液滴吐出ヘッド
【課題】流体クロストークとリフィルの特性を改善する液滴吐出ヘッドを提供する。
【解決手段】ノズル180と連通する圧力室222と、液体に圧力を付与する駆動素子227と、圧力室に液体を供給する個別供給路221と、圧力室内の液体を回収する個別回収路224とを備えた液滴吐出部と個別供給路221に連通し、共通供給路212と、個別回収路224に連通し、液体を回収する共通回収路214とを有する液滴吐出ヘッドであって、個別供給路221の流路抵抗R1(Ns/m5)と、個別回収路224の流路抵抗R2(Ns/m5)と、ノズル180の径Dn(μm)が以下の関係式を満たす。3.247×1015exp(-0.1717Dn)≦R1≦3.278×1015exp(-0.1456Dn)、3.247×1015exp(-0.1717Dn)≦R2≦3.278×1015exp(-0.1456Dn)
【解決手段】ノズル180と連通する圧力室222と、液体に圧力を付与する駆動素子227と、圧力室に液体を供給する個別供給路221と、圧力室内の液体を回収する個別回収路224とを備えた液滴吐出部と個別供給路221に連通し、共通供給路212と、個別回収路224に連通し、液体を回収する共通回収路214とを有する液滴吐出ヘッドであって、個別供給路221の流路抵抗R1(Ns/m5)と、個別回収路224の流路抵抗R2(Ns/m5)と、ノズル180の径Dn(μm)が以下の関係式を満たす。3.247×1015exp(-0.1717Dn)≦R1≦3.278×1015exp(-0.1456Dn)、3.247×1015exp(-0.1717Dn)≦R2≦3.278×1015exp(-0.1456Dn)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液滴吐出ヘッド関して、特に、流体クロストーク、リフィル特性の改善技術に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式の記録装置は、多数のノズルが形成されたインクジェットヘッドの各ノズルからそれぞれインクを記録媒体上に吐出することにより、記録媒体上に画像を形成する装置である。インクジェット記録装置は、静音性にすぐれ、ランニングコストが安く、多種多様な記録媒体に対して高品位な画像を記録できることなどから幅広く利用される。
【0003】
インクジェットヘッドとして、圧力発生素子を利用するものが知られている。インクジェットヘッドは、インクが貯留される共通流路、共通流路と連通する複数の個別供給路、各個別供給路に連通する圧力室、圧力室を変形させる圧力発生素子、圧力室に連通するノズルを有する。インクジェットヘッドは、インクが貯留される共通流路から複数の圧力室にそのインクを供給し、圧力発生素子を駆動することにより圧力室内のインクを加圧し、圧力室に連通するノズルからインクを吐出する。
【0004】
このようなインクジェットヘッドでは、圧力の変動により流路を介して隣接するノズル(特にメニスカス)に影響を与える流体クロストークと呼ばれる現象が発生しやすい。その問題を解決するため、流路内にダンパーを設け、隣接ノズルに圧力を伝わりにくくする構造が広く採用されている。しかしながら、近年は、ヘッドが高密度化しているため、ダンパーを導入することが困難になってきている。また、流路を絞ることにより圧力の伝わりを制限した場合には流体クロストークの影響と、単独のリフィル特性とのかね合いが重要となる。
【0005】
特許文献1は、流路を構成する隔壁の両端側にインク溜を有する循環型ヘッドにおいて、インク供給穴の開口部の面積の総和と、インク回収穴の開口部の面積の総和を、流路をその長手方向に垂直な平面にて切断したときの切断面の面積の総和とを所定の関係にすることを開示する。この構成により気泡の混入、インク凝集を防止する。
【0006】
しかしながら、開口部の面積と流路の面積とを所定の関係にするだけでは、流体クロストークや、単独のリフィルを制御することはできない。流体クロストーク、単独でのリフィル現象は流路抵抗によって大きく支配される。流路抵抗は断面積のみならず長さ、粘度を考慮しなければならないからである。
【0007】
特許文献2は、インクを供給する第1インク通路と気泡を排出する第2インク通路を有するインクジェットプリントヘッドにおいて、第2インク通路の流路抵抗値を第1インク通路の流路抵抗値の1〜2倍の範囲に設定することを開示する。この構成によりインクジェットプリントヘッドの気泡排出機構を改善する。
【0008】
しかしながら、第2インク通路は循環路ではなく気泡排出用に設けられたダミーノズルに通ずるものであって、クロストークを抑制する効果はあるものの、気泡排出性に着目した流路抵抗比率となっており、流体クロストークや、単独のリフィルを考慮したものになっていない。
【0009】
特許文献3は、液滴吐出装置において、ノズル軸に対して循環路を対称となる位置に2つ以上設置することを開示する。この構成により、連通路内に発生するインク流にも対称性を持たせ、吐出不良を防止する。
【0010】
インクを吐出する場合、循環路だけでなく供給路にもインクの流れが発生する。したがって、循環路を対称となる位置に設置しても、連通路内に発生するインク流にも対称性を持たせ、吐出不良を防止することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2002−321361号公報
【特許文献2】特開平4−275487号公報
【特許文献3】特開2009−56766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、流体クロストークとリフィルの特性の改善を両立することができる液滴吐出ヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様によると、液滴吐出ヘッドであって、液滴を吐出する複数のノズルと、前記複数のノズルに個々に連通し、液体で満たされる複数の圧力室と、前記複数の圧力室に対応して配置された複数の駆動素子と、前記複数の駆動素子は対応する前記圧力室内の液体に圧力を付与し、前記複数の圧力室に個々に接続される複数の個別供給路と、前記液体が前記複数の個別供給路を介して前記複数の圧力室に供給され、前記複数の圧力室に個々に接続される複数の個別回収路と、前記液体が前記複数の個別回収路を介して前記複数の圧力室から回収され、前記複数の個別供給路に連通し、前記液体を供給する複数の共通供給路と、前記複数の個別回収路に連通し、前記液体を回収する複数の共通回収路と、を有し、前記液滴吐出ヘッドは、複数の液滴吐出部を備え、各前記液滴吐出部は、前記ノズルの一つと、前記ノズルの一つと連通する前記圧力室の一つと、前記圧力室の一つに対応して配置された前記駆動素子の一つと、前記圧力室の一つと連通する前記個別供給路の一つと、前記圧力室の一つと連通する前記個別回収路の一つとを有し、各前記液滴吐出部において、前記個別供給路の流路抵抗R1(Ns/m5)と、前記個別回収路の流路抵抗R2(Ns/m5)と、前記ノズルの径Dn(μm)とが以下の関係式を満たす。
【0014】
3.247×1015exp(-0.1717 Dn) ≦ R1 ≦ 3.278×1015 exp(-0.1456 Dn)
3.247×1015exp(-0.1717 Dn) ≦ R2 ≦ 3.278×1015 exp(-0.1456 Dn)
本発明者は、循環経路をもつ液滴吐出ヘッドにおいて、流体クロストークとリフィルの特性改善について鋭意検討した。その結果、個別供給路の流路抵抗と、個別回収路の流路抵抗と、ノズル径とを所定の関係とすることで、流体クロストークとリフィルの特性を改善できることを見出し、本発明に至った。
【0015】
本発明によれば、流体クロストークを抑制することができる、また、リフィルを安定的、かつ遅滞なく完了することができる。これにより液体を高い周波数で液滴を吐出することができる。
【0016】
ここでノズルの径Dnは、開口部面積を円形に換算したときの直径を意味する。
【0017】
本発明の他の態様によると、好ましくは、前記複数の共通供給路は並列に配置され、かつ前記複数の共通供給路は一方端で結合され供給マニホールドを構成し、前記複数の共通回収路は並列に配置され、かつ前記複数の共通回収路は一方端で結合され回収マニホールドを構成する。
【0018】
本発明の他の態様によると、好ましくは、前記供給マニホールドと前記回収マニホールドが前記液滴吐出部を介してのみ連通する。
【0019】
本発明の他の態様によると、好ましくは、各前記液滴吐出部において、前記個別供給路の流路抵抗R1が前記個別回収路の流路抵抗R2と実質的に等しい。個別供給路の流路抵抗と個別回収路の流路抵抗とを等しくすることにより、流体クロストークにより発生するインク流を全ノズルに分散できる。インクの流れに偏りがなく、ある特定領域のノズルにクロストークの影響が集中するのを防止できる。全体としてクロストークの影響を平均化することで、クロストークを抑制することができる。
【0020】
本発明の他の態様によると、好ましくは、各前記液滴吐出部において、前記個別供給路の断面積、及び長さが前記個別回収路の断面積、及び長さと実質的に等しい。より効果的に、流体クロストークにより発生するインク流を全ノズルに分散できる。
【0021】
本発明の他の態様によると、好ましくは、各前記液滴吐出部において、前記個別供給路の流路イナータンスM1(kg/m4)と、前記個別回収路の流路イナータンスM2(kg/m4)と、前記ノズルの径Dn(μm)とが以下の関係式を満たす。
【0022】
2.075×109exp(-8.369×10-2 Dn) ≦ M1 ≦ 1.838×109 exp(-6.475×10-2Dn)
2.075×109exp(-8.369×10-2 Dn) ≦ M2 ≦ 1.838×109 exp(-6.475×10-2Dn)
個別供給路の流路イナータンスM1と、個別回収路の流路イナータンスM2と、ノズル径Dnとを上記の式を満たす範囲とすることにより、リフィル速度を最適化することができる。
【0023】
本発明の他の態様によると、好ましくは、各前記液滴吐出部において、前記個別供給路の流路イナータンスM1と前記個別回収路の流路イナータンスM2とが実質的に等しい。これにより、リフィル速度を調整することができる。流路イナータンスを変化させることにより、クロストークのタイミングをずらすことができる。また、単独のリフィルに関しても同様にタイミングが変化するので、吐出周波数に合わせて調整することができる。
【0024】
本発明の他の態様によると、好ましくは、各前記液滴吐出部において、前記液滴吐出部は前記圧力室の一つと前記ノズルの一つとを連通する連通路を有する。
【0025】
本発明の他の態様によると、好ましくは、各前記液滴吐出部において、前記圧力室の一つ、前記個別供給路の一つ、及び前記個別回収路の一つの配置が、前記ノズルの中心軸に対して、線対称、又は点対称である。これにより、液滴の吐出曲がりを防止することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の液滴吐出ヘッドによれば、流体クロストークとリフィルの特性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る液滴吐出ヘッドの斜視図。
【図2】基板の底部表面(ノズル配列)を示す図。
【図3】基板内の液体の流れを示す平面透視図(a)、及び、その一部拡大図(b)。
【図4】基板の一例の要部断面図。
【図5】基板の他の例の要部断面図。
【図6】液滴吐出後の時間と液滴のメニスカスの変位を示すグラフ。
【図7】液滴吐出後の時間と液滴のメニスカスの変位を示すグラフ。
【図8】ノズル径と流路抵抗の関係を示すグラフ。
【図9】ノズル径と流路イナータンスの関係を示すグラフ。
【図10】基板の他の例の要部断面図。
【図11】基板の他の例の要部断面図。
【図12】個別供給路、又は個別回収路の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について説明する。本発明は以下の好ましい実施の形態により説明されるが、本発明の範囲を逸脱することなく、多くの手法により変更を行うことができ、本実施の形態以外の他の実施の形態を利用することができる。したがって、本発明の範囲内における全ての変更が特許請求の範囲に含まれる。
【0029】
図1は液滴吐出ヘッドの斜視図を示す。液滴吐出ヘッド100は、ケーシング110と、取り付け部品122を含む取り付け部120と、ケーシング110の底部に取り付けられる基板130を有する。基板130は、シリコン、例えば、単結晶シリコンから構成される。内部に微細加工された流体通路が、基板130に形成される。供給管150、及び回収管160は、一方端において液滴吐出ヘッド100に接続される。供給管150、及び回収管160は、他方端において液体タンク(不図示)に接続される。
【0030】
図2に、基板130の底部表面を示す。基板130はノズル層132を有する。ノズル層132は、ノズル面135を有する。ノズル面135は、複数のノズル180で構成される複数のノズル列170を有する。ノズル面135は、長い端面と短い端面を持ち、実質的に四角形状を有する。長い端面はX方向に対して角度γを有するV方向に延び、短い端面はY方向に対して角度αを有するW方向に延びる。W方向は、基板130の幅に関して、他の方向に傾けることもできる。ノズル面135は、分離したノズル層132の表面として形成されることもできる。また、ノズル面135とノズル層132とは基板130と同一部材として形成することもできる。
【0031】
図3(a)は、基板130の液体の流れを示す平面透視図であり、図3(b)は、その一部拡大図である。図3に示すように、基板130に、第1主流路211が形成される。第1主流路211は供給管150に連通する。複数の共通供給路212が第1主流路211と所定角度を成すよう形成される。複数の共通供給路212と第1主流路211とにより供給マニホールドが構成される。液滴を吐出するノズル180を備える複数の液滴吐出部が共通供給路212に沿って配置される。液体を回収する共通回収路214が液滴吐出部を挟んで共通供給路212と対向する位置に配置される。複数の共通回収路214と所定角度を成すように第2主流路215が形成される。複数の共通回収路214と第2主流路215とにより液体回収マニホールドが構成される。第2主流路215は回収管160に連通する。
【0032】
液体タンクと、液体タンクに接続される供給管と、供給管に接続される供給マニホールドと、供給マニホールドと接続される液滴吐出部と、液滴吐出部と接続される回収マニホールドと、回収マニホールドと接続される回収管と、回収管に接続される液体タンクと、により液体の循環経路が形成される。
【0033】
図3(b)に示すように、共通供給路212と共通回収路214とが交互に配置される。ノズル180を含む複数の液滴吐出部が、共通供給路212と共通回収路214との間で、共通供給路212と共通回収路214とに沿うように配置される。ノズル180は図示しない圧力室と連通する。各圧力室は個別供給路221を介して共通供給路212と連通される。また、各圧力室は個別回収路224を介して共通回収路214と連通される。
【0034】
図4は、図3に示す基板130の一例の要部断面図である。共通供給路212、及び共通回収路214が基板130に形成される。基板130の内部に、個別供給路221と、圧力室222と、個別回収路224とが形成される。基板130はノズル層132を有する。ノズル層132には、ノズル180が圧力室222に対応する位置に形成される。圧力室222に隣接する位置に、圧力室222内の液体へ圧力を付与するアクチュエーター225が形成される。アクチュエーター225は、板状の振動板226と駆動素子227とを含む。駆動素子227は、例えば圧電素子である。共通供給路212と圧力室222とは個別供給路221を介して連通する。共通回収路214と圧力室222とは個別回収路224を介して連通する。図4においては、液滴吐出部は、液滴を吐出するノズル180と、ノズル180と連通する圧力室222と、圧力室222内の液体に圧力を付与する駆動素子227と、圧力室222に接続され圧力室222に液体を供給する個別供給路221と、圧力室222に接続され圧力室内の液体を回収する個別回収路224と、を含む。図4では、基板130とノズル層132を有する構成を示したが、これに限定されない。例えば、基板130が複数の層で構成されてもよい。基板130とノズル層132とが一体的に構成されるものであってもよい。
【0035】
図5は、図3に示す基板130の他の例の要部断面図である。共通供給路212、及び共通回収路214が基板130に形成される。基板130の内部に、個別供給路221と、圧力室222と、個別回収路224とが形成される。基板130はノズル層132を有する。圧力室222に隣接する位置に、圧力室222内の液体へ圧力を付与するアクチュエーター225が形成される。アクチュエーター225は、板状の振動板226と駆動素子227とを含む。駆動素子227は、例えば圧電素子である。共通供給路212と圧力室222とは個別供給路221を介して連通する。共通回収路214と圧力室222とは個別回収路224を介して連通する。圧力室222が連通路223と連通する。ノズル層132には、ノズル180が連通路223に対応する位置に形成される。つまり、ノズル180と圧力室222とが連通路223を介して連通される。図5においては、液滴吐出部は、液滴を吐出するノズル180と、ノズル180と連通する連通路223と、連通路223と連通する圧力室222と、圧力室222内の液体に圧力を付与する駆動素子227と、圧力室222に接続され圧力室222に液体を供給する個別供給路221と、圧力室222に接続され圧力室内の液体を回収する個別回収路224と、を含む。
【0036】
図4、及び図5に示すように、複数の液滴吐出部は共通供給路212及び共通回収路214を介して間接的に連通される。複数の液滴吐出部、共通供給路212、共通回収路214、供給管、回収管、液体タンクにより循環経路が形成される。そのため、一つの液滴吐出部の圧力の変動が、共通供給路、共通回収路を介して隣接するノズル(特にメニスカス)に影響を与える、いわゆる、流体クロストークと呼ばれる現象が発生しやすい。
【0037】
本発明者は、循環経路をもつ液滴吐出ヘッドにおいて、個別供給路と個別回収路の流路抵抗と、ノズル径を所定の関係とすることで、流体クロストークとリフィルの特性を改善できることを見出した。
【0038】
循環経路をもつインクジェットヘッドにおいて、個別供給路221の流路抵抗R1と個別回収路224の流路抵抗R2とを所定範囲内とすることで、流体クロストークが抑制される。これは以下の理由によるものである。流体クロストークは個別供給路221、個別回収路224を介して伝搬する。そのため、両者の流路抵抗を所定範囲とすることにより、流体クロストークにより発生するインク流を全ノズルに分散させることができるからである。
【0039】
一方、流体クロストークを抑えるために個別供給路の流路抵抗と個別回収路の流路抵抗とを所定の範囲内としても、リフィル特性は必ずしも改善されない。1ノズル単位でのリフィル特性は、液滴吐出部の個別供給路、個別回収路、ノズル径の3つ要因により支配される。本発明者は、リフィル特性に関し、集中定数系等価回路解析を実施することにより、個別供給路、個別回収路、ノズル径の関係を見出した。集中定数系等価回路解析に際し、以下を満たすことを条件とした。
【0040】
(1)液滴吐出後のメニスカス隆起高さを、定常時のメニスカスに対し2μm以下、(2)リフィルの完了時間を30μsec以下、(3)同一体積を吐出すること前提に、ノズル径、個別供給路及び個別回収路の流路抵抗、流路イナータンス、流路幅、流路高さ、流路長、の各値を決定した。図12は、個別供給路又は個別回収路の流路幅W、流路高さH、及び流路長Lを示す。
【0041】
表1は(1)の条件を満たす各数値をまとめたものである。表2は(2)の条件を満たす各数値をまとめたものである。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
なお、流路抵抗、流路イナータンス成分は以下の数式にて決定される。
【0045】
流体の密度ρ、個別供給路又は個別回収路の長さl、その断面積をSとすると、流路イナータンスは以下の式により決定される。
【0046】
【数1】
【0047】
一方、断面積が一定でない場合、流路イナータンスは以下の式により決定される。
【0048】
【数2】
【0049】
流路抵抗は、個別供給路又は個別回収路が長方形断面流路の場合、流体の粘度η、個別供給路又は個別回収路の長さl、その断面積をS、流路の断面のアスペクト比Z,但しZ>1とすると、以下の式により決定される。(Kyserらの近似モデル(E.L.Kyser, et al., “Design of Impulse Ink Jet”, J. Appl. Photographic Engineering, 7(3),(1981)73.)
【0050】
【数3】
【0051】
流路抵抗は、個別供給路又は個別回収路が円形流路の場合、流路の直径をdとすると以下の式により決定される。
【0052】
【数4】
【0053】
流路抵抗は、個別供給路又は個別回収路の断面積が一定でない場合、以下の式により決定される。
【0054】
【数5】
【0055】
図6は、集中定数系等価回路解析により得られたリフィルの状況を示し、ノズル径Dnを変化させたときにメニスカス位置が最大2μmになるように、流路抵抗Rと流路イナータンスMとを調整したものである。
【0056】
図6のグラフは、横軸に時間、縦軸にメニスカスの変位量を示す。時間(0)は、液滴の吐出を開始した時間である。その後、時間の経過に伴いメニスカスが変位する。表1のノズル径Dn(μm)、流路抵抗R(Ns/m5)、流路イナータンスM(kg/m4)、流路幅W(μm)、流路高さH(μm)、流路長L(μm)を満たす場合、図6に示すように最大メニスカスの隆起高さ2μm以下を満たす。
【0057】
図7は、集中定数系等価回路解析により得られたリフィルの状況を示し、ノズル径Dnを変化させたときにリフィル完了時間(メニスカス位置が0に戻る時間)が30μsになるように流路抵抗Rと流路イナータンスMとを調整したものである。
【0058】
図7のグラフは、横軸に時間、縦軸にメニスカスの変位量を示す。時間(0)は、液滴の吐出を開始した時間である。その後、時間の経過に伴いメニスカスが変位する。表2のノズル径Dn(μm)、流路抵抗R(Ns/m5)、流路イナータンスM(kg/m4)、流路幅W(μm)、流路高さH(μm)、流路長L(μm)を満たす場合、図7に示すようにリフィル時間30μsec以下を満たす。
【0059】
図8のグラフは、横軸にノズル径Dn(μm)、縦軸に流路抵抗R(Ns/m5)を示す。表1に示されるノズル径Dnと流路抵抗Rに応答する値がグラフに示されている。これらの値は、最大あふれ高さ2μmとして表示される。
【0060】
表2に示されるノズル径Dnと流路抵抗Rに応答する値がグラフに示されている。これらの値は、リフィル完了時間30μsとして表示される。表1の値をプロットした点を通る曲線を指数関数近似曲線から導出した。同様に、表2の値をプロットした点を通る曲線を指数関数近似曲線から導出した。表1の値から、指数関数近似曲線より、曲線Aの近似式:R=3.247×1015 exp(-0.1717 Dn)を得た。表2の値から、指数関数近似曲線より、曲線Bの近似式:R=3.2781015exp(-0.1456 Dn)を得た。したがって、個別供給路の流路抵抗R1、個別回収路の流路抵抗R2、及びノズル径Dnとして、曲線Aと曲線Bで囲まれる範囲の値を選択することで、流体クロストークを抑制でき、リフィル特性を改善することができる。
【0061】
図9のグラフは、横軸にノズル径Dn(μm)、縦軸に流路イナータンスM(kg/m4)を示す。表1に示されるノズル径Dnと流路イナータンスMに応答する値がグラフに示されている。これらの値は、最大あふれ高さ2μmとして表示される。表2に示されるノズル径Dnと流路イナータンスMに応答する値がグラフに示されている。これらの値は、リフィル完了時間30μsとして表示される。表1の値をプロットした点を通る曲線を指数関数近似曲線から導出した。同様に、表2の値をプロットした点を通る曲線を指数関数近似曲線から導出した。表1の値から、指数関数近似曲線より、曲線Cの近似式:M=2.075×109 exp(-8.369×10-2 Dn)を得た。表2の値から、指数関数近似曲線より、曲線Dの近似式:M=1.838×109exp(-6.475×10-2Dn)を得た。したがって、個別供給路の流路イナータンスM1、個別回収路の流路イナータンスM2、及びノズル径として、曲線Cと曲線Dで囲まれる範囲の値を選択することで、リフィル特性を改善することができる。
【0062】
リフィルは大きくは抵抗に支配される。しかしながら、流路イナータンスの寄与もあり、望ましくは流路イナータンスも所定の値にすることで特性を改善することができる。
【0063】
図4に示す液滴吐出ヘッドに関して、液滴の吐出曲がりを防止するため、好ましくは、ノズルの中心軸に対して対称性を保つことである。図10、及び図11は、液滴吐出部のノズル、圧力室、個別供給路、個別回収路の位置関係を示す。図10に示すように、圧力室222、個別供給路221、個別回収路224がノズル180の中心軸に対して点対称に配置される。図11に示すように圧力室222、個別供給路221、個別回収路224がノズル180の中心軸に対して線対称に配置される。
【符号の説明】
【0064】
100…液滴吐出ヘッド、110…ケーシング、120…取り付け部、122…取り付け部品、130…基板、132…ノズル層、135…ノズル面、150…供給管、160…回収管、170…ノズル列、180…ノズル、211…第1主流路、212…共通供給路、214…共通回収路、215…第2主流路、221…個別供給路、222…圧力室、223…連通路、224…個別回収路、225…アクチュエーター、226…振動板、227…駆動素子
【技術分野】
【0001】
本発明は液滴吐出ヘッド関して、特に、流体クロストーク、リフィル特性の改善技術に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット方式の記録装置は、多数のノズルが形成されたインクジェットヘッドの各ノズルからそれぞれインクを記録媒体上に吐出することにより、記録媒体上に画像を形成する装置である。インクジェット記録装置は、静音性にすぐれ、ランニングコストが安く、多種多様な記録媒体に対して高品位な画像を記録できることなどから幅広く利用される。
【0003】
インクジェットヘッドとして、圧力発生素子を利用するものが知られている。インクジェットヘッドは、インクが貯留される共通流路、共通流路と連通する複数の個別供給路、各個別供給路に連通する圧力室、圧力室を変形させる圧力発生素子、圧力室に連通するノズルを有する。インクジェットヘッドは、インクが貯留される共通流路から複数の圧力室にそのインクを供給し、圧力発生素子を駆動することにより圧力室内のインクを加圧し、圧力室に連通するノズルからインクを吐出する。
【0004】
このようなインクジェットヘッドでは、圧力の変動により流路を介して隣接するノズル(特にメニスカス)に影響を与える流体クロストークと呼ばれる現象が発生しやすい。その問題を解決するため、流路内にダンパーを設け、隣接ノズルに圧力を伝わりにくくする構造が広く採用されている。しかしながら、近年は、ヘッドが高密度化しているため、ダンパーを導入することが困難になってきている。また、流路を絞ることにより圧力の伝わりを制限した場合には流体クロストークの影響と、単独のリフィル特性とのかね合いが重要となる。
【0005】
特許文献1は、流路を構成する隔壁の両端側にインク溜を有する循環型ヘッドにおいて、インク供給穴の開口部の面積の総和と、インク回収穴の開口部の面積の総和を、流路をその長手方向に垂直な平面にて切断したときの切断面の面積の総和とを所定の関係にすることを開示する。この構成により気泡の混入、インク凝集を防止する。
【0006】
しかしながら、開口部の面積と流路の面積とを所定の関係にするだけでは、流体クロストークや、単独のリフィルを制御することはできない。流体クロストーク、単独でのリフィル現象は流路抵抗によって大きく支配される。流路抵抗は断面積のみならず長さ、粘度を考慮しなければならないからである。
【0007】
特許文献2は、インクを供給する第1インク通路と気泡を排出する第2インク通路を有するインクジェットプリントヘッドにおいて、第2インク通路の流路抵抗値を第1インク通路の流路抵抗値の1〜2倍の範囲に設定することを開示する。この構成によりインクジェットプリントヘッドの気泡排出機構を改善する。
【0008】
しかしながら、第2インク通路は循環路ではなく気泡排出用に設けられたダミーノズルに通ずるものであって、クロストークを抑制する効果はあるものの、気泡排出性に着目した流路抵抗比率となっており、流体クロストークや、単独のリフィルを考慮したものになっていない。
【0009】
特許文献3は、液滴吐出装置において、ノズル軸に対して循環路を対称となる位置に2つ以上設置することを開示する。この構成により、連通路内に発生するインク流にも対称性を持たせ、吐出不良を防止する。
【0010】
インクを吐出する場合、循環路だけでなく供給路にもインクの流れが発生する。したがって、循環路を対称となる位置に設置しても、連通路内に発生するインク流にも対称性を持たせ、吐出不良を防止することはできない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2002−321361号公報
【特許文献2】特開平4−275487号公報
【特許文献3】特開2009−56766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、流体クロストークとリフィルの特性の改善を両立することができる液滴吐出ヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様によると、液滴吐出ヘッドであって、液滴を吐出する複数のノズルと、前記複数のノズルに個々に連通し、液体で満たされる複数の圧力室と、前記複数の圧力室に対応して配置された複数の駆動素子と、前記複数の駆動素子は対応する前記圧力室内の液体に圧力を付与し、前記複数の圧力室に個々に接続される複数の個別供給路と、前記液体が前記複数の個別供給路を介して前記複数の圧力室に供給され、前記複数の圧力室に個々に接続される複数の個別回収路と、前記液体が前記複数の個別回収路を介して前記複数の圧力室から回収され、前記複数の個別供給路に連通し、前記液体を供給する複数の共通供給路と、前記複数の個別回収路に連通し、前記液体を回収する複数の共通回収路と、を有し、前記液滴吐出ヘッドは、複数の液滴吐出部を備え、各前記液滴吐出部は、前記ノズルの一つと、前記ノズルの一つと連通する前記圧力室の一つと、前記圧力室の一つに対応して配置された前記駆動素子の一つと、前記圧力室の一つと連通する前記個別供給路の一つと、前記圧力室の一つと連通する前記個別回収路の一つとを有し、各前記液滴吐出部において、前記個別供給路の流路抵抗R1(Ns/m5)と、前記個別回収路の流路抵抗R2(Ns/m5)と、前記ノズルの径Dn(μm)とが以下の関係式を満たす。
【0014】
3.247×1015exp(-0.1717 Dn) ≦ R1 ≦ 3.278×1015 exp(-0.1456 Dn)
3.247×1015exp(-0.1717 Dn) ≦ R2 ≦ 3.278×1015 exp(-0.1456 Dn)
本発明者は、循環経路をもつ液滴吐出ヘッドにおいて、流体クロストークとリフィルの特性改善について鋭意検討した。その結果、個別供給路の流路抵抗と、個別回収路の流路抵抗と、ノズル径とを所定の関係とすることで、流体クロストークとリフィルの特性を改善できることを見出し、本発明に至った。
【0015】
本発明によれば、流体クロストークを抑制することができる、また、リフィルを安定的、かつ遅滞なく完了することができる。これにより液体を高い周波数で液滴を吐出することができる。
【0016】
ここでノズルの径Dnは、開口部面積を円形に換算したときの直径を意味する。
【0017】
本発明の他の態様によると、好ましくは、前記複数の共通供給路は並列に配置され、かつ前記複数の共通供給路は一方端で結合され供給マニホールドを構成し、前記複数の共通回収路は並列に配置され、かつ前記複数の共通回収路は一方端で結合され回収マニホールドを構成する。
【0018】
本発明の他の態様によると、好ましくは、前記供給マニホールドと前記回収マニホールドが前記液滴吐出部を介してのみ連通する。
【0019】
本発明の他の態様によると、好ましくは、各前記液滴吐出部において、前記個別供給路の流路抵抗R1が前記個別回収路の流路抵抗R2と実質的に等しい。個別供給路の流路抵抗と個別回収路の流路抵抗とを等しくすることにより、流体クロストークにより発生するインク流を全ノズルに分散できる。インクの流れに偏りがなく、ある特定領域のノズルにクロストークの影響が集中するのを防止できる。全体としてクロストークの影響を平均化することで、クロストークを抑制することができる。
【0020】
本発明の他の態様によると、好ましくは、各前記液滴吐出部において、前記個別供給路の断面積、及び長さが前記個別回収路の断面積、及び長さと実質的に等しい。より効果的に、流体クロストークにより発生するインク流を全ノズルに分散できる。
【0021】
本発明の他の態様によると、好ましくは、各前記液滴吐出部において、前記個別供給路の流路イナータンスM1(kg/m4)と、前記個別回収路の流路イナータンスM2(kg/m4)と、前記ノズルの径Dn(μm)とが以下の関係式を満たす。
【0022】
2.075×109exp(-8.369×10-2 Dn) ≦ M1 ≦ 1.838×109 exp(-6.475×10-2Dn)
2.075×109exp(-8.369×10-2 Dn) ≦ M2 ≦ 1.838×109 exp(-6.475×10-2Dn)
個別供給路の流路イナータンスM1と、個別回収路の流路イナータンスM2と、ノズル径Dnとを上記の式を満たす範囲とすることにより、リフィル速度を最適化することができる。
【0023】
本発明の他の態様によると、好ましくは、各前記液滴吐出部において、前記個別供給路の流路イナータンスM1と前記個別回収路の流路イナータンスM2とが実質的に等しい。これにより、リフィル速度を調整することができる。流路イナータンスを変化させることにより、クロストークのタイミングをずらすことができる。また、単独のリフィルに関しても同様にタイミングが変化するので、吐出周波数に合わせて調整することができる。
【0024】
本発明の他の態様によると、好ましくは、各前記液滴吐出部において、前記液滴吐出部は前記圧力室の一つと前記ノズルの一つとを連通する連通路を有する。
【0025】
本発明の他の態様によると、好ましくは、各前記液滴吐出部において、前記圧力室の一つ、前記個別供給路の一つ、及び前記個別回収路の一つの配置が、前記ノズルの中心軸に対して、線対称、又は点対称である。これにより、液滴の吐出曲がりを防止することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の液滴吐出ヘッドによれば、流体クロストークとリフィルの特性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明に係る液滴吐出ヘッドの斜視図。
【図2】基板の底部表面(ノズル配列)を示す図。
【図3】基板内の液体の流れを示す平面透視図(a)、及び、その一部拡大図(b)。
【図4】基板の一例の要部断面図。
【図5】基板の他の例の要部断面図。
【図6】液滴吐出後の時間と液滴のメニスカスの変位を示すグラフ。
【図7】液滴吐出後の時間と液滴のメニスカスの変位を示すグラフ。
【図8】ノズル径と流路抵抗の関係を示すグラフ。
【図9】ノズル径と流路イナータンスの関係を示すグラフ。
【図10】基板の他の例の要部断面図。
【図11】基板の他の例の要部断面図。
【図12】個別供給路、又は個別回収路の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について説明する。本発明は以下の好ましい実施の形態により説明されるが、本発明の範囲を逸脱することなく、多くの手法により変更を行うことができ、本実施の形態以外の他の実施の形態を利用することができる。したがって、本発明の範囲内における全ての変更が特許請求の範囲に含まれる。
【0029】
図1は液滴吐出ヘッドの斜視図を示す。液滴吐出ヘッド100は、ケーシング110と、取り付け部品122を含む取り付け部120と、ケーシング110の底部に取り付けられる基板130を有する。基板130は、シリコン、例えば、単結晶シリコンから構成される。内部に微細加工された流体通路が、基板130に形成される。供給管150、及び回収管160は、一方端において液滴吐出ヘッド100に接続される。供給管150、及び回収管160は、他方端において液体タンク(不図示)に接続される。
【0030】
図2に、基板130の底部表面を示す。基板130はノズル層132を有する。ノズル層132は、ノズル面135を有する。ノズル面135は、複数のノズル180で構成される複数のノズル列170を有する。ノズル面135は、長い端面と短い端面を持ち、実質的に四角形状を有する。長い端面はX方向に対して角度γを有するV方向に延び、短い端面はY方向に対して角度αを有するW方向に延びる。W方向は、基板130の幅に関して、他の方向に傾けることもできる。ノズル面135は、分離したノズル層132の表面として形成されることもできる。また、ノズル面135とノズル層132とは基板130と同一部材として形成することもできる。
【0031】
図3(a)は、基板130の液体の流れを示す平面透視図であり、図3(b)は、その一部拡大図である。図3に示すように、基板130に、第1主流路211が形成される。第1主流路211は供給管150に連通する。複数の共通供給路212が第1主流路211と所定角度を成すよう形成される。複数の共通供給路212と第1主流路211とにより供給マニホールドが構成される。液滴を吐出するノズル180を備える複数の液滴吐出部が共通供給路212に沿って配置される。液体を回収する共通回収路214が液滴吐出部を挟んで共通供給路212と対向する位置に配置される。複数の共通回収路214と所定角度を成すように第2主流路215が形成される。複数の共通回収路214と第2主流路215とにより液体回収マニホールドが構成される。第2主流路215は回収管160に連通する。
【0032】
液体タンクと、液体タンクに接続される供給管と、供給管に接続される供給マニホールドと、供給マニホールドと接続される液滴吐出部と、液滴吐出部と接続される回収マニホールドと、回収マニホールドと接続される回収管と、回収管に接続される液体タンクと、により液体の循環経路が形成される。
【0033】
図3(b)に示すように、共通供給路212と共通回収路214とが交互に配置される。ノズル180を含む複数の液滴吐出部が、共通供給路212と共通回収路214との間で、共通供給路212と共通回収路214とに沿うように配置される。ノズル180は図示しない圧力室と連通する。各圧力室は個別供給路221を介して共通供給路212と連通される。また、各圧力室は個別回収路224を介して共通回収路214と連通される。
【0034】
図4は、図3に示す基板130の一例の要部断面図である。共通供給路212、及び共通回収路214が基板130に形成される。基板130の内部に、個別供給路221と、圧力室222と、個別回収路224とが形成される。基板130はノズル層132を有する。ノズル層132には、ノズル180が圧力室222に対応する位置に形成される。圧力室222に隣接する位置に、圧力室222内の液体へ圧力を付与するアクチュエーター225が形成される。アクチュエーター225は、板状の振動板226と駆動素子227とを含む。駆動素子227は、例えば圧電素子である。共通供給路212と圧力室222とは個別供給路221を介して連通する。共通回収路214と圧力室222とは個別回収路224を介して連通する。図4においては、液滴吐出部は、液滴を吐出するノズル180と、ノズル180と連通する圧力室222と、圧力室222内の液体に圧力を付与する駆動素子227と、圧力室222に接続され圧力室222に液体を供給する個別供給路221と、圧力室222に接続され圧力室内の液体を回収する個別回収路224と、を含む。図4では、基板130とノズル層132を有する構成を示したが、これに限定されない。例えば、基板130が複数の層で構成されてもよい。基板130とノズル層132とが一体的に構成されるものであってもよい。
【0035】
図5は、図3に示す基板130の他の例の要部断面図である。共通供給路212、及び共通回収路214が基板130に形成される。基板130の内部に、個別供給路221と、圧力室222と、個別回収路224とが形成される。基板130はノズル層132を有する。圧力室222に隣接する位置に、圧力室222内の液体へ圧力を付与するアクチュエーター225が形成される。アクチュエーター225は、板状の振動板226と駆動素子227とを含む。駆動素子227は、例えば圧電素子である。共通供給路212と圧力室222とは個別供給路221を介して連通する。共通回収路214と圧力室222とは個別回収路224を介して連通する。圧力室222が連通路223と連通する。ノズル層132には、ノズル180が連通路223に対応する位置に形成される。つまり、ノズル180と圧力室222とが連通路223を介して連通される。図5においては、液滴吐出部は、液滴を吐出するノズル180と、ノズル180と連通する連通路223と、連通路223と連通する圧力室222と、圧力室222内の液体に圧力を付与する駆動素子227と、圧力室222に接続され圧力室222に液体を供給する個別供給路221と、圧力室222に接続され圧力室内の液体を回収する個別回収路224と、を含む。
【0036】
図4、及び図5に示すように、複数の液滴吐出部は共通供給路212及び共通回収路214を介して間接的に連通される。複数の液滴吐出部、共通供給路212、共通回収路214、供給管、回収管、液体タンクにより循環経路が形成される。そのため、一つの液滴吐出部の圧力の変動が、共通供給路、共通回収路を介して隣接するノズル(特にメニスカス)に影響を与える、いわゆる、流体クロストークと呼ばれる現象が発生しやすい。
【0037】
本発明者は、循環経路をもつ液滴吐出ヘッドにおいて、個別供給路と個別回収路の流路抵抗と、ノズル径を所定の関係とすることで、流体クロストークとリフィルの特性を改善できることを見出した。
【0038】
循環経路をもつインクジェットヘッドにおいて、個別供給路221の流路抵抗R1と個別回収路224の流路抵抗R2とを所定範囲内とすることで、流体クロストークが抑制される。これは以下の理由によるものである。流体クロストークは個別供給路221、個別回収路224を介して伝搬する。そのため、両者の流路抵抗を所定範囲とすることにより、流体クロストークにより発生するインク流を全ノズルに分散させることができるからである。
【0039】
一方、流体クロストークを抑えるために個別供給路の流路抵抗と個別回収路の流路抵抗とを所定の範囲内としても、リフィル特性は必ずしも改善されない。1ノズル単位でのリフィル特性は、液滴吐出部の個別供給路、個別回収路、ノズル径の3つ要因により支配される。本発明者は、リフィル特性に関し、集中定数系等価回路解析を実施することにより、個別供給路、個別回収路、ノズル径の関係を見出した。集中定数系等価回路解析に際し、以下を満たすことを条件とした。
【0040】
(1)液滴吐出後のメニスカス隆起高さを、定常時のメニスカスに対し2μm以下、(2)リフィルの完了時間を30μsec以下、(3)同一体積を吐出すること前提に、ノズル径、個別供給路及び個別回収路の流路抵抗、流路イナータンス、流路幅、流路高さ、流路長、の各値を決定した。図12は、個別供給路又は個別回収路の流路幅W、流路高さH、及び流路長Lを示す。
【0041】
表1は(1)の条件を満たす各数値をまとめたものである。表2は(2)の条件を満たす各数値をまとめたものである。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
なお、流路抵抗、流路イナータンス成分は以下の数式にて決定される。
【0045】
流体の密度ρ、個別供給路又は個別回収路の長さl、その断面積をSとすると、流路イナータンスは以下の式により決定される。
【0046】
【数1】
【0047】
一方、断面積が一定でない場合、流路イナータンスは以下の式により決定される。
【0048】
【数2】
【0049】
流路抵抗は、個別供給路又は個別回収路が長方形断面流路の場合、流体の粘度η、個別供給路又は個別回収路の長さl、その断面積をS、流路の断面のアスペクト比Z,但しZ>1とすると、以下の式により決定される。(Kyserらの近似モデル(E.L.Kyser, et al., “Design of Impulse Ink Jet”, J. Appl. Photographic Engineering, 7(3),(1981)73.)
【0050】
【数3】
【0051】
流路抵抗は、個別供給路又は個別回収路が円形流路の場合、流路の直径をdとすると以下の式により決定される。
【0052】
【数4】
【0053】
流路抵抗は、個別供給路又は個別回収路の断面積が一定でない場合、以下の式により決定される。
【0054】
【数5】
【0055】
図6は、集中定数系等価回路解析により得られたリフィルの状況を示し、ノズル径Dnを変化させたときにメニスカス位置が最大2μmになるように、流路抵抗Rと流路イナータンスMとを調整したものである。
【0056】
図6のグラフは、横軸に時間、縦軸にメニスカスの変位量を示す。時間(0)は、液滴の吐出を開始した時間である。その後、時間の経過に伴いメニスカスが変位する。表1のノズル径Dn(μm)、流路抵抗R(Ns/m5)、流路イナータンスM(kg/m4)、流路幅W(μm)、流路高さH(μm)、流路長L(μm)を満たす場合、図6に示すように最大メニスカスの隆起高さ2μm以下を満たす。
【0057】
図7は、集中定数系等価回路解析により得られたリフィルの状況を示し、ノズル径Dnを変化させたときにリフィル完了時間(メニスカス位置が0に戻る時間)が30μsになるように流路抵抗Rと流路イナータンスMとを調整したものである。
【0058】
図7のグラフは、横軸に時間、縦軸にメニスカスの変位量を示す。時間(0)は、液滴の吐出を開始した時間である。その後、時間の経過に伴いメニスカスが変位する。表2のノズル径Dn(μm)、流路抵抗R(Ns/m5)、流路イナータンスM(kg/m4)、流路幅W(μm)、流路高さH(μm)、流路長L(μm)を満たす場合、図7に示すようにリフィル時間30μsec以下を満たす。
【0059】
図8のグラフは、横軸にノズル径Dn(μm)、縦軸に流路抵抗R(Ns/m5)を示す。表1に示されるノズル径Dnと流路抵抗Rに応答する値がグラフに示されている。これらの値は、最大あふれ高さ2μmとして表示される。
【0060】
表2に示されるノズル径Dnと流路抵抗Rに応答する値がグラフに示されている。これらの値は、リフィル完了時間30μsとして表示される。表1の値をプロットした点を通る曲線を指数関数近似曲線から導出した。同様に、表2の値をプロットした点を通る曲線を指数関数近似曲線から導出した。表1の値から、指数関数近似曲線より、曲線Aの近似式:R=3.247×1015 exp(-0.1717 Dn)を得た。表2の値から、指数関数近似曲線より、曲線Bの近似式:R=3.2781015exp(-0.1456 Dn)を得た。したがって、個別供給路の流路抵抗R1、個別回収路の流路抵抗R2、及びノズル径Dnとして、曲線Aと曲線Bで囲まれる範囲の値を選択することで、流体クロストークを抑制でき、リフィル特性を改善することができる。
【0061】
図9のグラフは、横軸にノズル径Dn(μm)、縦軸に流路イナータンスM(kg/m4)を示す。表1に示されるノズル径Dnと流路イナータンスMに応答する値がグラフに示されている。これらの値は、最大あふれ高さ2μmとして表示される。表2に示されるノズル径Dnと流路イナータンスMに応答する値がグラフに示されている。これらの値は、リフィル完了時間30μsとして表示される。表1の値をプロットした点を通る曲線を指数関数近似曲線から導出した。同様に、表2の値をプロットした点を通る曲線を指数関数近似曲線から導出した。表1の値から、指数関数近似曲線より、曲線Cの近似式:M=2.075×109 exp(-8.369×10-2 Dn)を得た。表2の値から、指数関数近似曲線より、曲線Dの近似式:M=1.838×109exp(-6.475×10-2Dn)を得た。したがって、個別供給路の流路イナータンスM1、個別回収路の流路イナータンスM2、及びノズル径として、曲線Cと曲線Dで囲まれる範囲の値を選択することで、リフィル特性を改善することができる。
【0062】
リフィルは大きくは抵抗に支配される。しかしながら、流路イナータンスの寄与もあり、望ましくは流路イナータンスも所定の値にすることで特性を改善することができる。
【0063】
図4に示す液滴吐出ヘッドに関して、液滴の吐出曲がりを防止するため、好ましくは、ノズルの中心軸に対して対称性を保つことである。図10、及び図11は、液滴吐出部のノズル、圧力室、個別供給路、個別回収路の位置関係を示す。図10に示すように、圧力室222、個別供給路221、個別回収路224がノズル180の中心軸に対して点対称に配置される。図11に示すように圧力室222、個別供給路221、個別回収路224がノズル180の中心軸に対して線対称に配置される。
【符号の説明】
【0064】
100…液滴吐出ヘッド、110…ケーシング、120…取り付け部、122…取り付け部品、130…基板、132…ノズル層、135…ノズル面、150…供給管、160…回収管、170…ノズル列、180…ノズル、211…第1主流路、212…共通供給路、214…共通回収路、215…第2主流路、221…個別供給路、222…圧力室、223…連通路、224…個別回収路、225…アクチュエーター、226…振動板、227…駆動素子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴吐出ヘッドであって、
液滴を吐出する複数のノズルと、
前記複数のノズルに個々に連通し、液体で満たされる複数の圧力室と、
前記複数の圧力室に対応して配置された複数の駆動素子と、前記複数の駆動素子は対応する前記圧力室内の液体に圧力を付与し、
前記複数の圧力室に個々に接続される複数の個別供給路と、前記液体が前記複数の個別供給路を介して前記複数の圧力室に供給され、
前記複数の圧力室に個々に接続される複数の個別回収路と、前記液体が前記複数の個別回収路を介して前記複数の圧力室から回収され、
前記複数の個別供給路に連通し、前記液体を供給する複数の共通供給路と、
前記複数の個別回収路に連通し、前記液体を回収する複数の共通回収路と、を有し、
前記液滴吐出ヘッドは、複数の液滴吐出部を備え、各前記液滴吐出部は、前記ノズルの一つと、前記ノズルの一つと連通する前記圧力室の一つと、前記圧力室の一つに対応して配置された前記駆動素子の一つと、前記圧力室の一つと連通する前記個別供給路の一つと、前記圧力室の一つと連通する前記個別回収路の一つとを有し、
各前記液滴吐出部において、前記個別供給路の流路抵抗R1(Ns/m5)と、前記個別回収路の流路抵抗R2(Ns/m5)と、前記ノズルの径Dn(μm)とが以下の関係式を満たす液滴吐出ヘッド。
3.247×1015exp(-0.1717 Dn) ≦ R1 ≦ 3.278×1015 exp(-0.1456 Dn)
3.247×1015exp(-0.1717 Dn) ≦ R2 ≦ 3.278×1015 exp(-0.1456 Dn)
【請求項2】
請求項1記載の液滴吐出ヘッドであって、
前記複数の共通供給路は並列に配置され、かつ前記複数の共通供給路は一方端で結合され供給マニホールドを構成し、
前記複数の共通回収路は並列に配置され、かつ前記複数の共通回収路は一方端で結合され回収マニホールドを構成する液滴吐出ヘッド。
【請求項3】
請求項2記載の液滴吐出ヘッドであって、
前記供給マニホールドと前記回収マニホールドが前記液滴吐出部を介してのみ連通する液滴吐出ヘッド。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか記載の液滴吐出ヘッドであって、
各前記液滴吐出部において、前記個別供給路の流路抵抗R1が前記個別回収路の流路抵抗R2と実質的に等しい液滴吐出ヘッド。
【請求項5】
請求項4記載の液滴吐出ヘッドであって、
各前記液滴吐出部において、前記個別供給路の断面積、及び長さが前記個別回収路の断面積、及び長さと実質的に等しい液滴吐出ヘッド。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか記載の液滴吐出ヘッドであって、
各前記液滴吐出部において、前記個別供給路の流路イナータンスM1(kg/m4)と、前記個別回収路の流路イナータンスM2(kg/m4)と、前記ノズルの径Dn(μm)とが以下の関係式を満たす液滴吐出ヘッド。
2.075×109exp(-8.369×10-2 Dn) ≦ M1 ≦ 1.838×109 exp(-6.475×10-2Dn)
2.075×109exp(-8.369×10-2 Dn) ≦ M2 ≦ 1.838×109 exp(-6.475×10-2Dn)
【請求項7】
請求項6記載の液滴吐出ヘッドであって、
各前記液滴吐出部において、前記個別供給路の流路イナータンスM1と前記個別回収路の流路イナータンスM2とが実質的に等しい液滴吐出ヘッド。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか記載の液滴吐出ヘッドであって、
各前記液滴吐出部において、前記液滴吐出部は前記圧力室の一つと前記ノズルの一つとを連通する連通路を有する液滴吐出ヘッド。
【請求項9】
請求項5記載の液滴吐出ヘッドであって、
各前記液滴吐出部において、前記圧力室の一つ、前記個別供給路の一つ、及び前記個別回収路の一つの配置が、前記ノズルの中心軸に対して、線対称、又は点対称である液滴吐出ヘッド。
【請求項1】
液滴吐出ヘッドであって、
液滴を吐出する複数のノズルと、
前記複数のノズルに個々に連通し、液体で満たされる複数の圧力室と、
前記複数の圧力室に対応して配置された複数の駆動素子と、前記複数の駆動素子は対応する前記圧力室内の液体に圧力を付与し、
前記複数の圧力室に個々に接続される複数の個別供給路と、前記液体が前記複数の個別供給路を介して前記複数の圧力室に供給され、
前記複数の圧力室に個々に接続される複数の個別回収路と、前記液体が前記複数の個別回収路を介して前記複数の圧力室から回収され、
前記複数の個別供給路に連通し、前記液体を供給する複数の共通供給路と、
前記複数の個別回収路に連通し、前記液体を回収する複数の共通回収路と、を有し、
前記液滴吐出ヘッドは、複数の液滴吐出部を備え、各前記液滴吐出部は、前記ノズルの一つと、前記ノズルの一つと連通する前記圧力室の一つと、前記圧力室の一つに対応して配置された前記駆動素子の一つと、前記圧力室の一つと連通する前記個別供給路の一つと、前記圧力室の一つと連通する前記個別回収路の一つとを有し、
各前記液滴吐出部において、前記個別供給路の流路抵抗R1(Ns/m5)と、前記個別回収路の流路抵抗R2(Ns/m5)と、前記ノズルの径Dn(μm)とが以下の関係式を満たす液滴吐出ヘッド。
3.247×1015exp(-0.1717 Dn) ≦ R1 ≦ 3.278×1015 exp(-0.1456 Dn)
3.247×1015exp(-0.1717 Dn) ≦ R2 ≦ 3.278×1015 exp(-0.1456 Dn)
【請求項2】
請求項1記載の液滴吐出ヘッドであって、
前記複数の共通供給路は並列に配置され、かつ前記複数の共通供給路は一方端で結合され供給マニホールドを構成し、
前記複数の共通回収路は並列に配置され、かつ前記複数の共通回収路は一方端で結合され回収マニホールドを構成する液滴吐出ヘッド。
【請求項3】
請求項2記載の液滴吐出ヘッドであって、
前記供給マニホールドと前記回収マニホールドが前記液滴吐出部を介してのみ連通する液滴吐出ヘッド。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか記載の液滴吐出ヘッドであって、
各前記液滴吐出部において、前記個別供給路の流路抵抗R1が前記個別回収路の流路抵抗R2と実質的に等しい液滴吐出ヘッド。
【請求項5】
請求項4記載の液滴吐出ヘッドであって、
各前記液滴吐出部において、前記個別供給路の断面積、及び長さが前記個別回収路の断面積、及び長さと実質的に等しい液滴吐出ヘッド。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか記載の液滴吐出ヘッドであって、
各前記液滴吐出部において、前記個別供給路の流路イナータンスM1(kg/m4)と、前記個別回収路の流路イナータンスM2(kg/m4)と、前記ノズルの径Dn(μm)とが以下の関係式を満たす液滴吐出ヘッド。
2.075×109exp(-8.369×10-2 Dn) ≦ M1 ≦ 1.838×109 exp(-6.475×10-2Dn)
2.075×109exp(-8.369×10-2 Dn) ≦ M2 ≦ 1.838×109 exp(-6.475×10-2Dn)
【請求項7】
請求項6記載の液滴吐出ヘッドであって、
各前記液滴吐出部において、前記個別供給路の流路イナータンスM1と前記個別回収路の流路イナータンスM2とが実質的に等しい液滴吐出ヘッド。
【請求項8】
請求項1〜7の何れか記載の液滴吐出ヘッドであって、
各前記液滴吐出部において、前記液滴吐出部は前記圧力室の一つと前記ノズルの一つとを連通する連通路を有する液滴吐出ヘッド。
【請求項9】
請求項5記載の液滴吐出ヘッドであって、
各前記液滴吐出部において、前記圧力室の一つ、前記個別供給路の一つ、及び前記個別回収路の一つの配置が、前記ノズルの中心軸に対して、線対称、又は点対称である液滴吐出ヘッド。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−30582(P2012−30582A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140726(P2011−140726)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】
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