液晶装置とその製造方法
【課題】良好なコントラスト特性であり、かつ表示不良が防止された液晶装置と、その製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の液晶装置(透過型液晶装置)1は、第1基板10と、これに対向する第2基板20と、これら基板間に液晶層50とを備え、液晶層50は初期配向状態が垂直配向でありかつ誘電体異方性が負の液晶によって形成されている。また、画素電極9と対応する位置に画素領域Pと、この画素領域P間に遮光領域BMとを有し、画素電極9の周縁部9bは、遮光領域BMに張り出している。画素領域P全体を含み、かつ画素電極9上をこえない範囲に、液晶51を垂直配向させた第1のエリアA1が形成され、遮光領域BMには、液晶52を水平配向させた第2のエリアA2が形成され、この第2のエリアA2は、画素電極9の遮光領域BMに張り出した周縁部9b上に形成されている。
【解決手段】本発明の液晶装置(透過型液晶装置)1は、第1基板10と、これに対向する第2基板20と、これら基板間に液晶層50とを備え、液晶層50は初期配向状態が垂直配向でありかつ誘電体異方性が負の液晶によって形成されている。また、画素電極9と対応する位置に画素領域Pと、この画素領域P間に遮光領域BMとを有し、画素電極9の周縁部9bは、遮光領域BMに張り出している。画素領域P全体を含み、かつ画素電極9上をこえない範囲に、液晶51を垂直配向させた第1のエリアA1が形成され、遮光領域BMには、液晶52を水平配向させた第2のエリアA2が形成され、この第2のエリアA2は、画素電極9の遮光領域BMに張り出した周縁部9b上に形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶装置とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶装置を用いて映像を大画面に表示する装置として液晶プロジェクタがある。プロジェクタにおいては高輝度、高コントラストが要求されており、その点、垂直配向方式の液晶装置は高コントラストの表示が可能で、近年、プロジェクタ用の液晶装置の液晶配向方式として採用されつつある。
【0003】
しかし、垂直配向方式では液晶が基板表面に対して垂直に立っており、電圧印加時に倒れる方位方向での相互作用が弱い。しかも、画素電位を印加すると、画素電極端から基板面に平行な方向に、横方向の電界が発生する。そのため、この横方向の電界に起因して、液晶が様々な方向に倒れてしまい、ディスクリネーションを生じることがあった。ディスクリネーションが生じると、明暗のムラやコントラストの低下、残像等の表示欠陥が視認されてしまう。
【0004】
そのため、画素領域では液晶を垂直配向させて、良好なコントラスト特性を確保し、画素領域周辺の、主に非表示領域では液晶を水平配向させ、液晶の配向を規制することでディスクリネーションを防止することが考えられる。このような構成の液晶装置は、例えば特許文献1に開示されており、特許文献1の液晶装置では、無機配向膜を斜方蒸着法によって形成し、その厚さを変化させることで無機配向膜の配向角を制御し、配向膜上の液晶の方位角を制御している。
【特許文献1】特開2005−107373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の液晶装置では、表示コントラストの低下が生じるおそれがある。つまり、特許文献1の液晶装置では、液晶の配向を強く規制する第2の配向膜(水平配向膜)が、遮光帯上からから張り出して、すなわち表示領域にも形成されており、この部分では液晶に大きなプレチルト角が付与されることによって、光漏れが生じてしまう。したがって、この画素では、例えば黒を表示しようとしても、画素内に光漏れを生じた部分があるため、本来の黒よりも明るく視認されてしまう。このようにして表示コントラストが低下しまうことによって、液晶装置の表示特性が低下してしまう。
【0006】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、良好なコントラスト特性であり、かつディスクリネーション等の表示不良が防止された液晶装置と、その製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の液晶装置は、複数の画素電極を有する第1基板と、該第1基板に対向して配置される第2基板と、前記第1基板および前記第2基板間に挟持される液晶層と、を備える液晶装置であって、前記第1基板には、前記画素電極に対応する部分に液晶を垂直配向させる垂直配向膜を有する垂直配向部が設けられるとともに、該垂直配向部同士の間に前記液晶を水平配向させる水平配向膜を有する水平配向部が設けられ、前記第2基板には、前記垂直配向部及び前記水平配向部に対応する領域に共通して前記液晶を垂直配向させる共通垂直配向膜を有する共通垂直配向部が設けられることを特徴とする液晶装置。
【0008】
本発明によれば、第2基板側の共通垂直配向膜が第1基板側の垂直配向部及び水平配向部に対応する領域に形成されており、画素領域毎に分割されていないため、塗布プロセスを用いて表示領域の略全体に共通垂直配向膜を形成することができる。また、非表示領域に対応する共通垂直配向膜を所定のパターンに形成しておくことで、第1基板側との導通が得られるようになっている。液晶装置を量産する場合に、少なくとも一方の基板の配向膜を真空プロセスで形成する必要がなくなるので、高価な真空成膜装置の導入台数が減り投資費用を大幅に削減することが可能となる。
本発明の液晶装置は、電圧無印加時において実質的に垂直配向を呈し、電圧印加時に水平配向を呈する液晶層を備えたものである。
【0009】
また、前記水平配向部は、前記液晶にプレチルト角を与えるように前記水平配向膜が設けられることが好ましい。
このようにすれば、水平配向部に隣接する垂直配向部上の液晶分子の水平配向時の配向方位が水平配向領域の影響を受けて一方向に規定されるので、液晶分子の配向対立に起因するディスクリネーションの発生を効果的に抑制することができ、表示品位の良好な液晶装置とすることができる。
【0010】
また、プレチルト角は、基板面に対して40度以下であることが好ましい。
このようにすれば、横電界の影響による液晶分子の配向不良をより効果的に抑制することができる。
【0011】
また、前記垂直配向部の前記垂直配向膜と前記共通垂直配向部の前記共通垂直配向膜とは同一の配向膜で設けられることが好ましい。
このようにすれば、液晶装置を量産する場合に各配向膜の製造が容易となる。
【0012】
また、垂直配向部は、前記垂直配向膜が前記画素電極の領域よりも小さい領域に設けられることが好ましい。
このようにすれば、垂直配向膜が設けられた画素電極上の残りの領域(画素電極の周縁部)に水平配向膜の一部が配置されることになり、この領域上では液晶を所定の方位角で配向させているので、画素電位を印加した際には液晶が揃った方向に倒れて配向するようになる。したがって、垂直配向部内(垂直配向膜上)の液晶は、水平配向膜上の液晶によって倒れる方向が規制され、画素電極端から発生する横電界に影響を抑止して一定の方向に配向するようになる。よって、表示領域での液晶の配向不良が防止されてディスクリネーションが防止される。
【0013】
また、水平配向部は、前記水平配向膜の一部が前記画素電極上に配置された状態で設けられることが好ましい。
このようにすれば、画素電極の周縁部(水平配向膜)上では液晶を所定の方位角で配向させているので、画素電位を印加した際には液晶が揃った方向に倒れて配向するようになる。したがって、垂直配向部内(垂直配向膜上)の液晶は、水平配向膜上の液晶によって倒れる方向が規制され、画素電極端から発生する横電界に影響を抑止して一定の方向に配向するようになる。よって、表示領域での液晶の配向不良が防止されてディスクリネーションが防止される。
【0014】
また、共通垂直配向部は、前記共通垂直配向膜が非表示領域まで延在する状態で設けられることが好ましい。
このようにすれば、表示領域と非表示領域との境界においても液晶の配向を良好にすることができる。また、基板面全体に形成するためパターニング等が不要となり製造が容易である。
【0015】
また、前記垂直配向部の前記垂直配向膜及び前記共通垂直配向部の前記共通垂直配向膜のそれぞれは、側鎖に垂直配向性を示すアルキル鎖を含むポリイミド、もしくは前記画素電極の表面を炭素数が10以上の直鎖アルキル基を有するシランカップリング剤で表面処理したもの、または無機材料の薄膜形成により垂直配向性を持たせたものであることが好ましい。
このようにすれば、垂直配向膜および共通垂直配向膜上の液晶を実質的に垂直配向させることができる。ここで、「実質的に垂直配向」とは、液晶層に電圧印加した際に、液晶分子が倒れる方向が一定方向に規制されない状態のことをいう。
【0016】
また、水平配向部の前記水平配向膜は、水平配向性を示すポリイミド、もしくは前記画素電極の表面を炭素数が10以下の直鎖アルキル基を有するシランカップリング剤で表面処理したもの、または無機材料の薄膜形成により水平配向性を持たせたものであることが好ましい。
このようにすれば、水平配向部が、液晶に所定のプレチルト角及び方位角を付与するエリアとなる。上記材料からなるいずれの水平配向膜においても、電圧印加時に周囲の垂直配向部内の液晶を一軸配向させることができる。
【0017】
また、前記第1基板及び前記第2基板の外側に配置された互いの遅相軸が直交するように配置された配置された一対の1/4波長板と、前記一対の1/4波長板の外側に前記一対の1/4波長板の遅相軸に対して透過軸が45°の角度をなし、かつ互いの偏光版の透過軸が直交するように配置された偏光板と、を有することが好ましい。
このようにすれば、白表示時における液晶分子の方位方向(方位角)によらず複屈折効果が得られ、液晶装置の輝度を大幅に向上させることができる。
【0018】
本発明の液晶装置の製造方法は、複数の画素電極を有する第1基板と、該第1基板に対向して配置される第2基板と、前記第1基板および前記第2基板間に挟持される液晶層と、を備える液晶装置の製造方法であって、前記第1基板の前記画素電極に対応する部分に、前記液晶を垂直配向させる垂直配向膜を有する垂直配向部を設ける垂直配向部形成工程と、
前記第1基板の前記垂直配向部同士の間に、前記液晶を水平配向させる水平配向膜を有する水平配向部を設ける水平配向部形成工程と、前記第2基板の、前記第1垂直配向部及び前記水平配向部に対応する領域に共通して前記液晶を垂直配向させる共通垂直配向膜を有する共通垂直配向部を設ける共通垂直配向部形成工程と、を有することを特徴とする。
【0019】
このようにすれば、第2基板側の共通垂直配向膜は、画素領域毎に分割することなく、第1基板側の垂直配向部及び水平配向部に対応する領域に形成するため、塗布プロセスを用いて基板の略全面に共通垂直配向膜を形成することができる。液晶装置を量産する場合に、少なくとも一方の基板の配向膜を真空プロセスで形成する必要がなくなるので、高価な真空成膜装置の導入台数が減り投資費用を大幅に削減することが可能となる。
また、本発明の液晶装置は、電圧無印加時において実質的に垂直配向を呈し、電圧印加時に水平配向を呈する液晶層を備えたものである。
【0020】
また、垂直配向部形成工程は、前記垂直配向膜を、シランカップリング剤の表面処理によって垂直配向性を持たせるように形成することが好ましい。
このようにすれば、シランカップリング剤を用いることによって垂直配向能を有する配向膜を簡単且つ容易に形成することができる。
【0021】
また、垂直配向部形成工程は、前記垂直配向膜を、インクジェット法により膜材料を吐出することで形成することが好ましい。
このようにすれば、垂直配向膜を所定のパターンに形成すべく選択的に材料を塗布することができる。
【0022】
また、垂直配向部形成工程は、前記垂直配向膜を、無機材料を真空プロセスにより成膜して無機配向膜を形成した後、フォトプロセスを経てエッチングによりパターニングすることで形成することが好ましい。
このようにすれば、垂直配向膜を形成した後に水平配向膜を形成することができる。そのため、配向膜の形成材料によって垂直配向膜と水平配向膜の形成順を適宜選択することができる。
【0023】
また、前記水平配向部形成工程は、前記水平配向膜を、感光性ポリイミドを塗布した後にフォトプロセスによってパターニングするか、またはインクジェット法によりポリイミド溶液を吐出して、ラビング処理もしくはイオンビーム法により配向情報を付与することで形成することが好ましい。
このようにすれば、配向膜の形成材料によって、垂直配向膜と水平配向膜の形成順を適宜選択することができる。
【0024】
また、共通垂直配向部形成工程は、前記共通垂直配向膜を、ポリイミド溶液をスピンコート法もしくはインクジェット法により形成することが好ましい。
このようにすれば、スピンコート法を用いれば、基板面全体に共通垂直配向膜を簡単且つ容易に形成することができる。インクジェット法を用いれば、所定の箇所に配向膜材料を選択的に吐出することができるので、パターニングすることなく所望の形状の共通垂直配向膜を形成することができる。
【0025】
また、共通垂直配向部形成工程は、前記共通垂直配向膜を、無機材料を真空プロセスにより成膜して形成することが好ましい。
このようにすれば、液相プロセスよりも均一な表面処理を行うことができる。
【0026】
また、共通垂直配向部形成工程は、前記共通垂直配向膜を、シランカップリング剤の表面処理によって垂直配向性を持たせるように形成することが好ましい。
このようにすれば、真空プロセスよりも短時間で表面処理を行うことができる。また、高価な真空成膜装置が不要となるため初期投資費用を削減することができる。
【0027】
複数の画素電極を有してなる第1基板と、該第1基板に対向して配置される第2基板と、これら基板間に挟持された液晶層とを備え、前記液晶層は初期配向状態が垂直配向を呈しかつ誘電体異方性が負の液晶によって形成されてなる液晶装置であって、前記画素電極と対応する位置に設けられた表示領域と、該表示領域間に設けられた非表示領域とを有し、前記画素電極は、前記表示領域に配置され、かつ、その周縁部が前記非表示領域に張り出して配置され、前記画素電極上の少なくとも前記表示領域には、該第1基板の液晶層側に設けられた配向膜によって、前記液晶を略垂直に配向させる第1のエリアが形成され、前記非表示領域には、前記第1基板の液晶層側に設けられた配向膜によって、前記液晶を所定の方位角で配向させる第2のエリアが形成され、前記第2のエリアは、少なくとも前記画素電極の前記非表示領域に張り出してなる周縁部上に形成されていることを特徴とする。なお、本発明において、周縁とはある領域の内部であって、この領域内部と外部との境界近傍を意味し、周辺とはある領域の外部であって、この領域内部と外部との境界近傍を意味するものとする。
【0028】
このようにすれば、表示領域側から非表示領域側に張り出した画素電極の周縁部上(第2のエリア)では、液晶を所定の方位角で配向させているので、前記周縁部上の液晶は、画素電位を印加した際に、揃った方向に倒れて配向するようになる。したがって、表示領域(第1のエリア)内の液晶は、前記周縁部上の液晶によって倒れる方向が規制され、画素電極端から基板と略平行な方向に発生する横方向電界に影響されることなく、一定の方向に配向するようになる。よって、表示領域での液晶の配向不良が防止され、ディスクリネーションが防止される。
【0029】
また、表示領域(第1のエリア)に配置された液晶は、画素電極の周縁部上(第2のエリア)によって配向する方向を規制されるようにしているので、電圧が印加されていない状態で基板面に対して略90度に垂直配向された場合にも、電圧が印加された際には揃った方向に倒れて配向するようになる。したがって、表示領域にディスクリネーションが生じることが防止され、よって、良好なコントラスト特性を有し、かつ表示不良が防止された液晶装置とすることができる。
【0030】
また、液晶を所定の方位角で配向させる第2のエリアは、前記画素電極の前記非表示領域に張り出してなる周縁部上、すなわち、表示領域の外部のみに形成しているので、表示領域には、垂直に配向された液晶のみが配置されるようになっている。したがって、水平配向された液晶が表示領域内に配置されることによる光漏れが防止され、よって、各画素の表示コントラスト低下が防止される。
【0031】
また、前記第2のエリアでは、液晶のプレチルト角が10度以上45度以下となっていることが好ましい。
このようにすれば、前記第2のエリアに配置された液晶は、画素電位を印加した際に倒れる方向が十分に規制されるので、画素電極端から発生する横方向電界に起因する液晶の配向不良が防止される。また、液晶に上記の範囲でプレチルト角を付与するには、公知の方法を用いることができるので、信頼性が高い液晶装置とすることができる。
なお、本発明でプレチルト角とは、基板の厚さ方向に対して液晶のダイレクタがなす角度の余角を意味するものとする。また、プレチルト角が45度を超えた配向を垂直配向と表現し、プレチルト角が45度以下である配向を水平配向と表現する。
【0032】
また、前記第2のエリアに対応する配向膜は、感光性樹脂からなっていることが好ましい。
このようにすれば、前記第2のエリアに対応する配向膜を形成する際に、光を用いたパターニング方法を用いることができる。具体的には、前記第2のエリアは非表示領域内に位置しており、基板には前記非表示領域を規定する遮光膜が形成されている。そこで、前記感光性樹脂としてポジ型のものを用い、前記遮光膜をマスクにして前記感光性樹脂を露光、現像することによって、配向膜パターンを形成することができる。このようにして形成された配向膜パターンは、遮光膜に覆われた領域、すなわち非表示領域の内側のみに位置するものとなる。
【0033】
本発明の液晶装置の製造方法は、複数の画素電極を有してなる第1基板と、該第1基板に対向して配置される第2基板と、これら基板間に挟持された液晶層とを備え、前記液晶層は初期配向状態が垂直配向を呈しかつ誘電体異方性が負の液晶によって形成され、前記画素電極に対応する位置が表示領域とされ、該表示領域間が非表示領域とされる液晶装置の製造方法であって、前記画素電極を、前記第1基板の表示領域となる位置に形成し、かつその周縁部を前記非表示領域となる位置に張り出して形成する工程と、前記画素電極上で、かつ少なくとも前記表示領域となる位置に、前記液晶を略垂直に配向させる第1の配向膜を形成する工程と、前記第1基板の前駆体である基板の画素電極側で、かつ前記非表示領域における、少なくとも前記画素電極の前記非表示領域に張り出してなる周縁部上に、前記液晶を所定の方位角で配向させる第2の配向膜を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【0034】
このようにすれば、表示領域側から非表示領域側に張り出した画素電極の周縁部上(第2のエリア)には、液晶を所定の方位角で配向させる第2の配向膜を形成しているので、前記周縁上の液晶は、画素電位を印加した際に、揃った方向に配向するようになる。したがって、表示領域(第1のエリア)内の液晶は、前記周縁部上の液晶によって配向する方向が規制され、画素電極端から基板と略平行な方向に発生する横方向電界に影響されることなく、一定の方向に配向するようになる。よって、表示領域での液晶の配向不良が防止され、ディスクリネーションが防止された液晶装置を製造することができる。
【0035】
また、表示領域(第1のエリア)に配置された液晶は、画素電極の周縁部上(第2のエリア)によって、配向する方向を規制されるようになるので、電圧が印加されていない状態で略0度に垂直配向させた場合にも、電圧を印加した際には揃った方向に倒れて配向するようになり、表示領域においてディスクリネーションが防止される。よって、良好なコントラスト特性を有し、かつ表示不良が防止された液晶装置を製造することができる。
【0036】
また、液晶を所定の方位角で配向させる第2のエリアは、前記画素電極の前記非表示領域に張り出してなる周縁部上、すなわち、表示領域の外部のみに形成しているので、表示領域には、略0度に垂直配向された液晶のみが配置されるようになる。したがって、水平配向された液晶が表示領域内に配置されることによる光漏れが防止され、表示コントラスト低下が防止された液晶装置を製造することができる。
【0037】
また、前記第1基板の前記非表示領域となる位置に遮光膜を形成する工程を有し、前記第2の配向膜を形成する工程は、前記第1基板の画素電極側に感光性樹脂を塗布して樹脂膜を形成する工程と、前記遮光膜をマスクにして露光、現像し、該遮光膜に対応した配向膜パターンを形成する工程と、該配向膜パターンをラビング処理して第2の配向膜とする工程とを有することが好ましい。
【0038】
このようにすれば、第2の配向膜を形成するためのレジストマスク等を用いる必要がなく、製造工程を簡略化することができる。また、第2の配向膜のパターニングを高精度で行うことができ、遮光膜に覆われた領域、すなわち非表示領域の内側のみに第2の配向膜を形成することができる。したがって、第2の配向膜によって所定の方位角で配向された液晶は、非表示領域内のみに配置され、よって、垂直配向された液晶のみが表示領域に配置されるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について、TFT(Thin-Film Transistor)素子を用いたアクティブマトリクス型の透過型液晶装置を例に説明するが、本発明の技術範囲は以下の実施形態に限定されるものではない。また、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0040】
図1は透過型液晶装置のマトリクス状に配置された複数の画素におけるスイッチング素子、信号線等の等価回路図である。
図1に示すように、マトリクス状に配置された複数の画素には、画素電極9と当該画素電極9への通電制御を行うためのスイッチング素子であるTFT素子30がそれぞれ形成されており、画像信号が供給されるデータ線6aが当該TFT素子30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給されるか、あるいは相隣接する複数のデータ線6aに対してグループ毎に供給される。
【0041】
また、走査線3aがTFT素子30のゲートに電気的に接続されており、複数の走査線3aに対して走査信号G1、G2、…、Gmが所定のタイミングでパルス的に線順次で印加される。また、画素電極9はTFT素子30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT素子30を一定期間だけオンすることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。
【0042】
画素電極9を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、後述する共通電極との間で一定期間保持される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能にする。ここで、保持された画像信号がリークすることを防止するために、画素電極9と共通電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70が付加されている。
【0043】
図2は、透過型液晶装置の表示部を示す図であって、画素電極が配された第1基板の、配向膜(図示せず)が形成された面側から平面視した模式図である。液晶装置の表示部は、画素電極9(外周9a’とする)に対応してその内側に設けられた画素領域Pと、それ以外の遮光領域BMとから構成されており、前記画素電極9は、その周縁部が遮光領域BMに張り出して配置されている。また、少なくとも画素領域P全体を含んで、第1のエリアA1が形成されており、遮光領域BMには第2のエリアA2が形成されている。
【0044】
図3は、図2のX−X線断面の模式図である。図3に示すように、透過型液晶装置1は、第1基板10と、第2基板20と、これら基板間に挟持された液晶層50とから構成されている。第1基板10は、ガラス等の透明な基板10Aと、この基板10A上に形成された画素電極9や遮光膜13、層間絶縁層14、および垂直配向膜41(第1の配向膜)、水平配向膜42(第2の配向膜)等から構成されている。前記TFT素子(図示せず)や配線(図示せず)等は遮光膜13上に形成されており、前記基板10A側から入射する光によって劣化することが防止されている。また、前記遮光膜13が形成されていることにより、遮光領域BMが規定され、遮光領域BM間の画素開口部として画素領域Pが規定されている。
【0045】
この第1基板10には、基板面に対して液晶を実質的に垂直配向させる垂直配向部と、基板面に対して所定のプレチルト角で配向させる水平配向部とが設けられている。垂直配向部は、画素電極9に対応する部分に配置された垂直配向膜41を有し、水平配向部は、垂直配向膜41を取り囲むようにして配置される水平配向膜42を有している。
【0046】
また、第1基板10上には、少なくとも前記画素領域Pを含んで、第1のエリアA1が形成されており、前記遮光領域BMには、少なくとも前記画素電極9の前記非表示領域に張り出してなる周縁部9b上を含んで第2のエリアA2が形成されている。図3に示すように第1のエリアA1と第2のエリアA2とは連続して設けられている。また、前記第1のエリアA1に対応する画素電極9上には、垂直配向膜41が形成されており、前記第2のエリアA2に対応する画素電極9上および遮光膜13(すなわち層間絶縁層14)上には、水平配向膜42が形成されている。すなわち、前記遮光領域BMの幅をaとし、前記第2のエリアA2の幅をbとし、画素電極間Gの幅をcとすると、a≧b>cとなっている。
【0047】
このように、少なくとも、画素電極間Gの幅(c)よりも第2エリアA2の幅(b)の方が大きくなるように設定し、画素電極9上に水平配向膜42の一部が配置されるように構成する。
【0048】
垂直配向膜41は、側鎖に垂直配向性を示すアルキル鎖を含むポリイミドからなる薄膜や、画素電極9の表面を炭素数が10以上(例えば炭素数16)の直鎖アルキル基を有するシランカップリング剤で表面処理することによって得られる薄膜や、無機材料の薄膜形成により垂直配向機能を持たせた薄膜などから構成されている。「無機膜に垂直配向性を持たせた薄膜」としては、例えば、無機膜上を、有機官能基を含むシランカップリング剤によって表面処理することで得た薄膜などが挙げられる。
【0049】
水平配向膜42は、水平配向性を有するポリイミドからなる薄膜や、基板10A上を炭素数10以下(例えば炭素数6)の直鎖アルキル基を有するシランカップリング剤で表面処理することによって得られる薄膜や、無機材料の薄膜形成により水平配向性を持たせた薄膜などから構成されている。「無機膜に水平配向性を持たせた薄膜」としては、無機膜の表面にラビング処理が施された薄膜や、真空プロセスによって得られる斜方蒸着膜などが挙げられる。また、シランカップリング剤を用いる場合には、基板10A上を例えば炭素数6の直鎖アルキル基を有するシランカップリング剤で表面処理した後に、ラビング処理を施す。これにより、炭素数6の直鎖アルキル基が基板面に対して傾倒してプレチルトを発現することになる。
【0050】
第2基板20は、ガラス等からなる透明な基板20Aと、共通垂直配向膜61と、共通電極21等から構成されている。
なお、第2基板20側にも前記遮光膜13および水平配向膜42を形成してもよい。
【0051】
第2基板20には、画素毎に区画されることなく液晶51を基板面に対して実質的に垂直配向させる共通垂直配向部が設けられており、第1基板10の垂直配向部及び水平配向部に対応する領域に共通する共通垂直配向膜61を有している。共通垂直配向膜61は、スピンコート法やインクジェット法等の塗付プロセスにより形成され、表示領域から非表示領域にかけて設けられている(図8参照)。
【0052】
また、共通垂直配向膜61は、共通電極21の各角部を露出させる形状にパターン形成されている(図9参照)。共通垂直配向膜61に開口部61Aを形成するには、共通電極21の各角部上を予めマスクで覆っておくか、共通電極21に各角部に対応する部分を後でエッチングにより除去するようにしてもよい。
【0053】
図10に示すように、第2基板20の各角部(共通垂直配向膜61から露出した共通電極21の各角部)には、第1基板10と第2基板20との電気的導通を取るための導電粒子である基板間導通材90が配置されている。該基板間導通材90は導電ペーストによって形成され、例えば、第1基板10と第2基板20とを接着する不図示のシール材内に配置されていてもよい。第2基板20の非表示領域には、該基板20上に形成される端子の引き廻し配線91が形成されており、この引き廻し配線91と共通電極21とに基板間導通材90が接触することによってこれらを電気的に接続し、コモン電位を共通電極21へ供給している。
【0054】
第1基板10と第2基板20との間には液晶層50が封止されており、図3に示した初期状態(電圧無印加状態)では、垂直配向膜41、61間の液晶51は、基板面に対してプレチルト角略90度に配向させられており、水平配向膜42上の液晶52は所定のプレチルト角で配向させられている。
【0055】
図4は、画素電極9と共通電極21との間に電圧を印加したときの液晶の配向を模式的に示す図である。前記画素電極9と前記共通電極21との間に電圧を印加すると、その電圧に応じて液晶層50の液晶が配向し、透過型液晶装置1の厚さ方向に透過する光が変調され、透過型液晶装置1は階調表示が可能なものとなる。このとき、本発明の透過型液晶装置1では、第2のエリアA2(水平配向膜42上)に位置する液晶52については、電圧無印加状態において所定のプレチルト角で配向させているので、電圧を印加した場合に、揃った方向へ倒れて配向する。したがって、第1のエリアA1(垂直配向膜41上)に位置する液晶51は、電圧を印加された場合に倒れる方向が前記液晶52に規制され、揃った方向に配向するようになる。すなわち、第1のエリアA1の、第2のエリアA2近傍に位置する液晶は、第2のエリアA2の外周部となる前記画素電極9の周縁部9b上の液晶52の動作に大きく影響を受け、特にその倒れる方向が周縁部9b上の液晶52の倒れる方向に規制される。これにより、第1のエリアA1の液晶51は、全て揃った方向に倒れ、均一に配向するようになる。よって、画素電極9の端部から第1基板10に平行な方向に横方向電界が生じても、画素領域Pの液晶51は、配向不良を生じることが防止される。
【0056】
ここで、前記液晶52のプレチルト角は、10〜45度とすることが好ましい。また、40度以下とすることがより好ましい。このようにすれば、電圧を印加された際に、液晶52が倒れる方向は十分に規制されるので、液晶51の配向不良がより確実に防止される。また、液晶52に上記の範囲でプレチルト角を付与するには、水平配向膜42による公知の方法を用いることができる。
【0057】
また、画素領域Pに対応する液晶51と異なる配向となる液晶52は、遮光領域BM内のみに配置しているので、画素領域P(画素開口部)に対応する画素の透過率は液晶51のみに規定され、均一なものとなる。したがって、前記画素の透過率を所望のものとすることができる。また、画素領域Pに対応する液晶51は、配向不良が防止されているので、電圧無印加状態で略垂直に配向させることができる。
【0058】
次に本発明に係る液晶装置の製造方法の第1の実施形態を説明する。本実施形態では、前記水平配向膜42の材料として感光性樹脂を用い、前記遮光膜13をマスクにしてパターニングし、前記水平配向膜42を形成する方法を例に説明を行う。
【0059】
図5と図6は、第1基板10を形成する工程の説明図である。まず、図5(a)に示すように、ガラス等からなる透明な基板10A上にCr(クロム)等からなる遮光膜13を格子状に形成し、この遮光膜13によって遮光領域BMを規定するとともに、この遮光領域BMに囲まれた領域を画素領域P(画素開口部)とする。続いて、遮光膜13上に図1に示したTFT素子30やデータ線6a、走査線3a等の配線を形成する。次に、前記画素領域Pから遮光領域BMに張り出して、ITO(インジウム錫酸化物)等の透明導電体を用いて画素電極9を形成し、第1基板10となる前駆体を形成する。これらの工程は、公知の方法を用いることができる。
【0060】
次に、図5(b)に示すように、第1基板10の画素電極9側に、例えばスピンコート法等の方法を用いて、後述する水平配向膜42の材料を塗布し、感光性樹脂膜42aを形成する。この水平配向膜42の材料としては、例えば紫外線可溶化型ポリイミド(ポジ型PI)等を用いる。また、前記感光性樹脂膜42aの厚さについては、例えば100nm程度とする。なお、本発明で第1基板10とは、便宜上、前駆体の状態も含むものとする。
【0061】
また、配向膜材料の塗布法は特に限定されることなく、上記以外の種々の方法が採用可能であって、例えばインクジェット法等も好適に用いられる。
【0062】
続いて、図5(c)に示すように、基板10Aの裏面側(前記ポジ型PI塗布面の反対の面側)からUVを照射し、所定量の露光を行う。このとき、前記基板10Aと画素電極9とは透明な材料からなっているため、これらに対応する画素領域PではUVが透過し、画素領域P上の紫外線可溶化型ポリイミドが露光され、可溶化される。一方、遮光膜13に対応する遮光領域BMでは、UVが透過しないので、遮光領域BMと対応した位置の感光性樹脂膜42aは露光されない。
【0063】
上記のような工程後、感光性樹脂膜42aの可溶化(露光)された部分をウエットエッチングで除去(現像)し、例えばN2雰囲気にて300℃程度の温度で1時間程度加熱処理し、アニールすることでイミド化を行う。これにより、図6(a)に示すように、遮光領域BMに対応した感光性樹脂膜42bが形成される。感光性樹脂膜42bの大きさ(幅)については、UVを第1基板10Aに対して入射させる角度や、露光時間、現像時間等によって制御可能であるが、前記遮光膜13をマスクにして露光されたことでセルフパターニングされているため、少なくとも遮光領域BMの範囲内に収まるように形成される。
【0064】
次に、図6(b)に示すように、ラビング布をローラに巻きつけたラビング処理装置55により、前記感光性樹脂膜42bにラビング処理を行い、前記感光性樹脂膜42bに配向性を付与することで、遮光領域BMに対応した水平配向膜(第2の配向膜)42を形成する。
【0065】
また、ラビング処理法以外に、イオンビームスパッタ(IBS)法を用いて感光性樹脂膜42bに配向性を付与してもよい。
【0066】
水平配向膜42が形成されたことにより、水平配向膜42上に第2のエリアA2が形成可能となる。また、第2のエリアA2間が第1のエリアA1として規定される。
【0067】
上記のように水平配向膜42を形成した後(水平配向部形成工程)、前記水平配向膜42を形成した基板10Aに垂直配向膜41を形成する(垂直配向部形成工程)。垂直配向膜41を形成するには、例えば長鎖アルキル基や剛直な平面構造を有する官能基を、前記水平配向膜42間に露出した画素電極9上に、選択的に付与する方法がある。具体的には、前記水平配向膜42が形成された第1基板10に、例えばN2雰囲気にて150〜180℃程度の温度で3時間程度乾燥処理を行い、その後、前記水平配向膜42を備えた前記基板10Aを例えばODS(Octadecyltrimethoxysilane)溶液を有した容器とともに密閉容器内に放置する。そして、この容器を例えば150℃の温度で一時間程度加熱することによって、前記ODS溶液の蒸気を前記基板10Aの画素電極9配置面に接触させる。このようにすれば、ODS分子の長鎖アルキル基は、無機系の反応基を有していることにより、前記水平配向膜42の有機材料とは結合することなく、無機材料であるITOからなる画素電極9上に選択的に結合する。したがって、前記垂直配向膜41を前記水平配向膜42間から露出した画素電極9上に、選択的に形成することができる。
【0068】
以上のようにして、図6(c)に示すように、第1のエリアA1に垂直配向膜41を、第2のエリアA2に水平配向膜42を、それぞれ備えた第1基板10が得られる。
【0069】
また、第1基板10とは別に、図7(a)に示すように第2基板20を形成する。この第2基板20は、ガラス等の透明な材料からなる基板20A上に、ITO等の透明導電体を用いて共通電極21を形成し、この共通電極21上に、共通垂直配向膜61を形成する(共通垂直配向部形成工程)。これらの工程は公知の手法を用いることができ、例えば共通電極21の形成には蒸着法等が好適である。
【0070】
共通垂直配向膜61の形成には、ポリイミド溶液をスピンコート法あるいはインクジェット法等を用いることで好適に形成することができる。例えば、スピンコート法を用いる場合には、成膜した薄膜の、共通電極21の各角部に対応する箇所を部分的に除去する。インクジェット法を用いる場合には、予め共通電極21の各角部をマスクで覆っておくようにする。このように、いずれの手法を用いる場合においても、共通電極21の各角部が露出する形状となるように共通垂直配向膜61を形成する。
【0071】
次に、図7(b)に示すように、第1基板10と第2基板20とを、第1の配向膜41、61および第2の配向膜42が内側になるように貼り合わせ、図7(c)に示すように、第1基板10と第2基板20との間に液晶層50を封入することで、液晶パネル58を形成する。
【0072】
以上のような製造方法によれば、遮光膜13をマスクにしたセルフアライメントによって水平配向膜を形成しているので、別途レジストマスク等を用いる必要がなく、製造工程を簡略化することができる。
また、前記水平配向膜42は、遮光膜13に規定される遮光領域BM内に形成されるようにしているため、画素領域Pにはみ出して形成されることがない。したがって、画素領域Pには、垂直配向膜41、61のみが配置された透過型液晶装置1を製造できる。
【0073】
上記の製造方法によって得られた本発明の液晶装置1(透過型液晶装置)にあっては、画素領域Pの液晶51の配向不良を防止しているので、ディスクリネーション等の表示不良が防止されたものになっている。また、画素領域Pに対応する液晶51は電圧無印加状態で略垂直に配向させることができるので、良好なコントラスト特性のものとなっている。また、表示領域に水平配向された液晶が配置されることを防止しているので、表示コントラスト低下が防止されたものとなっている。
【0074】
なお、本実施形態では、第2のエリアA2を画素電極9の周縁部9bと画素電極9間とに連続して形成しているが、各画素電極9の周縁部9bのみに形成しても良い。また、遮光膜13をCr等によって独立して形成したが、例えば配線電極等を遮光膜13として機能させても良い。
また、垂直配向膜41を形成する方法としては、水平配向膜42を形成した後に、例えばポリシロキサンを含有する溶剤をスピンコート法等の液相法によって、第1基板の前記水平配向膜42を形成した面側に塗布し、200℃程度の温度で硬化させることによって形成してもよい。
また、垂直配向膜41を、例えば前記ポリシロキサンのように無機系の材料からなる剛直な構造のものとした場合、垂直配向膜41はラビング処理によって配向性を付与されなくなるので、図6(b)に示した感光性樹脂膜42bにラビング処理を行う工程は、垂直配向膜41を形成した後に、垂直配向膜41上と感光性樹脂膜42b上とを一括して行うようにしてもよい。
【0075】
図11は、本実施形態の液晶装置の電圧印加に伴う液晶分子の配向変化を経時的に示す説明図である。
まず、初期配向状態(電圧無印加状態)では、図11(a)に示すように、第1基板10側において垂直配向膜41が形成された第1のエリアA1では液晶51が基板面に対して垂直に配向する一方、周辺の第2のエリアA2では液晶52が所定の方位角方向にプレチルトを有した状態で基板面に対して水平に配向する。第2基板20側に設けられた共通垂直配向膜61の界面の液晶51は基板面に対して垂直に配向する。このように、本実施形態の液晶装置1は、垂直配向領域(第1のエリアA1)の周囲にHAN(Hybrid Alignment Nematic)配向領域(第2のエリアA2)が存在する垂直配向方式の液晶装置である。
【0076】
この状態から電圧を印加すると、図11(b)に示すように、HAN配向領域において水平配向する液晶52の影響により、垂直配向領域(画素電極9上)の液晶51が同一方向に一様に傾倒する。つまり、電圧無印加時に所定のプレチルト角で配向していた第2のエリアA2の液晶52によって、電圧印加時における第1のエリアA1に位置する液晶51の傾倒方向が規制される。その後、図11(c)に示すように、第1のエリアA1及び第2のエリアA2に位置する全ての液晶51、52が揃った方向に均一に配向する。
このように、画素電極9端部において発生する横電界に影響されることなく、液晶51、52が一定の方向に配向するため、表示領域での液晶分子の配向不良が防止され、ディスクリネーションが防止される。
【0077】
[偏光板及び1/4波長板]
図3に示すように、本実施形態における液晶装置200は、液晶パネル58の両側に一対の1/4波長板81,82が配置され、一対の1/4波長板81,82の外側に一対の偏光板71,72が配置されている。詳細には、液晶パネル58を挟持するようにして、第1基板10及び第2基板20の外側に透過軸が互いに直交する直線偏光の光の間にほぼ4/1波長の光路差を生じさせる1/4波長板81,82がそれぞれ配置されている。また、1/4波長板81,82の両外側には、偏光板71,72がクロスニコル状態でそれぞれ配置されている。
【0078】
図12(a),(b)は、1/4波長板81,82及び偏光板71,72の光学軸の配置を示している。図12(b)に示すように、基板面に垂直に見ると、偏光板71の偏光軸71aと、偏光板72の偏光軸72aとが略直交している。また、1/4波長板81の光学軸(遅相軸)81aと、1/4波長板82の光学軸82aとが略直交している。偏光軸71aと光学軸81aとのなす角、偏光軸72aと光学軸82aとのなす角はともに約45°である。すなわち、偏光板71及び1/4波長板81、偏光板72及び1/4波長板82は、それぞれ円偏光板を構成している。
【0079】
以下に、液晶装置の透過シミュレーション結果について述べる。
(偏光板クロスニコル状態での液晶装置(1/4波長板なし)の透過シミュレーション)
ここで、図13は、画素電極上における液晶分子のダイレクタ分布を示す斜視図である。また、図14に、電圧印加状態での一画素におけるクロスニコル下での光透過率分布を示す。
光源から出射され、偏光板71、液晶パネル58をこの順で透過した光は、液晶パネル58によってλ/2の位相差が付与された直線偏光と同一の偏光状態で偏光板72から出射するが、電圧印加時における液晶分子の配向は、画素電極9(画素部X)の端部での電界と共通垂直配向膜61とで決められる方位角アンカリングの相関により、所定の配向方向とは異なり、方位角方向で回転してしまっている領域が一部に存在する(図13参照)。このような液晶分子の配向(方位角方向)は、偏光板71,72のいずれかの透過軸と一致したとき、この部分での透過率が図14に示すように低下してしまう。
【0080】
(本実施形態おける液晶装置(1/4波長板あり)の透過シミュレーション)
図15に、電圧印加状態での一画素におけるクロスニコル下での光透過率分布を示す。
本実施形態では、偏光板と液晶層の間に1/4波長板を設けて偏光板を透過した直線偏光を円偏光に変換し、液晶の方位角によらず、λ/2の位相差を生じさせるようにしている。
図3,12(a)に示すように、光源から出射され偏光板71を透過した直線偏光は、1/4波長板81によってλ/4の位相差を付与されて円偏光に変換される。円偏光は、液晶パネル58において実質λ/2の位相差が付与されて逆回転の円偏光となり、さらに1/4波長板82によって入射した直線偏光に対して直交した直線偏光となり偏光板72を透過する。このとき液晶層を通過する円偏光は液晶の方位角によらず、複屈折効果を生じさせるため、一部方位角方向で回転している液晶分子でも偏光を透過させることができる。
【0081】
電圧無印加状態で液晶分子が垂直配向している場合、偏光板71を透過した直線偏光は、1/4波長板81によってλ/4の位相差を付与されて円偏光に変換され、液晶層で位相差変化を生じさせず、1/4波長板82によって、もとの直線偏光に戻り、偏光板72で透過軸に直交するため吸収される。
【0082】
このように、液晶パネル58の両側に、1/4波長板81,82及び偏光板71,72を備えることにより、液晶分子の方位方向(方位角)によらず複屈折効果が得られるので、図15に示すように液晶装置200の輝度を大幅に向上させることができる。
【0083】
また、水平配向膜42に対して方位角を備えたプレチルトを具備させるために、ポリイミド膜にラビング処理を施したものを水平配向膜42としているが、例えばSiO2に代表される無機材料(無機酸化物)を斜方蒸着により形成した斜方蒸着膜や、上述したように無機材料(無機酸化物)をイオンビームスパッタ(IBS)法により形成した無機配向膜を水平配向膜42とすることも可能である。
【0084】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもなく、上記各実施形態を組み合わせても良い。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0085】
例えば、水平配向膜42を形成する他の方法として、シランカップリング剤を用いて基板10A上を表面処理することによって水平配向膜42を形成してもよい。この場合、シランカップリング剤には炭素数10以下の直鎖アルキル基が含まれており、このシランカップリング剤によって表面処理を行うことで、画素電極9上及び電極間領域において露出する層間絶縁層14上をアルキル基で修飾することができる。こうして形成された薄膜層の表面にラビング処理を施した後、フォトプロセスなどを用いてパターン形成して水平配向膜42を形成する。ラビング処理によって炭素数10以下の直鎖アルキル基に水平配向能が付与され、水平配向膜42上の液晶52を基板面に対して所定の角度で水平配向させることができる。なお、画素電極9上における垂直配向膜41の形成箇所にマスクを予め形成した後、シランカップリング剤を塗付するようにしてもよい。
【0086】
また、垂直配向膜41を形成する他の方法としては、例えば、シランカップリング剤を用いて基板10A上を表面処理することによって垂直配向膜41を形成してもよい。シランカップリング剤には炭素数10以上の直鎖アルキル基が含まれており、このシランカップリング剤によって表面処理を行うことで、画素電極9上をアルキル基で修飾することができる。炭素数10以上の直鎖アルキル基によって垂直配向能が付与され、垂直配向膜61上の液晶51を実質的に垂直配向させることができる。
【0087】
また、インクジェット法を用いて、垂直配向膜41の材料を水平配向膜42から露出する画素電極9上に吐出することで、垂直配向膜41を選択的に形成するようにしてもよい。この場合、例えば図16に示すように、水平配向膜42(図中のハッチング部分)によって区画された領域(垂直配向膜41の形成領域)に、配向膜材料を吐出する。
【0088】
また、上記実施形態では垂直配向膜41を形成した後に水平配向膜42を形成したが、成膜する順番を逆にしても良い。例えば、真空プロセスにより無機材料を電極表面に付着させて基板10A上の画素電極9を覆う無機膜を成膜し、フォトプロセスを経て、水平配向膜42を形成する部分をエッチングにより除去する。このように、無機膜をパターニングすることで垂直配向膜41を形成した後、インクジェット法を用いて、水平配向膜42間を埋めるように水平配向膜42の材料を選択的に吐出し、水平配向膜42を形成するようにしてもよい。
【0089】
また、共通垂直配向膜61を形成する他の方法としては、例えば、シランカップリング剤を用いて共通電極21上を表面処理することによって共通垂直配向膜61を形成してもよい。この場合、炭素数10以上の直鎖アルキル基を含むシランカップリング剤によって表面処理を行うことで、共通電極21上をアルキル基で修飾することができる。炭素数10以上の直鎖アルキル基によって垂直配向能が付与され、垂直配向膜61上の液晶51を実質的に垂直配向させることができる。また、塗布プロセス以外にも、真空プロセスによって無機材料を共通電極21上に付着させることで垂直配向膜61を成膜してもよい。
【0090】
なお、いずれの場合においても、図9及び図10に示すように、共通電極21の各角部が共通垂直配向膜61から露出する形状となるように、予め共通電極21の各角部をマスクで覆っておくか、あるいは後からエッチングを施すようにしてもよい。
【0091】
また、液晶装置の他の実施形態として、図17に示すように第2基板20側に遮光膜13を設けてもよい。この場合、遮光膜13をマスクにして第1基板10上に水平配向膜42をパターン形成するという上記実施形態とは異なり、例えばインクジェット法を用いて垂直配向膜41及び水平配向膜42をそれぞれ選択的に形成する。このとき、第2基板20側の遮光膜13に対応した遮光領域BM内に収まるように水平配向膜42を形成した後、該水平配向膜42で囲まれた領域(露出した画素電極9の表面)を埋めるようにして垂直配向膜41を形成してもよい。また、その成膜順を逆にしてもよい。なお、第2基板20側の共通垂直配向膜61は、上記した方法のいずれかを用いて形成する。
【0092】
[電子機器]
上記実施の形態の液晶装置を備えた電子機器の例について説明する。
図18(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図18(a)において、符号500は携帯電話本体を示し、符号501は上記実施形態の液晶装置を用いた液晶表示部を示している。
【0093】
図18(b)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図18(b)において、符号600は情報処理装置、符号601はキーボードなどの入力部、符号603は情報処理装置本体、符号602は上記実施形態の液晶装置を用いた液晶表示部を示している。
【0094】
図18(c)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図18(c)において、符号700は時計本体を示し、符号701は上記実施形態の液晶装置を用いた液晶表示部を示している。
【0095】
このように図18に示す電子機器は、表示部に上述の本発明の一例たる液晶装置を適用したものであるので、高コントラストで、かつ表示品質が高い表示装置となる。
【0096】
[投射型表示装置]
次に、上記実施形態の液晶装置を光変調手段として備えた投射型表示装置(プロジェクタ)の構成について、図19を参照して説明する。図19は、上記実施形態の液晶装置を光変調装置として用いた投射型表示装置の要部を示す概略構成図である。図19において、810は光源、813、814はダイクロイックミラー、815、816、817は反射ミラー、818は入射レンズ、819はリレーレンズ、820は出射レンズ、822、823、824は液晶光変調装置、825はクロスダイクロイックプリズム、826は投写レンズを示す。
【0097】
光源810はメタルハライド等のランプ811とランプの光を反射するリフレクタ812とからなる。青色光、緑色光反射のダイクロイックミラー813は、光源810からの光束のうちの赤色光を透過させるとともに、青色光と緑色光とを反射する。透過した赤色光は反射ミラー817で反射されて、上述の本発明の一例たる液晶装置を備えた赤色光用液晶光変調装置822に入射される。
【0098】
一方、ダイクロイックミラー813で反射された色光のうち緑色光は緑色光反射のダイクロイックミラー814によって反射され、上述の本発明の一例たる液晶装置を備えた緑色光用液晶光変調装置823に入射される。なお、青色光は第2のダイクロイックミラー814も透過する。青色光に対しては、光路長が緑色光、赤色光と異なるのを補償するために、入射レンズ818、リレーレンズ819、出射レンズ820を含むリレーレンズ系からなる導光手段821が設けられ、これを介して青色光が上述の本発明の一例たる液晶装置を備えた青色光用液晶光変調装置824に入射される。
【0099】
各光変調装置により変調された3つの色光はクロスダイクロイックプリズム825に入射する。このプリズムは4つの直角プリズムが貼り合わされ、その内面に赤光を反射する誘電体多層膜と青光を反射する誘電体多層膜とが十字状に形成されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が形成される。合成された光は、投写光学系である投写レンズ826によってスクリーン827上に投写され、画像が拡大されて表示される。
【0100】
上記構造を有する投射型表示装置は、上述の本発明の一例たる液晶装置を備えたものであるので、例えばラビング処理を施したときのようなラビング筋が表示される不具合がなく、高コントラストで、かつ表示品質が高い表示装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明に係る透過型液晶装置の等価回路図。
【図2】透過型液晶装置の表示部要部を平面視した模式図。
【図3】図2のX−X線断面図。
【図4】電圧を印加したときの液晶の配向を模式的に示す図。
【図5】本発明に係る液晶装置の製造方法の説明図。
【図6】本発明に係る液晶装置の製造方法の説明図。
【図7】本発明に係る液晶装置の製造方法の説明図。
【図8】透過型液晶装置の要部断面図。
【図9】第2基板側の構成を平面視した模式図。
【図10】透過型液晶装置の角部の断面図。
【図11】電圧を印加したときの液晶の配向を経時的に示す模式図。
【図12】1/4波長板及び偏光板の光学軸の配置を示す図。
【図13】偏光板クロスニコル状態の液晶装置(1/4波長板なし)において、電圧印加時での一画素における液晶分子のダイレクタ分布を示す斜視図(シミュレーション)。
【図14】図13における液晶装置の光透過の様子(クロスニコル下)を示す図。
【図15】本実施形態における液晶装置(1/4波長板あり)の電圧印加状態での一画素における光透過の様子(クロスニコル下)を示す図。
【図16】液晶装置の他の製造方法を示す説明図。
【図17】本発明に係る液晶装置の他の実施形態を示す断面図。
【図18】本発明に係る電子機器について幾つかの例を示す斜視図。
【図19】本発明に係る投射型表示装置についての一例を示す図。
【符号の説明】
【0102】
1・・・透過型液晶装置(液晶装置)、9・・・画素電極、10・・・第1基板、13・・・遮光膜、20・・・第2基板、21・・・共通電極、41、61・・・第1の配向膜(垂直配向膜)、42・・・第2の配向膜(水平配向膜)、A1・・・第1のエリア、A2・・・第2のエリア、P・・・画素領域(画素開口部)、BM・・・遮光領域、UV・・・紫外線
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶装置とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶装置を用いて映像を大画面に表示する装置として液晶プロジェクタがある。プロジェクタにおいては高輝度、高コントラストが要求されており、その点、垂直配向方式の液晶装置は高コントラストの表示が可能で、近年、プロジェクタ用の液晶装置の液晶配向方式として採用されつつある。
【0003】
しかし、垂直配向方式では液晶が基板表面に対して垂直に立っており、電圧印加時に倒れる方位方向での相互作用が弱い。しかも、画素電位を印加すると、画素電極端から基板面に平行な方向に、横方向の電界が発生する。そのため、この横方向の電界に起因して、液晶が様々な方向に倒れてしまい、ディスクリネーションを生じることがあった。ディスクリネーションが生じると、明暗のムラやコントラストの低下、残像等の表示欠陥が視認されてしまう。
【0004】
そのため、画素領域では液晶を垂直配向させて、良好なコントラスト特性を確保し、画素領域周辺の、主に非表示領域では液晶を水平配向させ、液晶の配向を規制することでディスクリネーションを防止することが考えられる。このような構成の液晶装置は、例えば特許文献1に開示されており、特許文献1の液晶装置では、無機配向膜を斜方蒸着法によって形成し、その厚さを変化させることで無機配向膜の配向角を制御し、配向膜上の液晶の方位角を制御している。
【特許文献1】特開2005−107373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の液晶装置では、表示コントラストの低下が生じるおそれがある。つまり、特許文献1の液晶装置では、液晶の配向を強く規制する第2の配向膜(水平配向膜)が、遮光帯上からから張り出して、すなわち表示領域にも形成されており、この部分では液晶に大きなプレチルト角が付与されることによって、光漏れが生じてしまう。したがって、この画素では、例えば黒を表示しようとしても、画素内に光漏れを生じた部分があるため、本来の黒よりも明るく視認されてしまう。このようにして表示コントラストが低下しまうことによって、液晶装置の表示特性が低下してしまう。
【0006】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み成されたものであって、良好なコントラスト特性であり、かつディスクリネーション等の表示不良が防止された液晶装置と、その製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の液晶装置は、複数の画素電極を有する第1基板と、該第1基板に対向して配置される第2基板と、前記第1基板および前記第2基板間に挟持される液晶層と、を備える液晶装置であって、前記第1基板には、前記画素電極に対応する部分に液晶を垂直配向させる垂直配向膜を有する垂直配向部が設けられるとともに、該垂直配向部同士の間に前記液晶を水平配向させる水平配向膜を有する水平配向部が設けられ、前記第2基板には、前記垂直配向部及び前記水平配向部に対応する領域に共通して前記液晶を垂直配向させる共通垂直配向膜を有する共通垂直配向部が設けられることを特徴とする液晶装置。
【0008】
本発明によれば、第2基板側の共通垂直配向膜が第1基板側の垂直配向部及び水平配向部に対応する領域に形成されており、画素領域毎に分割されていないため、塗布プロセスを用いて表示領域の略全体に共通垂直配向膜を形成することができる。また、非表示領域に対応する共通垂直配向膜を所定のパターンに形成しておくことで、第1基板側との導通が得られるようになっている。液晶装置を量産する場合に、少なくとも一方の基板の配向膜を真空プロセスで形成する必要がなくなるので、高価な真空成膜装置の導入台数が減り投資費用を大幅に削減することが可能となる。
本発明の液晶装置は、電圧無印加時において実質的に垂直配向を呈し、電圧印加時に水平配向を呈する液晶層を備えたものである。
【0009】
また、前記水平配向部は、前記液晶にプレチルト角を与えるように前記水平配向膜が設けられることが好ましい。
このようにすれば、水平配向部に隣接する垂直配向部上の液晶分子の水平配向時の配向方位が水平配向領域の影響を受けて一方向に規定されるので、液晶分子の配向対立に起因するディスクリネーションの発生を効果的に抑制することができ、表示品位の良好な液晶装置とすることができる。
【0010】
また、プレチルト角は、基板面に対して40度以下であることが好ましい。
このようにすれば、横電界の影響による液晶分子の配向不良をより効果的に抑制することができる。
【0011】
また、前記垂直配向部の前記垂直配向膜と前記共通垂直配向部の前記共通垂直配向膜とは同一の配向膜で設けられることが好ましい。
このようにすれば、液晶装置を量産する場合に各配向膜の製造が容易となる。
【0012】
また、垂直配向部は、前記垂直配向膜が前記画素電極の領域よりも小さい領域に設けられることが好ましい。
このようにすれば、垂直配向膜が設けられた画素電極上の残りの領域(画素電極の周縁部)に水平配向膜の一部が配置されることになり、この領域上では液晶を所定の方位角で配向させているので、画素電位を印加した際には液晶が揃った方向に倒れて配向するようになる。したがって、垂直配向部内(垂直配向膜上)の液晶は、水平配向膜上の液晶によって倒れる方向が規制され、画素電極端から発生する横電界に影響を抑止して一定の方向に配向するようになる。よって、表示領域での液晶の配向不良が防止されてディスクリネーションが防止される。
【0013】
また、水平配向部は、前記水平配向膜の一部が前記画素電極上に配置された状態で設けられることが好ましい。
このようにすれば、画素電極の周縁部(水平配向膜)上では液晶を所定の方位角で配向させているので、画素電位を印加した際には液晶が揃った方向に倒れて配向するようになる。したがって、垂直配向部内(垂直配向膜上)の液晶は、水平配向膜上の液晶によって倒れる方向が規制され、画素電極端から発生する横電界に影響を抑止して一定の方向に配向するようになる。よって、表示領域での液晶の配向不良が防止されてディスクリネーションが防止される。
【0014】
また、共通垂直配向部は、前記共通垂直配向膜が非表示領域まで延在する状態で設けられることが好ましい。
このようにすれば、表示領域と非表示領域との境界においても液晶の配向を良好にすることができる。また、基板面全体に形成するためパターニング等が不要となり製造が容易である。
【0015】
また、前記垂直配向部の前記垂直配向膜及び前記共通垂直配向部の前記共通垂直配向膜のそれぞれは、側鎖に垂直配向性を示すアルキル鎖を含むポリイミド、もしくは前記画素電極の表面を炭素数が10以上の直鎖アルキル基を有するシランカップリング剤で表面処理したもの、または無機材料の薄膜形成により垂直配向性を持たせたものであることが好ましい。
このようにすれば、垂直配向膜および共通垂直配向膜上の液晶を実質的に垂直配向させることができる。ここで、「実質的に垂直配向」とは、液晶層に電圧印加した際に、液晶分子が倒れる方向が一定方向に規制されない状態のことをいう。
【0016】
また、水平配向部の前記水平配向膜は、水平配向性を示すポリイミド、もしくは前記画素電極の表面を炭素数が10以下の直鎖アルキル基を有するシランカップリング剤で表面処理したもの、または無機材料の薄膜形成により水平配向性を持たせたものであることが好ましい。
このようにすれば、水平配向部が、液晶に所定のプレチルト角及び方位角を付与するエリアとなる。上記材料からなるいずれの水平配向膜においても、電圧印加時に周囲の垂直配向部内の液晶を一軸配向させることができる。
【0017】
また、前記第1基板及び前記第2基板の外側に配置された互いの遅相軸が直交するように配置された配置された一対の1/4波長板と、前記一対の1/4波長板の外側に前記一対の1/4波長板の遅相軸に対して透過軸が45°の角度をなし、かつ互いの偏光版の透過軸が直交するように配置された偏光板と、を有することが好ましい。
このようにすれば、白表示時における液晶分子の方位方向(方位角)によらず複屈折効果が得られ、液晶装置の輝度を大幅に向上させることができる。
【0018】
本発明の液晶装置の製造方法は、複数の画素電極を有する第1基板と、該第1基板に対向して配置される第2基板と、前記第1基板および前記第2基板間に挟持される液晶層と、を備える液晶装置の製造方法であって、前記第1基板の前記画素電極に対応する部分に、前記液晶を垂直配向させる垂直配向膜を有する垂直配向部を設ける垂直配向部形成工程と、
前記第1基板の前記垂直配向部同士の間に、前記液晶を水平配向させる水平配向膜を有する水平配向部を設ける水平配向部形成工程と、前記第2基板の、前記第1垂直配向部及び前記水平配向部に対応する領域に共通して前記液晶を垂直配向させる共通垂直配向膜を有する共通垂直配向部を設ける共通垂直配向部形成工程と、を有することを特徴とする。
【0019】
このようにすれば、第2基板側の共通垂直配向膜は、画素領域毎に分割することなく、第1基板側の垂直配向部及び水平配向部に対応する領域に形成するため、塗布プロセスを用いて基板の略全面に共通垂直配向膜を形成することができる。液晶装置を量産する場合に、少なくとも一方の基板の配向膜を真空プロセスで形成する必要がなくなるので、高価な真空成膜装置の導入台数が減り投資費用を大幅に削減することが可能となる。
また、本発明の液晶装置は、電圧無印加時において実質的に垂直配向を呈し、電圧印加時に水平配向を呈する液晶層を備えたものである。
【0020】
また、垂直配向部形成工程は、前記垂直配向膜を、シランカップリング剤の表面処理によって垂直配向性を持たせるように形成することが好ましい。
このようにすれば、シランカップリング剤を用いることによって垂直配向能を有する配向膜を簡単且つ容易に形成することができる。
【0021】
また、垂直配向部形成工程は、前記垂直配向膜を、インクジェット法により膜材料を吐出することで形成することが好ましい。
このようにすれば、垂直配向膜を所定のパターンに形成すべく選択的に材料を塗布することができる。
【0022】
また、垂直配向部形成工程は、前記垂直配向膜を、無機材料を真空プロセスにより成膜して無機配向膜を形成した後、フォトプロセスを経てエッチングによりパターニングすることで形成することが好ましい。
このようにすれば、垂直配向膜を形成した後に水平配向膜を形成することができる。そのため、配向膜の形成材料によって垂直配向膜と水平配向膜の形成順を適宜選択することができる。
【0023】
また、前記水平配向部形成工程は、前記水平配向膜を、感光性ポリイミドを塗布した後にフォトプロセスによってパターニングするか、またはインクジェット法によりポリイミド溶液を吐出して、ラビング処理もしくはイオンビーム法により配向情報を付与することで形成することが好ましい。
このようにすれば、配向膜の形成材料によって、垂直配向膜と水平配向膜の形成順を適宜選択することができる。
【0024】
また、共通垂直配向部形成工程は、前記共通垂直配向膜を、ポリイミド溶液をスピンコート法もしくはインクジェット法により形成することが好ましい。
このようにすれば、スピンコート法を用いれば、基板面全体に共通垂直配向膜を簡単且つ容易に形成することができる。インクジェット法を用いれば、所定の箇所に配向膜材料を選択的に吐出することができるので、パターニングすることなく所望の形状の共通垂直配向膜を形成することができる。
【0025】
また、共通垂直配向部形成工程は、前記共通垂直配向膜を、無機材料を真空プロセスにより成膜して形成することが好ましい。
このようにすれば、液相プロセスよりも均一な表面処理を行うことができる。
【0026】
また、共通垂直配向部形成工程は、前記共通垂直配向膜を、シランカップリング剤の表面処理によって垂直配向性を持たせるように形成することが好ましい。
このようにすれば、真空プロセスよりも短時間で表面処理を行うことができる。また、高価な真空成膜装置が不要となるため初期投資費用を削減することができる。
【0027】
複数の画素電極を有してなる第1基板と、該第1基板に対向して配置される第2基板と、これら基板間に挟持された液晶層とを備え、前記液晶層は初期配向状態が垂直配向を呈しかつ誘電体異方性が負の液晶によって形成されてなる液晶装置であって、前記画素電極と対応する位置に設けられた表示領域と、該表示領域間に設けられた非表示領域とを有し、前記画素電極は、前記表示領域に配置され、かつ、その周縁部が前記非表示領域に張り出して配置され、前記画素電極上の少なくとも前記表示領域には、該第1基板の液晶層側に設けられた配向膜によって、前記液晶を略垂直に配向させる第1のエリアが形成され、前記非表示領域には、前記第1基板の液晶層側に設けられた配向膜によって、前記液晶を所定の方位角で配向させる第2のエリアが形成され、前記第2のエリアは、少なくとも前記画素電極の前記非表示領域に張り出してなる周縁部上に形成されていることを特徴とする。なお、本発明において、周縁とはある領域の内部であって、この領域内部と外部との境界近傍を意味し、周辺とはある領域の外部であって、この領域内部と外部との境界近傍を意味するものとする。
【0028】
このようにすれば、表示領域側から非表示領域側に張り出した画素電極の周縁部上(第2のエリア)では、液晶を所定の方位角で配向させているので、前記周縁部上の液晶は、画素電位を印加した際に、揃った方向に倒れて配向するようになる。したがって、表示領域(第1のエリア)内の液晶は、前記周縁部上の液晶によって倒れる方向が規制され、画素電極端から基板と略平行な方向に発生する横方向電界に影響されることなく、一定の方向に配向するようになる。よって、表示領域での液晶の配向不良が防止され、ディスクリネーションが防止される。
【0029】
また、表示領域(第1のエリア)に配置された液晶は、画素電極の周縁部上(第2のエリア)によって配向する方向を規制されるようにしているので、電圧が印加されていない状態で基板面に対して略90度に垂直配向された場合にも、電圧が印加された際には揃った方向に倒れて配向するようになる。したがって、表示領域にディスクリネーションが生じることが防止され、よって、良好なコントラスト特性を有し、かつ表示不良が防止された液晶装置とすることができる。
【0030】
また、液晶を所定の方位角で配向させる第2のエリアは、前記画素電極の前記非表示領域に張り出してなる周縁部上、すなわち、表示領域の外部のみに形成しているので、表示領域には、垂直に配向された液晶のみが配置されるようになっている。したがって、水平配向された液晶が表示領域内に配置されることによる光漏れが防止され、よって、各画素の表示コントラスト低下が防止される。
【0031】
また、前記第2のエリアでは、液晶のプレチルト角が10度以上45度以下となっていることが好ましい。
このようにすれば、前記第2のエリアに配置された液晶は、画素電位を印加した際に倒れる方向が十分に規制されるので、画素電極端から発生する横方向電界に起因する液晶の配向不良が防止される。また、液晶に上記の範囲でプレチルト角を付与するには、公知の方法を用いることができるので、信頼性が高い液晶装置とすることができる。
なお、本発明でプレチルト角とは、基板の厚さ方向に対して液晶のダイレクタがなす角度の余角を意味するものとする。また、プレチルト角が45度を超えた配向を垂直配向と表現し、プレチルト角が45度以下である配向を水平配向と表現する。
【0032】
また、前記第2のエリアに対応する配向膜は、感光性樹脂からなっていることが好ましい。
このようにすれば、前記第2のエリアに対応する配向膜を形成する際に、光を用いたパターニング方法を用いることができる。具体的には、前記第2のエリアは非表示領域内に位置しており、基板には前記非表示領域を規定する遮光膜が形成されている。そこで、前記感光性樹脂としてポジ型のものを用い、前記遮光膜をマスクにして前記感光性樹脂を露光、現像することによって、配向膜パターンを形成することができる。このようにして形成された配向膜パターンは、遮光膜に覆われた領域、すなわち非表示領域の内側のみに位置するものとなる。
【0033】
本発明の液晶装置の製造方法は、複数の画素電極を有してなる第1基板と、該第1基板に対向して配置される第2基板と、これら基板間に挟持された液晶層とを備え、前記液晶層は初期配向状態が垂直配向を呈しかつ誘電体異方性が負の液晶によって形成され、前記画素電極に対応する位置が表示領域とされ、該表示領域間が非表示領域とされる液晶装置の製造方法であって、前記画素電極を、前記第1基板の表示領域となる位置に形成し、かつその周縁部を前記非表示領域となる位置に張り出して形成する工程と、前記画素電極上で、かつ少なくとも前記表示領域となる位置に、前記液晶を略垂直に配向させる第1の配向膜を形成する工程と、前記第1基板の前駆体である基板の画素電極側で、かつ前記非表示領域における、少なくとも前記画素電極の前記非表示領域に張り出してなる周縁部上に、前記液晶を所定の方位角で配向させる第2の配向膜を形成する工程と、を有することを特徴とする。
【0034】
このようにすれば、表示領域側から非表示領域側に張り出した画素電極の周縁部上(第2のエリア)には、液晶を所定の方位角で配向させる第2の配向膜を形成しているので、前記周縁上の液晶は、画素電位を印加した際に、揃った方向に配向するようになる。したがって、表示領域(第1のエリア)内の液晶は、前記周縁部上の液晶によって配向する方向が規制され、画素電極端から基板と略平行な方向に発生する横方向電界に影響されることなく、一定の方向に配向するようになる。よって、表示領域での液晶の配向不良が防止され、ディスクリネーションが防止された液晶装置を製造することができる。
【0035】
また、表示領域(第1のエリア)に配置された液晶は、画素電極の周縁部上(第2のエリア)によって、配向する方向を規制されるようになるので、電圧が印加されていない状態で略0度に垂直配向させた場合にも、電圧を印加した際には揃った方向に倒れて配向するようになり、表示領域においてディスクリネーションが防止される。よって、良好なコントラスト特性を有し、かつ表示不良が防止された液晶装置を製造することができる。
【0036】
また、液晶を所定の方位角で配向させる第2のエリアは、前記画素電極の前記非表示領域に張り出してなる周縁部上、すなわち、表示領域の外部のみに形成しているので、表示領域には、略0度に垂直配向された液晶のみが配置されるようになる。したがって、水平配向された液晶が表示領域内に配置されることによる光漏れが防止され、表示コントラスト低下が防止された液晶装置を製造することができる。
【0037】
また、前記第1基板の前記非表示領域となる位置に遮光膜を形成する工程を有し、前記第2の配向膜を形成する工程は、前記第1基板の画素電極側に感光性樹脂を塗布して樹脂膜を形成する工程と、前記遮光膜をマスクにして露光、現像し、該遮光膜に対応した配向膜パターンを形成する工程と、該配向膜パターンをラビング処理して第2の配向膜とする工程とを有することが好ましい。
【0038】
このようにすれば、第2の配向膜を形成するためのレジストマスク等を用いる必要がなく、製造工程を簡略化することができる。また、第2の配向膜のパターニングを高精度で行うことができ、遮光膜に覆われた領域、すなわち非表示領域の内側のみに第2の配向膜を形成することができる。したがって、第2の配向膜によって所定の方位角で配向された液晶は、非表示領域内のみに配置され、よって、垂直配向された液晶のみが表示領域に配置されるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について、TFT(Thin-Film Transistor)素子を用いたアクティブマトリクス型の透過型液晶装置を例に説明するが、本発明の技術範囲は以下の実施形態に限定されるものではない。また、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0040】
図1は透過型液晶装置のマトリクス状に配置された複数の画素におけるスイッチング素子、信号線等の等価回路図である。
図1に示すように、マトリクス状に配置された複数の画素には、画素電極9と当該画素電極9への通電制御を行うためのスイッチング素子であるTFT素子30がそれぞれ形成されており、画像信号が供給されるデータ線6aが当該TFT素子30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給されるか、あるいは相隣接する複数のデータ線6aに対してグループ毎に供給される。
【0041】
また、走査線3aがTFT素子30のゲートに電気的に接続されており、複数の走査線3aに対して走査信号G1、G2、…、Gmが所定のタイミングでパルス的に線順次で印加される。また、画素電極9はTFT素子30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT素子30を一定期間だけオンすることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。
【0042】
画素電極9を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、後述する共通電極との間で一定期間保持される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能にする。ここで、保持された画像信号がリークすることを防止するために、画素電極9と共通電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70が付加されている。
【0043】
図2は、透過型液晶装置の表示部を示す図であって、画素電極が配された第1基板の、配向膜(図示せず)が形成された面側から平面視した模式図である。液晶装置の表示部は、画素電極9(外周9a’とする)に対応してその内側に設けられた画素領域Pと、それ以外の遮光領域BMとから構成されており、前記画素電極9は、その周縁部が遮光領域BMに張り出して配置されている。また、少なくとも画素領域P全体を含んで、第1のエリアA1が形成されており、遮光領域BMには第2のエリアA2が形成されている。
【0044】
図3は、図2のX−X線断面の模式図である。図3に示すように、透過型液晶装置1は、第1基板10と、第2基板20と、これら基板間に挟持された液晶層50とから構成されている。第1基板10は、ガラス等の透明な基板10Aと、この基板10A上に形成された画素電極9や遮光膜13、層間絶縁層14、および垂直配向膜41(第1の配向膜)、水平配向膜42(第2の配向膜)等から構成されている。前記TFT素子(図示せず)や配線(図示せず)等は遮光膜13上に形成されており、前記基板10A側から入射する光によって劣化することが防止されている。また、前記遮光膜13が形成されていることにより、遮光領域BMが規定され、遮光領域BM間の画素開口部として画素領域Pが規定されている。
【0045】
この第1基板10には、基板面に対して液晶を実質的に垂直配向させる垂直配向部と、基板面に対して所定のプレチルト角で配向させる水平配向部とが設けられている。垂直配向部は、画素電極9に対応する部分に配置された垂直配向膜41を有し、水平配向部は、垂直配向膜41を取り囲むようにして配置される水平配向膜42を有している。
【0046】
また、第1基板10上には、少なくとも前記画素領域Pを含んで、第1のエリアA1が形成されており、前記遮光領域BMには、少なくとも前記画素電極9の前記非表示領域に張り出してなる周縁部9b上を含んで第2のエリアA2が形成されている。図3に示すように第1のエリアA1と第2のエリアA2とは連続して設けられている。また、前記第1のエリアA1に対応する画素電極9上には、垂直配向膜41が形成されており、前記第2のエリアA2に対応する画素電極9上および遮光膜13(すなわち層間絶縁層14)上には、水平配向膜42が形成されている。すなわち、前記遮光領域BMの幅をaとし、前記第2のエリアA2の幅をbとし、画素電極間Gの幅をcとすると、a≧b>cとなっている。
【0047】
このように、少なくとも、画素電極間Gの幅(c)よりも第2エリアA2の幅(b)の方が大きくなるように設定し、画素電極9上に水平配向膜42の一部が配置されるように構成する。
【0048】
垂直配向膜41は、側鎖に垂直配向性を示すアルキル鎖を含むポリイミドからなる薄膜や、画素電極9の表面を炭素数が10以上(例えば炭素数16)の直鎖アルキル基を有するシランカップリング剤で表面処理することによって得られる薄膜や、無機材料の薄膜形成により垂直配向機能を持たせた薄膜などから構成されている。「無機膜に垂直配向性を持たせた薄膜」としては、例えば、無機膜上を、有機官能基を含むシランカップリング剤によって表面処理することで得た薄膜などが挙げられる。
【0049】
水平配向膜42は、水平配向性を有するポリイミドからなる薄膜や、基板10A上を炭素数10以下(例えば炭素数6)の直鎖アルキル基を有するシランカップリング剤で表面処理することによって得られる薄膜や、無機材料の薄膜形成により水平配向性を持たせた薄膜などから構成されている。「無機膜に水平配向性を持たせた薄膜」としては、無機膜の表面にラビング処理が施された薄膜や、真空プロセスによって得られる斜方蒸着膜などが挙げられる。また、シランカップリング剤を用いる場合には、基板10A上を例えば炭素数6の直鎖アルキル基を有するシランカップリング剤で表面処理した後に、ラビング処理を施す。これにより、炭素数6の直鎖アルキル基が基板面に対して傾倒してプレチルトを発現することになる。
【0050】
第2基板20は、ガラス等からなる透明な基板20Aと、共通垂直配向膜61と、共通電極21等から構成されている。
なお、第2基板20側にも前記遮光膜13および水平配向膜42を形成してもよい。
【0051】
第2基板20には、画素毎に区画されることなく液晶51を基板面に対して実質的に垂直配向させる共通垂直配向部が設けられており、第1基板10の垂直配向部及び水平配向部に対応する領域に共通する共通垂直配向膜61を有している。共通垂直配向膜61は、スピンコート法やインクジェット法等の塗付プロセスにより形成され、表示領域から非表示領域にかけて設けられている(図8参照)。
【0052】
また、共通垂直配向膜61は、共通電極21の各角部を露出させる形状にパターン形成されている(図9参照)。共通垂直配向膜61に開口部61Aを形成するには、共通電極21の各角部上を予めマスクで覆っておくか、共通電極21に各角部に対応する部分を後でエッチングにより除去するようにしてもよい。
【0053】
図10に示すように、第2基板20の各角部(共通垂直配向膜61から露出した共通電極21の各角部)には、第1基板10と第2基板20との電気的導通を取るための導電粒子である基板間導通材90が配置されている。該基板間導通材90は導電ペーストによって形成され、例えば、第1基板10と第2基板20とを接着する不図示のシール材内に配置されていてもよい。第2基板20の非表示領域には、該基板20上に形成される端子の引き廻し配線91が形成されており、この引き廻し配線91と共通電極21とに基板間導通材90が接触することによってこれらを電気的に接続し、コモン電位を共通電極21へ供給している。
【0054】
第1基板10と第2基板20との間には液晶層50が封止されており、図3に示した初期状態(電圧無印加状態)では、垂直配向膜41、61間の液晶51は、基板面に対してプレチルト角略90度に配向させられており、水平配向膜42上の液晶52は所定のプレチルト角で配向させられている。
【0055】
図4は、画素電極9と共通電極21との間に電圧を印加したときの液晶の配向を模式的に示す図である。前記画素電極9と前記共通電極21との間に電圧を印加すると、その電圧に応じて液晶層50の液晶が配向し、透過型液晶装置1の厚さ方向に透過する光が変調され、透過型液晶装置1は階調表示が可能なものとなる。このとき、本発明の透過型液晶装置1では、第2のエリアA2(水平配向膜42上)に位置する液晶52については、電圧無印加状態において所定のプレチルト角で配向させているので、電圧を印加した場合に、揃った方向へ倒れて配向する。したがって、第1のエリアA1(垂直配向膜41上)に位置する液晶51は、電圧を印加された場合に倒れる方向が前記液晶52に規制され、揃った方向に配向するようになる。すなわち、第1のエリアA1の、第2のエリアA2近傍に位置する液晶は、第2のエリアA2の外周部となる前記画素電極9の周縁部9b上の液晶52の動作に大きく影響を受け、特にその倒れる方向が周縁部9b上の液晶52の倒れる方向に規制される。これにより、第1のエリアA1の液晶51は、全て揃った方向に倒れ、均一に配向するようになる。よって、画素電極9の端部から第1基板10に平行な方向に横方向電界が生じても、画素領域Pの液晶51は、配向不良を生じることが防止される。
【0056】
ここで、前記液晶52のプレチルト角は、10〜45度とすることが好ましい。また、40度以下とすることがより好ましい。このようにすれば、電圧を印加された際に、液晶52が倒れる方向は十分に規制されるので、液晶51の配向不良がより確実に防止される。また、液晶52に上記の範囲でプレチルト角を付与するには、水平配向膜42による公知の方法を用いることができる。
【0057】
また、画素領域Pに対応する液晶51と異なる配向となる液晶52は、遮光領域BM内のみに配置しているので、画素領域P(画素開口部)に対応する画素の透過率は液晶51のみに規定され、均一なものとなる。したがって、前記画素の透過率を所望のものとすることができる。また、画素領域Pに対応する液晶51は、配向不良が防止されているので、電圧無印加状態で略垂直に配向させることができる。
【0058】
次に本発明に係る液晶装置の製造方法の第1の実施形態を説明する。本実施形態では、前記水平配向膜42の材料として感光性樹脂を用い、前記遮光膜13をマスクにしてパターニングし、前記水平配向膜42を形成する方法を例に説明を行う。
【0059】
図5と図6は、第1基板10を形成する工程の説明図である。まず、図5(a)に示すように、ガラス等からなる透明な基板10A上にCr(クロム)等からなる遮光膜13を格子状に形成し、この遮光膜13によって遮光領域BMを規定するとともに、この遮光領域BMに囲まれた領域を画素領域P(画素開口部)とする。続いて、遮光膜13上に図1に示したTFT素子30やデータ線6a、走査線3a等の配線を形成する。次に、前記画素領域Pから遮光領域BMに張り出して、ITO(インジウム錫酸化物)等の透明導電体を用いて画素電極9を形成し、第1基板10となる前駆体を形成する。これらの工程は、公知の方法を用いることができる。
【0060】
次に、図5(b)に示すように、第1基板10の画素電極9側に、例えばスピンコート法等の方法を用いて、後述する水平配向膜42の材料を塗布し、感光性樹脂膜42aを形成する。この水平配向膜42の材料としては、例えば紫外線可溶化型ポリイミド(ポジ型PI)等を用いる。また、前記感光性樹脂膜42aの厚さについては、例えば100nm程度とする。なお、本発明で第1基板10とは、便宜上、前駆体の状態も含むものとする。
【0061】
また、配向膜材料の塗布法は特に限定されることなく、上記以外の種々の方法が採用可能であって、例えばインクジェット法等も好適に用いられる。
【0062】
続いて、図5(c)に示すように、基板10Aの裏面側(前記ポジ型PI塗布面の反対の面側)からUVを照射し、所定量の露光を行う。このとき、前記基板10Aと画素電極9とは透明な材料からなっているため、これらに対応する画素領域PではUVが透過し、画素領域P上の紫外線可溶化型ポリイミドが露光され、可溶化される。一方、遮光膜13に対応する遮光領域BMでは、UVが透過しないので、遮光領域BMと対応した位置の感光性樹脂膜42aは露光されない。
【0063】
上記のような工程後、感光性樹脂膜42aの可溶化(露光)された部分をウエットエッチングで除去(現像)し、例えばN2雰囲気にて300℃程度の温度で1時間程度加熱処理し、アニールすることでイミド化を行う。これにより、図6(a)に示すように、遮光領域BMに対応した感光性樹脂膜42bが形成される。感光性樹脂膜42bの大きさ(幅)については、UVを第1基板10Aに対して入射させる角度や、露光時間、現像時間等によって制御可能であるが、前記遮光膜13をマスクにして露光されたことでセルフパターニングされているため、少なくとも遮光領域BMの範囲内に収まるように形成される。
【0064】
次に、図6(b)に示すように、ラビング布をローラに巻きつけたラビング処理装置55により、前記感光性樹脂膜42bにラビング処理を行い、前記感光性樹脂膜42bに配向性を付与することで、遮光領域BMに対応した水平配向膜(第2の配向膜)42を形成する。
【0065】
また、ラビング処理法以外に、イオンビームスパッタ(IBS)法を用いて感光性樹脂膜42bに配向性を付与してもよい。
【0066】
水平配向膜42が形成されたことにより、水平配向膜42上に第2のエリアA2が形成可能となる。また、第2のエリアA2間が第1のエリアA1として規定される。
【0067】
上記のように水平配向膜42を形成した後(水平配向部形成工程)、前記水平配向膜42を形成した基板10Aに垂直配向膜41を形成する(垂直配向部形成工程)。垂直配向膜41を形成するには、例えば長鎖アルキル基や剛直な平面構造を有する官能基を、前記水平配向膜42間に露出した画素電極9上に、選択的に付与する方法がある。具体的には、前記水平配向膜42が形成された第1基板10に、例えばN2雰囲気にて150〜180℃程度の温度で3時間程度乾燥処理を行い、その後、前記水平配向膜42を備えた前記基板10Aを例えばODS(Octadecyltrimethoxysilane)溶液を有した容器とともに密閉容器内に放置する。そして、この容器を例えば150℃の温度で一時間程度加熱することによって、前記ODS溶液の蒸気を前記基板10Aの画素電極9配置面に接触させる。このようにすれば、ODS分子の長鎖アルキル基は、無機系の反応基を有していることにより、前記水平配向膜42の有機材料とは結合することなく、無機材料であるITOからなる画素電極9上に選択的に結合する。したがって、前記垂直配向膜41を前記水平配向膜42間から露出した画素電極9上に、選択的に形成することができる。
【0068】
以上のようにして、図6(c)に示すように、第1のエリアA1に垂直配向膜41を、第2のエリアA2に水平配向膜42を、それぞれ備えた第1基板10が得られる。
【0069】
また、第1基板10とは別に、図7(a)に示すように第2基板20を形成する。この第2基板20は、ガラス等の透明な材料からなる基板20A上に、ITO等の透明導電体を用いて共通電極21を形成し、この共通電極21上に、共通垂直配向膜61を形成する(共通垂直配向部形成工程)。これらの工程は公知の手法を用いることができ、例えば共通電極21の形成には蒸着法等が好適である。
【0070】
共通垂直配向膜61の形成には、ポリイミド溶液をスピンコート法あるいはインクジェット法等を用いることで好適に形成することができる。例えば、スピンコート法を用いる場合には、成膜した薄膜の、共通電極21の各角部に対応する箇所を部分的に除去する。インクジェット法を用いる場合には、予め共通電極21の各角部をマスクで覆っておくようにする。このように、いずれの手法を用いる場合においても、共通電極21の各角部が露出する形状となるように共通垂直配向膜61を形成する。
【0071】
次に、図7(b)に示すように、第1基板10と第2基板20とを、第1の配向膜41、61および第2の配向膜42が内側になるように貼り合わせ、図7(c)に示すように、第1基板10と第2基板20との間に液晶層50を封入することで、液晶パネル58を形成する。
【0072】
以上のような製造方法によれば、遮光膜13をマスクにしたセルフアライメントによって水平配向膜を形成しているので、別途レジストマスク等を用いる必要がなく、製造工程を簡略化することができる。
また、前記水平配向膜42は、遮光膜13に規定される遮光領域BM内に形成されるようにしているため、画素領域Pにはみ出して形成されることがない。したがって、画素領域Pには、垂直配向膜41、61のみが配置された透過型液晶装置1を製造できる。
【0073】
上記の製造方法によって得られた本発明の液晶装置1(透過型液晶装置)にあっては、画素領域Pの液晶51の配向不良を防止しているので、ディスクリネーション等の表示不良が防止されたものになっている。また、画素領域Pに対応する液晶51は電圧無印加状態で略垂直に配向させることができるので、良好なコントラスト特性のものとなっている。また、表示領域に水平配向された液晶が配置されることを防止しているので、表示コントラスト低下が防止されたものとなっている。
【0074】
なお、本実施形態では、第2のエリアA2を画素電極9の周縁部9bと画素電極9間とに連続して形成しているが、各画素電極9の周縁部9bのみに形成しても良い。また、遮光膜13をCr等によって独立して形成したが、例えば配線電極等を遮光膜13として機能させても良い。
また、垂直配向膜41を形成する方法としては、水平配向膜42を形成した後に、例えばポリシロキサンを含有する溶剤をスピンコート法等の液相法によって、第1基板の前記水平配向膜42を形成した面側に塗布し、200℃程度の温度で硬化させることによって形成してもよい。
また、垂直配向膜41を、例えば前記ポリシロキサンのように無機系の材料からなる剛直な構造のものとした場合、垂直配向膜41はラビング処理によって配向性を付与されなくなるので、図6(b)に示した感光性樹脂膜42bにラビング処理を行う工程は、垂直配向膜41を形成した後に、垂直配向膜41上と感光性樹脂膜42b上とを一括して行うようにしてもよい。
【0075】
図11は、本実施形態の液晶装置の電圧印加に伴う液晶分子の配向変化を経時的に示す説明図である。
まず、初期配向状態(電圧無印加状態)では、図11(a)に示すように、第1基板10側において垂直配向膜41が形成された第1のエリアA1では液晶51が基板面に対して垂直に配向する一方、周辺の第2のエリアA2では液晶52が所定の方位角方向にプレチルトを有した状態で基板面に対して水平に配向する。第2基板20側に設けられた共通垂直配向膜61の界面の液晶51は基板面に対して垂直に配向する。このように、本実施形態の液晶装置1は、垂直配向領域(第1のエリアA1)の周囲にHAN(Hybrid Alignment Nematic)配向領域(第2のエリアA2)が存在する垂直配向方式の液晶装置である。
【0076】
この状態から電圧を印加すると、図11(b)に示すように、HAN配向領域において水平配向する液晶52の影響により、垂直配向領域(画素電極9上)の液晶51が同一方向に一様に傾倒する。つまり、電圧無印加時に所定のプレチルト角で配向していた第2のエリアA2の液晶52によって、電圧印加時における第1のエリアA1に位置する液晶51の傾倒方向が規制される。その後、図11(c)に示すように、第1のエリアA1及び第2のエリアA2に位置する全ての液晶51、52が揃った方向に均一に配向する。
このように、画素電極9端部において発生する横電界に影響されることなく、液晶51、52が一定の方向に配向するため、表示領域での液晶分子の配向不良が防止され、ディスクリネーションが防止される。
【0077】
[偏光板及び1/4波長板]
図3に示すように、本実施形態における液晶装置200は、液晶パネル58の両側に一対の1/4波長板81,82が配置され、一対の1/4波長板81,82の外側に一対の偏光板71,72が配置されている。詳細には、液晶パネル58を挟持するようにして、第1基板10及び第2基板20の外側に透過軸が互いに直交する直線偏光の光の間にほぼ4/1波長の光路差を生じさせる1/4波長板81,82がそれぞれ配置されている。また、1/4波長板81,82の両外側には、偏光板71,72がクロスニコル状態でそれぞれ配置されている。
【0078】
図12(a),(b)は、1/4波長板81,82及び偏光板71,72の光学軸の配置を示している。図12(b)に示すように、基板面に垂直に見ると、偏光板71の偏光軸71aと、偏光板72の偏光軸72aとが略直交している。また、1/4波長板81の光学軸(遅相軸)81aと、1/4波長板82の光学軸82aとが略直交している。偏光軸71aと光学軸81aとのなす角、偏光軸72aと光学軸82aとのなす角はともに約45°である。すなわち、偏光板71及び1/4波長板81、偏光板72及び1/4波長板82は、それぞれ円偏光板を構成している。
【0079】
以下に、液晶装置の透過シミュレーション結果について述べる。
(偏光板クロスニコル状態での液晶装置(1/4波長板なし)の透過シミュレーション)
ここで、図13は、画素電極上における液晶分子のダイレクタ分布を示す斜視図である。また、図14に、電圧印加状態での一画素におけるクロスニコル下での光透過率分布を示す。
光源から出射され、偏光板71、液晶パネル58をこの順で透過した光は、液晶パネル58によってλ/2の位相差が付与された直線偏光と同一の偏光状態で偏光板72から出射するが、電圧印加時における液晶分子の配向は、画素電極9(画素部X)の端部での電界と共通垂直配向膜61とで決められる方位角アンカリングの相関により、所定の配向方向とは異なり、方位角方向で回転してしまっている領域が一部に存在する(図13参照)。このような液晶分子の配向(方位角方向)は、偏光板71,72のいずれかの透過軸と一致したとき、この部分での透過率が図14に示すように低下してしまう。
【0080】
(本実施形態おける液晶装置(1/4波長板あり)の透過シミュレーション)
図15に、電圧印加状態での一画素におけるクロスニコル下での光透過率分布を示す。
本実施形態では、偏光板と液晶層の間に1/4波長板を設けて偏光板を透過した直線偏光を円偏光に変換し、液晶の方位角によらず、λ/2の位相差を生じさせるようにしている。
図3,12(a)に示すように、光源から出射され偏光板71を透過した直線偏光は、1/4波長板81によってλ/4の位相差を付与されて円偏光に変換される。円偏光は、液晶パネル58において実質λ/2の位相差が付与されて逆回転の円偏光となり、さらに1/4波長板82によって入射した直線偏光に対して直交した直線偏光となり偏光板72を透過する。このとき液晶層を通過する円偏光は液晶の方位角によらず、複屈折効果を生じさせるため、一部方位角方向で回転している液晶分子でも偏光を透過させることができる。
【0081】
電圧無印加状態で液晶分子が垂直配向している場合、偏光板71を透過した直線偏光は、1/4波長板81によってλ/4の位相差を付与されて円偏光に変換され、液晶層で位相差変化を生じさせず、1/4波長板82によって、もとの直線偏光に戻り、偏光板72で透過軸に直交するため吸収される。
【0082】
このように、液晶パネル58の両側に、1/4波長板81,82及び偏光板71,72を備えることにより、液晶分子の方位方向(方位角)によらず複屈折効果が得られるので、図15に示すように液晶装置200の輝度を大幅に向上させることができる。
【0083】
また、水平配向膜42に対して方位角を備えたプレチルトを具備させるために、ポリイミド膜にラビング処理を施したものを水平配向膜42としているが、例えばSiO2に代表される無機材料(無機酸化物)を斜方蒸着により形成した斜方蒸着膜や、上述したように無機材料(無機酸化物)をイオンビームスパッタ(IBS)法により形成した無機配向膜を水平配向膜42とすることも可能である。
【0084】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもなく、上記各実施形態を組み合わせても良い。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0085】
例えば、水平配向膜42を形成する他の方法として、シランカップリング剤を用いて基板10A上を表面処理することによって水平配向膜42を形成してもよい。この場合、シランカップリング剤には炭素数10以下の直鎖アルキル基が含まれており、このシランカップリング剤によって表面処理を行うことで、画素電極9上及び電極間領域において露出する層間絶縁層14上をアルキル基で修飾することができる。こうして形成された薄膜層の表面にラビング処理を施した後、フォトプロセスなどを用いてパターン形成して水平配向膜42を形成する。ラビング処理によって炭素数10以下の直鎖アルキル基に水平配向能が付与され、水平配向膜42上の液晶52を基板面に対して所定の角度で水平配向させることができる。なお、画素電極9上における垂直配向膜41の形成箇所にマスクを予め形成した後、シランカップリング剤を塗付するようにしてもよい。
【0086】
また、垂直配向膜41を形成する他の方法としては、例えば、シランカップリング剤を用いて基板10A上を表面処理することによって垂直配向膜41を形成してもよい。シランカップリング剤には炭素数10以上の直鎖アルキル基が含まれており、このシランカップリング剤によって表面処理を行うことで、画素電極9上をアルキル基で修飾することができる。炭素数10以上の直鎖アルキル基によって垂直配向能が付与され、垂直配向膜61上の液晶51を実質的に垂直配向させることができる。
【0087】
また、インクジェット法を用いて、垂直配向膜41の材料を水平配向膜42から露出する画素電極9上に吐出することで、垂直配向膜41を選択的に形成するようにしてもよい。この場合、例えば図16に示すように、水平配向膜42(図中のハッチング部分)によって区画された領域(垂直配向膜41の形成領域)に、配向膜材料を吐出する。
【0088】
また、上記実施形態では垂直配向膜41を形成した後に水平配向膜42を形成したが、成膜する順番を逆にしても良い。例えば、真空プロセスにより無機材料を電極表面に付着させて基板10A上の画素電極9を覆う無機膜を成膜し、フォトプロセスを経て、水平配向膜42を形成する部分をエッチングにより除去する。このように、無機膜をパターニングすることで垂直配向膜41を形成した後、インクジェット法を用いて、水平配向膜42間を埋めるように水平配向膜42の材料を選択的に吐出し、水平配向膜42を形成するようにしてもよい。
【0089】
また、共通垂直配向膜61を形成する他の方法としては、例えば、シランカップリング剤を用いて共通電極21上を表面処理することによって共通垂直配向膜61を形成してもよい。この場合、炭素数10以上の直鎖アルキル基を含むシランカップリング剤によって表面処理を行うことで、共通電極21上をアルキル基で修飾することができる。炭素数10以上の直鎖アルキル基によって垂直配向能が付与され、垂直配向膜61上の液晶51を実質的に垂直配向させることができる。また、塗布プロセス以外にも、真空プロセスによって無機材料を共通電極21上に付着させることで垂直配向膜61を成膜してもよい。
【0090】
なお、いずれの場合においても、図9及び図10に示すように、共通電極21の各角部が共通垂直配向膜61から露出する形状となるように、予め共通電極21の各角部をマスクで覆っておくか、あるいは後からエッチングを施すようにしてもよい。
【0091】
また、液晶装置の他の実施形態として、図17に示すように第2基板20側に遮光膜13を設けてもよい。この場合、遮光膜13をマスクにして第1基板10上に水平配向膜42をパターン形成するという上記実施形態とは異なり、例えばインクジェット法を用いて垂直配向膜41及び水平配向膜42をそれぞれ選択的に形成する。このとき、第2基板20側の遮光膜13に対応した遮光領域BM内に収まるように水平配向膜42を形成した後、該水平配向膜42で囲まれた領域(露出した画素電極9の表面)を埋めるようにして垂直配向膜41を形成してもよい。また、その成膜順を逆にしてもよい。なお、第2基板20側の共通垂直配向膜61は、上記した方法のいずれかを用いて形成する。
【0092】
[電子機器]
上記実施の形態の液晶装置を備えた電子機器の例について説明する。
図18(a)は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図18(a)において、符号500は携帯電話本体を示し、符号501は上記実施形態の液晶装置を用いた液晶表示部を示している。
【0093】
図18(b)は、ワープロ、パソコンなどの携帯型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図18(b)において、符号600は情報処理装置、符号601はキーボードなどの入力部、符号603は情報処理装置本体、符号602は上記実施形態の液晶装置を用いた液晶表示部を示している。
【0094】
図18(c)は、腕時計型電子機器の一例を示した斜視図である。図18(c)において、符号700は時計本体を示し、符号701は上記実施形態の液晶装置を用いた液晶表示部を示している。
【0095】
このように図18に示す電子機器は、表示部に上述の本発明の一例たる液晶装置を適用したものであるので、高コントラストで、かつ表示品質が高い表示装置となる。
【0096】
[投射型表示装置]
次に、上記実施形態の液晶装置を光変調手段として備えた投射型表示装置(プロジェクタ)の構成について、図19を参照して説明する。図19は、上記実施形態の液晶装置を光変調装置として用いた投射型表示装置の要部を示す概略構成図である。図19において、810は光源、813、814はダイクロイックミラー、815、816、817は反射ミラー、818は入射レンズ、819はリレーレンズ、820は出射レンズ、822、823、824は液晶光変調装置、825はクロスダイクロイックプリズム、826は投写レンズを示す。
【0097】
光源810はメタルハライド等のランプ811とランプの光を反射するリフレクタ812とからなる。青色光、緑色光反射のダイクロイックミラー813は、光源810からの光束のうちの赤色光を透過させるとともに、青色光と緑色光とを反射する。透過した赤色光は反射ミラー817で反射されて、上述の本発明の一例たる液晶装置を備えた赤色光用液晶光変調装置822に入射される。
【0098】
一方、ダイクロイックミラー813で反射された色光のうち緑色光は緑色光反射のダイクロイックミラー814によって反射され、上述の本発明の一例たる液晶装置を備えた緑色光用液晶光変調装置823に入射される。なお、青色光は第2のダイクロイックミラー814も透過する。青色光に対しては、光路長が緑色光、赤色光と異なるのを補償するために、入射レンズ818、リレーレンズ819、出射レンズ820を含むリレーレンズ系からなる導光手段821が設けられ、これを介して青色光が上述の本発明の一例たる液晶装置を備えた青色光用液晶光変調装置824に入射される。
【0099】
各光変調装置により変調された3つの色光はクロスダイクロイックプリズム825に入射する。このプリズムは4つの直角プリズムが貼り合わされ、その内面に赤光を反射する誘電体多層膜と青光を反射する誘電体多層膜とが十字状に形成されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が形成される。合成された光は、投写光学系である投写レンズ826によってスクリーン827上に投写され、画像が拡大されて表示される。
【0100】
上記構造を有する投射型表示装置は、上述の本発明の一例たる液晶装置を備えたものであるので、例えばラビング処理を施したときのようなラビング筋が表示される不具合がなく、高コントラストで、かつ表示品質が高い表示装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明に係る透過型液晶装置の等価回路図。
【図2】透過型液晶装置の表示部要部を平面視した模式図。
【図3】図2のX−X線断面図。
【図4】電圧を印加したときの液晶の配向を模式的に示す図。
【図5】本発明に係る液晶装置の製造方法の説明図。
【図6】本発明に係る液晶装置の製造方法の説明図。
【図7】本発明に係る液晶装置の製造方法の説明図。
【図8】透過型液晶装置の要部断面図。
【図9】第2基板側の構成を平面視した模式図。
【図10】透過型液晶装置の角部の断面図。
【図11】電圧を印加したときの液晶の配向を経時的に示す模式図。
【図12】1/4波長板及び偏光板の光学軸の配置を示す図。
【図13】偏光板クロスニコル状態の液晶装置(1/4波長板なし)において、電圧印加時での一画素における液晶分子のダイレクタ分布を示す斜視図(シミュレーション)。
【図14】図13における液晶装置の光透過の様子(クロスニコル下)を示す図。
【図15】本実施形態における液晶装置(1/4波長板あり)の電圧印加状態での一画素における光透過の様子(クロスニコル下)を示す図。
【図16】液晶装置の他の製造方法を示す説明図。
【図17】本発明に係る液晶装置の他の実施形態を示す断面図。
【図18】本発明に係る電子機器について幾つかの例を示す斜視図。
【図19】本発明に係る投射型表示装置についての一例を示す図。
【符号の説明】
【0102】
1・・・透過型液晶装置(液晶装置)、9・・・画素電極、10・・・第1基板、13・・・遮光膜、20・・・第2基板、21・・・共通電極、41、61・・・第1の配向膜(垂直配向膜)、42・・・第2の配向膜(水平配向膜)、A1・・・第1のエリア、A2・・・第2のエリア、P・・・画素領域(画素開口部)、BM・・・遮光領域、UV・・・紫外線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画素電極を有する第1基板と、該第1基板に対向して配置される第2基板と、前記第1基板および前記第2基板間に挟持される液晶層と、を備える液晶装置であって、
前記第1基板には、前記画素電極に対応する部分に液晶を垂直配向させる垂直配向膜を有する垂直配向部が設けられるとともに、該垂直配向部同士の間に前記液晶を水平配向させる水平配向膜を有する水平配向部が設けられ、
前記第2基板には、前記垂直配向部及び前記水平配向部に対応する領域に共通して前記液晶を垂直配向させる共通垂直配向膜を有する共通垂直配向部が設けられることを特徴とする液晶装置。
【請求項2】
前記水平配向部は、前記液晶にプレチルト角を与えるように前記水平配向膜が設けられることを特徴とする請求項1記載の液晶装置。
【請求項3】
前記プレチルト角は、基板面に対して40度以下であることを特徴とする請求項2記載の液晶装置。
【請求項4】
前記垂直配向部の前記垂直配向膜と前記共通垂直配向部の前記共通垂直配向膜とは同一の配向膜で設けられることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の液晶装置。
【請求項5】
前記垂直配向部は、前記垂直配向膜が前記画素電極の領域よりも小さい領域に設けられることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の液晶装置。
【請求項6】
前記水平配向部は、前記水平配向膜の一部が前記画素電極上に配置された状態で設けられることを特徴とする請求項5記載の液晶装置。
【請求項7】
前記共通垂直配向部は、前記共通垂直配向膜が非表示領域まで延在する状態で設けられることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の液晶装置。
【請求項8】
前記垂直配向部の前記垂直配向膜及び前記共通垂直配向部の前記共通垂直配向膜のそれぞれは、側鎖に垂直配向性を示すアルキル鎖を含むポリイミド、もしくは前記画素電極の表面を炭素数が10以上の直鎖アルキル基を有するシランカップリング剤で表面処理したもの、または無機材料の薄膜形成により垂直配向性を持たせたものであることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の液晶装置。
【請求項9】
前記水平配向部の前記水平配向膜は、水平配向性を示すポリイミド、もしくは前記画素電極の表面を炭素数が10以下の直鎖アルキル基を有するシランカップリング剤で表面処理したもの、または無機材料の薄膜形成により水平配向性を持たせたものであることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の液晶装置。
【請求項10】
前記第1基板及び前記第2基板の外側に配置された互いの遅相軸が直交するように配置された一対の1/4波長板と、
前記一対の1/4波長板の外側に前記一対の1/4波長板の遅相に対して透過軸が45°の角度をなし、かつ互いの偏光版の透過軸が直交するように配置された偏光板と、を有することを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の液晶装置。
【請求項11】
複数の画素電極を有する第1基板と、該第1基板に対向して配置される第2基板と、前記第1基板および前記第2基板間に挟持される液晶層と、を備える液晶装置の製造方法であって、
前記第1基板の前記画素電極に対応する部分に、前記液晶を垂直配向させる垂直配向膜を有する垂直配向部を設ける垂直配向部形成工程と、
前記第1基板の前記垂直配向部同士の間に、前記液晶を水平配向させる水平配向膜を有する水平配向部を設ける水平配向部形成工程と、
前記第2基板の、前記第1垂直配向部及び前記水平配向部に対応する領域に共通して前記液晶を垂直配向させる共通垂直配向膜を有する共通垂直配向部を設ける共通垂直配向部形成工程と、を有することを特徴とする液晶装置の製造方法。
【請求項12】
前記垂直配向部形成工程は、前記垂直配向膜を、シランカップリング剤の表面処理によって垂直配向性を持たせるように形成することを特徴とする請求項11記載の液晶装置の製造方法。
【請求項13】
前記垂直配向部形成工程は、前記垂直配向膜を、インクジェット法により膜材料を吐出することで形成することを特徴とする請求項11記載の液晶装置の製造方法。
【請求項14】
前記垂直配向部形成工程は、前記垂直配向膜を、無機材料を真空プロセスにより成膜して無機配向膜を形成した後、フォトプロセスを経てエッチングによりパターニングすることで形成することを特徴とする請求項11記載の液晶装置の製造方法。
【請求項15】
前記水平配向部形成工程は、前記水平配向膜を、感光性ポリイミドを塗布した後にフォトプロセスによってパターニングするか、またはインクジェット法によりポリイミド溶液を吐出して、ラビング処理もしくはイオンビーム法により配向情報を付与することで形成することを特徴とする請求項11〜請求項14のいずれか1項に記載の液晶装置の製造方法。
【請求項16】
前記共通垂直配向部形成工程は、前記共通垂直配向膜を、ポリイミド溶液をスピンコート法もしくはインクジェット法により形成することを特徴とする請求項11〜請求項15のいずれか1項に記載の液晶装置の製造方法。
【請求項17】
前記共通垂直配向部形成工程は、前記共通垂直配向膜を、無機材料を真空プロセスにより成膜して形成することを特徴とする請求項11〜請求項15のいずれか1項に記載の液晶装置の製造方法。
【請求項18】
前記共通垂直配向部形成工程は、前記共通垂直配向膜を、シランカップリング剤の表面処理によって垂直配向性を持たせるように形成することを特徴とする請求項11〜請求項15のいずれか1項に記載の液晶装置の製造方法。
【請求項1】
複数の画素電極を有する第1基板と、該第1基板に対向して配置される第2基板と、前記第1基板および前記第2基板間に挟持される液晶層と、を備える液晶装置であって、
前記第1基板には、前記画素電極に対応する部分に液晶を垂直配向させる垂直配向膜を有する垂直配向部が設けられるとともに、該垂直配向部同士の間に前記液晶を水平配向させる水平配向膜を有する水平配向部が設けられ、
前記第2基板には、前記垂直配向部及び前記水平配向部に対応する領域に共通して前記液晶を垂直配向させる共通垂直配向膜を有する共通垂直配向部が設けられることを特徴とする液晶装置。
【請求項2】
前記水平配向部は、前記液晶にプレチルト角を与えるように前記水平配向膜が設けられることを特徴とする請求項1記載の液晶装置。
【請求項3】
前記プレチルト角は、基板面に対して40度以下であることを特徴とする請求項2記載の液晶装置。
【請求項4】
前記垂直配向部の前記垂直配向膜と前記共通垂直配向部の前記共通垂直配向膜とは同一の配向膜で設けられることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の液晶装置。
【請求項5】
前記垂直配向部は、前記垂直配向膜が前記画素電極の領域よりも小さい領域に設けられることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の液晶装置。
【請求項6】
前記水平配向部は、前記水平配向膜の一部が前記画素電極上に配置された状態で設けられることを特徴とする請求項5記載の液晶装置。
【請求項7】
前記共通垂直配向部は、前記共通垂直配向膜が非表示領域まで延在する状態で設けられることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の液晶装置。
【請求項8】
前記垂直配向部の前記垂直配向膜及び前記共通垂直配向部の前記共通垂直配向膜のそれぞれは、側鎖に垂直配向性を示すアルキル鎖を含むポリイミド、もしくは前記画素電極の表面を炭素数が10以上の直鎖アルキル基を有するシランカップリング剤で表面処理したもの、または無機材料の薄膜形成により垂直配向性を持たせたものであることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の液晶装置。
【請求項9】
前記水平配向部の前記水平配向膜は、水平配向性を示すポリイミド、もしくは前記画素電極の表面を炭素数が10以下の直鎖アルキル基を有するシランカップリング剤で表面処理したもの、または無機材料の薄膜形成により水平配向性を持たせたものであることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の液晶装置。
【請求項10】
前記第1基板及び前記第2基板の外側に配置された互いの遅相軸が直交するように配置された一対の1/4波長板と、
前記一対の1/4波長板の外側に前記一対の1/4波長板の遅相に対して透過軸が45°の角度をなし、かつ互いの偏光版の透過軸が直交するように配置された偏光板と、を有することを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の液晶装置。
【請求項11】
複数の画素電極を有する第1基板と、該第1基板に対向して配置される第2基板と、前記第1基板および前記第2基板間に挟持される液晶層と、を備える液晶装置の製造方法であって、
前記第1基板の前記画素電極に対応する部分に、前記液晶を垂直配向させる垂直配向膜を有する垂直配向部を設ける垂直配向部形成工程と、
前記第1基板の前記垂直配向部同士の間に、前記液晶を水平配向させる水平配向膜を有する水平配向部を設ける水平配向部形成工程と、
前記第2基板の、前記第1垂直配向部及び前記水平配向部に対応する領域に共通して前記液晶を垂直配向させる共通垂直配向膜を有する共通垂直配向部を設ける共通垂直配向部形成工程と、を有することを特徴とする液晶装置の製造方法。
【請求項12】
前記垂直配向部形成工程は、前記垂直配向膜を、シランカップリング剤の表面処理によって垂直配向性を持たせるように形成することを特徴とする請求項11記載の液晶装置の製造方法。
【請求項13】
前記垂直配向部形成工程は、前記垂直配向膜を、インクジェット法により膜材料を吐出することで形成することを特徴とする請求項11記載の液晶装置の製造方法。
【請求項14】
前記垂直配向部形成工程は、前記垂直配向膜を、無機材料を真空プロセスにより成膜して無機配向膜を形成した後、フォトプロセスを経てエッチングによりパターニングすることで形成することを特徴とする請求項11記載の液晶装置の製造方法。
【請求項15】
前記水平配向部形成工程は、前記水平配向膜を、感光性ポリイミドを塗布した後にフォトプロセスによってパターニングするか、またはインクジェット法によりポリイミド溶液を吐出して、ラビング処理もしくはイオンビーム法により配向情報を付与することで形成することを特徴とする請求項11〜請求項14のいずれか1項に記載の液晶装置の製造方法。
【請求項16】
前記共通垂直配向部形成工程は、前記共通垂直配向膜を、ポリイミド溶液をスピンコート法もしくはインクジェット法により形成することを特徴とする請求項11〜請求項15のいずれか1項に記載の液晶装置の製造方法。
【請求項17】
前記共通垂直配向部形成工程は、前記共通垂直配向膜を、無機材料を真空プロセスにより成膜して形成することを特徴とする請求項11〜請求項15のいずれか1項に記載の液晶装置の製造方法。
【請求項18】
前記共通垂直配向部形成工程は、前記共通垂直配向膜を、シランカップリング剤の表面処理によって垂直配向性を持たせるように形成することを特徴とする請求項11〜請求項15のいずれか1項に記載の液晶装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2008−233891(P2008−233891A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−37988(P2008−37988)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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