説明

深刻な虚血性脳卒中の間の塞栓除去に関する改良型デバイスおよび方法

デバイス、方法、およびシステムは、虚血性脳卒中の治療を促進し、可能にする。より具体的には、繋留バスケット状システムが、動脈支持を提供し、塞栓を捕捉するように、マイクロカテーテルシステムと連動して動作する。少なくとも非配備状態および配備状態を有する、メッシュ捕捉器/バスケットであって、メッシュ捕捉器は、非配備状態で神経脈管構造内へ挿入され、その配備状態で微小血管系から除去される、メッシュ捕捉器/バスケットを備え、メッシュ捕捉器は、塞栓より遠位でその配備状態に配備され、塞栓がメッシュ捕捉器内に実質的に含まれるまで近位に前進させられ、バスケットは、鎖骨下動脈および総頸動脈より上側に配備される、塞栓の除去のためのデバイスが開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、本譲受人によって、2007年12月19日に出願された出願第61/015,154号、2008年4月11日に出願された出願第61/044,392号、2008年5月30日に出願された出願第61/057,613号、2008年5月19日に出願された米国実用特許出願第12/123,390号、および2008年7月30日に出願された米国実用特許出願第12/182,370号のパリ条約優先権を主張し、これらは本明細書に参考として十分に援用される。本出願は、2007年10月17日に出願された米国仮特許出願第60/980,736号および2007年11月12日に出願された出願第60/987,384号を、本明細書に十分に明記するがのごとく、参考として十分に援用する。
【0002】
(本発明の分野)
本発明は、脈管構造で使用するための、低侵襲性でカテーテル送達型の塞栓捕捉デバイスに関し、特に、脳および血管系を灌流させる、脳および血管系の中での使用に適した塞栓捕捉デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
(本発明の背景)
いくつかの急性脳卒中療法研究が2007年に報告された。Interventional Management of Stroke(IMS)IIによると、急性脳卒中の発症の3時間以内に複合IV動脈内(IA:Intra−Arterial)組織型プラスミノーゲンアクチベータ療法が投与された後に、9.9%の症候性脳内出血が見られた。
【0004】
さらに、MERCIおよびMulti−MERCIの研究者からの結果には、急性の遠位ICAおよび近位の中大脳動脈閉塞の再疎通は、MERC1リトリーバ(Concentric Medical)単独または1V/IA血栓溶解薬との組み合わせで使用すると、53%から63%の患者において成功することができるが、再疎通したそれらの患者のうち6%が症候性出血を発症したと示している。
【0005】
MERCIによる回収に失敗する患者に対する別の方法としては、脆弱な血餅を圧縮し、血栓溶解剤をより浸透させるために、血管形成術または自己拡張型ステントを使用するものがある。少数の患者において、バルーンによる再疎通率は最大89%、ステントによる再疎通率は79%を達成している。
【0006】
ステントおよび頭蓋内血栓溶解を使用する、急性ICAならびにICA/中大脳動脈タンデム閉塞の侵襲性血管再生に関する報告は、再び少数の患者におけるこの方法の可能性が示されている。
【0007】
これら侵襲性の多様式介入を経験した患者の出血性合併症および最終的臨床転帰に対する予後因子を特定する試みは、残留遠位閉塞、タンデム閉塞、Alberta Stroke Progran Early CT Score(ASPECTS)スコアによるより大きな初期事前治療CT梗塞サイズ、高血糖症、ならびにIAおよびIV血栓溶解薬両方の使用全てが、否定的な結果と関連があると示されている。新規の機械的血管再生戦略では、IA血栓溶解薬またはMERCIデバイスに対して抵抗性であることもある血管を開くために、圧縮されたマイクロバルーンカテーテルおよびAlligator回収デバイス(Chestnut Medical Thchnologies)を使用した。
【0008】
閉細胞設計のEnterprise(Cordis Neurovascular, Inc.)、電気着脱式の完全回収可能なSolo(eV3 Neurovascular)、および被覆されたバルーン拡張式Willis(Microport)など、管口径の広い動脈瘤のコイリングを補助するために使用されている、新しいステントがある。著しい局所的狭窄の発達が、最大5.8%のステント補助事例に見られる問題が残る。新規方法は、流れをそらすために、被覆度の高い腔内メッシュを使用するものであり、そうして動脈瘤血栓を誘導する。パイプライン神経血管内デバイス(Pipeline Neuroendovascular Device(Chestnut Medical Technologies))は、領域ごとにおよそ30%のカバー率を備える、2種類の金属から成る管状の移植片である。人間での予備実験は有望である。
【0009】
免疫組織学的および分子生物学的データは、将来、生物学的に活性な血管内デバイスの開発に使用することできると期待されている。成育可能で遊走可能な線維芽細胞をコイル上に沈着させ、マイクロカテーテルを介する線維芽細胞の通過に成功するための新規方法は、有望な血管内介入技術であるかもしれない。
【0010】
急性脳卒中の動脈内(IA:Intra−Arterial)療法は、過去10年間に進化している。66%の再疎通率を示した1 PROACT 11の有望な結果にもかかわらず、IA薬理学的血栓溶解による実質的により高い再疎通率は、過去7年間で実現されていない。食品医薬品局は最近、血餅回収デバイス(MerciリトリーバX5、X6;Concentric Medical、カリフォニア州マウンテンビュー)を承認した。残念ながら、単独で使用すると、血餅リトリーバでの成功はおよそ50%でしかなく、再疎通を成功させるためには、このデバイスで複数回通過することがしばしば必要とされる。同時に投与されるIA血栓溶解薬によって、本デバイスによる処置の成功は高まるが、再灌流する梗塞の出血性変化の危険性が増大する場合がある。困難な閉塞を機械的に血栓溶解するのに使用される冠動脈ステント移植に関する報告がいくつか出されている。近年の報告では、バルーン取り付け型、または自己拡張型冠動脈ステントでのステント留置は、頭蓋内外両方の脳血管閉塞の再疎通に対する独立予測因子であると見られていた。近年の別のレポートでは、バルーン取り付け型ステント技術を使用して、79%の再疎通率が達成された。
【0011】
具体的には脳血管系向けに設計された自己拡張型ステントは、バルーン取り付け型冠動脈ステントよりも著しく低い圧力で配備されるため、成功率95%越えおよび増大した送達性の安全性プロフィールにより、頭蓋内狭窄の目標領域へ送達され得る。急性症候性頭蓋内閉塞の状況における、自己拡張型ステントの使用に関する事例報告も出されている。加えて、急性塞栓性閉塞の動物モデルにおける自己拡張型およびバルーン取り付け型ステントの近年の比較では、2つのステント群に再疎通率の点で差異は見られなかった。
【0012】
この遡及的多施設シリーズは、大中血管の症候性頭蓋内閉塞の状況において、自己拡張型ステントの使用が可能であることを示している。第一の機械的治療または「最後の手段の」手技としてのステント留置により、ステントが留置された病変のうちの79%で、TIMI/TICI2または3血管再生に成功した。この遡及的検討は、単一の大血管または中血管に限定される局所閉塞、特にMCAまたはVBSの孤立性閉塞は、選択的にステント留置を受け入れることができる場合があり、それゆえ、臨床医が再疎通率の向上を達成する助けができることを示唆している。加えて、性別が自己拡張型ステント移植の成功において役割を果たす場合がある。すなわち、TIMI/TICI2または3フローは、研究対象となった女性患者全てについて文書化され、女性患者はNIHSSおよびmRSスコアによって測定される通り、臨床転帰の改善を達成する可能性がより高い。最も重要なことだが、予備経験は、ステント留置から臨床上最大限の利点を引き出す可能性が最も高くなるように、臨床医が患者をより満足させる助けとなる可能性のある、将来の中心的研究へとつながる場合もある。
【0013】
その他の機械的手段の使用が、急性閉塞の再疎通において効果的であると報告されている。MERCI研究では、全体再疎通率(TIMI/TICI2または3フロー)48%が、Merciの機械的血餅リトリーバで達成された。
【0014】
数人の著者は、抗凝固が新規の虚血性事象を防止するのに失敗した際には、高悪性度の狭窄または閉塞を備えるICA解離に対して、ステント配備による血管内治療を提案している。これらの場合、MCAは開存していた。
【0015】
ステント補助血管内血栓溶解血栓除去は、IV rtPA血栓溶解に勝るとも劣らないことが分かった。
【0016】
このより高いMCA再疎通率は、頸動脈流の修復によって説明することが可能であり、MCA血栓へと直接アクセスできる。
【0017】
血管内治療により、潜在的には治療濃度域を3時間以上延長することが可能である。実際のところ、血管内群の場合全てで、291分でMCA再疎通が行われた。
【0018】
これらの有望な予備結果はあるものの、手順に関する潜在的な欠点は考慮されなくてはならない。一過性脳虚血発作、虚血性脳卒中、大腿または頸動脈解離などの急性合併症および死亡が報告されている。動脈症のその他の場合のステント挿入の際に、頸動脈解離の血管内治療のその他潜在的危険が観察され得る。一連の研究では、塞栓性脳卒中1回および急性ステント内血栓症1回が、同一の患者に起こった。この新規梗塞にも関わらず、おそらくMCAが開存したままであったため、この患者には著しい神経学的改善が観察された。後発型ステント血栓症も報告されている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0019】
(本発明の概要)
デバイス、方法、およびシステムは、虚血性または出血性脳卒中の治療を促進し、可能にする。より具体的には、繋留バスケット状システムが、動脈支持を提供し、塞栓を捕捉するように、マイクロカテーテルシステムと連動して動作する。
【0020】
本発明の特徴に従い、少なくとも非配備状態および配備状態を有する、メッシュ捕捉器/バスケットであって、メッシュ捕捉器は、非配備状態で神経脈管構造内へ挿入され、その配備状態で微小血管系から除去される、メッシュ捕捉器/バスケットを備え、メッシュ捕捉器は、塞栓より遠位でその配備状態に配備され、塞栓がメッシュ捕捉器内に実質的に含まれるまで近位に前進させられ、バスケットは、鎖骨下動脈および総頸動脈より上側に配備される、塞栓の除去のためのデバイスが開示される。
【0021】
本発明の特徴に従い、塞栓より遠位でマイクロカテーテルとガイドワイヤとを挿入するステップと、塞栓より遠位にあるマイクロカテーテルを介してワイヤに渡って、塞栓捕捉デバイスを挿入するステップと、塞栓捕捉デバイスを配備するステップと、塞栓が実質的に塞栓捕捉デバイス内に含まれるまで、配備された塞栓捕捉デバイスを収縮するステップと、塞栓捕捉デバイスを除去するステップとを備える、塞栓を除去するための方法が開示される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
上に述べた本発明の特徴および目的は、添付の図表と共に以下の説明を参照することで、より明らかとなるであろう。図表中では、同様の参照番号は同様の要素を意味する。
【図1】図1は、塞栓を通過するワイヤを備えるマイクロカテーテルの側面概略図を示す。
【図2】図2は、最小抵抗点で塞栓を通り過ぎるマイクロカテーテルワイヤの横断面概略図を示す。
【図3】図3は、塞栓を捕捉するためのバスケットを備える本発明に従う、塞栓を捕捉するためのデバイスの実施形態の側面図である。
【図4】図4は、再灌流手術における安全デバイスとして使用される本発明に従う、塞栓を捕捉するためのデバイスの実施形態の側面図である。
【図5】図5は、再灌流手術が不成功だった後、塞栓を患者から除去する方法の実施形態のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(本教示の詳細な説明)
以下の本発明の実施形態に関する詳細な説明では、添付の図表を説明し、同様の参照は類似の要素を示し、本発明が実行されてもよい特定の実施形態が、図によって示される。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施することができるように、十分詳細に説明され、その他の実施形態が利用されてもよく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、論理的、機械的、生物学的、電気的、機能的、およびその他変更がなされてもよいことを理解されたい。したがって、以下の詳細な説明は限定の意味にとられるべきでなく、本発明の範囲は添付の請求項によってのみ規定される。本発明で使用される通り、用語「または」は論理的選言として規定されるべきものであり、その旨が示されていない限り、または「排他的論理和」と述べていない限り、排他的選言を意味するものではない。
【0024】
頭蓋内使用に対し理想的なステントは、柔軟で、正確に送達され、回収可能で、再置可能で、非外傷性の、様々な長さおよび寸法に使用可能な、壁の厚い、放射線不透過性のものであろう。また、コイルによるカテーテル留置、またはその他塞栓剤送達カテーテルを許容するのに十分幅の広い開窓を有する間、コイルを拘束するのに十分な被覆度を提供するべきである。現在市販されているオーバーザワイヤステントは理想的ではない。十分な長さのバルーン拡張型ステントは、剛性が強すぎて安全確実に配備できない。既存の自己拡張型ステントはこの点で改善されている一方で、遠位の場所に配備するにはまだ深刻な障害があり、現在市販されているか、または計画されている頭蓋内使用用のステントは、遠位の頭蓋内使用に必要な小口径に対しては使用できない。
【0025】
本ステントは、マイクロカテーテルを介して送達され、標準マイクロカテーテル/ワイヤ技術を、オーバーザワイヤステントでは届かない場所に届けることができる。本ステントは、上記の基準全てを満たす。特に魅力的な特徴は、その位置が最適以下であると感じられる場合、またはステントが必要ではないと分かった場合、送達が完了した後に、回収および再置することができるその性能である。ステントは、通常の血管形状に完全に適合し、弓隆部上の開口部を補強する傾向はない。また、動脈瘤閉塞に現在使用されている塞栓剤全てと適合し、それはMR適合である。
【0026】
ステントは、様々な病理学的条件により狭くなった血管狭窄を治療するために、抹消血管、腎動脈、および冠動脈にある閉塞性の病変で広く使用されている。最初は頸動脈狭窄のための頭蓋外脳血管、または頭蓋外頸動脈の偽動脈瘤治療で主に使用されていた小型ステントは、従来の血管内技術には受け入れられない管口径の広い動脈瘤の治療など、頭蓋内血管の疾患に現在益々使用されている。
【0027】
しかしながら、現在試験されている、通常では心臓ステントであるステントの主な制限は、CI/C2椎骨動脈または頸動脈サイフォンの蛇行を通過するのに柔軟さが十分でなく、比較的高剛性であることだ。
【0028】
本研究で使用されるデバイスの設計上の制約は、マイクロカテーテルを介して送達され、小血管に配置されるが、配備時には血管壁に適合するのに十分な半径方向力を有する、十分柔軟な血管内ステントを開発することである。
【0029】
曲線の血管にステントを配備後、定位置にガイドワイヤを残すことは、動脈瘤を第2のマイクロカテーテルでカテーテル処理する間、ステントを安定させ、それゆえステントが転置するのを防止する選択肢となる可能性がある。Neuroformとは対照的に、本ステントの設計により、転置は問題とはなりえない。
【0030】
本発明者は、従来の自己拡張型再灌流デバイス送達プラットフォームを利用することによって、塞栓を横断し、濾過し、障害を起こす塞栓を除去するか、対応するように任意に配置される、ポリモディック(poly−modic)システムを反復することができることに気付いた。かかる併用療法に対して効果的な現存システムの不足が、当技術分野の中で留意されている。即時システムにより、自然溶解、問題のある血管の灌流、および重要なことに、発生したいずれの微粒子を濾過することを可能とし、発生した微粒子の遠位遊走に関する憂慮を不要にする。
【0031】
本発明は、その他の中でも、虚血性脳卒中を治療するために使用される塞栓除去デバイスに関する。したがって、必然的に、本発明の塞栓除去デバイスは、神経タイプの適用例で使用されるように設計され、現カテーテルおよび塞栓除去デバイスの仕様は、脳血管のシステムの血管に配置されてもよい。同様に、体内のその他部分への配備が、本発明の塞栓除去システムおよびカテーテルに対して考慮され、本発明の仕様は、非侵襲的方法で体内のその他血管で使用されてもよい。具体的には、本発明の発明者は、元の塞栓の場所より遠位の回復した大きな塞栓の塊が通過することで発生する、遠位の合併症を引き起こさない、神経頭蓋の塞栓除去のデバイスおよび方法を考案した。
【0032】
実施形態に従い、本願ではカテーテルによる塞栓除去システムが開示される。本発明の塞栓除去デバイスは、血管の再灌流用である。本発明のカテーテルによる塞栓除去システムが塞栓を有する血管内へ配備されると、塞栓除去デバイスは拡張し、塞栓が実質的に塞栓除去デバイスのメッシュバスケットで包含されるように、血管に沿って近位に移動する。
【0033】
即時の教示に従い、本発明のシステムを配備することによって、血管を閉塞する塞栓は除去され、対応する血管の管腔開存性は、口径の50%近くまで確立される。従来の技術の中では、部位内治療のためにアクセス改善を促進する柔軟性を備える、適切なほど小型のプロファイルを有するシステムが、臨時的解決法(移殖でない)として使用され、脈管構造に実質的な損傷を与えずに除去される場合があることは、知られていない。
【0034】
したがって、再灌流の適用において、塞栓除去デバイスは安全デバイスとして配備されてもよい。塞栓が溶解する際、配備された塞栓除去デバイスは、より大きな塞栓粒子を遠位遊走しないよう濾過し、それによってさらなる合併症の機会を減少させる。再灌流が成功しなかった場合、そのときは、塞栓除去デバイスは近位に収縮され、それによって実質的に塞栓を捕捉する。それから、全デバイスがマイクロカテーテルとともに除去される。
【0035】
実施形態に従い、図1に示す通り、動脈管腔112内に塞栓120を有する動脈110の断面図を示す。血栓を介して挿入されるガイドワイヤ130は、塞栓120の最も柔らかい部分を介して、最小抵抗の通路に従う傾向がある。マイクロカテーテルがガイドワイヤ130に沿って挿入されると、同様に最小抵抗のこの通路に従う。したがって、ステントまたは塞栓捕捉デバイスがガイドワイヤ130に沿って挿入されると、ガイドワイヤ130は図2に示す通り、多くの場合血管内で中央には位置しないため、ステントまたは塞栓捕捉デバイスは片寄って配備される。当業者は線形対象デバイスの支柱により、どのようにして再捕捉性、柔軟性、および追跡性を可能となるかを理解する。
【0036】
ガイドワイヤの片寄りという問題に対処するため、本発明者は、片寄って配備された際でさえも塞栓120の捕捉に熟達した、塞栓捕捉デバイスまたはバスケット200を考案した。塞栓捕捉デバイス/バスケット200設計の一部として、塞栓120から剥離した塞栓120の断片は、遠隔すぎて安全に対処できない、その他の塞栓を潜在的に引き起こす場合がある脈管構造内での、より遠位への潜在的遊走を防止するために再捕捉される。
【0037】
図3に示す通り、血管管腔112および塞栓120を有する、血管110が示されている。図示する通り、塞栓捕捉デバイス/バスケット200は、塞栓120を捕捉するために配備される。図示する通り、塞栓捕捉デバイス/バスケット200は、片寄ったガイドワイヤに沿って配備される。しかしながら、塞栓捕捉デバイス200は、血管110の中心辺りを占拠するように配備するよう、片寄った配備用に設計され、塞栓120の捕捉において最大限の効率性が保証される。本発明のデバイスは片寄って配備される必要はないことは、容易に理解されるであろう。
【0038】
塞栓捕捉デバイス/バスケット200は、マイクロカテーテル230から配備される、メッシュバスケット210およびテザー220を備える。メッシュバスケット210は、近位端が開口し、遠位端が閉口している、容易に拡張可能な織布のメッシュまたはコイルバスケットを備える。メッシュは、重合体、フッ素重合体、ニチノール、ステンレス鋼、ベクトラン、またはケブラーを含み、熟練した当業者にはよく知られ理解されている材料から作られていてもよい。織布またはコイル状であってもよいその他生体適合性材料が、同様に熟慮される。メッシュバスケット210は、テザー220を経由してマイクロカテーテル230に接続し、解離または脈管構造へのその他損傷を引き起こさずに、その配備状態で除去可能であるように、適合可能に設計される。
【0039】
メッシュバスケット210は、均一サイズまたは空間形状、あるいは様々なサイズまたは空間形状を有する、複数の個々のセルを備える。サイズまたは空間形状が様々である実施形態に従い、剥離する塞栓120の小片の通過を防止する、網目の小さなメッシュを提供するために、より小型サイズまたは空間形状が使用される。より大型サイズまたは空間形状ユニットは、血流110により許可される。全ての場合、サイズまたは空間形状によっては、潜在的な合併症を引き起こす可能性のある塞栓120の断片は、許容されないであろう。
【0040】
テザー220は、血液が塞栓除去デバイス/バスケット200の近位端から遠位端へ自由に流れてもよい、大きな開口部を提供する一方で、メッシュバスケット110用の構造を提供するように機能する。実施形態に従い、テザー220は、メッシュバスケット210と同一の材料から作られる。当業者は、必要な場合は、テザーおよびメッシュ用材料が同一であるか、異なるか、または可換であってもよいことは容易に理解するであろう。
【0041】
塞栓捕捉デバイス/バスケット200の配備中、メッシュバスケットは、非配備状態でマイクロカテーテル230に保管される。非配備状態では、マイクロカテーテル230は塞栓120より遠位に前進させられ、メッシュバスケット210は配備される。実施形態に従い、メッシュバスケット210およびテザー220の両方は、メッシュバスケット210が完全に拡張する前に、テザー220が塞栓120の断片を追い出さないように、塞栓120より遠位に配備され、それによってメッシュバスケット210が断片を濾過する定位置につく前に、断片が塞栓120より遠位に前進するのを防止する。
【0042】
配備後、実施形態に従い、塞栓除去システム200は、塞栓が実質的にメッシュバスケット210内に含まれるまで近位に収縮される。その後、メッシュバスケット210およびマイクロカテーテル230は、患者の脈管構造から除去される。メッシュバスケット210およびマイクロカテーテル230を除去した後、塞栓120は、メッシュバスケット210内に閉じ込められ、血管110から回収される。
【0043】
実施形態に従い、マイクロカテーテル230の長さおよび口径は、人間の患者の中へ挿入するのに適し、鎖骨下動脈および総頸動脈の上の領域にある目標の塞栓に到達することができる。例えば、実施形態に従い、マイクロカテーテル230は約150cmである。すなわち、マイクロカテーテルは、約3.5Frの外径を備える約115cmの近位区域(マイクロカテーテル230の制御端)、および約2.7Frの外径を備える約35cmの遠位セグメント(マイクロカテーテル230の配備端)を有する。発明者は、実施形態に従い近位セグメントから遠位距離の機能として、外径寸法が徐々に減少するか、段階的であることを実施形態に従い熟慮する。例えば、近位セグメントは最近位端で3.5Frであり、遠位セグメントは最遠位端で2.7Frである。3.2Frおよび3.0Frなど、3.5Frと2.7Frとの間に1つ以上の中間外径を有するセグメントが、その間に置かれている。マイクロカテーテル230の内径は、0.012から0.029インチであり、実施形態に従い、マイクロカテーテルは事前に挿入されたガイドワイヤに沿って挿入されるか、療法薬を注入するのに使用することができる。実施形態に従い、マイクロカテーテル230の性能は、標準のマイクロカテーテル230に匹敵し、神経脈管構造を介してガイドワイヤ上を追跡するように設計されている。
【0044】
図4の実施形態によって示される通り、塞栓捕捉デバイス/バスケット200は、繋留再灌流デバイス111で同時に配備されてもよい。塞栓120が再灌流デバイス111で再灌流される際、塞栓捕捉デバイス/バスケット200は、剥離した塞栓120の断片がメッシュバスケット210内で捕捉され、概して再灌流デバイスで除去されることで、安全性特徴を提供する。加えて、血管110が自然な溶解作用のため再灌流する際、メッシュバスケット210により、塞栓捕捉デバイス/バスケット200より遠位を通過することが可能な最小粒子サイズが提供される。その結果、塞栓捕捉デバイス/バスケット200によって、より大きな塞栓120の断片または粒子が神経脈管構造内をより深く通過し、より遠位の場所で閉塞するのを防ぐことで、閉塞の元の部位より遠位でのさらなる合併症が予防される。
【0045】
あるいは、および図5の実施形態にしたがって示す通り、再灌流を試み不成功となったか、または望ましい水準までには成功しなかった後に、再灌流デバイスが使用される。したがって、熟練した当業者によく知られ理解されている通り、マイクロカテーテルは手術502で神経脈管構造内へ挿入される。例えば、図5の手術504で、図4の再灌流デバイス210により、再灌流が試みられる。再灌流が試みられた後、手術506での成功が決定される。例えば、熟練した当業者によく知られているように、閉塞された血管がどの水準まで再灌流されるかを決定するのに、造影剤が使用される。
【0046】
再灌流が望ましい程度までは成功しない場合、そのときは、塞栓捕捉デバイス/バスケット200は、本願に記載する通り、マイクロカテーテルを介して挿入され、塞栓120より遠位に配備される。例えば、流れに対するチャネルを創造するのは、理想的には、血管が少なくともおおよそ半分程度開存するか、または血管の口径50%が開口していることが含まれる。実施形態に従い、創造されるチャネルは、脳で心筋梗塞(TIMI)0、TIMI1、またはTIMI2、TIMI3における血栓溶解、および脳梗塞(TICI)およびTICI3における血栓溶解に相当してもよい。これらの場合、血流は、望ましい程度までは達成されない。それゆえ、塞栓全体を除去するのが望ましい。したがって、塞栓捕捉デバイス/バスケット200が塞栓より遠位に配備された後、塞栓120が実質的に手術512でメッシュバスケット210内部に来るまで、塞栓捕捉デバイス/バスケット200は近位に収縮される。その後、メッシュバスケット210、塞栓120、およびマイクロカテーテル230は除去される。
【0047】
本発明の塞栓捕捉デバイスは、実施形態に従い、ワイヤの配備用、または迅速な交換配備用に設計されてもよい。
【0048】
米国特許状第5,928,260号、および第5,972,219号、さらに第7,147,655号、第7,160,317号、第7,172,575号、第7,175,607号、および第7,201,770号は参照することにより、本願に完全に記載されているかのように、明示的に本願に援用される。
【0049】
装置および方法は、現在最も実際的で好ましい実施形態は何かを考慮するという観点から記載されている一方で、本発明が開示された実施形態に限定される必要はないことを理解されたい。請求項の精神および範囲内に含まれる様々な変形および類似の構成を含むことが意図されており、その範囲では、かかる変形および類似の構造全てを網羅するように、最も広い解釈が許容されるべきである。本発明は、以下の請求項のいずれかおよび全ての実施形態を含む。
【0050】
様々な変更は、本発明の本質から逸脱しない限りにおいてなされることもまた、理解されたい。かかる変更も説明に黙示的に含まれている。その上、本発明の範囲に含まれる。本発明は、独立しておよびシステム全体の両方で、ならびに方法および装置様式の両方で、本発明の数的局面を含む特許を得ることを意図していることを理解すべきである。
【0051】
さらに、本発明の様々な要素の各々もまた、様々な方式で実現されてもよい。本発明は、かかる変形例各々を網羅するか、いずれの装置の実施形態の変形例の実施形態であるか、方法または過程の実施形態か、あるいはこれらのうちいずれかの要素の単なる変形例でさえあることを理解されたい。
【0052】
特に、本発明が本発明の要素に関する際には、機能または結果だけが同じである場合でさえ、各要素に対する言葉は、同等の装置用語または方法用語によって表現されてもよいことを理解すべきである。
【0053】
かかる同等の用語、より広義の用語、またはさらに一般的用語は、各要素または作用の説明に包含されるとみなされるべきである。かかる用語は、本発明が権利を有する、黙示的に広い範囲を明示することを望む場合、置換されることができる。
【0054】
全ての作用は、その作用を起こすための手段、またはその作用を引き起こす要素として示されてもよいことを理解されたい。
【0055】
同様に、開示された各物理要素は、その物理要素が促進する作用の発明を包含することを理解すべきである。
【0056】
特許のため本明細書で言及したいずれの特許、発行物、その他参照資料も、参考として本願に援用される。加えて、使用した各用語に関して、本明細書におけるその利用が、かかる解釈と一致する限り、共通の辞書的定義は、熟練した当業者によって認知されている標準の技術辞書、およびRandom House Webster’s Unabridged Dictionaryのうち少なくとも1つに含まれるような、各用語、ならびに全ての定義、代替用語、および同意語として援用され、最新版は参照することによって本願に含まれるものと理解されたい。
【0057】
最後に、Information Invention Statementに参照され一覧となっている全て、または本明細書とともに提出されたその他情報文書は添付され、参考として本願に援用されるが、しかしながら、上記各々に関して、参考として援用されるかかる情報または文書が、本発明の特許と矛盾するとみなされる可能性のある範囲までは、かかる文書は本出願人によるとは明示的にはみなされない。
【0058】
この関連で、実際的理由および潜在する何百もの請求項を加えることを避けるため、本出願人が最初の依存関係のみで請求項を示していることを理解されたい。
【0059】
米国特許法35USC132またはその他かかる法律を含むがそれに限定されるものではない、いずれのその他独立請求項または概念の下にある依存関係または要素として、1つの独立請求項または1つの概念の下で示される様々な依存関係またはその他要素のうちのいずれかの追加を許容するための、新規事項の法律の下、必要とされる程度にまで、援助が存在することを理解されたい。
【0060】
実体のない代替がなされる限り、本出願人が実際には、いずれの具体的な実施形態を文字通りに包含するように、いずれの請求項をも書き起こさなかった限り、およびその他適用可能な限り、出願人はいずれの点においても、出願人が単に起こり得る事態の全てを予期することができたかもしれない範囲を実際に放棄することを意図した、または実際に放棄したことは理解されるべきではない。すなわち、当業者は、かかる代替の実施形態を文字通り包含したであろう請求項を書き起こしたとは合理的に予想するべきではない。
【0061】
さらに、移行句「備える」の使用は、従来の請求項の解釈に従い、本願では「無制限の」請求項を維持するために使用される。したがって、文脈上異なる解釈を要する場合を除き、用語「譲歩する」、または「備える」「備えて」などの変形例は、定められた要素またはステップ、あるいは要素またはステップの群を含むことを意図しているが、いずれのその他要素またはステップ、あるいは要素またはステップの群も含まないことを意図しないことを理解されたい。
【0062】
かかる用語は、出願人に法律的に許容される最も広い範囲を提供できるように、それらの最も拡大された形態で解釈されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも非配備状態および配備状態を有する、メッシュ捕捉器/バスケットであって、該メッシュ捕捉器は、非配備状態で神経脈管構造内へ挿入され、その収縮状態で微小血管系から除去される、メッシュ捕捉器/バスケットを備え、
該メッシュ捕捉器は、塞栓より遠位でその配備状態に配備され、該塞栓が該メッシュ捕捉器内に実質的に含まれるまで近位に前進させられ、
該メッシュ捕捉器/バスケットは、鎖骨下動脈および総頸動脈より上側に配備される、
塞栓の除去のための改良型デバイス。
【請求項2】
前記メッシュ捕捉器/バスケットは偏心性である、請求項1に記載の改良型デバイス。
【請求項3】
前記近位端にある前記メッシュ捕捉器/バスケットの前記偏心性は、その幾何学構成によって、塞栓および血餅の捕捉を改善する、請求項2に記載の改良型デバイス。
【請求項4】
均一な大きさの支柱をさらに備える、請求項3に記載の改良型デバイス。
【請求項5】
前記近位端に隣接して増加した厚みを有する支柱を備える、請求項3に記載の改良型デバイス。
【請求項6】
前記デバイスの遠位端に放射線不透過性を有する、請求項4に記載の改良型デバイス。
【請求項7】
前記放射線不透過性はさらに、白金および金から成る群より選択される、少なくとも1つのペグであって、事前にレーザ切断された開口に圧入される、ペグを備える、請求項6に記載の改良型デバイス。
【請求項8】
近位ステンレス鋼プッシャおよび遠位ニチノールデバイスをさらに備える、
請求項7に記載の改良型デバイス。
【請求項9】
ガイドワイヤの追跡可能性を改善するように、ポリマー裏地が前記プッシャに内に組み込まれる、請求項8に記載の改良型デバイス。
【請求項10】
前記ポリマー裏地は、前記プッシャの遠位先端を越えて、前記ニチノールデバイスの長さを上回る長さまで延長される、請求項9に記載の改良型デバイス。
【請求項11】
前記延長するポリマー裏地によって、前記ニチノールデバイス内でガイドワイヤのもつれが防止される、請求項10に記載の改良型デバイス。
【請求項12】
均一なセルをさらに備える、請求項11に記載の改良型デバイス。
【請求項13】
塞栓より遠位で挿入されるように構成される、マイクロカテーテルと、
該塞栓より遠位にある該マイクロカテーテルより遠位で挿入されるように構成される、塞栓捕捉デバイスと
を備え、
該塞栓捕捉デバイスは、配備されるように構成され、
該配備された塞栓捕捉デバイスは、該塞栓が該塞栓捕捉デバイス内に実質的に含まれるまで、収縮させられるように構成され、
該塞栓捕捉デバイスは、除去されるように構成される、塞栓を除去するためのシステム。
【請求項14】
前記塞栓捕捉デバイスは、ガイドワイヤ上に配備されるように構成される、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記塞栓捕捉デバイスは、迅速な交換システムの構成要素として配備されるように構成される、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
異物が除去の標的である、請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記異物は、微小コイルである、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記異物は、医療デバイスである、請求項16に記載のシステム。
【請求項19】
前記異物は、腎結石である、請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
前記異物は、胆石である、請求項16に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−507633(P2011−507633A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539893(P2010−539893)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2008/087759
【国際公開番号】WO2009/086154
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(510129532)マインドフレーム, インコーポレイテッド (3)
【Fターム(参考)】