説明

混合攪拌容器

【課題】容器内の粉粒体又は粘稠体の内容物を混合攪拌するため、すべての内容物を移動させ混合攪拌する攪拌器とその攪拌器を装備した混合攪拌容器を提供する。
【解決手段】上下左右対称な攪拌器(3)と天と地に蓋(1)を持ち、攪拌器2個を内部の上下に装備する四角柱型の筒状容器(2)を開発した。混合攪拌容器の天地を逆さにすると、内容物(5)(6)が攪拌器を出入りする際に容量の3分の1と3分の2に分かれ、その差分が左右方向に均されて混じり合い、また同時に内容物は全体が内側と外側へ攪拌される。また混合攪拌容器を反転させ内容物は下から上に移動しているので、内容物は左右、内外、上下の3方向への移動が合わさって混合攪拌される。したがって動力を使用せず混合攪拌容器を回転させて内容物のすべてを移動させ、底から隅々にいたるまでまんべんなく内容物を混合攪拌できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粉粒体又は粘稠体を混合攪拌する攪拌器を装備する混合攪拌容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来容器に入った粉粒体又は粘稠体を混合攪拌するには、動力を使用しで容器を回転する(特許文献1を参照)、手動で容器内の羽根等を回転する(特許文献2を参照)、また動力で容器と羽根を回転するもの(特許文献3を参照)があるが、動力を使用せず容器内のすべての内容物を動かし、容器の底から隅々にいたるまで混合攪拌するものがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開1995−256076
【特許文献2】特開2002−58422
【特許文献3】特開2005−262156
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする問題点は、容器に入った粉粒体又は粘稠体の内容物のすべてを動かし、容器の底から隅々にいたるまで混合攪拌することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の混合攪拌容器(請求項2)は天と地にそれぞれ蓋を有し、内部の上下に請求項1記載の攪拌器を1個ずつ装備できる角柱の筒で、長さは攪拌器の高さの3倍程度の筒内に攪拌器の落下を防止する桟と攪拌器の誤挿入を防止する止を持つ。攪拌器(請求項1)は4個の合同な滑り部材を接続して構成され、滑り部材は内部が空洞の三角錐で、三角錐の稜線の一つは底面に対して垂直である。その三角錐の底面に垂直な2つの面は、底面に対して傾斜する稜線の中点と、三角錐の頂点及び底面に垂直な稜線が接する点を結んで出来る三角形の面がそれぞれ取り除かれている。滑り部材の2個は頂点を上方に他の2個は頂点を下方に向け、1個ずつ交互にそれぞれの底面に対して垂直な稜線同士を接続して構成している。内容物を混合攪拌容器の容量の3分の2程度まで入れ、混合攪拌容器を縦方向に1回反転するとすべての内容物は上と下の攪拌器を出入りし混合攪拌される。
【発明の効果】
【0006】
本発明は混合攪拌容器を縦方向に回転させるので、すべての内容物が落下移動する。混合攪拌容器の容量の3分の2程度まで入った内容物は、混合攪拌容器の1回の反転で上になった攪拌器から内容物の全体の2分の1が出て、下になった攪拌器に残りの2分の1の内容物が入るのですべての内容物が攪拌器を出入りする。攪拌器の形状により、攪拌器を出入りする際の内容物はその容量差で水平方向に均され、また同時に内外の方向へ移動することによって混合攪拌される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】攪拌器を装備した混合攪拌容器の図である。
【図2】攪拌器を装備した混合攪拌容器に内容物が入った状態図である。(実施例)
【図3】攪拌器の図である。
【図4】攪拌器の滑り部材(31)、(32)及び(33)の位置をずらした図である。
【図5】滑り部材(31)における内容物の移動を示す図である。
【図6】滑り部材(32)における内容物の移動を示す図である。
【図7】攪拌される内容物の容量区分を示す図である。
【図8】攪拌器を出入りする内容物の容量差分の移動を示す図である。
【図9】混合攪拌容器の俯瞰図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は図1で示すような上下に蓋(1)のある四角柱型の筒状で、上下それぞれに固定しない攪拌器(3)を装備し、容器(2)の中央部分には攪拌器の落下を止める桟(4)を持つ容器である。容器の筒の長さは攪拌器の高さの3倍程度である。
【実施例】
【0009】
図2で示すように容器容量の3分の2程度まで粉粒体又は粘稠体の内容物を入れた混合攪拌容器(2)を水平方向を軸にして縦方向に半回転すると、混合攪拌容器の中央部分にあった内容物(6)は下の攪拌器(3)へ落下移動する。また天に移動した攪拌器(3)は中央部分の桟(4)で止まり、攪拌器内にあった内容物(5)は攪拌器を出て混合攪拌容器の中央部に落下移動し、内容物の全体が攪拌される。図2は混合攪拌容器を反転させた直後の状態であり、内容物(5)及び(6)は落下移動する直前の状態である。
【0010】
攪拌器を図3で示し、図4でその構造を示す。攪拌器は4個の合同な滑り部材を接続して構成され、滑り部材は内部が空洞の三角錐で、三角錐の稜線の1つは底面に対して垂直である。その三角錐の底面に垂直な2つの面は、底面に対して傾斜する稜線の中点と、三角錐の頂点及び底面に垂直な稜線が接する点を結んで出来る三角形の面がそれぞれ取り除かれている。4図において滑り部材(31)は水平方向に180度回転させた(33)と対向し、底面に垂直な稜線(2つの面が取り除かれているので稜線は見えないが、三角錐の頂点と底面に垂直な稜線が接した点を結ぶ線)同士を接続する。(32)は(31)を縦方向に180度回転したもので、水平方向に180度回転させた(34)と対向している。同様に底面に垂直な稜線(2つの面が取り除かれているので実線は見えないが、三角錐の頂点と底面に垂直な稜線が接した点を結ぶ線)同士を接続する。最終的に4個の滑り部材の底面に垂直な稜線同士をすべて接続して1個の攪拌器を構成する。
【0011】
滑り部材の傾斜面の水平方向に対する角度は混合攪拌する粉粒体や粘稠体の安息角より大きくする。図5で示すように、滑り部材(31)の傾斜面を滑落する内容物は量的に外から中に向かって滑り部材(32)と(34)の傾斜面下の中央2方向に、また図6で示すように、滑り部材(32)の傾斜面を滑落する内容物は量的に内から外に向かって滑り部材(31)と(33)の傾斜面下の外側2方向に移動する。滑り部材(33)については(31)と、滑り部材(34)については(32)と同様となる。
【0012】
図7で示すように内容物は攪拌器に入る際に(A)と(B)のように2区分ずつ4分され、三角錐の容積は同じ底面積の三角柱の3分の1であるから、攪拌器内部に入る容量(A)は攪拌器の容積全体の3分の1となり、容量(B)は攪拌器の容積全体の3分の2となって(B)の容量は(A)の2倍となり容量差が生じる。
【0013】
従って図8で示すように底から天に移動した攪拌器内の内容物は混合攪拌容器中央部に落下移動し、内容物の容量の差分(C)は矢印の方向に均される。また混合攪拌容器中央部にあった内容物は下部の攪拌器に入るので、その容量の差分(D)は矢印の方向に均され先の差分と合わせて均されることになる。図8では説明上混合攪拌容器の奥半分について示し、実際には手前半分でも同様に均されている。従って内容物(A)と(B)は攪拌器に出入りする内容物(A)の3分の4の容量が均されて(B)と混じることになる。
【0014】
天に戻った攪拌器は次回の天地入れ替えの際に内容物(A)と(B)の差分が合さるように下の攪拌器と同方向にする必要がある。内容物の取り出しやメンテナンスの際に攪拌器を容器から取り出し再挿入する場合には、攪拌器の方向を合わせる必要がある。図9で示すように混合攪拌容器には攪拌器具が同じ方向入るように内側に止(7)を設けている。
【0015】
本発明の攪拌器の形状により攪拌器を出入りする内容物は全体が内側と外側へのX軸方向、混合攪拌容器の反転による底部が上部及び上部が底部へのY軸方向、および容量差で水平方向に均される分のZ軸方向と合わせて内容物はXYZ軸方向に混合攪拌されることになる。
【0016】
入れる内容物の量は混合攪拌容器の容量の3分の2程度までで、混合攪拌容器の回転速度は、粉粒体や粘稠体の内容物が攪拌器を十分に出入りできる速度より遅くする。内容物の移動は自然落下を利用するものであるから、混合攪拌容器をより低速で回転させれば内容物の損傷は極力少なくできる。混合攪拌容器は透明な素材にすることにより内容物の攪拌の状態が確認でき、攪拌の間隔や回数を任意に決定できる。また混合攪拌容器の蓋の色を違えることにより、天地を入れ替える作業が半日や1日に1回の場合には反転作業の実施、未実施の確認が容易になる。
【0017】
本発明の効果を確かめるため内容物を同重量の白米と大麦で混合攪拌の試験をした。試作した試験器は滑り部材の傾斜面が水平面に対し45度、底辺が100mmで高さが50mmのプラスチック製攪拌器2個を装備し、透明プラスチック製の筒長150mmの混合攪拌容器に352gの白米と同量の大麦を上下に入れ使用した。混合攪拌容器を約2秒で反転させ反転毎に内容物の混合攪拌度合を確認した。内容物は回転回数3回(反転6回)でほぼ混合攪拌され、回転回数5回以上では攪拌度合に差がでなかった。したがって白米と大麦では5回転で混合攪拌できた。
【0018】
本発明の混合攪拌容器は1種類の攪拌器2個、混合攪拌容器本体と上下の蓋の5点の簡単な構成であるから耐久性に優れ、また安価に製作することが出来る。これは使用用途を広げる意味で有利である。また電源や動力の必要がなく使用する場所を選ばず、環境にやさしいものである。操作が非常に簡単であるため使用者に個人差が出ず、また一般家庭で誰でも使用できる。
【符号の説明】
【0019】
1・・・蓋
2・・・混合攪拌容器
3・・・攪拌器
4・・・攪拌器落下防止用の桟
5・・・攪拌器の中の内容物
6・・・中央部の内容物
7・・・攪拌器の止
31・・・滑り部材
32・・・(31)を縦方向に180度回転させた滑り部材
33・・・(31)を水平方向に180度回転した滑り部材
34・・・(32)を水平方向に180度回転した滑り部材
A・・・攪拌器により内側に移動する内容物
B・・・攪拌器により外側に移動する内容物
C・・・(31)下部の内容物で(34)下部の内容物に均され混合する容量差部分
D・・・(31)上部の内容物で(34)上部の内容物に均され混合する容量差部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
攪拌器は4個の合同な滑り部材を接続して構成され、滑り部材は内部が空洞の三角錐で、三角錐の稜線の一つは底面に対して垂直である。その三角錐の底面に垂直な2つの面は、底面に対して傾斜する稜線の中点と、三角錐の頂点及び底面に垂直な稜線が接する点を結んで出来る三角形の面がそれぞれ取り除かれている。滑り部材の2個は頂点を上方に他の2個は頂点を下方に向け、1個ずつ交互にそれぞれの底面に対して垂直な稜線同士を接続して構成している。
【請求項2】
天と地にそれぞれ蓋を有し、内部の上下に請求項1記載の攪拌器を1個ずつ装備できる角柱の筒で、長さは攪拌器の高さの3倍程度の筒内に攪拌器の落下を防止する桟と攪拌器の誤挿入を防止する止を持つ混合攪拌容器。

【図1】
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【図9】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−253388(P2010−253388A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−106577(P2009−106577)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(507071958)
【Fターム(参考)】