説明

液状製品の容器への無菌充填のためのシステムと方法

本発明には無菌状態の容器(7)及び在来の充填ラインに比較的小規模で安価な機器変更を加えて無菌状態の充填を行なえる方法とシステムが含まれる。本発明は無菌状態の空気の雰囲気で充填機器の全部及び一部を包むという従来の必要性を避けることができる。本発明には柔軟な膜(1)を装着された容器(7)が含まれていて、その膜により充填ステップを通じて自身の無菌状態を取得し、保持する。それによりその膜が最終的にキャップ(8)の一部になる。本発明は製品のリスク、操作員の専門性及び無菌充填のコストを低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は中空の容器に液状製品を無菌充填すること、特にPETボトル(bottle)に飲料を無菌充填することに関する。
【背景技術】
【0002】
製品が微生物汚染に非常に鋭敏になる傾向が強まっている。これらの生物に鋭敏な製品には、茶、コーヒー及びジュースを含む(「健康のイメージ」を持つ)飲料のような直ちに飲む飲料が含まれている。水の場合でさえ生物に鋭敏である。特に、水が静止性(即ち、炭酸入りでない)の場合、又は、その塩がしばしば健康的と考えられているカルシウム/マグネシウムの塩が高濃度に含まれている場合である。
【0003】
非常に生物に鋭敏性を持つ製品の充填工程は、封止した容器内での微生物汚染のほぼ全ての痕跡を避けなければならない。瓶及び缶の場合、現在、これは3種類の基本的方法により達成されている:高温充填、充填後滅菌及び無菌充填である。高温充填の場合、製品を充填前に加熱する。そして、その容器に高温製品を充填する。それにより、容器が最終的に密封されるまでに、容器と製品の両方を無菌にするために製品の温度を十分に上昇させる。充填後滅菌の場合は、充填され、密封された容器がその内容物を滅菌するのに十分な時間、通常、トンネル滅菌装置内で加熱される。無菌充填の場合、製品、容器及び充填機器を別々に無菌化して、周辺温度で、かつ、無菌状態を維持した環境内で充填が行なわれる。
【0004】
無菌充填は高温を必要としない。それゆえ、製品自体と熱に鋭敏な容器の両方に適当な工程である。一部の製品は、高温充填及び充填後滅菌によりある期間高温にする必要があるため、製品の安定性に影響し、かつ、味覚の劣化を生じることがある(多くの場合「調理」「焼き」又は「なまものでない」の味が通常僅かだが検出可能である)。さらに、一部のプラスチック容器は、材料固有の温度への鋭敏性により高温充填及び充填後滅菌には厳しい制約がある。
【0005】
無菌充填に関する上記の利点の多くは、金属缶及びガラス瓶にも適用できるけれども、温度への鋭敏性が厳しいPETボトルに特に適用できる。例えば、高温での取扱いに適当なPETボトルは、高価であるだけでなく、一部の製品(例えば、茶、コーヒー)が必要とする高い滅菌温度には耐えられない。しかしながら、PETボトルは便利で魅力的な容器であり、生物に鋭敏な製品の市場性を高めることができる。それゆえ、低コストで信頼性の高い無菌充填法がそのような製品の重要な販売手段になる。
【0006】
さらに、詳述すると、無菌充填は周辺温度で充填でき、最終的に包装された製品の微生物含有量を、無菌包装をした製品とするのに十分な低さにしうる。飲料容器(缶又は瓶)を無菌充填するための現在の方法では、無菌充填の空間を維持しなければならない。無菌充填の空間は、充填及びキャップ(cap)装着の機械の周囲を無菌の空気で覆った環境(「無菌室での充填」)を維持することにより、又は、機械の重要部分及び関連付属品及びコンベヤの回りを無菌の空気で覆うことにより実現される。原則として、これは、機械全体の周辺又は製品又は非密封の容器が環境に開放状態になっている機械の一部の周辺で無菌環境を維持することを意味している。
【0007】
無菌充填空間又は無菌室を維持するには、(業界の通常の標準を遙かに超える)特別な機器及び作業員の訓練を必要とし、又、充填環境の無菌性の喪失が急速でもなく、検出容易でもないので、製品のリスクを生じやすい。さらに、製品に接触しない機械部分、特に
、軸、モーター等のような可動部分の外面の無菌状態を維持することは困難である。無菌充填空間を維持することは、機器の高コスト、充填ラインの特別な条件により、又、(そのような特別な充填ラインが必ずしも多くないので)輸送距離が増大することにより高コストになる。現在の無菌の方法では、在来の非無菌の充填ライン上で定期的に無菌充填に切換えることはできない。それができれば、ある場合に、ラインの利用度が高まり、輸送距離が低くなることにより利点がある。
【0008】
容易に無菌充填が行なえるように容器自体を適合させるために、いくつかの試みが行なわれてきた。製薬業界では、膜ないし「隔膜」の使用が広く行なわれ、そのような膜は充填中に容器内部が微生物で再汚染を生じるリスクを避けるために用いられる。
【0009】
例えば、Shaw(特許文献1、2、3、4)及びPy(特許文献5)は膜を容器の口の上に置き、ある形態の環状カラー(collar)によりこれを下方に保持し、膜の上面を開放したままにしている。そして、膜/容器の組合わせは外部からの非侵襲性手段(例えばガンマ線照射)により無菌化され、充填のために二重中空の針により穿孔される。そして、Shawはキャップと穿孔された膜の間に隙間を残し、上方の環状部を閉鎖するためにカラーで蓋をする。Pyはレーザーを用いて開口部を溶融することにより膜を再密封する。排出は膜を通して容器の内容物を抽出するために針を用いている。これは医師の処置には適当であるが、通常の消費者には適当でなく、単純で使いやすいキャップを必要とする。ShawとPyが用いた充填方法はその用途にとって特殊であり、充填針にのみ適当であり、飲料の瓶及び缶のような消費者向け容器のための高速の機器が必要とする充填装置に適当でない。さらに、ガンマ線により滅菌することは飲料プラントでは困難であり、消費者の認知の立場から疑問のある方法である。
【0010】
さらに、膜システムは柔軟な容器(即ち袋)の無菌充填にも使用される。一例はKruger(特許文献6)で、医療用のための小袋充填に注目している。別の例は特許文献7、8、9、10、11、12、13,14で、バルク・バッグ(bulk bags)の充填に注目している。この一連の適用で、膜を含む注ぎ口が袋の開口部で加熱密封され、次ぎに、袋/膜の組合わせが外部からの非侵襲性手段(例えば、ガンマ線照射)により滅菌される。充填管を含む充填ヘッド(head)が注ぎ口の開放端を閉じ、又、滅菌用蒸気を用いて、膜と充填ヘッドの間の小さな空間を無菌化する。その後、充填管で膜に穿孔し、袋を充填する。(これは平坦にした袋なので、充填中の排気対策は必要ない。)
充填後、特許文献6は注ぎ口の直下の領域で袋の両側を押付け合ってシーム(seam)を形成し、そのシームを加熱密封する。特許文献7−8は充填ヘッド内に保持し、滅菌したリッド(lid)を用いて注ぎ口の上部を加熱密封している。特許文献9−13及び特許文献14では、注ぎ口の底部内にヒンジ付きフラップ(hinged flap)を含めることにより注ぎ口の底部を加熱密封している。加熱密封装置により、袋の壁面を通してヒンジ付きフラップを注ぎ口に押しつける。原則として、全てが同じ結果を目指している−ひとつは注ぎ口の上部に、他は注ぎ口の底部に加熱密封部−それで、膜には充填作業中に密封(又は再密封)のロールをかけないで、代わりに非侵襲的に容器を事前滅菌する手段を用意しているだけである。
【0011】
しかしながら、そのような袋の充填方法は剛体の容器に適用できない。さらに、それらは飲料の瓶及び缶のような消費者用容器のための高速機器が必要とする充填装置に適合しない。前記方法全ての結果としての閉鎖部は実際には密封した袋の一部であり、特別な用途にのみ適当で、開きやすい消費者向けの容器のためではない。既に示されているように、照射による滅菌は飲料プラントでは困難であり、さらに、一部の消費者の認識に基づいて疑問を生じる。
【0012】
本発明の目的は無菌充填を行なえるように、、剛性の(例えば、瓶、缶)又は柔軟性の
容器を用いて作業でき、かつ、小さな変更で、現在の容器の高速充填技術に使用できる方法に組込む部分として容器に膜を付けることである。本発明の別の目的は、現在の閉鎖部と比較して、コスト面又は消費者の使いやすさで顕著な違いがない封鎖部を使用できることである。本発明の別の目的はガンマ線照射のような滅菌方法を避けることである。ガンマ線照射は飲料充填の環境では不適当であり、消費者が好ましくない認識を有している。
【特許文献1】米国特許第3,245,200号明細書
【特許文献2】米国特許第3,382,642号明細書
【特許文献3】米国特許第3,299,603号明細書
【特許文献4】米国特許第3,637,102号明細書
【特許文献5】米国特許出願番号第2002/0023409 A1号明細書
【特許文献6】米国特許第5,382,406号明細書
【特許文献7】米国特許第4,445,550号明細書
【特許文献8】米国特許第4,494,363号明細書
【特許文献9】米国特許第4,805,378号明細書
【特許文献10】米国特許第4,942,716号明細書
【特許文献11】欧州特許第0,072,699号明細書
【特許文献12】欧州特許第0,236,107号明細書
【特許文献13】欧州特許第0,271,242号明細書
【特許文献14】米国特許第4,916,885号明細書
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0013】
従って、本発明には、無菌充填の方法を容易にするのに適した容器、及び、特別な機械及び現在の無菌充填システムの無菌空気の空間の必要性を避けて、無菌的に充填するための方法とシステムが含まれる。本発明は、在来の非無菌性充填設備が比較的単純に無菌充填をするのに適合しうる。無菌空気で覆った状態で充填する必要性を避けているので、本発明による無菌充填には、通常、無菌充填作業と比較して必要な専門作業者を少なくできる。これは機器と充填コストの低減及び製品の安全性の向上という一般的な利点を有する。さらに、非専用充填ラインを使用できる利点を有する。その非専用充填ラインは非無菌性と無菌性の両方で部品を交換して、それぞれ操業時間の一部を使って充填を行なえる。このことは、輸送距離の低減(非集中化充填及びより分散した充填ラインによる)及びライン利用度の向上(ラインの柔軟性向上による)の可能性を提供する。
【0014】
本発明は缶及びガラス瓶を含めて、開口部を有する全ての中空容器の充填に使用できるが、PETボトルの充填に特に利点がある。これらは厳しい温度制限があるからである。本発明の別の大きな利点は、熱に非常に鋭敏で、さらに、生物への鋭敏性が厳しい製品の
包装である。本発明は微生物汚染に対して高い安全性を提供するからである。
【0015】
本発明には容器の口を完全にカバーできるように形成された柔軟な膜の使用が含まれている。膜は開いて、機械部品のような固体の物体がそれを通り、又は、突出すような、さらに、その固体の物体が除去された時に再閉鎖するような形状にしうる。膜の好ましい実施例では固体の物体が膜を通ることができる能力は花びら状のセグメント(segment)により達成される。そのセグメントは密に組み合わされ、固体の物体が除去されると、お互いにバネ力で再密封し合う。
【0016】
瓶を滅菌する前に容器の口に膜を組み込める。そして、滅菌、充填及びキャップ装着の各段階を通じて、膜を所定の位置に維持しうる。最終的にその上にキャップが置かれる。それゆえ、膜がキャップ内の挿入材になり、キャップに取付けられる。膜はキャップの通常密封材の場所で機能し、消費者がその容器を開くとき、キャップと共に除去される。
【0017】
膜が容器の口に組込まれた後で、滅菌が好ましく行なわれるので、膜はその内部に滅菌用媒体を捕捉し、それゆえ、通常の(即ち、非無菌の)充填室の空間を通過した時にさえ、容器内の無菌状態を維持する。充填機で、充填ボウル(bowl)からの無菌空気(又は不活性ガス)の流れが滅菌用媒体を置換える。容器から出た際に、置換えられた滅菌用媒体が充填弁の製品接触部分を通過するので、充填開始前にそれらを滅菌する。充填後、膜は容器内の無菌空気(又は不活性ガス)の頭部空間を維持する一方で、容器は非無菌空間を通ってキャップ装着機に輸送しうる。
【0018】
要するに、非無菌空間内を輸送される時でも、、膜により、容器は無菌の内容物を捕捉し、維持しうる。充填前に、からの容器には滅菌用媒体が入っているので、容器を無菌に保つだけでなく、充填弁の接触部分を滅菌する手段にもなる。充填機の後で、容器には製品が入り、無菌の頭部空間付きで出て行く。容器は非無菌空間を通ってキャップ装着機に輸送されるけれども、無菌の頭部空間は膜により捕捉され、維持される。
【0019】
容器が内部の無菌状態を捕捉し、維持する能力が、機械の全部分に亘って無菌空気の環境を維持するという従来の必要性を無くし、設備及び工程管理の両方の観点から工程を単純化しうる。即ち、従来のシステムが必要とした機械の各部分に亘って無菌空気の環境を維持していることにより、コストが高くなり、作業者の特別な技術を必要とする。上記の方法及び原理は、従来の無菌充填システムが必要としていた複雑さ、コスト及び作業者訓練を避けることにより本発明の目的を満たしている。なぜなら、各瓶が全ての充填段階を通じてその内部の無菌状態を維持できるので、機械上を無菌空気で覆う必要が無くなるからである。さらに、従来の充填設備の比較的単純な適合化のみを行なうだけなので、非無菌的充填も行なうラインの操業時間の一部を使ってこの方法を適用しうるので、輸送距離を短縮し、ラインの利用度を高められる可能性がある。
【0020】
一側面として、本発明には、充填用口部と口部閉鎖装置から成る容器が含まれる。その口部閉鎖装置は口部の面積の約10%超となる開口部となるために開き、容器の外側からの汚染に対する実質的バリア(barrier)になるために閉じる。そして、前記装置は機械的に開かれた後で再密封する。一実施例では、その装置により行なわれる密封は、その容器の蒸気成分を実質的に捕捉するのに十分である。他の実施例では、口部閉鎖装置は柔軟な膜である。他の実施例では、膜は、シリコンゴム、天然ゴム、ブタジエン、ニトリル、スルフォン系(sulphonic)、イソプレン、ポリウレタン、バイトンから成るグループから選ばれたエラストマー(elastomer)である。他の実施例では、柔軟な膜は柔軟なセグメントから成っている。他の実施例では、柔軟な膜はその弾性、形状又はその組合わせにより開口及び再閉鎖の機能を実現する。他の実施例では、口部閉鎖装置は自己再閉鎖をするヒンジ付きフラップから成っている。他の実施例では、ヒンジ
付きフラップは口部閉鎖装置の外縁部と実質的に密封作用を行なう。他の実施例では、ヒンジ付きフラップは容器の口部の内径部と実質的な密封作用を行なう。
【0021】
他の側面では、本発明は、充填用口部とその充填用口部上にはめ込まれた柔軟な膜を含んでいる。その柔軟な膜は柔軟なセグメントを含み、前記柔軟なセグメントは滅菌用管と充填弁を通し、かつ、その滅菌用管と充填弁を引抜いたときに容器の蒸気成分を実質的に捕捉するのに十分な密封状態になるように再閉鎖するのに適合している。一実施例では、捕捉された蒸気は滅菌用蒸気である。他の実施例では、柔軟な膜はキャップを容器に取付けるのに適合している。他の実施例では、膜は、滅菌用管と充填弁を受入れるために、充填用口部の面積の約10%超まで開く。他の実施例では、膜は、シリコンゴム、天然ゴム、ブタジエン、ニトリル、スルフォン系、イソプレン、ポリウレタン、バイトンから成るグループから選ばれたエラストマーである。他の実施例では、膜がキャップ上の密封材と置換えられ、その膜はキャップに接着するのに適合している。他の実施例では、柔軟なセグメントはお互いにはめ合う又は重なるのに適合しているエッジ(edges)を有している。他の実施例では、容器はプラスチック瓶である。他の実施例では、容器はPETボトルである。他の実施例では、容器は金属又はプラスチックの缶である。他の実施例では、容器はガラス瓶である。他の実施例では、膜は複合材料から作られている。他の実施例では、容器は柔軟な材料であって、かつ、充填用口部は剛体の材料である。他の実施例では、容器は複合材料、層状材料又は被覆付き材料から製作されている。他の実施例では、柔軟なセグメントは、充填用口部の面積の約10%超まで膜を開けるのに適合している。他の実施例では、柔軟なセグメントは、充填用口部の面積の約50%超まで膜を開けるのに適合している。他の実施例では、柔軟なセグメントは、充填用口部の面積の約90%超まで膜を開けるのに適合している。
【0022】
さらに別の側面では、本発明は、内部、及び、充填用口部及びその充填用口部上にはめ合う膜を有する容器に無菌充填をする方法が含まれている。その方法に含まれるステップには、滅菌用蒸気を容器の内側に充填、容器の内部を滅菌するのに十分な時間だけ容器の内側に滅菌用蒸気を保持、滅菌用蒸気の一部を除去、容器に製品を充填、製品を含む容器の充填用口部にキャップ装着である。その場合、その方法の全てのステップの間、膜は充填用口部の上方に配置されている。一実施例では、さらにその方法には製品の品質への影響を避けるために、製品を容器に充填する前に十分な量の滅菌用蒸気を容器から流出できるようにするステップが含まれる。その場合、滅菌用蒸気が容器を出て、製品に接触する充填装置の部分を滅菌する。別の実施例では、膜の材料はシリコンゴム、天然ゴム、ブタジエン、ニトリル、スルフォン系、イソプレン、ポリウレタン、バイトンから成るグループから選ばれたエラストマーである。別の実施例では、充填ステップの間に、膜は充填用口部の面積の約10%超まで開く。別の実施例では、さらにその方法に無菌空気により滅菌用蒸気を置換えるステップが含まれる。その場合、その無菌空気がキャップを装着した容器の頭部空間を形成する。別の実施例では、さらにその方法に、不活性で無菌のガスで滅菌用蒸気を置換えるステップが含まれる。その場合、その不活性で無菌のガスがキャップを装着した容器の頭部空間を形成する。別の実施例では、さらにその方法に、膜のセグメントを容器内壁の方に強く押して、膜のセグメントと容器の内側の間の隙間を無くすことにより無菌蒸気の排出を加速するステップが含まれている。他の実施例では、さらにその方法に、容器に滅菌用蒸気を充填するステップの間に、滅菌用蒸気を容器から排出させるステップが含まれる。その場合、容器を出る滅菌用蒸気が容器の外面を滅菌する。別の実施例では、さらにその方法に、充填ステップとキャップ装着ステップの間にその容器を非無菌雰囲気内で輸送するステップが含まれる。その場合、容器の内部は実質的に微生物汚染を生じない。別の実施例では、さらにその方法に、膜を流体で濡らすステップが含まれる。その場合、その濡れた膜は汚染物の流入を防止する能力を高めている。別の実施例では、その流体に滅菌剤と流体の粘度を高める増粘剤を含めている。別の実施例では、さらにその方法に、容器を加熱するステップが含まれる。この場合、加熱により容器内部の
ガス圧を高めて、容器への汚染物質流入防止を強化している。別の実施例では、その方法が無菌充填に適合した在来の非無菌充填設備を用いて行なわれる。別の実施例では、非無菌充填設備の操業時間の一部を使って無菌充填に用いている。別の実施例では、さらにその方法に、キャップ装着ステップの前に、膜の外面を滅菌するステップが含まれている。別の実施例では、膜の外面を滅菌するステップが限定期間だけ滅菌効果を有する滅菌用媒体を用いて行なわれる。別の実施例では、膜の外面を滅菌するステップは少量で製品の品質に影響しない滅菌用媒体を用いて実現する。別の実施例では、さらにその方法に、充填すべき製品と接触する充填装置の部分を、各充填ステップ後に、高温水で洗浄するステップが含まれる。別の実施例では、さらにその方法に、充填すべき製品と接触する充填装置の部分を、充填作業の間に、塩素入り水を散布することにより;紫外線により;滅菌用蒸気内に閉じ込めることにより;又は、その組合わせにより;滅菌するステップが含まれる。
【0023】
さらに別の側面で、本発明には、充填用口部を有する容器を無菌充填するためのシステムが含まれ、そのシステムに含まれるのは、容器の充填用口部上の膜;滅菌用蒸気を容器の内部に充填するための手段;容器と膜が内部で接触する部分を滅菌するのに十分な時間だけ容器内に滅菌用蒸気を保持するための手段;膜を取り外さずに容器に製品を充填するための充填装置;製品の質に影響するのを避けるため、容器に製品を充填する前に容器から十分な量の滅菌用蒸気を除去するための手段、この場合、滅菌用蒸気が容器を出て、製品と接触する充填装置の部分を滅菌する;膜を除去せずに容器のキャップ装着をするための手段;である。一実施例では、膜はシリコンゴム、天然ゴム、ブタジエン、ニトリル、スルフォン系、イソプレン、ポリウレタン、バイトンから成るグループから選ばれたエラストマーである。別の実施例では、バネ付き挿入部が充填装置の在来の密封材料を置換えて、かつ、充填用機械部品を挿入中に充填用口部上の所定場所に膜を保持する。別の実施例では、口部の面積の10%超まで膜が開く。別の実施例では、バネ付き挿入材が膜と関連して蒸気用密封部になる。別の実施例では、さらにそのシステムに、充填装置へ又充填装置からのコンベヤ及び充填のための手段が含まれる。その場合、容器の外面を滅菌するために滅菌用蒸気を収容しているカバー(covers)にそのコンベヤが部分的又は全体的に組込まれている。別の実施例では、充填装置の漏出弁を通して滅菌用蒸気を排出する。
【実施例1】
【0024】
以下の図面及びその説明は、瓶が無菌充填された容器である本発明の一実施例を示しているが、本発明の原理を缶その他の容器に単純に適用して同じ有益な結果を得られることは当該分野の技術者であれば容易に推定できよう。
【0025】
図1は膜の一実施例を示している。膜1は適当なグレード(grade)のシリコンゴムのような適当な柔軟性と製品の適合性を持つ材料から作られる。図1で、膜1は外縁2及び複数のセグメント4から成る内側部分3を有している。セグメント4は複数のリップ5により分割されている。リップ5は妥当な気密性になるようにはめ合う設計になっている。膜1は容器7の口部6上に組込まれる。
【0026】
図1で、容器7は瓶として示されているが、同様の原理を缶及び他の中空容器に適用しうる。キャップ8は充填後に膜1の上方に置かれる。以下に述べる充填工程の間はキャップ8が取付けられるまで膜1が正しい位置に留まるように、膜1を口部6に好ましくしっかりと取付ける。膜1と口部6の間で適切な取付を行なうために、いくつかの簡単な手段がある。例えば、図1に示すように口部6の内側端部9を膜1が保持するような形状にしうる。又は、膜1が口部6の外側端部を保持できる(図示せず)。図4は膜1と口部6の間にしっかりと取付けた別の例を示す。
【0027】
図2は逆圧形充填機械(図示せず)の充填弁10内で膜1が機能する本発明の実施例を示す。バネ付き挿入材11で充填弁10の通常の密封ゴム(図示せず)を置換えることができる。通常、充填弁10は弁のベル(bell)部13の凹部内に位置している。図2に示す実施例では、バネ付き挿入材11がカラー14、バネ15、バネ面16から成っている。バネ面16が膜1を押し下げて、膜1を所定位置に保持し、充填弁10の充填部排出管17が膜1を通過し、かつ、それを突き抜けるときに、前記膜の移動を防止する。カラー14が膜1を充填部排出管17から離すように押して、口部18を生じる。液体製品(図示せず)が口部18により容器7に入ることができる。
【0028】
図3は充填ライン21に関連して本発明の実施例の原理と工程ステップを示している。ステップAでは膜1が容器7の口部6に組込まれる。ステップAでは、膜1を取上げるが、好ましくは最新の取上げ・配置技術を用いて、膜1を口部6の上に置く機械(図示せず)を使用しうる。容器7が外部供給源から充填ライン21に供給されるとき、従来の方法は、前記容器を充填ライン21に供給した直後に前記容器を洗浄する。そのような場合、従来の洗浄機械(図示せず)の直後にステップAが行なわれる。代わりに、もし、充填ライン21の前に瓶中空成形機又は他の従来のライン内容器製造設備(図示せず)がある場合、前記の瓶中空成形機又は他の容器製造設備の直後でステップAが行なわれる。それゆえ、ステップAの前に、容器7が物理的に清浄であるが、微生物学的に非無菌である。
【0029】
容器7は、非無菌的に充填するとき、充填ライン21が通常有している通常のコンベヤ(図示せず)によりステップAからその後のステップB〜Gに運ばれる。本発明の目的に合わせて、ステップAからステップDの間のコンベヤ部分は、前記ステップの間の最小距離の部分を、カバー22により好ましく囲われている。容器7がステップBからCまで運ばれるとき、容器7がカバー22の内部を通過する。好ましくは、カバー22は入口部分23と出口部分24を有している。前記部分23及び24は口部を有し、その口部は容器7の通過輪郭に妥当に近いような好ましいはめ合いになっていて、排出管25により水封型真空ポンプ26に接続されている。水封型真空ポンプ26は通常のもので、供給水27が供給される。
【0030】
ステップBでは、滅菌用媒体散布管30及び滅菌用排出管31が膜1を通して挿入され、前記両方の管が容器7の内部に突出す。滅菌用媒体32が滅菌用媒体散布管30へ配管を通じて送られる。滅菌用媒体32は蒸気又は揮発性液体としうる。好ましい一実施例では、滅菌用媒体32は過酸化水素のような滅菌剤33と無菌空気の混合体である。
【0031】
図3は滅菌用媒体32を供給するために、滅菌剤33の蒸気と無菌空気35の混合体を作るための典型的システム34を示している。システム34では、示されているように、非無菌の空気36がファン37により(空気の滅菌をする)空気のヒーター/クーラー38を通って、散布タワー39へ送られる。滅菌剤33は滅菌剤ポンプにより散布タワー39の上部に循環されるので、散布タワー39を流下し、滅菌剤33の蒸気で(上向きに、対向して流れる)無菌空気35を飽和状態にする。滅菌用媒体32がファン37により生じた圧力で散布タワー39から出て流れる。滅菌用媒体32は、ここで述べるように、それを必要とする無菌充填工程の一部に送られる。さらに、システム34が別の流れの無菌空気35を供給する。これもここで述べるように無菌充填工程の適当な部分にパイプで送られる。
【0032】
無菌空気35と滅菌用媒体32を製造するためにいくつかの従来プロセスがある。システム34は本発明の原理を良く理解できるように例としてのみ示されている。無菌空気35と滅菌用媒体32を製造するシステムは当該分野の技術者には良く知られている。
【0033】
ステップBでは、散布管30を通って入る滅菌用媒体32が、容器7内に捕捉されてい
る非無菌空気20を排出する。結果として、非無菌空気20と滅菌用媒体32の混合体が滅菌用媒体排出管31を通って容器7から出て行く。容器7から排出された非無菌空気20が滅菌用媒体32と混合して、滅菌状態になる。滅菌用媒体32が容器7に充填されて、容器7の内部を滅菌する。滅菌用媒体32が滅菌用媒体排出管31から出ると、カバー22の内部空間40に充填される。それで、容器7の外面及び膜1も滅菌される。容器7の外面及び膜1の滅菌は必ずしも必須でないが、容器の外面が無菌又はほぼ無菌であれば、容器7内部の汚染防止に役立つので好ましい。
【0034】
ステップCでは、容器7がステップDに運ばれる間、滅菌状態を完全に保持するのに必要な時間だけ滅菌用媒体32を満たせる。紫外線照射はステップDの滅菌工程を強化し、加速できる。内部空間40に入った余剰の滅菌用媒体32を排出管25により、真空ポンプ26送って、そこで供給水27と混合して、排水に放出される。真空ポンプ26は入口部分23と出口部分24で軽い真空を生じて、滅菌用媒体32が大気に流出できなくする。
【0035】
ステップD及びEは充填ステップである。ステップDで、容器7は通常に運ばれて、充填弁10の下に置かれる。そして、容器7を便宜的に持ち上げて、膜1の上面をバネ付き挿入材11に押しつける。充填部排出管17が膜1を通って突出して、バネ付き挿入材11が口部18を生じる(図2の前記説明参照)。
【0036】
図3では、良く知られた逆圧動作形の従来の充填弁が示されていて、充填ボウルの頭部空間45及び充填ボウルの液状製品用リザーバー46を付けた充填ボウル44が含まれている。充填ボウル44の内部に排出管の弁47、液用の弁48及び蒸気ロック(lock)49(通常、シーブ(sieve)の形)がある。充填弁10の典型的アセンブリー(assembly)には漏出弁50が含まれる。当該分野の技術者であれば理解できるように、「漏出弁」は、充填後の容器内の圧力を同一化する充填装置の要素の一般的用語である。上記の逆圧形充填弁に加えて、商用として多くの他形式の充填弁10がある。しかし、本発明を特定の形状の充填弁に限定していると理解すべきでない。図3の意図は基本的要素、及び、いかにこれらを本発明の無菌充填方法に適合させるかを示しているのに過ぎない。
【0037】
通常、充填弁10は以下のように動作する。容器7が充填弁10の下の所定位置に置かれると、排出管の弁47が開く。頭部空間45が圧力を受けると、空気が充填部排出管17を流下し、容器7の内容物の空間51を加圧する。内容物の空間51の圧力が頭部空間45と同様の圧力になると、液用の弁48が開き、液状製品52が蒸気ロック49を通過して、容器7に流れる。その一方で、内容物の空間51内の空気は充填部排出管を上昇して、頭部空間45に流れる。液状製品52が排出管17の先端の高さに達すると、内容物の空間51からの排気はもはや正常に行なえない。それゆえ、蒸気ロック49により、液状製品51の通路を経由して排出するのが防止される。その段階で、内容物の空間51からの空気排出をそれ以上行なえないので、液体がさらに流入できないため、容器7への液状製品52の流入が停止する。ここで、排出管の弁47が閉じる。内容物の空間51に残された圧力を漏出弁50を開くことにより逃がす。漏出弁50が容器7の内圧を逃がし始めるとき、液用の弁48がその前後に生じた圧力差により閉じる。容器7の内圧が完全に逃げると、容器7が充填弁10から取り外される。
【0038】
多様な商用充填システムがあるが、示した操作は逆圧形充填装置の基本要素をカバーしている。逆圧形充填装置は缶及び瓶に対する最も一般的な充填形式のひとつである。本発明の一側面は前記の装置のような非無菌充填装置を無菌充填装置に適合させたものとして理解されたい。
【0039】
一側面として、本発明には上記の商用の充填弁及び以下のように変形させた充填操作が含まれる。第一に、図2の説明で既に示したように、充填弁10の在来の密封ゴムをバネ付き挿入材11で置換えられる。又、充填弁10が膜1の上面に対して密封する。充填ボウルの頭部空間45には、圧縮機55により必要な圧力にした無菌空気35が供給される。代わりに、頭部空間45には窒素のような不活性ガスを加圧ガス供給部(図示せず)から充填できる。不活性ガスは液状製品52が酸素による劣化に敏感なときに利点がある。
【0040】
上記の充填操作は無菌充填を本発明の目的に適合させるために、以下のように変更しうる。容器7が充填弁10の下の所定位置に置かれると、漏出弁50が開いて、無菌空気35により頭部空間45から滅菌用媒体32を排出する。そうしなければ、微量の滅菌用媒体32が液状製品52を劣化しうるので、滅菌用媒体32を容器7から完全に排出するまで漏出弁50を開いたままにする。流出した滅菌用媒体32は充填弁10の接触部分(即ち、液体の通路、ガスの通路・キャビティ(cavity)、充填部排出管17)に接触し、かつ、滅菌して、充填開始前に充填弁10の接触部分を滅菌する。
【0041】
滅菌用媒体32が容器7から排出されると、漏出弁50が閉じて、既に述べたように在来方式で充填が進められる。ステップDは漏出弁52が開いている間の滅菌用媒体32の排出を示している。漏出弁カバー56は流出する滅菌用媒体32を捕捉して、大気への流出を避けるために、真空ポンプ26に送られる。
【0042】
例えば、ガラス瓶の場合のように容器7が外圧に耐えることができる場合、ビール充填にしばしば用いられるタイプの充填弁(図示せず)により、容器7からの滅菌用媒体32の完全排出を高速化できる。そのような形式の充填弁は容器7内に最初の真空を生じうる。それにより、滅菌用媒体32の除去を加速する。もし、容器7がプラスチック又は他の柔軟材料で作られている場合、容器7の内部を真空にすることは実際的でなく、滅菌性媒体32の排出は充填部排出管17を流下する無菌空気35(又は不活性ガス)を増大することによっても加速される。これは、充填部排出管17の流路断面積を拡大することによっても、又は、頭部空間45の圧力を高めることによっても、又は、その両方でも実現できる。しかしながら、ステップDで、容器7からの滅菌用媒体32の除去を加速することは、以下でさらに述べるように、充填操作の間に充填弁10の接触部分が再汚染するのを低減し、又は、無くす手段に伴って行なうのが好ましい。これは、滅菌用媒体32の除去は、充填弁10の接触部分を滅菌することの追加機能になり、過大な汚染が存在する場合、そのような滅菌は一般にかなりの時間を必要とするからである。
【0043】
ステップDで滅菌用媒体32を排出することにより充填弁10の滅菌を高速化するために、ある場合に、各充填作業の後で高温水で充填弁10と充填部排出管17を洗浄し、微量の液状製品52を除去することも必要であろう。代わりに、塩素のような滅菌剤を含む水で洗浄することは清浄にし、滅菌し、再汚染の傾向を低減する。さらに、ステップEからステップDに戻るとき充填弁10のためにカバー(図示せず)を設けて、前記カバー内に滅菌用媒体32を流すことは、充填操作の間の充填弁10の再汚染を低減し、又は、無くすので好ましい。別な選択肢として、充填弁10の再汚染は、充填操作間で充填弁10を動かす際、充填弁10の露出部分を紫外線で照射することにより低減できる。ここで述べたように、塩素を含む水で充填弁10を洗浄している場合に、紫外線の使用は特に有効である。
【0044】
充填弁10の接触部分の再汚染を低減する他の手段には、充填部排出管17の底部に底部閉鎖用ボール弁(図示せず)の使用が含まれる。これは流体圧力が無くなったとき(即ち、排出管の弁47が閉じたとき)に閉鎖する。これは充填サイクル中に弁に非滅菌空気が有意に流入するのを抑制する。代わりに、ステップDで充填弁10が充填位置に戻ったときに、充填弁10を浄化/滅菌するのに蒸気を使用しうる。
【0045】
これらの手段はステップDでの再滅菌前に充填弁10の露出部分の再汚染を低減できる。これらの追加手段には当該分野の技術者には公知の標準設備が含まれるが、これ以上は説明しない。
【0046】
上記のように、充填開始前に容器7の内部から滅菌用媒体32の有意な痕跡を除去することが好ましい。滅菌用媒体32の除去が遅れるひとつの領域は容器7と膜1のセグメント4の間の隙間19により形成される領域である(図2参照)。隙間19から滅菌用媒体32を除去することは流れの乱流状態を強めることにより加速でき、それは、既に述べたように、充填部排出管17を流下するガスを多くすることにより達成できる。隙間19内の滅菌用媒体32の除去を加速する別の手段は膜1内のセグメント数を増加することによる。これはセグメント周囲の乱流を強め、滅菌用媒体の移動用流路を低減するからである。隙間19内の滅菌用媒体32の除去を加速する別の手段はカラー14の一部を伸ばすことにより、隙間19を完全に無くすことである。カラー14が膜1を押しつけて口部18を生じる。カラー14を伸ばすことにより、膜1のセグメント4が容器1の壁に密着するように押しつけられて、隙間19が事実上無くなる。(それにより、充填のための口部18が大きくなるという利点が加わる。)セグメント4を容器7の壁に押しつけるカラー14の部分は、セグメント4とカラー14の間の流れが悪い領域の生成を避けるために穴を開けるのが好ましい。
【0047】
図3のステップBは充填操作を示していて、液用の弁48が開いている。充填終了時に、これはステップEの最後になるが、容器7の内容物の空間51の残りの部分が頭部空間45からの無菌空気35で充填される(又は、無菌空気の代わりに使用される場合、不活性ガス)。
【0048】
ステップEで充填完了後、容器7は在来方法でキャップ装着装置(図示せず)に運ばれる。ステップFで、充填とキャップ装着の間の通常のコンベヤの一部には、キャップ装着前カバー60が好ましく組込まれている。キャップ装着前カバー60内を容器7が通過する間、滅菌用媒体32が媒体スプレー61により膜1の上面に散布される。端部62及び63には容器7の通過輪郭と密なはめ合いになり、カバー22と関連して既に述べたように真空ポンプ26に通じている。キャップ装着前カバー60内のキャップ装着前空間64は滅菌用媒体32で充填され、容器7の外側と膜1が再滅菌される。端部63はキャップ装着ヘッド(head)にできるだけ近づけて、キャップ装着機(図示せず)に入る際の過度の再汚染を無くすのが好ましい。
【0049】
ステップGでは、通常のキャップ装着機が容器7のキャップを装着する。そして、膜1がキャップ8の密封要素になる。キャップ8内のコンタクト(contact)形接着剤(又は同様の方法)が、膜1をキャップ8の下側に接着するのに用いられる。代わりに、高温溶融形接着剤をキャップ装着直前に膜1の上面に塗布できる。キャップ装着はキャップ8への接着作業だけでなく、膜1の上面の滅菌作業によっても支援される。高温溶融形接着剤を用いるときを除き、キャップ8を最終的に取付ける前に、膜1の上面を滅菌状態にするために、キャップ装着直前にキャップ装着ヘッド(図示せず)のすぐ下で滅菌用媒体32の散布を行なう。滅菌用媒体32の一部がキャップ8と膜1の間に捕捉されるので、影響が少なくて、飲料との適合性がある滅菌用媒体(滅菌用媒体32a)を用いるのが好ましい。例えば、滅菌用媒体32aは薄い塩素入り水としうる。塩素入り水は持続性の滅菌効果を有しているので、キャップ装着機の前の端部63から出た直後に膜に塗布する。
【0050】
ある場合に、ステップFのキャップ装着前カバー60は塩素入り水のような適当な滅菌用媒体32aの散布により全面的に置換えられる。塩素入り水は非滅菌雰囲気と接触して
無菌状態を維持する。
【0051】
図4は膜1の代替的実施例を膜66としてここに示している。膜66は複数の内向きに傾斜したセグメント67を有していて、かさばる充填弁の要素(例えば、缶又は瓶用の充填弁の要素)が膜66を通過しやすくしている。さらに、図4は口部6に膜66を取付ける代替的手段も示している。口部6の上縁68を折り返して内側の面69を設ける。これにより、固着リング70を配置できる。固着リング70は膜66の一部であり、口部6の外面71を超えて全般的に突出す必要はない。膜1又は66の取付は一般的に図4に示されていて、固着リング70は内側の面69又は単に面71を保持して、充填中にセグメント67が上縁68に接するまでセグメント67を折り返せるようにする。それで、充填用口部を可能な限り最大にする。
【0052】
図5は膜1の別の実施例を示していて、ここでは膜75として示している。膜75はセグメントを有さず、膜75に用いられる材料の柔軟性及び(又は)膜75の形状により、セントラル・リップ76を伸ばして開いて、充填弁の部品が十分に通過できるようにする。膜75は元の形に戻ることにより再閉鎖できる。
【0053】
図6は膜1の別の実施例を示していて、ここでは膜80として示している。膜80はフラップ(flap)81を組込んでいる。フラップ81は膜のリップ(lip)82に対して閉じていて、フラップのヒンジ83により柔軟に動く。膜80は環状リム84を有していて、キャップ8に対する密封を行ない、ヒンジ83が取付けられている。充填弁の部品は、フラップ81を押し開くことにより膜80を通って突出せる。フラップ81は柔軟性により元の位置に戻って再閉鎖できる。
【0054】
図7は膜1の別の実施例を示していて、ここでは膜85として示している。膜85にはリム86を含み、リム86がキャップ8に対する密封を行なう。アーム87がリム86から吊り下げフラップ88に突出している。吊り下げフラップ88は容器7の口部6の内径に対して密封を行なっている。吊り下げフラップ88は充填弁の部品により横に押されることにより開くことができ、柔軟性により元の位置に戻ることにより再閉鎖する。
【0055】
膜1及び膜66のセグメント4、及び、膜75、80、85の密封リップは、前記セグメントが閉じたとき、微生物の侵入に対する好ましいバリア(barrier)となっている。膜1に用いられた材料により、微生物汚染の侵入に対する膜1のセグメント4の密封性はいくつかの方法のどれかで改善できる。含まれる方法は、リップ5の間に傾斜したくさび状接触部を持つようにしたリップ5を形成;特にリップ5間のくさび状接触部と関連して僅かに大きな寸法のセグメント4を形成;工程の重要部分(例えば、ステップCとステップD/Eの直後)で、リップ5の端部を濡らし、密封できる薄い塩素入り水のような滅菌液の微細な霧を散布;である。グリセリン又はガムのような食品に安全な増粘剤を添加することにより塩素入り水の粘度を高めることも流体の密封効果を高めることができる。加熱することにより膜1の下のガス圧を僅かに高めることも、微生物汚染の侵入に対して膜1のセグメント4の密封性を高める。ステップCの後の容器7の中のガスに、及び、ステップD/E後の液体上の頭部空間に局部的エネルギーを送る。例えば、レーザー又は赤外線を用いる(それにより、ミリバール・オーダーでガス圧を高める。)これは、下向きに傾斜したセグメント4(例えば、図4のセグメント67)が上方に押されて、お互いに密封し合う傾向を強める。さらに、ガスが容器1から流出する傾向を高めるので、内側への汚染流入を防止する。
【0056】
膜1の多層構造になるような材料の組合わせは、ある用途には、特に大きな口部6を有する容器に利点を生じうる−例えば、密封能力と組合わせてバネ特性(即ち、柔軟性/弾力性のある面)を与える多層材料。通常、膜1は型成形により成形される。材料及び型成
形工程によっては、リップ5を完全に切り離さず、代わりに、それらを材料の薄い連結部分により結合したままとし、最初の使用(即ち、機械要素の最初の挿入)により切り離すのが好ましい。破裂によりリップを分離するのは、ぼろぼろになって密封性の悪い端部になりやすいので、そのような成形工具による連結部の成形では、できるだけ連結部分を薄くすべきである。
【0057】
膜1(又は膜66、75、80、85)の材料は選ばれた膜の特定の実施例(例えば、図1又は図4又は図5又は図6又は図7)による、及び、容器7の用途により設定された実際の材料特性による。弾性材料が全ての実施例に適しているが、主として図6に示したように一部の実施例では非弾性体も可能である。
【0058】
弾性体の選定に影響する弾性体の主な特性には、弾性(適当な「跳ね返り」のため)、硬度/柔軟度(適当な密封性のため)、食品接触の容認性(食品を包むため)、温度の許容度(最終用途のタイプによる)、化学的耐性(最終用途のタイプ及び用いる滅菌用媒体による)、製造方法(熱可塑性又は熱硬化性の弾性体の選定を決定する)及びコストである。食品との接触については、適正なグレードのシリコン・ゴムが好ましい。用途及び膜設計により必要となる特性により、天然ゴム又はブタジエン又はニトリル又はスルフォン系又はイソプレン又はポリウレタン又はバイトンのような他の弾性体を選択しうる。
【0059】
(例えば、図6と関連した)非弾性体の場合、主な選定条件は、弾性を除いて、弾性体について既に示したものと同様である。非弾性体の場合、「跳ね返り」特性が必要になる。折曲げと跳ね返りの特性を持つ非弾性体にはポリオレフィンが含まれている。
【0060】
膜1(又は、膜66、75、80、85)の実際の設計は、容器7の口部6のかなりの部分が開き、開いた後で実質的に再閉鎖できるようにすべきである。さらに、化学的滅菌には膜を通して薬品注入装置を挿入するので、特に充填前に化学的滅菌を用いる場合、膜1(又は、膜66、75、80、85)は、1回を超えて正常に開いて、再密封すべきである。それゆえ、膜の実際の設計は、医療用として公知の「隔壁」とは異なる。なぜなら、非常にかさばる装置(例えば、充填弁)が膜1(又は、膜66、75、80、85)を通過できるようにしなければならないからである。このことは、比較的細い針を通すことができれば良いだけの「隔膜」とは対照的である。瓶の充填の場合、膜1(又は、膜66、75、80、85)を充填弁のような機械部分が正常に通過できなければならない。充填弁が必要とする開口部は、少なくとも3mmの直径だが、好ましくは6mm超の直径、さらに好ましくは12mmの直径、最も好ましくは20mm超の直径である。缶の充填の場合、膜1(又は、膜66、75、80、85)には、望ましくは、少なくとも20mmの直径、好ましくは30mmの直径、最も好ましくは40mmを超える直径の開口部を設けなければならない。
【0061】
膜1(又は、膜66、75、80、85)に設けなければならない開口部の寸法が、前記公知の医療用隔壁に設けるものよりずっと大きくなる理由は、飲料容器のような商用の容器には経済的になるように高速充填をしなければならないからである。例えば、5,000個/時の充填速度が通常最低限として考えられていて、60,000個/時を超える処理速度がごく普通である。さらに、大型容器は通常低い充填速度(例えば、約5,000個/時以下)になる。大型容器の場合、流体の充填量は依然としてかなりの量になる。例えば、20リットル入り箱形の袋の容器の充填速度は、時として、60箱/時という低さになるが、これは依然として1200リットル/時に相当し、医療用隔壁ないしその針の容量をはるかに超えている。飲料缶のような小さな容器は通常120,000個/時を超える速度で充填していて、これは40,000リットル/時以上に相当する。
【0062】
高速の容器充填は、化学的滅菌装置(又は、膜1又は膜66、75、80、85を通す
必要がある他の滅菌装置)が必要とする開口部の寸法にも影響する。なぜなら、滅菌操作も高速で大流体量になるからである。例えば、滅菌用媒体は過酸化水素の蒸気である場合、比較的大きな滅菌用媒体散布管30を必要とし、多分、少なくとも6mmの直径で、頻繁に使われるのは12mm超である。さらに、滅菌用媒体排出管31も必要で、かつ、同様の直径になる。
【0063】
それゆえ、好ましい高速の容器充填には本発明の容器内の充填用口部を比較的広くする必要があり、かつ、同様に膜又は他の口部閉鎖装置が容器の充填用口部を有意に制限するのではなく、比較的広い充填弁の要素及び滅菌用管を受入れられることが必要である。それゆえ、膜及び口部閉鎖装置が充填用口部の面積のかなりの部分を開くことができるようにすべきである。一実施例で、膜又は口部閉鎖装置は充填用口部の面積の10%超まで開いている。他の実施例では、膜又は口部閉鎖装置は充填用口部の面積の20%超、30%超、40%超、50%超、60%超、70%超、80%超まで開いている。好ましい実施例では、膜又は口部閉鎖装置は充填用口部の面積の90%超まで開いている。
【0064】
口部6が剛体であれば、本発明の場合、容器7には、通常形態の商用容器(即ち、瓶、缶及び箱形の袋)だけでなく、剛性と柔軟の両方の容器が含まれる。本発明に関連して使用できる容器7の材料にはプラスチック(例えば、PET、PEN、ポリオレフィン、ナイロン、ポリカーボネート等)、ガラス及び金属が含まれる。さらに、本発明の範囲に含まれるのは、金属又はプラスチック又はガラスの上のプラスチック/樹脂のコーティング(coatings)のような容器7のための材料の組合わせである。多層プラスチックからの容器7の製造も含まれていて、PETがその一例である。なぜなら、バリアその他の特性を向上するように内側の層を含めるために層状にできる。例えば、ポリアミド又はEVOH(ポリビニル・アルコール)のバリア層が通常用いられる。非剛性容器の場合、容器7を製造するために用いられる包装フィルムはしばしばいくつかのプラスチックから成る多層構造とすることができ、金属箔(例えば、アルミニウム箔)も構造内に含めることもできる。
【0065】
本発明の焦点はPETボトルであるが、同様の原理が缶又はキャップ付き開口部を付けた他の中空容器に適用しうる。同様に、原理は逆圧形充填に関連して示しているけれども、同様の原理は真空式充填装置及びピストン式充填装置を含む他のタイプの充填装置に適用できる。本発明はその実施例と関連して示されているけれども、多くの代替案、修正及び変更が前述の説明に基づいて当該分野の技術者には明らかである。従って、本発明は添付請求項の精神及び広い範囲内に入るそのような代替案、修正及び変更の全てを含むように意図している。ここで引用した全ての特許出願書、特許その他の出版物は全体を参考用として組込まれている。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】膜自体とさらに瓶の末端部の上に装着された状態の両方で膜の一実施例を例示している。
【図2】充填弁と関連させて膜の操作を示している。
【図3】膜を用いた無菌充填の方法及びシステムの好ましい実施例を示す。
【図4】膜自体とさらに瓶の末端部の上に装着された状態の両方で膜の別の実施例を例示しているが、それにより大きな機械部分が通過しやすいように膜のセグメントが容器の内側に傾斜している。
【図5】膜自体とさらに瓶の末端部の上に装着された状態の両方で膜の別の実施例を例示しているが、その膜はセグメントを有さないが、伸ばすことにより開くのに十分な柔軟性を有している。
【図6】膜自体とさらに瓶の末端部の上に装着された状態の両方で膜の別の実施例を例示しているが、その膜は押すと開くことができ、膜の外縁の方に再閉鎖するフラップを有する。
【図7】膜自体とさらに瓶の末端部の上に装着された状態の両方で膜の別の実施例を例示しているが、その膜は押すと開くことができ、瓶の末端部の内径側に再閉鎖するフラップを有する。
【図1A】

【図1B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側、充填用口部及びその充填用口部の上にはめた膜を有する容器を無菌的に充填する方法で、
滅菌用蒸気により容器の内側を充填すること、
容器の内側を滅菌するのに十分な時間量だけ容器の内側に滅菌用蒸気を保持すること、
滅菌用蒸気の一部を取出すこと、
製品を容器に充填すること、
製品を含む容器の充填用口部にキャップを装着すること、
のステップから成り、かつ、その方法の全てステップの間、充填用口部の上に膜が置かれていることを特徴とする方法。
【請求項2】
さらに、製品の質に影響するのを避けるため、容器に製品を充填する前に有意な量の滅菌用蒸気が容器から排出できるようにするステップを含み、その場合、その滅菌用蒸気が容器を出て、その製品と接触する充填装置の一部を滅菌する請求項1の方法。
【請求項3】
膜材料が、シリコンゴム、天然ゴム、ブタジエン、ニトリル、スルフォン系、イソプレン、ポリウレタン、バイトンから成るグループから選ばれた弾性体であることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項4】
充填ステップの間に充填用口部の面積の約10%より大きく膜が開口することを特徴とする請求項1の方法。
【請求項5】
さらに、その滅菌用蒸気を無菌空気で置換えるステップを含み、その場合、その無菌空気がキャップ付き容器の頭部空間を形成することを特徴とする請求項2の方法。
【請求項6】
さらに、その滅菌用蒸気を不活性の無菌ガスで置換えるステップを含み、その場合、その不活性の無菌ガスがキャップ付き容器の頭部空間を形成することを特徴とする請求項2の方法。
【請求項7】
さらに、膜のセグメントと容器の内側との間の隙間を無くすことにより滅菌用蒸気の排出を加速するために、膜のセグメントを容器の内壁に密に押すステップを含むことを特徴とする請求項2の方法。
【請求項8】
さらに、滅菌用蒸気を容器に充填するステップの間に滅菌用蒸気が容器から排出できるようにしたステップを含み、その場合、容器を出た滅菌用蒸気が容器の外面を滅菌することを特徴とする請求項1の方法。
【請求項9】
さらに、充填ステップと非無菌雰囲気内でのキャップ装着ステップの間で容器を運ぶステップを含み。この場合、容器の内側が実質的に微生物で汚染されないままであることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項10】
さらに、膜を流体で濡らすステップを含み、その場合、濡れた膜が汚染物の侵入を防止する高い能力を有していることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項11】
その流体が滅菌剤及び流体の粘度を高める増粘剤を含むことを特徴とする請求項10の方法。
【請求項12】
さらに、容器を加熱するステップを含み、その場合、加熱が容器内のガスの内圧を高め
、容器への汚染物侵入防止機能を高めることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項13】
無菌的に充填するのに適合した在来の非無菌充填設備を用いて、その方法が行なわれることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項14】
非無菌充填設備の操業時間の一部を無菌的充填に使用することを特徴とする請求項13の方法。
【請求項15】
さらに、キャップ装着ステップの前に膜の外面を滅菌するステップが含まれる請求項1の方法。
【請求項16】
膜の外面を滅菌するステップが限定期間だけ滅菌効果を有する滅菌用媒体で達成されることを特徴とする請求項15の方法。
【請求項17】
膜の外面を滅菌するステップが少量では製品の質に影響しない滅菌用媒体で達成されることを特徴とする請求項15の方法。
【請求項18】
さらに、充填すべき製品と接触する充填装置の部分を、各充填ステップの後で高温水で洗浄するステップを含む請求項1の方法。
【請求項19】
さらに、充填すべき製品と接触する充填装置の部分を、充填操作と充填操作の間に、塩素入り水を散布することにより、紫外線照射により、滅菌用蒸気で包むことにより、又は、その組合わせにより滅菌するステップを含む請求項18の方法。
【請求項20】
充填用口部を有する容器を無菌的に充填するためのシステムで、
容器の充填用口部の上の膜、
容器の内側を滅菌用蒸気で充填するための手段、
容器の内側接触部分及び膜を滅菌するのに十分な時間だけ容器内に滅菌用蒸気を保持する手段、
膜を除去しないで容器に製品を充填するための充填装置、
製品の質への影響を避けるために容器に製品を充填する前に容器から十分な量の滅菌用蒸気を除去する手段、この場合、その滅菌用蒸気は容器を出て、製品に接触する充填装置の部分を滅菌すること、
膜を除去しないで容器にキャップを装着するための手段、
から成るシステム。
【請求項21】
膜が、シリコンゴム、天然ゴム、ブタジエン、ニトリル、スルフォン系、イソプレン、ポリウレタン、バイトンから成るグループから選ばれた弾性体であることを特徴とする請求項20のシステム。
【請求項22】
バネ付き挿入材が充填装置上の在来の密封材料を置換え、かつ、充填機械の部分を挿入中に充填用口部に置かれた膜を保持することを特徴とする請求項20のシステム。
【請求項23】
膜が口部の面積の約10%より大きく開口することを特徴とする請求項20のシステム。
【請求項24】
バネ付き挿入材が膜と関連して蒸気の密封をすることを特徴とする請求項22のシステム。
【請求項25】
さらに、充填装置へ、又、充填装置からのコンベヤ及び充填のための手段を含み、かつ
、そのコンベヤが、容器の外面を滅菌するための滅菌用蒸気を囲っているカバーに部分的又は全面的にはめ込まれていることを特徴とする請求項22のシステム。
【請求項26】
滅菌用蒸気が充填装置の漏出弁を通して排出されることを特徴とする請求項22のシステム。
【請求項27】
口部閉鎖装置が開いて、その口部の面積の約10%より大きな開口部を生じて、又、容器の外側からの汚染に対して実質的バリアになるように閉じて、前記装置が機械的に開いた後で再密封することを特徴とする充填用口部及び口部閉鎖装置を含む容器。
【請求項28】
その装置により行なわれる密封が容器の蒸気成分を実質的に捕捉するのに十分であることを特徴とする請求項27の容器。
【請求項29】
口部閉鎖装置が柔軟な膜であることを特徴とする請求項27の容器。
【請求項30】
膜が、シリコンゴム、天然ゴム、ブタジエン、ニトリル、スルフォン系、イソプレン、ポリウレタン、バイトンから成るグループから選ばれた弾性体であることを特徴とする請求項29の容器。
【請求項31】
柔軟な膜が柔軟なセグメントを含んでいることを特徴とする請求項30の容器。
【請求項32】
その柔軟な膜がその弾性、形状、又は、その組合わせにより開口と再閉鎖の機能を実行することを特徴とする請求項30の容器。
【請求項33】
その口部閉鎖装置が自己再閉鎖をするヒンジ付きフラップを含んでいることを特徴とする請求項27の容器。
【請求項34】
そのヒンジ付きフラップがその口部閉鎖装置の外縁に向って実質的に密封することを特徴とする請求項33の容器。
【請求項35】
そのヒンジ付きフラップがその容器の口部の内径に向って実質的に密封することを特徴とする請求項33の容器。
【請求項36】
充填用口部及びその充填用口部の上にはめ込まれた柔軟な膜から成る容器で、その柔軟な膜が柔軟なセグメントを含み、前記柔軟なセグメントが滅菌用管及び充填弁を通過させるのに、又、滅菌用管及び充填弁を引抜いたときに容器の蒸気成分を実質的に捕捉するのに十分な密封機能で再閉鎖するのに適合していることを特徴とする容器。
【請求項37】
捕捉された蒸気が滅菌用蒸気であることを特徴とする請求項36の容器。
【請求項38】
その柔軟な膜が容器のためのキャップに取付けるのに適合していることを特徴とする請求項36の容器。
【請求項39】
膜が、滅菌用管及び充填弁を受入れるために、充填用口部の面積の10%より大きく開口することを特徴とする請求項36の容器。
【請求項40】
膜が、シリコンゴム、天然ゴム、ブタジエン、ニトリル、スルフォン系、イソプレン、ポリウレタン、バイトンから成るグループから選ばれた弾性体であることを特徴とする請求項36の容器。
【請求項41】
その膜がキャップ上の密封材の置き換えになり、かつ、その膜がそのキャップに接着するのに適していることを特徴とする請求項38の容器。
【請求項42】
柔軟なセグメントが、お互いにはめ合うのに、又は、重なるのに適合している端部を有していることを特徴とする請求項36の容器。
【請求項43】
容器がプラスチック瓶であることを特徴とする請求項27又は36の容器。
【請求項44】
容器がPETボトルであることを特徴とする請求項27又は36の容器。
【請求項45】
容器が金属又はプラスチックの缶であることを特徴とする請求項27又は36の容器。
【請求項46】
容器がガラス瓶であることを特徴とする請求項27又は36の容器。
【請求項47】
膜が複合材料から作られていることを特徴とする請求項27又は36の容器。
【請求項48】
容器が柔軟な材料であり、かつ、充填用口部が剛性材料であることを特徴とする請求項27又は36の容器。
【請求項49】
容器が複合材料、層状材料又は被覆付き材料で作られていることを特徴とする請求項27又は請求項36の容器。
【請求項50】
膜に充填用口部の面積の約10%を超える大きさの開口を生じるのに柔軟なセグメントが適合していることを特徴とする請求項27又は36の容器。
【請求項51】
膜に充填用口部の面積の約50%を超える大きさの開口を生じるのに柔軟なセグメントが適合していることを特徴とする請求項50の容器。
【請求項52】
膜に充填用口部の面積の約90%を超える大きさの開口を生じるのに柔軟なセグメントが適合していることを特徴とする請求項51の容器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側、充填用口部及びその充填用口部の上にはめた膜を有する容器を無菌的に充填する方法で、その膜が実質的に蒸気を浸透できない第一の状態及びその膜が長い部材を容器に挿入できるように動かされた第二の状態に配置されるように膜が構成されていること、
膜を第二の状態に配置するように膜を構成することにより、滅菌用蒸気により容器の内側を充填すること、
第一の状態に配置するように膜を構成することにより、容器の内側を滅菌するのに十分な時間量だけ容器の内側に滅菌用蒸気を保持すること、
滅菌用蒸気の一部を取出すこと、
製品を容器に充填すること、
製品を含む容器の充填用口部にキャップを装着すること、
のステップから成り、かつ、その方法の全てステップの間、充填用口部の上に膜が置かれていることを特徴とする方法。
【請求項2】
さらに、製品の質に影響するのを避けるため、容器に製品を充填する前に有意な量の滅菌用蒸気が容器から排出できるようにするステップを含み、その場合、その滅菌用蒸気が容器を出て、その製品と接触する充填装置の一部を実質的に滅菌する請求項1の方法。
【請求項3】
膜材料が、シリコンゴム、天然ゴム、ブタジエン、ニトリル、スルフォン系、イソプレン、ポリウレタン、バイトンから成るグループから選ばれた弾性体であることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項4】
充填ステップの間に充填用口部の面積の約10%より大きく膜が開口することを特徴とする請求項1の方法。
【請求項5】
さらに、膜のセグメントと容器の内側との間の隙間を無くすことにより滅菌用蒸気の排出を加速するために、膜のセグメントを容器の内壁に密に押すステップを含むことを特徴とする請求項2の方法。
【請求項6】
さらに、膜を流体で濡らすステップを含み、その場合、濡れた膜が汚染物の侵入を防止する高い能力を有していることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項7】
その流体が滅菌剤及び流体の粘度を高める増粘剤を含むことを特徴とする請求項6の方法。
【請求項8】
さらに、容器を加熱するステップを含み、その場合、加熱が容器内のガスの内圧を高め、容器への汚染物侵入防止機能を高めることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項9】
無菌的に充填するのに適合した在来の非無菌充填設備を用いて、その方法が行なわれることを特徴とする請求項1の方法。
【請求項10】
非無菌充填設備の操業時間の一部を無菌的充填に使用することを特徴とする請求項9の方法。
【請求項11】
さらに、キャップ装着ステップの前に膜の外面を滅菌するステップが含まれる請求項1の方法。
【請求項12】
さらに、充填すべき製品と接触する充填装置の部分を、充填操作と充填操作の間に、塩素入り水を散布することにより、紫外線照射により、滅菌用蒸気で包むことにより、又は、その組合わせにより滅菌するステップを含む請求項1の方法。
【請求項13】
充填用口部を有する容器を無菌的に充填するためのシステムで、
容器の充填用口部の上の膜、
容器の内側を滅菌用蒸気で充填するための手段、
容器の内側接触部分及び膜を滅菌するのに十分な時間だけ容器内に滅菌用蒸気を保持する膜、
膜を除去しないで容器に製品を充填するための充填装置、その滅菌用蒸気は容器の充填前に膜を通して容器から放出されること、その滅菌用蒸気が製品に接触する充填装置の部分を滅菌すること、
膜を除去しないで容器にキャップを装着するためのキャップ装着機構
から成るシステム。
【請求項14】
膜が、シリコンゴム、天然ゴム、ブタジエン、ニトリル、スルフォン系、イソプレン、ポリウレタン、バイトンから成るグループから選ばれた弾性体であることを特徴とする請求項13のシステム。
【請求項15】
バネ付き挿入材が充填装置上の在来の密封材料を置換え、かつ、充填機械の部分を挿入中に充填用口部に置かれた膜を保持することを特徴とする請求項13のシステム。
【請求項16】
膜が口部の面積の約10%より大きく開口することを特徴とする請求項13のシステム。
【請求項17】
バネ付き挿入材が膜と関連して蒸気の密封をすることを特徴とする請求項15のシステム。
【請求項18】
さらに、充填装置へ、又、充填装置からのコンベヤ及び充填のための手段を含み、かつ、そのコンベヤが、容器の外面を滅菌するための滅菌用蒸気を囲っているカバーに部分的又は全面的にはめ込まれていることを特徴とする請求項15のシステム。
【請求項19】
滅菌用蒸気が充填装置の漏出弁を通して排出されることを特徴とする請求項15のシステム。
【請求項20】
非滅菌充填ラインを滅菌充填ラインとするのに適合させる方法で、
容器の充填用口部に隣接して膜を配置すること、その膜が実質的に蒸気を浸透できなくする第一の状態及びその膜が長い部材を容器に挿入できるように動かされる第二の状態に配置されるように膜が構成されていること、
滅菌用媒体送出部材を設けること、第二の状態に配置するように膜を構成することにより、滅菌用媒体を容器の内側に充填するように、その滅菌用媒体送出部材を構成すること、
第一の状態に配置するように膜を構成し、それにより、その滅菌用媒体を実質的に容器内に保持すること、
膜の表面の部分に対して実質的に密封されるように充填弁を構成すること、
充填弁の構成は、膜を第二の状態に配置できる構成で、滅菌用媒体を容器から排出できること、及び、容器に製品を充填できること、
第二の弁を設けること、その第二の弁が容器から滅菌用媒体が流れるような構成になっていること、
からなる方法。
【請求項21】
滅菌用媒体が充填弁の少なくとも部分を通過して、それにより、充填弁の少なくとも部分を実質的に滅菌することを特徴とする請求項20の方法。
【請求項22】
容器に滅菌用媒体を充填するステップが充填ラインの実質的に囲まれた部分の中で行なわれることを特徴とする請求項21の方法。
【請求項23】
膜の表面の部分で実質的に密封をするように充填弁を構成するステップには面付き部材を充填弁に取付けて、その面付き部材が膜の一部と密封部を形成するように構成されたことを特徴とする請求項20の方法。
【請求項24】
充填弁に面付き部材を取付けるステップには充填弁にバネ付き面部材を取付けることが含まれることを特徴とする請求項23の方法。
【請求項25】
第二の弁を設けるステップには容器から滅菌用媒体が流れるように構成するため漏出弁を設けることが含まれている請求項20の方法。
【請求項26】
滅菌用媒体が瓶を出られるため、又、瓶に充填できるため膜を動かすように充填弁を構成するステップには、カラー部材を設けることが含まれ、そのカラー部材が第一の状態から膜の少なくとも部分を動かすように構成されていることを特徴とする請求項20の方法。
【請求項27】
さらに、
容器を充填位置から非無菌環境のキャップ装着位置に運ぶこと、その容器のキャップ装着の前でその容器を運ぶ間に容器の内容物が微生物汚染を実質的に生じないこと、
からなる請求項20の方法。
【請求項28】
さらに、
容器に滅菌用媒体を充填する位置から充填位置に容器を運ぶこと、その容器が運ばれている間はその容器の内部の滅菌用媒体で容器が実質的に密封されていること、
から成る請求項20の方法。
【請求項29】
さらに、
以下の滅菌工程の少なくともひとつを用いて充填弁を滅菌すること:充填弁に紫外線照射を加えること、充填弁に蒸気を加えること、充填弁を高温水で洗浄すること、殺菌剤を含む浴中で充填弁を洗浄すること、
から成る請求項21の方法。
【請求項30】
さらに、
カバーを設けること、そのカバーにより滅菌用媒体が充填弁の周囲を流れるように構成していること、
から成る請求項21の方法。
【請求項31】
さらに、
膜の上にキャップを配置すること、それにより、キャップが膜上に配置された後で、その膜がキャップと一体になること、
から成る請求項21の方法。
【請求項32】
さらに、
容器に滅菌用媒体を充填する位置から充填位置に容器を運ぶこと、その容器が運ばれている間はその容器の内部が滅菌用媒体で容器が実質的に密封されていること、
から成る請求項1の方法。
【請求項33】
容器が滅菌用蒸気で充填される位置と充填位置の間で容器が運ばれるとき、その滅菌用蒸気が容器内部に保持されることを特徴とする請求項13の方法。

【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【公表番号】特表2006−518317(P2006−518317A)
【公表日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−503651(P2006−503651)
【出願日】平成16年2月18日(2004.2.18)
【国際出願番号】PCT/US2004/004688
【国際公開番号】WO2004/074162
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【出願人】(391026058)ザ・コカ−コーラ・カンパニー (238)
【氏名又は名称原語表記】THE COCA−COLA COMPANY
【Fターム(参考)】