなりすぎるので、第1有機膜及び第2有機膜の厚みはそれぞれ500nm以下とすることが好ましい。
【0018】
本発明の電子機器は、本発明の液晶装置を備えていることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、不純物による表示品位の劣化が少ない電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】液晶装置の平面図である。
【図2】第1実施形態の液晶装置における吸着層と封止剤との配置関係の説明図である。
【図3】シール材近傍の吸着層と無機配向膜を拡大して示す断面図である。
【図4】第2実施形態の液晶装置における吸着層と封止剤との配置関係の説明図である。
【図5】電子機器の一例であるプロジェクターの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の液晶装置1の平面図である。
【0022】
液晶装置1は、TFTアレイ基板(第1基板)10と、TFTアレイ基板10と対向配置された対向基板(第2基板)20と、TFTアレイ基板10と対向基板20との間に挟持された液晶層50と、液晶層50の周囲を囲み且つ一部に液晶注入口51aが形成された矩形枠状のシール材51と、液晶注入口51aを封止する封止剤52と、を備えている。
【0023】
TFTアレイ基板10は、対向基板20よりも大きな面積を有する基板である。TFTアレイ基板10は、対向基板20の一端部よりも外側に張り出す張り出し部10aを備えている。張り出し部10aには、複数の外部回路接続端子102が形成された端子部が設けられている。TFTアレイ基板10上には、シール材51とほぼ同じ輪郭を持つ対向基板20が対向配置されており、シール材51によりTFTアレイ基板10と対向基板20とが互いに接着されている。
【0024】
シール材51は、TFTアレイ基板10と対向基板20との対向領域の周縁部に沿って設けられている。シール材51には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間のギャップを保持するギャップ材(スペーサー)が含有されている。液晶注入口51aは、シール材51の4つの辺のうち張り出し部10aに面する辺に設けられている。封止剤52は、紫外線硬化型や熱硬化型の樹脂からなり、対向基板20の端面に沿って、張り出し部10aの液晶注入口51a近傍の位置に塗布されている。封止剤52の一部は、毛細管現象により、液晶注入口51aからTFTアレイ基板10と対向基板20との隙間に侵入している。
【0025】
シール材51及び封止剤52に囲まれた領域には、シール材51の4つの辺に沿って矩形枠状の遮光膜53が設けられている。遮光膜53は、TFTアレイ基板10と対向基板20との一方又は双方に形成されている。遮光膜53に囲まれた領域は、複数の画素がマトリクス状に配置されてなる表示領域1Aであり、シール材51及び封止剤52に囲まれた領域で且つ表示領域1Aの外側の領域は、非表示領域1Bである。
【0026】
シール材51の外側の領域には、データ線駆動回路101および外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられており、走査線駆動回路104がこの一辺に隣接する2辺に沿って設けられている。TFTアレイ基板10の残る一辺には、表示領域1Aの両側に設けられた2つの走査線駆動回路104をつなぐための複数の配線105が設けられている。また、対向基板20のコーナー部の少なくとも1箇所においては、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的導通をとるための導通材106が設けられている。
【0027】
図2は、液晶装置1に設けられた吸着層54,吸着層55と封止剤52との位置関係を示す図である。図2(a)は液晶装置を向基板側から見た平面図であり、図2(b)は図2(a)のA−A’線に沿った断面図である。
【0028】
TFTアレイ基板10及び対向基板20の液晶注入口51a近傍の最表面には、液晶注入時に外部から持ち込まれる不純物を吸着する第1吸着層(第1有機膜)54,第2吸着層(第2有機膜)55が設けられている。第1吸着層54,第2吸着層55は、ポリイミドなどの有機膜からなる。TFTアレイ基板10及び対向基板20のシール材51に囲まれた領域の内側には、表示領域1A及び非表示領域1Bの全面を覆って、酸化シリコンの斜方蒸着膜などからなる第1無機配向膜16,第2無機配向膜22が形成されている。第1吸着層54,第2吸着層55は、第1無機配向膜16,第2無機配向膜22上に有機膜を塗布または蒸着することにより形成されている。本実施形態の液晶装置1では、第1吸着層54,第2吸着層55は、TFTアレイ基板10と対向基板20の双方に設けられているが、吸着層は少なくともTFTアレイ基板10に設けられていればよい。
【0029】
第1吸着層54は、TFTアレイ基板10の最表面において、封止剤52の液晶層側から液晶注入口51aを超えて張り出し部10a上に露出した封止剤52の外側まで連続して形成されている。第1吸着層54の液晶層側の端部は、封止剤52の表示領域側に配置された非表示領域1Bに配置され、非表示領域1Bにおいて第1無機配向膜16上に積層されている。図2では、第1吸着層54は張り出し部10aの端部まで形成されているが、第1吸着層54は、少なくとも封止剤52の外側まで形成されていればよい。
【0030】
第2吸着層55は、対向基板20の最表面において、封止剤52の液晶層側から液晶注入口51aを超えて対向基板20の縁部まで連続して形成されている。第2吸着層55の液晶層側の端部は、封止剤52の表示領域側に配置された非表示領域1Bに配置され、非表示領域1Bにおいて第2無機配向膜22上に積層されている。
【0031】
図3は、封止剤52の近傍の第1無機配向膜16と第1吸着層54とを示す拡大図である。
【0032】
第1吸着層54は、液晶層50を第1無機配向膜16と同じ方向に配向させる有機配向膜である。「液晶層50を第1無機配向膜16と同じ方向に配向させる有機配向膜である」とは、第1無機配向膜16が電界無印加時に液晶層50を基板法線に対して概ね平行に配向させる配向膜であれば、第1吸着層54も電界無印加時に液晶層50を基板法線に対して概ね平行に配向させる配向膜であり、第1無機配向膜16が電界無印加時に液晶層50を基板法線に対して概ね垂直に配向させる配向膜であれば、第1吸着層54も電界無印加時に液晶層50を基板法線に対して概ね垂直に配向させる配向膜であることを意味する。図示は省略したが、第2吸着層55も液晶層50を第2無機配向膜22と同じ方向に配向させる有機配向膜である。
【0033】
本実施形態の液晶装置1では、第1無機配向膜16,第2無機配向膜22は、電界無印加時に液晶層50を基板法線に対して概ね平行に配向させる配向膜(垂直配向膜)である。そのため、第1吸着層54,第2吸着層55も、電界無印加時に液晶層50を基板法線に対して概ね平行に配向させる配向膜(垂直配向膜)である。液晶層50は、電界無印加時に基板法線に対して概ね平行に配向し、電界印加時に基板法線に対して概ね垂直に配向するVA(Vertical Alignment)モードの液晶層である。
【0034】
本実施形態の液晶装置1によれば、液晶注入口51aの近傍に、不純物を吸着し易い有機膜からなる第1吸着層54,第2吸着層55が設けられている。そのため、液晶注入口51aを介して外部から持ち込まれる不純物を第1吸着層54,第2吸着層55によって効率的に吸着することができる。液晶注入プロセスでは、液晶注入口51aの外側の基板部分(張り出し部10a)に液晶や封止剤を接触させ、毛細管現象によって液晶や封止剤を液晶注入口51aの内部に注入する。そのため、液晶注入口51aの外側の基板部分に付着している不純物が、液晶や封止剤の流動に伴って液晶注入口51aの内部に侵入しやすい。しかし、本実施形態の液晶装置1では、液晶注入口51aを挟んで封止剤52の内側(表示領域1A側)から外側(表示領域1Aとは反対側)までの広い範囲にわたって第1吸着層54,第2吸着層55が形成されているので、液晶や封止剤の流動に伴って液晶注入口51aの外部から流入する不純物を効率よく吸着することができる。
【0035】
また、本実施形態の液晶装置1では、第1吸着層54,第2吸着層55は、液晶層50を第1無機配向膜16,第2無機配向膜22と同じ方向に配向させる有機配向膜であるため、第1吸着層54,第2吸着層55の形成された部分において液晶の配向が乱れることを抑制することができる。第1吸着層54,第2吸着層55である有機配向膜には不純物が吸着するが、有機配向膜は第1無機配向膜16,第2無機配向膜22に比べて配向力に優れるため、不純物が吸着しても配向が大きく乱れることはない。
【0036】
また、第1吸着層54,第2吸着層55は第1無機配向膜16,第2無機配向膜22上に形成されているため、第1無機配向膜16,第2無機配向膜22によって液晶層50の配向が制御される領域と第1吸着層54,第2吸着層55(有機配向膜)によって液晶層50の配向が制御される領域との間に隙間が形成されない。そのため、液晶層50の配向の乱れが少ない液晶装置1を提供することができる。
【0037】
[第2実施形態]
図4は、第2実施形態の液晶装置2に設けられた第1吸着層56,第2吸着層57と封止剤52との位置関係を示す図である。
【0038】
第1吸着層56,第2吸着層57は、それぞれTFTアレイ基板10、対向基板20の液晶注入口51a近傍の最表面に設けられた有機膜からなる吸着層である。第1吸着層56,第2吸着層57において図2に示した第1吸着層54,第2吸着層55と異なる点は、第1吸着層56,第2吸着層57の一部が液晶注入口51aを構成するシール材51の端部と重なるように配置されている点である。それ以外の構成は、図2に示した第1吸着層54,第2吸着層55と同じである。
【0039】
本実施形態の液晶装置2においては、第1吸着層56,第2吸着層57上に、ギャップ材を含むシール材51の端部が配置されている。第1吸着層56と第2吸着層57との間に、ギャップ材を含むシール材51の端部が配置されている。液晶注入口51aにはシール材51が配置されないため、ギャップが狭くなりやすい。シール材51の下に第1吸着層56,第2吸着層57を配置してギャップの減少分を補うようにすれば、液晶注入口51aにおいても均一なギャップが得られるようになる。この場合、第1吸着層56,第2吸着層57の厚みが大きいと、液晶注入口51aのギャップが大きくなりすぎるので、第1吸着層の56,第2吸着層57厚みはそれぞれ500nm以下とすることが好ましい。
【0040】
[電子機器]
図5は、上記実施形態の液晶装置を備えた電子機器の一例を示す図である。図5の電子機器は、上述した液晶装置を3個用意し、夫々RGB用の液晶装置962R、962Gおよび962Bとして用いたプロジェクター1100である。
【0041】
プロジェクター1100の光学系には、光源装置920と、均一照明光学系923が採用されている。プロジェクター1100は、この均一照明光学系923から出射される光束Wを赤(R)、緑(G)、青(B)に分離する色分離手段としての色分離光学系924と、各色光束R、G、Bを変調する変調手段としての3つのライトバルブ925R、925G、925Bと、変調された後の色光束を再合成する色合成手段としての色合成プリズム910と、合成された光束を投射面100の表面に拡大投射する投射手段としての投射レンズユニット906を備えている。また、青色光束Bを対応するライトバルブ925Bに導く導光系927をも備えている。
【0042】
均一照明光学系923は、2つのレンズ板921、922と反射ミラー931を備えており、反射ミラー931を挟んで2つのレンズ板921、922が直交する状態に配置されている。均一照明光学系923の2つのレンズ板921、922は、それぞれマトリクス状に配置された複数の矩形レンズを備えている。光源装置920から出射された光束は、第1のレンズ板921の矩形レンズによって複数の部分光束に分割される。そして、これらの部分光束は、第2のレンズ板922の矩形レンズによって3つのライトバルブ925R、925G、925B付近で重畳される。したがって、均一照明光学系923を用いることにより、光源装置920が出射光束の断面内で不均一な照度分布を有している場合でも、3つのライトバルブ925R、925G、925Bを均一な照明光で照明することが可能となる。
【0043】
各色分離光学系924は、青緑反射ダイクロイックミラー941と、緑反射ダイクロイックミラー942と、反射ミラー943から構成される。まず、青緑反射ダイクロイックミラー941において、光束Wに含まれている青色光束Bおよび緑色光束Gが直角に反射され、緑反射ダイクロイックミラー942の側に向かう。赤色光束Rはこのミラー941を通過して、後方の反射ミラー943で直角に反射されて、赤色光束Rの出射部944から色合成プリズム910の側に出射される。次に、緑反射ダイクロイックミラー942において、青緑反射ダイクロイックミラー941において反射された青色、緑色光束B、Gのうち、緑色光束Gのみが直角に反射されて、緑色光束Gの出射部945から色合成光学系の側に出射される。緑反射ダイクロイックミラー942を通過した青色光束Bは、青色光束Bの出射部946から導光系927の側に出射される。本例では、均一照明光学素子の光束Wの出射部から、色分離光学系924における各色光束の出射部944、945、946までの距離がほぼ等しくなるように設定されている。
【0044】
色分離光学系924の赤色、緑色光束R、Gの出射部944、945の出射側には、それぞれ集光レンズ951、952が配置されている。したがって、各出射部から出射した赤色、緑色光束R、Gは、これらの集光レンズ951、952に入射して平行化される。このように平行化された赤色、緑色光束R、Gは、ライトバルブ925R、925Gに入射して変調され、各色光に対応した画像情報が付加される。すなわち、これらの液晶装置は、図示しない駆動手段によって画像情報に応じてスイッチング制御されて、これにより、ここを通過する各色光の変調が行われる。一方、青色光束Bは、導光系927を介して対応するライトバルブ925Bに導かれ、ここにおいて、同様に画像情報に応じて変調が施される。なお、本例のライトバルブ925R、925G、925Bは、それぞれさらに入射側偏光手段960R、960G、960Bと、出射側偏光手段961R、961G、961Bと、これらの間に配置された液晶装置962R、962G、962Bとからなる液晶ライトバルブである。
【0045】
導光系927は、青色光束Bの出射部946の出射側に配置した集光レンズ954と、入射側反射ミラー971と、出射側反射ミラー972と、これらの反射ミラーの間に配置した中間レンズ973と、ライトバルブ925Bの手前側に配置した集光レンズ953とから構成されている。集光レンズ954から出射された青色光束Bは、導光系927を介して液晶装置962Bに導かれて変調される。各色光束の光路長、すなわち、光束Wの出射部から各液晶装置962R、962G、962Bまでの距離は青色光束Bが最も長くなり、したがって、青色光束の光量損失が最も多くなる。しかし、導光系927を介在させることにより、光量損失を抑制することができる。各ライトバルブ925R、925G、925Bを通って変調された各色光束R、G、Bは、色合成プリズム910に入射され、ここで合成される。そして、この色合成プリズム910によって合成された光が投射レンズユニット906を介して所定の位置にある投射面100の表面に拡大投射されるようになっている。
【0046】
プロジェクター1100において、液晶装置962R、962G、962Bは、上述した実施形態の構成を備えたものである。そのため、液晶注入時の不純物の侵入による表示劣化が生じにくいプロジェクター1100となる。
【符号の説明】
【0047】
1,2…液晶装置、10…TFTアレイ基板(第1基板)、10a…張り出し部、16…第1無機配向膜、20…対向基板(第2基板)、22…第2無機配向膜、50…液晶層、51…液晶層、51a…液晶注入口、52…封止剤、54,56…第1吸着層(第1有機膜)、55,57…第2吸着層(第2有機膜)、1100…プロジェクター(電子機器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1無機配向膜が形成された第1基板と、
第2無機配向膜が形成された第2基板と、
前記第1基板と前記第2基板との間に挟持された液晶層と、
前記液晶層の周囲を囲み且つ一部に液晶注入口が形成されたシール材と、
前記液晶注入口を封止する封止剤と、を備え、
前記第1基板は、前記第2基板の一端部よりも外側に張り出す張り出し部を有し、
前記張り出し部に面する位置に前記液晶注入口が配置され、
前記第1基板の最表面には、前記封止剤の液晶層側から前記液晶注入口を超えて前記張り出し部上に露出した前記封止剤の外側まで連続して第1有機膜が形成されていることを特徴とする液晶装置。
【請求項2】
前記第2基板の最表面には、前記封止剤の液晶層側から前記液晶注入口を超えて前記第2基板の端部まで連続して第2有機膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶装置。
【請求項3】
前記第1有機膜は、前記封止剤の液晶層側から前記液晶注入口を超えて前記張り出し部の端部まで連続して形成されていることを特徴とする請求項2に記載の液晶装置。
【請求項4】
前記第1有機膜は、前記第1無機配向膜と同じ方向に前記液晶層を配向させる有機配向膜であり、
前記第2有機膜は、前記第2無機配向膜と同じ方向に前記液晶層を配向させる有機配向膜であることを特徴とする請求項3に記載の液晶装置。
【請求項5】
前記第1有機膜は、前記第1無機配向膜上に形成され、
前記第2有機膜は、前記第2無機配向膜上に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の液晶装置。
【請求項6】
前記第1有機膜と前記第2有機膜との間に、ギャップ材を含む前記シール材の端部が配置されていることを特徴とする請求項5に記載の液晶装置。
【請求項7】
前記第1有機膜と前記第2有機膜の厚みはそれぞれ500nm以下であることを特徴とする請求項6に記載の液晶装置。
の液晶装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の液晶装置を備えていることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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