説明

液滴吐出ヘッド

【課題】高粘度の液体でも安定して吐出することができる液滴吐出ヘッドを提供する。
【解決手段】ノズル22に連通するキャビティ23に吐出液体を加圧供給すると共に、ピン24でノズル22を閉塞可能とし、このピン24をアクチュエータ25でノズル22に対して離接可能とし、このアクチュエータ25を制御装置12で制御する構成とすることで、ピン24がノズル22から離間している間だけ、加圧供給されている吐出液体がノズル22から液滴として吐出される。また、アクチュエータ25を圧電素子で構成することにより、アクチュエータ25の小型化が可能となり、その結果、ノズル22の集積度を高めて、より微細な液滴吐出を可能とする。また、複数のノズル22に共通して連通するキャビティ23としたため、従来のようにキャビティをノズル毎に形成する必要がなく、構成が容易で、コストの低廉化が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小な液滴を複数のノズルから吐出する液滴吐出ヘッドに関するものであり、例えばその微粒子(ドット)を印刷媒体上に形成することにより、所定の文字や画像等を印刷するようにした液滴吐出型印刷装置に好適なものである。
【背景技術】
【0002】
液滴吐出型印刷装置は、一般に安価で且つ高品質なカラー印刷物が容易に得られることから、パーソナルコンピュータやデジタルカメラなどの普及に伴い、オフィスのみならず一般ユーザにも広く普及してきている。
このような液滴吐出型印刷装置のうち、液滴吐出ノズルの形成された液滴吐出ヘッドをキャリッジと呼ばれる移動体に載せて印刷媒体の搬送方向と交差する方向に移動させるものを一般に「マルチパス型印刷装置」と呼んでいる。これに対し、印刷媒体の搬送方向と交差する方向に長尺な液滴吐出ヘッドを配置して、所謂1パスでの印刷が可能なものを一般に「ラインヘッド型印刷装置」と呼んでいる。
【0003】
この種の液滴吐出型印刷装置では、液滴吐出ヘッドに液体を吐出するためのノズルを複数形成し、各ノズルには、吐出される液体を加圧するための圧力室を連通し、この圧力室に、圧電素子などのノズルアクチュエータを配設し、各ノズルアクチュエータの夫々に駆動信号を印加することで該当するノズルから印刷媒体に向けて液滴を吐出する。下記特許文献1では、圧力室の吐出液体供給方向手前側に、当該吐出液体を貯留する貯留室を設け、この貯留室と圧力室とを連通する流路に島部を形成し、その島部の流動抵抗によって、圧力室への吐出液体供給過剰と戻り過剰を同時に抑制防止するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−334951号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような液滴吐出装置では、印刷装置を始め、吐出液体が高粘度化している。例えば高分子ポリマーの液体などは粘度が高く、ノズルからの安定した液滴吐出が難しい。例えば、ノズルアクチュエータが圧電素子で構成される場合、圧力室への加圧力に限界があり、その結果、吐出できる液体の物性(粘度)に限界が生じる。このような場合、高粘度の液体を吐出しようとするならば、液体を希釈するか、或いは加熱によって液体の粘度を低下させる必要があり、液体を希釈する場合には乾燥性が低下し、液体を加熱する場合には加熱手段の増設、消費電力の増加、加熱による周辺部品への影響など、種々の問題が生じる。
本発明は、これらの諸問題に着目して開発されたものであり、高粘度の液体でも安定して吐出することができる液滴吐出ヘッドを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記諸問題を解決するため、本発明の液滴吐出ヘッドは、複数のノズルから液滴を吐出して液滴吐出ヘッドであって、前記ノズルに吐出液体を加圧供給する液体加圧装置と、前記ノズルに配設されたノズル閉塞部材と、前記ノズル閉塞部材をノズルに対して離接するノズル開閉駆動手段と、前記ノズル開閉駆動手段を制御するノズル開閉制御手段とを備えたことを特徴とするものである。
この液滴吐出ヘッドによれば、吐出液体をノズルに加圧供給し、その状態でノズル閉塞部材をノズルに対して離接することにより、ノズル閉塞部材がノズルから離間している間だけ、加圧供給されている吐出液体がノズルから液滴として吐出されるので、高粘度の液体でも安定して吐出することができる。
また、前記ノズル開閉駆動手段を圧電素子で構成したことを特徴とするものである。
【0007】
この液滴吐出ヘッドによれば、ノズル開閉駆動手段の小型化が可能となり、その結果、ノズルの集積度を高めて、より微細な液滴吐出を可能とする。
また、前記複数のノズルに共通して連通する液体貯留部を備えたことを特徴とするものである。
この液滴吐出ヘッドによれば、従来の圧力室をノズル毎に形成する必要がなく、構成が容易で、コストの低廉化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の液滴吐出ヘッドの一実施形態を示す液滴吐出型印刷装置の概略構成正面図である。
【図2】図1の液滴吐出型印刷装置の制御装置のブロック図である。
【図3】図1の液滴吐出ヘッドの概略構成図である。
【図4】図3のノズル閉塞部材及びノズル開閉アクチュエータの説明図である。
【図5】図3のノズル閉塞部材とノズルの詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明の液滴吐出ヘッドを用いた液滴吐出型印刷装置の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の印刷装置の概略構成図であり、図において、印刷媒体1は、図の左から右に向けて矢印方向に搬送され、その搬送途中の印刷領域で印刷される、ラインヘッド型印刷装置である。
図1中の符号2は、印刷媒体1の搬送ライン上方に設けられた液滴吐出ヘッドであり、固定プレート11に固定されている。液滴吐出ヘッド2の最下面には、多数のノズルが形成されており、この面がノズル面と呼ばれている。ノズルは、吐出する液体の色毎に、印刷媒体搬送方向と交差する方向に列状に配設されており、その列をノズル列と呼んだり、その列方向をノズル列方向と呼んだりする。そして、印刷媒体搬送方向と交差する方向に配設された全てのノズルによって、印刷媒体1の搬送方向と交差する方向の幅全長に及ぶラインヘッドが形成されている。印刷媒体1は、液滴吐出ヘッド2のノズル面の下方を通過するときに、多数のノズルから液滴が吐出され、印刷が行われる。
【0010】
液滴吐出ヘッド2には、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のインクなどの液体が、図示しない各色の液体タンクから液体供給チューブを介して供給される。そして、液滴吐出ヘッド2のノズルから同時に必要箇所に必要量の液滴を吐出することにより、印刷媒体1上に微小なドットを出力する。これを各色毎に行うことにより、搬送部4で搬送される印刷媒体1を一度通過させるだけで、所謂1パスによる印刷を行うことができる。
【0011】
液滴吐出ヘッド2の下方には、印刷媒体1を搬送方向に搬送するための搬送部4が設けられている。搬送部4は、駆動ローラ8及び従動ローラ9に搬送ベルト6を巻回して構成され、駆動ローラ8には図示しない電動モータが接続されている。また、搬送ベルト6の内側には、当該搬送ベルト6の表面に印刷媒体1を吸着するための図示しない吸着装置が設けられている。この吸着装置には、例えば負圧によって印刷媒体1を搬送ベルト6に吸着する空気吸引装置や、静電気力で印刷媒体1を搬送ベルト6に吸着する静電吸着装置などが用いられる。従って、給紙ローラ5によって給紙部3から印刷媒体1を一枚だけ搬送ベルト6上に送給し、電動モータによって駆動ローラ8を回転駆動すると、搬送ベルト6が印刷媒体搬送方向に回転され、吸着装置によって搬送ベルト6に印刷媒体1が吸着されて搬送される。この印刷媒体1の搬送中に、液滴吐出ヘッド2から液滴を吐出して印刷を行う。印刷の終了した印刷媒体1は、搬送方向下流側の排紙部10に排紙される。なお、前記搬送ベルト6には、例えばリニアエンコーダなどで構成される印刷基準信号出力装置が取付けられている。この印刷基準信号出力装置は、例えば搬送ベルト6とそれに吸着されて搬送される印刷媒体1とが同期して移動されることに着目し、印刷媒体1が搬送経路中の所定位置を通過した後は、搬送ベルト6の移動に伴って要求される印刷解像度相当のパルス信号を出力し、このパルス信号に応じて、後述する駆動回路から駆動信号をアクチュエータに出力することで印刷媒体1上の所定位置に所定の色の液滴を吐出し、そのドットによって印刷媒体1上に所定の画像を描画する。
【0012】
この印刷装置内には、自身を制御するための制御装置が設けられている。この制御装置12は、例えば図2に示すように、例えばパーソナルコンピュータ、デジタルカメラ等のホストコンピュータ60から入力された印刷データに基づいて、印刷装置や給紙装置等を制御することにより印刷媒体に印刷処理を行うものである。そして、ホストコンピュータ60から入力された印刷データ読込むための入力インタフェース61と、この入力インタフェース61から入力された印刷データに基づいて印刷処理等の演算処理を実行する例えばマイクロコンピュータで構成される制御部62と、前記給紙ローラ5に接続されている給紙ローラモータ17を駆動制御する給紙ローラモータドライバ63と、液滴吐出ヘッド2を駆動制御するヘッドドライバ65と、前記駆動ローラ8に接続されている電動モータ7を駆動制御する電動モータドライバ66と、給紙ローラモータドライバ63、ヘッドドライバ65、電動モータドライバ66と外部の給紙ローラモータ17、液滴吐出ヘッド2、電動モータ7とを接続するインタフェース67とを備えて構成される。
【0013】
制御部62は、印刷処理等の各種処理を実行するCPU(Central Processing Unit)62aと、入力インタフェース61を介して入力された印刷データ或いは当該印刷データ印刷処理等を実行する際の各種データを一時的に格納し、或いは印刷処理等のプログラムを一時的に展開するRAM(Random Access Memory)62cと、CPU62aで実行する制御プログラム等を格納する不揮発性半導体メモリで構成されるROM(Read-Only Memory)62dを備えている。この制御部62は、インタフェース61を介してホストコンピュータ60から印刷データ(画像データ)を入手すると、CPU62aが、この印刷データに所定の処理を実行して、液滴吐出ヘッド2の何れのノズルから液滴を吐出するか或いはどの程度の液滴を吐出するかというノズル選択データを算出し、この印刷データやノズル選択データ及び各種センサからの入力データに基づいて、給紙ローラモータドライバ63、ヘッドドライバ65、電動モータドライバ66に制御信号を出力する。給紙ローラドライバ63、ヘッドドライバ65、電動モータドライバ66からはアクチュエータを駆動するための駆動信号が出力され、給紙ローラモータ17、電動モータ7、液滴吐出ヘッド2内のアクチュエータなどが夫々作動して、印刷媒体1の給紙及び搬送及び排紙、並びに印刷媒体1への印刷処理が実行される。なお、制御部62内の各構成要素は、図示しないバスを介して電気的に接続されている。
【0014】
図3には、本実施形態の液滴吐出ヘッドの概略構成を示す。図は、液滴吐出ヘッド2内のノズルの一部を示している。図中の符号21は、液滴吐出ヘッド2の下面に取付けられたノズルプレートであり、このノズルプレート21に、多数のノズル22が開設されている。ノズルプレート21の上方には、複数のノズル22に共通して吐出液体を貯留する貯留室としてのキャビティ23が設けられている。このキャビティ23内にあって、各ノズル22の上方には、当該ノズル22を閉塞するためのノズル閉塞手段としてのピン24が配設され、その下端部はノズル22に対向している。
【0015】
ピン24の上端部は、取付プレート20を介して、ノズル開閉駆動手段としてのアクチュエータ25に接続されている。このアクチュエータ25は、例えば図の左右方向に積層された圧電素子で構成され、その上端部が電極を介して制御装置12に接続され、この制御装置12からアクチュエータ25を駆動するための前記駆動信号COMが出力される。圧電素子で構成されるアクチュエータ25は、例えば図の上下方向に伸縮するため、その伸縮に伴って、ピン24が上下方向に移動され、ピン24が下がるとノズル22の開口部に当接して当該ノズル22を閉塞し、ピン24が上がるとノズル22の開口部から離間して当該ノズル22が開放される。ピン24は、軽量で、慣性も小さいため、アクチュエータ25が圧電素子であっても、当該ピン24を十分に駆動させることができる。
【0016】
前記キャビティ23内には、液体供給路26を介して、液体加圧装置としてのポンプ27から液体が加圧供給される。ポンプ27は、液体タンク28内に貯留されている液体を吸引し、それを加圧して液体供給路26からキャビティ23に供給する。この状態で、圧電素子からなるアクチュエータ25を収縮させてピン24をノズル22の開口部から離間すると、当該ノズル22から液滴が吐出される。なお、ポンプ27は、キャビティ23の内部の液体の圧力が所定値になったら停止する。
【0017】
このアクチュエータ25の駆動信号COMは、単純な矩形波電圧信号でよく、電圧値を変更するだけでアクチュエータ25の収縮量を変化させることができ、アクチュエータ25の収縮量が変化するとノズル22とピン24との隙間が変化するので、液滴の吐出量が変化する。例えば、液滴の吐出量を多くする場合には、ノズル22とピン24との隙間を大きくすればよいから、アクチュエータ25の収縮量が大きくなるように駆動信号COMの電圧値を高くすればよい。例えば、本出願人が先に提案したキャビティの圧力を圧電素子で変化させてノズルから液滴を吐出する液滴吐出型印刷装置の場合、精密な台形波電圧信号が必要となるのに対し、本実施形態の液体吐出型印刷装置では、駆動信号に矩形波電圧信号を用いることにより、駆動信号の創成出力が容易になる。
【0018】
図4には、特にアクチュエータ25、取付プレート20、ピン24、ノズル22の関係の詳細を示す。ピン24は、キャビティ23とは別体で、ニッケル、ステンレスなどの金属材料で構成し、その径はノズル22の径と同等とした。また、ノズルプレート21も、ニッケル、ステンレスなどの金属材料で構成した。また、取付プレート20、即ちアクチュエータ25とキャビティ23の構成部材との間には、微小隙間29を設けた。キャビティ23中の液体に圧力をかけると、キャビティ23の構成部材が外側に膨らむ。このキャビティ23の構成部材の膨らみの影響を回避するために、取付プレート20、即ちアクチュエータ25とキャビティ23の構成部材との間に微小隙間29を介装する。仮に、この微小隙間29がないと、キャビティ23の構成部材の膨らみに伴ってアクチュエータ25が変位し、ピン24の移動量が変化して液滴の吐出量が変化してしまう。
【0019】
図5には、ノズル22とピン24の関係の詳細を示す。ピン24のノズル22に差し込まれる下端部は、図のように、平坦であっても、丸みをつけてもよい。また、ノズル22が、図のように、上部のテーパー部22aと、下部の円柱部22bとを有する場合、ピン24の下端部がテーパー部22aのみに接触し、テーパー部22aと円柱部22bとの稜線に接触しないようにするのが好ましい。仮に、ピン24の下端部がテーパー部22aと円柱部22bとの稜線に接触する場合、両者の間に咬み込みが発生する恐れがある。また、ピン24の下端部に、数十μmの厚さで潤滑性の高い金属材料や弾性のある樹脂材料をコーティングすることにより、咬み込み防止効果が向上し、合わせてピン24とノズル22との密着性が向上してノズル閉塞効果が増大する。
【0020】
また、従来のキャビティ内圧力変化による液滴吐出型印刷装置では、ノズル毎にキャビティを区画する必要があったが、本実施形態ではキャビティ23内を細かく区画する必要がないので、キャビティ23の構成部材の構成が容易になる、その分だけ、コストも低廉化することができる。また、従来のキャビティ内圧力変化による液滴吐出型印刷装置では、キャビティのアクチュエータに接触する部分、例えば振動板と呼ばれる部分を薄肉化する必要があったが、本実施形態では、特にキャビティ23の壁部を薄肉化する必要がなく、全体の剛性を高めてキャビティ23の構成部材の変形を抑制し、破損や内圧の低下を防止することができる。
【0021】
このように、本実施形態の液滴吐出ヘッドでは、ノズル22に吐出液体を加圧供給すると共に、ピン24でノズル22を閉塞可能とし、このピン24をアクチュエータ25でノズル22に対して離接可能とし、このアクチュエータ25を制御装置12で制御する構成としたため、ピン24がノズル22から離間している間だけ、加圧供給されている吐出液体がノズル22から液滴として吐出されるので、高粘度の液体でも安定して吐出することができる。
また、アクチュエータ25を圧電素子で構成することにより、アクチュエータ25の小型化が可能となり、その結果、ノズル22の集積度を高めて、より微細な液滴吐出を可能とする。
また、複数のノズル22に共通して連通するキャビティ23としたため、従来のようにキャビティをノズル毎に形成する必要がなく、構成が容易で、コストの低廉化が可能となる。
【0022】
これらに合わせて、液滴吐出に必要とする力は、予めポンプ27によってキャビティ23内全域にわたって均等に与えられているため、ノズル毎或いはノズル位置による液滴吐出のバラつきが生じにくい。
また、キャビティ23内の圧力は、大気圧よりも常に高い状態に維持されているため、ノズル22から外気が浸入する(吸い込まれる)ことがなく、気泡による吐出不良も発生しない。
また、アクチュエータ25の駆動信号に矩形波電圧信号を用いることができるので、駆動信号の創成出力が容易になり、回路の簡略化、消費電力の低減などの効果がある。
【0023】
また、通常の印刷に用いられる液体よりも高粘度の液体を液滴として吐出することができるので、工業用途で用いられる金属粒子分散溶液やUV硬化型インク、高分子化合物溶液といった液体にも適用できる。
なお、前記実施形態では、本発明の液滴吐出ヘッドをラインヘッド型の液滴吐出型印刷装置に用いた場合についてのみ詳述したが、本発明の液滴吐出ヘッドは、マルチパス型の液滴吐出型印刷装置にも同様に適用可能である。また、これらの印刷装置形態以外の印刷装置であってもよく、例えば工業分野、医療分野などで液滴を吐出して印刷を行うものにも同様に適用することができる。
【0024】
また、前記実施形態では、本発明の液滴吐出ヘッドをインクなどの液体を吐出するものに具体化したが、この限りではなく、インク以外の他の液体(液体以外にも、機能材料の粒子が分散されている液状体、ジェルなどの流状体を含む)や液体以外の流体(流体として流して噴射できる固体など)を噴射したり吐出したりする液滴吐出ヘッドに具体化することもできる。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッサンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルタの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解の形態で含む液状体を吐出する液状体吐出ヘッド、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を吐出する液滴吐出ヘッド、精密ピペットとして用いられて試料となる液体を吐出する液滴吐出ヘッドであってもよい。更に、時計やカメラなどの精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する液滴吐出ヘッド、光通信素子などに用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するための紫外線硬化樹脂などの透明樹脂液を基板上に吐出する液滴吐出ヘッド、基板などをエッチングするために酸又はアルカリなどのエッチング液を吐出する液滴吐出ヘッド、ジェルを吐出する流状体吐出ヘッド、トナーなどの粉体を例とする固体を吐出する流体吐出式記録ヘッドであってもよい。そして、これらのうち何れか一種の吐出ヘッドに本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0025】
1は印刷媒体、2は液滴吐出ヘッド、3は給紙部、4は搬送部、5は給紙ローラ、6は搬送ベルト、7は電動モータ、8は駆動ローラ、9は従動ローラ、10は排紙部、11は固定プレート、20は取付プレート、21はノズルプレート、22はノズル、23はキャビティ、24はピン、25はアクチュエータ、26は液体供給路、27はポンプ、28は液体タンク、29は微小隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のノズルから液滴を吐出して液滴吐出ヘッドであって、前記ノズルに吐出液体を加圧供給する液体加圧装置と、前記ノズルに配設されたノズル閉塞部材と、前記ノズル閉塞部材をノズルに対して離接するノズル開閉駆動手段と、前記ノズル開閉駆動手段を制御するノズル開閉制御手段とを備えたことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
【請求項2】
前記ノズル開閉駆動手段を圧電素子で構成したことを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項3】
前記複数のノズルに共通して連通する液体貯留部を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の液滴吐出ヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−241003(P2010−241003A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−92763(P2009−92763)
【出願日】平成21年4月7日(2009.4.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】