説明

深部脳刺激のための自動適合システム

運動性疾患の治療、特に、深部脳刺激(DBS)システム及び方法を提供する。方法、システム、及び外部プログラマは、機能障害を有する患者に療法をもたらす。1つの態様では、神経刺激器から患者の組織領域内に位置する電極に刺激エネルギが運ばれ、それによって機能障害のステータスが変化する。機能障害のステータスの変化を示す患者の生理学的末端機能を測定し、測定した生理学的末端機能に基づいて刺激パラメータを前記神経刺激器内にプログラムする。別の態様では、患者の組織領域に隣接して電極が配置され、刺激パラメータに応じて電極から組織領域まで刺激エネルギが運ばれ、それによって機能障害のステータスが変化する。機能障害のステータスの変化を示す患者の生理学的末端機能を測定し、測定した生理学的末端機能に基づいて刺激パラメータを調節する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運動性疾患の治療に関し、より詳細には深部脳刺激(DBS)システム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
埋め込み可能な神経刺激システムは、様々な疾病及び疾患の治療に役立つことが実証されている。ペースメーカ及び「埋め込み可能心臓除細動器(ICD)」は、いくつかの心臓の状態(例えば、不整脈)の治療に高度に有効であることが実証されている。「脊髄刺激(SCS)」システムは、慢性疼痛症候群を治療するための治療モダリティとして長い間受け入れられており、組織刺激の適用は、狭心症及び失禁のような付加的な適用にも拡大され始めている。更に、近年の調査では、「末梢神経刺激(PNS)」システムは、慢性疼痛症候群及び失禁を治療するのに有効であることが明らかにされており、いくつかの付加的な適用は、現在調査中である。本明細書に説明する本発明に更に関連して、「深部脳刺激(DBS)」は、数例を挙げれば、パーキンソン病、本態性振戦、筋ジストニア、及びてんかんを含む神経学的疾患の治療に10年を大幅に超えて用いられている。DBSを用いる疾病の治療の更に詳細な説明は、米国特許第6、845、267号、第6、845、267号、及び第6、950、707号に開示されている。
【0003】
これらの埋め込み可能神経刺激システムの各々は、典型的には、望ましい刺激部位に埋め込まれた1つ又はそれよりも多くの電極担持刺激リードと、刺激部位から遠隔に埋め込まれるが、刺激リードに直接に又はリード延長部を通じて刺激リードに間接的にそのいずれかで連結される神経刺激器とを含む。神経刺激システムは、更に、選択した刺激パラメータに従って電気刺激パルスを発生させるように神経刺激器に遠隔的に命令するための手持ち型遠隔制御器(RC)を更に含むことができる。RC自体は、例えば、典型的にはプログラムソフトウエアパッケージがインストールされたラップトップのような汎用コンピュータを含む「臨床医のプログラマ(CP)」を用いることにより、患者に付き添う技術者がプログラムすることができる。
【0004】
従って、RC及び/又はCPによりプログラムされた刺激パラメータに応じて神経刺激器から刺激電極まで電気パルスを送出し、一連の刺激パラメータに応じて組織のある一定の容積を刺激又は活性化し、患者に望ましい有効な療法を用いることができる。最善の刺激パラメータの組は、典型的には、治療的利益(例えば、運動性疾患の治療)をもたらすために刺激する必要がある組織の容積に刺激エネルギを送出しながら、刺激される非ターゲット組織の容積を最小にするものとされることになる。典型的な刺激パラメータの組には、アノード又はカソードとして働く電極、並びに刺激パルスの振幅、持続時間、及び繰返し数を含むことができる。
【0005】
神経刺激システムが患者内に埋め込まれる時、典型的には、刺激リード及び/又は電極が患者の有効な場所に確実に適切に埋め込まれることを保証し、並びに患者に対する1つ又はそれよりも多くの有効な刺激パラメータの組を選択するために適合手順が実行される。一部の電気刺激治療では、適合手順は、患者フィードバックに応答して有効に指示することができる。例えば、疼痛緩和のためのSCSでは、患者は、刺激パルスの効果及び疼痛ステータスの変化を感じることができ、従って、刺激の有効性、及び従って長期にわたって電気パルスを患者に送出するのに用いられる刺激リード及び/又は電極の適切な場所及び刺激パラメータに関して口頭でフィードバックすることができる。
【0006】
SCSと異なり、DBSを受けている患者は、刺激の効果を感じることができず、刺激の効果は、観察することが困難である場合があり、典型的には主観的であり、又は明らかになるのに長い時間を消費する場合がある。それによって刺激パラメータを適切に設定するか、又は患者に対して最適な治療及び/又は刺激源の最適な利用をもたらす刺激パラメータを選択することが困難である。重大なことには、電極の配置及び刺激パラメータの選択が最適でない場合には、刺激の振幅が大きすぎるか、パルス幅が広すぎるか、振動数が高すぎるように設定されることによってエネルギ消費が過剰になり、刺激の振幅が小さすぎるか、パルス幅が狭すぎるか、振動数が小さすぎることによって不適切又は過小な治療になり、又は、隣接する細胞集団が刺激されることにより、望ましくない副作用が生じる場合がある。このような問題は全て、今日のDBS適合技術ではあまり対処されていない。更に、DBSシステムが埋め込まれて取り付けられた後、患者は、例えば、疾病の進行、運動の再学習、又は他の変化のために、又は埋め込みDBSシステムにより与えられる治療が最早有効でないか又は治療的又は操作的に最適ではない場合にDBSシステムの刺激パラメータを調節するために、もう一度診察の予定を組む必要がある場合がある。
【0007】
患者の脳内の電気信号を検知する段階及び患者の脳内のターゲット領域に送出される電気刺激を自動的に調節する段階を伴う閉ループ方法を用いるDBSシステムが開示されているが(例えば、米国特許第5、683、422号参照)、このようなシステムでは、脳内に付加的なリードを埋め込むことが必要である。更に、脳内で検知される電気信号を現在患者が罹っている疾患に相関させることは容易ではない。更に、このようなシステムは、リードの物理的調節及び刺激パラメータのプログラミングを含む適合手順に用いられるように設計されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6、845、267号
【特許文献2】米国特許第6、950、707号
【特許文献3】米国特許第5、683、422号
【特許文献4】米国特許第6、895、280号
【特許文献5】米国特許第6、052、624号
【特許文献6】米国特許第6、516、227号
【特許文献7】米国特許第6、993、384号
【特許文献8】米国特許出願公開第2007−0038250号
【特許文献9】米国特許公開第2003/0139781号
【特許文献10】米国特許出願公開第2005−0267546号
【特許文献11】米国特許第6、909、917号
【特許文献12】米国特許第6、920、359号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
すなわち、疾病に苦しんでいる患者の治療を最適にするために患者により容易に取り付けることができるDBSシステムの必要性が依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
機能障害を有する患者に療法を提供する方法は、本発明のより良好な理解のために提供するものである。1つの方法では、機能障害は、運動機能障害(例えば、歩行機能障害、姿勢機能障害、平衡性機能障害、運動制御機能障害、言語機能障害、その他)であり、パーキンソン病、本態性振戦、筋ジストニア、てんかんなどのような神経学的疾患により惹起される場合がある。本方法は、神経刺激器から患者の組織領域内に配置される少なくとも1つの埋め込み電極に刺激エネルギを伝え、それによって機能障害のステータスを変化させる段階を含む。この組織領域は、患者の身体の何処に位置することもできるが、好ましい方法では、運動機能障害の起源になることが多い脳に位置する。本方法は、機能障害のステータスの変化を示す患者の生理学的末端機能を測定する段階と、測定した生理学的末端機能に基づいて神経刺激器に少なくとも1つの刺激パラメータをプログラムする段階とを更に含む。測定した生理学的末端機能は、例えば、運動学的機能、電気筋肉インパルス、音声パターンなどとすることができ、刺激器パラメータは、例えば、パルス振幅(同様の極性の電極を通る電流又は電圧の相対振幅を含む)、パルス幅、パルス繰返し数、又は電極組合せとすることができる。1つの方法では、生理学的末端機能は、非侵襲的に測定される。
【0011】
1つの方法は、刺激パラメータに従って神経刺激器から患者の組織領域へ刺激エネルギを伝え、それによって機能障害のステータスを改善する段階を更に含む。別の方法は、測定した生理学的末端機能に基づいて、機能障害を定量化する段階を更に含み、この場合には、定量化した機能障害に基づいて、刺激パラメータを神経刺激器にプログラムすることができる。更に別の方法は、測定した生理学的末端機能に応じて刺激パラメータを自動的に決定する段階を更に含む。刺激パラメータを自動的に決定する段階は、様々な方法のうちのいずれか、例えば、発見的(ヒューリスティック)に又は測定した生理学的末端機能を所定のデータセットに相関させることによって実行することができる。本方法は、任意的に、神経刺激器を患者に埋め込む段階を含むことができる。
【0012】
本発明の第2の態様により、神経刺激システムを提供する。この神経刺激システムは、少なくとも1つの電気端子と、刺激エネルギを電気端子に出力するように構成された出力刺激回路と、出力刺激回路により出力された刺激エネルギを制御するように構成された制御回路と、患者の機能障害のステータスの変化を示す患者の生理学的末端機能を測定するように構成されたモニタリング回路と、測定した生理学的末端機能に基づいて少なくとも1つの刺激パラメータで制御回路をプログラムするように構成された処理回路とを含む。機能障害、測定された生理学的末端機能、及び刺激パラメータは、上に説明したものと同じとすることができる。
【0013】
一実施形態では、モニタリング回路は、非侵襲的に生理学的末端機能を測定するように構成される。別の実施形態では、処理回路は、出力刺激回路が刺激エネルギを電気端子に出力する時に機能障害のステータスを改善するように、刺激パラメータを用いて制御回路をプログラムするように構成される。更に別の実施形態では、モニタリング回路は、測定した生理学的末端機能に基づいて機能障害を定量化するように構成され、その場合、処理回路は、定量化された機能障害に基づいて刺激パラメータを制御回路にプログラムするように構成することができる。別の実施形態では、処理回路は、上述のように測定した生理学的末端機能に応じて刺激パラメータを自動的に決定するように構成される。更に別の実施形態では、システムは、処理回路から制御回路まで刺激パラメータを無線的に伝えるように構成された遠隔測定回路を更に含む。任意的な実施形態は、神経刺激器、例えば、埋め込み可能神経刺激器を形成するために電気端子、出力刺激回路、及び制御回路を収容するケースを含むことができる。モニタリング回路及び処理回路は、1つ又はそれよりも多くのコンピュータに含むことができる。
【0014】
本発明の第3の態様により、神経刺激器のための外部プログラマを提供する。外部プログラマは、患者の機能障害のステータスの変化を示す情報を受け取るように構成された入力回路を含む。情報は、例えば、測定した生理学的末端機能又は定量化した機能障害とすることができ、その詳細は、上に説明したものである。プログラマは、受け取った情報に基づいて少なくとも1つのプログラマブル刺激パラメータを自動的に決定するように構成された処理回路と、プログラマブル刺激パラメータを神経刺激器に送信するように構成された出力回路とを更に含む。プログラマブル刺激パラメータは、上述したものと同じとすることができ、上述したものと同じ方法で決定することができる。一実施形態では、処理回路は、刺激エネルギがプログラマブル刺激パラメータに応じて患者に送出された時に機能障害のステータスが改善されるように、プログラマブル刺激パラメータを定めるように構成される。別の実施形態では、出力回路は、遠隔測定回路を含み、入力回路、処理回路、及び出力回路は、単一のケースに収容される。
【0015】
本発明の第4の態様により、本発明のより良い理解のために機能障害を有する患者に療法を提供する方法を提供する。1つの方法では、機能障害は、運動機能障害(例えば、歩行機能障害、姿勢機能障害、平衡性機能障害、運動制御機能障害、言語機能障害、その他)であり、パーキンソン病、本態性振戦、筋ジストニア、てんかんなどのような神経学的疾患により引き起こされる場合がある。本方法は、患者の組織領域に隣接して少なくとも1つの電極を配置する段階と、少なくとも1つの刺激パラメータ(例えば、パルス振幅、パルス幅、パルス繰返し数、電極組合せ、その他)に応じて電極から組織領域まで刺激エネルギを伝え、それによって機能障害のステータスを変化させる段階とを含む。この組織領域は、患者の身体の何処に位置させることもできるが、好ましい方法では、機能障害の起源になることが多い脳に位置させる。本方法は、機能障害のステータスの変化を示す患者の生理学的末端機能を測定する段階と、測定した生理学的末端機能に基づいて刺激パラメータを自動的に調節する段階とを更に含む。測定する生理学的末端機能は、例えば、運動学的機能、電気筋肉インパルス、音声パターンなどとすることができる。1つの方法では、生理学的末端機能は、非侵襲的に測定される。
【0016】
1つの方法は、測定した生理学的末端機能に基づいて機能障害を定量化する段階を含み、その場合、刺激パラメータは、定量化した機能障害に基づいて自動的に調節することができる。代替的に、刺激パラメータは、機能障害のステータスを改善するように自動的に調節される。例えば、刺激パラメータの値は、測定した生理学的末端機能が機能障害のステータスが改善したことを示す場合は1つの方向に調節することができ、測定した生理学的末端機能が、機能障害のステータスが低下したことを示す場合は別の方向に調節することができる。更に別の方法は、調節した刺激パラメータに応じて電極から組織領域へ刺激エネルギを伝え、それによって機能障害のステータスを変化させる段階を含む。更に別の方法は、患者に神経刺激器を埋め込む段階と、電極を神経刺激器に連結する段階と、調節した刺激パラメータで神経刺激器をプログラムする段階とを含む。
【0017】
本発明の第5の態様により、神経刺激システムを提供する。この神経刺激システムは、少なくとも1つの電気端子と、電気端子に少なくとも1つの刺激パラメータに応じて刺激エネルギを出力するように構成された出力刺激回路と、患者の機能障害のステータスの変化を示す患者の生理学的末端機能を測定するように構成されたモニタリング回路と、測定した生理学的末端機能に基づいて刺激パラメータを調節するように構成された処理回路とを含む。機能障害、測定した生理学的末端機能、及び刺激パラメータは、上に説明したものと同じとすることができる。
【0018】
一実施形態では、モニタリング回路は、測定した生理学的末端機能に基づいて機能障害を定量化するように更に構成され、その場合には、処理回路は、定量化した機能障害に基づいて刺激パラメータを自動的に調節するように構成することができる。別の実施形態では、処理回路は、機能障害のステータスを改善するために、例えば、上に説明する方法で刺激パラメータを自動的に調節するように構成される。更に別の実施形態では、システムは、少なくとも1つの電気端子に電気的に連結された少なくとも1つの電極を担持する刺激リードを更に含む。更に別の実施形態では、システムは、遠隔測定回路を更に含み、その場合には、処理回路は、刺激パラメータを無線的に調節するように構成される。任意的な実施形態は、電気端子、出力刺激回路、及び制御回路を収容するケースを含み、神経刺激器、例えば、埋め込み可能神経刺激器を形成することができる。モニタリング回路及び処理回路は、1つ又はそれよりも多くのコンピュータに含むことができる。
【0019】
本発明の第6の態様により、神経刺激器のための外部プログラマを提供する。外部プログラマは、患者の機能障害のステータスを示す情報を受け取るように構成された入力回路と、受け取った情報に基づいて少なくとも1つの刺激パラメータを自動的に調節するように構成された処理回路と、調節された刺激パラメータを神経刺激器に伝えるように構成された出力回路とを含む。受け取った情報は、例えば、測定した生理学的末端機能又は定量化した機能障害とすることができ、その詳細は、上に説明している。プログラマブル刺激パラメータは、上述したものと同じとすることができ、上に説明したのと同じ方法で決定することができる。一実施形態では、処理回路は、例えば、上に説明したのと同様に、機能障害のステータスを改善するために少なくとも1つの刺激パラメータを自動的に調節するように構成される。別の実施形態では、出力回路は遠隔測定回路であり、入力回路、処理回路、及び出力回路は、単一のケースに収容される。
【0020】
図面は、本発明の好ましい実施形態の設計及び有用性を示しており、図面中、同様の要素は、共通の参照番号で示される。本発明の上述の利点及び他の利点及び目的がどのように得られるかのより良好な理解のために、添付の図面に示す本発明の特定的な実施形態を参照することにより、上に簡単に説明した本発明の更なる詳細説明を以下に示す。これらの図面が本発明の典型的な実施形態のみを示し、従って、その範囲を制限するように見なされないことを理解した上で、添付図面を通して本発明を付加的な特異性及び詳細と共に以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態によって構成された「深部脳刺激(DBS)」システムの平面図である。
【図2】図1のDBSシステムに用いられる埋め込み可能パルス発生器(IPG)の内部構成要素のブロック図である。
【図3】図1のDBSシステムに用いられる遠隔制御器(RC)の正面図である。
【図4】図3のRCの内部構成要素のブロック図である。
【図5】図1のDBSシステムに用いられる臨床医のプログラマ(CP)の内部構成要素のブロック図である。
【図6】図3及び図4のRCを用いて又は図5のCPを用いて図2のIPGをプログラムする方法を示す流れ図である。
【図7】刺激リードの埋め込み及び図1のDBSシステムのIPGを示す患者の頭部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
最初に、本発明は、多くの異なる種類の刺激システムの構成要素として用いることができる埋め込み可能パルス発生器(IPG)、高周波(RF)送信機、又は同様の神経刺激器と共に用いることができることに注意されたい。以下の説明は、「深部脳刺激(DBS)」システムに関するものである。しかし、本発明は、DBSへの応用に非常に役立つが、その最も広範な態様では、そのように限定されない場合もあることは理解されるものとする。それどころか、本発明は、例えば、運動機能障害のような機能障害を治療するために組織を刺激するのに用いられるあらゆる種類の埋め込み可能電気回路と共に用いることができる。
【0023】
最初に図1を見ると、本発明の一実施形態によって構成された例示的なDBSシステム10は、一般的に、1つ又はそれよりも多く(この場合は2つ)の埋め込み可能刺激リード12、埋め込み可能パルス発生器(IPG)14(又は、RF受信機−刺激器)、外部充電器16、患者モニタ18、外部遠隔コントローラ(RC)20、及び臨床医のプログラマ(CP)24を含む。
【0024】
IPG14は、アレイに配列された複数の電極26を有する刺激リード12に、1つ又はそれよりも多くのリード延長部24を通じて物理的に接続される。図示の実施形態では、電極26は、刺激リード12に沿って一列に配置される。図示の実施形態では、各刺激リード12は、8つの電極26を有する。勿論、各刺激リード12は、他の数、例えば、2つ、4つ、6つなどの電極を有することができ、単一のリードを含むあらゆる数の刺激リード12を用いることができる。IPG14は、電子構成要素及び他の構成要素(以下により詳細に説明する)を収容するための外部ケースを含み、リード延長部24の近位端がIPG14と嵌合し、その遠位端が刺激リード12と嵌合するコネクタを有するコネクタ(図示せず)が、電極26を外部ケース内の電子装置に電気的に連結する方法で嵌合している。外部ケースは、チタンのような導電性があり、生体適合性のある材料で構成されて気密密封区画を形成し、その中に、内部電子装置が身体組織及び体液から保護される。場合によっては、外部ケースは、以下により詳細に説明するように電極として働く。
【0025】
以下により詳細に説明するように、IPG14は、刺激パラメータセットに従って電気刺激エネルギを電極26に送出するパルス発生回路を含む。このような刺激パラメータは、アノード(正),カソード(負),及び遮断(ゼロ)として活性化される電極を定める電極の組合せと、パルス振幅(IPG14が電極26に一定電流又は一定電圧のいずれを供給するかによりミリアンペア又はボルトで測定される),パルス幅(マイクロ秒で測定される),及びパルス繰返し数(パルス/秒で測定される)を定める電気パルスパラメータとを含むことができる。電気刺激は、2つ(又はそれよりも多く)の活性化された電極の間で起こることになる(電極の1つはIPGケースとすることができる)。刺激エネルギは、単極様式(すなわち、電極26の1つとIPGケースとの間)で、又は(例えば、双極、三極、その他の)多極様式(すなわち、電極26の2つ又はそれよりも多くの間)で組織に送信することができる。
【0026】
外部充電器16は、誘導リンク28を通じてIPG14を経皮的に充電するのに用いられる携帯用装置である。簡潔にするために、充電器24の詳細は、本明細書では説明しないことにする。充電器の例示的な実施形態の詳細は、米国特許第6、895、280号に開示されている。
【0027】
患者が苦しんでいる機能障害のステータスの変化を示す生理学的末端機能を測定するのに患者モニタ18を用いる。この明細書の目的では、生理学的末端機能は、脳の外部に現れる生理学的機能である。生理学的末端機能は、非侵襲性の手段を用いて(すなわち、患者に開口部を生成することなく)、又は患者の脳を穿刺することが必要でない手段を用いて測定することが好ましい。生理学的末端機能を測定するための様々な非侵襲性の手段は、以下により詳細に説明する。代替的に、生理学的末端機能は、侵襲的に測定される。測定される生理学的末端機能は、例えば、運動学的アクション、電気筋肉インパルス、又は音声パターンとすることができる。機能障害は、運動機能障害、例えば、歩行機能障害、姿勢機能障害、平衡性機能障害、運動制御機能障害(例えば、痙縮、運動緩徐、硬直)、言語障害などとすることができ、これらは、パーキンソン病、本態性振戦、筋ジストニア、及びてんかんを含む様々な疾病のいずれかにより惹起される場合がある。更に、機能障害は、非運動機能障害、例えば、心理的障害、ホルモン障害などとすることができる。患者モニタ18は、任意的に、測定した生理学的末端機能に基づいて、例えば、機能障害に数値を割り当てることによって(例えば、1は機能障害が存在しないことを意味し、10は機能障害が極度であることを意味する1〜10により)機能障害を定量化することができる。以下により詳細に説明するように、測定した生理学的末端機能又は定量化した機能障害情報を用いて、IPG14から送出される刺激エネルギに応じて刺激パラメータを調節することができる。
【0028】
患者モニタ18は、制御条件下で医師/補助者が直接制御することができる臨床環境内に物理的に位置することができ、又は刺激パラメータを更に制限し、及び/又は漸進的に調節することができるように患者と共に遠隔環境に位置することができる。従って、患者モニタ18は、埋め込み前成績と、埋め込み後成績と、追跡調節の機会とを記録するために治療継続中のいずれの時点でも用いることができる。
【0029】
RC20は、双方向RF通信リンク30を通じて刺激パラメータをIPG14に送信するか又は他の方法でIPG14に保存された刺激パラメータを調節することにより、IPG14を遠隔測定的に制御するのに用いることができる。このように制御することにより、IPG14は、オン又はオフにすることができ、埋め込み後に異なる刺激プログラムでプログラムすることができる。一旦IPG14がプログラムされ、その電源が充電されるか又は他の方法で補充されると、IPG14は、RC20が存在しなくてもプログラムされたように機能することができる。
【0030】
CP22は、手術室及びフォローアップセッションでIPG14をプログラムするための医師指定の刺激パラメータを提供する。CP22は、IR通信リンク32を通じてRC20と通信することによってこの機能を実行し、この刺激パラメータでIPG14を間接的にプログラムすることができる。同時に、CP22が、この刺激パラメータでRC20をプログラムすることができるように、その後、RC20は、RC20にプログラムされた刺激パラメータを用いてIPG14をプログラムするか又は他の方法で制御することができる。代替的に、CP22は、RC20の助けを借りずにRF通信リンク(図示せず)を通じて刺激パラメータをIPG14に直接プログラムすることができる。
【0031】
重要なことに、CP22は、手動モード又は自動モードで作動させることができる。手動モードでは、CP22は、従来の様式で刺激パラメータをIPG14内にプログラムするのに用いることができる。自動モードでは、CP22は、刺激パラメータをIPG14内に自動的にプログラムするのに用いることができる。より詳細には、CP22は、患者モニタ18により測定された生理学的末端機能に基づいて、IPG14内にプログラムされるべき刺激パラメータを自動的に決定することができる。この目的を達成するために、CP22は、IR通信リンク34を通じて患者モニタ18から測定した生理学的末端機能情報を受け取ることができる。代替的に、CP22は、ケーブル(図示せず)を通じて患者モニタ18に連結することができる。患者モニタ18が、測定された生理学的末端機能に基づいて機能障害を定量化する場合には、CP22は、IR通信リンク34を通じて患者モニタ18から定量化された機能障害情報を受け取り、定量化された機能障害情報に基づいて、プログラムされた刺激パラメータを自動的に決定することができる。代替的に、CP22自体が、患者モニタ18から受け取った測定された生理学的末端機能情報に基づいて、機能障害を定量化することができる。特に、CP22は、使用者が介入することなくIPG14内にプログラムされるべき刺激パラメータを自動的に決定することができ、又は、例えば推奨刺激パラメータを提案することができ、臨床医がこれを選択して、IPG14内にプログラムされる刺激パラメータを最終的に調節することができる。いずれにせよ、CP22により決定されたプログラムされた刺激パラメータにより、患者が苦しむ機能障害のステータスを改善するように想定されている。
【0032】
例えば、CP22は、IPG14内の刺激パラメータを調節することによってIPG14により出力される刺激エネルギを制御することができる。患者モニタ18は、刺激パラメータを調節した時に機能障害に及ぼされる効果を決定するために、再び患者の生理学的末端機能を測定することができる。この処理は、最適化されるか、又はそうでなければ有効な又は改善された刺激パラメータが決定されるまで繰り返すことができ、この刺激パラメータは、その後、IPG14内にプログラムすることができる。刺激パラメータの変化と生理学的末端機能の測定との間のあらゆる遅延は、機能障害の種類、患者の身体的条件、あらゆる薬物の影響などにより制御され、かつ影響を受けると考えられ、これにより、刺激の変化の効果が現れた後に生理学的末端機能を再び測定することを可能にする。IPG14内にプログラムされた刺激パラメータを再評価するために、疾病の進行、運動の再学習による変化、又は機能障害のステータスに影響を及ぼす他の変化をトリガすることができる。
【0033】
患者が従来の様式でIPG14内に刺激パラメータをプログラムすることができる手動モードで、RC20は作動することができる。患者モニタ18が遠隔環境の患者内に位置する別の実施形態では、RC20は、患者モニタ18により測定される生理学的末端機能又は患者モニタ18により定量化される機能障害に基づいて、IPG14内にプログラムされる刺激パラメータを自動的に決定する自動モードで作動させることができ、その場合、RC20は、IR通信リンク(図示せず)を通じて患者モニタ18に連結することができる。
【0034】
CP22又はRC20は、測定された生理学的末端機能又は定量化された機能障害に基づいて、機能障害のステータスを改善するために様々な方法のいずれか1つで改善刺激パラメータを決定することができる。一実施形態では、刺激パラメータは、発見的(ヒューリスティックな)方法を用いて調節される。
【0035】
例えば、少なくとも1つの刺激パラメータの値は、測定された生理学的末端機能が機能障害のステータスの改善を示す場合は1つの方向に漸次的に(例えば、パルス振幅、パルス幅、又はパルス繰返し数を増大して)調節することができ、測定された生理学的末端機能が機能障害のステータスの悪化を示す場合は別の方向に漸次的に(例えば、パルス振幅、パルス幅、又はパルス繰返し数を低減して)調節することができる。刺激パラメータの値は、測定された生理学的末端機能が機能障害のステータスの改善を最早示さなくなるまで又はパラメータの限界に到達するまで1つの方向に漸次的に調節することができる。次に、これらの刺激パラメータは、IPG14内にプログラムされるべき刺激パラメータとして選択することができる。
【0036】
別の例として、機能障害のステータスを改善する電極の異なる組合せを選択することができる。一実施形態では、刺激エネルギは、リード12を徐々に上方又は下方に進めることができる。すなわち、刺激エネルギは、測定された生理学的末端機能が機能障害のステータスの改善を示す場合には、1つの方向に徐々に進め、測定された生理学的末端機能が機能障害のステータスの悪化を示す場合には、徐々に別の方向に進めることができる。改善された刺激パラメータ(この場合、この処理の結果生成される電極の組合せ)は、次に、IPG14内にプログラムすることができる。電極の間に刺激エネルギを進めることに関する詳細は、米国特許第6、052、624号に更に開示されている。
【0037】
別の実施形態では、測定された生理学的末端機能を望ましい性能に相関させ、IPG14の過去の性能及び作動制約の知識を用いてIPG14内にプログラムされるべき刺激パラメータを決定することによって、改善された刺激パラメータを決定することができる。例えば、生理学的末端機能のための規範的又は基準的データは、文献で公知であり、上に説明したように刺激パラメータを調節することによって患者の動作又は成績を改善するための参考資料として用いることができる。更に、過去の患者の生理学的成績プロフィールは、患者のデータベースに記録し、調節方法に対して比較することができる。この例は、エネルギ消費と組み合わされた歩行成績とすることができ、この場合、用いられるエネルギ(酸素取り込みにより測定される)と組み合わされた歩行の速度、歩長、歩調、及び関節可動域は、将来の刺激パラメータ調節のための基準として用いることができる。
【0038】
次に図2を参照すると、今度はIPG14の主要内部構成要素を以下に説明する。IPG14は、データバス64に対する制御論理回路62の制御下で、電極26(E1〜E16と呼ぶ)のコンデンサC1〜C16を通じて、特定の振幅の電気刺激パルスを個々に発生させることができるアナログ出力回路60を含む。電気刺激の持続時間(すなわち、刺激パルスの幅)は、タイマ論理回路66により制御される。アナログ出力回路60は、特定の既知のアンペア数の刺激パルスを電極26へ又は電極26から供給するための独立に制御される電流電源、又は電極26に又はその後電極26に接続される多重化電流又は電圧電源まで特定の既知の電圧の刺激パルスを供給するための独立に制御された電圧電源のいずれかを含むことができる。このアナログ出力回路の作動は、規定された振幅及び幅の刺激パルスを発生させるという同じ機能を行うための適切な出力回路の別の実施形態を含み、米国特許第6、516、227号及び第6、993、384号に更に十分に説明されている。
【0039】
IPG14は、IPG14全体の様々なノード又は他の点70のステータス、例えば、電源電圧、温度、及びバッテリ電圧などをモニタするためのモニタリング回路68を更に含む。更に、モニタリング回路68も、電気パラメータデータ(例えば、電極インピーダンス及び/又は電極電場電位)を測定するように構成される。IPG14は、更に、マイクロコントローラ(μC)72の形態の処理回路を更に含み、これは、データバス74にわたって制御論理回路62を制御し、データバス76を通じてモニタリング回路68からステータスデータを得る。IPG14は、更に、タイマ論理回路56を制御する。IPG14は、μC72に連結されたメモリ78、及び発振器及びクロック回路80を更に含む。従って、μC72は、メモリ78、及び発振器及びクロック回路80と組み合わされ、メモリ78に記憶された適切なプログラムに応じてプログラム機能を行うマイクロプロセッサシステムを含む。代替的に、用途によっては、マイクロプロセッサシステムによって提供される機能は、適切な状態機械によって実行することができる。
【0040】
すなわち、μC72は、必要な制御及びステータス信号を発生させ、それによってμC72は、選択された作動プログラム及び刺激パラメータに応じてIPG14の作動を制御することができる。IPG14の作動を制御する際に、μC72は、制御論理回路62及びタイマ論理回路66との組合せで、アナログ出力回路60を用いて刺激パルスを電極26に個々に発生させることができ、それによって、極性、振幅、繰り返し数、パルス幅、及び電流刺激パルスが供給されるチャンネルを制御するために、単極ケース電極を含む他の電極26と各電極26とをペアにするか又はグループ分けすることができる。μC72は、モニタリング回路68により測定された電気パラメータデータをメモリ78に記憶することを容易にする。
【0041】
IPG14は、適切に変調された搬送信号で外部プログラマ(すなわち、RC20又はCP22)からプログラミングデータ(例えば、作動プログラム及び/又は刺激パラメータ)を受け取ると共に充電するための受信コイル82と、受信コイル82を通して受信する搬送信号を復調し、プログラミングデータを回復し、そのプログラミングデータを次にメモリ78内又はIPG14全体に分配された他のメモリ要素(図示せず)に記憶するための回路84とを更に含む。
【0042】
IPG14は、後方向遠隔測定(バックテレメトリ)回路86と、情報データを外部プログラマに送信するための送信コイル88とを更に含む。更に、IPG14の後方向遠隔測定の特徴により、そのステータスを確認することができる。例えば、外部プログラマが、IPG14でプログラミングセッションを開始すると、バッテリ容量は、外部プログラマが再充電するための推定時間を計算することができるように遠隔測定される。電流刺激パラメータに行われるあらゆる変化は、このような変化が埋め込みシステムに確実に正しく受信されて埋め込まれるように後方向遠隔測定によって確認される。更に、外部プログラマにより問い合わせられると、IPG14に記憶された全てのプログラマブル設定は、外部プログラマにアップロードすることができる。
【0043】
IPG14は、作動電力をIPG14に供給するための再充電可能電源90及び電源回路92を更に含む。再充電可能電源90は、例えば、リチウムイオン又はリチウムイオンポリマーバッテリ又は他の形態の再充電可能電力を含む。再充電可能バッテリ90は、電力回路92に無調整電圧を供給する。電力回路92は、次に、様々な電圧94を発生させ、IPG14内に位置する様々な回路の必要性に応じてその一部は調整され、その一部は調整されない。再充電可能電源90は、受信コイル82により受信される整流されたAC電力(又は、他の手段、例えば、「インバータ回路」としても公知の効率的なAC−DC変換器回路によりAC電力から変換されたDC電力)を用いて再充電される。電源90を再充電するために、埋め込みIPG14を覆う患者の皮膚に接触するか又は隣接させて、AC磁場を発生する充電器(図示せず)が配置される。充電器により放出されるAC磁場は、受信コイル82にAC電流を誘導する。充電及び前方向遠隔測定(フォワードテレメトリ)回路84は、このAC電流を整流してDC電流を発生させ、これを用いて電源90を充電する。受信コイル82は、通信(例えば、プログラム及び制御データ)を無線的に受信し、外部装置からエネルギを充電するのに用いられるものとして説明したが、受信コイル82は、専用充電コイルとして配列することができ、双方向遠隔測定のためにコイル88のような別のコイルを用いることができることは理解されるべきである。
【0044】
図2に示すように、IPG14内に含められる回路の大部分は、単一の特定用途向け集積回路(ASIC)96上に達成することができる。それによってIPG14の全体の大きさをかなり小さくすることができ、適切な気密密封ケースに容易に収容することができる。代替的に、IPG14内に含まれる回路の大部分は、米国特許出願公開第2007−0038250号に説明されるように複数のデジタル及びアナログダイ上に配置することができる。例えば、搭載型ソフトウエアで処理機能を行うために特定用途向け集積回路(ASIC)のようなプロセッサチップを設けることができる。電力調節、刺激出力、インピーダンス測定、及びモニタリングを行う段階を含むIPG14の機能性に必要ないくつかのタスクを行うために、アナログIC(AIC)をもたらすことができる。プロセッサICにより促されるとアナログICの刺激回路により出力される電流の刺激レベル及び順序を制御して変更することにより、プロセッサICとアナログICの間の主要インタフェースとして機能するためにデジタルIC(DigIC)を設けることもできる。
【0045】
図2の線図は、機能性のみを示しており、限定するものでないことに注意すべきである。本明細書に示す説明を読めば、ここに示して説明した機能を行う多くの種類のIPG回路又は同等の回路を容易に構築することができ、その機能には、選択した群の電極に刺激電流又は電圧を発生させることだけでなく、活性化又は非活性化電極の電気パラメータデータを測定する機能も含まれる。このような測定により、以下により詳細に説明するように、インピーダンス(本発明の第1の実施形態と共に用いられる)を決定することができ、電界電位(本発明の第2の実施形態と共に用いられる)を測定することができる。
【0046】
上に説明したもの及び他のIPGに関する付加的な詳細は、米国特許第6、516、227号、米国特許公開第2003/0139781号、及び第2005−0267546号に見出すことができる。代替的に、IPGではなく、DBSシステム10が、刺激リード12に接続された埋め込み可能受信機−刺激器(図示せず)を用いることができることに注意すべきである。この場合、電磁リンクを通じて受信機−刺激器に誘導的に連結された外部制御器内に、埋め込み受信機、及び受信機−刺激器に命令する制御回路に電力を供給するための電源、例えば、バッテリが含まれることになる。データ/電力信号は、埋め込み受信機−刺激器の上に配置されたケーブル接続送信コイルから経皮的に連結される。埋め込み受信機−刺激器は、この信号を受信し、制御信号に応じて刺激を発生させる。
【0047】
患者モニタ18は、様々なモニタリング装置のうちのいずれか1つの形態を取ることができ、そのいくつかは市販されている。患者モニタ18は、患者の生理学的末端機能を測定する周辺装置と、測定した生理学的末端機能に基づいて患者の機能障害を定量化するコンピュータのようなプロセッサとを含むことができる。プロセッサは、CP22(又はRC20)と別々のものとすることができ、又はプロセッサの一部又は全部がCP22(又はRC20)に組み込まれる。
【0048】
例えば、患者モニタ18は、筋肉痙縮(振戦)又は筋肉制限(例えば、運動緩徐又は硬直)を伴う機能障害を客観的に定量化する定量的運動評価システムとすることができる。パーキンソン病を受ける患者専用に設計された例示的な定量的運動評価システムは、CleveMedによりParkinSense(登録商標)及びKinesia(登録商標)で販売されている。ParkinSense(登録商標)及びKinesia(登録商標)システムは、生理学的測定を行うために患者の指に配置されるリングセンサと、ケーブルを通じて手首モジュールに電気的に連結されてバッテリ電力、メモリ、及び実時間送信を供給する手首モジュールとを用いて患者に取り付けることができる携帯用無線装置である。リングセンサは、3次元運動の検出を行うことができる(3つのジャイロスコープを用いて直交角速度を取得し、3つの加速度計を用いて直交加速度を得る)。手首モジュールに電気的に連結された付加的な電極を患者の皮膚に取り付けて筋肉活動(筋電図)を検出することができる。得られる生理学的データは、手首モジュールからコンピュータに無線的に送信され(Bluetooth無線通信を用いて)、そこで、そのデータに基づいて運動性疾患が定量化される。コンピュータは、記録したデータファイルを管理して精査するためのデータベースと、客観的スコアをもたらす「統一パーキンソン病評価尺度」に基づいて運動試験を行う患者又は臨床医を案内する臨床ビデオとを提供するソフトウエアインタフェースを有する。
【0049】
別の例として、患者モニタ18は、神経筋トルク及びパワーに関わる機能障害及びそれがもたらす四肢運動を客観的に定量化する等運動性筋力計とすることができる。神経筋試験を行うように特に設計された例示的な等運動性筋力計は、Biodexシステム3(登録商標)でBiodexにより販売されている。Biodexシステム3(登録商標)は、患者の四肢の運動に関わる様々な身体運動を行うために患者を位置決めすることができる位置決め椅子と、身体運動を制御して実行し、患者の神経筋機能を定量的に測定するためのコンピュータシステムとを含む。
【0050】
更に別の例として、患者モニタ18は、平衡性に関わる機能障害を客観的に定量化する平衡性試験装置とすることができる。平衡性試験を行うように特に設計された例示的な平衡性試験装置は、「Balance System SD(登録商標)」でBiodexにより販売されている。「Balance System SD(登録商標)」は、患者が立つ基部と、様々な平衡性試験を通して患者を案内する視覚的バイオフィードバックディスプレイを備えたコンピュータシステムとを含む。基部は、コンピュータシステムにより巧みに操作され、静止(基部は安定したままである)又は動的(基部が動く)フォーマットのいずれかで試験を行うことができる。コンピュータシステムは、様々なバイオフィードバックを表示し、平衡性試験を行うように促し、これらの平衡性試験の成績に基づいて平衡を取る患者の機能を定量化する。
【0051】
更に別の例として、患者モニタ18は、姿勢、平衡性、運動制御、及び歩行を含むあらゆる数の態様に関わる機能障害を客観的に定量化する運動追跡システムとすることができる。例示的な運動追跡システムは、Viconにより「Peak Motus(登録商標)」で販売されている。「Peak Motus(登録商標)」運動追跡システムは、部屋の周囲に装着された幾つかの高速ビデオカメラと、患者の身体の様々な場所に装着された幾つかの反射マーカと、患者が移動する時に検出される反射マーカの画像に基づいて関節の屈曲/伸展を含む患者の四肢の運動を追跡するためのコンピュータとを含む。追跡された運動に基づいて、コンピュータは、患者の姿勢、平衡性、運動制御、及び歩行を定量化することができる。
【0052】
本明細書では、生理学的末端機能を測定するための非侵襲性の手段を説明するが、生理学的末端機能を測定するための侵襲性の手段を用いることもできる。例えば、患者の四肢内に角度計を埋め込み、四肢の関節の屈曲/伸展を測定することができる。角度計のような侵襲性の手段を用いると、生理学的末端機能を連続的に(又は少なくとも更に高頻度に)測定することができるという点で有利である。
【0053】
今度は図3を参照し、RC20の1つの例示的な実施形態を以下に説明する。上述のように、RC20は、IPG14、患者モニタ18、又はCP22と通信することができる。RC20は、内部構成要素(プリント回路基板(PCB)を含む)を収容するケーシング100と、ケーシング100の外側に装着された照明ディスプレイスクリーン102及びボタンパッド104とを含む。図示の実施形態では、ディスプレイスクリーン102は、照明されたフラットパネルディスプレイスクリーンであり、ボタンパッド104は、フレックス回路を覆って金属ドームが位置決めされた薄膜スイッチと、PCBに直接接続したキーパッドコネクタとを含む。ボタンパッド104は、一連のボタン106、108、110、及び112を含み、それによってIPG22をオン及びオフにし、IPG14内の刺激パラメータを調節又は設定し、スクリーンを選択することができる。
【0054】
図示の実施形態では、ボタン106は、IPG14をオン及びオフにするように作動させることができるオン/オフボタンとして働く。ボタン108は、RC20がスクリーンディスプレイ及び/又はパラメータを切り換えることができる選択ボタンとして働く。ボタン110及び112は、パルス振幅、パルス幅、及びパルス繰返し数を含むIPG14によって発生されるパルスの刺激パラメータのいずれかを増分又は減分するように作動させることができるアップ/ダウンボタンとして働く。例えば、選択ボタン108は、アップ/ダウンボタン110、112を通じてパルス振幅を調節することができる「パルス振幅調節モード」、アップ/ダウンボタン110、112を通じてパルス幅を調節することができる「パルス幅調節モード」、及びアップ/ダウンボタン110、112を通じてパルス繰返し数を調節することができる「パルス繰返し数調節モード」にRC16をセットするように作動させることができる。代替的に、各刺激パラメータに対して専用アップ/ダウンボタンを設けることができる。代替的に、アップ/ダウンボタンを使わずに、ダイヤモンドル、スライダバー、又はキーボードのようなあらゆる他の種類のアクチュエータを用いて刺激パラメータを増分又は減分することができる。従って、RC20内にプログラムされたあらゆる刺激パラメータ及び従ってIPG14は、キーパッド104の操作を通じて使用者により調節することができることを認めることができる。RC20は、上述のように手動プログラムモード又は自動プログラムモードのいずれかにRC20を配置するように作動させることができる別のボタン(図示せず)を有することができる。
【0055】
図4を参照して、今度は例示的なRC20の内部構成要素を以下に説明する。RC20は、一般的に、プロセッサ114(例えば、マイクロコントローラ)、プロセッサ114によって実施される作動プログラム、及び刺激パラメータを記憶するメモリ116、入力/出力回路、より詳細には、刺激パラメータをIPG22に出力し、IPG14からステータス情報を受け取るための遠隔測定回路118、及びボタンパッド104から刺激制御信号を受け取り、ディスプレイスクリーン102(図3に示す)にステータス情報を送信するための入力/出力回路120を含む。簡潔にするために本明細書には説明しないRC20の他の機能を制御するのと同様に、プロセッサ114は、ボタンパッド104を使用者が操作することに応じて新しい刺激パラメータを発生させる。これらの新しい刺激パラメータは、次に、IPG14に記憶された刺激パラメータを調節し及び/又はこの刺激パラメータでIPG14をプログラムするように遠隔測定回路118を通じてIPG14に送信される。更に、遠隔測定回路118は、CP22から刺激パラメータ及び/又は患者モニタ18から生理学的末端機能情報又は定量化機能障害情報を受け取るのに用いることもできる。RC20の機能性及び内部構成要素は、米国特許第6、895、280号により詳細に開示されている。
【0056】
上に簡潔に説明したように、埋め込み後にIPG14のプログラマブルメモリの刺激パラメータを修正してプログラムする段階は、IPG14と直接通信するかRC16を通じてIPG14と間接的に通信することができるCP22を用いて医師又は臨床医が行うことができる。図1に示すように、CP22の全体的な外観は、ラップトップパーソナルコンピュータ(PC)の外観であり、実際には、本明細書に説明する機能を行うように適切に構成されたPCを用いて実行することができる。従って、このプログラムの方法は、CP22に含まれるソフトウエアの命令を実行することによって実施することができる。代替的に、このようなプログラムの方法は、ファームウエア又はハードウエアを用いて行うことができる。いずれにせよ、CP22は、測定された生理学的末端機能又は定量化された機能障害情報に基づいて、改良刺激パラメータを決定し、次に最適又は有効な刺激パラメータでIPG14をプログラムする。
【0057】
この目的を達成するために、ここで、図5を参照してCP22の機能的構成要素を以下に説明する。CP22は、一般的に、プロセッサ122(例えば、中央演算プロセッサ(CPU))と、臨床医がIPG14内にプログラムされる刺激パラメータを選択的に調節することができるようにプロセッサ122を実行することができるソフトウエアを記憶するためのメモリ124とを含み、CP22が自動モードの時には、患者モニタ18から受け取った測定された生理学的末端機能又は定量化された機能障害情報に基づいて、IPG14内にプログラムされるべき刺激パラメータを自動的に決定する。CP22は、標準ユーザインタフェース124(例えば、臨床医が情報を入力し、処理を制御することができるようにキーボード、マウス、ジョイスティック、ディスプレイ、その他)と、患者モニタ18から生理学的末端機能情報又は定量化された機能障害情報を受け取り、IPG14に記憶された刺激パラメータを調節又はプログラムするためにIPG14に刺激パラメータを出力するための遠隔測定回路126とを更に含む。米国特許第6、909、917号には、更に、CPを説明する詳細が開示されている。
【0058】
DBSシステム10の構造及び機能を説明したが、ここで、図6を参照してその作動を以下に説明する。最初に、刺激リード12、延長部24、及びIPG14が、患者内に埋め込まれる(段階130)。より詳細には、図7を参照すると、刺激リード12は、患者160の頭蓋骨166に形成されたバリ穴164を通して導入され、その電気活動が機能障害(例えば、腹側外側視床、淡蒼球内節、黒質網様部、視床下核、又は淡蒼球外節)の原因であるターゲット組織領域に電極26が隣接するように、従来の様式で患者160の脳162の実質に導入される。従って、刺激エネルギは、電極26からターゲット組織領域まで運ばれて機能障害のステータスを変化させることができる。
【0059】
IPG14は、一般的に、患者の胴体(例えば、胸部又は肩領域)に外科的に生成されたポケットに埋め込むことができる。勿論、IPG14は、患者の身体の他の部位に埋め込むことができる。リード延長部24は、皮下的に患者の頭皮の下でIPG埋め込み部位まで進めることができ、IPG14を刺激リード12の出口点から離れて配置することが容易になる。別の実施形態では、IPG14は、米国特許第6、920、359号に説明するように、患者の頭蓋骨166上又はその内部に直接埋め込むことができる。この場合、リード延長部24は、必要でないこともある。埋め込み後、IPG14を用いて、患者の管理下で治療的刺激を与える。
【0060】
次に、臨床医がIPG14内に刺激パラメータをプログラムするようにCP22を作動する(段階132〜段階140)。CP22は、手動モード又は自動モード(段階132)のいずれかで作動させてIPG14内に刺激パラメータをプログラムすることができる。CP22が手動モードで作動される場合には、臨床医は、従来の様式でIPG14内にプログラムされる刺激パラメータを決定し(段階134)、その後、IPG14内にCP22を通じてこれらの刺激パラメータをプログラムする(段階136)。CP22が自動モードで作動される場合には、患者モニタ18を作動させて、機能障害のステータスの変化を示す生理学的末端機能を測定し、任意的に、測定した生理学的末端機能に基づいて機能障害を定量化し(段階138)、CP22は、測定された生理学的末端機能又は定量化された機能障害に基づいて刺激パラメータ(好ましくは最適に又は最も有効に)を自動的に決定する(段階140)。例示的な1つの方法では、CP22は、手動モードで作動して、刺激パラメータを決定するための開始点として臨床医の熟練した判断を利用し、その後、自動モードで作動して刺激パラメータを微調整することができる。CP22は、例えば、上述の発見的(ヒューリスティックな)又は相関的な方法を用いることによって刺激パラメータを自動的に決定することができる。CP22は、次に、臨床医の助けを借りるか借りることなく(すなわち、IPG14を刺激パラメータで自動的にプログラムするか、又は刺激パラメータを臨床医に提案し、次に、この臨床医が、RC14が提案された刺激パラメータをIPG内にプログラムするように促すことを可能にするかのいずれかにより)これらの刺激パラメータをIPG内にプログラムする(段階136)。
【0061】
一旦DBSシステム10が患者に適切に取り付けられると、IPG14内にプログラムされた刺激パラメータは、臨床場面外の遠隔サイトで調節することができる(段階142〜段階154)。より詳細には、RC20は、任意的に、CP22と同様の方法で、手動モードと自動モードとの間で作動させることができる(患者モニタ18が着装携行式であるか、又は他の方法で患者の家に維持するのに費用効率がよいと仮定する)(段階142)。注意すべきことには、自動モードの間に起こる場合がある効果の範囲を制限することが必要である場合があり、そうでなければ、処理の完全自動作動をモニタするために臨床医が判断又は介入することが必要である場合がある。RC20が手動モードで作動される場合には、患者は、従来の様式でIPG14内にプログラムするべき刺激パラメータを決定することができ(典型的には、RC20を用いて、単にIPG14内に既にプログラムされている刺激パラメータを調節する)(段階144)、その後、RC20を通じてIPG14内に調節刺激パラメータを再プログラムすることができる(段階146)。RC20が自動モードで作動される場合には、患者モニタ18は、機能障害のステータスの変化を示す生理学的末端機能を測定し、任意的に、測定した生理学的末端機能に基づいて機能障害を定量化するように作動され(段階148)、RC20は、測定された生理学的末端機能又は定量化された機能障害に基づいて、刺激パラメータ(好ましくは最適に又は最も有効に)を自動的に決定し(段階150)、患者介入あり又はなしでこれらの刺激パラメータをIPG14内にプログラムする(段階152)。疾病の進行、運動再学習などによる機能障害の変化を補償するため、自動モードでのRC20の作動を連続的に行うことができる(段階148〜段階152を反復して行うことによって)。追跡又はフォローアッププログラミングセッションが必要である場合は(段階154)、段階132〜段階140を繰り返すことができる。
【0062】
IPG又は他の埋め込み可能装置をプログラムすることに関してDBSシステム10及びそれを用いる方法を説明したが、同様に、外部試験刺激(ETS)(図示せず)のような外部装置をプログラムすることができることに注意すべきである。ETSとIPG14の間の主な差は、ETSは、刺激リード12が埋め込まれた後でIPG14を埋め込む前に試験的に用いられ、与えられる刺激の反応性を試験する非埋め込み可能装置であることである。例示的なETSは、米国特許第6、895、280号により詳細に説明されている。
【0063】
本発明の特定的な実施形態を示して説明したが、これは、本発明を好ましい実施形態に限定することを意図しておらず、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく様々な変化形態及び修正を作ることができることは当業者には明らかであることは理解されるであろう。従って、本発明は、特許請求の範囲によって定められる本発明の精神及び範囲に含むことができる変形、修正、及び均等物を含むように想定されている。
【符号の説明】
【0064】
10 DBSシステム
12 埋め込み可能刺激リード
14 埋め込み可能パルス発生器(IPG)
16 外部充電器
18 患者モニタ
24 臨床医のプログラマ(CP)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
機能障害を有する患者に療法を提供する方法であって、
神経刺激器からの刺激エネルギを患者の組織領域内に位置する少なくとも1つの埋め込み電極に伝達し、それによって機能障害のステータスを変化させる段階と、
前記機能障害の前記変化したステータスを示す患者の生理学的末端機能を測定する段階と、
前記測定した生理学的末端機能に基づいて前記神経刺激器内に少なくとも1つの刺激パラメータをプログラムする段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記機能障害は、神経学的疾患により引き起こされることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記機能障害は、運動機能障害であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記組織領域は、脳に位置することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記測定した生理学的末端機能は、運動学的機能、電気筋肉インパルス、及び音声パターンのうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記生理学的末端機能は、非侵襲的に測定されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記少なくとも1つの刺激パラメータは、パルス振幅、パルス幅、パルス繰返し数、及び電極組合せのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1つの刺激パラメータに従って前記神経刺激器から患者の前記組織領域へ刺激エネルギを伝達し、それによって前記機能障害の前記ステータスを改善する段階を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記測定した生理学的末端機能に基づいて前記機能障害を定量化する段階、を更に含み、
前記少なくとも1つの刺激パラメータは、前記定量化された機能障害に基づいて前記神経刺激器内にプログラムされる、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記測定した生理学的末端機能に応答して前記少なくとも1つの刺激パラメータを自動的に決定する段階を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの刺激パラメータの前記自動的決定は、発見的に行われることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つの刺激パラメータの前記自動的決定は、前記測定した生理学的末端機能を所定のデータセットに相関させることによって行われることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項13】
患者内に前記神経刺激器を埋め込む段階を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項14】
少なくとも1つの電気端子と、
前記少なくとも1つの電気端子に刺激エネルギを出力するように構成された出力刺激回路と、
前記出力刺激回路によって出力される前記刺激エネルギを制御するように構成された制御回路と、
患者の機能障害の変化したステータスを示す患者の生理学的末端機能を測定するように構成されたモニタリング回路と、
前記測定した生理学的末端機能に基づいて少なくとも1つの刺激パラメータを用いて前記制御回路をプログラムするように構成された処理回路と、
を含むことを特徴とする神経刺激システム。
【請求項15】
前記機能障害は、運動機能障害であることを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記測定した生理学的末端機能は、運動学的機能、電気筋肉インパルス、及び音声パターンのうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項17】
前記モニタリング回路は、前記生理学的末端機能を非侵襲的に測定するように構成されていることを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項18】
前記少なくとも1つの刺激パラメータは、パルス振幅、パルス幅、パルス繰返し数、及び電極組合せのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項19】
前記処理回路は、前記出力刺激回路が前記少なくとも1つの電気端子に前記刺激エネルギを出力した時に前記機能障害の前記ステータスを改善するように、前記少なくとも1つの刺激パラメータを用いて前記制御回路をプログラムするように構成されていることを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項20】
前記モニタリング回路は、前記測定した生理学的末端機能に基づいて前記機能障害を定量化するように構成され、前記処理回路は、該定量化した機能障害に基づいて前記制御回路内に前記少なくとも1つの刺激パラメータをプログラムするように構成されていることを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項21】
前記処理回路は、前記測定した生理学的末端機能に応答して前記少なくとも1つの刺激パラメータを自動的に決定するように構成されていることを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項22】
前記処理回路は、前記少なくとも1つの刺激パラメータの前記自動的決定を発見的に行うように構成されていることを特徴とする請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記処理回路は、前記測定した生理学的末端機能を所定のデータセットに相関させることによって、前記少なくとも1つの刺激パラメータの前記自動的決定を行うように構成されていることを特徴とする請求項21に記載のシステム。
【請求項24】
前記処理回路から前記制御回路へ前記少なくとも1つの刺激パラメータを無線的に運ぶように構成された遠隔測定回路を更に含むことを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項25】
前記少なくとも1つの電気端子、出力刺激回路、及び制御回路を収容して神経刺激器を形成するケースを更に含むことを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項26】
前記神経刺激器は、埋め込み可能であることを特徴とする請求項25に記載のシステム。
【請求項27】
前記モニタリング回路及び前記処理回路は、1つ又はそれよりも多くのコンピュータ内に収容されたことを特徴とする請求項14に記載のシステム。
【請求項28】
神経刺激器のための外部プログラマであって、
患者の機能障害の変化したステータスを示す情報を受け取るように構成された入力回路と、
前記受け取った情報に基づいて少なくとも1つのプログラマブル刺激パラメータを自動的に決定するように構成された処理回路と、
前記プログラマブル刺激パラメータを神経刺激器に送信するように構成された出力回路と、
を含むことを特徴とする外部プログラマ。
【請求項29】
前記情報は、測定された生理学的末端機能であることを特徴とする請求項28に記載のプログラマ。
【請求項30】
前記測定された生理学的末端機能は、運動学的機能、電気筋肉インパルス、及び音声パターンのうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項29に記載のプログラマ。
【請求項31】
前記情報は、定量化された機能障害であることを特徴とする請求項28に記載のプログラマ。
【請求項32】
前記少なくとも1つのプログラマブル刺激パラメータは、パルス振幅、パルス幅、パルス繰返し数、及び電極組合せのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項28に記載のプログラマ。
【請求項33】
前記処理回路は、前記少なくとも1つのプログラマブル刺激パラメータに従って刺激エネルギが患者に送出された時に前記機能障害の前記ステータスが改善するように、前記少なくとも1つのプログラマブル刺激パラメータを規定するように構成されていることを特徴とする請求項28に記載のプログラマ。
【請求項34】
前記処理回路は、前記少なくとも1つのプログラマブル刺激パラメータの前記自動的決定を発見的に行うように構成されていることを特徴とする請求項28に記載のプログラマ。
【請求項35】
前記処理回路は、前記受け取った情報を所定のデータセットに相関させることによって、前記少なくとも1つのプログラマブル刺激パラメータの前記自動的決定を行うように構成されていることを特徴とする請求項28に記載のプログラマ。
【請求項36】
前記出力回路は、遠隔測定回路を含むことを特徴とする請求項28に記載のプログラマ。
【請求項37】
前記入力回路、処理回路、及び出力回路は、単一のケースに収容されたことを特徴とする請求項28に記載のプログラマ。
【請求項38】
機能障害を有する患者に療法を提供する方法であって、
患者の組織領域に隣接して少なくとも1つの電極を配置する段階と、
少なくとも1つの刺激パラメータに従って前記少なくとも1つの電極から前記組織領域へ刺激エネルギを伝達し、それによって機能障害のステータスを変化させる段階と、
前記機能障害の前記変化したステータスを示す患者の生理学的末端機能を測定する段階と、
前記測定した生理学的末端機能に基づいて前記少なくとも1つの刺激パラメータを自動的に調節する段階と、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項39】
前記機能障害は、神経学的疾患によって引き起こされることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記機能障害は、運動機能障害であることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項41】
前記組織領域は、脳に位置することを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項42】
前記少なくとも1つの刺激パラメータは、パルス振幅、パルス幅、パルス繰返し数、及び電極組合せのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項43】
前記測定した生理学的末端機能は、運動学的機能、電気筋肉インパルス、及び音声パターンのうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項44】
前記生理学的末端機能は、非侵襲的に測定されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項45】
前記測定した生理学的末端機能に基づいて前記機能障害を定量化する段階、を更に含み、
前記少なくとも1つの刺激パラメータは、前記定量化した機能障害に基づいて自動的に調節される、
ことを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項46】
前記少なくとも1つの刺激パラメータは、前記機能障害の前記ステータスを改善するために自動的に調節されることを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項47】
前記少なくとも1つの刺激パラメータの値が、前記測定した生理学的末端機能が前記機能障害の前記ステータスの改善を示す場合に1つの方向に調節され、かつ該測定した生理学的末端機能が該機能障害の該ステータスの悪化を示す場合に別の方向に調節されることを特徴とする請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記少なくとも1つの調節された刺激パラメータに従って前記少なくとも1つの電極から前記組織領域へ刺激エネルギを伝達し、それによって前記機能障害の前記ステータスを変化させる段階を更に含むことを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項49】
神経刺激器を患者内に埋め込む段階と、
前記少なくとも1つの電極を前記神経刺激器に連結する段階と、
前記少なくとも1つの調節した刺激パラメータを用いて前記神経刺激器をプログラムする段階と、
を更に含むことを特徴とする請求項38に記載の方法。
【請求項50】
少なくとも1つの電気端子と、
少なくとも1つの刺激パラメータに従って前記少なくとも1つの電気端子に刺激エネルギを出力するように構成された出力刺激回路と、
患者の機能障害の変化したステータスを示す患者の生理学的末端機能を測定するように構成されたモニタリング回路と、
前記測定した生理学的末端機能に基づいて前記少なくとも1つの刺激パラメータを調節するように構成された処理回路と、
を含むことを特徴とする神経刺激システム。
【請求項51】
前記機能障害は、運動機能障害であることを特徴とする請求項50に記載のシステム。
【請求項52】
前記測定した生理学的末端機能は、運動学的機能、電気筋肉インパルス、及び音声パターンのうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項50に記載のシステム。
【請求項53】
前記モニタリング回路は、前記生理学的末端機能を非侵襲的に測定するように構成されていることを特徴とする請求項50に記載のシステム。
【請求項54】
前記少なくとも1つの刺激パラメータは、パルス振幅、パルス幅、パルス繰返し数、及び電極組合せのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項50に記載のシステム。
【請求項55】
前記モニタリング回路は、前記測定した生理学的末端機能に基づいて前記機能障害を定量化するように更に構成され、
前記処理回路は、前記定量化した機能障害に基づいて前記少なくとも1つの刺激パラメータを自動的に調節するように構成されている、
ことを特徴とする請求項50に記載のシステム。
【請求項56】
前記処理回路は、前記機能障害の前記ステータスを改善するために前記少なくとも1つの刺激パラメータを自動的に調節するように構成されていることを特徴とする請求項50に記載のシステム。
【請求項57】
前記制御回路は、前記測定した生理学的末端機能が前記機能障害の前記ステータスの改善を示す場合に前記少なくとも1つの刺激パラメータの値を1つの方向に調節するように構成され、かつ該測定した生理学的末端機能が該機能障害の該ステータスの悪化を示す場合に別の方向に調節されることを特徴とする請求項56に記載のシステム。
【請求項58】
前記少なくとも1つの電気端子に電気的に連結された少なくとも1つの電極を担持する刺激リードを更に含むことを特徴とする請求項50に記載のシステム。
【請求項59】
遠隔測定回路、を更に含み、
前記処理回路は、前記少なくとも1つの刺激パラメータを無線的に調節するように構成される、
ことを特徴とする請求項50に記載のシステム。
【請求項60】
ケース、を更に含み、
前記少なくとも1つの電気端子及び前記出力刺激回路は、前記ケースに収容されて神経刺激器を形成する、
ことを特徴とする請求項50に記載のシステム。
【請求項61】
前記神経刺激器は、埋め込み可能であることを特徴とする請求項60に記載のシステム。
【請求項62】
前記モニタリング回路及び前記処理回路は、1つ又はそれよりも多くのコンピュータ内に収容されたことを特徴とする請求項50に記載のシステム。
【請求項63】
神経刺激器のためのプログラマであって、
患者の機能障害のステータスを示す情報を受け取るように構成された入力回路と、
前記受け取った情報に基づいて少なくとも1つの刺激パラメータを自動的に調節するように構成された処理回路と、
前記少なくとも1つの調節された刺激パラメータを前記神経刺激器に送信するように構成された出力回路と、
を含むことを特徴とするプログラマ。
【請求項64】
前記少なくとも1つの刺激パラメータは、パルス振幅、パルス幅、パルス繰返し数、及び電極組合せのうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項63に記載のプログラマ。
【請求項65】
前記情報は、測定した生理学的末端機能であることを特徴とする請求項63に記載のプログラマ。
【請求項66】
前記測定した生理学的末端機能は、運動学的機能、電気筋肉インパルス、及び音声パターンのうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項63に記載のプログラマ。
【請求項67】
前記情報は、定量化された機能障害であることを特徴とする請求項63に記載のプログラマ。
【請求項68】
前記処理回路は、前記機能障害の前記ステータスを改善するために前記少なくとも1つの刺激パラメータを自動的に調節するように構成されていることを特徴とする請求項63に記載のプログラマ。
【請求項69】
前記制御回路は、前記情報が前記機能障害の前記ステータスの改善を示す場合に前記少なくとも1つの刺激パラメータの値を1つの方向に調節するように構成され、かつ該情報が該機能障害の該ステータスの悪化を示す場合に別の方向に調節されることを特徴とする請求項63に記載のプログラマ。
【請求項70】
前記出力回路は、遠隔測定回路であることを特徴とする請求項63に記載のプログラマ。
【請求項71】
前記入力回路、処理回路、及び出力回路は、単一のケースに収容されたことを特徴とする請求項63に記載のプログラマ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−502581(P2011−502581A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532294(P2010−532294)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【国際出願番号】PCT/US2008/082075
【国際公開番号】WO2009/059197
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(507213592)ボストン サイエンティフィック ニューロモデュレイション コーポレイション (34)
【Fターム(参考)】