説明

混雑度報知装置、プログラム、および混雑度報知方法

【課題】店舗全体での商品の登録業務の効率化を図るとともに、繁忙時の顧客の会計待ちの不満を軽減する。
【解決手段】実施形態の混雑度報知装置は、取込手段と、認識手段と、算出手段と、報知手段と、を備える。前記取込手段は、撮像画像を取り込む。前記認識手段は、前記取り込んだ撮像画像から収納部に収納された商品を認識する。前記算出手段は、前記認識した商品の個数から当該認識した商品の売上登録に要する登録時間を算出する。前記報知手段は、前記算出した登録時間を報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、混雑度報知装置、プログラム、および混雑度報知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スーパーマーケット等の店舗に構築されたチェックアウトシステムでは、店舗の繁忙時に、POS(Point Of Sales)端末に、会計待ちの顧客の行列ができてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−102996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのため、店舗に設置されたPOS端末毎に、会計待ちの時間を店員や顧客が把握できるようにして、店舗全体での商品の登録業務の効率化を図るとともに、繁忙時の顧客の会計待ちの不満を軽減することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の混雑度報知装置は、取込手段と、認識手段と、算出手段と、報知手段と、を備える。前記取込手段は、撮像画像を取り込む。前記認識手段は、前記取り込んだ撮像画像から収納部に収納された商品を認識する。前記算出手段は、前記認識した商品の個数から当該認識した商品の売上登録に要する登録時間を算出する。前記報知手段は、前記算出した登録時間を報知する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】チェックアウトシステムを示す斜視図。
【図2】カートの概要構成説明図。
【図3】POS端末および商品読取装置のハードウェア構成を示すブロック図。
【図4】PLUファイルのデータ構成を例示する概念図。
【図5】熟練度登録テーブルのデータ構成を例示する概念図である。
【図6】POS端末および商品読取装置の機能構成を示すブロック図。
【図7】チェックアウトシステムにおける混雑度報知処理の流れを示すフローチャート。
【図8】混雑度の報知例を示す図。
【図9】混雑度の報知例を示す図。
【図10】混雑度の報知例を示す図。
【図11】混雑度の報知例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下では、チェックアウトシステムを例に本実施形態にかかる混雑度報知装置、プログラム、および混雑度報知方法について、図面を参照して説明する。チェックアウトシステムは、商品に付されたバーコードや2次元コードなどのコードシンボルから商品情報の読み取りを行う商品読取装置と、読み取った商品情報が示す商品の登録、精算を行うPOS(Point Of Sales)端末と、を備えるシステムである。本実施形態は、スーパーマーケット等の店舗に導入されたチェックアウトシステムへの適用例である。
【0008】
図1は、チェックアウトシステムを示す斜視図である。図2は、カートの概要構成説明図である。図1に示すように、チェックアウトシステム1は、一取引にかかる商品の登録、精算を行うPOS端末11を備える。POS端末11は、チェックアウト台51上のドロワ21上面に載置されている。ドロワ21は、POS端末11によって開放動作の制御を受ける。POS端末11の上面には、オペレータ(ユーザ)によって押下操作されるキーボード22が配置されている。キーボード22を操作するオペレータから見てキーボード22よりも奥側には、オペレータに向けて情報を表示する表示デバイス23が設けられている。表示デバイス23は、その表示面23aに情報を表示する。表示面23aには、タッチパネル26が積層されている。表示デバイス23よりもさらに奥側には、顧客用表示デバイス24が回転自在に立設されている。顧客用表示デバイス24は、その表示面24aに情報を表示する。なお、図1に示す顧客用表示デバイス24は、表示面24aを図1中手前側に向けているが、表示面24aが図1中奥側に向くように顧客用表示デバイス24を回転させることによって、顧客用表示デバイス24は顧客に向けて情報を表示する。
【0009】
POS端末11が載置されているチェックアウト台51とL字を形成するようにして、横長テーブル状のカウンタ台151が配置されている。カウンタ台151の上面には、荷受面152が形成されている。荷受面152には、カート200から降ろされた商品Aを収納する買物カゴ153が載置される。買物カゴ153は、顧客によって持ち込まれる第1の買物カゴ153aと、第1の買物カゴ153aから商品読取装置101を挟んだ位置に位置付けられる第2の買物カゴ153bとに分けて考えることができる。
【0010】
店舗で買い物をする顧客は、図2に示すように、買物カゴ153をカート200の荷台203,204に載置し、カート200を移動させながら買い物をする。カート200は、それぞれ買物カゴ153を載置することが可能な荷台203,204を有するフレーム205と、最下部に設けられた4個の車輪206と、フレーム205の後方部に取り付けられた取っ手207と、を備えている。なお、カート200は、自ら収納部としての買物カゴ153を備える形態であっても良い。例えば、カート200を構成するフレーム205同士の間に網が張られており、商品を外部から視認できる態様で収納するカート200自体を収納部とする形態であってもよい。
【0011】
顧客は、取っ手207を掴んで所望の方向にカート200を押すことにより、カート200を移動させることができる。顧客は、購入予定の全ての商品を買物カゴ153に収納すると、カート200をカウンタ台151まで移動させ、荷台203,204に載置された買物カゴ153を荷受面152に載置する。
【0012】
カウンタ台151の荷受面152には、カウンタ台151の後に行列を形成しているカート200の荷台203,204に載置されている買物カゴ153、および荷受面152上に載置された買物カゴ153a内の商品の売上登録に要する時間など、POS端末11の混雑度を報知するための混雑度表示デバイス301が設けられている。
【0013】
POS端末11による商品の登録および精算を待っている顧客の頭上には、チェックアウトシステム1上の空間、および店舗の繁忙時などにカウンタ台151の後に行列を形成しているカート200の荷台203,204上の空間の画像を撮像するライブカメラ201が設置されている。ライブカメラ201は、図1および図2に示すように、レンズ202から取り込んだ画像を2次元CCD(Charged Coupled Device)アレイ(図示せず)に結像させ、CCDアレイの出力を増幅、A/D変換、フィルタリング等して動画として出力する構造のものである。ライブカメラ201は、荷受面152に載置された買物カゴ153aおよび荷台203,204上に載置された買物カゴ153に収納された商品を含む画像を撮像する。
【0014】
また、カウンタ台151の荷受面152には、POS端末11とデータ送受信自在に接続された商品読取装置101が設置されている。商品読取装置101は、薄型矩形形状のハウジング102を備える。ハウジング102の正面には読取窓103が配置されている。ハウジング102の上部には、表示・操作部104が取り付けられている。表示・操作部104には、タッチパネル105が表面に積層された表示デバイス106が設けられている。表示デバイス106の右隣にはキーボード107が配設されている。キーボード107の右隣には、図示しないカードリーダのカード読取溝108が設けられている。オペレータから見て表示・操作部104の裏面左奥側には、顧客に情報を提供するための顧客用表示デバイス109が設置されている。
【0015】
このような商品読取装置101は、商品読取部110(図3参照)を備えている。商品読取部110は、読取窓103の奥側に撮像部164(図3参照)を配置している。
【0016】
顧客によって持ち込まれた第1の買物カゴ153aには、一取引にかかる商品Aが収納されている。商品Aは、オペレータの手によって第2の買物カゴ153bへと移動される。この移動過程で、商品Aが商品読取装置101の読取窓103に向けられる。この際、読取窓103の奥側に配置された撮像部164(図3参照)は商品Aを撮像する。商品読取装置101では、撮像部164により撮像された画像に含まれる商品Aの全部または一部を検出する。商品読取装置101では、撮像部164により撮像された画像に商品Aの全部または一部が含まれることを検出した場合、その撮像された画像をPOS端末11へ出力する。POS端末11では、商品Aの各々について、商品Aの売上登録にかかる情報と商品Aの画像とが関連付けられたPLUファイルF1(詳細は後述する。図3参照)を参照して、商品読取部110の撮像部164により撮像された商品Aの全部または一部の画像から特定の物体である商品Aを認識することで売上登録を行う商品Aを特定し、その特定された商品Aの商品ID、商品分類、商品名、単価などの売上登録にかかる情報を、売上マスタファイル(図示しない)などに記録して売上登録を行う。
【0017】
図3は、POS端末および商品読取装置のハードウェア構成を示すブロック図である。POS端末11は、情報処理を実行する情報処理部としてのマイクロコンピュータ60を備える。マイクロコンピュータ60は、各種演算処理を実行し各部を制御するCPU(Central Processing Unit)61に、ROM(Read Only Memory)62とRAM(Random Access Memory)63とがバス接続されて構成されている。
【0018】
POS端末11のCPU61には、前述したドロワ21、キーボード22、表示デバイス23、タッチパネル26、顧客用表示デバイス24、混雑度表示デバイス301がいずれも各種の入出力回路(いずれも図示せず)を介して接続されている。これらは、CPU61による制御を受ける。
【0019】
キーボード22は、「1」、「2」、「3」…等の数字や「×」という乗算の演算子が上面に表示されているテンキー22d、仮締めキー22e、および締めキー22fを含む。
【0020】
POS端末11のCPU61には、HDD(Hard Disk Drive)64が接続されている。HDD64には、プログラムや各種ファイルが記憶されている。HDD64に記憶されているプログラムや各種ファイルは、POS端末11の起動時に、その全部又は一部がRAM63にコピーされてCPU61により順次実行される。HDD64に記憶されているプログラムの一例は、商品販売データ処理用のプログラムPRである。HDD64に記憶されているファイルの一例は、ストアコンピュータSCから配信されて格納されているPLUファイルF1や熟練度登録テーブルF2である。
【0021】
PLUファイルF1は、店舗に陳列して販売する商品Aの各々について、商品Aの売上登録にかかる情報と、その商品Aの画像との関連付けが設定された商品マスタファイルである。図4は、PLUファイルのデータ構成を例示する概念図である。図4に示すように、PLUファイルF1は、商品Aごとに、ユニークに割り当てられた商品ID、商品Aが属する商品分類、商品名、単価などの商品の売上登録にかかる情報と、その商品を撮像した商品画像と、を格納するファイルである。このようなPLUファイルF1は、対象となる商品群(パン、青果、惣菜等)によって分けられている。
【0022】
熟練度登録テーブルF2は、店舗で働く店員の各々について、商品Aの売上登録の熟練度および商品Aの売上登録に要する商品登録時間と、店員画像との関連付けが設定されたテーブルである。図5は、熟練度登録テーブルのデータ構成を例示する概念図である。図5に示す用ように、熟練度登録テーブルF2は、店舗で働く店員の各々について、店員を特定する店員IDと、商品Aの売上登録の熟練度を示す熟練度値(a、b、およびcのいずれか)と、当該熟練度値が示す熟練度に応じて設定された、1つの商品Aの売上登録に要する商品登録時間と、商品Aの売上登録の熟練度に合わせて店員が被る帽子の画像(店員画像)と、を対応付けて登録するものである。
【0023】
商品登録時間とは、店員が一つの商品Aに付されたバーコードや2次元コードなどのコードシンボルに組み込まれた商品情報を商品読取装置101に読み取らせ、POS端末11によって、読み取られた商品情報が示す商品の売上登録を行うのに要する時間である。
【0024】
また、熟練度値とは、商品登録時間の短長により判断された商品Aの売上登録の熟練度を数値化したものである。本実施形態では、熟練度値として、熟練度が高い順に、「a」、「b」、「c」の3つの値が用意されており、熟練度値:「a」が、商品の売上登録の熟練度が高いことを示し、熟練度値:「b」が、商品の売上登録の熟練度が普通(標準)であることを示し、熟練度値:「c」が、商品の売上登録の熟練度が低いことを示すものである。
【0025】
また、本実施形態では、商品Aの売上登録の熟練度に合わせて店員が被る帽子の画像を店員画像としているが、商品Aの売上登録の熟練度を識別することができる画像であれば、これに限定するものではなく、例えば、商品Aの売上登録を行う店員の顔画像や、商品Aの売上登録の熟練度に合わせて店員が着る制服の画像を、店員画像として適用してもよい。
【0026】
図3に戻り、POS端末11のCPU61には、ストアコンピュータSCとデータ通信を実行するための通信インターフェース25が入出力回路(図示せず)を介して接続されている。ストアコンピュータSCは、店舗のバックヤード等に設置されている。ストアコンピュータSCのHDD(図示せず)には、POS端末11に配信されるPLUファイルF1が格納されている。
【0027】
さらに、POS端末11のCPU61には、商品読取装置101との間でデータ送受信を可能にする接続インターフェース65が接続されている。接続インターフェース65には、商品読取装置101およびライブカメラ201が接続されている。また、POS端末11のCPU61には、レシートなどに印字を行うプリンタ66が接続されている。POS端末11は、CPU61の制御のもと、一取引の取引内容をレシートに印字する。
【0028】
商品読取装置101も、マイクロコンピュータ160を備える。マイクロコンピュータ160は、CPU161にROM162とRAM163とがバス接続されて構成されている。ROM162には、CPU161によって実行されるプログラムが記憶されている。CPU161には、撮像部164、音声出力部165、ライブカメラ201が各種の入出力回路(いずれも図示せず)を介して接続されている。撮像部164、音声出力部165は、CPU161によって動作が制御される。表示・操作部104は接続インターフェース176を介してPOS端末11に接続されている。表示・操作部104はPOS端末11のCPU61によって動作が制御される。
【0029】
撮像部164は、カラーCCDイメージセンサやカラーCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどであり、CPU161の制御の下で読取窓103からの撮像を行う。例えば撮像部164では30fpsの動画像の撮像を行う。撮像部164が所定のフレームレートで順次撮像したフレーム画像はRAM163に保存される。
【0030】
音声出力部165は、予め設定された警告音などを発生するための音声回路とスピーカなどである。音声出力部165は、CPU161の制御の下で警告音などの音声による報知を行う。
【0031】
さらに、CPU161には、POS端末11の接続インターフェース65およびライブカメラ201に接続して、POS端末11およびライブカメラ201との間でデータ送受信を可能にする接続インターフェース175が接続されている。CPU161の制御の下、商品読取装置101の撮像部164によって撮像された画像(商品Aの全部または一部を含む画像)は、接続インターフェース175を介して出力され、接続インターフェース65を介してPOS端末11に入力される。また、CPU161の制御の下、ライブカメラ201で撮像された画像は、接続インターフェース175を介して、商品読取部110に入力される。
【0032】
次に、CPU161、CPU61がプログラムを順次実行することで実現されるCPU161、CPU61の機能部について、図6を参照して説明する。図6は、POS端末および商品読取装置の機能構成を示すブロック図である。図6に示すように、CPU161は、プログラムを順次実行することにより、撮像画像取込部601、検出部602、画像出力部603としての機能を備える。同様に、CPU61は、物体認識部604、登録時間算出部605、報知部606、商品登録部607としての機能を備える。
【0033】
撮像画像取込部601は、接続インターフェース175を介してライブカメラ201に撮像オン信号を出力してライブカメラ201に撮像動作を開始させる。撮像画像取込部601は、撮像動作開始後に、接続インターフェース175を介して、ライブカメラ201が撮像して出力された画像を順次取り込む。撮像画像取込部601による画像の取り込みは、ライブカメラ201から出力された順に行われる。
【0034】
また、撮像画像取込部601は、撮像部164に撮像オン信号を出力して撮像部164に撮像動作を開始させる。撮像画像取込部601は、撮像動作開始後に撮像部164が撮像してRAM163に保存されたフレーム画像を取り込む。撮像画像取込部601によるフレーム画像の取り込みは、RAM163に保存された順に行われる。
【0035】
検出部602は、撮像画像取込部601によりライブカメラ201から取り込まれた画像に含まれる買物カゴ153の全部または一部を、パターンマッチング技術などを用いて検出する。具体的には、検出部602は、ライブカメラ201から取り込まれた画像を2値化した画像から輪郭線などを抽出する。次いで、検出部602は、ライブカメラ201から直近に取り込んだ画像から抽出された輪郭線と、ライブカメラ201から今回取り込んだ画像から抽出された輪郭線とを比較し、変更があった部分、すなわち、売上登録のために荷受台152に載置された買物カゴ153aまたはカウンタ台151の後に行列を形成しているカート200の荷台203,204に載置された買物カゴ153の写り込みを検出する。
【0036】
また、検出部602は、撮像画像取込部601により撮像部164から取り込まれたフレーム画像に含まれる商品Aの全部または一部を、パターンマッチング技術などを用いて検出する。具体的には、検出部602は、買物カゴ153の検出と同様に、撮像部164から取り込まれたフレーム画像を2値化した画像から輪郭線などを抽出する。次いで、検出部602は、撮像部164から直近に取り込んだフレーム画像から抽出された輪郭線と、撮像部164から今回取り込んだフレーム画像から抽出された輪郭線とを比較し、変更があった部分、すなわち、売上登録のために読取窓103に向けられた商品Aの写り込みを検出する。商品Aを検出する別の方法としては、取り込まれたフレーム画像から肌色領域の有無を検出する。次いで、肌色領域が検出された場合、すなわち、店員の手の写り込みが検出された場合は、上述した輪郭線の抽出を行うことで、店員の手を把持していると想定される商品の輪郭抽出を試みる。このとき、手の形状を示す輪郭と、それ以外の輪郭とが検出された場合は、店員の手が商品を把持していることから、商品の写り込みを検出する。
【0037】
画像出力部603は、撮像画像取込部601により取り込んだ画像(またはフレーム画像)を接続インターフェース175を介してPOS端末11へ出力する。画像出力部603は、撮像画像取込部601が取り込んだ画像(またはフレーム画像)を逐次POS端末11へ出力しても良いが、本実施形態では、検出部602により買物カゴ153の全部または一部が検出された画像(または、商品の全部または一部が検出されたフレーム画像)をPOS端末11へ出力するものとする。このように、検出部602により買物カゴ153の全部または一部が検出された画像(商品の全部または一部が検出されたフレーム画像)をPOS端末11へ出力することで、買物カゴ153の全部または一部が検出されていない画像(商品の全部または一部が検出されていないフレーム画像)に対して実行する物体認識がPOS端末11で行われることを防止できる。特定の物体の認識処理は処理時間を要することから、特定の物体の認識の見込みのない、買物カゴ153の全部または一部が含まれていない画像での処理を防止することで、処理時間の短縮を図ることができる。
【0038】
物体認識部604は、PLUファイルF1の商品画像を参照して、ライブカメラ201により撮像された画像から、買物カゴ153内に収納された商品Aを認識する。具体的には、物体認識部604は、PLUファイルF1の商品画像を参照して、ライブカメラ201により撮像された画像から、特徴量として色合いや表面の凹凸状況等の表面の状態を読み取ることによって特定の物体としての商品Aを認識する。なお、物体認識部604は、処理時間の短縮を図るため、商品Aの輪郭や大きさは考慮しないものとする。POS端末11では、物体認識部604の認識結果により、PLUファイルF1に予め登録されている商品の中から、荷受台152に載置された買物カゴ153内に収納された商品およびカート200の荷台203,204に載置された買物カゴ153内に収納された商品を認識することができる。
【0039】
また、物体認識部604は、熟練度登録テーブルF2の店員画像を参照して、ライブカメラ201により撮像された画像から、チェックアウトシステム1において商品Aの売上登録を行う店員を認識する。具体的には、物体認識部604は、熟練度登録テーブルF2の店員画像を参照して、ライブ201により撮像された画像から、特徴量として色合いや表面の凹凸状況等の表面の状態を読み取ることによって特定の物体としての店員を認識する。なお、物体認識部604は、処理時間の短縮を図るため、店員の輪郭や大きさは考慮しないものとする。POS端末11では、物体認識部604の認識結果により、熟練度登録テーブルF2に予め登録されている店員の中から、チェックアウトシステム1において商品Aの売上登録を行う店員を認識することができる。
【0040】
さらに、物体認識部604は、PLUファイルF1の商品画像を参照して、撮像部164により撮像されたフレーム画像から、読取窓103に向けられた商品Aを認識する。具体的には、物体認識部604は、PLUファイルF1の商品画像を参照して、撮像部164により撮像されたフレーム画像から、特徴量として色合いや表面の凹凸状況等の表面の状態を読み取ることによって特定の物体としての商品Aを認識する。
【0041】
このように画像中に含まれる物体を認識することは一般物体認識(generic object recognition)と呼ばれている。このような一般物体認識については、下記の文献において各種認識技術が解説されている。
【0042】
柳井 啓司,“一般物体認識の現状と今後”,情報処理学会論文誌,Vol.48,No.SIG16 [平成22年8月10日検索],インターネット<URL: http://mm.cs.uec.ac.jp/IPSJ-TCVIM-Yanai.pdf >
また、画像をオブジェクトごとに領域分割することによって一般物体認識を行う技術が、下記の文献において解説されている。Jamie Shottonら,“Semantic Texton Forests for Image Categorization and Segmentation”,[平成22年8月10日検索],インターネット<URL: http://citeseerx.ist.psu.edu/viewdoc/download?doi=10.1.1.145.3036&rep=rep1&type=pdf >
登録時間算出部605は、ライブカメラ201により撮像した画像から認識した商品Aの商品個数を検出する。そして、登録時間算出部605は、検出した商品個数から、ライブカメラ201により撮像した画像から認識した商品Aの売上登録に要する推定登録時間を、POS端末11の混雑度として算出する。本実施形態では、登録時間算出部605は、熟練度登録テーブルF2から、ライブカメラ201により撮像した画像から認識した店員の店員IDと対応付けられた商品登録時間を読み出す。そして、登録時間算出部605は、検出した商品個数に、読み出した商品登録時間を乗算した時間を、推定登録時間として算出する。これにより、ライブカメラ201により撮像した画像認識した商品Aの売上登録に要する推定登録時間の算出を、POS端末11を操作する店員の熟練度を考慮して算出することができる。
【0043】
また、登録時間算出部605は、ライブカメラ201により撮像した画像から認識した商品Aのうち、同一の買物カゴ153に収納された同一種類の商品を1つとして、異なる種類の商品Aの商品個数を検出する。そして、登録時間算出部605は、異なる種類の商品Aの商品個数に読み出した商品登録時間を乗算して、推定登録時間を算出する。これにより、POS端末11を操作する店員が、同一の買物カゴ153に収納された同一種類の商品Aの売上登録を、キーボード22に含まれる乗算キーを用いて行った場合でも、ライブカメラ201により撮像した画像から認識した商品Aの売上登録に要する推定登録時間を正確に算出することができる。
【0044】
さらに、登録時間算出部605は、物体認識部604により、POS端末11を操作する店員が複数認識された場合、算出した推定登録時間を、認識した店員の人数で除算する。これにより、物体認識部604により認識した商品Aの売上登録に要する推定登録時間の算出を、POS端末11を操作する店員の人数を考慮して算出することができる。例えば、商品読取装置101による商品Aに付されたコードシンボルの読み取りと、POS端末11による商品Aの精算と、が二人制で行われている場合、算出した推定登録時間を2で除算することで、より正確な推定登録時間を算出することができる。
【0045】
報知部606は、登録時間算出部605により算出した推定登録時間を、表示デバイス23および混雑度表示デバイス301に表示するなどして、当該算出した推定登録時間を報知する。なお、本実施形態では、報知部606は、混雑度表示デバイス301に推定登録時間を表示して、当該推定登録時間を報知しているが、これに限定するものではない。例えば、報知部606は、店舗に設置されたスピーカによって推定登録時間を音声出力することで、推定登録時間を報知してもよい。
【0046】
商品登録部607は、物体認識部604により認識された商品と関連する売上登録にかかる情報、すなわち、商品読取装置101が読み取った商品として特定された商品の商品ID,商品分類、商品名、単価などを売上マスタファイル(図示しない)などに記録して商品の売上登録を行う。
【0047】
次に、チェックアウトシステム1における混雑度報知処理の流れについて説明する。図7は、チェックアウトシステムにおける混雑度報知処理の流れを示すフローチャートである。
【0048】
まず、商品読取装置101側の動作について説明する。撮像画像取込部601は、ライブカメラ201に撮像オン信号を出力してライブカメラ201による撮像を開始する(ステップS701)、次いで、撮像画像取込部601は、ライブカメラ201から出力された画像(撮像画像)を取り込む(ステップS702)。次いで、検出部602は、撮像画像取込部601により取り込まれた画像から買物カゴ153の全部または一部の検出を行う(ステップS703)。次いで、画像出力部603は、検出部602により買物カゴ153の全部または一部が検出された画像をPOS端末11へ出力する(ステップS704)。
【0049】
次いで、CPU161は、POS端末11から商品登録の終了通知などによる業務終了の有無を判定する(ステップS705)。業務を継続する場合(ステップS705:No)、CPU161は、ステップS702へ処理を戻して処理を継続させる。業務を終了する場合(ステップS705:Yes)、撮像画像取込部601は、ライブカメラ201に撮像オフ信号を出力してライブカメラ201による撮像を終了し(ステップS706)、処理を終了する。
【0050】
次に、POS端末11側の動作について説明する。CPU61は、商品読取装置101から出力された、買物カゴ153の全部または一部が検出された画像を受信する(ステップS707)。次いで、物体認識部604は、PLUファイルF1の商品画像を参照して、商品読取装置101から出力された画像から、特定の物体として商品Aを認識する(ステップS708)。また、物体認識部604は、熟練度登録テーブルF2の店員画像を参照して、商品読取装置101から出力された画像から、特定の物体として店員を認識する。
【0051】
次いで、登録時間算出部605は、物体認識部604により認識した商品A(買物カゴ153内に収納された商品)の商品個数を検出する(ステップS709)。さらに、登録時間算出部605は、検出した商品個数に対して、熟練度登録テーブルF2において認識した店員の店員IDと対応付けられた商品登録時間を乗算して、推定登録時間を算出する(ステップS710)。
【0052】
報知部606は、登録時間算出部605により算出した推定登録時間や、当該推定登録時間に応じたPOS端末11の混雑度を示す指標などを、表示デバイス23および混雑度表示デバイス301に表示して、POS端末11の混雑度を報知する(ステップS711)。
【0053】
図8〜11は、混雑度の報知例を示す図である。報知部606は、図8に示すように、登録時間算出部605により算出した推定登録時間801を含む混雑度報知画面800を表示デバイス23および混雑度表示デバイス301に表示する。また、報知部606は、図9〜11に示すように、登録時間算出部605により算出した推定登録時間に応じた混雑度を表す指標901,1001,1101を含む混雑度報知画面900,1000,1100を表示デバイス23および混雑度表示デバイス301に表示してもよい。
【0054】
図7の説明に戻る。CPU61は、キーボード22の操作指示による売上登録の終了などによる業務終了の有無を判定する(ステップS712)。業務を継続する場合(ステップS712:No)、CPU61は、ステップS707に処理を戻して処理を継続させる。業務を終了する場合(ステップS712:Yes)、CPU61は処理を終了する。
【0055】
このように本実施形態のチェックアウトシステム1によれば、撮像画像を取り込み、取り込んだ撮像画像から収納部に収納された売上登録する商品を認識し、認識した商品の個数から当該認識した商品の売上登録に要する登録時間を算出し、算出した登録時間を報知することにより、POS端末11毎の会計待ち時間を店員や顧客が把握できるので、店舗全体での商品の登録業務の効率化を図るとともに、繁忙時における顧客の会計待ちの不満を軽減することができる。
【0056】
なお、本実施形態のPOS端末11および商品読取装置101で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。本実施形態のPOS端末11および商品読取装置101で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0057】
さらに、本実施形態のPOS端末11および商品読取装置101で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態のPOS端末11および商品読取装置101で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0058】
本実施形態のPOS端末11で実行されるプログラムは、上述した各部(物体認識部604、登録時間算出部605、報知部606、商品登録部607)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMからプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、物体認識部604、登録時間算出部605、報知部606、商品登録部607が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0059】
本実施形態の商品読取装置101で実行されるプログラムは、上述した各部(撮像画像取込部601、検出部602、画像出力部603)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMからプログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、撮像画像取込部601、検出部602、画像出力部603が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【0060】
なお、本実施形態においては、POS端末11のCPU61に物体認識部604、登録時間算出部605、報知部606、商品登録部607としての機能を持たせているが、これに限定するものではなく、商品読取装置101のCPU161に物体認識部604、登録時間算出部605、報知部606、商品登録部607としての機能を持たせてもよい。
【0061】
また、本実施形態においては、商品読取装置101のCPU161に撮像画像取込部601、検出部602、画像出力部603としての機能を持たせているが、これに限定するものではなく、POS端末11のCPU61に撮像画像取込部601、検出部602、画像出力部603としての機能を持たせてもよい。
【0062】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0063】
11 POS端末
23 表示デバイス
101 商品読取装置
201 ライブカメラ
302 混雑度表示デバイス
601 撮像画像取込部
602 検出部
604 物体認識部
605 登録時間算出部
606 報知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像画像を取り込む取込手段と、
前記取り込んだ撮像画像から収納部に収納された商品を認識する認識手段と、
前記認識した商品の個数から当該認識した商品の売上登録に要する登録時間を算出する算出手段と、
前記算出した登録時間を報知する報知手段と、
を備えた混雑度報知装置。
【請求項2】
前記算出手段は、前記認識した商品の個数に、1つの商品の売上登録に要する時間を乗算した時間を、前記登録時間として算出する請求項1に記載の混雑度報知装置。
【請求項3】
前記認識手段は、前記取り込んだ撮像画像から売上登録を行う店員を認識し、
前記算出手段は、前記認識した商品の個数に、前記認識した店員の熟練度に応じて設定された、1つの商品の売上登録に要する時間を乗算した時間を、前記登録時間として算出する請求項2に記載の混雑度報知装置。
【請求項4】
前記算出手段は、前記認識した商品のうち異なる種類の商品の個数に、前記時間を乗算して前記登録時間を算出する請求項1から3のいずれか一に記載の混雑度報知装置。
【請求項5】
コンピュータを、
商品を収納する収納部内を撮像した撮像画像から認識した商品の個数から、当該認識した商品の売上登録に要する登録時間を算出する算出手段と、
前記算出した登録時間を報知する報知手段と、
として機能させるためのプログラム。
【請求項6】
混雑度報知装置で実行される混雑度報知方法であって、
前記混雑度報知装置は、制御部を備え、
前記制御部は、
取込手段が、撮像画像を取り込む工程と、
認識手段が、前記取り込んだ撮像画像から収納部に収納された商品を認識する工程と、
算出手段が、前記認識した商品の個数から当該認識した商品の売上登録に要する登録時間を算出する工程と、
報知手段が、前記算出した登録時間を報知する工程と、
を含む混雑度報知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−37452(P2013−37452A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−171464(P2011−171464)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】