説明

液量計部付タンク

【課題】量産性が高く、高いシール性も確保でき、このシール性にもバラツキが生じにくい構成となる画期的な液量計部付タンクを提供すること。
【解決手段】透明な閉塞本体部6は硬質な透明樹脂パッキン部7はそれより軟質なパッキン材として夫々異なる材料でこの透明な閉塞本体部6とパッキン部7とを一体成形して前記透明閉塞部材3を形成し、この透明閉塞部材3のパッキン部7をタンク本体1の窓開口部2の周辺部に弾圧当接してこの透明閉塞部材3を取付固定する際のリベットやビス等の締付固定手段8を挿通する挿通孔部9もパッキン材で前記透明な閉塞本体部6の周辺部に一体成形した液量計部付タンク。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば石油ストーブや石油ファンヒータ等の石油燃焼機器に灯油を供給するカートリッジタンク等に用いる液量計部付タンクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
タンク本体に窓開口部を設け、この窓開口部を透明閉塞部材で気密閉塞し、タンク本体内の液面をこの窓開口部より透明閉塞部材を介して視認するように構成した液量計を備えた液量計付タンクが、石油燃焼機器の灯油を供給するカートリッジタンク等に多用されている。
【0003】
例えば、この液量計はタンク注入口を上部としたときのタンク本体正面上部に設けられるもので、このタンク本体正面上部に設ける窓開口部を閉塞する透明閉塞部材の透過視認部分は、硬質な透明樹脂で形成し、そのタンク側内面に反射用凹凸面を形成して内側に灯油が無い時は乱反射して明るく見え、内側に灯油が有る時は光は内部へ透過し易く暗く見えるように構成して、液面位置が視認し易く、また、満タンでない時は明るく、満タン時は暗く見えることから、液面が上昇して満タンとなったかどうかがわかり易いプリズム部としている。
【0004】
また、特にこのように灯油を収納する石油燃焼機器のカートリッジタンクとして使用する場合、この窓開口部からの灯油漏れは完全に防止しなければならないため、高い気密性(シール性)が要求される。
【0005】
そのため、例えば液量計(油量計)は、図25〜図29に示すように窓開口部52を塞ぐ透明樹脂製の前記プリズム部56の周囲に、窓開口部52の周辺のタンク本体51外面に弾圧当接してシールするパッキン部57を設けて前記透明閉塞部材53を構成し、このパッキン部57をタンク本体51外面に当接してこの透明閉塞部材53を皿状カバー部材61で押え、例えばタンク本体51内面に当てる座板62とタンク本体51と透明閉塞部材53と皿状カバー部材61に設けた挿通孔部59にリベット58を通しかしめて締め付け、このパッキン部57を弾圧当接して透明閉塞部材53を止着固定することで気密性(シール性)を高めている。
【0006】
即ち、従来の液量計、特に灯油を収容する石油燃焼機器のカートリッジタンクに設ける油量計においては、高い気密性が要求されるため、透明樹脂製の硬質なプリズム部56の周囲に軟質なパッキン材で形成したパッキン部57を設けて構成した透明閉塞部材53を押え具(皿状カバー部材61)でタンク本体51内面の座板62と共にタンク本体51外面の窓開口部52周辺にリベット58等で締め付け止着固定してパッキン部57のタンク本体51外面への弾圧当接によってシールしている。
【0007】
従来この透明閉塞部材53は、前述のように硬質な透明樹脂で形成したプリズム部56(透明な閉塞本体部56)と、軟質なパッキン材で形成したパッキン部57とは別部材で、別々に成形したこれらを組み付け一体化している。
【0008】
即ち、シール性が低下しないように、ドーナツ形に形成したパッキン部57の内周縁に組み付け嵌合用溝(凹部)を形成しておき、この嵌合用溝(凹部)に別パーツの透明樹脂製のプリズム部56の外周縁全周を差し込み嵌合してシール性良く両者(二つのパーツ)を組み付け一体化し、この外周のパッキン部57に設けた挿通孔部59と押え金具(皿状カバー部材61)に設けた挿通孔部59と窓開口部52の周辺のタンク本体51の挿通孔部59とタンク本体51の内側の座板62の挿通孔部59とを連通配置してリベット58等を挿通してかしめてパッキン部57を締め付け弾圧当接してシール性良く止着固定している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、従来のこのような構造の液量計は、透明樹脂製のプリズム部とパッキン部とは別部材であり、この二部材を夫々成形した後一方のパッキン部の中央開口部に他方のプリズム部を配すると共に外周縁をこの中央開口部の内縁に形成した凹部に挟み込んで組み付けなければならず、非常に作業に手間がかかるだけでなく、この組み付け作業によるバラツキによりシール性にバラツキが生じてしまうおそれがある。
【0010】
従って、部品コストだけでなく製造コストもアップし、量産性に劣るだけでなく、シール性にもバラツキを生じ、高いシール性が要求されればされる程、このコストや量産性が低下し、組み付けも容易でなくまた一層シール性にバラツキが生じる構造であった。
【0011】
本発明は、このような問題点を見い出し、これを解決したもので、部品点数を減らし、組み付け作業を著しく容易にして量産性が高まりコスト低下も可能な構成とすると共に、高いシール性も確保でき、このシール性にもバラツキが生じにくい構成となる画期的な液量計部付タンクを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0013】
タンク本体1に設けた窓開口部2を透明閉塞部材3で気密閉塞して、前記タンク本体1内の液面4を視認し得るように構成した液量計部5を備えた液量計部付タンクであって、前記窓開口部2を覆う透明な閉塞本体部6とこの窓開口部2の周辺部に当接するパッキン部7とで前記透明閉塞部材3を構成すると共に、前記透明な閉塞本体部6は硬質な透明材前記パッキン部7はそれより軟質なパッキン材として夫々異なる材料でこの透明な閉塞本体部6とパッキン部7とを一体成形して前記透明閉塞部材3を形成し、この透明閉塞部材3のパッキン部7を前記窓開口部2の周辺部に当接してこの透明閉塞部材3を取付固定する際のリベットやビス等の締付固定手段8を挿通する挿通孔部9も前記パッキン部7と同じ軟質なパッキン材で硬質な前記透明な閉塞本体部6の周辺部に一体成形したことを特徴とする液量計部付タンクに係るものである。
【0014】
また、前記透明閉塞部材3は、前記透明な閉塞本体部6の周辺部ではこの透明な閉塞本体部6を上層とし、前記パッキン部7を前記窓開口部2の周辺部に当接する下層とした上下二層構成とし、この透明閉塞部材3の周辺部の下層のパッキン部7と連設状態にして前記上層の透明な閉塞本体部6の周辺部に介在状態にこのパッキン部7と同じ前記パッキン材によって前記挿通孔部9を複数一体成形した構成としたことを特徴とする請求項1記載の液量計部付タンクに係るものである。
【0015】
また、前記透明閉塞部材3は、前記透明な閉塞本体部6の周辺部下面に環状に連続して所定厚の前記パッキン部7を一体成形した構成とし、前記透明な閉塞本体部6の周辺部複数箇所に、この透明な閉塞本体部6及びこの透明な閉塞本体部6の下層の前記パッキン部7を貫通する前記挿通孔部9を、このパッキン部7と同じ前記パッキン材によりパッキン部7と連設状態にして立設状態にパッキン部7と共に一体成形した構成としたことを特徴とする請求項2記載の液量計部付タンクに係るものである。
【0016】
また、前記パッキン部7は、前記透明な閉塞本体部6の周辺部下面及びこの透明な閉塞本体部6の肉厚側面にも被覆形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液量計部付タンクに係るものである。
【0017】
また、前記透明な閉塞本体部6の肉厚側面を被覆したパッキン部7の側面被覆部14に、この透明な閉塞本体部6の上面部より突出した突出部10若しくは前記透明な閉塞本体部6の周辺部上縁角部を被覆した突出部を一体成形したことを特徴とする請求項4記載の液量計部付タンクに係るものである。
【0018】
また、前記透明閉塞部材3は、前記透明な閉塞本体部6と前記パッキン部7との一体成形接合面に凹凸部を形成して凹凸接合した構成としたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の液量計部付タンクに係るものである。
【0019】
また、前記透明閉塞部材3に外側から嵌合するこの透明閉塞部材3より浅い凹部を有する皿状カバー部材11を、前記透明閉塞部材3に外側から嵌合して前記締付固定手段8により透明閉塞部材3と共に前記窓開口部2周辺部に締付固定したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の液量計部付タンクに係るものである。
【0020】
また、前記透明な閉塞本体部6と前記パッキン部7とから成る前記透明閉塞部材3は、二材成形若しくはインサート成形によって一体成形し、前記透明な閉塞本体部6は透過性及び耐熱性に秀れた透明硬質樹脂により形成するプリズム部とし、前記パッキン部7は柔軟性及び耐熱性に秀れた軟質樹脂により形成する締付弾圧当接シール部としたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の液量計部付タンクに係るものである。
【0021】
また、石油燃焼機器に着脱自在に装着する灯油を収納するカートリッジタンクとして構成し、前記パッキン部7をガソリン若しくは酸化灯油と接触した際に反応して変色するパッキン材で構成したことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の液量計部付タンクに係るものである。
【発明の効果】
【0022】
本発明は上述のように構成したから、部品点数を減らし、組み付け作業を著しく容易にして量産性が高まりコスト低下も可能な構成とすると共に、高いシール性も確保でき、このシール性にもバラツキが生じにくい構成となる画期的な液量計部付タンクとなる。
【0023】
即ち、本発明は、別材ゆえに別パーツとして成形しシール性向上のため厄介な組み付け作業を要していたパッキン部を一体成形し、しかもこのパッキン部と共に同じパッキン材で透明な閉塞本体部に設ける挿通孔部をも一体成形した構成のため、かしめ止めるリベット等の締付固定手段も挿通孔部にシール性良く挿通止着できるから、シール性にバラツキが生じる要素がほとんどなく高いシール性が確保でき、安価で量産性にも秀れた構成で且つ容易に高いシール性が得られる画期的な液量計部付タンクとなる。
【0024】
また、請求項2記載の発明においては、前記必要となる数箇所に挿通孔部をパッキン部と連設状態にして透明な閉塞本体部に介在状態に一体成形した構成のため、透明閉塞部材の強度を十分に確保しつつ各締付固定手段でのシール性もバラツキなく確保でき、不必要にコストを上げることなく量産性に秀れ且つ高いシール性を有する一層秀れた画期的な液量計部付タンクとなる。
【0025】
また、更に請求項3記載の発明においては、一層本発明の作用・効果が良好に発揮される一層実用性に秀れた極めて画期的な液量計部付タンクとなる。
【0026】
また、請求項4記載の発明においては、透明閉塞部材の強度が向上し、特に請求項5記載の発明においては、透明閉塞部材に皿状カバー部材をかぶせて止着固定する場合もカバーとの接触面がパッキン材となり締め付け易く割れにくいなど透明閉塞部材の強度が向上し、例えば皿状カバー部材が多少ズレた状態でも強く締め付け固定でき、割れにくく万一割れてもシール性が確保され、また、この皿状カバー部材がない場合も側面あるいは側面及び角縁が保護されるから透明閉塞部材の強度が向上し、それだけシール性が向上する一層秀れた液量計部付タンクとなる。
【0027】
また、請求項6記載の発明においては、透明な閉塞本体部とパッキン部とを一体成形することでシール性が高く量産性に秀れるが、この透明な閉塞本体部とパッキン部とが凹凸接合することで一層剥離しにくく透明閉塞部材の強度も一層向上する秀れた液量計部付タンクとなる。
【0028】
また、請求項7,8記載の発明においては、本発明を一層容易に実現でき、一層良好に本発明の作用・効果が発揮される一層に秀れた液量計部付タンクとなる。
【0029】
また、請求項9記載の発明においては、高いシール性が要求されるため一層実用性に秀れると共に、ガソリンや酸化灯油に接触することで変色することからこのような使用を未然防止できる安全性に秀れた一層画期的な液量計部付タンクとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0031】
従来異種材で別々に成形し、シール性を低下させないため例えばドーナツ状のパッキン部の中央開口部内縁に形成した凹部にプリズム部の外周縁を挟み込み嵌合して組み付けていた透明閉塞部材3を二材成形やインサート成形を用いて一体成形する。
【0032】
即ち、本発明は、窓開口部2を塞ぐ硬質な透明樹脂で成形する透明な閉塞本体部6(例えばプリズム部6)を単にタンク本体1の窓開口部2に止着したのでは十分なシール性が確保されないので、この透明な閉塞本体部6の周囲に窓開口部2の周辺のタンク本体1外面に弾圧当接する当接面として柔軟なパッキン材(例えばウレタン系熱可塑性エラストマー等のゴム状弾性材)で形成したパッキン部7を設けるが、これを例えば二材成形等によって一体成形して二種材の透明閉塞部材3を一体成形する。
【0033】
透明閉塞部材3をこのように二材一体成形した構成とすることによって窓開口部2をシール性高く気密閉塞できると共に、部品点数も組立工程数も減らせて量産性に秀れ、従来のように厄介な組み付け工程も不要となるためシール性のバラツキも生じない。
【0034】
しかも、その透明な閉塞本体部6とパッキン部7とを一体成形すると共に、この透明閉塞部材3を窓開口部2に締め付け固定して透明な閉塞本体部6で窓開口部2を塞ぎパッキン部7を窓開口部2の周辺に弾圧当接させて止着固定する際のリベット等の締付固定手段8を挿通する挿通孔部9をも、このパッキン部7と同じパッキン材によってパッキン部7と共に透明な閉塞本体部6に対して一体成形する構成としている。
【0035】
具体的には、例えばリベット8などの締付固定手段8を挿通する孔形成部分と、これをかしめることで皿状カバー部材11あるいはこの締付固定手段8の頭部がかしめ密着する孔形成部の上面の孔周辺上面と下面の孔周辺下面(この下面はパッキン部7と連設状態となる場合あり)とから成る挿通孔部9をパッキン材で形成する。
【0036】
そのため、例えばリベット8をかしめると皿状カバー部材11あるいはリベット8の頭部もパッキン材に締め付け弾圧当接するため、シール性が向上する。
【0037】
即ち、かしめ止めるリベット8等の締付固定手段8や皿状カバー部材11も挿通孔部9にシール性良く挿通止着できるから、シール性にバラツキが生じる要素がほとんどなく高いシール性が一体成形によって簡易に確保でき、安価で量産性にも秀れた構成で且つ容易に高いシール性が得られる画期的な液量計部付タンクを提供できることとなる。
【実施例】
【0038】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0039】
本実施例は、石油燃焼機器に着脱自在に装着する灯油を収納する金属製のカートリッジタンクに適用した実施例であり、このカートリッジタンクのタンク本体1の正面上部に設けた窓開口部2(油量計窓)を透明閉塞部材3で気密閉塞して、前記タンク本体1内の液面4を視認し得るように構成した液量計部5を備えた液量計部付タンクとしている。
【0040】
この透明閉塞部材3は、この窓開口部2を覆う透明な閉塞本体部6とこの窓開口部2の周辺部のタンク本体1外面に当接するパッキン部7とで構成するが、透明な閉塞本体部6は例えばポリカーボネイト等の透明樹脂前記パッキン部7はそれより軟質な例えばポリウレタン系熱可塑性エアストマー等のパッキン材(ゴム状弾性材)として夫々異なる材料でこの透明な閉塞本体部6とパッキン部7とを二材成形あるいはインサート成形によって一体成形して形成している。
【0041】
即ち、本実施例では、例えば二材成形によって一体成形し、前記透明な閉塞本体部6は透過性及び耐熱性に秀れた透明硬質樹脂により形成し、且つ従来通り内側面に反射用凹凸面を形成して前記液面4を視認し易いものとしたプリズム部とし、前記パッキン部7は柔軟性及び耐熱性に秀れた軟質樹脂(パッキン材)により形成する締付弾圧当接シール部としている。
【0042】
更に本実施例では、この透明な閉塞本体部6の周辺部ではこの透明な閉塞本体部6を上層とし、前記パッキン部7を前記窓開口部2の周辺部に当接する下層とした上下二層構成としている。即ち、透明閉塞部材3の周辺部を上から下まで全てパッキン材で形成したパッキン部7とはせず、不必要にコストをかけることなくコスト高となるパッキン部7は弾圧当接させるタンク本体1と接触してシール性を確保するに十分な範囲に留めた構成としている。
【0043】
そしてまた、この透明閉塞部材3のパッキン部7を前記窓開口部2の周辺部に当接してこの透明閉塞部材3を取付固定する際のリベットやビス等の締付固定手段8を挿通する挿通孔部9も前記パッキン部7と同じ軟質なパッキン材で硬質な前記透明な閉塞本体部6の周辺部に一体成形している。
【0044】
更に本実施例では、下層のパッキン部7と連設状態にして前記上層の透明な閉塞本体部6の周辺部に介在状態にこのパッキン部7と同じ前記パッキン材によって前記挿通孔部9を複数一体成形した構成としている。即ち、この挿通孔部9も必要な箇所の周辺方向に間隔を置いて数箇所だけ散在状態に形成している。
【0045】
具体的には、例えばリベット8などの締付固定手段8を挿通する孔形成部分と、これをかしめることで皿状カバー部材11あるいはこの締付固定手段8の頭部がかしめ密着する孔形成部の上面の孔周辺上面(下面は本実施例では前述のようにパッキン部7と一体連設している)とから成る挿通孔部9をパッキン材で形成する。
【0046】
従って、パッキン部7から上面まで貫通状態に挿通孔部9がパッキン材で形成され、透明な閉塞本体部6の上面数箇所がこの挿通孔部9によりパッキン材で形成されている。
【0047】
従って、例えばリベット8をかしめると挿通孔部9は挿通孔内面に密着すると共に、後述する皿状カバー部材11あるいはこのリベット8の頭部も上面のパッキン材で形成された孔形成部分上面の孔周辺上面に締め付け密着し、シール性が一層向上する。
【0048】
例えば、リベット8を挿通した挿通孔部9の孔内面への密着が不十分でもこれをかしめるとこのように孔周辺上面に皿状カバー部材11あるいは後述する実施例のように皿状カバー部材11なしに直接かしめ止める場合はリベット8頭部が密着することとなる。
【0049】
本実施例では、皿状カバー部材11をかしめ密着させるためこれが良好となるように挿通孔部9の孔周辺上面に立ち上がり段差突出部15を形成し、この密着、即ちかしめ時の皿状カバー部材11の弾圧当接が強固にして確実となるようにしている。尚、後述する実施例のように皿状カバー部材11を用いずに直接かしめ止める場合はリベット8の頭部がかしめ密着するためこの段差突出部15はなくても十分な弾圧当接は得られる。
【0050】
いずれにしても孔周辺上面までパッキン材で形成して挿通孔部9を形成する方がシール性は向上し、しかもこの上面においても弾圧当接できるため一層シール性が向上する。
【0051】
更に具体的に説明すると、本実施例では、前記透明な閉塞本体部6の周辺部下面に環状に連続して所定厚の前記パッキン部7を一体成形した構成とし、更にこのパッキン部7の下面は平坦面でなく、この表面には環状に突条13を形成し、締め付け弾圧当接時にこの突条13が確実に押し潰れて確実に全周で弾圧当接して全周にてシールするように構成しシール性を高めている。また、パッキン部7の挿通孔部9の孔周辺下面にもこれを囲むように突条あるいは突出孔縁16をわずかに形成している。
【0052】
即ち、本実施例では、この透明な閉塞本体部6の周辺部複数箇所に、この透明な閉塞本体部6及びこの透明な閉塞本体部6の下層の前記パッキン部7を貫通する前記挿通孔部9を、このパッキン部7と同じ前記パッキン材によりパッキン部7と連設状態にして立設状態にパッキン部7と共に一体成形している。
【0053】
これにより不必要な範囲にまでパッキン部7や挿通孔部9を形成することなく、この必要な位置だけに設けたパッキン部7と挿通孔部9とによりシール性の高い透明閉塞部材3を一体成形でき、コストアップとならずに組み付け容易で量産性に秀れ且つシール性の高い液量計部5を実現している。
【0054】
また、本実施例では、前記透明な閉塞本体部6と前記パッキン部7との一体成形接合面に凹凸部を形成して凹凸接合した構成とし、剥離強度を高めている。
【0055】
更に説明すると、本実施例では、従来通り前記透明閉塞部材3に外側から嵌合するこの透明閉塞部材3より浅い凹部を有する皿状カバー部材11を、前記透明閉塞部材3に外側から嵌合して前記締付固定手段8により透明閉塞部材3と共に前記窓開口部2周辺部に締付固定し、透明閉塞部材3の面強度を高めつつこれを保護カバーしている。
【0056】
即ち、本実施例では、硬質な透明樹脂で形成した透明な閉塞本体部6の四箇所にその下面の前記パッキン部7と同じパッキン材で挿通孔部9を前述のように上面まで形成し、この挿通孔部9に例えば締付固定手段8としてリベット8を挿入してかしめるが、このリベット8と同径あるいはやや径小の挿通孔部9として、これにリベット8を圧入しつつかしめ止めることによりパッキン部7がタンク本体1外面に弾圧当接すると共に、このリベット8も挿通孔部9に圧入弾圧当接し、更にこの挿通孔部9の孔周辺上面に形成した段差突出部15に皿状カバー部材11が弾圧当接し、下面ではパッキン部7の下面の挿通孔部9の突出孔縁16がタンク本体1外面に弾圧当接し一層シール性が高まるようにしている。
【0057】
また、前述のように従来通りこの透明閉塞部材3を保護すると共に、強くかしめ止められるように外側からは金属製の皿状カバー部材11をかぶせタンク本体1の内側には座板12を当がって、この皿状カバー部材11,透明閉塞部材3,タンク本体1,座板12に設けた挿通孔部9を連通配設し、リベット8を通してかしめて締め付け止着固定することで前述のように強固にシールするように構成している。
【0058】
また、図8〜図12に示す第二実施例では、前記第一実施例の構成に加えてパッキン部7を透明な閉塞本体部6の周辺部下面だけでなくこの透明な閉塞本体部6の肉厚側面(本実施例では全周側面)にも被覆形成している。
【0059】
そして更に透明な閉塞本体部6の肉厚側面を被覆したパッキン部7の側面被覆部14に、この透明な閉塞本体部6の上面部より突出した突出部10を形成している(図示していないが、前記透明な閉塞本体部6の周辺部上縁角部を被覆した突出部を一体成形しても良い。)。即ち、本実施例では、パッキン部7の側面高さを全周とも透明な閉塞本体部6の上縁より高くして全周に側面被覆部14を設けると共にこの上縁に突出部10を形成している。
【0060】
これにより透明閉塞部材3は保護されるため透明閉塞部材3の強度が向上し、透明閉塞部材3に皿状カバー部材11をかぶせて止着固定する場合も、この皿状カバー部材11との接触面がパッキン材となり締め付け易く割れにくく透明閉塞部材3の強度が向上し、例えばこの皿状カバー部材11が多少ズレた状態でも強く締め付け固定でき、割れにくく万一割れてもシール性が確保され、また、この皿状カバー部材11がない場合も全周側面あるいはこの側面及び角縁が保護されるから透明閉塞部材3の強度が向上し、それだけシール性が向上する。
【0061】
また、図13〜図18は透明閉塞部材3(透明な閉塞本体部6)自体の肉厚を厚くして強度を上げて皿状カバー部材11を用いないで透明閉塞部材3を直接固定する場合の第三実施例で、また図19〜図24は、図8〜図12の第二実施例の側面被覆部14・突出部10を設けた透明閉塞部材3を皿状カバー部材11を用いないで直接固定する場合の第四実施例を示している。特にこの第四実施例では皿状カバー部材11を用いないことで一層組み付けが容易で部品点数も少なく量産性に秀れると共に、皿状カバー部材11がなくても透明な閉塞本体部6の側面及び角縁が側面被覆部14や突出部10によって保護され、破損しにくくシール性が保持される。
【0062】
また、この第三実施例や第四実施例のように皿状カバー部材11を用いないことにより透明閉塞部材3が露出するが、外面から透明な閉塞本体部6を介してパッキン部7の色が視認されるために、パッキン部7の色や模様等の設定によって容易に透明閉塞部材3のデザイン性、即ち液量計部5のデザイン性を向上させることができる画期的な構成となる。
【0063】
従来のように皿状カバー部材11があったのではたとえこの金属に塗装してもデザイン性は向上しないが、パッキン材の選定によって容易に著しくデザイン性を向上させることができる。
【0064】
また、前記パッキン部7とガソリンや酸化灯油などの不良灯油と接触した際に反応して変色するパッキン材で構成すると良い。これにより灯油でなく、例えばガソリンや酸化灯油などを収納し石油燃焼機器へ供給使用する場合、例えばこのカートリッジタンクに給油時に、このパッキン材の色味の変化で直ちに視認でき未然にこの使用を防止できることになる。
【0065】
従って、本発明では、このように不良灯油感知センサーとしてパッキン部7を機能させることができ、このような機能を持たせることも極めて簡単に実現できる構成となる。
【0066】
また、本実施例では、パッキン部7のパッキン材は耐熱性に秀れたものが望ましく、過度の熱負荷を受けても(異常時においても)シール性が保持される。
【0067】
即ち、耐熱性の高いエラストマーを選定するだけで過度の熱負荷がかかる場合でもシール性が確保される。
【0068】
尚、本発明は、第一実施例〜第四実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】第一実施例の説明斜視図である。
【図2】第一実施例の要部の拡大説明斜視図である。
【図3】第一実施例の透明閉塞部材の表裏双方から見た斜視図である。
【図4】第一実施例の説明分解斜視図である。
【図5】第一実施例の透明閉塞部材の正面図である。
【図6】第一実施例のA−A線の説明側断面図である。
【図7】第一実施例のB−B線の組み付け時の説明側断面図である。
【図8】第二実施例の透明閉塞部材の表裏双方から見た斜視図である。
【図9】第二実施例の説明分解斜視図である。
【図10】第二実施例の透明閉塞部材の正面図である。
【図11】第二実施例のC−C線の説明側断面図である。
【図12】第二実施例のD−D線の組み付け時の説明側断面図である。
【図13】第三実施例の要部の拡大説明斜視図である。
【図14】第三実施例の透明閉塞部材の表裏双方から見た斜視図である。
【図15】第三実施例の説明分解斜視図である。
【図16】第三実施例の透明閉塞部材の正面図である。
【図17】第三実施例のE−E線の説明側断面図である。
【図18】第三実施例のF−F線の組み付け時の説明側断面図である。
【図19】第四実施例の要部の拡大説明斜視図である。
【図20】第四実施例の透明閉塞部材の表裏双方から見た斜視図である。
【図21】第四実施例の説明分解斜視図である。
【図22】第四実施例の透明閉塞部材の正面図である。
【図23】第四実施例のG−G線の説明側断面図である。
【図24】第四実施例のH−H線の組み付け時の説明側断面図である。
【図25】従来例のプリズム部の表裏双方から見た斜視図を含む透明閉塞部材の説明分解斜視図である。
【図26】従来例の説明分解斜視図である。
【図27】従来例の透明閉塞部材の正面図である。
【図28】従来例のI−I線の説明側断面図である。
【図29】従来例のJ−J線の組み付け時の説明側断面図である。
【符号の説明】
【0070】
1 タンク本体
2 窓開口部
3 透明閉塞部材
4 液面
5 液量計部
6 透明な閉塞本体部(プリズム部)
7 パッキン部
8 締付固定手段(リベット)
9 挿通孔部
10 突出部
11 皿状カバー部材
14 側面被覆部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンク本体に設けた窓開口部を透明閉塞部材で気密閉塞して、前記タンク本体内の液面を視認し得るように構成した液量計部を備えた液量計部付タンクであって、前記窓開口部を覆う透明な閉塞本体部とこの窓開口部の周辺部に当接するパッキン部とで前記透明閉塞部材を構成すると共に、前記透明な閉塞本体部は硬質な透明材前記パッキン部はそれより軟質なパッキン材として夫々異なる材料でこの透明な閉塞本体部とパッキン部とを一体成形して前記透明閉塞部材を形成し、この透明閉塞部材のパッキン部を前記窓開口部の周辺部に当接してこの透明閉塞部材を取付固定する際のリベットやビス等の締付固定手段を挿通する挿通孔部も前記パッキン部と同じ軟質なパッキン材で硬質な前記透明な閉塞本体部の周辺部に一体成形したことを特徴とする液量計部付タンク。
【請求項2】
前記透明閉塞部材は、前記透明な閉塞本体部の周辺部ではこの透明な閉塞本体部を上層とし、前記パッキン部を前記窓開口部の周辺部に当接する下層とした上下二層構成とし、この透明閉塞部材の周辺部の下層のパッキン部と連設状態にして前記上層の透明な閉塞本体部の周辺部に介在状態にこのパッキン部と同じ前記パッキン材によって前記挿通孔部を複数一体成形した構成としたことを特徴とする請求項1記載の液量計部付タンク。
【請求項3】
前記透明閉塞部材は、前記透明な閉塞本体部の周辺部下面に環状に連続して所定厚の前記パッキン部を一体成形した構成とし、前記透明な閉塞本体部の周辺部複数箇所に、この透明な閉塞本体部及びこの透明な閉塞本体部の下層の前記パッキン部を貫通する前記挿通孔部を、このパッキン部と同じ前記パッキン材によりパッキン部と連設状態にして立設状態にパッキン部と共に一体成形した構成としたことを特徴とする請求項2記載の液量計部付タンク。
【請求項4】
前記パッキン部は、前記透明な閉塞本体部の周辺部下面及びこの透明な閉塞本体部の肉厚側面にも被覆形成したことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液量計部付タンク。
【請求項5】
前記透明な閉塞本体部の肉厚側面を被覆したパッキン部の側面被覆部に、この透明な閉塞本体部の上面部より突出した突出部若しくは前記透明な閉塞本体部の周辺部上縁角部を被覆した突出部を一体成形したことを特徴とする請求項4記載の液量計部付タンク。
【請求項6】
前記透明閉塞部材は、前記透明な閉塞本体部と前記パッキン部との一体成形接合面に凹凸部を形成して凹凸接合した構成としたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の液量計部付タンク。
【請求項7】
前記透明閉塞部材に外側から嵌合するこの透明閉塞部材より浅い凹部を有する皿状カバー部材を、前記透明閉塞部材に外側から嵌合して前記締付固定手段により透明閉塞部材と共に前記窓開口部周辺部に締付固定したことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の液量計部付タンク。
【請求項8】
前記透明な閉塞本体部と前記パッキン部とから成る前記透明閉塞部材は、二材成形若しくはインサート成形によって一体成形し、前記透明な閉塞本体部は透過性及び耐熱性に秀れた透明硬質樹脂により形成するプリズム部とし、前記パッキン部は柔軟性及び耐熱性に秀れた軟質樹脂により形成する締付弾圧当接シール部としたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の液量計部付タンク。
【請求項9】
石油燃焼機器に着脱自在に装着する灯油を収納するカートリッジタンクとして構成し、前記パッキン部をガソリン若しくは酸化灯油と接触した際に反応して変色するパッキン材で構成したことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の液量計部付タンク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2009−47356(P2009−47356A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−213939(P2007−213939)
【出願日】平成19年8月20日(2007.8.20)
【出願人】(000109026)ダイニチ工業株式会社 (108)
【Fターム(参考)】